僕の首を折った男を探しに
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0:06 - 0:091年前 エルサレムでレンタカーを借りた
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0:09 - 0:12一度も会ったことのない
でも僕の人生を変えた -
0:12 - 0:14ある人に会うために
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0:14 - 0:17連絡を取りようにも
電話番号を知らなかったし -
0:17 - 0:19正確な住所も知らなかった
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0:19 - 0:22分かっていたのは
アベッドという名前と -
0:22 - 0:26人口15,000人のクファカラという町に
住んでいるということ -
0:26 - 0:3121年前に この聖なる街すぐ外で
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0:31 - 0:33僕の首の骨を折ったということだった
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0:33 - 0:381月のあるどんよりした朝
北へ向かった -
0:38 - 0:42シルバーのシボレーで アベッドを探しに
そして心の平静を求めて -
0:42 - 0:45下り道にさしかかり
エルサレムの街を出た -
0:45 - 0:48そして あの曲がり角を曲がった
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0:48 - 0:50アベットの運転する
4トンもの床タイルを載せたトラックが -
0:50 - 0:53ものすごいスピードで
僕が乗っていたミニバスの -
0:53 - 0:56左後方に突っ込んできた場所だ
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0:56 - 0:59そのとき僕は19歳だった
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0:59 - 1:02当時の僕は 8ヶ月で13cmも背が伸びて
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1:02 - 1:05腕立ては8ヶ月で2万回
事故が起きる前の晩には -
1:05 - 1:07鍛え上げた身体で 明け方まで
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1:07 - 1:09友達とバスケを楽しんだ
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1:09 - 1:11爽やかな5月の朝だった
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1:11 - 1:14僕は大きな右手で
ボールをつかめたし -
1:14 - 1:18その手がリングに届くときなど
向かうところ敵無しだと思えた -
1:18 - 1:22僕はバスケで勝ち取ったピザを買おうと
バスに乗っていた -
1:22 - 1:25アベッドのトラックが突っ込んでくるとは思いもせずに
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1:25 - 1:27バスの席から 真昼の太陽に照らされた
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1:27 - 1:30丘の上の石造りの街を見上げていた
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1:30 - 1:33そのとき後ろで ものすごい音がした
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1:33 - 1:36爆弾にやられたかのような
激しく大きな音だった -
1:36 - 1:38僕の頭はバスの赤い座席の後ろにがくんと反って
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1:38 - 1:41鼓膜は破れ 靴も吹き飛んだ
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1:41 - 1:44僕は身体ごと吹き飛ばされ
首は折れ頭はグラグラして -
1:44 - 1:49地面に叩きつけられたときは
両手両足が不自由になっていた -
1:49 - 1:51事故から数ヶ月後
自力で呼吸できるようになった -
1:51 - 1:54座って 立って 歩けるようにもなった
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1:54 - 1:57でも 僕の身体は真っ二つに分かれたままだった
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1:57 - 2:00半身麻痺の身体でニューヨークに戻り
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2:00 - 2:05大学時代を通して4年間
車椅子生活をした -
2:05 - 2:08大学卒業後 1年間エルサレムに戻った
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2:08 - 2:11そのころには車椅子なしで生活できるようになり
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2:11 - 2:14杖で歩けるようになったので
事故について調べ始め -
2:14 - 2:17事故の写真から バスに乗り合わせた
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2:17 - 2:20全ての乗客を探し当てた
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2:20 - 2:23そして 僕が事故の写真に見たものは
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2:24 - 2:28血まみれの動かぬ身体ではなかった
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2:28 - 2:31僕はその写真に写る
健康的で立派な左肩の筋肉を見て -
2:31 - 2:34それが失われてしまったことを嘆いた
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2:34 - 2:36今となってはもう不可能となった
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2:36 - 2:40やりたかったことを思って悲嘆にくれた
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2:44 - 2:46事故を起こしたアベッドの証言は
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2:46 - 2:48事故の翌朝に書かれたもので
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2:48 - 2:52エルサレムに向かう高速の右車線を
走行中の様子だった -
2:52 - 2:55読んでいるうちに怒りがこみ上げてきた
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2:55 - 2:59アベッドに対して怒りを覚えたのは
そのときが初めてだった -
2:59 - 3:02もし事故が起こっていなかったら と-
