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生命と非生命の境界線

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    歴史的に見ると
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    生命ではないと考えられるものと
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    生命と考えられるものとは
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    双方が大きく隔たっていました
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    この美しくて複雑な
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    結晶は非生命の側にあり
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    美しくて複雑な猫が反対側になります
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    これまで150年ほどの科学によって
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    非生命と生命との区別は
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    はっきりしなくなり
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    いまや両者の間は境目なく
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    続いているかのようです
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    一例をあげましょう
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    ウィルスは自然に存在しますね
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    ただし単純きわまりないものです
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    生命としての
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    必要条件すら満たしません
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    生命の特徴を全ては満たさず
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    他の生命に寄生することで
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    繁殖したり進化を遂げます
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    今夜のお話では
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    この並びの中では非生命寄りに
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    位置づけられる実験を紹介します
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    実験室で行う化学の実験です
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    非生命体の材料を混合して
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    新しい構造を作り出し
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    その構造が
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    生体系の特徴の一部を有するのです
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    これはつまり
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    ある種の人工生命を作る試みです
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    どんな特徴に注目しているかというと
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    こんな特徴です
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    まず 生命には肉体があります
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    肉体は自己を
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    環境と区別するために必要です
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    また生命は代謝します
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    これは環境から取り込んだ資源を
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    体の構成要素に変換して
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    自己を維持し 拡張していく過程のことです
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    生命は子孫に情報を伝えます
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    ヒトは自分の情報を
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    ゲノムの中のDNAとして持ち
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    これを子孫に伝えます
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    肉体と代謝という最初の二つの特徴を
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    合わせると 移動して複製もできる
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    システムができます
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    さらに継承可能な情報も組み込めば
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    もっと生命に近いシステムとなります
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    進化もしていくかもしれません
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    実験室で我々が試みたのは
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    生命の特徴の1つ以上を
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    実験で示すことです
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    どうやったかというと
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    プロトセルと呼ぶモデルを使いました
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    ごく原始的な細胞を
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    想像してください
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    生きた細胞の簡単な化学モデルです
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    例えば皆さんの体の細胞では
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    数百万種もの分子が
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    複雑なネットワークの中で相互作用し
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    「生きている」と呼べる
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    状態となります
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    実験室では同じようなことを
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    数10種類ほどの分子だけで
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    目指しています
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    複雑さは大幅に失われますが
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    生命のように見える状態を
    作ろうとしています
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    私たちは簡単な実験から
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    高度化して 生きたシステムを目指します
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    100年前にルデュクが
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    合成生物学について
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    残した言葉を見ていきましょう
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    「生命が合成されることがあっても
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    普通に考えられているような
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    驚くべき発見とはなるまい」
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    初めの一文です
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    実験室で生命を合成できたとしても
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    日常生活には何も影響しないでしょう
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    「進化論を受け入れれば
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    生命の合成の
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    最初のきざしは無機と有機の
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    中間的な姿となるであろう
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    すなわち非生命と生命の境目で
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    生命の原始的な特徴の
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    幾つかだけを有する姿となろう」
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    先ほど述べた特徴ですね
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    「環境からの進化的なはたらきが
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    作用する中で少しずつ
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    他の属性が加わるのだ」
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    まず単純な実験で
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    生命の特徴の一部を有するー
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    構造を作り そこから発展させて
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    しだいに生命に近づけていきます
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    プロトセルの試作は
    このように始まります
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    自己組織化というアイデアを用います
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    すなわち 試験管の中で
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    化学物質を混ぜると
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    自己会合を始めて どんどん
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    大きな構造ができていくのです
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    数万とか
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    数十万もの分子が集まって
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    それまでなかった
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    大きな構造を作ります
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    この例では
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    いくつかの膜分子を利用しました
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    適切な条件で材料を混ぜると
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    ものの数秒で
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    こんなに複雑で美しい構造ができます
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    これらの膜は
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    形態も機能も
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    生体膜と大変似たものです
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    そこでこの膜を使って
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    我々のプロトセルを作れるわけです
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    同様に
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    水と油のシステムも利用できます
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    油と水は互いに混ざりませんが
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    自己組織化によって
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    きれいな油滴ができるので
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    プロトセルとして人工生物の
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    本体にできます
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    また後で お見せします
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    ここまでは体の作り方でしたね
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    構造だけです
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    生体システムの他の側面はどうでしょうか
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    今お見せしているのも
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    プロトセルですが
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    天然に産出される
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    モンモリロナイトという
    粘土から始めます
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    こんな粘土の塊が天然に得られます
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    化学的に活性のある表面を形成し
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    そこで代謝を起こすことができます
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    この粘土にある種の分子がー
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    例えば 赤で示すRNAが集まります
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    RNAはDNAと似た
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    情報分子です
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    これがこの粘土の表面に
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    集まってきます
