WEBVTT 00:00:19.157 --> 00:00:24.249 [♪ ♪ ♪] 00:00:24.249 --> 00:00:26.146 不正な法律が存在する; 00:00:26.146 --> 00:00:28.410 その時私たちは甘んじてそれに従えばよいのか、 00:00:28.410 --> 00:00:33.518 あるいはそれを修正しようと努め、 その試みが成功するまではそれに従う方がいいのか、 00:00:33.518 --> 00:00:41.185 それともただちに法を犯す方がいいのか? ─ ヘンリー・デイヴィッド・ソロー 00:00:49.987 --> 00:00:56.384 ソーシャルニュースサイトRedditの共同設立者が 遺体となって発見されました。 00:00:57.294 --> 00:01:01.496 彼はまさに神童でしたが、 彼自身はそう考えてはいませんでした。 00:01:01.586 --> 00:01:04.700 彼はビジネスや金儲けには 00:01:04.700 --> 00:01:08.444 全く興味がありませんでした。 00:01:09.834 --> 00:01:14.649 今夜、アーロン・スワーツの地元ハイランドパークでは 00:01:14.649 --> 00:01:18.361 インターネットの名士の1人に別れを告げようと、 彼の死を深く悼んでいます。 00:01:18.361 --> 00:01:21.841 自由、オープンアクセス、コンピューター、 それぞれの活動家らが彼の死に哀悼の意を示しています。 00:01:21.841 --> 00:01:25.039 彼を知る人によれば「驚くべき頭脳の持ち主」。 00:01:25.039 --> 00:01:29.606 その彼は自身の持つ基本原則をすべて裏切った 政府とMITによって殺されました。 00:01:29.606 --> 00:01:32.976 彼らはアーロンを見せしめにしたかったのでしょうか? 00:01:34.676 --> 00:01:38.873 政府にはコントロールしたいという貪欲さがあるのです。 00:01:38.873 --> 00:01:42.977 彼は35年の服役と100万ドルの罰金を 受ける可能性があります。 00:01:42.977 --> 00:01:50.019 訴追への熱意に対し疑問を提起します、 もっと言えば職権乱用であるように私は思います。 00:01:50.019 --> 00:01:55.437 どういった根拠を調査し、この結論に至ったのですか? 00:01:57.399 --> 00:02:01.555 成長するってのはつまり、身の回りの物や、 僕に語りかける人々全てが 00:02:01.555 --> 00:02:06.123 [アーロン・スワーツ 2010年]: 自然な、あるべき姿で存在するってことを 少しずつ自覚するプロセスなんだ。 00:02:06.123 --> 00:02:08.539 全てが自然だというわけじゃない、 その中には変わっていくものもあれば、 00:02:08.539 --> 00:02:11.674 もっと重要な、間違っていて、 変えなければならないものもある。 00:02:11.674 --> 00:02:14.364 一度それを理解したら、もう後には引けないんだ。 00:02:15.324 --> 00:02:19.712 インターネットの申し子 00:02:24.274 --> 00:02:28.061 絵本を読む時間だよ。 00:02:28.061 --> 00:02:33.053 本の名前は「パディントンとゆうえんち」。 00:02:33.053 --> 00:02:36.404 [アーロンの父親]: そう、彼はハイランドパークで生まれ育ちました。 00:02:36.404 --> 00:02:39.478 アーロンは3人兄弟の1人で、とても利発な子でした。 00:02:39.478 --> 00:02:42.476 「ほら、箱がひっくり返るわよ……」 00:02:42.476 --> 00:02:44.194 「もう自由よ……」 00:02:44.224 --> 00:02:48.274 [アーロンの兄弟]: 兄弟みな、お行儀のいい子供じゃなかったですね。 00:02:48.274 --> 00:02:51.212 しょっちゅう走り回っていて、問題を起こしてました。 00:02:51.212 --> 00:02:53.255 「こら、だめ、だめよ!」 00:02:53.255 --> 00:02:55.714 - アーロン! - どうしたの? 00:02:55.714 --> 00:03:00.571 でもアーロンがとても若くして 学び方を習得していることに気付いていました。 00:03:00.571 --> 00:03:06.351 「ワン、ツー、スリー、フォー、ファイブ、 シックス、セブン、エイト、ナイン、テン」 00:03:06.351 --> 00:03:08.932 - トン!トン! - だぁれ? 00:03:08.932 --> 00:03:10.657 - アーロンだよ。 - アーロンって? 00:03:10.657 --> 00:03:12.353 - 芸人アーロンだよ。 00:03:12.353 --> 00:03:14.858 やりたいことがわかっていて、 そしていつもやりたがっていました。 00:03:14.858 --> 00:03:17.229 [アーロンの母親]: やりたいことには常に秀でていました。 00:03:18.459 --> 00:03:21.508 彼の好奇心は尽きることがなかった。 00:03:21.508 --> 00:03:27.047 「惑星についての図表だよ」 00:03:27.047 --> 00:03:33.097 「それぞれの惑星は記号を持ってる、水星の記号、 金星の記号、地球の記号、火星の記号、木星の記号」 00:03:33.097 --> 00:03:37.089 ある日、彼がSusanに、「この『ハイランドパーク 商業地区家族向け無料イベント』って何?」 00:03:37.089 --> 00:03:40.484 「ハイランドパーク商業地区で家族向け無料イベント」 00:03:40.484 --> 00:03:42.501 この時3歳ですよ。 00:03:42.501 --> 00:03:44.642 妻が、「一体何のこと?」と聞くと、 00:03:44.642 --> 00:03:46.412 彼は、「見て、冷蔵庫に貼ってあるよ、 00:03:46.412 --> 00:03:49.912 『ハイランドパーク商業地区家族向け無料イベント』」 00:03:49.912 --> 00:03:54.513 妻は読めることにとても驚いていました。 00:03:54.890 --> 00:03:59.010 これは「私の家族のセデル」。 00:03:59.755 --> 00:04:04.840 『このセデル(訳注:ユダヤ教の過ぎ越しの祭りの初日に 開かれる晩餐)は他と違う特別な夜なのです』 00:04:04.840 --> 00:04:08.772 シカゴ大学図書館でのことを覚えているよ。 00:04:08.777 --> 00:04:12.318 19世紀末からあるような本棚から本を取り出して、 00:04:12.318 --> 00:04:16.149 それを彼に見せながら、 「わかるかい、ここは特別な場所なんだ」 00:04:16.149 --> 00:04:22.509 僕たちは皆好奇心旺盛な子どもだったけど、 アーロンは学ぶのも教えるのも本当に好きでしたね。 00:04:22.509 --> 00:04:27.495 「今日教えるのは、逆順のABCです」 00:04:27.495 --> 00:04:31.385 「Z、 Y、 X、 W、 V、 U、 T……」 00:04:31.493 --> 00:04:35.290 彼が初めての代数の授業から 家に帰ってきた時のことを思い出します。 00:04:35.290 --> 00:04:38.748 彼が、「ノア、代数を教えてあげる!」 00:04:38.748 --> 00:04:41.134 そして僕が、「代数って?」という感じで。 00:04:41.134 --> 00:04:43.137 彼はいつもそんな調子でした。 00:04:43.137 --> 00:04:48.618 「ここでクリックボタンを押そう、それ!よしできた」 00:04:48.618 --> 00:04:51.858 「ピンクに塗られたよ」 00:04:51.858 --> 00:04:56.098 彼が2、3歳の頃、夫が彼にコンピューターを教えたんです。 00:04:56.098 --> 00:04:59.600 それ以来彼は我を忘れてコンピューターに夢中になりました。 00:04:59.600 --> 00:05:03.507 [赤ちゃん言葉] 00:05:03.507 --> 00:05:09.237 みんなコンピューターを持ってましたが、 アーロンは本当にパソコンに、ネットにはまってましたね。 00:05:09.237 --> 00:05:12.965 - コンピューター使ってるの? - ううん…… 00:05:12.965 --> 00:05:16.038 これ……ねぇママ、どうして動かないの? 00:05:16.038 --> 00:05:18.297 彼はとても小さい頃からプログラミングを始めました。 00:05:18.297 --> 00:05:21.506 [アーロンの兄弟]: 私が一緒に書いた最初のプログラムはBasicで、 00:05:21.506 --> 00:05:24.385 スターウォーズのトリビアゲームでした。 00:05:25.875 --> 00:05:30.186 彼はコンピューターのある地下室で一緒に座って、 00:05:30.186 --> 00:05:33.047 何時間も、そのゲームをプログラミングしていました。 00:05:34.817 --> 00:05:38.511 彼に対して僕が抱えていた問題は、 僕にはもうやりたいことがないけれど、 00:05:38.511 --> 00:05:41.553 でも彼には、いつもやりたいことがある。 00:05:41.553 --> 00:05:44.375 いつもプログラミングで解決できる何かがあったんです。 00:05:47.085 --> 00:05:50.511 アーロンはいつも、プログラミングは 魔法だと捉えていました。 00:05:50.511 --> 00:05:54.042 普通の人間にはできないことを彼はやり遂げることができた。 00:05:54.042 --> 00:05:58.365 アーロンはマッキントッシュや段ボール箱などを 使ってATMを製作しました。 00:05:58.365 --> 00:06:01.838 ある年のハロウィン、 僕が何をすべきか思いつかなかった時、 00:06:01.838 --> 00:06:06.358 彼は自分の新しいお気に入りのコンピューターの 仮装をしたらとてもクールなんじゃないかと考えたんだ、 00:06:06.358 --> 00:06:09.108 初期モデルのiMacにね。 00:06:09.108 --> 00:06:12.824 彼はハロウィンの仮装は嫌がっていたけど、 自分が見たい仮装を 00:06:12.824 --> 00:06:16.070 他人に着させるよう説得するのが好きでしたね。 00:06:16.070 --> 00:06:20.395 「司会はアーロン、もう!ほらこっちへ来て、カメラを見て!」 00:06:20.395 --> 00:06:22.720 「スパイダーマンもカメラを見て!」 00:06:24.010 --> 00:06:31.365 彼は人々が情報を書き込むことのできる The Infoという名のウェブサイトを作りました。 00:06:31.365 --> 00:06:34.837 金箔の箔置きについてなら何でも詳しい人がいるとしましょう。 00:06:34.837 --> 00:06:38.722 このウェブサイトにはそうした人たちが知識を書くことが できる。そして他の人たちが後からやって来て、 00:06:38.722 --> 00:06:43.347 そして情報を読み、悪いところがあれば それを編集できる。 00:06:43.347 --> 00:06:46.226 Wikipediaとちっとも違わないでしょう? 00:06:46.226 --> 00:06:51.584 そしてこれはWikipediaのスタート前で、 彼は12歳でこれを開発したんです、 00:06:51.584 --> 00:06:58.452 彼の部屋で、古い技術を使って 自分自身で小さいサーバーを走らせていました。 00:06:58.452 --> 00:07:01.282 ある先生の反応は、こんな感じでした: 00:07:01.282 --> 00:07:06.802 「ひどいアイデアだ、他人に辞書、 百科辞典の編纂をさせるなんて。 00:07:06.802 --> 00:07:10.142 学者たちは私たちにこういった本を 書くために存在するんだ。 00:07:10.142 --> 00:07:12.674 どうしてこんなひどいアイデアを考えた?」 00:07:12.674 --> 00:07:16.501 僕たち兄弟はその後、 「ああ、Wikipedia、クールだね。 00:07:16.501 --> 00:07:20.408 でも家にあったよ、そう、5年前にね」 00:07:21.288 --> 00:07:25.597 アーロンのサイト、theinfo.orgは ケンブリッジにあるウェブデザイン会社、 00:07:25.597 --> 00:07:30.348 ArsDigitaが主催した学校コンテストで受賞した。 00:07:33.608 --> 00:07:37.440 ケンブリッジに行くことになったんだ……、 彼がArsDigita賞を取ったので、 00:07:37.440 --> 00:07:39.516 アーロンが何をしたのか皆目見当がつかなかった。 00:07:39.516 --> 00:07:43.778 その賞がとても重要なんだということはわかっていたけど。 00:07:43.778 --> 00:07:47.361 程なくアーロンはオンラインのプログラミング コミュニティと関わりを持つようになり、 00:07:47.361 --> 00:07:51.257 Webの新しいツールを構想していく。 00:07:51.257 --> 00:07:55.175 彼がやってきて僕に言ったんだ: 「ベン、 僕が作ってるすごいものがある」 00:07:55.175 --> 00:07:56.893 「これをぜひ聞いて欲しいんだ!」 00:07:56.893 --> 00:07:58.522 「へぇ、なんだいそれ?」 00:07:58.522 --> 00:08:00.789 「RSSっていうんだ」 00:08:01.999 --> 00:08:07.521 それから彼はRSSがどういうものか説明してくれて…… 「なんで便利なの、アーロン?」 00:08:07.521 --> 00:08:11.268 「それをサイトに使ったとして、一体なぜ使いたくなるの?」 00:08:11.268 --> 00:08:16.423 RSSや、もっと一般的なXMLといったものを 開発している人たちのメーリングリストがある。 00:08:16.423 --> 00:08:21.254 そしてそこにはアーロン・スワーツという名の 人物がいて、とても負けず嫌いで頭が良く、 00:08:21.254 --> 00:08:24.765 [作家、活動家、ジャーナリスト、アーロンの友人]: たくさんの良いアイデアを持っていて、 00:08:24.765 --> 00:08:27.956 でも顔合わせのミーティングには来たことがないんです。 00:08:27.956 --> 00:08:31.352 そこでいつかミーティングに来ないの?と聞いたら、 00:08:31.352 --> 00:08:37.222 彼が言うには、「その、母がなんと言うかわからないんです。 僕は……14歳になったばかりなので」 00:08:37.222 --> 00:08:42.674 その時の彼らの最初の反応は、「えーっと、 この1年一緒に働いていたこの同僚は 00:08:42.674 --> 00:08:46.134 その時13歳で、今ちょうどたったの14歳か」 00:08:46.134 --> 00:08:47.377 次の反応は、 00:08:47.377 --> 00:08:50.140 「なんてことだ、これはぜひ会わなきゃ。 こりゃすごいことだぞ!」 00:08:50.140 --> 00:08:53.455 彼はRSSの仕様を策定する委員会の1人でした。 00:08:53.455 --> 00:08:59.151 彼は最新のハイパーテキストを パイプライン処理する機能の構築を手伝っていました。 00:08:59.151 --> 00:09:05.696 RSSにおいて彼が作業していた箇所は、 他のウェブページに載っているものから 00:09:05.696 --> 00:09:08.185 [電子フロンティア財団 技術プロジェクトディレクター アーロンとは以前ルームメイト]: 要約を作ることができるツールでした。 00:09:08.185 --> 00:09:10.613 通常は、ブログにこのツールを使える。 00:09:10.613 --> 00:09:13.511 読みたいブログが10から20あったとする。 00:09:13.511 --> 00:09:18.318 そのRSSフィード、ブログに今 書かれている記事の要約を使って、 00:09:18.318 --> 00:09:22.099 そういったもの全てをひとまとめにした リストを作ることができる。 00:09:22.099 --> 00:09:27.108 アーロンはとても若かったけど、この技術を 理解していたし、これを不完全だと見ていて 00:09:27.108 --> 00:09:30.418 もっと良くする方法を探していました。 00:09:35.645 --> 00:09:39.795 それからアーロンの母親が彼をシカゴの空港から見送り、 私たちはサンフランシスコで彼を迎え、 00:09:39.795 --> 00:09:44.783 彼との議論に興味を持つ人たちと引き合わせた、 そして彼の奇妙な食習慣には驚かされましたよ。 00:09:44.783 --> 00:09:50.882 彼は蒸した米といった白い食べ物しか 食べないんです、炒めた米は十分白くないからと、 00:09:50.882 --> 00:09:53.320 それに白いパンなど……。 00:09:53.320 --> 00:09:58.483 そしてその少年の小さな口から飛び出す、 00:09:58.483 --> 00:10:00.794 議論の質の高さにも驚かされました。 00:10:00.794 --> 00:10:04.483 偏食による壊血病で死んだりしなければ、 きっと何かやり遂げると思える少年でした。 00:10:04.483 --> 00:10:06.693 アーロン、君の番だ! 00:10:06.693 --> 00:10:10.002 違いは、ドットコム企業は 作れないということだと思います。 00:10:10.002 --> 00:10:15.250 確かにインターネットでドックフードを売ったり、 携帯でドックフードを売ったりはできないでしょう。 00:10:15.250 --> 00:10:17.506 でも、まだ多くのイノベーションが今起こっている。 00:10:17.506 --> 00:10:21.025 このイノベーションが見えていないというなら、 あなたは現実から目を背けているんだ。 00:10:21.025 --> 00:10:24.126 彼はまるでオタクのリーダーのように振舞っていました、 00:10:24.126 --> 00:10:28.192 こんな感じで、「僕はあなたより賢い、 賢いからあなたより鋭い、 00:10:28.192 --> 00:10:29.974 だから何をすべきか断言できるんだ」 00:10:29.974 --> 00:10:34.760 なんというか、不愉快な奴を もっとひどくした感じでした。 00:10:34.760 --> 00:10:38.310 そしてそれらのコンピューターを1つにまとめて、 大規模な課題を解決することができる、 00:10:38.310 --> 00:10:42.040 宇宙人を探すとか、がんを治すとか言った課題に。 00:10:44.630 --> 00:10:47.510 最初の出会いはIRC、つまり インターネットリレーチャットでした。 00:10:47.510 --> 00:10:53.480 [WWWの発案者]: 彼はコードを書くだけでなく、自分が見つけた問題を 解決することに熱心な人間を見つけてくるんです。 00:10:53.480 --> 00:10:55.387 彼は知らない人同士をつなぐ「コネクター」でした。 00:10:55.387 --> 00:10:58.381 彼の意欲の大部分はフリーカルチャー運動から来ていましたね。 00:10:58.381 --> 00:11:03.172 アーロンは世界を機能させようとしていたんだと 思います。世界を修理しようと。 00:11:03.172 --> 00:11:08.340 [マギル大学・ウルフ科学技術リテラシー講座 教授]: 彼は時々はっきりと腹を立てるような とても強い個性を持っていました。 00:11:08.340 --> 00:11:13.195 この一件では彼は必ずしも常に世界に満足していなかったし、 00:11:13.195 --> 00:11:16.265 世界も、彼を満足させなかったんです。 00:11:18.954 --> 00:11:22.539 アーロンは高校に進むと学校にとてもうんざりしていました。 00:11:22.539 --> 00:11:27.649 彼は学校が、行われたどんな授業も、 先生も気に入りませんでした。 00:11:27.649 --> 00:11:30.246 アーロンは情報を得る方法を知りたがってました。 00:11:30.246 --> 00:11:33.979 彼いわく:「幾何学の方法を学ぶために 先生のところに行く必要はない。 00:11:33.979 --> 00:11:36.492 幾何学の本を読めばいい。 00:11:36.492 --> 00:11:40.918 アメリカの歴史についての見解を学ぶために 先生のところに行く必要はない。 00:11:40.918 --> 00:11:45.400 僕は3つの史料を持っていて、それを読めばいい。 00:11:45.400 --> 00:11:48.711 そして僕の興味はそんなことじゃない、ウェブなんだ」 00:11:48.711 --> 00:11:52.578 学校にとても不満を感じていたんだ、先生たちは 自分たちが話してる内容を理解してないと思う。 00:11:52.578 --> 00:11:56.291 彼らは支配的で管理的、宿題なんてのはまやかしで、 00:11:56.291 --> 00:12:01.263 生徒たちを全員閉じ込めて勉強を強制する手段でしか無い。 00:12:01.263 --> 00:12:04.865 そして教育の歴史、この教育システムがどのように 00:12:04.865 --> 00:12:07.847 開発されたのかに関する本を読み始めた。 00:12:07.847 --> 00:12:11.221 そして、その代替手段、先生たちから 言われたことを鵜呑みにするだけの 00:12:11.221 --> 00:12:14.570 教育とは対照的な、本当に物事を学べる手段について。 00:12:14.570 --> 00:12:18.488 どうしてここにいるのかを学校に問いかけたその時から、 物事を問いかける生き方を歩むようになった、 00:12:18.488 --> 00:12:24.361 学校を作った社会に問いかけ、 学校で訓練を受ける目的である企業に問いかけ、 00:12:24.361 --> 00:12:27.729 こういった体制を築いた政府に問いかけてきた。 00:12:27.729 --> 00:12:31.342 彼が特に初期の頃に熱心だったものの1つが、著作権ですね。 00:12:31.342 --> 00:12:37.490 著作権は出版社と読者にとって常に負担となってきました、 00:12:37.490 --> 00:12:44.007 しかしそれは過度の負担ではなく、 人々が対価を支払うことを確実にするために 00:12:44.007 --> 00:12:46.015 講じられた、合理的な制度でした。 