子供たちに学ぶ都市計画
-
0:01 - 0:04私たちの社会は
人口の4分の1の意見を考慮せず -
0:04 - 0:07日常的に決定を行っていて
-
0:07 - 0:13土地利用やエネルギー生産や
天然資源の利用について -
0:13 - 0:16地域全体の考えや経験を反映せずに
選択をしています -
0:17 - 0:20生物ではない車の方が
この市民グループよりも -
0:20 - 0:23公共政策に対して
多くの意見を伝えています -
0:24 - 0:27私がどのグループの話をしているか
お分かりになりますか? -
0:27 - 0:29それは子供たちのことです
-
0:30 - 0:33私は都市計画を仕事としていて
そして 当然のことながら -
0:33 - 0:36多くの都市は
大人たちによって設計されています -
0:36 - 0:39都市プランナーや建築家や
開発業者や政治家 -
0:39 - 0:42ときには 声高な市民といった人々です
-
0:43 - 0:47市議会の会議室の演台の高さに
かろうじて背が届くような -
0:47 - 0:514歳児の意見は
ほとんど無視されます -
0:52 - 0:55でも 今日は皆さんに
聞きたいと思います -
0:55 - 0:59子供たちに都市の設計を
頼んだらどうなるでしょうか? -
0:59 - 1:01(笑)
-
1:01 - 1:052009年 私はコロラド州のボルダーで
-
1:05 - 1:10子供に優しい街づくりを始めようとしていた
ある小さなグループを紹介されました -
1:10 - 1:13私は公民権運動家の家庭の出身で
-
1:13 - 1:16グループを紹介されるまでは
-
1:16 - 1:19低所得の子供や家族と
仕事をしていましたが -
1:19 - 1:23子どもに優しい街づくりについて
それまで聞いたことはありませんでした -
1:23 - 1:28それで この街づくりの目的は
私が幼い子供の親として感じた不満に -
1:28 - 1:31対処することだろうと
考えていました -
1:31 - 1:35レストランにもっと
おむつ交換台を設置するよう提案するとか -
1:35 - 1:40寒い日や雨の日でも遊べる
屋内の遊び場を作るとか -
1:40 - 1:45つまり 子供と家族にとって
より快適な街にするということです -
1:45 - 1:48そのプロジェクトに取り組み始めて
-
1:48 - 1:51考え違いをしていたことに
気づきました -
1:51 - 1:55私たちは子供のためにより良い都市を
デザインしはしないでしょう -
1:55 - 1:59子供たちこそ 自分たちのため
さらには私たちみんなのために -
1:59 - 2:02より良い都市をデザインするのです
-
2:02 - 2:06今 皆さんはこのアイデアに
疑問をお持ちだと思います -
2:06 - 2:09正直なところ 私もそうでした
-
2:09 - 2:13投票年齢が18才以上なのには
理由があるはずです -
2:13 - 2:16(笑)
-
2:16 - 2:20どうして子供たちが
手ごろな物件がなくなる住宅危機や -
2:20 - 2:22都市交通基本計画の
作成方法などの -
2:22 - 2:25複雑な問題を
理解できるでしょう? -
2:26 - 2:30たとえアイデアがあったとしても
幼稚だったり -
2:30 - 2:31不合理なのでは?
-
2:32 - 2:36キャンディでできた公園は
本当に必要でしょうか? -
2:36 - 2:39(笑)
-
2:39 - 2:41下を通るカヤックに
不意に水をかける -
2:41 - 2:45水鉄砲のある橋は
必要でしょうか? -
2:45 - 2:48(笑)
-
2:49 - 2:52そういう懸念は
妥当に聞こえますが -
2:52 - 2:58都市計画に子供たちを含めないことが
設計上 より大きな問題だと気付きました -
2:58 - 3:02なにより設計過程には利用者を
含めるべきではないでしょうか? -
3:02 - 3:05主に子供たちに使われる公園を
建設するのであれば -
3:05 - 3:09子供たちに発言権があるべきです
-
3:09 - 3:11それを踏まえて
-
3:11 - 3:14私たちは “Growing Up Boulder” という
プログラムを作りました -
3:14 - 3:18私の仕事は
0歳から18歳までの子供たちと -
3:18 - 3:22革新的な都市設計の案を
生み出すことです -
3:22 - 3:24どうするのかと
思われるかもしれません -
3:24 - 3:26実際の例をご紹介しましょう
-
3:27 - 3:312012年にボルダー市は
市民エリアとして知られる -
3:31 - 3:35都心部の大きな公園の
再設計を決定しました -
3:35 - 3:39この空間の一端は
ファーマーズ・マーケットで -
3:39 - 3:41反対側にはボルダー市立図書館があり
-
3:41 - 3:45ボルダークリーク(小川)が
