思った通りだ
どんな風に?
廊下で誰かを見たそうだね
いえ 床のろうそくだけです
だが妙な笑い声を聞いた
君は以前にもその笑い声を
聞いていた筈だ
それらしいものを
ここで縫い物をする女性がいます
グレース・プールは...
あんな風に笑います
変わった人ですわ
言い当てたね
グレース・プールは...
君が言うように 変わってる
とても
問題をよく考えてみるよ
だけど...
今夜のことを詳しく知ってるのは
私以外では君だけだ
君はお喋りな馬鹿じゃない
何も言うな
この件の責任は私が負う
さあ...
自分の部屋に戻って
でもあなたはここで寝れない
書斎のソファで大丈夫だ
4時近くになる筈だ
2時間もすれば
召使達が起きる
では お休みなさい
え? もう帰るのか?
そんな風に?
でも行っていいと
少なくとも握手を
君は命の恩人だ
君に膨大な負債を負って
嬉しい
この場合に負債も義理も
ありませんわ
君がいつか何らかの方法で
私に尽くすと分かっていた
初めて見た時
君の目でそれが分かった
その表情と微笑が...
無駄に私の胸の底まで
喜ばせてなかったのだ
私の大切な保護者さん
お休み
お休みなさい
たまたま起きていてよかったです
おや 行くのか?
寒いですから
寒い
そうだな
じゃ ジェーン 帰って
F夫人が起きるようです
では ジェーン 行きなさい
お休みなさい
なんてこと
お早うございます
あら お早う
ご主人様の部屋を見ました?
ロウソクに不注意だったせいで
ベッドで焼けて
灰になるところだったわ
今日中に片付けるけど
動かすものが沢山あるわ
リアとジョンはそこに入れてるわ
残りの召使を呼ばなくちゃ
ジェーン これを持ってって
ご主人様のベッドにおいて
彼がいなくてよかったこと
いない? 永久に?
まあ 違いますよ
ホームパーティーに
出かけただけですよ
戻るわ でも私は急がないと
リアとジョンを見張ってね
二人はお喋りで時間を潰すのが
大好きだから
この水差しに水がいっぱいで
よかったな
誰も起こさなかったのかな
ジェーンさん
どう思われます?
ロチェスター様を探していたの
家にいらしたの?
いいえ でも
馬に鞍をつけろと
リーズへ行かれるようです
有難う ジョン
すぐ戻る予定かしら?
違うと思います
お早う
お早う グレース
妙なことね?
何があったか聞いたわ
ロチェスター様は
誰も起こさなかったの?
彼が起きるのが
誰にも聞こえなかったの?
召使達はずっと離れて
寝てるわ
F夫人には何も聞こえなかった
老人はよくぐっすり眠りますから
でもあなたの部屋は近い
若いですから
あなたの眠りは浅いかと
音が聞こえませんでした?
聞こえたわ
最初はパイロットだと
思ったの
でもパイロットは笑う筈がない
笑い声は確かに聞こえたわ...
とても変な笑い声を
そんな危ない時に
ご主人様が笑う筈ないですね
あなたは夢を見ていたのでは
夢じゃないわ
ドアを開けて廊下に出て
みようと思わなかったの?
とんでもない
ドアをロックしたわ
前は違ったけれど
これからはそうするわ
その方がいいですよ
館が強盗に狙われたと
聞いたことがないけど
何百ポンドもする皿もあるのに
召使は少ない
安全策が一番です
万事を神に任せる人は多いけれど
神は自助努力の人を
助けるんですよ
プールさん 召使の昼食に
降りてきますか?
いいえ お盆にビールと
プディングを載せるだけでいいわ
自分で階上に運ぶわ
お肉は?
ほんの一切れ...チーズ一口
それだけよ マリア
先生 F夫人があなたを
探してますよ 昼食に
有難う
ロチェスター様! ロチェスター様!
どうした?
グレース・プールです
図々しくも あなたの寝室にいます
それで?
捕まえるか 少なくとも
解雇しないんですか?
昨夜 犯人だと仰った筈では
なぜ私に秘密になさったんです?
それだけか?
彼女に弱味を握られてるんですか?
エアさん
あなたの関心事を
自分の管轄内に留めてください
もう10日よ
ご主人様から何も連絡ないわ
私は驚かないわ
彼がまっすぐ大陸へ戻りー
あと一年以上
館に顔を出さなくてもね
あなたに分からないの?
ええ
彼はよく不意に出かけたもの
あ まだ終わってないわ リア
今お手紙が
ありがとう
ご主人様からよ!
ええと
まあ 忙しくなるわ
戻るの?
そうなんですよ
3日内にお友達を連れて
いらっしゃるの
ブランシュ・イングラム様も
お早うございます
ソーンフィールドへようこそ
お帰りなさいませ
ありがとう F夫人
郡で一人だけ
私と釣り合う方と乗馬を
楽しんだよ
私達は友人達を5分引き離した
この家はいつも素敵ね
その家は
素敵なお客様で栄誉なのです
あの婦人はどなた?
ブランシェ・イングラム様です
ありがとう
部屋へご案内しましょう
あなたの召使が着くまで
F夫人がお世話します
Mais qu'elle est belle.
(なんて美しい)
とてもきれいな方ね
馬車のご用意ができました
ありがとう
En avant, mes amis.