00:12:46.015 --> 00:12:52.663 アーロンの世代が経験したのは、この古い著作権システムと、 インターネットとウェブによって 00:12:52.663 --> 00:12:56.320 構築される新しい素晴らしいものとの間での衝突でした。 00:12:56.320 --> 00:13:00.260 そうしたものがぶつかり合い、カオスとなったのです。 00:13:01.984 --> 00:13:05.281 彼はその後ハーバード大学の法律学教授、その時最高裁で 00:13:05.281 --> 00:13:08.598 著作権法を変えようとしていたローレンス・レッシグに出会う。 00:13:08.598 --> 00:13:12.969 若かりしアーロン・スワーツは最高裁審理を 傍聴しにワシントンに飛んだ。 00:13:12.969 --> 00:13:17.504 僕はアーロン・スワーツ、エルドラッド論争(訳注:著作権保護 期間延長法に対する違憲訴訟)を傍聴しにここに来ました。 00:13:17.504 --> 00:13:22.553 なぜエルドラッド論争を見るためにシカゴから飛行機で かれこれここまでやってきたの? 00:13:22.553 --> 00:13:25.743 それはちょっと難しい質問ですね……、 00:13:29.361 --> 00:13:33.334 よくわからない、最高裁を傍聴することに とても興奮している、 00:13:33.334 --> 00:13:36.704 特に今回のような名高い事例では。 00:13:41.599 --> 00:13:46.509 レッシグはインターネット上での著作権を 規定する新しい方法を押し進めていた。 00:13:46.509 --> 00:13:48.986 それがクリエイティブ・コモンズだ。 00:13:48.986 --> 00:13:53.200 クリエイティブ・コモンズの基本アイデアは 人々、クリエイターたちの 00:13:53.200 --> 00:13:58.694 [ハーバード大学エドモンド・J・サフラ財団倫理センター所長 クリエイティブ・コモンズ創設者]: 創作性に対し、その自由な 取り扱い方を表示するシンプルな方法です。 00:13:58.694 --> 00:14:04.583 著作権が「全ての版権を所有します」だとすると、 これは「いくつかの版権を所有します」といったモデルです。 00:14:04.583 --> 00:14:08.539 こういったことを簡単にあなたに伝えたい: 私の創作物を使ってこういうことができます、 00:14:08.539 --> 00:14:13.075 事前に私からの許可が必要なことがあっても。 00:14:13.075 --> 00:14:16.261 そしてアーロンはコンピューターの部分を担当していました。 00:14:16.261 --> 00:14:20.562 シンプルで理解でき、 機械が処理できる形で表される 00:14:20.562 --> 00:14:22.927 ライセンスをどのように設計するかといったことを。 00:14:22.927 --> 00:14:29.144 人々は、「なぜ15歳の少年にクリエイティブ・コモンズの 仕様書を書かせているんだ? 00:14:29.144 --> 00:14:30.549 大問題だと思わないのか?」 00:14:30.549 --> 00:14:34.971 レッシグは、「一番の問題は私たちが この少年のことを聞き及んでいないことだ」 00:14:34.971 --> 00:14:39.271 彼はなんとか演壇に立てるぐらいしか背が高くなくて、 00:14:39.271 --> 00:14:42.062 加えて移動式の演壇だったので、扱いに厄介で、 00:14:42.062 --> 00:14:45.864 液晶画面を開くと、誰も 顔を見られなくなってしまってね。 00:14:45.864 --> 00:14:50.827 この私たちのウェブサイトを訪れた際、 「ライセンスを選ぶ」ページへ行きます。 00:14:50.827 --> 00:14:56.830 オプションのリストが表示され、 その内容が説明され、3つの質問を受けます。 00:14:56.830 --> 00:14:59.435 「著作権者表示を求めますか?」 00:14:59.435 --> 00:15:02.377 「あなたの作品の商用利用を認めますか?」 00:15:02.377 --> 00:15:05.453 「あなたの作品の改変を認めますか?」 00:15:05.453 --> 00:15:11.406 大人たちが息子を大人として扱っていることにとても驚きました。 00:15:11.406 --> 00:15:15.708 そしてアーロンは満員の観衆の前に立ち、 そしてクリエイティブ・コモンズのために 00:15:15.708 --> 00:15:19.721 作成したプラットフォームについて語り始めました。 00:15:19.721 --> 00:15:23.272 観衆全員が息子の話を聞き、そして…… 00:15:23.272 --> 00:15:27.762 私はその後ろに座ってこう思っていました: 息子はまだ子どもよ、なぜみんな耳を傾けてるの? 00:15:27.772 --> 00:15:29.358 でも彼らは聞いていました。 00:15:29.358 --> 00:15:32.473 ええ、私には完全に理解できたとは思いません。 00:15:32.473 --> 00:15:36.956 アーティストへの対価の保証が 足りないという批評にもかかわらず、 00:15:36.956 --> 00:15:40.002 クリエイティブ・コモンズの成功は甚大なものだった。 00:15:40.002 --> 00:15:47.285 現在ウェブサイトFlickrだけでも、2億人以上が何らかの 形でクリエイティブ・コモンズライセンスを利用している。 00:15:47.285 --> 00:15:56.842 彼は自身の技術的才能を通じて貢献し、 なおかつそれは彼にとって技術的課題以上のものでした。 00:15:56.921 --> 00:16:00.551 アーロンは自身のブログにたびたび率直に綴っている: 00:16:00.921 --> 00:16:05.822 僕は深く物事について考えている、 そして同じように人々にも深く考えて欲しい。 00:16:05.822 --> 00:16:10.949 僕はアイデアのために活動し、そして人々から学ぶ。 人間を埒外に置くのは好きではない。 00:16:10.949 --> 00:16:15.416 僕は完璧主義者だ、しかし出版の 妨げになるようなことはしたくない。 00:16:15.416 --> 00:16:18.831 教育やエンターテインメントを別にすれば、 影響を与えないようなことに 00:16:18.831 --> 00:16:21.034 時間を無駄にしたくないんだ。 00:16:21.034 --> 00:16:26.161 みんなと友達になりたい、しかし 僕に対し真剣でない時は嫌うよ。 00:16:26.161 --> 00:16:31.436 恨んだりはしない、だって生産的じゃないから、 でもそれは経験として学ばせてもらう。 00:16:31.436 --> 00:16:35.246 僕は世界をより良くしたいんだ。 00:16:40.182 --> 00:16:45.755 2004年、スワーツはハイランドパークを離れ、 スタンフォード大学に入学する。 00:16:45.755 --> 00:16:51.848 彼はとても厄介な潰瘍性大腸炎に罹り、 投薬を受けている彼がとても気がかりでした。 00:16:51.848 --> 00:16:55.863 彼は入院し、毎日たくさんの薬を飲まなければならなかった、 00:16:55.873 --> 00:17:00.773 そしてそのうちの1つがステロイド剤で、 彼の成長を阻害し、 00:17:00.773 --> 00:17:03.822 他の学生たちと自分は違うんだと考えるようになっていきました。 00:17:03.822 --> 00:17:06.458 アーロンはたぶん奨学金のために大学に顔を出し、 00:17:06.458 --> 00:17:12.800 この4年間で企業のリーダーや1%の富裕層になるような 00:17:12.800 --> 00:17:20.828 早熟の高校生をまるで子守でもするような プログラムをあざとく見つけるんだろうな、 00:17:20.828 --> 00:17:24.917 そしてそれは彼を狂わせるのでは、と思っていました。 00:17:25.487 --> 00:17:28.527 2005年、1年だけ在学したあと、 00:17:28.527 --> 00:17:35.531 スワーツはポール・グレアム率いる新しいスタートアップ インキュベーション、Y Combinatorの出資を受ける。 00:17:35.751 --> 00:17:39.181 彼は、「やあ、ウェブサイトのアイデアがあるんだ」 00:17:39.181 --> 00:17:42.230 ポール・グレアムは彼を気に入ってて、 「ああ、いいとも」って。 00:17:42.230 --> 00:17:45.738 アーロンは大学をドロップアウトして、 このアパートに移り住んで…… 00:17:45.738 --> 00:17:48.864 ここがアーロンが使っていたアパートだ。 00:17:48.864 --> 00:17:54.977 アーロンが金もなく、その上大学を ドロップアウトしたせいで、アパートを借りるのが 00:17:54.977 --> 00:17:57.862 どんなに大変だったかを父が話してくれた、 そんな漠然とした記憶があるよ。 00:17:57.862 --> 00:18:03.669 アーロンは今リビングルームになってる所に住んでて、 住んでた頃に貼ってあったポスターがいくつか残ってるよ。 00:18:03.669 --> 00:18:09.279 そしてここが書庫、もっと本があるけど、 ほとんどはアーロンの本だ。 00:18:10.911 --> 00:18:16.731 Y combinatorの出資を受けたアーロンのサイトの名は 「infogami」、ウェブサイト構築ツールだ。 00:18:16.861 --> 00:18:20.438 しかしinfogamiはユーザーの獲得に苦しみ、 そこでスワーツは最終的に 00:18:20.438 --> 00:18:24.747 支援を必要としていた別のY Combinatorの プロジェクトと自身の会社とを合併する。 00:18:24.747 --> 00:18:29.539 それがスティーブ・ホフマンとアレクシス・オハニアンを リーダーとするプロジェクト、「Reddit」だ。 00:18:29.539 --> 00:18:33.708 ほとんど何もないところから 始めました。お金も、コードも、 00:18:33.708 --> 00:18:37.027 そして日に日に、人気のある巨大サイトへと成長していき、 00:18:37.027 --> 00:18:38.816 終わりそうにありません。 00:18:38.816 --> 00:18:44.373 最初の1000ユーザーから1万、そして2万、 そしてさらに、信じられません。 00:18:44.373 --> 00:18:49.563 Redditは巨大に、そしてインターネットの オタクコーナーみたいなものになっていきました。 00:18:52.152 --> 00:19:01.100 ユーモアあり、アートあり、そしてサイトに群がる人々、 00:19:01.100 --> 00:19:07.413 毎朝ニュースをチェックしにやってくる メインサイトになっていった。 00:19:07.413 --> 00:19:12.008 Redditはある面ではカオスさながら、 00:19:12.008 --> 00:19:19.368 そして一方ではその日のニュース、テクノロジー、 政治、諸問題を議論する場でもあり、 00:19:19.368 --> 00:19:24.824 さらに職場に適さないもの、不快なものもたくさんあり、 00:19:24.824 --> 00:19:29.716 荒らしが居場所を見つけるようなsubredditもある、 00:19:29.716 --> 00:19:33.929 つまりそういう意味で、Redditは議論の場なんです。 00:19:33.929 --> 00:19:36.791 狂気の沙汰にいるようなものです。 00:19:36.791 --> 00:19:41.081 Redditは巨大出版企業Condé Nastの目に留まり、 00:19:41.081 --> 00:19:42.938 Redditの買収を提案する。 00:19:42.938 --> 00:19:46.939 とても多すぎて、「どうやって保管するんだ?」と 00:19:46.939 --> 00:19:51.079 父を悩ませるほどの大金でした。 00:19:51.302 --> 00:19:54.272 - 大金ですか…… - 大金です。 00:19:54.272 --> 00:20:00.319 たぶん100万ドル以上でしょう、 でも私は正確なところを知りません。 00:20:00.319 --> 00:20:03.461 - その時彼はいくつ? - 19か、20歳でした。 00:20:05.165 --> 00:20:11.205 そう、このアパートで起きたんです。 彼らは当時のままのこのカウチに座って、 00:20:11.205 --> 00:20:14.487 Redditをハックし、そしてRedditを売却したときは、 00:20:14.487 --> 00:20:18.641 大きなパーティーを開いて、 翌日に彼らは全員カリフォルニアに飛び発ち、 00:20:18.641 --> 00:20:20.195 私にアパートの鍵を預けていきました。 00:20:23.701 --> 00:20:27.400 面白いもので、自身のスタートアップを 売却した彼について、私たちはみな 00:20:27.400 --> 00:20:29.329 とても裕福な人間になったと思っていたのに、 00:20:29.329 --> 00:20:33.920 彼はというと、「僕はこの靴箱みたいな 小さい部屋にいるよ。これが必要なもの全てだ」 00:20:33.920 --> 00:20:36.146 押し入れぐらいの部屋でしたよ。 00:20:36.146 --> 00:20:42.440 高価なものにお金をかけようという 考えは全く無いようでした。 00:20:42.500 --> 00:20:47.620 彼の説明では、「このアパートに住むよ、新しい場所で 暮らすことに大金を掛けたくないんだ。 00:20:47.620 --> 00:20:49.886 何も買うつもりはないし、 ジーンズとTシャツを着るのが好きだ。 00:20:49.886 --> 00:20:52.046 だから衣類にも一切お金を掛けない。 00:20:52.046 --> 00:20:54.576 ほんと、どうでもいいことだよ」 00:20:54.576 --> 00:20:57.966 スワーツにとって重大だったのはどのように インターネットにトラフィックを流入させ、 00:20:57.970 --> 00:21:00.524 そして何によって彼らの注意を集めるかだった。 00:21:00.524 --> 00:21:03.522 [映画 Steal This Film IIより]: 古い放送システムでは、電波による送信容量が 00:21:03.522 --> 00:21:08.583 限られている。電波ではテレビが10チャンネル、 00:21:08.583 --> 00:21:10.915 ケーブルでも500チャンネルしか送信できない。 00:21:11.003 --> 00:21:15.360 インターネットなら、誰でもチャンネルを持てる。 みんながブログや、Myspaceページを持てる。 00:21:15.360 --> 00:21:18.164 みんなが自身を表現する手段を持てるんだ。 00:21:18.164 --> 00:21:21.280 今議論しているのは誰が電波を利用するのかの問題じゃない。 00:21:21.280 --> 00:21:25.030 人々を見つける方法を誰がコントロールするかの問題だ。 00:21:25.030 --> 00:21:29.026 知ってのとおり、Googleのような、 ネットで行きたいところを教えてくれる門番のようなサイトに 00:21:29.026 --> 00:21:30.993 権力が集中しているのを垣間見ている。 00:21:30.993 --> 00:21:34.273 ニュースや情報のソースを提供してくれる人たち。 00:21:34.273 --> 00:21:38.264 そういった人たちは情報を伝える権限を 持つ人ばかりじゃない、今では全ての人が 00:21:38.264 --> 00:21:40.904 情報を伝える権利を持っている。 これは誰からその情報を得るのかという問題なんだ。 00:21:44.526 --> 00:21:49.806 [Condé Nast サンフランシスコ支社 Wired、Redditが入居] Condé Nastのあるサンフランシスコで 働き始めた後、彼がオフィスに入って行くと、 00:21:49.806 --> 00:21:53.792 彼らはくだらないものがインストールされた コンピューターを与え、 00:21:53.792 --> 00:21:57.273 そしてこのコンピューターに新しいものを インストールするなと言ったんです、 00:21:57.273 --> 00:21:59.325 開発者にとっては屈辱ものですよね。 00:21:59.325 --> 00:22:02.095 初日から、彼はこうしたもの全てに 不満をぶつけていた。 00:22:05.037 --> 00:22:10.627 「灰色の壁、灰色の机、灰色の雑音。 ここに来た初日から、本当に我慢できなかった。 00:22:10.627 --> 00:22:15.373 昼食の時間、文字通りトイレの個室に 鍵を掛け閉じこもり、そして涙が出てきた。 00:22:15.373 --> 00:22:18.285 一日中がやがやとした中で 正気を保てるかどうか想像もできない、 00:22:18.285 --> 00:22:20.965 ましてなにか仕事をやり終えるなんて。 00:22:20.965 --> 00:22:24.087 ここでは仕事をこなしてる人は誰もいない。 00:22:24.087 --> 00:22:27.057 みんなしょっちゅう部屋に来ては ぶらぶら、おしゃべり、そしてWiredが 00:22:27.057 --> 00:22:29.927 テストしてる新しいビデオゲームに誘ったりしている」 00:22:32.152 --> 00:22:37.817 彼は人とは違う政治指向的な大志を持っていて、 00:22:37.817 --> 00:22:41.862 そしてシリコンバレーは、政治的な目標のための技術活動に 00:22:41.862 --> 00:22:46.967 進むといった文化をあまり持っていませんでした。 00:22:47.007 --> 00:22:49.533 アーロンは企業のために働くのを嫌っていました。 00:22:49.533 --> 00:22:53.004 皆Condé Nastで働くことを嫌がっていましたが、 アーロンはただ1人、我慢できなくなったんです。 00:22:53.004 --> 00:22:55.643 そしてアーロンはもう仕事に出なくなり、 00:22:55.643 --> 00:22:58.313 結果解雇されました。 00:23:01.013 --> 00:23:05.434 それは面倒な破局だったようだ。 アレクシス・オハニアンとスティーブ・ホフマンは両者とも 00:23:05.447 --> 00:23:08.277 この映画のインタビューを断った。 00:23:09.251 --> 00:23:15.891 彼はビジネスの世界を拒絶したんです。 この選択について思い浮かぶ重要なことの1つは、 00:23:15.891 --> 00:23:22.404 [Wiredマガジンフリーライター]: アーロンがスタートアップの文化から 離れることを決めた時、同時に 00:23:22.404 --> 00:23:31.162 彼を有名にし愛してくれたものから離れることになり、 そして彼のファンをがっかりさせる危険性があったことです。 00:23:31.162 --> 00:23:35.866 彼には向かわなければならない場所があり、 そうした自己認識を持っていた、 00:23:35.866 --> 00:23:42.821 一輪の薔薇を摘みとるためにゴミの山に登り、 00:23:42.821 --> 00:23:45.849 失った嗅覚を見つけようとする頑固さがあった、 00:23:45.849 --> 00:23:50.399 ゴミの山に座り、ここも悪くないよと言い、 00:23:50.399 --> 00:23:53.693 なんやかんやで薔薇を取って、 00:23:53.693 --> 00:23:57.413 とても良いねと山を降りてくる、 そんな感じじゃなくてね。 00:23:58.026 --> 00:24:01.728 アーロンの物の見方は、プログラミングは魔法─ 00:24:01.728 --> 00:24:07.110 普通の人間にはできないことを達成できる、 プログラミングによって。 00:24:07.110 --> 00:24:13.310 もしそんな魔法の力が使えたら、いいことに使うだろうか、 それとも大金の山を作るために使うだろうか? 00:24:15.009 --> 00:24:18.478 スワーツは子どもの頃に出会った 1人のビジョナリーに触発された、 00:24:18.478 --> 00:24:22.387 ワールドワイドウェブを発明した男、 ティム・バーナーズ=リーだ。 00:24:22.387 --> 00:24:25.938 1990年代、バーナーズ=リーはほぼ間違いなく 00:24:25.938 --> 00:24:29.260 20世紀最も富をもたらす発明の1つを産み育てたが、 00:24:29.260 --> 00:24:35.137 しかしWWWの発明から利益を得る代わりに、 彼は自由に使えるようにした。 00:24:35.917 --> 00:24:39.707 これがWWWが今日ある理由の1つだ。 00:24:41.118 --> 00:24:45.261 アーロンは確実にティムから深く影響を受けていました。 00:24:45.261 --> 00:24:51.398 ティムは決して金儲けをすることのなかった、 まさにインターネット創成期の突出した天才でした。 00:24:51.398 --> 00:24:55.865 彼は大金を得られる方法を見つけることには まったく関心がなかった。 00:24:55.865 --> 00:24:57.829 言われましたよ、「残念、大金を得られたのに」って、 00:24:57.829 --> 00:25:00.566 でもそうなるとその代わり大きな1つのウェブじゃなく、 00:25:00.566 --> 00:25:02.139 小さなウェブがたくさんできただろう、 00:25:02.139 --> 00:25:05.030 そしてそれらの小さな、様々な種類の ウェブたちは機能しないだろう、 00:25:05.030 --> 00:25:08.080 なぜなら一方からもう一方へとリンクをたどれない。 00:25:09.923 --> 00:25:14.112 臨界量に達さないといけない、それはつまり地球全体だ、 00:25:14.112 --> 00:25:17.172 だから地球全体に広がらない限り機能しないんだ。 00:25:23.891 --> 00:25:28.162 この世界で生きていくには充分では ないと強く感じる、あるがままに 00:25:28.162 --> 00:25:33.852 与えられるものを消費し、大人たちがやれということに従い、 00:25:33.852 --> 00:25:39.032 両親がやれということに従い、社会がやれということに従う。 僕はそういったことを問いかけるべきだと思う。 00:25:39.045 --> 00:25:43.055 僕はこの科学的な考え方を使っている、 つまり学んだこと全ては暫定的であって、 00:25:43.055 --> 00:25:49.117 常に取り消しや、反論や、質問の機会が開かれている、 そしてこれを社会にも適用したいんだ。 