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3:02 - 3:04証言がコピーされた紙の上では
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3:04 - 3:07事故はまだ起こっていなかった
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3:07 - 3:09アベッドが左にハンドルを切れば
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3:09 - 3:13トラックはバスの横をすり抜け
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3:13 - 3:15僕は身体の自由を失わずに済む
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3:15 - 3:19「アベッド 気を付けろ スピードを落とせ」
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3:19 - 3:21しかしアベッドはスピードを落とすことなく
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3:21 - 3:25証言の紙切れの上で
僕は再び首を折って -
3:25 - 3:29怒りは収まった
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3:29 - 3:32僕はアベッドを見つけようと決心した
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3:32 - 3:33ついに見つけて電話をし
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3:33 - 3:37ヘブライ語で挨拶すると
彼は平然と挨拶を返した -
3:37 - 3:39僕の電話を待っていたかのように
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3:39 - 3:41実際 待っていたのかも知れない
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3:41 - 3:45アベッドの過去の運転歴には
触れなかったけど -
3:45 - 3:4825歳までに27もの違反をしていた
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3:48 - 3:53最後の違反は あの5月の日に
坂道でローギアに入れなかったこと -
3:53 - 3:55僕は 自分のこれまでのことも話さなかった
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3:55 - 3:57肢体不自由になって カテーテルを通したこと
不安感や喪失感 - -
3:57 - 3:59肢体不自由になって カテーテルを通したこと
不安感や喪失感 - -
3:59 - 4:02アベッドがあの事故でひどいケガをしたと
話し出したとき -
4:02 - 4:04警察の報告書で
彼が重傷ではなかったことを -
4:04 - 4:07知ってはいたが
そのことは言わなかった -
4:07 - 4:11僕は 会いたい と言った
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4:11 - 4:142、3週間後 もう一度電話してくれと言われ
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4:14 - 4:16そのとおりにすると
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4:16 - 4:18電話番号はもう使われていなかった
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4:18 - 4:23僕はアベッドに会うことをあきらめ
事故のことを忘れた -
4:23 - 4:26それから何年も経った
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4:26 - 4:30僕は杖をつき 足首に装具をつけて
バックパックを背負い -
4:30 - 4:336つの大陸を旅して歩いた
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4:33 - 4:36毎週ソフトボールをするようになり
オーバーハンドで投げた -
4:36 - 4:38セントラルパークでね
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4:38 - 4:41故郷のNYではジャーナリスト 兼 作家として
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4:41 - 4:45一本指で 無数の言葉をタイプした
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4:45 - 4:48僕が書くものには全て 自分自身の体験が
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4:48 - 4:51色濃く反映されていていると
友人から指摘された -
4:51 - 4:53何かをきっかけに
一瞬にして変わってしまった人生 -
4:53 - 4:56事故の他にも 遺産相続
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4:56 - 4:58バットのスイング
カメラのシャッター音 逮捕事件 -
4:58 - 5:02僕の作品はどれも 人生を変える出来事の
ビフォー・アフターを扱うものばかりだった -
5:02 - 5:06僕は何かと大変な目にあってきた
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5:06 - 5:10それでも あの事故について書くために
昨年イスラエルに戻ったとき -
5:10 - 5:12アベッドのことはほとんど考えなかった
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5:12 - 5:15でも『ハーフライフ』を書き終わろうかという頃
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5:15 - 5:18未だにアベッドに会いたいと
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5:18 - 5:20思っている自分に気が付いた
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5:20 - 5:23そしてついに アベッドに会いたい理由が分かった
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5:23 - 5:29アベッドに一言「ごめんなさい」と
言って欲しかったんだ -
5:29 - 5:32悪いことをしたら謝るのが筋だ
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5:32 - 5:34アベッドが今でも 前と同じ町のどこかに
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5:34 - 5:37住んでいることを警察に確認した
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5:37 - 5:40車に黄色いバラの鉢植えを載せて
その町へ向かった -
5:40 - 5:44でも急に 花を贈るという考えが
ばかばかしく思えてきた -
5:44 - 5:47でも 僕の首を折った馬鹿に 何を贈ればいい?
