WEBVTT 00:00:01.210 --> 00:00:03.989 Every Frame a Paintingへようこそ 00:00:04.099 --> 00:00:08.250 母の日に上げたかったが遅れてしまった 00:00:08.370 --> 00:00:09.490 ごめん母さん 00:00:09.620 --> 00:00:13.209 今回は「おおかみこどもの雨と雪」だ 00:00:13.329 --> 00:00:15.099 愛らしい映画で 00:00:15.219 --> 00:00:19.293 日本のアニメ映画の賞も受賞した 00:00:19.411 --> 00:00:23.091 ネタバレはないので 00:00:23.220 --> 00:00:26.000 まだ見てなくても楽しめる 00:00:26.620 --> 00:00:29.750 今回の話はこのシーンから始まる 00:00:29.870 --> 00:00:32.510 ここから57秒画面が水平移動し 00:00:32.620 --> 00:00:35.140 雨と雪の二人の子供が 00:00:35.260 --> 00:00:38.360 1年生から4年生に上がる 00:00:38.490 --> 00:00:42.970 雨は雪とは違い孤独に過ごし 00:00:43.090 --> 00:00:45.349 いじめも受ける 00:00:45.479 --> 00:00:49.620 雪はクラスでの居場所を作っていく 00:00:49.745 --> 00:00:51.010 非常にうまい 00:00:51.120 --> 00:00:53.870 どんな原理だろうか 00:00:54.010 --> 00:00:59.090 水平移動の方法論は実はよくわからない 00:00:59.230 --> 00:01:02.449 美しい使われ方は目にする 00:01:02.579 --> 00:01:05.289 だがその本質は難しい 00:01:05.409 --> 00:01:08.769 水平移動は何か変なのだ 00:01:08.899 --> 00:01:13.160 映画で最も客観的なショットと言える 00:01:13.290 --> 00:01:15.891 誰の視点でもなく 00:01:16.020 --> 00:01:19.630 神のようにただ見ている 00:01:19.950 --> 00:01:23.060 文字通り あるがままを見る 00:01:23.190 --> 00:01:24.839 どう使うべきか 00:01:24.979 --> 00:01:27.809 場面の立ち上げによく使われる 00:01:27.939 --> 00:01:31.350 シーンを始めるシンプルな方法だ 00:01:31.490 --> 00:01:35.970 "乳首剃っても労災になるかな" 00:01:36.097 --> 00:01:41.681 残念だがここ最近は少なくなっている 00:01:41.800 --> 00:01:46.130 デジタルカメラにより事情が変化した 00:01:46.260 --> 00:01:48.910 もっといい方法があるのだ 00:01:49.050 --> 00:01:51.980 戦争映画ではよく見る 00:01:52.110 --> 00:01:56.970 軍全体を映すのに水平移動は適している 00:01:57.110 --> 00:01:59.890 軍の野営地が見渡せる 00:02:00.020 --> 00:02:02.840 "干し草から針を探すんだ" 00:02:02.960 --> 00:02:04.009 ランニングもいい 00:02:04.109 --> 00:02:06.225 自身の運命に走り 00:02:06.365 --> 00:02:07.981 恋人に走り 00:02:08.111 --> 00:02:09.671 ただ走る 00:02:09.789 --> 00:02:11.240 スローモーションも 00:02:11.350 --> 00:02:12.870 トム・クルーズも 00:02:12.990 --> 00:02:14.610 "どけ!どけ!" 00:02:14.740 --> 00:02:18.550 なぜかスーパーでもよく使われる 00:02:18.680 --> 00:02:21.970 変化のない日常だからか 00:02:22.110 --> 00:02:26.430 ゴダールはスーパーが嫌いなようだ 00:02:27.580 --> 00:02:30.500 様々な使用例がある 00:02:30.640 --> 00:02:34.240 グリーナウェイは絵画のように使い 00:02:34.370 --> 00:02:37.390 チャヌクは戦闘に使い 00:02:37.520 --> 00:02:39.930 キートンはコメディに使う 00:02:43.280 --> 00:02:46.176 スコセッシは虐殺に使った 00:02:46.350 --> 00:02:49.510 僕が好きなのはトイ・ストーリーだ 00:02:53.740 --> 00:02:55.970 監督たちの言葉もある 00:02:56.100 --> 00:02:57.110 キューブリックは 00:02:57.225 --> 00:03:01.065 ありのままが映し出せると言い 00:03:01.160 --> 00:03:05.800 「突撃」において塹壕全体を描いた 00:03:05.930 --> 00:03:10.079 「シャイニング」は恐怖を描いている 00:03:10.209 --> 00:03:13.778 辺りが重々しさを出している 00:03:14.869 --> 00:03:17.040 アンダーソンは頻繁に使う 00:03:17.160 --> 00:03:21.140 絵本のように出来事が表現される 00:03:21.260 --> 00:03:23.319 まっすぐ走る人が 00:03:23.459 --> 00:03:27.179 何かに巻き込まれるのは面白い 00:03:29.140 --> 00:03:33.400 親しさの表現に使われるのは珍しい 00:03:33.540 --> 00:03:36.360 親しさには向かない 00:03:36.510 --> 00:03:40.629 関係に距離があるように見えてしまう 00:03:40.759 --> 00:03:43.250 そういう効果がある 00:03:43.739 --> 00:03:45.930 水平移動を使って 00:03:46.049 --> 00:03:49.059 親しさは表現できるだろうか? 00:03:49.910 --> 00:03:52.219 "花は届いた?" 00:03:52.334 --> 00:03:54.314 スコセッシはこうした 00:03:54.439 --> 00:03:58.129 "来てないかな 送ったんだ" 00:03:58.239 --> 00:04:00.040 キャラから離れる 00:04:00.160 --> 00:04:01.700 "また掛ける" 00:04:01.810 --> 00:04:06.800 この無気力なシーンがよく機能している 00:04:06.920 --> 00:04:09.509 空虚さや孤独さが 00:04:09.639 --> 00:04:13.600 視線を外すことで作り出されている 00:04:13.750 --> 00:04:19.069 "何回も掛けたが 彼女はもう出なかった" 00:04:19.699 --> 00:04:21.070 他にも 00:04:21.206 --> 00:04:24.776 これは映画の歴史でも特筆される 00:04:24.929 --> 00:04:27.519 すごいのは長さだ 00:04:27.659 --> 00:04:32.600 9分かけて男がキャンドルを運ぶ 00:04:32.730 --> 00:04:36.100 一つの目標に集中しながらも 00:04:36.250 --> 00:04:38.550 タルコフスキーは話を展開させた 00:04:38.680 --> 00:04:42.370 人物は歩き 失敗し また歩む 00:04:42.510 --> 00:04:45.160 見ていると変な感じだ 00:04:45.300 --> 00:04:50.320 ここには人間の奮闘が込められている 00:04:50.490 --> 00:04:53.230 簡潔さのいい見本だ 00:04:53.556 --> 00:04:55.000 そしてこれ 00:05:05.020 --> 00:05:09.900 ここ最近で最も感動的な例だと思う 00:05:10.029 --> 00:05:15.180 ただ場面を繋げた場合はこうなる 00:05:15.970 --> 00:05:17.793 ディゾルブ 00:05:18.380 --> 00:05:19.859 プッシュイン 00:05:20.549 --> 00:05:24.230 これは水平移動の完璧な使用例だ 00:05:24.360 --> 00:05:28.580 この移動は悲しみも演出する 00:05:28.710 --> 00:05:32.740 右への移動は戻せない時間の流れなのだ 00:05:32.920 --> 00:05:35.110 「おおかみこども」に戻ろう 00:05:35.260 --> 00:05:38.780 このシーンは親しみを表現し 00:05:38.910 --> 00:05:41.640 子供たちは成長していく 00:05:41.770 --> 00:05:45.800 これは物理的には不可能だ 00:05:45.930 --> 00:05:48.340 これは比喩である 00:05:48.460 --> 00:05:53.120 特にアニメだからこそ使える魔法だ 00:05:53.954 --> 00:05:59.160 左右の移動が二人の成長を語っている 00:05:59.309 --> 00:06:03.069 水平移動の使い方はわからなくても 00:06:03.201 --> 00:06:06.192 見ればその意味は理解できる 00:06:06.340 --> 00:06:10.470 視覚的文法の発達がここに見られる 00:06:10.580 --> 00:06:15.510 ところで この映画は本当におすすめだ 00:06:15.620 --> 00:06:19.621 あなたの母親にも見せてほしい 00:06:19.738 --> 00:06:21.899 母の日おめでとう