00:25:49.117 --> 00:25:53.491 僕が取り組めるような現実的で 重大な問題─根本的な問題─が 00:25:53.491 --> 00:25:58.601 存在することにひとたび気付くと、それを忘れることが できない。何もしないわけにはいかないんだ。 00:26:02.600 --> 00:26:04.831 私たちは多くの時間を共に過ごし始めました、 00:26:04.831 --> 00:26:06.621 友達のような感じで。 00:26:08.912 --> 00:26:11.884 よく夜まで何時間も語り合いました。 00:26:14.393 --> 00:26:18.110 彼が私に気があることに気付くべきでした。 ある程度は感じていたんですが、 00:26:18.110 --> 00:26:23.980 私は、とんでもない、ありえないわ、だから そんなことは起きないんだって振る舞おうとしていた。 00:26:25.161 --> 00:26:28.937 私の結婚生活が崩壊していたので、 行くところがなく困っていました。 00:26:28.937 --> 00:26:32.927 私たちはルームメイトになり、娘も連れてきました。 00:26:34.081 --> 00:26:37.246 引っ越して、家に家具を入れて、 それで本当に落ち着きました。 00:26:37.246 --> 00:26:40.816 私の人生はしばらく平穏とは言えず、 そしてそれは彼も同じでした。 00:26:46.225 --> 00:26:54.073 恋愛関係になってからはとても親密になりました。 00:26:54.073 --> 00:26:57.633 私たちは……、連絡を取り合っていました。 00:26:57.633 --> 00:27:02.432 でも私たち2人とも、とても扱いづらい人間なので(笑)。 00:27:04.495 --> 00:27:10.865 アリー my Loveみたいなやりとりの中で、彼は自分の テーマソングがあると白状し、そこで彼に再生してあげました。 00:27:12.345 --> 00:27:16.504 フィオナ・アップルの 「Extraordinary Machine」です。 00:27:16.504 --> 00:27:24.154 この曲にはちょっと思い悩んでいる感じがあって、 00:27:25.054 --> 00:27:27.697 同時に、なんていうか、 その先に希望が満ちているところがあるんです。 00:27:27.837 --> 00:27:34.418 ♪一歩一歩、のんびりした足取りだけど、 居心地が悪いのには慣れっこだから、もう 00:27:34.418 --> 00:27:36.689 この先ずっと変えられないの ♪ 00:27:36.689 --> 00:27:44.481 色んな意味で、アーロンはものすごく人生に 楽観的でした。彼自身がそう感じていない時でも、 00:27:44.481 --> 00:27:47.041 人生についてすごく楽観的だったのかもしれません。 00:27:47.041 --> 00:27:50.171 ♪ わたしってへんてこマシンね ♪ 00:27:53.037 --> 00:27:57.527 (アーロン) - 何してるの? (クイン) - Flickrにビデオ機能ができたの。 00:27:59.390 --> 00:28:01.743 スワーツは公開情報へのアクセスに関する 00:28:01.743 --> 00:28:04.731 一連の新しいプロジェクトに力を注ぎ始めた、 00:28:04.731 --> 00:28:08.189 "Watchdog.net"という アカウンタビリティーに関するサイト、 00:28:08.189 --> 00:28:10.799 そしてプロジェクト、"The Open Library"。 00:28:10.816 --> 00:28:15.299 Open Libraryプロジェクトとは、openlibrary.orgで 訪れることができるウェブサイトで、 00:28:15.299 --> 00:28:19.778 その目的は巨大なwiki、1冊の本の情報を 1ページにまとめる編集可能なウェブサイトです。 00:28:19.778 --> 00:28:23.910 これまでに出版された全ての本について、 出版社から、書店から、図書館から、読者からの 00:28:23.910 --> 00:28:29.391 情報全てを組み合わせたウェブページを 1つのサイトに載せたい、 00:28:29.391 --> 00:28:34.587 そしてその本をどこで買えるのか、借りられるのか、 閲覧できるかのリンクを提供する。 00:28:34.587 --> 00:28:39.958 僕は図書館が好きです。新しい街へ行くと すぐさま図書館を探すような人間です。 00:28:39.958 --> 00:28:44.050 Open libraryの夢は、このウェブサイトを、本から本へ、 人から著者へ、テーマからアイデアへと 00:28:44.050 --> 00:28:49.297 飛び回ることができ、また物理的な 巨大図書館の中で埋もれ、見つけるのが大変で、 00:28:49.297 --> 00:28:53.757 オンラインでアクセスできないような知識の 系統樹を体験できるような場所に 00:28:53.757 --> 00:28:59.086 構築することです。これはとても重要なことで、 なぜなら本は私たちの文化的遺産だからです。 00:28:59.086 --> 00:29:00.943 本とは人々が事柄を著述するために向かう場であり、 00:29:00.943 --> 00:29:05.813 そしてその場が一企業に全て囲い込まれて しまうという……、これは恐ろしいことです。 00:29:06.560 --> 00:29:10.771 どうすればパブリックドメインへ アクセスする権利をもたらすことができるか? 00:29:10.771 --> 00:29:14.828 [インターネット・アーカイブ創設者、デジタル司書]: パブリックドメインへのアクセス権を持つことは 自明のことのように聞こえるかもしれませんが、 00:29:14.828 --> 00:29:21.078 しかし実際は違います。つまりパブリックドメインはあらゆる人に 公開されるべきなのですが、しばしば遮断されています。 00:29:21.078 --> 00:29:26.756 たいていは防護柵があるんです。周りを掘で囲まれた ナショナルパークのような感じで、 00:29:26.756 --> 00:29:33.245 万が一誰かがパブリックドメインを楽しもうと やって来た時のためにガンタレットが配置されてるんです。 00:29:33.245 --> 00:29:39.458 アーロンが特に興味を持っていたのは パブリックドメインへのアクセス権の実現でした。 00:29:39.458 --> 00:29:43.258 これが彼を多くのトラブルに巻き込んだ原因のひとつでした。 00:29:46.254 --> 00:29:52.794 [ハーバード大学インターネット&ソサエティ バークマンセンター元特別研究員]: 私はアメリカ合衆国の連邦裁判所記録へ アクセスしようとしてきました。 00:29:54.458 --> 00:29:59.058 そして見つけたのは、「裁判所電子記録への パブリックアクセス」の略である、 00:29:59.058 --> 00:30:02.884 "PACER"と呼ばれる難解なシステムでした。 00:30:02.884 --> 00:30:07.314 それについて検索し始めた時、 カール・マラムドの名を見つけたんです。 00:30:08.886 --> 00:30:14.837 アメリカでの法的資料へのアクセスは 毎年100億ドルもの額のビジネスとなっています。 00:30:14.837 --> 00:30:22.564 [public.resource.org 創設者]: PACERはまさに政府サービスの 信じられない恥部です。1ページにつき10セント、 00:30:22.564 --> 00:30:27.221 見たこともない役立たずのコード。 検索できない。ブックマークもできない。 00:30:27.221 --> 00:30:31.891 クレジットカードが必要なんです、 あるのは公記録ですよ。 00:30:31.891 --> 00:30:37.429 連邦地方裁判所はとても重要です─ 私たちに影響のある多くの訴訟の出発点です: 00:30:37.429 --> 00:30:44.369 公民権訴訟、特許訴訟、そうしたもの全てです。 ジャーナリスト、学生、市民、そして弁護士たち、 00:30:44.369 --> 00:30:48.367 全員がPACERへのアクセスが必要で、 あらゆる局面でこれと対峙することになる。 00:30:48.367 --> 00:30:55.246 アメリカンエキスプレスゴールドカードを持っていない人は 簡単に訴訟を確かめることもできない。 00:30:55.246 --> 00:30:57.776 正義へのアクセスに人頭税を課しているんです。 00:30:57.816 --> 00:31:04.096 [オライリーメディア 創設者]: 当然ですが、法というのは我々の民主主義にとっての OSです。それを確認するのに課金が必要? 00:31:04.246 --> 00:31:07.135 これってちっとも民主主義じゃないですよね。 00:31:07.135 --> 00:31:11.869 彼らはPACERシステムで年間1億2000万ドルを稼ぎ、 00:31:11.869 --> 00:31:18.236 そして彼ら自身の記録によれば、これに関する コストは一切かかっていません。実際、これは違法です。 00:31:18.937 --> 00:31:25.834 2002年米電子政府法では、裁判所が PACERを稼働させるコストを支払うといったような、 00:31:25.834 --> 00:31:29.591 必要経費に限り請求することができると定めています。 00:31:34.621 --> 00:31:40.160 Public.Resource.Orgの創設者として、マラムドは PACERの料金に抗議しようとした。 00:31:40.160 --> 00:31:43.300 そこで彼は「PACERリサイクルプロジェクト」 という計画を開始、 00:31:43.300 --> 00:31:47.297 既に支払いを済ませたPACERの文書を他の人が使えるように 00:31:47.297 --> 00:31:50.334 自由なデータベースにアップロードできる。 00:31:50.334 --> 00:31:55.056 PACERの人たちはパブリックアクセスについて 議会などから多くの非難を浴びたので、 00:31:55.056 --> 00:32:00.925 そこでアメリカ国内17の図書館に自由に PACERにアクセスできるシステムを導入しました。 00:32:01.885 --> 00:32:07.625 つまり、22000平方マイル(訳注:北海道の約2/3)につき 1つの図書館です、まったく、不便もいいところです。 00:32:07.915 --> 00:32:12.173 私はいわゆる「サムドライブ部隊」に 参加してくれるようにボランティアに呼びかけました、 00:32:12.173 --> 00:32:16.607 アクセス権を持つ図書館から文書をダウンロードし、 PACERリサイクルサイトにアップロードしてもらうのです。 00:32:16.607 --> 00:32:20.813 それらの図書館の1つにUSBメモリを持ち込み、 文書をまとめてダウンロードし、 00:32:20.813 --> 00:32:25.089 そしてそれを私に送ってもらう。 だけど、これはただのジョークだったんです。 00:32:25.089 --> 00:32:28.636 実際、「サムドライブ部隊」の部分をクリックすると、 オズの魔法使いの、 00:32:28.636 --> 00:32:31.593 あのマンチキンが歌っているところの、 ビデオが再生されるんです: 00:32:31.593 --> 00:32:34.940 ♪ 我々はペロペロ飴組合…… ♪ 00:32:34.940 --> 00:32:39.381 ところがやはりシュルツとアーロンから私に電話があり、 00:32:39.381 --> 00:32:43.047 「いいね、サムドライブ部隊に入るよ」 00:32:43.377 --> 00:32:47.334 ちょうどその頃、会議でアーロンに会いました。 00:32:47.334 --> 00:32:51.593 これは間違いなく、多くの様々な人たちによる コラボレーションにしなければならない。 00:32:51.593 --> 00:32:53.217 そこで彼と接触し、言いました、 00:32:53.217 --> 00:32:58.195 「ねぇ、僕もPACER問題に介入しようと思うんだ」 00:32:59.865 --> 00:33:04.442 シュルツはすでに公判記録図書館からPACERの文書を 自動的にダウンロードできる 00:33:04.442 --> 00:33:06.459 プログラムを開発していた。 00:33:06.459 --> 00:33:08.796 スワーツはそれを一目見たいと思った。 00:33:08.796 --> 00:33:13.481 そこで彼にコードを見せて、 どうなるのかわからなかったけど、 00:33:13.481 --> 00:33:19.033 結局、その会議から数時間かけて、 00:33:19.033 --> 00:33:24.168 隅っこに座って私のコードを改良し、 図書館で彼の改良したコードをテストするために 00:33:24.168 --> 00:33:32.139 目的の図書館の近くに住んでいる友人を雇いました、 00:33:32.139 --> 00:33:38.440 この時点で裁判所の連中は 計画通りに事が進んでいないと気が付いた。 00:33:38.440 --> 00:33:42.681 そしてデータがどんどん、どんどん、届き始め、 00:33:42.681 --> 00:33:47.632 ついに760GB、2000万ページのPACER文書となりました。 00:33:48.282 --> 00:33:52.098 公判記録図書館から回収した情報を使い、 00:33:52.098 --> 00:33:57.304 スワーツはPACERシステムからの 大規模自動並列ダウンロードを行った。 00:33:57.304 --> 00:34:04.360 連邦裁判所の270万の文書、テキストにして 約2000万ページを手に入れることができた。 00:34:04.360 --> 00:34:09.864 今、当初のアクセス権プロジェクトを実行した 人たちの期待を上回るであろう、 00:34:09.864 --> 00:34:14.614 2000万ページを取得できます、 しかし驚いたことに官僚は違法ではないと。 00:34:14.620 --> 00:34:19.096 アーロンとカールは事の顛末について ニューヨーク・タイムズに語ろうと決めていた。 00:34:19.731 --> 00:34:26.498 彼らはFBIの目に留まり、イリノイ州のスワーツの 両親宅に張り込むようになった。 00:34:26.498 --> 00:34:31.053 そしたら彼の母からツイートが来たんです、「電話して!!」 00:34:31.053 --> 00:34:33.597 思ったんです、一体何が起きたんだ?、と。 00:34:33.597 --> 00:34:38.981 それでアーロンに連絡を取って、 彼の母によると、「大変よ、FBI、FBI、FBI!」 00:34:40.271 --> 00:34:45.831 FBIのエージェントの車が自宅の私道に入り、 アーロンが自室にいないか確認しようとしました。 00:34:47.164 --> 00:34:51.899 その日のことを思い出します、なぜ車が私たちの 私道に入ってきたんだろうと思いました、 00:34:51.899 --> 00:34:55.110 そして引き返して行きました。奇妙でしたね。 00:34:56.599 --> 00:35:04.953 なので、5年後にFBIの資料を読んだときは、 「なんてことだ、FBIだったのか、私道に入ってきたのは」 00:35:04.995 --> 00:35:08.479 彼は怯えていました。完全に怯えていました。 00:35:09.499 --> 00:35:14.910 FBIが彼を電話で呼び出し、弁護士不在の元、 00:35:14.910 --> 00:35:19.142 コーヒーショップから連れだそうと 策略したことでさらに怯えるようになったと。 00:35:19.142 --> 00:35:23.834 彼いわく、家に帰ってベッドに横たわると、震えていたそうです。 00:35:25.511 --> 00:35:30.056 このダウンロードのおかげで、裁判所文書中に 大規模なプライバシー侵害があることも発覚。 00:35:30.056 --> 00:35:34.922 最終的に、結果として司法は自身の ポリシーの変更を余儀なくされ、 00:35:34.922 --> 00:35:39.430 そしてFBIは起訴することなく捜査を終えた。 00:35:39.430 --> 00:35:41.762 今日に至るまで、注目すべきと感じる点は 00:35:41.762 --> 00:35:46.613 とても辺ぴな田舎のFBIの出張所でさえ、 00:35:46.613 --> 00:35:51.177 法体制を公開しようとしたという理由で 窃盗の罪で民衆を捜査することは 00:35:51.177 --> 00:35:55.491 市民の税金の適切な使い道だとは 考えていないということです。 00:35:55.491 --> 00:35:57.745 一体どうすれば、法執行官を名乗る人物が、 00:35:57.745 --> 00:36:01.725 法体制を公開することで この世界を悪くする可能性が 00:36:01.725 --> 00:36:03.575 あると考えられるのでしょう? 00:36:03.575 --> 00:36:09.455 アーロンは自分の信じる大義によって 危険にさらされることを厭わなかった。 00:36:09.455 --> 00:36:15.586 貧富の格差が気になると、スワーツは技術の枠を超え、 広範囲な政治的目的へと移っていった。 00:36:15.586 --> 00:36:21.622 私が連邦議会の一員となった時、議会に出入りし、しばらくの間 インターンとして働けるよう彼を招待しました、 00:36:21.622 --> 00:36:25.182 [民主党議会補佐官、アーロンの友人]: 彼が政治的プロセスを学べられるようにと。 00:36:25.194 --> 00:36:31.194 彼は新しいコミュニティ、新しいスキルを学び、 そしてなんというか、政治をハックすることを学びました。 00:36:31.194 --> 00:36:36.506 鉱山労働者が汗水たらしてせっせと 働かなければならないというのは馬鹿げてる、 00:36:36.506 --> 00:36:41.276 しかし彼らがあえてそれをやめれば、その夜の食事はなくなり、 00:36:41.306 --> 00:36:46.438 一方僕はというと、座ってテレビを見ながら 毎日さらに大金を稼いでいる、という事実に直面する。 00:36:46.438 --> 00:36:48.898 やはりどうもこの世界は馬鹿げている。 00:36:49.025 --> 00:36:53.035 そこで、「進歩的変化キャンペーン委員会」と いう名のグループを共同創設しました、 00:36:53.038 --> 00:36:57.888 私たちの趣意は、進歩的な政治に 関心のあるネット上の人々を組織し、 00:36:57.888 --> 00:37:00.220 より進歩的な方向へとこの国を動かしていく、 00:37:00.220 --> 00:37:03.027 協力し、メーリングリストに参加し、キャンペーンに参加し、 00:37:03.027 --> 00:37:06.297 国中の当選した進歩的な候補者を手助けすることで。 00:37:06.326 --> 00:37:12.656 このグループはエリザベス・ウォーレン氏の上院議員選挙運動の 草の根の取り組みの引き金となった。 00:37:12.716 --> 00:37:17.000 彼はきっと無意味なシステムだと思っていたんでしょうが、 彼いわく、「このシステムを学ぶ必要がある、 00:37:17.000 --> 00:37:21.310 なぜならこれによってどんな社会システムも操られている」 00:37:21.310 --> 00:37:24.925 しかし、彼の知識とライブラリーへの情熱が 二の次になることはなかった。 00:37:24.925 --> 00:37:31.030 アーロンは学会誌論文を出版する機関を詳しく調べ始めた。 00:37:31.040 --> 00:37:34.960 [イリノイ大学 - 2010年10月16日] アメリカの一流大学の学生であるおかげで、 皆さんは幅広い分野の学会誌に 00:37:34.960 --> 00:37:37.660 アクセスできる、そうですよね? 00:37:37.660 --> 00:37:43.551 アメリカのほとんどすべての一流大学が、それ以外の 世界では読むことができないような学術誌に 00:37:43.551 --> 00:37:50.694 アクセスするために、JSTORやトムソンISIのような組織に ある程度のライセンス料を支払っています。 00:37:50.694 --> 00:37:57.278 これらの学術誌と論文は基本的に オンラインにおける人間の知識、その完全なる財産であり、 00:37:57.278 --> 00:38:02.273 そしてその多くが納税者のお金や 政府の補助金によって支えられている、 00:38:02.273 --> 00:38:08.591 しかしそれを読むには、たびたびリード・エルゼビアといった 出版社に法外な引き渡し料金をまた支払わないといけない。 00:38:08.591 --> 00:38:14.728 こういったライセンス料はアメリカ以外の、インドなどで 勉強している人たちにとってはかなりの負担なので、 00:38:14.728 --> 00:38:19.097 こうしたアクセスができない。彼らはこうした 学術誌すべてから締め出されている。 00:38:19.103 --> 00:38:23.057 科学的遺産全体から締め出されている。 00:38:23.057 --> 00:38:27.021 そう、こうした多くの学術誌は、啓蒙時代にまで遡る。 00:38:27.021 --> 00:38:32.467 常に誰かが科学論文を書けば、それはスキャンされ、 デジタル処理され、こうしたコレクションに収蔵される。 00:38:32.467 --> 00:38:39.766 これは興味深い仕事をしてきた人たち、科学者たちの 歴史によってもたらされた遺産だ。 00:38:39.766 --> 00:38:43.167 庶民として、民衆として私たちが所有すべき遺産なのだが、 00:38:43.167 --> 00:38:48.127 それどころか、これらの遺産は そこから引き出せる最大の利益を得ようとする 00:38:48.127 --> 00:38:52.454 一握りの利益追求型の企業によって 保管され、オンラインに公開されている。 00:38:53.304 --> 00:38:58.769 [アメリカ自由人権協会 言論・プライバシー・技術プロジェクト主任技術者]: つまり研究者は大学から給料をもらい、 あるいは人々は論文を出版し、 00:38:58.769 --> 00:39:01.782 そしてプロセスのずっと一番最後の段階、 すべての仕事を終えた後、 00:39:01.782 --> 00:39:06.991 独創的な研究─構想、研究室での作業、分析、 そうした全てが終わった後、 00:39:06.991 --> 00:39:13.849 ようやく最後の段階になったら、研究者はこういった 何十億ドル規模の企業に著作権を譲り渡さないといけない。 00:39:13.908 --> 00:39:18.238 これは異常です。