公園の中央を走っています -
3:45 - 3:47避けがたい川の氾濫に対処し
-
3:47 - 3:50地域の安心感を回復し
-
3:50 - 3:52ファーマーズ・マーケットの
拡大を支えるための -
3:52 - 3:55新しい設計が必要でした
-
3:56 - 3:59そして 2012年から2014年にかけ
-
3:59 - 4:03就学前から高校生までの
200人以上の子供たちが -
4:03 - 4:06このプロセスに参加しました
-
4:06 - 4:08では どのようにして
行ったのでしょうか? -
4:08 - 4:10説明しますね
-
4:10 - 4:13はじめに 私たちは
子供たちの教室を訪問し -
4:13 - 4:18プロジェクトの内容と
彼らのアイデアが重要な理由 -
4:18 - 4:21そして 提案で
何が起こるかを説明しました -
4:21 - 4:26私たちが影響を与えてしまう前に
子供たちに自分たちの経験に基づくアイデアを -
4:26 - 4:28書きとめるよう
お願いしました -
4:29 - 4:33それから 子供たちと遠足して
-
4:33 - 4:35その場所の好きなものと
嫌いなものを -
4:35 - 4:38撮影しながら
記録するよう頼みました -
4:38 - 4:40生徒は緑色の枠を使って
-
4:40 - 4:43気に入ったものを示します
-
4:43 - 4:46タイヤで川下りしていた大学生とか
-
4:46 - 4:48(笑)
-
4:48 - 4:51そして 枠の裏側の赤い面を使って
-
4:51 - 4:55ゴミなど好ましくないものを
示しました -
4:56 - 4:596年生の生徒たちは
参考にするため -
4:59 - 5:03世界各地の同じような課題を
抱えている場所を調査しました -
5:04 - 5:09それから 子供たちの
元のアイデアと -
5:09 - 5:11新しいひらめきを組み合わせて
-
5:11 - 5:15公園の改善案へまとめるように
お願いしました -
5:15 - 5:20教室に 大人のプランナーや
市議やコミュニティのメンバーを招待し -
5:20 - 5:24子供たちの提案を共有し
議論しました -
5:25 - 5:31ボルダーの経験豊富な都市プランナーが
就学前児童による実物大の公園再生の模型を -
5:31 - 5:35ブロックやぬいぐるみを跨ぎながら
検討しました -
5:36 - 5:40生徒たちがリストバンドで作った公園で
示したアイデアに -
5:40 - 5:45大人のプランナーたちは
感心しました -
5:45 - 5:48それはアイススケート場ということでした
-
5:48 - 5:53そして 動物型プラスチックビーズで
作ったパブリックアート -
5:53 - 5:55ばかばかしく見える
かもしれませんが -
5:55 - 5:59建築家が作る模型と
そう違いません -
6:00 - 6:03その4年後に話を進めます
子供たちの多くのアイデアが -
6:03 - 6:08公園建設に採用されたことを
報告できるのが大変嬉しいです -
6:08 - 6:09例えば
-
6:09 - 6:12ボルダークリークへの
アクセスが改善されることで -
6:12 - 6:15子供達は安全に
水場で遊ぶことができます -
6:15 - 6:18以前暗かった地下通路に
照明を付けることで -
6:18 - 6:22高校生は夜も安全に
学校から帰宅が出来ます -
6:23 - 6:25そして 自転車道と歩道を分けることで
-
6:25 - 6:30スピードを出す自転車が
川沿いの散歩者にぶつかる恐れもなくなります -
6:30 - 6:35去年の冬 私は娘と一緒に
子供たちがリクエストした新しいスケート場で -
6:35 - 6:37スケートをしました
-
6:39 - 6:43では 子供たちのアイデアはすべて
市民エリアで実施されたのでしょうか? -
6:44 - 6:45当然 全部ではありません
-
6:46 - 6:48民主主義は面倒な方法です
-
6:49 - 6:52しかし合理的で十分な知識を持った大人が
-
6:52 - 6:55自分たちのアイデアが全て採用されると
考えていないのと同じで -
6:55 - 6:589歳の子もそのように思ってはいません
-
6:58 - 7:01私たちはこの方法を
8年間続けています -
7:01 - 7:04そして このように
子供たちと街をデザインすることには -
7:04 - 7:07とても大きなメリットがあると
わかりました -
7:07 - 7:10まず子供たちは
大人たちと違う考え方をし -
7:11 - 7:12それは良いことなのです
-
7:12 - 7:15大人たちは制約について考えます
-
7:15 - 7:17プロジェクトは どれくらいの
時間を要するのか -
7:17 - 7:21いくら費用がかかり
どのような危険があるかを考えます -
7:21 - 7:24要は「私たち訴えられませんよね?」と
-
7:24 - 7:25(笑)
-