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5:47 - 5:51(笑)
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5:51 - 5:53僕はアブゴシュの街に入り
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5:53 - 5:55トルコの菓子を一つ買った
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5:55 - 6:00ピスタチオとバラ水のゼリー
花よりはマシだ -
6:00 - 6:03高速道路に入り
アベッドとの再会を想像した -
6:03 - 6:07アベッドは僕を抱きしめるだろうか
アベッドは僕につばを吐きかけるだろうか -
6:07 - 6:11アベッドは僕に詫びるだろうか
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6:11 - 6:14また 過去何度もしてきたように
考え始めた -
6:14 - 6:16身体が不自由にならなければ
人生はどんなに違っただろう -
6:16 - 6:17身体が不自由にならなければ
人生はどんなに違っただろう -
6:17 - 6:21僕の遺伝子は 僕に違った人生を
歩ませてくれただろうか -
6:21 - 6:23僕は何者だったんだろうか
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6:23 - 6:26僕は あの事故の前の僕と同じ人間なんだろうか
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6:26 - 6:30事故で僕の人生は 開いた本の右と左くらい
違ったものになったけれども -
6:30 - 6:32自分の身に起きたことで定義づけられるのか
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6:32 - 6:37僕たちは皆 その身に起きたことの
結果として存在するのか -
6:37 - 6:39親やパートナーの裏切り
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6:39 - 6:41受け継いだ財産
それで存在が決まるのか -
6:41 - 6:45それとも 持って生まれた
強みや弱みによるのだろうか -
6:45 - 6:48遺伝と経験以外のものではないように
思われたけれど -
6:48 - 6:52どうやって遺伝と経験を区別できるのだろうか
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6:52 - 6:55この普遍的な問いはイエーツの問いにも通じる
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6:55 - 6:58「あぁ、音楽にゆれる身体
あぁ、輝くまなざし -
6:58 - 7:04どうしてダンスとダンサーの区別などできようか」
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7:04 - 7:06運転して1時間ほどして
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7:06 - 7:10バックミラーを見たとき
自分の輝くまなざしに気付いた -
7:10 - 7:14生まれたときから青い目であるように
僕がずっと目の中に宿してきた光 -
7:14 - 7:17僕が僕であることの気質であり欲求
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7:17 - 7:20幼い頃は舟に乗ってシカゴの湖に漕ぎ出そうとし
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7:20 - 7:2110代の頃には ハリケーンの後
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7:21 - 7:26荒れ狂うケープコッド湾に
飛び込もうとしたものだ -
7:26 - 7:28でも同時に 鏡に映ったものは
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7:28 - 7:30もし事故で障害を負わなければ
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7:30 - 7:33今頃きっと医者になって
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7:33 - 7:37結婚して父親になっていたであろう
自分の姿だった -
7:37 - 7:39時間や死について
考えることもなかっただろうし -
7:39 - 7:41何より障害者ではなかったはずだ
-
7:41 - 7:45この身に降りかかる山ほどの不幸に
苦しむこともなかっただろう -
7:45 - 7:475本の指が思うように動かないために
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7:47 - 7:50手で開けられないものを歯で開けようとして
-
7:50 - 7:52歯はあちこち欠けてしまった
-
7:52 - 7:58僕の中では ダンスとダンサーは
絶望的に絡み合っていた -
7:58 - 8:00間もなく11時という頃 アフラに向けて
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8:00 - 8:02高速を右に抜け 採石場を通り過ぎ
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8:02 - 8:05間もなくカファカラに着いた
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8:05 - 8:07急に すごく不安になった
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8:07 - 8:11ラジオからはショパンの
美しい7つのマズルカが流れていて -
8:11 - 8:13ガソリンスタンドの横に車を止め
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8:13 - 8:16気持ちを静めようとショパンを聴いた