勤労奉仕によって築かれた経済全体、 00:39:18.238 --> 00:39:21.350 その頂点に出版社が居座り、上前をはねている。 00:39:21.390 --> 00:39:28.558 [民主党女性下院議員、カリフォルニア19区]: まさに詐欺ですよ。イギリスのある出版社は 昨年30億ドルもの利益をあげました。 00:39:28.558 --> 00:39:30.194 つまり、ボロ儲けです。 00:39:30.194 --> 00:39:34.271 JSTORはこの話の中では とても小さな登場人物に過ぎませんが、 00:39:34.271 --> 00:39:39.828 何らかの理由で、アーロンが対決しようと 選んだ相手がJSTORになったんです。 00:39:40.938 --> 00:39:44.469 彼はオープンアクセスとオープンパブリッシングに 関するいくつかの会議に行っていました、 00:39:44.469 --> 00:39:46.380 JSTORの人物が誰かについては存じ上げませんが、 00:39:46.380 --> 00:39:49.778 彼らに─ある時期に、アーロンが質問したんだと思います、 00:39:49.778 --> 00:39:54.406 [Sprout (民間の教育研究団体) 所長]: 「JSTORを永久にオープンにする コストはいくらぐらいなのか?」 00:39:54.406 --> 00:39:58.045 彼らは─おそらく2億ドルだろうと思いますが、そう答え、 00:39:58.045 --> 00:40:00.566 アーロンは実に馬鹿げた話だと感じたのでしょう。 00:40:00.566 --> 00:40:07.372 ハーバード大学のフェローシップとして働いていた彼は、 近所にあるMITの有名な公開高速ネットワーク上に 00:40:07.372 --> 00:40:12.238 JSTORの財産へのアクセス権を持つユーザーを 知っていた。彼は機会をうかがっていた。 00:40:12.238 --> 00:40:14.434 こうした扉を開く鍵を持っていて、 00:40:14.434 --> 00:40:19.824 そしてちょっととしたシェルスクリプトの魔法で、 これらの学術論文を手に入れることができる。 00:40:20.992 --> 00:40:23.492 2010年9月24日、 00:40:23.492 --> 00:40:27.031 スワーツは新しく購入したAcerのラップトップを 00:40:27.031 --> 00:40:30.659 MITのネットワークに登録した、 ラップトップの登録名は"Gary_Host"。 00:40:30.859 --> 00:40:35.449 クライアント名は"GHost_laptop"として登録。 00:40:35.449 --> 00:40:38.420 彼は伝統的な意味ではJSTORをハッキングしませんでした。 00:40:38.420 --> 00:40:40.113 JSTORデータベースは整理されていたので、 00:40:40.113 --> 00:40:44.150 いかにしてJSTORの論文全てをダウンロードするか ということは全く取るに足らないことだった、 00:40:44.150 --> 00:40:45.667 それらが基本的に番号付けされていたからです。 00:40:45.667 --> 00:40:52.351 スラッシュ、スラッシュ、スラッシュ…… 論文番号444024、そして25、26というように。 00:40:52.351 --> 00:40:54.974 [ラジオ番組 "Flaming sword of justice" 司会者、 アーロンの友人]: 彼は次から次に論文を取得し続ける 00:40:54.974 --> 00:40:58.347 Pythonスクリプト"keepgrabbing.py"を書いた。 00:40:58.437 --> 00:41:02.210 次の日、GHost_laptopは論文の取得を開始、 00:41:02.210 --> 00:41:08.385 しかし程なく、コンピューターのIPアドレスがブロックされた。 スワーツにとって、これはほとんど問題ではない。 00:41:08.385 --> 00:41:12.798 彼は即座にIPアドレスを再割当てし、ダウンロードし続けた。 00:41:13.028 --> 00:41:17.472 JSTORとMITがこの事態に気がついた時 00:41:17.472 --> 00:41:19.616 妨害しようと多くの措置を取ったが、 00:41:19.616 --> 00:41:21.854 控えめな措置が功を奏さなかったので、 00:41:21.854 --> 00:41:26.721 ある段階で、JSTORはMITからの データベースへのアクセスを遮断しました。 00:41:26.721 --> 00:41:29.303 JSTORデータベースへのアクセスをめぐる 00:41:29.303 --> 00:41:33.326 ネコとネズミの追いかけっこのようなものです。 00:41:33.326 --> 00:41:38.990 アーロンは明白にネコの側でした、 防御側のJSTORデータベースの 00:41:38.990 --> 00:41:42.651 人々より彼のほうが、技術的能力があったからです。 00:41:42.651 --> 00:41:46.898 ついには、とあるビルの地下にあった 施錠されていない資材倉庫に 00:41:46.898 --> 00:41:50.695 向かうと、WiFiの代わりに、 直接ネットワークにコンピューターを接続し、 00:41:50.695 --> 00:41:56.541 外部ハードディスクを使って論文を ダウンロードするために設置した。 00:41:56.541 --> 00:42:01.812 スワーツの知らぬところで、 当局により彼のラップトップとハードディスクが発見された。 00:42:02.882 --> 00:42:04.986 彼らはダウンロードを止めなかった。 00:42:04.986 --> 00:42:09.001 代わりに、監視カメラを設置。 00:42:10.094 --> 00:42:14.582 彼らはMITのビルの地下の部屋にコンピューターを見つけた。 00:42:14.582 --> 00:42:19.299 [アーロンの弁護人]: そのコンピューターのプラグを抜くこともできた。 犯人が来るのを待ち、「あんた、何やってんだ、 00:42:19.299 --> 00:42:23.704 その電源を切れ。お前は誰だ?」と聞くこともできた。 00:42:23.704 --> 00:42:25.377 その手のことができたはず、しかしそうはしなかった。 00:42:25.377 --> 00:42:29.762 彼らがしたかったのは事件化のための 証拠集め用に撮影することだった。 00:42:29.762 --> 00:42:34.367 それが撮影した唯一の理由なんです。 00:42:37.667 --> 00:42:41.132 当初、映像に乱れのある監視カメラが捉えたのは、 00:42:41.132 --> 00:42:45.745 倉庫にビン缶を置きに倉庫にやって来た人物だけだった。 00:42:53.142 --> 00:42:57.033 しかし数日後、カメラはスワーツを捉えた。 00:43:05.435 --> 00:43:10.658 スワーツはハードディスクを交換。 それをバックパックから取り出すと、 00:43:10.940 --> 00:43:14.454 5分ほど画面から見切れて、 00:43:14.454 --> 00:43:21.863 そして立ち去った。 00:43:36.758 --> 00:43:41.819 彼らは張り込みでもしていたかのように 組織されていて、MITからバイクで家に帰る彼に 00:43:41.819 --> 00:43:44.294 警察官が道路の両側からやってきて、 00:43:44.294 --> 00:43:47.796 そんな感じで、彼の追跡を開始しました。 00:43:49.119 --> 00:43:54.756 息子は警察に押し倒され暴行を受けたと言いました。 00:43:54.756 --> 00:43:58.312 彼ら─後になるまで警察だとは気づかなかったが、 00:43:58.312 --> 00:44:02.377 誰かが暴行しようとしたように感じたと。 00:44:02.377 --> 00:44:05.914 彼らに殴られたとも言いました。 00:44:08.255 --> 00:44:15.406 衝撃的でした。家族の皆誰にとっても、 刑事告発についてのイメージは 00:44:15.406 --> 00:44:18.139 他所事で難解なものでした、 どうしていいかわからなかった。 00:44:18.139 --> 00:44:24.872 彼らはアーロンの自宅、ケンブリッジにある彼のアパート、 そしてハーバート大学の事務所の捜査令状を執行しました。 00:44:27.522 --> 00:44:33.544 逮捕の2日前、捜査はJSTORと 地元ケンブリッジ警察の管轄を超える。 00:44:33.544 --> 00:44:37.431 彼らはアメリカ合衆国 シークレットサービスに捜査を引き継いだ。 00:44:37.431 --> 00:44:42.087 シークレットサービスは1984年にコンピューターや クレジットカード詐欺の捜査を開始したが、 00:44:42.087 --> 00:44:46.040 9/11のテロの6週間後、彼らの任務が拡大された。 00:44:46.670 --> 00:44:48.042 [拍手] 00:44:48.142 --> 00:44:56.061 ブッシュ大統領は米国愛国者法に基づいて 電子犯罪特別対策部隊と呼ばれるネットワークを設立。 00:44:56.061 --> 00:45:01.323 今私の目前にあるこの法律は、昨今のテロリストによる 新しい現実と脅威を考慮に入れている。 00:45:01.323 --> 00:45:06.381 シークレットサービスが言うには、 彼らは主に経済的影響のある、 00:45:06.381 --> 00:45:11.154 組織的犯罪者集団、あるいは新技術を使った 犯行計画の行使に対して活動しているとのこと。 00:45:11.154 --> 00:45:15.606 シークレットサービスはスワーツの事件を ボストンの米連邦検事事務所へ送致。 00:45:15.606 --> 00:45:17.934 ボストン米連邦検事事務所には、 00:45:17.934 --> 00:45:22.285 「コンピューター犯罪特別対策本部のトップ」の 肩書を持つ男がいる。 00:45:22.285 --> 00:45:23.915 彼が他に何をやってきたのかは知りませんが、 00:45:23.915 --> 00:45:29.364 コンピューター犯罪を起訴したこともないような人は 完全に「コンピューター犯罪検察官」向きではないですよね。 00:45:29.364 --> 00:45:34.934 従って仮に彼が検察官の座を拒否し続けたとしたら、 職員や部隊の中に任命できる人間はいない、 00:45:34.934 --> 00:45:36.686 それがスティーヴン・ヘイマンです。 00:45:36.686 --> 00:45:41.896 検察官スティーヴン・ヘイマンはアーロン・スワーツの 逮捕以来公の場から姿を消しているが、 00:45:41.896 --> 00:45:46.333 アーロンが逮捕された時期に撮影された テレビ番組American Greedのエピソードで 00:45:46.333 --> 00:45:48.700 彼の姿を見ることができる。 00:45:48.700 --> 00:45:53.092 彼は以前扱った悪名高いハッカー、アルバート・ゴンザレスを 相手取った事件を説明している、 00:45:53.092 --> 00:45:56.873 この事件でヘイマンは報道から膨大な注目と称賛を集めた。 00:45:56.873 --> 00:46:01.909 ゴンザレスは1億件以上のクレジットカード番号 ならびにATM番号の窃盗を計画、 00:46:01.909 --> 00:46:04.512 同様の不正行為としては歴史上最大のものだ。 00:46:04.512 --> 00:46:09.793 ヘイマンはここで、ゴンザレスについて説明し、 ハッカーの考え方について自身の意見を述べている。 00:46:09.793 --> 00:46:16.095 [連邦検事補]: 彼らは私たちを突き動かしている多くのものに 同様に突き動かされています。 00:46:16.095 --> 00:46:24.774 彼らは自我を持ち、挑戦を好み、そしてもちろん お金とそれで買えるものすべてが好きなのです。 00:46:24.814 --> 00:46:29.714 ゴンザレスの事件に関与したとされる容疑者の 1人にジョナサン・ジェイムズという名の若いハッカーがいた。 00:46:29.714 --> 00:46:33.210 ゴンザレスの犯罪に関与した容疑が掛けられていたが、 00:46:33.210 --> 00:46:36.319 ジェイムズは捜査中に自殺を図った。 00:46:36.319 --> 00:46:40.905 アーロン・スワーツの事件における政府の方針を 伝える初期の報道発表の中で、 00:46:40.905 --> 00:46:45.974 ヘイマンの上司であるマサチューセッツ特別区 連邦検事のカーメン・オーティズは次のように語った: 00:46:46.570 --> 00:46:53.141 「コンピューターコマンドにしろバールを使うにしろ、 ドキュメントやデータにしろお金を盗むにしろ、窃盗は窃盗だ」 00:46:53.301 --> 00:46:55.587 それは違う。明らかに違います。 00:46:56.777 --> 00:46:58.397 それに罪がないと言うことではないし、 00:46:58.397 --> 00:47:06.122 また情報を盗むことを犯罪とすべきでないと いうことではありません、 00:47:06.122 --> 00:47:08.283 しかし、どういったものが厳密に害を及ぼすかを 00:47:08.283 --> 00:47:14.911 判断しようとするときはより慎重でなければならない。 00:47:14.911 --> 00:47:18.677 だからバールといったものは、 常にバールを使って何かを壊そうとする、 00:47:18.677 --> 00:47:21.768 損害を与えようとする。これに疑いはない。 00:47:21.768 --> 00:47:23.586 しかしアーロンはスクリプトを書いた、 00:47:23.586 --> 00:47:28.329 内容は、1秒間に100回、「ダウンロード、 ダウンロード、ダウンロード……」、 00:47:28.329 --> 00:47:31.047 誰も明白な損害を受けてない。 00:47:31.047 --> 00:47:36.238 仮に彼が学術的研究のためにアーカイブを 集める目的で行ったのであれば、 00:47:36.238 --> 00:47:38.409 誰もいかなる損害を一切受けていない。 00:47:38.409 --> 00:47:42.925 彼は盗んでいない。彼は盗ったものを 売却していないし譲渡もしていない。 00:47:42.925 --> 00:47:45.641 私の知る範囲では、彼はそう主張しました。 00:47:45.641 --> 00:47:48.189 この逮捕はスワーツに痛手となった。 00:47:48.189 --> 00:47:49.822 彼はこの件について話したがりませんでした。 00:47:49.822 --> 00:47:51.396 つまり、かなりストレスを受けていました。 00:47:51.396 --> 00:47:55.614 もしある日FBIが自宅の前までやって来て、 00:47:55.614 --> 00:47:59.014 玄関に降りてきて、洗濯をしようとしたその時、 00:47:59.014 --> 00:48:03.140 ドアに鍵をしていなかったので 彼らがアパートに押し入ってきたと考えてみてください、 00:48:03.140 --> 00:48:06.545 きっと……かなりのストレスでしょう、 00:48:06.545 --> 00:48:12.727 そして明らかにこのおかげで、 アーロンはいつも陰鬱とした気分でいました。 00:48:18.430 --> 00:48:23.771 この期間ずっと彼は居場所に関わる 情報を出そうとしませんでした、 00:48:23.771 --> 00:48:28.345 なぜなら彼を待ち受けようとするFBIを ひどく恐れていたからです。 00:48:30.775 --> 00:48:35.452 この時期、世の中は空前の社会的、 政治的行動主義ブームだった。 00:48:35.452 --> 00:48:41.811 タイム誌は後に2011年の「今年の人」に 「抗議者」を選んだ。 00:48:42.348 --> 00:48:46.925 拡大しつつあるハッカー活動の巣窟のようでした。 00:48:48.956 --> 00:48:53.582 Wikileaksは外交公電の山を流出させ、 00:48:53.617 --> 00:48:56.551 マニング米軍情報分析官はこのとき既に逮捕、 00:48:56.551 --> 00:49:00.223 彼がリークの情報源かどうかわかっていなかった。 00:49:00.223 --> 00:49:04.801 Anonymous、組織の中に多くのハッカーを 00:49:04.801 --> 00:49:07.459 抱える一種の抗議集団、 00:49:07.464 --> 00:49:11.357 彼らはお粗末な馬鹿騒ぎを色々とやっていた。 00:49:11.455 --> 00:49:14.107 もしスワーツの行った事とこれらを比較するなら、 00:49:14.107 --> 00:49:18.112 プライベートや専門的な問題において、 彼の事柄への対応は 00:49:18.146 --> 00:49:22.048 MITやJSTORのために残置しておくべきだった。 00:49:22.105 --> 00:49:27.757 刑事制度の注意を引くべきではなかった。 00:49:28.465 --> 00:49:30.630 こうなるはずじゃなかった。 00:49:31.946 --> 00:49:36.386 [ボストン・モークレイ連邦裁判所] 00:49:36.455 --> 00:49:39.901 起訴される前、スワーツに司法取引の申し出があった、 00:49:39.921 --> 00:49:43.230 刑務所に3ヶ月、更生訓練施設で過ごし、 00:49:43.230 --> 00:49:45.449 その後1年間の自宅軟禁、 00:49:45.449 --> 00:49:47.986 その間コンピューターの使用はすべて禁止。 00:49:47.986 --> 00:49:52.460 スワーツが重犯罪に対し有罪であることを認める事が条件だった。 00:49:52.496 --> 00:49:56.765 さて、この国家訴訟についての 開示する証拠も 00:49:56.765 --> 00:49:58.364 証人もいない。 00:49:58.364 --> 00:50:01.821 そして弁護士がこうしろと求めてくる 00:50:01.856 --> 00:50:05.604 膨大な決断をしないといけない、 00:50:05.606 --> 00:50:09.781 政府は交渉の余地のない要求をしてくる、 00:50:09.781 --> 00:50:13.327 そしてあなたが有利な可能性は小さいと言われる。 00:50:13.327 --> 00:50:17.583 だから、有罪か無罪かにせよ、 この取引に応じたほうが楽になる。 00:50:18.268 --> 00:50:21.280 ボストンは コンピューター犯罪対策課を持ち、 00:50:21.280 --> 00:50:25.518 多くの、おそらく必要以上の弁護士がいます。 00:50:25.518 --> 00:50:30.627 従って、起訴することがとても難しい 様々な事件を思い浮かべることができます、 00:50:30.627 --> 00:50:33.037 例えばロシアで起きた事件であるとか、 00:50:33.037 --> 00:50:36.057 1時間で500ドルから700ドル 稼ぐ弁護士と 00:50:36.057 --> 00:50:39.968 対峙することになるような 会社の内部の人間であるとか、 00:50:39.968 --> 00:50:43.606 それに加えて、この事件、彼の場合には 00:50:43.606 --> 00:50:47.919 彼がやったことを証明するのはとてもたやすく、 00:50:47.919 --> 00:50:52.727 そして彼は既にトラブルメーカーとして FBIにマークされていた、 00:50:52.727 --> 00:50:56.461 これでは彼らと立ち向かうには タフでなければならないですよね? 00:50:56.461 --> 00:50:59.444 検察官にとっては問題ない。この国にとっても、 00:50:59.444 --> 00:51:02.232 なぜなら彼らはすべての テロリスト集団と戦っているから。 00:51:02.232 --> 00:51:03.846 とても怖かったですね。 00:51:03.846 --> 00:51:05.923 私のコンピューターが押収されるのが とても怖かった。 00:51:05.923 --> 00:51:10.048 コンピューターが押収されることで 刑務所に行くことになるのでは、とすごく恐れました。 00:51:10.048 --> 00:51:15.293 前職で私のラップトップには情報源からの 機密情報を所持していたので、 00:51:15.390 --> 00:51:20.517 そしてとりわけ、私の優先事項は─ 情報源を守ることにある。 00:51:20.527 --> 00:51:25.220 娘のエイダに何か起こるのでは、と いうことがすごく怖かった。 00:51:25.370 --> 00:51:28.054 アーロンからは、彼らが取引を 申し出てきたことを話してくれて、 00:51:28.054 --> 00:51:32.830 彼は最終的に私が望むなら 取引を受け入れてもいいと、 00:51:32.830 --> 00:51:36.986 それで私は、彼に寄り添って 言ったんです、「取引しましょう」と。 00:51:37.603 --> 00:51:42.621 彼は2つの出来事の期間中に、 そうした、成熟した、なんというか、 00:51:42.621 --> 00:51:45.511 純粋な政治的野心を持っていました、 00:51:45.511 --> 00:51:51.218 起業家人生を終えた瞬間と、 00:51:51.246 --> 00:51:56.448 この政治活動を始めることになった 新しい人生を開始した時点との間で、 00:51:56.967 --> 00:52:03.884 そして彼は重罪を受けたまま人生を 続けていけると信じるがことができなかった。 00:52:03.884 --> 00:52:07.386 そう、ある日ホワイトハウスを 一緒に通りかかった時、 00:52:07.386 --> 00:52:11.279 彼は言いました、 「重罪人を働かせてはくれないよ」と。 00:52:17.661 --> 00:52:22.031 そして彼は─彼は本当に 人生を自分らしく生きたかったんです。 00:52:22.287 --> 00:52:25.560 彼は誰も殺しちゃいない。 誰も傷つけてない。 00:52:25.564 --> 00:52:28.329 お金を盗んだりなどしちゃいない。 00:52:28.329 --> 00:52:32.573 重罪に問われるようなことは 何1つやっちゃいないですよね? そして…… 00:52:34.643 --> 00:52:39.327 この思いはつまり、彼が行ったことで 重罪人の汚名を着せられ、 00:52:39.327 --> 00:52:42.963 多くの州で投票する権利を剥奪すべきだという 00:52:42.963 --> 00:52:45.767 理由は無いということだ。 常軌を逸している。 