7:26 - 7:28そういう制約が問題でないとは
言いませんが -
7:28 - 7:31最初からアイデアを
取り除いてしまうと -
7:31 - 7:35創造性が制限され
設計プロセスが阻害されてしまいます -
7:35 - 7:38一方で 子供たちは
可能性について考えます -
7:39 - 7:41子供たちにとって
限界はありません -
7:41 - 7:43文字通りにです
-
7:44 - 7:48私たちが中学生と一緒に
十代の子のための公園を設計したときは -
7:48 - 7:52スカイダイビングや
ハンググライダーの絵を描いていました -
7:52 - 7:53(笑)
-
7:53 - 7:57それに トランポリンから
巨大なスポンジプールに飛び込む絵も -
7:57 - 7:58(笑)
-
7:59 - 8:01現実離れしたアイデアもありますが
-
8:01 - 8:06そういう活動の共通点は
重要なことを明らかにしていました -
8:06 - 8:10思春期の生徒たちは
スリルを求めていたのです -
8:10 - 8:13彼らの年齢を考えれば
理解できることです -
8:14 - 8:19私たちの仕事は
ひらめきと現実の橋渡し役として -
8:19 - 8:26実際に公園に設置できる設備や
活動を指し示すことでした -
8:26 - 8:29これはオーストラリアの公園で
実現されたものですが -
8:29 - 8:34長いジップラインと
10メートルのザイルクライミングです -
8:36 - 8:38子供たちは空間を思い描くとき
-
8:38 - 8:43デザインに楽しさ 遊び 動きを
必ずと言っていいほど取り入れます -
8:44 - 8:48これは 大人が高い優先度を
置くものではありませんが -
8:48 - 8:51研究によれば
楽しさと遊びと動きはまさに -
8:51 - 8:55大人が健康を保つために
必要とするものなのです -
8:55 - 8:56(笑)
-
8:57 - 9:01小さな図書館と
読書用の快適なビーンバッグチェアのある -
9:01 - 9:04木の上の家を
楽しまない人がいるでしょうか? -
9:04 - 9:08あるいは 飛び石の上を歩くと
スプレーで絵が描かれる -
9:08 - 9:11パブリックアートの展示は
どうでしょうか? -
9:12 - 9:17子供たちは楽しさや遊びの要素に加えて
デザインの美しさも大切にしています -
9:18 - 9:21手頃な価格の集合住宅の
設計を任されると -
9:21 - 9:24子供たちは多くの開発業者が好むような
-
9:24 - 9:27画一的なベージュ色の分譲マンションの
デザインを採用せず -
9:27 - 9:33住宅から遊具に至るまで
すべてに派手な色をつけました -
9:34 - 9:37自転車道と歩道の間に花を植え
-
9:37 - 9:40川沿いにベンチを置いたので
-
9:40 - 9:42子供たちは友達と遊び合い
-
9:42 - 9:45水辺の静けさも
楽しむことができます -
9:45 - 9:47それは自然の話へと繋がりますが
-
9:47 - 9:51子供たちは自然と結びつく
生物学的欲求を持っており -
9:51 - 9:53これは彼らのデザインに現れています
-
9:53 - 9:58彼らは遠いところではなく
身近に自然が欲しいと思っています -
9:58 - 10:04そのため 水や果樹や花や動物を
共有スペースに取り入れた -
10:04 - 10:07コミュニティを設計します
-
10:09 - 10:12今では5歳児が
4ブロックも離れた公園へ -
10:12 - 10:151人で行くことは
許されないことが多いので -
10:15 - 10:17良くも悪くも
これは理にかなっています -
10:17 - 10:21すぐそばの環境に自然があることは
誰にとってもよいことで -
10:21 - 10:25すべての世代の人たちに
回復効果があることがわかっています -
10:26 - 10:28意外に思われるかもしれませんが
-
10:28 - 10:32私たちは最も幼い市民である乳幼児の
-
10:32 - 10:34願いも考慮に入れます
-
10:35 - 10:38散歩の楽しさは
途中で何かを見つけることにあると -
10:38 - 10:41私たちは幼児から学びました
-
10:41 - 10:45ボルダーの
19番街の歩きやすさを評価したとき -
10:45 - 10:49幼児は道路を歩きながら
排水溝にある葉っぱで遊び -
10:49 - 10:52光るものを歩道に見つけました
-
10:53 - 10:55子供たちは ゆっくりすることを
そして -
10:55 - 11:00道筋は目的地と同じくらい大事だと
思い出させてくれました -
11:01 - 11:03子供たちは木や植物に加えて
-
11:03 - 11:07ほぼ必ず 動物もデザインに取り入れます
-
11:07 - 11:09昆虫 鳥 小動物は
-
11:09 - 11:13子供たちの絵に
目立つように描かれます -
