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死神に逆らった医者の物語 / イーサルト・ギレスピー

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    森のはずれの
    今にも倒れそうな小屋に住む夫婦は
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    大変困っていました
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    13番目の子供が
    生まれたばかりの大家族で
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    食べ物もお金も
    底をつきかけていたのです
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    どうしたものか考えるため
    父親は森の中を歩きました
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    木々の間を何時間も
    さまよっていると
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    2人の暗い人影に
    出くわしました
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    1人目はどうやら神様らしく
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    もう1人は悪魔のようでした
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    どちらも男に対し
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    自分が一番下の子の名付け親になって
    暮らしを楽にしてやろうと持ち掛けましたが
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    男は断りました
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    人の一生に審判をくだす者に
    我が子をゆだねるわけにはいかなかったのです
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    絡み合った茂みの中を
    さらに奥へと進みました
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    森の中でも最も暗いところで
    男は3人目の人影に出くわしました
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    痩せさらばえた顔の落ちくぼんだ目が
    ゆがんだ笑みを浮かべています
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    それは死神で
    名付け親になることを申し出て
  • 1:21 - 1:25
    子供が成人したときに
    戻ってきて
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    幸せと豊かさを
    もたらそうと約束しました
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    死神の目には誰もが平等であることを
    知っていた父親は
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    申し出を受けることにしました
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    月日がたって
    子供は野心的な若者へと成長し
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    骸骨のような名付け親が
    約束通りに現れました
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    その節くれだった手には
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    万病に効く薬の瓶が
    握られていました
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    医者としての成功を
    約束する薬を
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    死神は名付け子に
    もたらしたのです
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    ただ その強力な薬を使うには
    固い決まりがありました
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    名付け子が病人を診た時
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    死神がその頭上に
    漂っていたなら
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    解毒薬の香りのひと吹きで
    治してやることができます
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    しかし 死神がベッドの足元に
    居座っていたなら
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    患者の命をもう
    自分の物にしたということで
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    医者にできることはありません
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    やがて医者の強力な薬と
    不思議な直感の噂は
  • 2:29 - 2:32
    国中に知れわたり
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    富と名声を手にした医者は
    子供の頃の苦難とは無縁になりました
  • 2:37 - 2:41
    王様が病気になったとき
    この有名な医者が治療のために呼ばれ
  • 2:41 - 2:45
    医者は自分の腕前を見せようと
    宮殿に馳せ参じましたが
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    王様の部屋に入ると
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    ベッドの足元に死神が居座っているのを見て
    落胆しました
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    医者は王の命を救う
    栄光を望むあまり
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    名付け親を欺くことも
    厭いませんでした
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    医者は素早くベッドを回して
    死神の位置を逆にすると
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    解毒薬を使いました
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    死神は激怒し
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    今度騙したりしたら
    命で代償を払うことになるぞと
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    思い上がった名付け子に
    警告しました
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    死神と医者は旅を続けました
  • 3:20 - 3:26
    時がたち 王様の使いが再び
    医者を連れにやってきました
  • 3:26 - 3:28
    王女の容態が大変悪く
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    誰でも治した者には大きな富を与えると
    王様は約束していました
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    医者は金欲に目をギラギラさせて
    王女の元へ行きましたが
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    眠る王女を一目見て
    欲は消え失せました
  • 3:43 - 3:46
    王女の優美さに
    すっかり打たれた医者は
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    死神が足元にいることにも
    気が付きませんでした
  • 3:50 - 3:53
    医者は素早く王女の病を
    癒しましたが
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    王女が礼を言う暇もなく
  • 3:59 - 4:03
    死神が恋煩いの名付け子を
    連れ去りました
  • 4:03 - 4:07
    宮殿が消えたかと思うと
  • 4:07 - 4:13
    医者は揺らめくロウソクが並ぶ
    巨大な洞窟の中にいました
  • 4:13 - 4:17
    ロウソクは命の長さを
    表していました
  • 4:17 - 4:22
    死の定めを変えようという
    名付け子の愚かな行為の罰として
  • 4:22 - 4:26
    死神は彼のロウソクを
    芯だけになるまで短くしました
  • 4:26 - 4:29
    小さくなっていく
    自分の命の火を見て
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    これまで患者の目に度々見てきた
    恐怖にとらわれた医者は
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    消えかかる自分の火を新しいロウソクに
    移してくれるよう 死神に懇願しました
  • 4:39 - 4:45
    名付け親は頼みについて考えましたが
    医者の裏切りは大きすぎました
  • 4:45 - 4:50
    骨ばった指を緩めると
    名付け子のロウソクは床に落ちました
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    死神は身じろぎもせず
  • 4:52 - 4:55
    読み取り難い表情で
    パチパチ燃える炎を見つめていました
  • 4:55 - 5:00
    医者の命が一筋の煙となって
    消えるまで
Title:
死神に逆らった医者の物語 / イーサルト・ギレスピー
Speaker:
イーサルト・ギレスピー
Description:

夫婦は大変困っていました。13番目の子供が生まれたばかりの大家族で、食べ物もお金も底をつきかけていたのです。父親が森の中をさまよっていると、やせさらばえた顔に落ちくぼんだ目の骸骨のような人影に出くわしました。それは死神で、名付け親になってやると言います。イーサルト・ギレスピーがグリム童話から死神と医者の物語をお話しします。

講師 イーサルト・ギレスピー
監督 ヤエル・ライスフェルド

このビデオの教材 https://ed.ted.com/lessons/the-tale-of-the-doctor-who-defied-death-iseult-gillespie

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Video Language:
English
Team:
closed TED
Project:
TED-Ed
Duration:
05:02

Japanese subtitles

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