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    この構造は
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    膜の境界を形成して
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    周りが液体分子で囲まれた
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    状態になります
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    顕微鏡写真の緑の部分です
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    自己組織化を用いると
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    実験室で物質を混ぜるだけで
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    この膜構造の内側に
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    情報分子が結合した
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    代謝を営む表面が作れます
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    生体系へ向けた一歩です
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    しかし このプロトセルを見て実際に
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    生きていると考えることはありません
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    生命のかけらも見当たらず
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    出来上がっても 何も起きません
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    何かが足りません
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    いくつかの点で足りていません
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    足りない点は 例えば
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    この系を通るエネルギーの流れから
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    エネルギーを少し取り込んで
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    プロトセルが自らを
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    維持することができないことです
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    生体ならできることです
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    さて別のプロトセルモデルを作りました
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    今のものよりも単純です
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    このプロトセルは ただの油滴で
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    内部で化学的代謝反応を起こし
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    そのエネルギーを使って何かをするー
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    プロトセルで このように
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    動いたりします
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    この油を何滴か落とします
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    周りは水です
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    プロトセルは動き始めます
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    自己組織化によってできた油滴の
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    内部では化学的代謝が行われ
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    エネルギーを利用できます
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    そのエネルギーを利用して
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    環境の中を動きます
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    前に述べたように 動くことは
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    この種の生体系において重要です
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    動き回り 周囲の様子を探り
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    周囲を変化させます このように
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    化学的な波を起こしています
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    自己を保存しようとする生体のように
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    周囲に作用していると言えるのです
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    この動くプロトセルを使って
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    別の実験をします
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    動いていますね
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    ではここに食糧を加えてみます
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    青いものが見えます
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    システムに食糧を与えます
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    プロトセルが動き 食糧に遭遇して
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    自分で形を変えると
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    食糧の濃度の高いところに登っていき
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    そこに留まります
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    体があるだけではなくて
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    代謝して エネルギーを利用して
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    動き回れるシステムです
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    周囲の環境を感知して
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    自らを維持するための
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    材料を見つけます
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    脳も神経系も持たない
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    ただ袋詰めされた化学物質なのに
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    こんな面白くて 生きものみたいに
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    複雑な振る舞いができるのです
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    ここでは化学物質の種類は
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    皿を満たしている
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    水を含めても5種で
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    こんな系ができました
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    こんなプロトセルを
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    組み合わせる実験をすると
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    条件にもよりますが
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    左側では 動き回るプロトセルが
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    そこに置かれた別のプロトセルと
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    接触しようとしています
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    右側では二つのプロトセルは
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    ぐるぐる回るのが好きなようです
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    とても複雑なダンスのようです
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    この系で見たような
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    プロトセル単体の
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    振る舞いだけではなく
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    集団レベルでの挙動もあり
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    これも生体と似たものです
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    みなさんもプロトセルの
    専門家になりましたので
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    プロトセルでゲームをしてみましょう
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    二種類の違ったものを作ります
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    プロトセルAはある種の化学物質を含み
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    活性化すると
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    振動して踊り始めます
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    こんなに原始的だというのに
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    踊るプロトセルとは
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    興味深いですね (笑)
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    第二のプロトセルは別の化学物質を含み
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    活性化すると
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    みんな集まってくっついて
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    一つの大きなプロトセルになります
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    こんな二種類を
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    一緒にしてやるとどうなるか
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    まずAを入れて
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    Bも入れて
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    そしてシステムを活性化すると
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    青い方のプロトセルBは
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    全部が集まって一つになり
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    大きな塊となります
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    もう一種類はただ動いています
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    系のエネルギーがなくなるまで動いて
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    それでおしまいです
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    この実験を何度も繰り返すと
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    あるとき
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    とても面白いことが起きました
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    2つのプロトセルを実験系に加えると
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    プロトセルのAとBが融合して
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    ハイブリッドのABセルができました
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    それまでなかったことです
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    ここにはプロトセルABがあるのです
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    プロトセルABはしばらく踊り続け
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    プロトセルBが融合を続けます
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    そしてもっと面白いことがおきます
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    大きなハイブリッドのプロトセルが
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    融合するところを見てください
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    しばらく踊った後
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    自己複製も起きました (笑)
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    これまた化学物質の塊です
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    この作用の仕方は
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    5種の化学物質だけの簡単なシステムの
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    混成が起きるとき
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    それまでとは違って
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    もっと複雑なものができます
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    また別の種類の生命と似た
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    特徴も現れました
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    複製をしたのです
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    こんなに面白いプロトセルは
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    色や挙動も魅力的で
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    作成するのも簡単で
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    生命のような特徴を持っています
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    こんなプロトセルから地球の生命の
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    起源について学べることでしょう
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    おそらく最初の段階では
