1 00:00:07,809 --> 00:00:15,780 ディズニーの「ストレンジワールド」は カラフルで奇妙な世界を冒険する話だ 2 00:00:16,789 --> 00:00:25,828 若い観客向けの映画だが それはメッセージが浅いことを意味しない 3 00:00:26,186 --> 00:00:29,825 説明のために物語の中盤にジャンプしよう 4 00:00:29,955 --> 00:00:35,224 主人公たちが開拓プライマルという ボードゲームをする場面だ 5 00:00:35,354 --> 00:00:37,004 "開拓プライマルは?" 6 00:00:37,134 --> 00:00:41,371 マジック・ザ・ギャザリングと カタンを混ぜたようなものだが 7 00:00:41,501 --> 00:00:45,018 ゴールはモンスターを倒したり 領土を広げることではなく 8 00:00:45,158 --> 00:00:46,618 "悪魔のクモだ!" 9 00:00:46,738 --> 00:00:47,385 "殺せ!" 10 00:00:47,505 --> 00:00:50,564 "いや 殺すとかじゃないんだ" 11 00:00:50,694 --> 00:00:54,644 協力してより良い世界を構築することだ 12 00:00:54,794 --> 00:01:00,143 "環境と調和して暮らすのが ゲームの目的だ" 13 00:01:00,528 --> 00:01:05,282 そのゴールは映画のメッセージでもある 14 00:01:05,402 --> 00:01:07,969 倒すべき悪役はいない 15 00:01:08,094 --> 00:01:10,874 代わりに社会を説得して 16 00:01:11,009 --> 00:01:16,429 日常生活を支える便利な燃料を 捨てさせる必要がある 17 00:01:16,569 --> 00:01:19,033 それが世界を破壊する前に 18 00:01:19,173 --> 00:01:24,842 生態学的寓話としては 驚くほど過激な話だ 19 00:01:25,634 --> 00:01:30,665 見た目はパルプマガジンから借りているが 20 00:01:30,975 --> 00:01:37,360 テーマはソーラーパンクと 多くの共通項がある 21 00:01:39,745 --> 00:01:44,897 ソーラーパンクは最近の 文学やメディアのトレンドで 22 00:01:45,037 --> 00:01:51,437 SF的な枠組みで生態系を再生する物語であり 23 00:01:51,567 --> 00:01:59,676 パーマカルチャー農業 相互扶助ネットワーク 持続可能な都市生活などを描いている 24 00:02:02,182 --> 00:02:12,170 テーマとビジュアル自体は数十年前からあり 多くがスタジオジブリ作品に影響を受けている 25 00:02:12,317 --> 00:02:20,480 特に「天空の城ラピュタ」「もののけ姫」 「風の谷のナウシカ」に 26 00:02:21,804 --> 00:02:29,203 現時点ではソーラーパンクは ジャンルというより野心的アイディアだが 27 00:02:29,343 --> 00:02:33,038 今はゲーム界にまで急速に成長している 28 00:02:33,167 --> 00:02:37,331 "毒素洗浄装置を使い 土壌と海を浄化しましょう" 29 00:02:39,121 --> 00:02:45,652 "綺麗な水を必要な場所に送り 草木を育てましょう" 30 00:02:45,786 --> 00:02:57,456 ソーラーパンク系で私のお気に入りなのは 「Monk and Robot」シリーズの小説だ 31 00:02:57,609 --> 00:03:05,951 ソーラーパンクの核心は よくあるディストピアでの楽観的反応だ 32 00:03:06,091 --> 00:03:13,507 そこではハイパー資本主義が 世界をひどく破壊している 33 00:03:13,653 --> 00:03:26,118 私たちは壮大な世界的大災害を数多く鑑賞し 世界の終わりは不可避のように感じてしまう 34 00:03:26,304 --> 00:03:29,910 "この町だけじゃない 全部こうだ" 35 00:03:30,061 --> 00:03:39,632 「The Seeds of Time」という本の次の言葉を どこかで聞いたことがあるかもしれない 36 00:03:39,779 --> 00:03:49,590 "こんにちの私たちにとっては 後期資本主義の崩壊より 地球や自然の徹底的な荒廃を 想像することの方が容易いように見える" 37 00:03:49,723 --> 00:03:54,270 "おそらく私たちの想像力の弱さのせいで" 38 00:03:54,564 --> 00:04:00,376 私は想像力の欠如は 少なくとも一部は エンターテイメント企業のせいだと主張したい 39 00:04:00,506 --> 00:04:05,589 ネオンにあふれた企業系ディストピアと 40 00:04:05,959 --> 00:04:09,660 終末風景を描き続けている 41 00:04:09,800 --> 00:04:14,568 