1 00:00:08,540 --> 00:00:11,232 「孔子」という名に聞き覚えがあったり 2 00:00:11,232 --> 00:00:15,003 説法で有名になった人だということは 殆どの人が知っています 3 00:00:15,003 --> 00:00:19,832 しかし 彼の教えが 長い間世界中の人々に 4 00:00:19,832 --> 00:00:24,043 影響を与えてきた人物である割には 彼が一体どういう人物であり 5 00:00:24,043 --> 00:00:25,720 何を説き なぜその教えを説いたのかを 知っている人はあまりいません 6 00:00:25,720 --> 00:00:27,612 何を説き なぜその教えを説いたのかを 知っている人はあまりいません 7 00:00:27,612 --> 00:00:31,248 紀元前6世紀の中国は 混乱のまっただ中にあり 8 00:00:31,248 --> 00:00:35,574 権力のために国々は 果てしない戦いを繰り返し 9 00:00:35,574 --> 00:00:38,175 君主は頻繁に暗殺され 時には 自らの親族にさえも 10 00:00:38,175 --> 00:00:40,491 殺められる時代でした 11 00:00:40,491 --> 00:00:43,535 孔子は仁と礼について教えを説き 12 00:00:43,535 --> 00:00:45,833 その教えを通して 13 00:00:45,833 --> 00:00:48,362 中国の偉大なる 哲学者の1人となったのです 14 00:00:48,362 --> 00:00:52,857 高貴な家系の父の下に生まれながらも 幼い頃から貧しい環境に育ち 15 00:00:52,857 --> 00:00:55,520 早くに父を亡くした孔子が 作り上げた思想は 16 00:00:55,520 --> 00:00:57,348 早くに父を亡くした孔子が 作り上げた思想は 17 00:00:57,348 --> 00:01:00,747 やがて苦悩する一般民衆にとって 生涯の心の支えとなりました 18 00:01:00,747 --> 00:01:04,376 牛飼いや穀物蔵の帳簿係 その他の半端仕事などで 19 00:01:04,376 --> 00:01:07,204 母親と障碍を持つ弟を 20 00:01:07,204 --> 00:01:08,875 なんとか支えながらも 21 00:01:08,875 --> 00:01:11,446 裕福な友人の助けによって 22 00:01:11,446 --> 00:01:15,302 孔子は王朝の書庫で学ぶことができ 23 00:01:15,302 --> 00:01:18,122 独自の世界観を養うことができたのです 24 00:01:18,122 --> 00:01:20,423 古代文書を過去の無意味な遺物と みなす人もいますが 25 00:01:20,423 --> 00:01:23,362 古代文書を過去の無意味な遺物と みなす人もいますが 26 00:01:23,362 --> 00:01:25,859 孔子は古代文書に 駆りたてられられたのでした 27 00:01:25,859 --> 00:01:27,934 学問と思考を重ねていく中で 28 00:01:27,934 --> 00:01:31,829 人の人格は家庭の中で そして 儀式や文学 そして歴史などの教育によって 29 00:01:31,829 --> 00:01:35,588 形成されていくということを 信じるようになりました 30 00:01:35,588 --> 00:01:39,831 そのようにして育った人は 周りの人間を助けるために働き 31 00:01:39,831 --> 00:01:43,946 力ずくではなく 道義で周りを導いていきます 32 00:01:43,946 --> 00:01:46,442 自らの哲学を実践していくために 33 00:01:46,442 --> 00:01:51,086 孔子は自身の故郷である 魯国で君主の補佐となりました 34 00:01:51,086 --> 00:01:56,018 しかし 他国が魯国の君主に 贈り物として踊り子を贈ると 35 00:01:56,018 --> 00:02:00,664 君主が踊り子にうつつを抜かし 務めを疎かにしたため 36 00:02:00,664 --> 00:02:03,533 孔子は失意のうちに 職を辞しました 37 00:02:03,533 --> 00:02:06,650 その後の数年間 孔子は 国から国へと旅を続け 38 00:02:06,650 --> 00:02:12,334 