Japanese subtítols

← 作物の病気と闘う農家を救うためにDNA技術をいかに使うか

世界中でほぼ8億の人々がキャッサバに頼って生きていますが、この重要な食糧源はウィルスの脅威にさらされています。ただしそれは完全に予防できる、と計算生物学者でTEDシニアフェローのローラ・ボイキンは言います。彼女は私たちを東アフリカの農場にいざないます。彼女はそこで、多様性のある科学者チームと共に、ウィルスを月単位ではなく数時間で特定可能なポータブルDNA実験室とミニスーパーコンピューターを使って、農家が作物の健康を保つのを助けています。

Obtén el codi d'incrustació
24 llengües

Showing Revision 29 created 06/03/2020 by Naoko Fujii.

  1. 私は2つの理由があって
    ベッドから起き出します
  2. 1つめは 家族経営の小さな農家たちが
    もっと多くの食糧を必要としているからです
  3. この2019年に 我々に食糧を供給する
    農家たちが飢えているなんて おかしな話です
  4. 2つめは 科学が多様性と包含性を
    必要としているからです
  5. この地球上で特に解決が困難な問題―
  6. 例えば極度の貧困に生きる多くの人々の
    食糧問題を解決しようとするならば
  7. 我々みんなの力が必要でしょう
  8. 私は最新の技術を活用して

  9. 世界で一番多様性を持ち
    包含的なチームと共に
  10. 農家がもっと食糧を得られるよう
    助けたいのです
  11. 私は計算生物学者です
  12. 疑問ですよね 
    それはどんな仕事でどう飢餓を解決するのか?
  13. 私は元々コンピューターと
    生物学が好きだったんですが
  14. どうやら それを合わせると
    仕事になるんですね
  15. (笑)

  16. 子供の頃から

  17. 生物学者になりたかったと
    いうわけではありませんでした
  18. 実際のところ 大学では
    バスケットボールの選手だったんです
  19. さらに 学費援助プログラムが提供する
    仕事を必要としていました
  20. だから 思い立ったある日
  21. 宿舎から一番近い建物に行ってみたのです
  22. そうすると そこがたまたま
    生物学棟だったんですね
  23. 中に入って仕事の掲示板を見てみました
  24. そう インターネットのまだ無い時代です
  25. そして小さなカードに載っている
  26. 「ハーバリウム」での仕事を見つけたんです
  27. 私は素早くその電話番号をメモしました
  28. 「勤務時間自由」とあって
  29. バスケットの空き時間に働くには
    その必要があったんです
  30. 図書館に駆け込んで
    「ハーバリウム」が何か調べました
  31. (笑)

  32. そして「ハーバリウム」は

  33. 枯れた植物の乾燥標本を
    収蔵する場所だと知りました
  34. 私は運よくその仕事を得ました
  35. だから 私の初めての科学的な仕事は
  36. 枯れた植物をひたすら
    紙に糊付けすることだったのです
  37. (笑)

  38. わくわくしますね

  39. こうして私は計算生物学者になったのでした
  40. そうこうしている間に
  41. ゲノム科学と計算科学の時代となり
  42. 私は修士課程に進み
  43. 生物学とコンピューターを組み合わせました
  44. その間 私は

  45. ロスアラモス国立研究所の
  46. 理論生物学と生物物理学の
    グループで働いていました
  47. そして そこで初めて
    スーパーコンピューターに出会って
  48. 心を奪われたのです
  49. スーパーコンピューターというのは
  50. 簡単に言うとPCを数千個くっつけて
    高速化したものですが
  51. それを使うとインフルエンザや
    C型肝炎の複雑な様相を解明できます
  52. そこでの経験によって
  53. コンピューターと生物学の組み合わせが
    人類に役立つ力を持つことを知りました
  54. それで その道で
    生きていきたいと思ったのです
  55. 1999年から
  56. 私は科学者としてのキャリアのほとんどを
  57. 高価な装置に囲まれた
  58. ハイテク研究室で過ごしてきました
  59. だから よくこう聞かれるんです

  60. 「なぜ そしてどんなふうにして
    アフリカの農家のために働いているのですか」
  61. そうですね 私には
    コンピュータ技術があったので
  62. 2013年のことでしたが
    ある東アフリカの科学者チームから
  63. キャッサバを守るのに苦労しているので
    チームに加わってほしいと頼まれたのです
  64. キャッサバは植物で その葉と根が
    世界中で8億の人々の食糧となっています
  65. そして そのうち5億が
    東アフリカの人々です
  66. 約10億の人々が
  67. 日々必要な栄養分を
    この植物に頼っているのです
  68. もし小規模な家族経営の農家に
    十分なキャッサバがあれば
  69. 家族を養うことができますし
  70. 市場で売ることで 学校の授業料
    医療費そして貯金など
  71. 重要な費用にあてることもできます
  72. しかし キャッサバは アフリカで
    危機にさらされています