世界の運命は決まっているかのように 42 00:04:14,894 --> 00:04:20,777 良いディストピア物語は 私たちの世界についての警告となるかもしれない 43 00:04:20,923 --> 00:04:25,141 "コロニーでの新しい人生が あなたを待っています" 44 00:04:25,271 --> 00:04:29,465 "黄金の土地での再出発のチャンス…" 45 00:04:29,595 --> 00:04:36,356 しかし未来の暗い見通しは多く蔓延し 批評もされてないため 46 00:04:36,497 --> 00:04:44,460 多くのジャンルが少ないスタイルの選択と お決まりの物語の中に閉じ込められている 47 00:04:47,432 --> 00:04:57,419 私たちは時折 ディストピア的な世界の中で より良い未来の可能性を垣間見る 48 00:04:59,523 --> 00:05:01,213 "本物の木?" 49 00:05:01,333 --> 00:05:05,365 "クールだろ? 初めて見た時ここだとわかった" 50 00:05:05,500 --> 00:05:08,702 "種一つでこうなれる" 51 00:05:09,107 --> 00:05:16,507 その生態学的持続性の見通しは 遠い未来の一部にだけ存在するかのようだ 52 00:05:16,652 --> 00:05:23,204 別の宇宙か 仮想空間の中に 53 00:05:25,582 --> 00:05:29,064 ストレンジ・ワールドは このパターンを破る 54 00:05:29,190 --> 00:05:34,657 環境は危機にあるが まだ救う時間があるからだ 55 00:05:34,817 --> 00:05:43,218 オープニングでアヴァロニアは前近代社会から 未来的技術社会に進歩したと説明される 56 00:05:43,368 --> 00:05:47,967 パンドと呼ばれる燃料を発見したおかげで 57 00:05:48,602 --> 00:05:55,079 野菜のように育つが パンドは明らかに化石燃料の比喩だ 58 00:05:55,879 --> 00:05:57,043 "電池切れだ" 59 00:05:57,163 --> 00:06:00,630 "そんなわけない 1時間前に収穫したのに" 60 00:06:00,770 --> 00:06:07,618 パンドに謎の異変が起こると 彼らは生活を守るため探検に出る 61 00:06:07,746 --> 00:06:14,053 "今回のミッションは根っこを追って パンドの中心に行き 病気を治すこと" 62 00:06:14,173 --> 00:06:17,399 燃料を手に入れ続けようとする 63 00:06:17,529 --> 00:06:23,181 たとえ外界生物と 戦争することになったとしても 64 00:06:27,169 --> 00:06:37,288 その後 気候変動の寓話そのままに パンド自体が世界を殺す寄生虫だと判明する 65 00:06:37,657 --> 00:06:40,867 "この世界は生きてる 生き物なんだ!" 66 00:06:40,997 --> 00:06:47,108 "つまり 僕らはずっと暮らしてた" 67 00:06:47,238 --> 00:06:49,553 "巨大生物の上に" 68 00:06:49,878 --> 00:06:55,631 息子のイーサンが最初に状況を理解した 69 00:06:55,957 --> 00:06:58,326 "それをパンドが殺してる" 70 00:06:58,455 --> 00:07:03,595 そして父親と一緒に変化を訴えようとする 71 00:07:03,730 --> 00:07:05,550 "巨大生物なんだ!" 72 00:07:05,685 --> 00:07:07,845 "巨大生物?" 73 00:07:07,990 --> 00:07:12,943 "聞いてくれ この世界は全部生き物なんだ" 74 00:07:13,083 --> 00:07:14,869 "パンドがそれを殺してる" 75 00:07:15,009 --> 00:07:17,708 "生き残るにはパンドを捨てないと" 76 00:07:18,298 --> 00:07:20,250 "パンドなしで生きろと?" 77 00:07:20,380 --> 00:07:22,070 "信じられるか!" 78 00:07:22,190 --> 00:07:28,912 しかしリーダーは現状を維持することを選び 生態系に起きている真実を否定する 79 00:07:29,041 --> 00:07:29,978 "カリスト?" 80 00:07:30,091 --> 00:07:30,982 "離してよ" 81 00:07:31,102 --> 00:07:33,174 "感情的にならないで" 82 00:07:33,294 --> 00:07:35,745 "何を見たのかは知らない" 83 00:07:35,865 --> 00:07:39,133 "でもここにはパンドのために来た" 84 00:07:39,255 --> 00:07:40,255 "計画は変えない" 85 00:07:40,383 --> 00:07:41,688 "君はわかってない" 86 00:07:41,818 --> 00:07:47,816 イーサンたちは科学的事実を 指摘したことで監禁される 87 00:07:48,846 --> 00:07:51,102 "間違ってる!" 