自らの思想を固く貫きながら 仕えるに値する君主を探し続けたのです 39 00:02:12,334 --> 00:02:14,066 それは簡単なことではありませんでした 40 00:02:14,066 --> 00:02:17,947 孔子は自分の哲学に従い 当時の常識にも関わらず 41 00:02:17,947 --> 00:02:21,865 懲罰や軍事力で 国を支配するべきではないと 42 00:02:21,865 --> 00:02:25,228 君主たちに説きました 43 00:02:25,228 --> 00:02:26,996 優れた君主は 44 00:02:26,996 --> 00:02:30,075 道義的な美徳の「仁」によって 自と人々を奮起させることで 45 00:02:30,075 --> 00:02:33,124 自分に追従させることができると 確信していたからです 46 00:02:33,124 --> 00:02:34,445 また 孔子は家庭内で培われる 47 00:02:34,445 --> 00:02:37,557 愛と尊敬が 他 すべての美徳の基本であり 48 00:02:37,557 --> 00:02:40,131 家族への個人的な義務は 時には国家への義務より 49 00:02:40,131 --> 00:02:45,263 優先されるべきものだと 信じていました 50 00:02:45,263 --> 00:02:48,834 ある男が羊を盗んだとき その息子が父親に対して 51 00:02:48,834 --> 00:02:51,179 不利になる証言をするほどまでに 52 00:02:51,179 --> 00:02:53,719 自分の臣民は高潔であると ある君主が自慢すると 53 00:02:53,719 --> 00:02:55,617 孔子は君主に対し 54 00:02:55,617 --> 00:03:00,460 本当に高潔な父と息子であれば 互いを守り抜くであろうと伝えました 55 00:03:00,460 --> 00:03:03,127 旅の途中では 孔子は餓死寸前だったこともあれば 56 00:03:03,127 --> 00:03:04,794 しばらく収監されたこともあり 57 00:03:04,794 --> 00:03:07,979 何度も死の危機に遭いました 58 00:03:07,979 --> 00:03:09,548 それでも 彼は 卑屈にはなりませんでした 59 00:03:09,548 --> 00:03:13,082 天の思し召しを心から信じていました 60 00:03:13,082 --> 00:03:14,881 そして 徳ある者は 常に学問と音楽に 61 00:03:14,881 --> 00:03:18,763 歓びを見出すことができると説きました 62 00:03:18,763 --> 00:03:21,080 望んでいたような君主に 出会うこともなく 63 00:03:21,080 --> 00:03:23,137 孔子は魯国に戻り 64 00:03:23,137 --> 00:03:26,319 教師となるとともに哲学者となり 多くの人々に影響を与え 65 00:03:26,319 --> 00:03:29,008 中国の文化を形作るために貢献しました 66 00:03:29,008 --> 00:03:32,991 そういった理由で 今でも孔子の名が 世界中で知られているのです 67 00:03:32,991 --> 00:03:34,567 弟子たちにとって孔子は 68 00:03:34,567 --> 00:03:39,680 自らの徳をもって他を導くことのできる 叡智の化身であったため 69 00:03:39,680 --> 00:03:41,499 孔子の教えを記録し続けました 70 00:03:41,499 --> 00:03:46,986 後にその記録が「論語」として知られる 1冊の書物にまとめられたのです 71 00:03:46,986 --> 00:03:51,547 今日 世界中の何百万という人々が 孔子の教えを支持し 72 00:03:51,547 --> 00:03:55,584 彼の教義の正確な意味合いについて 千年以上も議論されていますが 73 00:03:55,584 --> 00:03:59,018 簡潔な言葉でその教えを 要約するよう言われたとき 74 00:03:59,018 --> 00:04:00,886 孔子自身がこう言ったそうです 75 00:04:00,886 --> 00:04:06,720 「己が望まぬことを他にしてはいけない」と 76 00:04:06,720 --> 00:04:10,866 2500年たった今でも それは人間にとっての本質的な導きといえます