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    こんな簡単な姿から
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    地球上の生命は始まったことでしょう
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    実際 地球には初期から 分子が
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    ありましたが この実験に使ったような
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    純粋な化学物質では
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    なかったでしょう
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    むしろ 本当に複雑で
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    あらゆる物が混ざり
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    制御されていない化学反応で生成した
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    多種多様な有機化合物の混合物
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    原始のドロドロと考えてください
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    このタール様の茶色い
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    生成物の溜りは 現代の方法でも
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    完全には分析できません
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    右側に置いてある純粋な化合物と
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    比べてみてください
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    こちらは台所にある純粋な砂糖の
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    結晶を鍋に入れて加熱したときに
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    起きることと 似ています
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    砂糖に熱を加え
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    化学結合を加えたり切ったりして
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    茶色のカラメルが生成されます
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    これを調整せずに続けると
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    化学結合の追加と切断が続き
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    さらに多様な分子の混合体となって
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    この種の黒いタール状のものが
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    鍋の中にできます
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    これは洗い流すのも大変です
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    生命の起源はこんなふうだったでしょう
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    45億年前の初期の地球では
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    こんなドロドロの中から
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    生命は発生しなければなりませんでした
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    次の課題は
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    純粋な化学物質を使わずに
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    生命のような性質を持ったプロトセルを
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    この種の原始的なドロドロから作ることです
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    先ほどもお見せした
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    自己組織化した油滴の
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    登場です
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    内部の黒いしみは
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    この種の黒くて多様で複雑な
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    有機物のタールです
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    先ほどお見せしたような実験に投入し
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    そこから活発な動きが
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    生じるかどうか観察します
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    いい感じです すてきな動きです
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    ある種の習性があるようで
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    互いに周りを回って
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    追っかけあっています
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    先ほどお見せしたのと似ています
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    でも原始的な条件の下で行い
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    純粋な物質はありません
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    これもタールで作ったプロトセルです
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    周囲から食糧を発見します
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    周囲から食糧を発見します
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    左側からエサを与えると
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    ゆっくり広がってきます
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    これは大好きなようで
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    とても活発になって
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    周囲から食糧を見つけ出しました
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    前にお見せしたのとそっくりです
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    これも原始の環境で実現しました
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    制御されていない条件です
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    小ぎれいな実験室条件ではありません
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    実際 とても汚い
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    小さなプロトセルです(笑)
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    しかし 生体のような
    特徴のあることが重要です
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    こんな人工生命の実験をすることで
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    非生命と生命の間をつなぐ経路を
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    定義できるようになるかもしれません
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    それだけでなく
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    生命とは何か そして生命の形態のー
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    可能性についての視野を拡げます
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    地上とは全く異なる
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    生命もあり得るのです
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    そこから次の言葉が現れます
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    「奇妙な生命」
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    スティーブ・ベナールが名付けました
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    米国学術研究会議の
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    2007年の報告書に
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    登場しました
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    地球上とは大変違う形態の生命を
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    宇宙でどうやって探すべきかを
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    考察した内容です
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    別の惑星を訪れて
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    そこに生命がいるだろうと考えたときに
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    どうすれば生命だと判定できるでしょうか
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    三つの一般的な基準が示されています
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    リストの一番です
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    第一に 非平衡の系でなければならない
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    つまり 死滅したシステムではないこと
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    つまり 死滅したシステムではないこと
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    その基本的な意味は
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    システムにエネルギーが与えられ
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    それを利用して自己を
    保持しているということです
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    太陽が地球を照らし
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    光合成が行われて
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    生態系の原動力となるのと似ています
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    太陽がなかったら
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    この星には生命は存在しないでしょう
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    第二に 生命は液状なければならない
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    つまり面白い構造だとしても
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    面白い分子であっても
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    動けない固体だと
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    生命には適しません
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    第三に 化学結合を作ったり 切ったり
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    しなければなりません
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    生命が環境から取り込んだ資源を
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    構成要素として取り込んで
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    自己を保持するために重要です
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    奇妙で不思議なプロトセルを紹介しました
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    粘土を含むもの
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    原始的なドロドロを含むもの
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    内部が水の代わりに
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    ほぼ油だけで構成されたもの
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    大半はDNAを含んでいませんが
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    生命のような性質を示します
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    これらのプロトセルは生命の
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    一般的な条件を満たします
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    こんな化学的な人工生命の実験を通して
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    生命の起源と
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    この惑星に生命が棲むことについて
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    基本的な理解が得られます
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    さらにまた宇宙には
    どんな生命の可能性があるのかということも
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    明らかになります
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    ありがとうございました
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    (拍手)
Title:
生命と非生命の境界線
Speaker:
マーチン・ハンジク
Description:

マーチン・ハンジクの研究室ではプロトセルという化学物質の塊を作り、生命のような挙動を観察しています。この研究は、生命が地球上で誕生したときの姿に関わり、また他の星で誕生するときの姿も示唆するものです。

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Video Language:
English
Team:
closed TED
Project:
TEDTalks
Duration:
14:17
Yasushi Aoki edited Japanese subtitles for The line between life and not-life
Yasushi Aoki edited Japanese subtitles for The line between life and not-life
Jenny Zurawell approved Japanese subtitles for The line between life and not-life
Natsuhiko Mizutani added a translation

Japanese subtitles

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