88 00:07:51,222 --> 00:07:55,047 だがリーダーたちもすぐ気づくことになる 89 00:07:55,177 --> 00:07:58,580 "これでわかった? 心臓よ" 90 00:07:58,800 --> 00:08:04,054 このシナリオは私たちの現実世界の反映だ 91 00:08:04,255 --> 00:08:05,853 "で…タイムアップ!" 92 00:08:05,992 --> 00:08:08,292 "わかった死んだよ 殺した" 93 00:08:08,422 --> 00:08:09,878 "そうこなきゃ" 94 00:08:10,008 --> 00:08:17,691 ボードゲームの最中に見たように 持続可能性というゴールは若者には自明だ 95 00:08:17,819 --> 00:08:20,130 "27回目だ 悪者はいない" 96 00:08:20,260 --> 00:08:23,845 "モンスターを殺したりしない" 97 00:08:23,985 --> 00:08:29,380 "環境を活用して文明を築くんだ" 98 00:08:29,872 --> 00:08:34,316 だが上の世代はそのアイディアに混乱する 99 00:08:34,446 --> 00:08:36,043 "わからんな" 100 00:08:36,168 --> 00:08:37,048 "僕も" 101 00:08:37,153 --> 00:08:39,410 "そんなに難しくない!" 102 00:08:39,530 --> 00:08:42,049 "悪者がいないって何だ?" 103 00:08:42,169 --> 00:08:43,746 "設定がヘタなんだ" 104 00:08:43,866 --> 00:08:46,622 "わかった 悪者がほしい?" 105 00:08:46,762 --> 00:08:48,442 "二人が悪者だ!" 106 00:08:48,922 --> 00:08:57,874 自分たちの生活にこだわり 危機を解決するための犠牲を理解しない 107 00:08:57,997 --> 00:09:00,918 本当の悪者は人ではない 108 00:09:01,048 --> 00:09:07,277 変わる必要性を受け入れない 凝り固まった価値観だ 109 00:09:08,697 --> 00:09:14,189 最後には人々はパンドを壊すことを受け入れ 110 00:09:14,330 --> 00:09:20,295 世界を救うために快適な暮らしを諦めた 111 00:09:23,197 --> 00:09:28,708 あるレベルでは これはアニメ映画に期待する ハッピーエンドと言える 112 00:09:28,848 --> 00:09:35,828 地球と生物たちがみな繋がっているという啓示は どこかで見たことはあるだろう 113 00:09:35,961 --> 00:09:40,761 他との違いは 未来に到達する 方法についてのメッセージだ 114 00:09:40,894 --> 00:09:45,475 "さて 次に停まるのは 冷たいコーヒーと怒れる群衆です" 115 00:09:45,615 --> 00:09:47,329 "帰る準備はいい?" 116 00:09:48,532 --> 00:09:53,033 環境がテーマの家族向け映画はよく 117 00:09:53,173 --> 00:09:56,166 "珍しい鳥が住んでるの!" 118 00:09:56,289 --> 00:09:57,749 "木を切らないで!" 119 00:09:57,882 --> 00:10:02,374 変化というより保守の観点から描かれる 120 00:10:02,488 --> 00:10:05,942 "これを植えることから始めよう!" 121 00:10:06,217 --> 00:10:11,837 そして解決策は小さな個人的行動だ 122 00:10:12,127 --> 00:10:17,929 ゴミを拾う 電気を消す 木を植えるなど 123 00:10:18,790 --> 00:10:20,649 "ゴー!プラネット!" 124 00:10:21,096 --> 00:10:27,301 "プラネティアーズは君に参加してほしい 私たちの惑星を綺麗で美しく保つために" 125 00:10:27,963 --> 00:10:31,331 "ポイ捨てはしないでください それは完全にかっこ悪いことです" 126 00:10:31,453 --> 00:10:33,593 "パワーは君のもの" 127 00:10:34,383 --> 00:10:44,553 この種のメッセージは変化の責任を 問題のある仕組みから個人に転嫁する 128 00:10:44,684 --> 00:10:51,965 ストレンジ・ワールドではそれと違い 環境を救うのは個人の選択の結果ではなく 129 00:10:52,095 --> 00:10:59,057 社会の仕組み全体の根本的な転換だ 130 00:10:59,209 --> 00:11:02,770 パンドをやめる必要がある 