君達がちょっとでも 僕のような人間だったら 最近 四方八方で次のような 言葉が目につくでしょう 「放し飼い」 「農場直送」 「有機栽培」 特にここ コロラドで顕著です 僕達が食生活を 意識するようになるにつれ 以前には聞かなかった言葉が お馴染みとなっています 僕達が以前よりも 食の健康や地球への影響について 注意を払うようになったときに 食品産業は 対応を迫られました その影響が現在に至って 甚大なのです ワシントン州やオレゴン州の人や そして ええ 僕らコロラド人は (喝采) 何の話かわかりますよね なぜなら― 「100%ナチュラル」「 地元産」などと 称するのは食品だけではありません まったく新しい産業が こういうフレーズを使っているのです お察しのとおり マリファナ です 大麻産業は2016年 約60億ドルもの 売り上げを記録しました もし僕が 大麻の合法化についての 皆さんの知識が間違っている と 指摘したら どう思いますか 分かっていますとも 合法化したマリファナについて 話すやつなんて お呼びじゃないですね 僕はそんな事 十分 知ってるけど それでも話します 第一に このことは はっきりさせておきます 僕は 大人が嗜好品として 大麻を使うことには反対しません 僕はそんなことには 関心はありません 僕が大いに懸念しているのは この新しい産業のたくらみによって 皆は 天然の産物を楽しみつつ 社会悪も解決していると 思いこんでいることです 実際は違います それではマリファナの 基礎知識から始めます 大麻は自然に生息し 繊維製品に使われてきました 漢方薬としても何千年もの間 使われてきました 創世記 第1巻12によると 「神はあなた達に穀物と薬草を与えた」 こうやってマイクつけてこんな話をすると テレビ伝道師の気分ですね (笑) 大麻は何百もの化学物質を 含んでいます そのうち2つが とりわけ興味深い物質です CBD(cannabidiol) とTHCです CBDがほとんどの 薬効成分です CBDは実際に治療効果の あるものとして とても興味深い物質です この化学物質に陶酔効果は 全くありません たとえCBDの湯船に浸かって 純正CBDを吸って CBDスムージーを飲んでも ハイにはなりません (笑) やったことがあります (笑) いや やってません すごく高く付くだろうから (笑) CBD は興味深く特筆すべき 化学物質である一方で 市場規模は 実に小さなものです 実際に事業の中心となるのは もう一つの物質 THCのほうです THCはハイにする 効果のある天然物質です 1970年代以前は 大麻のTHC含有率は 0.5%以下でした それが天然の大麻です 過去40年 栽培技術の 切磋琢磨を続けた結果 (笑) THCの含有率は徐々に 上昇しました 最近では化学者が 関わるようになりました 化学者達は 畑を完全に屋内に移しました そして成長過程を 極端に不自然なほどに短縮しました 彼らは殺虫剤や化学肥料を 使い始めました これは憂慮すべきことです 先日 商用栽培の仕事を やめたばかりの 友人と話しました 彼は栽培に使用される 化学物質を取り扱うのが 心配でやめたのです 職場では化学物質の 混合物を散布する時 化学防護服を着用することを 勧められたというのです そのような工夫の結果 現在 大麻製品は 30%以上のTHCを含みます 濃縮したものは 95%以上ものTHCを 含んでいます 天然の大麻とは 程遠いものです これはお祖父さんの時代の マリファナではありません (笑) お父さんの頃の マリファナでもありません 僕のマリファナでも ありません (笑) 近年 大麻薬局は 何千と開業していますが お店を覗いたことがあれば そこで扱っているのは THCだと ご存知でしょう 市販の大麻はTHCの含有量が 正確に表記されています その他の人気のある商品にも 表示されています 例えば ペン型吸入器 コーヒー、アイスクリーム 調味料、グラノーラ、ガム、キャンディー ケーキ、クッキー 座薬など です (笑) 加えて (セックスのための)潤滑剤 ほんとの話です (笑) 体内に導入する あらゆる方法が製品になっています 現在ほとんどの市販の大麻は 実際には大麻ではありません それは純粋なTHC あるいは 不自然なほど高濃度の THCを含む製品です 大麻が合法化された とは誤解を伴う言い方です THCを商品化したのです それはとても急速に起こりました 大麻産業が爆発的に 成長したのは ハイになりたい人々の欲求を満たすことで 莫大な収益が上がるからです 昔ながらの家族経営の店は その恩恵は受けません 大手企業が収益を上げています 「Drug Policy Alliance」 「Marijuana Policy Project」 「Arcview Investment」 「Cannabis Industry Association」 などです 零細マリファナ農家は市場から放逐されました 連中は 最も効率よく利益を得る方法は アルコール産業が行なった 80/20法だと知っています これは単純です 80%の製品は 20%程の消費者が使用します この人たちが問題です 富裕層、白人 マリファナ業界のロビイスト マジな話 ほぼ全員が裕福な白人たちは 取り扱い商品の効力を強めれば 消費が増えることを 知っています 彼らはまた 年収2万ドル以下だと THCを常用する可能性は 年収5万ドル以上の2倍以上だと 知っています 言い換えれば 貧乏なほど 大麻製品に お金を費やす可能性は高いのです この国では収入と人種には 高い相関関係があります 大麻を合法化する理由の一つ としてよく聞くのは 合法化によってマイノリティーの 投獄率が減らせるという説明です これは皆さんが深刻に 考えるべきことです あいにく コロラド州の 18歳以下の逮捕率を見るだけで その説明に異議を唱えられます コロラド公安局によると 2014年に大麻の小売店が 開業してから― ちなみに小売店の大半は 貧しいマイノリティーの街にあります 白人の18歳以下の大麻関連の 