00:52:45.767 --> 00:52:49.900 多額の罰金を課されたり、あるいはMITに再び 00:52:49.900 --> 00:52:54.137 戻ることのないよう頼まれることは 筋が通っている。 00:52:54.137 --> 00:52:57.744 ところが重罪人になる? 懲役に処されるって? 00:53:00.546 --> 00:53:04.062 スワーツは司法取引を拒否。 00:53:04.062 --> 00:53:06.868 ヘイマンは一層働きかけを強めました。 00:53:06.868 --> 00:53:12.337 ヘイマンは私たちにあらゆるレベルで プレッシャーを掛け続けてきました。 00:53:12.340 --> 00:53:15.078 アーロンのAcerコンピューターのHDDとUSBから 00:53:15.078 --> 00:53:18.290 押収した物的証拠だけでなく、 00:53:18.290 --> 00:53:21.153 検察官たちは彼の動機も証拠として必要だった。 00:53:21.153 --> 00:53:24.699 なぜアーロンはJSTORから論文をダウンロードしたのか、 00:53:24.699 --> 00:53:28.380 そしてそれらを使い何を計画していたのか? 00:53:28.854 --> 00:53:32.279 政府の主張では彼は論文を出版しようと計画していた。 00:53:32.279 --> 00:53:35.830 彼の真意がどうであったかは私たちは知りません、 00:53:35.830 --> 00:53:42.728 なぜならアーロンは論文から興味深いことを学ぶために 00:53:42.728 --> 00:53:45.156 論文の巨大データを解析するプロジェクトを 行った経歴も持っていたからです。 00:53:45.156 --> 00:53:48.101 動機に関する最も有力な確証は、 彼がスタンフォード大学にいた時、 00:53:48.103 --> 00:53:53.087 彼は法律情報サービス会社Westlawの 法務データベースもダウンロードしていたことです。 00:53:53.117 --> 00:53:55.525 スタンフォード大学の法学生のあるプロジェクトで、 00:53:55.525 --> 00:53:58.316 スワーツはWestlawの法務データベースを ダウンロードしていた。 00:53:58.316 --> 00:54:02.492 彼は法律調査の資金提供先と彼らに 好ましい調査結果との間に厄介な 00:54:02.492 --> 00:54:04.444 つながりがあることを明らかにした。 00:54:04.444 --> 00:54:07.317 利益追求型企業が、石油流出事故におけるExxonのように、 00:54:07.317 --> 00:54:10.868 都合のいい法律論文を書いてくれる法律学教授に 00:54:10.868 --> 00:54:14.927 資金を提供していたという 素晴らしい分析を彼は行いました。 00:54:14.927 --> 00:54:19.391 つまり粉飾目的の研究に資金を出す 非常に腐敗したシステムだったんです。 00:54:19.441 --> 00:54:22.676 スワーツはWestlawの文書を公開しなかった。 00:54:22.676 --> 00:54:25.525 理論上、JSTORデータベースにも同じ分析を行うことができた。 00:54:25.525 --> 00:54:27.286 これは完全に問題ないでしょう。 00:54:27.286 --> 00:54:32.700 一方、仮に彼がJSTORと競合するサービスを作る目的で、 00:54:32.700 --> 00:54:35.055 あるいはハーバード・ロー・レビューにアクセスするシステムを 00:54:35.055 --> 00:54:39.090 自分たちで作り上げ、料金を徴収したら、 00:54:39.090 --> 00:54:41.972 もちろん、それは犯罪行為になるでしょう、 00:54:41.972 --> 00:54:45.044 なぜならその資料を商業目的で不正使用しようとしている、 00:54:45.044 --> 00:54:47.780 しかし彼の行為からこういう推測をするのはまともじゃない。 00:54:47.780 --> 00:54:53.516 そして、さらにその中間のケースもある、つまり、 もし彼があらゆる発展途上国に論文を解放しようとしていたら? 00:54:53.516 --> 00:54:56.855 しかし彼の行動次第で、法律が これをどのように解釈すべきかについて 00:54:56.855 --> 00:55:00.538 全く異なる特徴を形作る。政府はこの行為が 00:55:00.538 --> 00:55:03.630 あたかも商業的な犯罪行為であるかのように彼を起訴した、 00:55:03.630 --> 00:55:06.851 大量のクレジットカードの記録を盗んだかの ような、そういった犯罪であるかのように。 00:55:06.851 --> 00:55:10.122 このデータベースで何をしようと していたのか私にはわからないが、 00:55:10.122 --> 00:55:12.804 しかし彼の友人から聞いた話では、アーロンは 00:55:12.804 --> 00:55:18.086 バイアスのある結果となった気候変動研究へ 企業の資金が流れた証拠を 00:55:18.086 --> 00:55:24.212 データから分析するために行ったと話したそうです、 私はこの話を完全に信じています。 00:55:24.972 --> 00:55:28.682 スティーブン検察官が私に話があると聞いたので、 00:55:29.252 --> 00:55:32.982 この状況から抜け出すことのできる方法についての 00:55:32.982 --> 00:55:35.088 話なのかと思いました、 00:55:35.088 --> 00:55:38.427 そして自分のコンピューターが押収される 恐怖の中で生活したくなかった。 00:55:38.659 --> 00:55:42.759 コンピューターの暗号を解くよう強要され、 00:55:42.759 --> 00:55:46.416 法定侮辱罪で刑務所に入るのではという 恐怖の中で生活したくなかった。 00:55:46.416 --> 00:55:50.425 彼らが来て「スティーブンから あなたに話がある」と言った時、 00:55:50.425 --> 00:55:52.239 なにか訳ありなんだと思いました。 00:55:52.559 --> 00:55:57.306 彼らは「Queen For A Day文書」、あるいは「提案文書」 として知られるものを申し出た。 00:55:57.306 --> 00:56:00.561 アーロンの事件についての事情聴取を 検察官に許可する文書だ。 00:56:00.561 --> 00:56:03.587 聴取の間に明らかにされた情報によって 00:56:03.587 --> 00:56:06.187 ノートンは検察官から訴追免除される。 00:56:06.187 --> 00:56:09.333 気が進みませんでした。弁護士に繰り返し 00:56:09.333 --> 00:56:13.281 言いました……、怪しい感じがして、 気が進まなかった、訴追免除を受けたくない、 00:56:13.281 --> 00:56:15.946 訴追免除は必要ない、私は何もしていない、 00:56:15.946 --> 00:56:18.382 でも彼らはとても差し迫った感じで、 00:56:18.382 --> 00:56:21.354 捜査官らは訴追免除なしの検察官聴取をしようとしませんでした。 00:56:21.354 --> 00:56:24.452 [インタビュアー] 確認ですが、それはQueen For A Dayに よる取引、提案文書だったんですよね。 00:56:24.452 --> 00:56:25.495 - そうです、提案文書です。 00:56:25.495 --> 00:56:30.162 - 基本的にあなたが情報を渡すのと 引き換えに訴追から保護される。 00:56:30.162 --> 00:56:35.244 - 情報の受け渡しではありませんでした。 ─少なくとも、そういう風には思えません。 00:56:35.244 --> 00:56:37.689 それはただの話し合い、 彼らとの面接でした。 00:56:37.689 --> 00:56:40.010 - その、彼らがあなたに聴取し…… - 彼らは私に聴取しました。 00:56:40.010 --> 00:56:42.193 - そして彼らが欲しい情報を聞くことができ、 - そうです。 00:56:42.193 --> 00:56:44.727 - そして情報を得たら…… - 私はとても…… 00:56:44.727 --> 00:56:49.514 - 彼らはあなたを起訴できなくなる。 - そうです、私は繰り返しその保護は受けないよう努めました。 00:56:49.514 --> 00:56:53.468 私は繰り返し、繰り返し、 この提案文書を拒否しようとしました。 00:56:53.468 --> 00:56:56.414 具合を悪くしました。 私の弁護士から圧力を受けました。 00:56:56.414 --> 00:57:00.902 混乱しました。 このことで調子がよくありませんでした。 00:57:00.902 --> 00:57:05.502 気分が落ち込み、 私がいるこの状況が理解できませんでした。 00:57:05.502 --> 00:57:08.879 なぜこんな状況になったのかわからなかった。 00:57:08.879 --> 00:57:13.442 変わったことはしていないし、 まして悪いこともしていない。 00:57:13.442 --> 00:57:14.949 私たちは気が狂いそうになりました。 00:57:14.949 --> 00:57:18.711 アーロンはこのことで明らかにしても取り乱していました。 私たちも取り乱しました。 00:57:18.711 --> 00:57:20.884 アーロンの弁護士もとても取り乱していました。 00:57:20.884 --> 00:57:23.417 クインに弁護士を代えるよう説得しました。 00:57:23.727 --> 00:57:28.364 大きな、完全武装した男たちと一緒に いることに慣れず、 00:57:28.364 --> 00:57:33.234 彼らは絶えず私が嘘をついていて、 何かをやったはずだと言ってきた。 00:57:33.664 --> 00:57:37.431 私は彼らに、あなた方が起訴しようとしていることは 00:57:37.431 --> 00:57:40.520 犯罪じゃないと言った。 00:57:40.760 --> 00:57:42.924 あなたたちは歴史の暗部だと言いました。 00:57:42.924 --> 00:57:47.322 このフレーズを使いました。 「あなたたちは歴史の暗部だ」って。 00:57:48.302 --> 00:57:53.217 そして彼らはうんざりしていました。怒っていませんでした。 彼らはただうんざりしていました、 00:57:53.217 --> 00:57:57.210 そして同じ会話ばかりすべきでないと感じ始めた。 00:57:57.210 --> 00:58:01.970 つまり、たくさんのことを、なぜ論文をダウンロードしたのか についてのことを話しました。 00:58:01.970 --> 00:58:06.383 そして結局、─その時のことはよく思い出せないのですが─ 00:58:06.383 --> 00:58:11.118 彼が「ゲリラオープンアクセスマニュフェスト」という ブログ記事を投稿したことに触れました。 00:58:12.969 --> 00:58:16.366 これが「ゲリラオープンアクセスマニフェスト」、 00:58:16.366 --> 00:58:20.263 たぶん2008年7月にイタリアで書かれたものだ。 00:58:20.263 --> 00:58:24.736 「情報は力だ。しかし全ての力と同様に、 自分たちのためにその力を保持したい人たちがいる」 00:58:24.736 --> 00:58:29.689 「世界全体の科学的文化的遺産、 何世紀と出版されてきた書籍や論文、 00:58:29.689 --> 00:58:34.317 それらは次第に一握りの民間会社によって デジタル化され隔離されている」 00:58:34.317 --> 00:58:38.048 「その間、締め出された者たちは ただ手をこまねいているわけではなかった」 00:58:38.048 --> 00:58:40.237 「すき間から覗き込み、壁を乗り越え、 00:58:40.237 --> 00:58:44.454 出版社によって隔離された情報を 解放し、仲間と分け合う」 00:58:44.454 --> 00:58:47.528 「しかしこうした行為は秘密裏に、水面下で行われる」 00:58:47.528 --> 00:58:50.863 「これは窃盗や海賊行為と呼ばれ、 あたかも豊富な知識を分け合うことが 00:58:50.863 --> 00:58:54.531 船からの強奪やその船員の殺害と 倫理的に等しいかのように言われる」 00:58:54.531 --> 00:58:57.456 「しかし分け合うことは道義に反しない。 ─これは倫理的義務だ」 00:58:57.456 --> 00:59:02.048 「欲に目のくらんだ者は 友人にコピーを作らせることを拒むだろう」 00:59:02.048 --> 00:59:04.267 「不正な法に従うことに正義はない」 00:59:04.267 --> 00:59:08.229 「今こそ陽の下に進み出て、 市民的不服従という素晴らしい伝統の中で 00:59:08.229 --> 00:59:11.820 この公共文化の独占的強奪に対し 反対の意思を宣言しよう」 00:59:12.105 --> 00:59:18.502 このマニフェスト自体は4人の異なる人物によって 書かれたとされ、そしてノートンが編集したものだが、 00:59:18.502 --> 00:59:21.474 自身の名を署名をしたのはスワーツだった。 00:59:21.474 --> 00:59:28.684 聴取が終わった時、すぐさまアーロンの元に行き、 覚えていることを全て話しました、 00:59:28.684 --> 00:59:30.611 彼はすごく怒り出しました。 00:59:34.522 --> 00:59:37.669 私がした事でこういう方向へ成り行きが進んでしまった。 00:59:40.078 --> 00:59:45.576 まずいことをして、 全てが悪い方向に行ってしまった、 00:59:47.257 --> 00:59:49.639 でも私は…… 00:59:57.302 --> 01:00:00.162 私はまだ憤慨しています。 01:00:00.789 --> 01:00:06.610 まだ憤慨しています、正しいことをするために こうした人々と最善を尽くすことができた、 01:00:06.610 --> 01:00:09.325 そして全てが私に不利になってくると、 01:00:09.325 --> 01:00:13.371 彼らはできる限りの手を使って 私を傷めつけようとしてきたことに。 01:00:15.530 --> 01:00:19.297 そしてその瞬間、私がしてきたことを 話したことを後悔しました。 01:00:19.991 --> 01:00:23.705 だけどさらなる後悔は、 このことで私たちが落ち着いてしまったことです。 01:00:23.705 --> 01:00:26.087 このことを了解したことに。 01:00:26.087 --> 01:00:27.662 この正義のシステムを了承したこと、 01:00:27.662 --> 01:00:32.080 人々を小さな罠にはめてそうした人たちの人生を 台無しにすることができるシステムに。 01:00:33.080 --> 01:00:35.538 ですから、そう、言わなければよかったのに、と。 01:00:35.538 --> 01:00:41.312 でももっと憤慨していることは、 いま私がこうしてここにいることです。 01:00:42.891 --> 01:00:47.505 1人の国民として、 このことを了承したことに。 01:00:48.358 --> 01:00:52.617 彼女から情報を得ようと、思いつく限りの あらゆる手を捜査官らは使ってきました、 01:00:52.617 --> 01:00:56.887 アーロンにとって不利となる情報、 01:00:56.887 --> 01:01:00.414 そしてアーロンを起訴するのに有利となる情報を、 01:01:01.964 --> 01:01:07.240 しかし政府にとって有利となる情報を 彼女が持っていたとは私には思えません。 01:01:08.029 --> 01:01:12.051 スワーツの友人と家族が迫り来る起訴を 待ちつつ数カ月が過ぎていった。 01:01:12.062 --> 01:01:17.142 その頃、スワーツはネットの諸問題に対する 頼りになる専門家となっていった。 01:01:17.142 --> 01:01:19.826 [RT インタビュアー] あなたに 質問したいのは、インターネットは 01:01:19.826 --> 01:01:25.166 人権に留意すべきだと思いますか、そしてネットは 政府が奪い取ったりできないものだと? 01:01:25.276 --> 01:01:30.446 はい。もちろん、つまり国家安全保障のために ネットの遮断を許可するというこの考え方、 01:01:30.446 --> 01:01:34.017 今まさにエジプトやシリア、 その他多くの国で伝え聞きます、 01:01:34.017 --> 01:01:38.628 そして確かに、WikiLeaksといったサイトが アメリカの政府が行ったことについての 01:01:38.628 --> 01:01:42.553 厄介な資料を公開しようとしていて、 人々はそれに抗議しようと組織を作り、 01:01:42.553 --> 01:01:45.511 政府に立ち向かい変えようとしている。 知ってのとおり、これはいいことです。 01:01:45.511 --> 01:01:50.290 これらはすべて憲法修正第1条の表現の自由、 結社の自由に関わることです、 01:01:50.308 --> 01:01:55.134 だからネットを遮断しようというこの考え方は 基本的なアメリカの原則に反していると思う。 01:01:55.238 --> 01:01:57.960 この原則は、我々の建国の父が理解していたものの1つだと思う。 01:01:57.960 --> 01:01:59.958 もしインターネットがその当時あったのなら、 01:01:59.958 --> 01:02:04.020 憲法の「郵便局」と書かれた部分の 代わりに「ISP」と書いただろう。 01:02:04.020 --> 01:02:05.575 [RT インタビュアー] ええ、 どうなるのか興味深いですが…… 01:02:05.575 --> 01:02:10.566 スワーツは活動家のタレン・スタインブリックナー= カウフマンと出会い、2人は付き合うようになった。 01:02:10.656 --> 01:02:12.218 [アーロン] 僕らには世界的な大規模民衆抗議が必要だ。 01:02:12.218 --> 01:02:15.190 [タレン] 世界的な大規模民衆抗議がなければ、 世界を変えることはないわ。 01:02:15.190 --> 01:02:18.961 この街の人間で世界的な 大規模民衆抗議を引き起こさなきゃ。 01:02:18.961 --> 01:02:21.952 - もちろん、嘆願書への署名者が必要だわ。 01:02:22.120 --> 01:02:25.489 スワーツは事の詳細を彼女には知らせず、何かに 巻き込まれていることを彼女に警告した、 01:02:25.489 --> 01:02:27.688 彼はそれを単に「厄介事」と呼んでいた。 01:02:27.688 --> 01:02:33.039 [企業監視機関 SumOfUs 事務局長、アーロンのパートナー]: エリザベス・ウォーレンとのスキャンダルでもあったのだろうか、 とか、ちょっとおかしな想像をしていました。 01:02:33.089 --> 01:02:37.890 ヒラリー・クリントンとエリザベス・ウォーレンの 2人を疑っていて、実際は…… 01:02:38.284 --> 01:02:41.720 たぶん7月末のあるとき、アーロンが電話してきて、 01:02:42.284 --> 01:02:47.433 電話を取ると、彼いわく、その「厄介事」が 明日ニュースで流れると。 01:02:47.433 --> 01:02:49.831 僕の口から聞きたいか、 それともニュースで知りたいか?と聞いてきて、 01:02:49.831 --> 01:02:52.453 私は、「いいわ、あなたから聞きたい」と。 01:02:53.433 --> 01:02:58.472 すると彼は、「その、僕は……僕は 01:02:58.490 --> 01:03:03.419 学術論文を大量ダウンロードした罪で逮捕され、 僕を見せしめにしようとしているんだ」 01:03:04.329 --> 01:03:11.163 私は、「そんなこと?それが大問題なの? 本当に?一大事には思えないわ」 01:03:11.195 --> 01:03:17.283 2011年7月14日、連邦検事は4つの罪でスワーツを起訴。 01:03:17.482 --> 01:03:24.174 LulzSecの構成員2人がイギリスで、また 複数のハッカーが逮捕されたのと 01:03:24.634 --> 01:03:30.134 同じ日に起訴されました。そしてアーロンはまさに ハッカーのような人物だったので、 01:03:30.134 --> 01:03:34.917 首を杭に差してさらし首にするには充分でした。 01:03:35.022 --> 01:03:38.242 アーロンは自首し、当局は彼を逮捕しました。 01:03:39.468 --> 01:03:42.220 彼らは彼を裸にし所持品検査を行い、 01:03:42.638 --> 01:03:48.343 靴紐を没収し、ベルトを没収し、 独房に入れた。 01:03:50.115 --> 01:03:54.537 マサチューセッツ地区米連邦検事事務所は 声明を発表、 01:03:54.549 --> 01:03:57.882 「スワーツは35年の懲役の後、 01:03:57.882 --> 01:04:00.790 3年間監視下で保釈され、 01:04:00.790 --> 01:04:06.012 賠償、科料、罰金は100万ドルに及ぶ」 01:04:06.276 --> 01:04:09.370 彼は10万ドルの保釈金で保釈された。 01:04:09.370 --> 01:04:12.288 同日、この事件の直接の被害者であるJSTORは 01:04:12.288 --> 01:04:17.769 公式にスワーツに対する起訴を全て取り下げ、 この事件への追求を断った。 01:04:18.079 --> 01:04:21.575 JSTORは─私たちの味方ではなく─ 有益でも友好的ではなかったが、 01:04:21.575 --> 01:04:25.385 しかし彼らは同時に 「私たちは無関係だ」といった様子でした。 01:04:25.385 --> 01:04:30.800 JSTOR、そしてその親会社ITHAKAは この映画へのインタビューの依頼を断った。 01:04:30.868 --> 01:04:33.524 しかし当時、彼らは声明を発表、 01:04:33.538 --> 01:04:37.696 「起訴するかどうかは政府の決定であり、 JSTORのものではない」 01:04:38.497 --> 01:04:42.739 なので、この訴訟も終わるのだろうと確信しました。 01:04:42.739 --> 01:04:48.230 スティーヴン・ヘイマンがこの訴訟を諦めるか、 何らかの合理的な方法で解決されるはずだと。 01:04:48.654 --> 01:04:50.762 政府はそれを拒否しました。 