-
8:16 - 8:19昔 言われたことがある
アラブの街では -
8:19 - 8:21地元の人の名前を一人挙げれば
-
8:21 - 8:23誰のことだかわかってもらえると
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8:23 - 8:25そこで 街の人達に
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8:25 - 8:27和解するために来たことを強調しながら
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8:27 - 8:30アベッドと僕の話をした
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8:30 - 8:33正午ごろ郵便局の外で
モハメッドという男に会い -
8:33 - 8:35彼は僕の話を聞いてくれた
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8:35 - 8:38障害を抱えるに至った身の上話をすると
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8:38 - 8:42大抵の場合 それを聞いた人は
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8:42 - 8:45誰にも話したことがない
自分自身の話をしてた -
8:45 - 8:47多くの人が涙を流した
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8:47 - 8:50ある日 通りで出会った女性も また
同じ反応をした -
8:50 - 8:52涙の理由を尋ねると 彼女は
-
8:52 - 8:54僕が心を強く持って
-
8:54 - 8:57前向きに生きていることに
感動したからであり 同時に -
8:57 - 9:00僕のもろさを感じたから と言った
-
9:00 - 9:02彼女の言葉に聞き入った
それは本心だったと思う -
9:02 - 9:04僕は変わらず僕だったが 彼女にとっては
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9:04 - 9:06障害を乗り越えた強い人間だった
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9:06 - 9:11そしてまた 彼女の認識が
今の僕を僕たらしめるのだ -
9:11 - 9:12モハメッドは おそらく彼が今まで
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9:12 - 9:15他人には話したことがないと思われる話を
してくれた -
9:15 - 9:19それから漆喰の家まで僕を案内し
立ち去った -
9:19 - 9:22僕が腰を下ろし 何と切り出そうかと考えていると
-
9:22 - 9:25黒いローブとショールをまとった女性が
近付いてきた -
9:25 - 9:28僕は車から降りて
ヘブライ語で挨拶をし -
9:28 - 9:30名前を名乗った
-
9:30 - 9:31夫のアベッドは
-
9:31 - 9:344時間くらいで仕事から帰ってくると言った
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9:34 - 9:37彼女のヘブライ語は片言で
- 後から知ったんだが -
9:37 - 9:40最初 僕をインターネット接続業者だと
思ってたらしい -
9:40 - 9:43(笑)
-
9:43 - 9:47僕は一旦その場を離れ 4時30分に戻った
-
9:47 - 9:48ミナレットを目印にして
-
9:48 - 9:50その場所に戻ることが出来た
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9:50 - 9:52僕が玄関に近付くと
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9:52 - 9:56アベッドは僕と 僕のジーンズ
フランネルの服 杖を見た -
9:56 - 10:01僕もアベッドを見た
見た感じ ごく普通の男だった -
10:01 - 10:04彼の服装は白黒で
靴下の上にスリッパを履き -
10:04 - 10:06ゆったりしたスウェットパンツに
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10:06 - 10:09まだら模様のセーター
縞のスキー帽を目深にかぶっていた -
10:09 - 10:12彼は僕が来ることを知っていた
-
10:12 - 10:16モハメッドが電話したんだ
僕たちはすぐに握手をして互いに微笑み -
10:16 - 10:18僕はアベッドに土産を渡した
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10:18 - 10:19「ようこそ我が家へ」 と
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10:19 - 10:23アベッドが言い
僕たちは布製のソファに並んで座った -
10:23 - 10:26座るなりアベッドは
-
10:26 - 10:2716年前に電話で話した
-
10:27 - 10:30つらい身の上話の続きをし始めた
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10:30 - 10:34「つい最近 目の手術をした」 と
アベッドは言った -
10:34 - 10:36そしてまた 「腰と足も悪く
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10:36 - 10:38あの事故で歯も無くなった
-
10:38 - 10:41入れ歯をとってみせようか?」 とも言った
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10:41 - 10:44僕が退屈しないよう テレビをつけてから
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10:44 - 10:47アベッドは部屋を出ていき
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10:47 - 10:49事故の写真と古い運転免許証を持って