11:13 - 11:15子供たちが私たちよりも地面に近く
-
11:15 - 11:18バッタをよく見ることが
できるからか -
11:18 - 11:23あるいは 単に他の生き物に強い共感を
持っているからかもしれませんが -
11:23 - 11:28子供たちはいつでも 理想的な世界に
人間以外の生き物を取り入れます -
11:28 - 11:33子供たちは一律に
都市計画において非排他的です -
11:33 - 11:37車椅子のおばあちゃんから
公園で眠っているホームレスの女性まで -
11:37 - 11:40全ての人のためにデザインします
-
11:40 - 11:44子供たちは
車や 自分のエゴや 企業のためではなく -
11:44 - 11:47生けるもののために
デザインします -
11:48 - 11:51最後になりますが
私達がした最も興味深い発見は -
11:51 - 11:56子供たちに優しい都市は
誰にとっても優しい都市だということです -
11:56 - 11:59コロンビアのボゴタ市長の
エンリケ・ペニャローサさんは -
11:59 - 12:04子供たちは指標生物だと言っています
-
12:04 - 12:07子供のために良い街を
作ることができれば -
12:07 - 12:10すべての人々のための
素晴らしい街になるのです -
12:10 - 12:12それについて考えてみましょう
-
12:12 - 12:15子供は車を運転して
店に行くことはできません -
12:15 - 12:19また 多くの子供たちは近所のカフェで
高いランチを食べることはできません -
12:19 - 12:25ですから 代わりとなる交通手段や
安価な食堂といった -
12:25 - 12:27子供たちのニーズを考慮した
都市をつくれば -
12:27 - 12:30その他大勢の人々のニーズも
満たすことができます -
12:31 - 12:36若者が求める
手頃で便の多いバスは -
12:36 - 12:39車を運転できなくなったあとも
-
12:39 - 12:42自立して生活したいと考える
高齢者を支援します -
12:42 - 12:48若者が求めるような 平坦で舗装された
スケートボードもできる歩道は -
12:48 - 12:53車椅子で通りをスムーズに進みたい人や
-
12:53 - 12:56新しいベビーカーを押す親御さんにも
役立ちます -
12:56 - 13:00この全てが私に
大切なことを明かしてくれました -
13:00 - 13:02気付かなかった 大切なことです
-
13:02 - 13:06計画に子供を含めていないなら
-
13:06 - 13:08他に誰を含めていないことでしょう?
-
13:08 - 13:13全ての人種や移民 高齢者や障害者
-
13:13 - 13:18低所得の人々の意見は
聞いているでしょうか? -
13:18 - 13:21地域社会全体の声を
聞いていないばかりに -
13:21 - 13:25私たちが見落としている
革新的な設計案はないでしょうか? -
13:25 - 13:28尋ねなければ
他の人のニーズや希望を -
13:28 - 13:30知ることはできません
-
13:30 - 13:33子供でも
子供以外でもそうです -
13:33 - 13:38だから 大人たちは子供たちを
「将来の市民」として考えるのをやめて -
13:38 - 13:42子供たちも現在の市民として
尊重していきましょう -
13:44 - 13:46子供たちは
-
13:46 - 13:51私たちをより幸せで健康にしてくれる都市を
デザインしてくれるからです -
13:51 - 13:58自然 遊び 動きや人のつながり
そして 美しさで埋めつくされた都市です -
13:58 - 14:03子供たちは我々みんなが住みたい都市を
デザインしてくれるのです -
14:03 - 14:04ありがとうございました
-
14:04 - 14:11(拍手)
- Title:
- 子供たちに学ぶ都市計画
- Speaker:
- マーラ・ミンツァー
- Description:
-
大人は子供を「将来の市民」と考える傾向があります。彼らのアイデアや意見はいつの日か重要になるだろうが、今ではないと。 しかし子供たちは人口の4分の1を占めるのだし、彼らが引き継ぐ世界について意見を言えるべきではないでしょうか? 都市計画者のマーラ・ミンツァー氏が、彼女のチームが子供たちにコロラド州ボルダーの公園の設計を手伝ってもらったときことと、それが構築環境を作る上での重要な盲点をいかに明らかにしたかを語ります。 「計画に子供を含めていないなら、他の誰を除外していることでしょう?」と彼女は問います。
- Video Language:
- English
- Team:
- closed TED
- Project:
- TEDTalks
- Duration:
- 14:24
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