01:04:51.149 --> 01:04:52.856 [インタビュワー] なぜでしょう? 01:04:55.138 --> 01:04:58.375 おそらく、アーロンを見せしめにしたかったんだと思います、 01:04:58.375 --> 01:05:01.988 そして彼らが……すぐさま重罪判決と懲役の要求を 01:05:01.988 --> 01:05:05.349 進めようとしなかった理由は、この訴訟を 01:05:05.349 --> 01:05:13.255 抑止力として使いたかったからだと彼らは語りました。 01:05:13.255 --> 01:05:15.319 [インタビュワー] そう言ったんですか? - はい。 01:05:15.320 --> 01:05:17.257 - これを見せしめにしようと? - はい。 01:05:17.263 --> 01:05:19.810 - 彼がこれを見せしめにしようと? - はい。 01:05:20.025 --> 01:05:22.030 スティーヴン・ヘイマンはそう言いました。 01:05:22.030 --> 01:05:26.369 誰を抑止するんだ? うろつき回って JSTORにログインして、 01:05:26.369 --> 01:05:30.154 政治的な発言をするために論文をダウンロードする 人間を? ほんとに、彼らは誰を抑止したいのか? 01:05:30.154 --> 01:05:34.611 [ニュースサイトSalon コラムニスト]: もしオバマ政権が、例えばこの国が 01:05:34.611 --> 01:05:37.441 過去100年間に垣間見てきた、 01:05:37.441 --> 01:05:41.146 ウォール街の金融危機につながるような 01:05:41.146 --> 01:05:43.525 最大級の経済犯罪を起訴してきた政権だというのであれば、 01:05:43.525 --> 01:05:45.527 建前上はそれを抑止したいという 01:05:45.527 --> 01:05:49.630 政権の立場も理解しやすいのですが。 01:05:50.101 --> 01:05:52.532 抑止力という、この議論の余地のない 01:05:52.532 --> 01:05:56.613 考えを展開し始めれば、 01:05:56.613 --> 01:05:58.454 これは選択的に、 01:05:58.455 --> 01:06:02.139 違法行為に対する公平な分析をやめ、 01:06:02.139 --> 01:06:06.893 そして明確に政治的イデオロギーを基礎に置いた 01:06:06.902 --> 01:06:10.390 法執行リソースの配備の決定に着手したことになる、 01:06:10.390 --> 01:06:15.949 これはまさに非民主的なだけでなく、 非アメリカ的であると言えるでしょう。 01:06:19.319 --> 01:06:24.146 後の報道によると、検察官スティーヴン・ヘイマンは MITの外部弁護士に対し、 01:06:24.146 --> 01:06:26.587 堪忍袋の緒を切るきっかけになったのは、 01:06:26.587 --> 01:06:31.467 スワーツが立ち上げた"Demand Progress"という 組織が発表したプレスリリースだったと語った。 01:06:31.473 --> 01:06:35.590 MITの報告によれば、ヘイマンは この支持声明に対して反応し、 01:06:35.590 --> 01:06:39.596 「馬鹿げたネットキャンペーン」、そしてこの事例を 01:06:39.596 --> 01:06:44.036 一対一のレベルから組織的レベルへと 移行させようとする「愚行」と呼んだ。 01:06:44.036 --> 01:06:48.622 それは良くない組み合わせでした: メンツを潰されたくない、 01:06:48.622 --> 01:06:52.987 近い将来政治キャリアを獲得する、 そしておそらく、出戻りなんてしたくない検察官。 01:06:52.987 --> 01:06:57.529 図書館から大量の本を持ち出した人物の 逮捕に多額の税金を使い、 01:06:57.529 --> 01:07:01.015 あげくは裁判でこてんぱんにやられる? 絶対にありえない! 01:07:01.015 --> 01:07:05.550 それから私は、MITが政府に赴いて 訴追停止を要請するよう、 01:07:05.550 --> 01:07:10.739 MITに様々な圧力を掛けることにしました。 01:07:11.472 --> 01:07:14.528 [インタビュワー] MITの反応は? 01:07:14.634 --> 01:07:18.614 当時MITからの反応はなかったように思います。 01:07:22.631 --> 01:07:25.613 MITはアーロンを守ろうとしなかった、 01:07:25.613 --> 01:07:30.307 つまり、MITコミュニティの内部の人間を、 これは理不尽なことです、 01:07:30.307 --> 01:07:35.667 なぜならMITは真の意味で ハッキングを振興する場所だからです。 01:07:35.716 --> 01:07:40.728 MITでは、立ち入りが許されない 屋根やトンネルを駆けまわろうという発想は 01:07:40.728 --> 01:07:45.831 通過儀礼というだけじゃない、 MITキャンパスツアーの一部になっていて、 01:07:45.831 --> 01:07:50.313 そしてかつては錠前破りがMITの冬期講習にありました。 01:07:50.553 --> 01:07:55.753 MITは訴追を直ちに中止できる道徳的権限を持っていました。 01:07:56.233 --> 01:08:01.691 MITは連邦捜査局に立ち向かい、「こういうことをやめろ。 01:08:01.691 --> 01:08:06.197 こんなことはごめんだ。過剰反応だ。やりすぎだ」と いう見解を示すことはなかった。 01:08:06.197 --> 01:08:08.334 ……先刻承知ですが。 01:08:08.334 --> 01:08:14.474 MITはあたかも企業のように立ち振舞った。 彼らはなんと言うか─政府を支援し、 01:08:14.486 --> 01:08:21.196 彼らが義務感を感じない限り私たちを助けようとせず、 そして、止めようともしなかった。 01:08:22.346 --> 01:08:25.229 MITはコメント依頼を繰り返し拒否してきたが、 01:08:25.229 --> 01:08:30.006 彼らは後に報告を発表、そこで 中立の立場を守ろうとし、 01:08:30.006 --> 01:08:35.952 ヘイマンと米連邦検事事務所は訴訟についての MITからの考えや発言について関心を払わなかったとしている。 01:08:35.952 --> 01:08:41.848 MITのこの態度はMITの精神と まったく食い違っているように思う。 01:08:41.848 --> 01:08:47.158 MITは見て見ぬふりをし、彼らのなすがままに させてしまったんだ、と主張することもできる、 01:08:47.158 --> 01:08:52.599 しかし彼らのこういった立場、中立な立場を取るということ それ自体が、検察官支持の立場を取ることになる。 01:08:52.676 --> 01:08:55.831 スティーブ・ジョブズと スティーブ・ウォズニアックに目を向けると、 01:08:55.831 --> 01:09:01.451 彼らは電話会社から回線をだまし取るよう 設計されたBlueBoxの販売を始めていた。 01:09:01.627 --> 01:09:04.671 ビル・ゲイツとポール・アレンに目を向けると、 01:09:04.671 --> 01:09:08.430 彼らは当初ハーバード大学のコンピューター利用 時間を使って自身のビジネスを始めていた、 01:09:08.430 --> 01:09:11.441 これは非常に明らかにルールに反している。 01:09:11.462 --> 01:09:13.332 アーロンと今私が言及した人々との違いは 01:09:13.332 --> 01:09:17.952 アーロンは世界をより良くしようと欲し、 そしてお金儲けをしたかったわけではないんだ。 01:09:18.984 --> 01:09:23.151 スワーツは様々なインターネットの 問題に対する率直な意見を続けていた。 01:09:23.624 --> 01:09:28.850 知っての通り、インターネットが機能している 理由は、アイデアの競争市場があるからだ、 01:09:28.850 --> 01:09:32.978 そして注目すべきは、政府についての情報、アクセシビリティ、 01:09:32.978 --> 01:09:38.484 議論、討論は増えているのに、むしろ国会は これらを締め出すことしか頭にないように見える。 01:09:38.670 --> 01:09:44.319 アーロンは人々にとてもはっきりと世界を説明することで、 世界を変える事ができると考えていました。 01:09:44.319 --> 01:09:48.728 [RT インタビュワー] フレームによって文字通りあなたの コンピューターは制御され、そしてあなたを偵察する。 01:09:48.738 --> 01:09:52.238 ようこそアーロン。この番組で再びお会いできて光栄です。 01:09:52.238 --> 01:09:56.485 ご存知のように、昔スパイが使っていた手口は、 小型マイクを仕込み会話を盗聴していた、 01:09:56.485 --> 01:09:58.957 今は同じことをするのにコンピューターを使う。 01:09:58.957 --> 01:10:01.726 スワーツの政治的活動は継続していた、 01:10:01.726 --> 01:10:06.676 彼の関心はオンライン海賊行為を制限するよう 作成された、会議を通過中の法案へと移った。 01:10:06.795 --> 01:10:08.709 "SOPA"と呼ばれる法案だ。 01:10:08.944 --> 01:10:12.724 ピーター・エカズリーのような活動家は この法案は非常に行き過ぎで、 01:10:12.724 --> 01:10:16.131 インターネットそのものの 技術的完全性を脅かすものと見ていた。 01:10:16.131 --> 01:10:18.419 最初にしたことの1つが アーロンへの電話でした。 01:10:18.419 --> 01:10:21.622 「これに反対する大きなオンライン キャンペーンをやらないか?」と。 01:10:21.622 --> 01:10:24.466 「これは著作権に関する法案ではない」 01:10:24.786 --> 01:10:26.276 「違うのか?」 01:10:26.418 --> 01:10:30.198 「違う」彼は言った、 「これは接続の自由に関する法律だ」 01:10:30.345 --> 01:10:32.463 だからその話に耳を傾けた。 01:10:32.463 --> 01:10:35.922 そしてスワーツは少しの間法案について考え、 そして言いました、「そうだ」、と。 01:10:35.922 --> 01:10:38.088 そして彼はDemand Progressを設立しました。 01:10:38.088 --> 01:10:44.184 [Demand Progress 創設者、アーロンの友人]: Demand Progressはオンラインの行動派組織で、 現在は150万人のメンバーで活動しています、 01:10:44.184 --> 01:10:47.231 でも設立したのは2010年の秋でした。 01:10:47.262 --> 01:10:50.092 アーロンはこの国の政府レベルの 社会正義問題に関わる 01:10:50.092 --> 01:10:55.390 組織作りを手助けしたコミュニティの 中でも最も突出した人物の1人でした。 01:10:55.390 --> 01:11:01.193 [電子フロンティア財団 活動家]: SOPAは音楽や映画のオンラインにおける海賊行為の 抑制を目的とした法案だった、 01:11:01.193 --> 01:11:06.993 しかしその実際は、おおむね外科手術が必要な 問題にハンマーを持ち出すようなものでした。 01:11:07.161 --> 01:11:13.124 もしこれが通過すれば、司法は正当な手続きを経ることなく、 ウェブサイトへの資金流入を遮断したり、 01:11:13.124 --> 01:11:16.334 そのサイトリンクの除外をGoogleへ 強制したり、これらを企業に認めることになる。 01:11:16.334 --> 01:11:20.583 企業が必要としていたのは 著作権侵害に対する1つの要求だった。 01:11:20.583 --> 01:11:26.780 そしてそれは伝統的なメディアの巨人たちと、新しい 遥かに洗練されたリミックス文化とを対抗させることになった。 01:11:26.780 --> 01:11:30.227 これによりウェブサイトを持つ誰もが警察官と出くわす事になる、 01:11:30.227 --> 01:11:33.609 そして仮にそのサイトを、まさに違法性を持つ 目的で使用しようとする人間を確認する義務を 01:11:33.609 --> 01:11:38.799 果たさなくても、審判請求なしに サイト全体を遮断することができる。 01:11:38.848 --> 01:11:43.421 これはやりすぎです。というか、大惨事です。 01:11:43.421 --> 01:11:51.632 この法案はインターネットを使う人たち全ての 表現、市民の自由に対する深刻な脅威です。 01:11:51.632 --> 01:11:55.574 ごく一握りの人間のみが、「見てみろ、 海賊行為を支持するつもりはないが、 01:11:55.574 --> 01:12:00.267 [オレゴン州 民主党上院議員]: しかしインターネットの構造、ドメインネームシステム などの自由でオープンな多くのものを、 01:12:00.267 --> 01:12:05.672 海賊行為に対する戦いという名の元に 破壊しようなんて意味がわからない」と声を上げた、 01:12:05.672 --> 01:12:07.437 そしてアーロンはすぐさま立ち上がったのです。 01:12:07.437 --> 01:12:11.557 自由、この憲法で保証された、 私たちの国を作り上げてきた自由が、 01:12:11.557 --> 01:12:13.739 突然削除されることになる。 01:12:13.739 --> 01:12:18.611 新しいテクノロジーが、さらなる自由を もたらすのではなく、当たり前だと思っていた 01:12:18.611 --> 01:12:21.282 基本的権利を消滅させるだろう。 01:12:21.282 --> 01:12:27.260 そして僕はその日、ピーターと話し合った時に気がついた、 これを見過ごすわけにはいかないと。 01:12:28.483 --> 01:12:32.925 SOPAが2011年10月に提出された時点で、 可決は避けられないと考えられていました。 01:12:32.925 --> 01:12:37.417 最初に法案が登場した際の我々の戦略では、 うまくいけば法案の通過を遅らせる、 01:12:37.417 --> 01:12:41.367 あるいは少しでも弱体化しようと いったもので、まさか 01:12:41.367 --> 01:12:44.828 法案通過を阻止できるとは考えていませんでした。 01:12:45.680 --> 01:12:51.460 ワシントンで働いていた時に学んだのは、 ワシントンではたいてい、 01:12:51.460 --> 01:12:57.700 議会闘争というのは、異なる企業資本絡みの 利権同士の闘いだということです。 01:12:57.700 --> 01:13:02.093 彼らはみな法案通過のために格闘します、 そしてその闘いが接戦となる時、 01:13:02.093 --> 01:13:07.073 それは企業利権と別の企業利権同士の闘いで、 01:13:07.073 --> 01:13:10.747 選挙献金とロビー活動の点において 財政的に互角である場合です。 01:13:10.747 --> 01:13:12.661 こうした闘いは接戦になります。 01:13:12.661 --> 01:13:16.413 そしてたいてい互角の闘いとならないものは、 01:13:16.413 --> 01:13:20.676 全ての資金、全ての企業が一方にいて、 01:13:20.691 --> 01:13:23.603 そして反対側には何百万の市民だけという場合です。 01:13:25.067 --> 01:13:30.369 私が公職にいた間、PIPAやSOPAの ようなものを見たことがなかった。 01:13:31.046 --> 01:13:37.150 この法案を40人以上の アメリカ上院議員が共同提案していた、 01:13:37.150 --> 01:13:40.534 そのため審査手続きをすべてクリアするのに必要な 01:13:40.534 --> 01:13:43.968 60票の投票を得るための長い道のりをすでに経てきていた。 01:13:44.456 --> 01:13:47.603 僕でさえ我が身を疑い始めた。 大変な時期だった。 01:13:48.112 --> 01:13:53.471 スワーツとDemand Progressは昔ながらの支援活動に加え、 とても簡単に国会議員に電話できるよう、 01:13:53.471 --> 01:13:59.267 一般的なVoIPを組み合わせて、 莫大なサポートを集結させることができた、 01:14:00.011 --> 01:14:03.847 技術面とキャンペーン戦略の面、その両方において 01:14:03.847 --> 01:14:07.985 彼のようなレベルで運営できる人物に会ったことがありません。 01:14:08.607 --> 01:14:12.669 何百万の市民が議会にコンタクトを取り、 SOPA反対請願に署名した。 01:14:12.948 --> 01:14:15.381 議会は不意を突かれた。 01:14:15.381 --> 01:14:20.433 法案を審議している馬鹿な議会議員、 01:14:20.433 --> 01:14:22.690 我々はインターネットを規制できる、 01:14:22.690 --> 01:14:25.248 オタク連中には止められないと断言する 彼らを垣間見てきた。 01:14:25.248 --> 01:14:26.390 私はオタクじゃない。 01:14:26.391 --> 01:14:27.928 オタクでは不十分だ…… 01:14:27.928 --> 01:14:31.120 私たちはこのことが実際どうなるのか オタクたちに聞いてみるべきかもしれない。 01:14:31.120 --> 01:14:33.353 公聴会を開こう、オタクたちを招いて…… 01:14:33.353 --> 01:14:35.830 [笑い声] 01:14:35.830 --> 01:14:37.549 まじで? 01:14:37.549 --> 01:14:40.087 [笑い声] 01:14:40.087 --> 01:14:41.375 「オタク」だって? 01:14:41.375 --> 01:14:42.101 [笑い声] 01:14:42.101 --> 01:14:45.658 ねぇ、思うんだけど、あなた方が お探しの単語って、「専門家」じゃないの? 01:14:45.658 --> 01:14:47.095 [笑い声] 01:14:47.095 --> 01:14:51.605 その法案が裏目に出てインターネットを 壊したりすることはない、って 01:14:51.605 --> 01:14:53.094 啓蒙したければさ! [観衆のさらなる笑い声と拍手] 01:14:53.094 --> 01:14:56.639 私たちはギークという言葉を使いました、 でもそれを使うことにしたのは私たちがギークだったからです。 01:14:56.639 --> 01:15:01.575 この経験で得た事実、 技術的な専門家との対話の欠如は、 01:15:01.575 --> 01:15:04.808 この街に問題が存在するという 事実に反映されている。 01:15:04.808 --> 01:15:12.138 この私の目前に呼び出し、公聴会で証言し、「これが 君たちが間違っている理由だ」と言える人物を求めている。 01:15:12.269 --> 01:15:15.411 かつては科学的、技術的なアドバイスを提供する 米国議会技術評価局があって、 01:15:15.411 --> 01:15:19.208 議員らはそこへ行って、「これらの理解を 手伝ってくれないか」と頼むことができた。 01:15:19.208 --> 01:15:22.295 ギングリッチがそれを潰してしまった。 お金の無駄だと言って。 01:15:22.295 --> 01:15:26.188 それ以来ずっと、議会は暗黒時代に陥ってしまいました。 01:15:26.219 --> 01:15:29.744 アーロンも含めて、SOPAを打ち負かすことができると 考えている人間はいなかったと思います。 01:15:30.274 --> 01:15:34.533 試す価値はあるけど、勝てる見込みなんてないわ、と、 01:15:34.533 --> 01:15:38.583 そしてたしか2、3ヶ月後、彼が私の方を向いて、 01:15:38.583 --> 01:15:40.670 「僕たちは勝てるかもしれないぞ」って。 01:15:40.670 --> 01:15:42.719 そして思いました、「なんてすごいことなんだろう」と。 01:15:44.249 --> 01:15:46.434 議会への要求は続いた。 01:15:46.434 --> 01:15:50.137 ドメインホスティングサイトGo Daddyが 法案の支持者になった際、 01:15:50.137 --> 01:15:55.212 1万人以上のユーザーが抗議のために 自身のドメインを移管した。 01:15:55.212 --> 01:16:00.146 1週間もせずに、恐れをなしたGo Daddyは SOPAに対する立場を逆転させた。 01:16:00.146 --> 01:16:06.303 レコード会社や映画会社に支持されていた 国会議員たちが、 01:16:06.303 --> 01:16:10.389 この反発の存在に気がついた時、 彼らは法案の規模を若干縮小しました。 01:16:10.389 --> 01:16:15.881 起こりつつある変化が見えた。 私たちの議論が共鳴し始めていた。 01:16:15.881 --> 01:16:18.904 それはまるでアーロンがマッチで 火を着け、それが広がり、 01:16:18.904 --> 01:16:20.715 また別のマッチに火を着け、それが広がり、 01:16:20.715 --> 01:16:24.082 ついには本当の炎となるのに充分な 焚付に成長するまで彼が管理し、 01:16:24.082 --> 01:16:26.500 そしてこの燃え盛る大火となったようでした。 01:16:26.910 --> 01:16:31.373 2012年1月16日、ホワイトハウスは法案を 01:16:31.373 --> 01:16:34.258 支持しないという声明を発表。 01:16:34.258 --> 01:16:36.202 そして、それは起こった。 01:16:36.202 --> 01:16:40.202 私は海賊行為の問題に 対処すべきだと大いに信じています、 01:16:40.202 --> 01:16:44.744 そして我々も真剣に対処すべきでしょう、 しかしこの法案は正当な法案ではない。 01:16:44.744 --> 01:16:48.857 ジミー・ウェールズがWikipediaの停止、 ブラックアウトを通じて運動を支援したその時、 01:16:48.857 --> 01:16:52.369 世界第5位の有名サイト、 01:16:52.369 --> 01:16:58.530 これはインターネット上で行われる 全てのクリックの7%にあたる。 