-
10:49 - 10:52部屋に戻ってきた
-
10:52 - 10:55「ハンサムだろう」と彼は言った
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10:55 - 10:58運転免許証のアベッドの写真を見た
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10:58 - 11:00ハンサムというより たくましく
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11:00 - 11:04丸顔で首は太く
髪は黒々としていた -
11:04 - 11:07この若者のせいで
1990年5月16日 -
11:07 - 11:09僕ともう一人の首が折れ
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11:09 - 11:13一人が脳挫傷を起こし
一人が命を失ったんだ -
11:13 - 11:16事故から20年
アベッドは妻よりやせて -
11:16 - 11:17顔の皮はたるんでいた
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11:17 - 11:20アベッドが自分の若い頃の写真を見る姿に
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11:20 - 11:23事故の後 僕も若い頃の写真を
見ていたときの -
11:23 - 11:27気持ちを思い出した
事故が起こる前のことを懐かしく思う気持ちを -
11:27 - 11:31「あの事故で あなたの人生も僕の人生も
変わってしまった」と僕は言った -
11:31 - 11:34アベッドは潰れたトラックの写真を見せ
-
11:34 - 11:36あの事故は左車線にいたバスの運転手が
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11:36 - 11:40道を譲らなかったために起こったんだと言った
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11:40 - 11:42僕はアベッドと事故の話を繰り返したくはなかった
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11:42 - 11:44ただ 土産のトルコ菓子を渡して
-
11:44 - 11:49詫びの一言を聞いて
その場を去りたかった -
11:49 - 11:51だから僕は 事故の翌日の証言で
-
11:51 - 11:53アベッドがバスの運転手について
-
11:53 - 11:56何も言わなかったことを
あえて指摘しなかったし -
11:56 - 11:59僕はあまり話さなかった
真実を知るために来たわけではなかったから -
11:59 - 12:02アベッドが悔やんでいることを
確かめるために来たんだ -
12:02 - 12:04悔やんでいるのかどうか確かめようと
-
12:04 - 12:07話をバスからそらした
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12:07 - 12:10「事故があなたのせいでないことは分かりました
-
12:10 - 12:14でも 事故の被害者を思うと
つらくありませんか」と聞いた -
12:14 - 12:17アベッドは短く答えた
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12:17 - 12:20「ああ つらかったよ」
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12:20 - 12:23それから なぜつらかったのかを話し始めた
-
12:23 - 12:26事故が起こるまで 不信心だったから
-
12:26 - 12:29神が罰として事故を与えた
-
12:29 - 12:33今は心を改め信心深くなったので
神も喜んでいる と言う -
12:33 - 12:36事故は神の仕業だった ということだ
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12:36 - 12:39テレビでは自動車事故の
ニュースをやっていた -
12:39 - 12:41北の方で起こったその事故では
3人が亡くなっていた -
12:41 - 12:44僕達は映像で 大破した車を見た
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12:44 - 12:47僕は「奇妙だ」と言った
-
12:47 - 12:49アベッドも「奇妙だ」と言った
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12:49 - 12:52僕は その事故現場である804号線には
-
12:52 - 12:54自動車事故の被害者と加害者という
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12:54 - 12:56二者の関係があると思っていた
-
12:56 - 12:58アベッドのようにその日のことを忘れる者もいる
-
12:58 - 13:02僕のように忘れられない者もいる
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13:02 - 13:05その事故のレポートが終わり
アベッドが口を開いた -
13:05 - 13:07「この国の警察がたちの悪い運転をする奴らを
-
13:07 - 13:12十分に取り締まれないのは残念なことだ」
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13:12 - 13:15僕は困惑した
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13:15 - 13:18アベッドは今 驚くべきことを言ったぞ
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13:18 - 13:21アベッドは自分はあの事故に関して
無罪放免だと言ったのか? -
13:21 - 13:23それとも罪の意識があって
-
13:23 - 13:26もっと長く服役すべきだったと言っているのか?