  73. コナジラミやウィルスが
    キャッサバに打撃を与えているのです
  74. コナジラミは小さな昆虫で
  75. 600種類以上の植物の葉を食べます
  76. それは悪い知らせです
  77. この虫には多くの種があり
  78. 殺虫剤に耐性を持つようになり
  79. そして 植物の病気の原因となる
    何百ものウィルスを仲介し
  80. キャッサバ褐色条斑病や
  81. キャッサバモザイク病をおこすのです
  82. それらは植物を完全に駄目にします
  83. そして キャッサバが無くなれば
  84. 何百万もの人々の 食糧も収入も
    無くなってしまうのです
  85. 一度タンザニアに行っただけで

  86. そこの女性たちには
    助けが必要なことが分かりました
  87. 驚異的で力強い
    小規模な家族経営の農家たち―
  88. その多くは女性ですが
  89. 大変な苦労をしています
  90. 家族を十分に養うだけの食糧がなく
  91. 本当に危機的状況です
  92. こんな様子です
  93. 雨期になったら
    畑にキャッサバを植えます
  94. 9ヵ月後
  95. 何も収穫はありません 
    害虫や病気のせいです
  96. 私は考えてみました
  97. 一体全体 農家が飢えるなんて
    そんなことがあっていいのか?
  98. そして決めたのです
    しばらく 現地に行って

  99. 農家や科学者たちと共に過ごし
  100. 私の持つ技術が
    役に立つか試してみようと
  101. 現地の状況は衝撃的でした
  102. コナジラミがタンパク質を含む葉を
    駄目にしてしまい
  103. ウィルスがデンプンを含む根を
    駄目にしてしまっていました
  104. 作物の育つ時期は
    終わろうとしていて
  105. 農家は1年分の収入と食糧を
    棒に振ることになり
  106. その後長期間の飢餓に
    陥ることになるでしょう
  107. これは完全に予防可能です
  108. もし農家が
  109. 畑にどの種類のキャッサバを植えれば
  110. ウィルスや病原菌に
    耐えられるかを知っていれば
  111. より多くの食糧を得られるでしょう
  112. 我々は必要な技術をすべて持っています

  113. しかし知識や資源は
  114. 世界中に均等に分配されている
    わけではありません
  115. この場合 具体的に言うと
  116. 既存のゲノム技術です
  117. 害虫や病原菌の複雑な世界を
    解明するために
  118. これが使われてきました
  119. でも この技術はサハラ以南の
    アフリカ向けではありません
  120. これには100万ドル以上もかかるんです
  121. 安定的な電源供給も必要ですし
  122. 専門知識をもつ人も必要です
  123. アフリカ大陸には この装置は
    ごく少数しかないので
  124. 現地で懸命に活動している
    多くの科学者たちは
  125. 試料を海外便で送るしかありません
  126. 海外便で送られた試料は
  127. 劣化してしまいますし 費用もかさみます
  128. そして貧弱なインターネット経由では
    分析結果を返してもらうのは
  129. ほとんど不可能です
  130. だから分析結果を農家に伝えるのに
    6ヵ月もかかることがあります
  131. それでは遅すぎます
  132. 既に作物は駄目になっていて
  133. さらなる貧困と飢餓が続くのです
  134. 我々は何とか出来ると分かっていました

  135. 2017年のこと
  136. 手のひらサイズのポータブル
    DNA分析器のことを知りました
  137. 「Oxford Nanopore MinION」です
  138. これはエボラ出血熱に対処するために
    西アフリカで使われていました
  139. 我々は考えました
  140. 東アフリカの農家を救うために
    これを使えないわけがないと
  141. それで 実行しました
  142. 当時まだこの技術は目新しいもので
  143. 農場でもこれが役立つのか
    多くの人々は疑っていました
  144. これを始めた当初
  145. あるイギリスの「協力者」は
  146. 東アフリカでそれを
    うまく使うのは不可能だろう
  147. ましてや農場でなんて
    と言いました
  148. 我々は挑戦を受けて立ちました
  149. この人は最高級のシャンパンを
    2本賭けさえしたんですよ
  150. 我々が絶対成功しない方にね
  151. 一言いいですか
  152. ちゃんと買ってきてね
  153. (笑)