01:16:58.530 --> 01:17:00.129 Wikipediaがブラックアウト。 01:17:00.129 --> 01:17:01.511 Redditがブラックアウト。 01:17:01.511 --> 01:17:03.300 Craigslistがブラックアウト。 01:17:03.300 --> 01:17:06.109 連邦議会の電話回線は またたく間にパンク。 01:17:06.109 --> 01:17:10.835 議会議員たちはたった2日前に 推進した法案への支持を 01:17:10.835 --> 01:17:13.147 撤回する声明の作成に殺到し始めた。 01:17:13.546 --> 01:17:17.838 24時間内に、議会内のSOPA反対派の数は、 01:17:17.853 --> 01:17:19.167 これから…… (賛成80:反対31) 01:17:19.167 --> 01:17:20.701 こうなった。 (賛成65:反対101) 01:17:22.706 --> 01:17:29.815 上院、下院議員たちがブラックアウトデイを 通してゆっくりと態度を変えるのを見たのは、 01:17:29.821 --> 01:17:31.385 とても信じられなかった。 01:17:31.385 --> 01:17:34.568 100人近くの議員が移行した。 01:17:34.568 --> 01:17:38.734 そしてその時、僕にとって 信じられないことだが、色々とあってついに、 01:17:38.734 --> 01:17:40.756 私たちは勝利した。 01:17:40.759 --> 01:17:42.469 皆が不可能だと言っていた、 01:17:42.469 --> 01:17:46.409 いくつかの世界の大企業たちが 夢物語だとして片付けたことが、 01:17:46.409 --> 01:17:48.207 起こってしまった。 01:17:48.552 --> 01:17:50.467 私たちはやり遂げた。 01:17:50.803 --> 01:17:52.689 私たちは勝った。 01:17:55.405 --> 01:17:58.571 インターネットの政治問題、ひいてはアメリカの 政治問題にとって歴史的な1週間です。 01:17:58.571 --> 01:18:03.838 ワシントンの、連邦議会のスタッフから聞いた話では: 01:18:03.838 --> 01:18:08.538 今までに受け取った以上のメールや電話を 01:18:08.538 --> 01:18:10.747 SOPAブラックアウトデイで受け取ったと。 01:18:10.747 --> 01:18:12.817 あの時は非常に興奮した瞬間だと思う。 01:18:12.817 --> 01:18:17.640 インターネットが政治的に成長した瞬間だった。 01:18:17.644 --> 01:18:21.198 本当に起きたことが信じられないほど気分爽快だった。 01:18:21.198 --> 01:18:25.365 背後に多額の資金力を持つ法案の通過が、簡単に 01:18:25.389 --> 01:18:29.151 楽々と行われなかったことが信じられなかった。 01:18:29.151 --> 01:18:32.167 そしてそれだけでなく、全く通過しなかった。 01:18:33.783 --> 01:18:36.479 時々自分が無力だと感じるのは簡単だ、 01:18:36.479 --> 01:18:40.524 街に繰り出しデモ行進をし大声を上げても 誰にも聞き入れてもらえないときは。 01:18:40.529 --> 01:18:43.018 しかし今日ここであなたたちに言いたい、 あなたたちにはパワーがある。 01:18:43.018 --> 01:18:45.725 [観客の声援] 01:18:45.725 --> 01:18:50.546 時々聞き入れてもらえてないと感じるかもしれない、 しかし今日ここであなたたちに言いたい。 01:18:50.546 --> 01:18:53.118 あなたがたは聞き入れられている。 あなたがたは変革している。 01:18:53.118 --> 01:18:56.932 闘うのをやめなければ この法案を阻止できる。 01:18:56.932 --> 01:18:59.579 [観客の声援] 01:18:59.579 --> 01:19:00.620 PIPAを阻止しよう。 01:19:00.620 --> 01:19:02.586 SOPAを阻止しよう。 01:19:02.586 --> 01:19:03.882 [観客の声援] 01:19:03.882 --> 01:19:07.368 最大級のインターネット企業のいくつかが、 あからさまに言えば、 01:19:07.368 --> 01:19:11.219 小さな競合相手を検閲できるような世界から利益を得る。 01:19:12.429 --> 01:19:14.642 私たちは見過ごすことはできない。 01:19:14.642 --> 01:19:19.552 彼にとっては、大きな変革の内のごく一部の役割を果たすより 01:19:19.552 --> 01:19:23.178 確実に小さな変革を成し遂げることに、 より興味がありました。 01:19:23.178 --> 01:19:27.797 でもSOPAでは大きな変革で 大きな役割を果たしたんです、 01:19:27.797 --> 01:19:30.753 なので彼にとっては、こういった 概念を実証したようなものでした、 01:19:30.753 --> 01:19:34.796 「OK、僕の人生の目的は世界を変えることだ」 01:19:34.796 --> 01:19:39.821 「僕の影響力を科学的な測定法で検討すると、 01:19:39.821 --> 01:19:42.731 それは実現可能だと示された」 01:19:42.731 --> 01:19:45.578 「僕の人生の目的は実現可能だ」 01:19:45.578 --> 01:19:48.653 「ぼくはやり遂げられると証明された、 01:19:48.653 --> 01:19:50.730 それはつまり、アーロン・スワーツは 世界を変えられるということだ」 01:19:50.730 --> 01:19:57.516 自身をよくやったと心から感じたことがない、 つまりアーロンのことですが、そういう男にとって、 01:19:59.161 --> 01:20:04.115 この出来事は、なにか良い事を やり遂げたと彼自身が感じているのを、 01:20:04.115 --> 01:20:06.769 これが唯一で最後となるかもしれない ウイニングランだと感じているのを、 01:20:06.854 --> 01:20:11.836 見ることができた数少ない瞬間の1つでした。 01:20:13.538 --> 01:20:15.904 SOPAを阻止する方法はないと皆が言っていた。 01:20:15.904 --> 01:20:17.337 私たちはそれを阻止した。 01:20:17.337 --> 01:20:22.077 3つの素晴らしい、幸先のいい勝利だった、 そして今年はまだ終わってない。 01:20:22.077 --> 01:20:26.257 つまり、前向きになれる時があるなら、 それは今だ。 01:20:26.687 --> 01:20:29.799 ご存知のように、彼は逮捕後、 その年にSOPAを打ち負かしました。 01:20:29.799 --> 01:20:33.363 明らかに幸せな瞬間とは言えなかった。 多くのことが進行中でした。 01:20:33.363 --> 01:20:39.766 彼はとても政治的プロセスへの参加に 順応していたので、彼を止められなかった。 01:20:39.766 --> 01:20:44.301 スワーツが設立、ないし共同設立した 組織のリストは膨大で、 01:20:44.301 --> 01:20:47.862 エドワード・スノーデンが広範囲にわたるインターネット 監視について暴露する何年も前の事だった。 01:20:47.862 --> 01:20:50.780 スワーツの身はすでに案じられていた。 01:20:50.780 --> 01:20:54.584 スパイ計画がどれほど大きいのか といった基本的統計情報すら持っていないほど、 01:20:54.584 --> 01:20:59.587 説明責任がとても曖昧だというのは衝撃的です。 01:20:59.587 --> 01:21:04.013 もし回答が「ああ、たくさんの人間をスパイしてるので カウントすることすらできない」だとしたら、 01:21:04.013 --> 01:21:06.101 その人数は非常に大勢になるだろう。 01:21:06.101 --> 01:21:09.743 もし回答が「見てくれ、我々は スパイしている電話の本数は把握している、 01:21:09.743 --> 01:21:12.430 これに対応する実際の人間の正確な数は 分からない」というなら話は別だ、 01:21:12.430 --> 01:21:15.759 しかし彼らは戻ってきて言うには、 「その数字を答えることはできない」 01:21:15.759 --> 01:21:18.644 これはとても……、つまり、 恐ろしいことだ、そしてこれが事実だ。 01:21:18.731 --> 01:21:25.733 彼には途方もない圧力が掛けられ、 彼が稼いだ資金の全てが取り上げられました。 01:21:25.733 --> 01:21:29.578 知ってのとおり、彼の身の自由も 奪い去られる危険がありました。 01:21:29.578 --> 01:21:34.228 なぜそうしたのか分かりますか? つまり、なぜ内部告発者を追い詰めようとしたのか? 01:21:34.228 --> 01:21:38.034 なぜ様々な事柄について、つまり、銀行から、戦争、 01:21:38.034 --> 01:21:46.122 政府の透明性にまで関わる真実を伝えようと する人間を追い詰めようとしたのか? 01:21:46.354 --> 01:21:49.626 そういうわけで、秘密主義はすでに権力を持つ側の役に立ち、 01:21:49.626 --> 01:21:54.888 そして私たちは、政府が十中八九不法で違憲な 様々なことを行っている時代と 01:21:54.888 --> 01:21:58.600 相重なるように、秘密主義の時代に生きている。 01:21:58.600 --> 01:22:01.074 つまり、この2つは偶然じゃない。 01:22:01.124 --> 01:22:04.478 この技術が海外の小さな国のためではなく、まさにここで、 01:22:04.478 --> 01:22:09.621 アメリカで使うために、アメリカの政府によって 開発されたことは非常に明らかです。 01:22:09.621 --> 01:22:14.384 スパイ計画の問題は、これが 長い期間にゆっくりと拡大していることです、 01:22:14.384 --> 01:22:16.539 遡ることニクソン政権から、 01:22:16.539 --> 01:22:19.686 ジョージ・W・ブッシュ政権下、 9/11以後に大きくなり始め、 01:22:19.686 --> 01:22:23.616 オバマ政権下で拡大を続けている、 そしてこの問題はゆっくり、ますます悪化している、 01:22:23.618 --> 01:22:26.281 しかしこういったように指摘できた瞬間はなかった、 01:22:26.281 --> 01:22:31.941 「よし、我々には今こそ反対論の活性化が必要だ、なぜなら……」 01:22:32.455 --> 01:22:38.653 私の見るところ、今回のアーロン・スワーツへの起訴は オバマ政権を政治的脅威と見る 01:22:38.653 --> 01:22:45.413 グループに特定の強烈なメッセージを送ることになった、 01:22:47.341 --> 01:22:53.867 そのグループとは基本的に、ハッカーの、情報の、 そして民主主義活動家のコミュニティで、 01:22:53.867 --> 01:22:59.465 こうしたコミュニティにオバマ政権が 送ろうとしたメッセージとは、 01:22:59.465 --> 01:23:04.415 私の見立てでは、「あなたがたは既存体制に対し トラブルを起こす能力があることを我々は知っている、 01:23:04.415 --> 01:23:08.517 そして我々は、あなたがたの多くがこうしたトラブルを 引き起こしたくないと恐れるよう、 01:23:08.517 --> 01:23:13.418 アーロン・スワーツを見せしめにしようとしている」 01:23:13.583 --> 01:23:17.260 そして政府が言うには、「ああ、スパイ計画を合法化するのに 01:23:17.260 --> 01:23:20.376 利用している法的意見についても機密事項だ、 01:23:20.376 --> 01:23:23.641 だからあなたをスパイするのに 使っている法律も言うことはできない」 01:23:23.641 --> 01:23:26.461 知ってのとおり、いつでも彼らは決まってそう言う、 「ああ、これは別の形のサイバー戦争だ。 01:23:26.465 --> 01:23:29.900 サイバー犯罪が再び私たちを襲っている。 皆が危機に直面している。皆が脅威に晒されている」 01:23:29.900 --> 01:23:33.737 ますます危険な法律を通過させるために こうした言い訳を使っている。 01:23:35.203 --> 01:23:40.388 [2012年7月10日、最後のインタビューとして 知られるものの1つ、映画 War For The Web より] [インタビュワー] 続いての質問ですが、個人的に、 闘いが進行しているときどのように感じていますか? 01:23:40.947 --> 01:23:41.984 ご想像にお任せしますよ! 01:23:41.984 --> 01:23:44.554 わかってます。もちろん、でももう行かなければ…… 01:23:47.360 --> 01:23:52.616 知ってのとおり、2つの対立する見方があります、そう、 01:23:52.616 --> 01:23:57.122 全てが偉大で、インターネットがこの自由で縛られない ものたちを作り上げ、全てが素晴らしくなっていく、 01:23:57.122 --> 01:23:58.513 一方は、全てがひどいもので、 01:23:58.513 --> 01:24:01.472 インターネットがクラックやスパイ用のツール群を作り出し、 01:24:01.472 --> 01:24:03.681 私たちの発言を統制している。 01:24:03.681 --> 01:24:05.818 そしてこれは2つとも正しい、そうでしょう? 01:24:05.818 --> 01:24:09.796 インターネットはこの2つのことを行う、 それらは素晴らしく、また衝撃的で、 01:24:09.796 --> 01:24:12.603 長期間どちらを勝ち取るのかは私たち次第だ。 01:24:12.603 --> 01:24:17.314 「ああ、こっちのほうが断然いいよね」と言ったところで 意味がない、ご存知のように、この2つの見方はどちらも正しい。 01:24:17.321 --> 01:24:21.153 そしてどちらを力説し、どちらを生かしていくかは私たち次第だ、 01:24:21.153 --> 01:24:23.600 なぜならこの2つの見方は現に存在し、 そして常にそこにあり続けるのだから。 01:24:28.950 --> 01:24:35.010 2012年9月12日、連邦検事らは電子通信による不正行為、 コンピューターへの不正アクセスならびに不正行為における 01:24:35.010 --> 01:24:40.170 訴因を追加した、スワーツに対する追加的変更の起訴状を提出。 01:24:40.465 --> 01:24:45.592 これで、4つの重罪にかわって、 13の重罪に問われることになった。 01:24:45.592 --> 01:24:48.563 検事らの影響力は劇的に増加、 01:24:48.563 --> 01:24:52.134 スワーツの懲役と罰金を見込めるほどに。 01:24:52.134 --> 01:24:55.694 彼らはさらなる変更を加えるために訴状を分けて提出した、 01:24:55.694 --> 01:25:01.876 そしてなぜこの行為がこれら多くの連邦犯罪を構成し、 01:25:01.876 --> 01:25:06.010 法律に基づいた数多くの処罰を加えられるのか といった持論を持っていました。 01:25:06.861 --> 01:25:10.656 その持論、そしてスワーツに対する検察側の言い分に 01:25:10.656 --> 01:25:13.952 関連する法律は本来は1986年に作られたものだった。 01:25:13.952 --> 01:25:16.663 「コンピュータ犯罪取締法」と呼ばれる法律だ。 01:25:16.666 --> 01:25:17.960 コンピュータ犯罪取締法は 01:25:17.960 --> 01:25:21.888 マシュー・ブロデリック主演の映画、ウォーゲームに 触発されたものでした─素晴らしい映画でした。 01:25:21.888 --> 01:25:23.354 [ブロデリック] 頂くぞ。 01:25:23.354 --> 01:25:27.743 この映画では、ある少年がコンピューター ネットワークの魔法のような力で、 01:25:27.743 --> 01:25:30.131 核攻撃を開始する能力を得ます。 01:25:30.131 --> 01:25:33.501 [ミサイルの発射音] 01:25:33.501 --> 01:25:37.674 [電子フロンティア財団 法務顧問]: もちろん、実際には無理です、 そして80年代では確実に不可能ですが、 01:25:37.674 --> 01:25:41.375 話によれば、この映画が当初のコンピュータ犯罪取締法を 01:25:41.375 --> 01:25:44.592 通過させるに充分なほど、議会を怯えさせたようです。 01:25:44.592 --> 01:25:48.871 これはまさに時代遅れの法律です、例えば、 01:25:48.871 --> 01:25:54.105 合意などといった利用規約によっても罰せられる。 eHarmonyやMatch.comといったサイトで、 01:25:54.105 --> 01:26:01.431 誰かが自身の個人的特徴を誇張したりすれば、 01:26:01.431 --> 01:26:05.705 前触れもなしに、法域や検察官によっては 01:26:05.705 --> 01:26:07.958 たくさんのトラブルに巻き込まれることになる。 01:26:07.962 --> 01:26:10.144 「利用規約」の意味は皆がわかっている。 01:26:10.144 --> 01:26:14.188 ほとんどの人はそれを読まない、 しかしそれらの規約を遵守しなければ、 01:26:14.188 --> 01:26:15.857 重罪を犯したことになる。 01:26:15.857 --> 01:26:18.542 ウェブサイトの利用規約はたいていこんな感じです: 01:26:18.542 --> 01:26:22.439 「お互い仲良くしましょう」とか、 「不適切なことをしてはいけません」とか。 01:26:22.439 --> 01:26:27.188 刑法の考えというのは何らかの 違反行為について述べたものであって、 01:26:27.188 --> 01:26:29.538 たいていの人はクレージーだと感じるでしょう。 01:26:29.998 --> 01:26:32.964 この一例は更に「クレージー」だ: 01:26:32.964 --> 01:26:39.484 2013年5月に変更されるまで、 雑誌Seventeenのウェブサイトの利用規約では 01:26:39.484 --> 01:26:42.777 サイトを読むには18歳以上でなければ ならないと書かれていた。 01:26:42.777 --> 01:26:46.674 コンピュータ犯罪取締法を司法省が解釈すれば、 01:26:46.674 --> 01:26:48.999 私たちはおそらく皆違法だと言わざるを得ません。 01:26:49.199 --> 01:26:54.540 曖昧で乱用されがちなコンピュータ犯罪取締法は、 広範囲のコンピューター関係の論争に使われる 01:26:54.540 --> 01:26:57.141 万能サイズの鉄槌へとなっていった。 01:26:57.141 --> 01:27:00.156 彼の訴訟での唯一の要因とは言えないが、 01:27:00.156 --> 01:27:04.935 スワーツに対する13のうち11の容疑で コンピュータ犯罪取締法が関係していた。 01:27:07.248 --> 01:27:11.815 アーロン・スワーツの物語において繰り返し もたげてくる「なぜ?」という疑問。 01:27:11.815 --> 01:27:16.155 それは政府の原動力、 そしてこの訴訟をどうするつもりだったのか? 01:27:16.155 --> 01:27:19.370 司法省は疑問への回答依頼を拒否したが、 01:27:19.370 --> 01:27:23.694 オリン・カー教授は元検事で、今回の事例を研究していた。 01:27:23.694 --> 01:27:28.059 [ジョージ・ワシントン大学 法律学教授]: 私は様々な理由で他の人よりも異なる視点から、 この事例について考えられると思います: 01:27:28.059 --> 01:27:31.201 私は教職に入る前の3年間 01:27:31.201 --> 01:27:34.191 司法省の連邦検事でした。政府は 01:27:34.191 --> 01:27:38.321 どのような犯罪が行われたかを判断し、 それに基づいて起訴状を提出します、 01:27:38.321 --> 01:27:42.055 純粋な法律家の問題として、 前例から判断し、法律から判断し、 01:27:42.055 --> 01:27:45.804 歴史から判断し、これまでに 明らかになった事例から判断します、 01:27:45.804 --> 01:27:48.936 こういったものに基づいたものが 公平な訴訟だと私は考えます。 01:27:48.936 --> 01:27:51.396 この事件を起訴すべきだったかどうかに ついて討論することもできます。 01:27:51.396 --> 01:27:56.825 様々な意見の相違があります。オープンアクセス側の 立場の人たちもいれば、そうでない人もいる。 01:27:57.681 --> 01:28:03.108 政府はスワーツの「ゲリラオープンアクセス マニュフェスト」をとても重大に受け止め、 01:28:04.086 --> 01:28:10.079 スワーツが不法だと捉えた 法律を乗り越え、破るといった 01:28:10.079 --> 01:28:15.202 倫理的義務にかられて犯行を 犯した人物と捉えたんだと思います、 01:28:15.202 --> 01:28:20.940 そして民主主義では、法律が不法だと感じれば、 その法律を変える方法があります。 01:28:20.940 --> 01:28:24.675 スワーツがSOPAで見事に 成し遂げたように、議会に赴くか、 01:28:24.675 --> 01:28:28.441 さもなければある意味法律を無効にしようと 法に違反することもできます、 01:28:28.444 --> 01:28:34.178 検察官を駆り立てたのは、 スワーツが法律に違反しただけでなく、 01:28:34.195 --> 01:28:39.831 法律が無効であることを実際に確かめようと 犯罪を犯したというこの印象にあると私は考えます、 01:28:39.831 --> 01:28:43.664 「覆水盆に帰らず」というわけで、 01:28:43.664 --> 01:28:47.328 皆がデータベースにアクセスできるようになる。 01:28:47.328 --> 01:28:51.199 そうなれば、スワーツ側の勝ちでしょう。 