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13:26 - 13:29彼は事故後6ヶ月服役し
10年間トラックの運転免許を持てなかった -
13:29 - 13:31僕は黙っていようという考えを変えて
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13:31 - 13:35アベッドに聞いてみた
-
13:35 - 13:39「事故の前にいくつか問題のある運転を
していましたよね」 -
13:39 - 13:43彼は「あぁ 時速40のところ
60出したことが一度あったよ」 -
13:43 - 13:46ほかにも色々あっただろう
27もの違反が -
13:46 - 13:49信号無視 スピード違反 反対車線走行
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13:49 - 13:51それからローギアに入れるべきところ
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13:51 - 13:53ブレーキを踏みながら あの坂道を下った
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13:53 - 13:56それを1つしか違反していないと言うのか
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13:56 - 13:59そこで僕は思い知った
人間というものは事実がどうあれ -
13:59 - 14:02自分に都合の良いように
解釈するものなのだ と -
14:02 - 14:06ヤギが英雄になる
加害者が被害者になる -
14:06 - 14:13そのとき僕は
アベッドが決して謝らないことを悟った -
14:13 - 14:16アベッドと僕は座ってコーヒーを飲んだ
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14:16 - 14:19そうして1時間半ほど過ごし
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14:19 - 14:21僕は彼のことが分かってた
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14:21 - 14:24彼は取り立てて悪い人間でもなければ
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14:24 - 14:26取り立てて良い人間でもなかった
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14:26 - 14:28心の狭い人間だったが
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14:28 - 14:31彼は彼なりに僕に親切にしていた
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14:31 - 14:33ユダヤの習慣である会釈をし
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14:33 - 14:37彼は僕が 120歳まで生きますように と言った
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14:37 - 14:38しかし僕は
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14:38 - 14:42この無頓着な人間を理解できなかった
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14:42 - 14:46あの悲惨な事故を起こした張本人なのに
すっかり立ち直り -
14:46 - 14:51あの事故で亡くなったのは
二人だと思っていたと言うような人間 -
14:53 - 14:57アベッドに言いたいことは沢山あった
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14:57 - 15:00僕はアベッドに言いたかった
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15:00 - 15:03僕の障害に気付くのはいいが
-
15:03 - 15:04僕のような障害者が
-
15:04 - 15:08笑顔でいられることに
人々が驚嘆するのは間違っていると -
15:08 - 15:11障害者がもっとつらい思いをしてきたことを
人は知らない -
15:11 - 15:15心に負った傷は
トラックにひき逃げされるより重く -
15:15 - 15:18首の骨を100回折るよりも
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15:18 - 15:22もっとつらいものだ
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15:22 - 15:25僕はアベッドに言いたかった
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15:25 - 15:26人はその心や身体
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15:26 - 15:28身に起こること
または起きないことではなく -
15:28 - 15:30それにどうに反応するかで
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15:30 - 15:33どんな人間であるかが決まる
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15:33 - 15:36心理学者ヴィクトール・フランクルは言った
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15:36 - 15:38「人はいかなる状況でも
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15:38 - 15:42その状況に対する態度を
決める自由だけは失わない」 -
15:42 - 15:45僕はアベッドに言いたかった
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15:45 - 15:49現実を受け入れ
前に進まなくてはらないのは -
15:49 - 15:51障害を与えた者と
与えられた者だけじゃない -
15:51 - 15:56年老いた者も 心配性な者も 離婚した者も
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15:56 - 16:00髪が薄くなった者も 破産した者も
誰でもそうなんだ -
16:00 - 16:02僕はまた アベッドにこうも言いたかった
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16:02 - 16:04あの事故は神のなせる業で
だからあの事故は -
16:04 - 16:07あれでよかった
首が折れたのはよかったのだ -
16:07 - 16:09不幸は幸いだ なんて言わないで欲しい