逮捕者数は8%減りました いい報せです 同じ期間に ヒスパニックの18歳以下の 逮捕者数は29%増加 黒人の18歳以下の大麻関連犯罪による 逮捕者数は58%増加しました そんな話聞いてましたか? コロラドの有色人種の 逮捕率は 大麻の商業化以前よりも 上がっているのです このような事実は ニュースには出ません 「コロラド公安局 合法大麻に狙い」なんて 見出しは見ません もう一つ注目すべき問題は 停学率です 白人が大半の学校 すなわち有色人種が 25%以下の学校では 大麻合法化後一年の データによると 薬物関連の停学措置が 190件ありました そのほとんど全部が THC関連です 同じ期間に 有色人種が75%から 100%の学校では 薬物関連の停学措置が 801件あり そのほとんど全部が THC関連でした マイノリティーについて議論する時 しばしば忘れられるのは LGBTQコミュニティです LGBTQの人達は異性愛者や シスジェンダーの2倍以上の頻度で THCを使用しています 悲しいことに 精神障害や 自殺率も高いです 2014年に公表された 『Going to Pot』の研究では 現在の不自然に高い濃度のTHCは これらの問題を増悪させます 高濃度は問題を さらに悪化させています 不運なことに マリファナ製品を 売る側は これらの問題について 殆ど懸念していません なぜなら今説明したように 明らかに この人たちが上得意だからです 聞いてください 多くのコミュニティーにとって 大麻合法化は 全く疑うべからざるものです しかし議論の俎上に上げるべきです 現在市販されているのは 天然のものではなく ロビイストと産業は 社会的正義という名分の陰で 私腹を肥やしているのです 私自身の薬物依存から抜け出す道のりが 目にした多くのことに 疑問を持つきっかけとなりました そうするのは大事だとよく言われますね 僕が12歳の時コロラドから ワシントンDCに 引っ越した時 高価な靴を履いていることが 何より重要視される世界に 投げ込まれました 僕の家族は貧乏で高価な靴は 買えませんでした そして僕はアイデンティティの危機に 見舞われました アスファルトが緑よりも多い光景に 急に放り込まれ 自分が何者かわからなくなりました それで僕は初めて マリファナを吸いました 13歳の時でした そしてハマりました (笑) 僕はすぐに仲間を 見つけました ハイな状態はよかったです 不安を吹き飛ばす方法が ついに見つかったのです その後すぐに他の薬物や酒を 始めました 私の脳の中で 何かが始まりました 僕は2、3ヶ月で 常習者になりました 僕の薬物中毒への歴史は 聞いたことのある話と瓜二つでしょう 始めは楽しいと思いましたが だんだん怖いことになり やがて不可欠となったのです もう十分ですね 僕が最後に薬物を使ったのは 1996年6月15日です そして (拍手・喝采) ありがとうございます この21年 僕は自分の生活を きちんとするだけでなく この世界で穏やかに暮らそうとしました そのために僕がやったことは 薬物やアルコール依存からの 回復を支援する非営利団体で 10年間働くことでした 「Phoenix Multisport」 「University of Colorado Hospital」 そして「NALGAP」 (同性愛者と支援者の国際協会) などです しかし 薬物問題の前線で 仕事をした人間として そして元常習者として この産業化が 大麻を変えたことは ショックとともに 腹立たしいことでした 僕達が純粋で自然なものを望む気持ちが 却って真実を見抜くことを 困難にしているからです 富裕層が貧民層の裏で 甘い汁を吸う一方で 僕達に嘘偽りを並べ立てているのです (拍手) ありがとうございます 皆さん 僕達は 大麻産業が 弱い立場の人々から 搾取しているのを そのまま許して良いのでしょうか 過去のタバコや食の問題と 同じようにです 僕達が食品産業に対して 僕達の選択がどういう影響を 与えるかという理解とともに 自身と家族により良いものを 要求すると訴えたとき 食品産業はそれを受け入れました それなら それと同じことを マリファナ産業や将来の新産業など 庶民を食い物にしようとする事業に 要求しない理由はありません 厳しい質問にも きちんと答えさせてはどうだろうか 現状よりももっと高い基準を 求めてはどうだろうか このままでは 僕らのコミュニテイの多数にとって 商用解禁の結果は 向こうサイドの人にとってだけ おいしいものでした 向こうの人だけが 恩恵をこうむっているのです ありがとうございます (拍手) ジェレミー ・デュホン: これはデリケートであり かつ重要なトピックです 話題を選び 概観を説明していただき ありがとうございます 多くの人がマリファナの 効用で健康面の 恩恵を受けてます そういう人に対しては どうコメントしますか? ベン・コート:良い質問です 今現在行うべき最も重要なポイントは 二つの問題を 混同しないことだと考えます 特に今の課題を鑑みると 材料としての大麻や 大麻そのものの薬効と 市場商品としてのTHCとは 切り離して考えるべきです それは極めて重要なことだと 思います この異なる観点を 一緒に論じてはいけません 「ここは大麻でハイになる話 ここは大麻の薬用効果の話 」と 区別すべきです (拍手) デュホン:ということは あなたは反大麻ではなくて 産業化という側面に関して 問題提起をしたと 言う意味ですね? コート:はい 私はウィード(大麻)反対ではありません (笑) 僕は論理を重視します 僕は元薬物常習者です 他の常習者を批判できないし したいとも思いません しかし僕を苛立たせる事実は もし他の産業が このような社会問題を随伴したなら 厳しく尋問するところを 大麻に関しては 手放しで容認しているということです そして、僕は反大麻ではない 僕は考える人間です 皆さんも 考えてください 誰がいつ吸おうが それには全く興味はありません 大人のやることなら構いません 分別のある大人であるなら よく考えてください (拍手)