01:28:52.475 --> 01:28:56.080 不当な法律であるかどうかには 社会の中でも大きな意見の相違があり、 01:28:56.080 --> 01:29:00.141 そして最終的に、それはアメリカ国民のために 議会を通して作り上げていく意思決定となる。 01:29:00.141 --> 01:29:03.712 そして2つ目の問題だと私が考えるのは、 私たちがいまだ見つけ出そうとしているもの、 01:29:03.712 --> 01:29:07.867 重罪と重罪でないものを分かつものは何か? 01:29:07.867 --> 01:29:12.056 私たちは今までと異なるコンピューター、 その悪用という状況に入りつつあり、 01:29:12.056 --> 01:29:16.754 そして我々は厳密に線引きする確固たる判断を未だ持っていない、 01:29:16.754 --> 01:29:19.337 なぜなら今現在それに取り組んでいる。 01:29:19.360 --> 01:29:22.209 これは訴追裁量のまずい使い方です。 01:29:22.209 --> 01:29:25.878 司法省が人々を恐れさせようと、その鉄槌は 01:29:25.878 --> 01:29:28.514 ますます大きく、大きくなりつつあります、 01:29:28.514 --> 01:29:32.960 そしてたいていの人々は、自分の人生を サイコロのように賭けたりしない。 01:29:32.960 --> 01:29:35.431 第三者の電話を盗聴すべきでしょうか? 第三者を撮影すべきでしょうか? 01:29:35.431 --> 01:29:39.389 人の裏をかいて別の人々に対する 不利な証言をさせるべきでしょうか? 01:29:39.389 --> 01:29:42.358 連邦捜査員や連邦検事はそのように考えている。 01:29:42.358 --> 01:29:45.204 彼らは訴訟を組み立て、訴訟を作っている。 01:29:46.918 --> 01:29:51.316 スワーツは後戻りできない重犯罪刑事司法制度の 歯車に絡め取られてしまった、 01:29:51.626 --> 01:29:57.121 アメリカという国が作った、 世界一の投獄率を誇るこの機械の歯車に。 01:29:57.121 --> 01:30:02.732 この国では、恐怖や怒りといった政治判断によって 逮捕することを自身に許してしまっている、 01:30:02.732 --> 01:30:08.436 [Equal Justice Initiative 事務局長]: インターネットとそのアクセスの未来と言ったものを危惧し、 01:30:08.443 --> 01:30:13.703 またそれに怒り、無意識のうちに刑事司法の介入を生み出し、 01:30:13.703 --> 01:30:19.504 歴史的にかつて見たことのない刑事司法の諸問題を 01:30:19.504 --> 01:30:23.173 解決するために、拘置所や刑務所、刑罰を使っている。 01:30:23.173 --> 01:30:28.422 この脅迫や起訴を行いたいという衝動、 01:30:28.422 --> 01:30:33.023 インターネット上の情報、そしてオンラインアクセスから 生み出されたこの討論と論争のうちの1つの論点、 01:30:33.023 --> 01:30:35.458 これは他の分野で見られる論点と非常に一致している。 01:30:35.458 --> 01:30:39.980 唯一の違いは、たいていこの種の 犯罪や刑務所に対する反応によって 01:30:39.980 --> 01:30:45.661 ターゲットとなり、犠牲となる人々は 典型的に貧しく、またマイノリティです。 01:30:47.597 --> 01:30:50.900 スワーツが抱える友人や家族からの孤立感は増していった。 01:30:50.900 --> 01:30:53.543 彼は基本的に活動するのをやめてしまいました、 01:30:53.548 --> 01:30:57.006 今回の事件は、もっと言えば、 彼の人生そのものを奪ってしまいました。 01:30:57.006 --> 01:31:02.697 アーロンの弁護士の1人の話では、 検察官いわく、彼は感情的に弱く、 01:31:02.697 --> 01:31:06.893 その上それを留意する必要があったので その事実を知っていた、と語ったそうです。 01:31:06.893 --> 01:31:09.270 この事は彼にとても重くのしかかっていました。 01:31:10.060 --> 01:31:15.584 行動する気が起きないようで、 多少なりとも彼の行動は制限されていました、 01:31:15.584 --> 01:31:20.902 そして彼をさんざん傷めつけた投獄への恐怖が 01:31:21.919 --> 01:31:23.591 彼を怯えさせました。 01:31:23.591 --> 01:31:27.180 息子は金融資産を完全に使い果たし、 01:31:27.180 --> 01:31:32.318 そして多額の経費を使ったため、 彼はかなりの金額を工面しました、 01:31:32.318 --> 01:31:36.181 その額は、そう、数百万ドルにのぼりました。 01:31:36.205 --> 01:31:38.341 [インタビュワー] 法的弁護のために? - はい。 01:31:38.341 --> 01:31:40.855 - 数百万ドルも? - はい。 01:31:41.299 --> 01:31:43.942 彼は人々の重荷になりたくなかったんだと思います。 01:31:43.942 --> 01:31:47.516 これが要因だったんだと思います、 「普段通りの生活を送っていたが、 01:31:47.516 --> 01:31:49.492 その後解決しなければならない このひどいトラブルを抱え、 01:31:49.492 --> 01:31:53.249 可能な限りこのトラブルから距離を置こうとしたが、 01:31:53.249 --> 01:31:57.484 それらは渾然一体となり、全てが不愉快に思えてきた」 01:31:59.223 --> 01:32:02.630 スワーツは最も厳しい選択に迫られた: 01:32:02.630 --> 01:32:04.756 罪を認めて生きていくのか、 01:32:04.756 --> 01:32:07.458 それともこの破綻したシステムと闘うのか? 01:32:07.462 --> 01:32:09.651 彼の訴訟事例の場合、答えはシンプルだった: 01:32:09.651 --> 01:32:13.030 彼は最後の司法取引を拒否し、 公判期日が決定した。 01:32:13.030 --> 01:32:16.981 アーロンは公正だと思えないものには屈せず、 01:32:16.981 --> 01:32:21.639 受け入れないと固く決心していました。 01:32:32.895 --> 01:32:34.383 彼は有罪とはならなかったでしょう。 01:32:34.383 --> 01:32:38.537 彼が裁判所から出てきたら、彼を強く抱きしめ、 01:32:38.537 --> 01:32:44.344 ボストンの小川を歩き、そしてビールを飲み交わす、 そんなつもりでいました。 01:32:45.752 --> 01:32:49.734 私たちは正しいと本当に考えていました。 その訴訟に勝てるだろうと。 01:32:49.734 --> 01:32:51.495 この訴訟に勝てるものと考えていました。 01:32:51.495 --> 01:32:54.161 彼はこの一件についてあまり話そうと しませんでしたが、彼が受けた 01:32:54.161 --> 01:32:56.505 大きな苦悩を見て取れました。 01:32:56.505 --> 01:33:01.020 ♪ 遠くへ行ってしまった…… ♪ 01:33:01.420 --> 01:33:05.130 子どもの頃、アーロンが激しい気分の浮き沈みや、 01:33:05.130 --> 01:33:10.834 うつ病エピソード、「重度の抑うつ」と いったものに見舞われたことはないですね、 01:33:10.834 --> 01:33:13.885 でも彼はうつ状態になったのでしょう。 人は誰でもうつ状態になります。 01:33:13.885 --> 01:33:18.932 [♪ ♪ ♪] 01:33:18.932 --> 01:33:23.808 付き合い始めてまだ早い時期、 3、4週間目の頃に、 01:33:23.808 --> 01:33:25.870 彼が話したことを覚えています…… 01:33:27.380 --> 01:33:30.647 彼よりも私のほうがとても打たれ強いと。 01:33:30.647 --> 01:33:33.480 そう、彼は色んな面で傷つきやすかった。 01:33:33.480 --> 01:33:36.870 多くの人々よりも、彼にとって 物事はいろいろと過酷でした。 01:33:36.870 --> 01:33:39.730 その上それは彼の才能のせいでもあった。 01:33:41.216 --> 01:33:47.329 20代の早い時期に、彼はおそらく うつ病のような状態にあったと思います。 01:33:47.329 --> 01:33:49.261 私と一緒にいた時に彼が その状態だったとは思っていません。 01:33:49.261 --> 01:33:55.245 彼は「愉快」な人間ではなかった、 ですがうつ病とは違います。 01:33:56.503 --> 01:34:01.242 彼はずっと2年間もこうした 数多くのプレッシャーを受けていました。 01:34:01.242 --> 01:34:03.955 彼はもう、何もしたくなくなったんでしょう。 01:34:03.955 --> 01:34:07.364 彼はただ……、もうたくさんだと 思ったんでしょう。 01:34:07.364 --> 01:34:14.401 ♪ 独り静かに佇む…… ♪ 01:34:14.401 --> 01:34:17.420 夜遅く電話がありました。 01:34:17.420 --> 01:34:23.091 何か悪い予感がして、その後電話しました、 そして何が起こったのかを知りました。 01:34:24.001 --> 01:34:29.057 ソーシャルニュースサイトRedditの共同設立者が 遺体となって発見されました。 01:34:29.057 --> 01:34:31.518 警察によれば、アーロン・スワーツ、26歳は 01:34:31.518 --> 01:34:33.995 昨日ブルックリンの自宅アパートで自殺したとのこと。 01:34:37.259 --> 01:34:46.513 僕たちの時代の最もクリエイティブな 知識人の1人を失ったと感じました。 01:34:46.513 --> 01:34:49.856 この瞬間この世界全てが壊れていくように感じました。 01:34:56.872 --> 01:34:59.688 僕の人生で一番つらい夜の1つでした。 01:35:00.008 --> 01:35:04.883 ただ叫び続けていました、「聞こえない! なんて言ってるの?聞こえない!」 01:35:07.693 --> 01:35:09.240 耳に入ってこなかった。ただそれだけで。 01:35:09.240 --> 01:35:11.098 [インタビュワー] わかりました。 01:35:19.738 --> 01:35:22.543 ええ、まったく理解できなかった。 01:35:22.543 --> 01:35:24.540 いまでもよく理解できていません。 01:35:25.010 --> 01:35:27.881 とても、苛立ち、憤慨しました。 01:35:33.082 --> 01:35:36.478 [深いため息] 01:35:38.217 --> 01:35:41.576 そう、私の子どもにこのことを説明しようとしました。 01:35:43.315 --> 01:35:47.198 私の3歳の子どもが、「お医者さんたちが きっと彼を治療してくれるよ」と言ってくれたので。 01:35:52.226 --> 01:35:56.824 これまで亡くなった人たちを数多く知ってるが、 こんな形で誰かを失ったことはなかった、 01:35:56.824 --> 01:36:04.471 だから皆が感じているように、私も考えています、 できることがたくさんあったのでは、もっとしてやれることが…… 01:36:04.932 --> 01:36:11.306 彼がそんなことになってるとは知らなかった。 彼がそんなに思いつめてるとは……。 01:36:11.316 --> 01:36:12.675 彼は私の一部でした。 01:36:16.585 --> 01:36:20.955 これが現実でなければといいのにと 思いました、そして…… 01:36:24.305 --> 01:36:29.137 そして彼のWikipediaページを覗くと、 その忌日が目に飛び込んできました: 01:36:33.114 --> 01:36:35.841 「2013年没」と。 01:36:44.138 --> 01:36:45.354 アーロンが亡くなった。 01:36:46.378 --> 01:36:50.282 この狂気の沙汰を彷徨う我々は、 一人の指導者を、一人の賢兄を失った。 01:36:51.114 --> 01:36:53.866 正義を求めるハッカーである我々は、 その一人が旅立ち、 01:36:54.485 --> 01:36:56.192 同胞の一人を失った。 01:36:57.216 --> 01:37:02.762 育て、慈しみ、話し相手となり、 養い、親である我々は、 01:37:02.848 --> 01:37:04.576 一人の子どもを失った。 01:37:05.472 --> 01:37:06.602 我々は皆、彼を追悼しよう。 01:37:06.870 --> 01:37:10.104 ティム・バーナーズ=リー卿、 2013年1月11日 (訳注: W3C技術アーキテクチャグループの メーリングリストに投稿されたもの) 01:37:14.958 --> 01:37:19.296 最初に感じたことは: もし誰も気付かなかったら どうなっていただろうか? 01:37:19.296 --> 01:37:24.108 なぜなら彼がどんなに目立つ存在だったか 私にはよくわかっていなかった。 01:37:24.118 --> 01:37:29.790 この機運の高まりは今までに見たことのないものでした。 01:37:29.790 --> 01:37:31.396 インターネットで火が着きました。 01:37:31.536 --> 01:37:37.967 誰もがそれぞれ独自の方法でこの事実を 説明しようとしていました、しかし私は 01:37:37.967 --> 01:37:40.136 ツイッターで人々がこんなに深く 追悼しているのを見たことがなかった。 01:37:40.136 --> 01:37:43.008 オンラインで人々は 見るからに深く悲しんでいました。 01:37:46.522 --> 01:37:49.748 彼はインターネットの申し子だった、 01:37:49.748 --> 01:37:52.516 そして旧態とした世界が彼を殺したんです。 01:37:55.297 --> 01:38:00.786 私たちはひどい不正が無傷で 横行する時代の真っ只中にいます。 01:38:02.024 --> 01:38:06.564 金融危機を起こした張本人は 頻繁に大統領とディナーを楽しんでいる。 01:38:06.564 --> 01:38:13.059 こうした時代の中で、この事件を政府が 起訴しようとしていたというこの見解、 01:38:14.544 --> 01:38:17.599 これが悲劇でないというなら、 まさに不条理でしょう。 01:38:17.599 --> 01:38:23.653 問題は: 起こってしまったことに 対して、私たちは何ができるか、 01:38:23.653 --> 01:38:26.548 この世界をより良くするために、 01:38:26.548 --> 01:38:28.257 そしてこの遺産をどう進展させるか? 01:38:28.257 --> 01:38:30.344 これが私たちに問われている唯一の問題です。 01:38:33.310 --> 01:38:37.591 世界中で、ハッカソンや集会が行われるようになり、 01:38:37.591 --> 01:38:43.574 アーロン・スワーツはある意味、こう問いかけることで 私たちの持っている力を最大限に引き出した: 01:38:43.574 --> 01:38:45.899 私たちはこれをどうやって修復しよう? 01:38:47.464 --> 01:38:52.602 私見ですが、彼はこの国が生み出した、並外れた真の 01:38:52.602 --> 01:38:54.487 革命派の1人でした。 01:38:55.117 --> 01:38:59.095 アーロンが闘いに敗れたのか、 勝利したのかはわかりませんが、 01:38:59.095 --> 01:39:05.879 しかし私たちは確実に、彼が取り組んだ 物事によって形作られている。 01:39:05.879 --> 01:39:12.470 知識へのアクセスを増大させようという 市民たちが法律の武装工作員となった時に、 01:39:12.470 --> 01:39:16.914 私たちは法のルールを破り、正義の神殿を侵犯する。 01:39:16.914 --> 01:39:19.704 アーロン・スワーツは犯罪者ではない。 01:39:19.704 --> 01:39:21.486 [拍手] 01:39:21.486 --> 01:39:25.525 変化は当然のようにはやって来ない、 01:39:25.525 --> 01:39:28.664 変化は闘いの連続を通してやって来る。 01:39:30.086 --> 01:39:32.696 アーロンは本当に魔法を使うことができた、 01:39:32.696 --> 01:39:36.018 そして彼の魔法がその死によって終わらないよう 見守っていくことに生涯を捧げます。 01:39:36.018 --> 01:39:40.560 彼は世界を変えることができると 信じていました、そして彼は正しかった。 01:39:40.560 --> 01:39:44.422 先週、そして今日と、 不死鳥はすでによみがえっています。 01:39:44.422 --> 01:39:46.108 [拍手] 01:39:46.838 --> 01:39:51.605 スワーツの死の後、下院議員のゾーイ・ローフグレンと 上院議員ロン・ワイデンは 01:39:51.605 --> 01:39:55.599 コンピュータ犯罪取締法、スワーツに対する 容疑の多くを形作った時代遅れの法律を 01:39:55.599 --> 01:40:00.093 修正する法案を提出。 01:40:00.566 --> 01:40:03.211 その名も「アーロン法」。 01:40:03.211 --> 01:40:07.170 アーロンは文字通り常にこう 自問するべきだと信じていました、 01:40:07.170 --> 01:40:10.861 「この世界で今すぐに取り組むことが できる最も重要なことは何か?」 01:40:10.861 --> 01:40:12.903 そしてまだ取り組んでいないのなら、 ぜひやらなければ。 01:40:12.903 --> 01:40:15.548 [抗議者たち] 民主主義とはこういうものだ! 01:40:15.548 --> 01:40:17.368 [大勢の合唱]そして我々国民も! 01:40:18.508 --> 01:40:21.008 インターネットの自由が攻撃されている! 我々にできることは何だ? 01:40:21.008 --> 01:40:22.384 立ち上がり、反撃しよう! 01:40:22.384 --> 01:40:25.568 インターネットの自由が攻撃されている! 我々にできることは何だ? 01:40:25.568 --> 01:40:30.929 ヘイ!ヘイ!ホゥ!ホゥ! カーメン・オーティズは出て行け! 01:40:33.740 --> 01:40:37.331 過去を変えられればよいのですが、 それは不可能です。 01:40:37.331 --> 01:40:39.728 しかし未来は変えられるし、 変えなければならない。 01:40:39.728 --> 01:40:44.067 アーロンのためにも、変えなければならない。 私たちのためにも、変えなければならない。 01:40:44.067 --> 01:40:48.657 世界をより良い場所に、より人間味ある 場所にするために、正義が機能し、 01:40:48.657 --> 01:40:54.319 知識へのアクセスが人権と認められるような 場所にするためにも、変えなければならない。[拍手] 01:40:54.319 --> 01:41:02.091 2月頃に、ボルチモアからJSTORに アクセスしていた14歳の少年がいました、 01:41:02.091 --> 01:41:08.448 彼はJSTORを探索し、その後何かを読んで、 01:41:08.448 --> 01:41:14.980 すい臓がんを早期発見する検査方法を突き止めた、 01:41:14.980 --> 01:41:19.589 すい臓がんはあなたを死に至らしめる、 なぜなら現在の方法では発見が遅れてしまい、 01:41:19.589 --> 01:41:22.607 何かの処置を施すにはもう手遅れになってしまう、 01:41:24.047 --> 01:41:29.074 そして彼はジョンズ・ホプキンス大学の がん科全体にメールを送った、 01:41:29.074 --> 01:41:31.259 そう、何百というメールを送って、そのすべての…… [インタビュワー] 14歳って言いました? 01:41:31.259 --> 01:41:35.363 そう、14歳です、そしてほとんどのメールは 無視されたが、彼らの1人が彼に返信を送った、 01:41:35.363 --> 01:41:38.148 「まったく馬鹿げたアイデアという わけでもない。ぜひ来てみないか?」 01:41:38.148 --> 01:41:43.470 その少年はそこの研究者として午後と週末働いた、 2月にこのニュースを聞いたんだ、 01:41:43.470 --> 01:41:48.832 アーロンが亡くなってまだ2週間後、 まだニュースにアーロンがたくさん出ていた時に…… 01:41:50.907 --> 01:41:53.005 すまない…… 01:41:53.550 --> 01:42:00.140 そしてなぜその彼がニュースになったかというと、 彼らがやり遂げたからだ。彼らは 01:42:00.152 --> 01:42:03.821 多くの命を救うすい臓がんの早期検査法を発表した、 01:42:03.821 --> 01:42:09.807 [どのようにアーロン・スワーツはジャック・アンドレイカの 革命的がん検査に道を開いたのか] そして彼いわく、「このことが、アーロンの 行なったことが重要である理由なんだ」 01:42:10.453 --> 01:42:15.359 何が起こるかわからないですよね? この宇宙の真理というやつは、 01:42:15.359 --> 01:42:19.581 速度制限はこうあるべきだと政策決定機関が 計算する際に使われるだけじゃない。 01:42:19.581 --> 01:42:27.040 その真理によって、子どもがすい臓がんによって 亡くなることから守ることができるだろう。 01:42:27.040 --> 01:42:32.361 そしてもし情報へのアクセスが無ければ、 その鍵を握る真理を見つけ出したであろうその人物は、 01:42:32.361 --> 01:42:34.867 答えを見つけることができなかったかもしれないんだ。 01:42:36.077 --> 01:42:47.425 パディントンはよく眠りました、夢の中で宇宙船の遊具に また乗船した時も、ベッドから落ちたりしませんでした。 01:42:48.030 --> 01:42:51.805 よくできました、アーロン。 よくできました。よし、アーロン! 01:42:51.805 --> 01:42:56.586 OK、さあ、お歌の時間だよ。 01:42:56.686 --> 01:42:58.186 [♪ ♪ ♪]