  154. (拍手)

  155. 買ってよ
    だって成功しましたからね

  156. 我々はハイテク分子生物学実験室を丸ごと
  157. タンザニアやケニア ウガンダの
    農家のところまで持っていき
  158. それを「樹の実験室」と名付けました
  159. それで何をしたか?
  160. まずはチームに名前を付けました
  161. 「キャッサバ・ウィルス対処プロジェクト」
  162. ウェブサイトも作りました
  163. ゲノム科学と計算科学の分野から
    協力者を募集し
  164. 遠く離れた農家の元へ とんだのです
  165. 「樹の実験室」に必要なものはすべて
  166. このように チームが運びます
  167. 病気の植物を分子生物学的に
    診断するために必要なものや
  168. そのための計算能力要求を
    すべて満たすものが そろっています
  169. そして実はそれらすべてが
    このステージ上にもあります
  170. こうして分かったのは
    問題の現場や農家に

  171. より近いところで
    データを得られれば
  172. 作物の問題点を より迅速に
    農家に伝えられるということです
  173. そして何が問題か伝えるだけではなく
  174. 解決策の提供もできることです
  175. 解決策とは
  176. 畑を焼くこと そして
  177. 畑にいる害虫や病原体に強い種類の
    作物を植えることです
  178. まず手始めにDNA抽出を
    しなければいけませんでした
  179. それにはこの装置を使いました
  180. 「PDQeX」と言います
  181. 「やけに速い抽出機」の略です
  182. (笑)

  183. 可笑しいですよね

  184. ジョーは私の仲間ですが
    ホントにすごいんです
  185. DNA抽出において 特に難しいのは
  186. 通常それには高価な装置が必要で
  187. 何時間もかかることです
  188. しかし この装置を使えば
  189. 20分間で処理することができますし
  190. コストも何分の1かです
  191. しかもこれはバイクのバッテリーで動作します
  192. こうして DNA抽出物をとりだして
    ライブラリを作る準備をします

  193. 装置に装填できるようにします
  194. ポータブルで 手のひらサイズの
    ゲノム塩基配列解析器にです
  195. こちらですね
  196. そしてそれをこの
    ミニスーパーコンピューターに接続します
  197. 「MinIT」と呼ばれています
  198. どちらの装置もポータブルの
    バッテリーに接続されます
  199. こうして電源とインターネットは
  200. 必要でなくなりました
  201. この2つは 小規模な家族経営の農場では
    用意するのがたいへん難しい物です
  202. データを素早く解析することも課題です
  203. しかし その分野では
    計算生物学者の私が お役に立てます
  204. 枯れた植物を糊付けした経験
  205. そして測定の経験
  206. さらにコンピュータの知識
  207. それらが現実世界で 直接
    役に立つ時がやってきたのです
  208. 私が特製のデータベースを作り
  209. 我々は3時間で 農家に
    結果を伝えることができました
  210. 6ヵ月ではなくて
  211. (拍手)

  212. 農家たちは大喜びしました

  213. 効果があったのが
    どうして分かったかって?
  214. 「樹の実験室」から9ヵ月の後
  215. アシャの収穫量は
    ヘクタール当たり0トンから
  216. 40トンになったのです
  217. 家族に食べさせるのに十分足りましたし
  218. 市場で売りもしました
  219. そしていま彼女は
    家族と住む家を建てています
  220. いいですね
  221. (拍手)

  222. 「樹の実験室」の規模を拡大するには?

  223. 実は
  224. アフリカの農家経営は
    既に一定規模に達しています
  225. 女性たちはグループで農作をしているので
  226. アシャを手助けすることは
    その村の3千人を手助けすることでした
  227. 彼女が分析結果や解決策を
    皆にも教えたからです
  228. 私が会った農家の一人ひとりが
    目に浮かびます

  229. 彼らの苦しみ そして喜びは
  230. 私の記憶に刻み込まれています
  231. 我々の科学は彼らのためにあります
  232. 彼らの食糧確保の向上を手助けするうえで
    「樹の実験室」は最善の試みです
  233. 私は思ってもいませんでした
  234. 私の人生最良の科学が
  235. 東アフリカの毛布の上で
  236. 最新鋭のゲノム分析装置を使って
    なされるなんて
  237. しかし我々のチームは夢見ていました
  238. 6ヵ月ではなくて3時間で
    農家の人たちに答えを与えられたらって
  239. そして我々はやりとげました
  240. なぜならそれこそが 科学における
    多様性と包含性の力だからです
  241. ありがとう

  242. (拍手)

  243. (歓声)