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16:09 - 16:12不幸は最低だけど それでもなお自然界には
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16:12 - 16:16多くの素晴らしいことがあると言っていい
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16:16 - 16:21僕はアベッドに言いたかった
結局 僕らのなすべきことは明白なんだ と -
16:21 - 16:24人は不運な目にあっても
立ち上がらなくてはならない -
16:24 - 16:27人は良きものに囲まれ
それを享受すべきだ -
16:27 - 16:33それは学問 職業 冒険 友情といったもの
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16:33 - 16:37そう 友情
そして社会や愛情といったものだ -
16:37 - 16:40とりわけ僕は アベッドに
ハーマン・メルヴィルが -
16:40 - 16:42書いた言葉を伝えたかった
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16:42 - 16:45「真に肉体的な温もりを楽しむには
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16:45 - 16:48ある部分は冷たくなくてはならない
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16:48 - 16:50なぜならこの世界のあらゆるものは
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16:50 - 16:54単に対比することにより認識されるものだから」
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16:54 - 16:56そう 何事も対比
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16:56 - 16:58もし 自分にないものを認識していれば
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16:58 - 17:02逆に自分が持てるものを 真に認識できるだろう
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17:02 - 17:06もし神に思いやりがあれば
人は自分の持てるものを真に喜べるだろう -
17:06 - 17:08そのことは人に与えられる唯一の恵みだ
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17:08 - 17:11もし人が何らかの実在的なものに
苦しんでいるとしたら -
17:11 - 17:13人は死を意識し そして毎朝 用意された人生を
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17:13 - 17:15生きるために目を覚ます
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17:15 - 17:17人には冷たい部分があるがゆえに
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17:17 - 17:20温かい部分を真に楽しむことができたり
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17:20 - 17:23より冷たい部分を冷たいと感じることができる
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17:23 - 17:25事故から何年も経ったある朝
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17:25 - 17:28僕は石を踏んだ左足の裏に
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17:28 - 17:32一瞬 冷たさを感じた
神経がついに目覚めた瞬間だ -
17:32 - 17:37その雪の感覚に 心が高揚した
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17:37 - 17:40でも僕は これらのことを
アベッドには伝えなかった -
17:40 - 17:45僕が ただ伝えたのは あの事故で亡くなったのは
二人ではなく一人だということと -
17:45 - 17:49そして その人の名前だ
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17:49 - 17:53そして僕はアベッドに「さようなら」と言った
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17:53 - 17:55皆さん ありがとう
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17:55 - 18:02(拍手)
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18:02 - 18:05皆さん どうもありがとう
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18:05 - 18:09(拍手)
- Title:
- 僕の首を折った男を探しに
- Speaker:
- ジョシュア・プレーガー
- Description:
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ジョシュア・プレーガーは19歳の時、バスの悲惨な事故で半身不随になりました。それから20年後、人生をめちゃくちゃにした運転手を探しにイスラエルに戻りました。再会した時の不思議な話をしながら、プレーガーは自然や社会環境、自己欺瞞、運命について深く追求します。
- Video Language:
- English
- Team:
- closed TED
- Project:
- TEDTalks
- Duration:
- 18:30
Akiko Hicks approved Japanese subtitles for In search of the man who broke my neck | ||
Akiko Hicks edited Japanese subtitles for In search of the man who broke my neck | ||
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Yuriko Hida accepted Japanese subtitles for In search of the man who broke my neck | ||
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Yuriko Hida
コーディネーターさんへ:翻訳者さんと連絡を取ろうと幾つか試みましたが、10日経っても連絡が取れませんでした。