131 00:11:03,177 --> 00:11:07,230 現実世界の私たちへの寓話だ 132 00:11:07,360 --> 00:11:13,273 私たちも化石燃料を使うのを やめなければならない 133 00:11:13,413 --> 00:11:17,104 10年20年とかけてはいられない 134 00:11:17,254 --> 00:11:21,799 グリーンエネルギーへの転換は急を要する 135 00:11:23,599 --> 00:11:32,661 巨大エネルギー企業が宣伝するのとは反対に 気候変動の簡単な技術的解決策は存在しない 136 00:11:32,781 --> 00:11:34,355 "クリーンだね" 137 00:11:34,491 --> 00:11:36,937 "普通の掃除でいいんですか?" 138 00:11:37,067 --> 00:11:44,974 クリーンコールなどの誤った解決策は ただのグリーンウォッシュキャンペーンで 139 00:11:45,114 --> 00:11:49,853 汚れたエネルギーへの投資を続けさせるものだ 140 00:11:49,996 --> 00:11:54,706 "クリーンコールは最も信頼できる 石炭産業によって提供されています" 141 00:11:54,846 --> 00:12:05,360 本当に地球を救いたいなら 今の持続不可能な生産消費行動は続けられない 142 00:12:06,169 --> 00:12:17,051 もちろん有害な燃料に依存した社会の再構築は その期間中に多大な不便を強いるだろう 143 00:12:17,199 --> 00:12:22,779 しかし時代の転換期は 創造と革新を生み出すものだ 144 00:12:22,919 --> 00:12:28,744 映画の人々も昔の生活に戻る必要はなかった 145 00:12:28,894 --> 00:12:35,305 困難な時期を冷たいコーヒーを飲み コミュニティが一丸となって乗り越え 146 00:12:35,445 --> 00:12:44,606 最終的には再利用可能な風力発電を開発し 町の明かりと飛行船を取り戻した 147 00:12:46,822 --> 00:12:54,970 生態学的調和という楽観的メッセージは 映画をソーラーパンクの枠にぴったり置く 148 00:12:55,108 --> 00:12:58,565 ソーラーパネルがなかったとしても 149 00:12:58,695 --> 00:13:05,577 過激な環境保護の主張が ディズニーから出たというのは少し皮肉だ 150 00:13:07,407 --> 00:13:14,581 映像製作者がメディア企業に向けて 改革を呼びかけたのはこれが初めてではない 151 00:13:16,026 --> 00:13:23,888 例えばこの美しいアニメは ヨーグルト企業のCMの一部だ 152 00:13:24,035 --> 00:13:28,162 企業は長らく自身を 未来と関連付けようとしてきた 153 00:13:28,302 --> 00:13:34,665 ポジティブなメッセージはいいが 理解すべきなのは 真によい世界に 154 00:13:34,805 --> 00:13:42,132 地球を消滅の瀬戸際に追い込んだ 企業やシステムは居場所がないということだ 155 00:13:43,005 --> 00:13:48,834 映画は公開されると 反動的な批評家から ボイコットが呼びかけられた 156 00:13:48,964 --> 00:13:57,295 多様性の押し付けや ゲイが普通のこととして 描かれたことに怒ったようだ 157 00:13:57,415 --> 00:13:58,971 "すごくうれしい" 158 00:13:59,091 --> 00:14:06,593 中心人物に有色人種を選択したことは ソーラーパンクの世界を構成する上で重要だった 159 00:14:06,733 --> 00:14:14,612 なぜなら持続可能な生態系のアイディアは 遠い未来のSFから来たのではなく 160 00:14:14,761 --> 00:14:23,063 ヨーロッパ人が入植する前の アフリカの伝統にルーツがあるからだ 161 00:14:23,201 --> 00:14:28,457 自然のシステムを利用することで 農耕し続けられました 162 00:14:28,597 --> 00:14:35,398 同じ土地を何世紀も 土壌を枯渇させることなしに 163 00:14:35,866 --> 00:14:40,273 ソーラーパンクの流行は 重要な真実を指し示している 164 00:14:40,423 --> 00:14:43,013 "制限区域です" 165 00:14:43,158 --> 00:14:47,871 差し迫る気候変動の危険を 理解する必要がある一方で 166 00:14:48,011 --> 00:14:54,830 破滅を強く警告するだけでは 人々に行動させるには十分ではないということを 167 00:14:54,980 --> 00:15:04,544 望む未来の形の想像を助けるような物語が 楽しく 刺激的で そして批判的であると 168 00:15:04,682 --> 00:15:10,458 より良い未来が私たちの 手の中にあると感じられる