(楽しんで 友人方)
行楽日和だわ
ロチェスター様とブランシェ様は
お似合いね?
他のご婦人方より
お好きなようね
彼女に感嘆してるのは
はっきりしてるわ
ええ
でも ほら
紳士は自分以上に考えることが
ありますよ
結婚は義務で
財産 家系 領地の結合も
含むのよ
どの紳士も義務を考える
時が来る筈だわ
彼女は本当にきれいだわ
今晩 最高の彼女を
見ることでしょう
たまたまロチェスター様に
言ったんですよ
アデレがご婦人方にとても
紹介して貰いたがってるとね
すると「夕食後応接間に
来させろ」と仰ったの
まあ きっと大喜びするわ
「エアさんも付き添わせろ」
ですってよ
まあ 彼は礼儀上仰っただけですよ
出たがらないだろうと
言ったら
「私の要望だと伝えろ」
「抵抗するなら 私がつかまえて
連れて来る」ですって
実を言うと
私はロチェスター様のお客達が
あまり好きじゃなかった
彼等の多く 特にミス・イングラムは
浅薄で 身分の違う者に対し
傲慢 侮蔑的に見えた
勿論
家庭教師をつけてますね
今どこに? 消えた?
あ まだいるわ
家庭教師のことなら
うちの母に訊くべきよ
私には少なくとも6人いたわ
忌まわしいか くだらない人達
私は家庭教師をよくからかったわ
とてもいい先生だったのよ
彼女の机を荒らしたり
針箱を引っくり返したりね
彼女は何でも我慢したわ
もう家庭教師の回想録は
できたようですから
代わりに何か弾きましょうか?
ええ 是非
弾いて
どう?
元気です
なぜあの部屋で 私に
話しかけてこなかった?
お忙しそうでしたので
お邪魔したくなくて
私の留守の間 何をしていた?
特に何も
いつものように
アデレを教えていました
前よりずっと顔色が悪い
どうしたのだ?
何でもありません
私を溺れさせそうだった
あの夜 風邪をひいたか?
いいえ
応接間に戻れ
引っ込むのが早過ぎる
疲れてるのです
それに少しふさいでいる
何についてだ?
言え
ふさいでいません
だが 確かだ...
ひどくふさぎこんで
あと二、三言で
目から涙がこぼれそうだ
時間があれば この訳を
知りたいのだがな
じゃ...
今夜は勘弁しよう だが
お客達がいる間は
毎晩応接間にいてくれ
私の希望だ
おろそかにするな
では行け
アデレを迎えにソフィーを
お休み
ある晩
余興の変更が提案された
彼等はゼスチャーゲームのことを
話していたが
私はその用語が
分からなかった
分かった 結婚式だ
結婚だわ
なんて素敵なカップルなの
一体何かしら?
二番目の語は「獄」じゃなかったか
それで全部だと「監獄」...
ロンドン監獄?
ブラボー!
やった
当てたぞ
おいで
下りるのを手伝おう
エイミー
とても面白かった
イングラムさん
あなたはもう私の妻ですよ
私達はこの証人達の前で
結婚したばかりだ
彼が 彼女の家系 地位
親戚の故に結婚すると分かった
私はほとんど嫉妬しなかった
だが ずっと苦痛に
さいなまれた
彼は彼女を愛していなかったからだ
翌日 彼は「仕事でミリコートに
呼ばれ遅くまで帰らない」と言った
その同じ午後
見慣れない人が館を訪れた
どうも生憎な時に来たようだ
友人のロチェスターは
留守だが
長旅をしてきたので
思うに
昔なじみの友人ということで
彼が戻るまで待たせていただこう
私の名はメーソンです
今英国に着いたばかりです
私は一時西インド艦隊で
過ごしました
それで当たって...?
耳がいいですね
私はジャマイカのキングストン
出身です
ハハ よく知ってますよ
ロチェスターさんに会ったのは
そこでした
彼が西インドに行ったことが
あるとは知らなかったわ
彼はどこにでも行ってるよ
だが 皆を紹介しよう
イングラムさん
メーソンさんを正式に紹介します
よろしく
ロチェスターは西インドが
嫌いだった
台風や暑さやぞっとする雨は
勇ましい彼でも耐えられなかった
失礼します
老女が廊下にいて
去ろうとしないんです
ジプシーです
わしが治安判事で
去らないと足かせをはめる
と伝えろ
いや 待て
ジプシーだと言ったね?
はい 是非 お前にまかりこして
運勢を告げたいと
余興の予定が何もないんだ
彼女に楽しませて貰おう
まさか デント大佐
そんな卑しい詐欺師を
助長しないでしょ
どんな様子なの?
酷く醜い老婆です
その石炭と同じ位黒くて
呼んでみよう
そうとも 楽しむチャンスを
なぜ捨てる?
書斎に案内を
まさにそうしたいらしいのです
俗人の前には出ないそうで
私が最初だな
いいえ 紳士はみなくて...
ご婦人だけ しかも若く
独身のご婦人だけだそうです
おや! えり好みするんだな
まあ 娘や 私の一番可愛い娘
お待ち 考えて
彼女は何と言った?
ブランシェ?
私の手をなで ああいう人達が
普通言うことを言ってたわ
今度は私の番ね
大丈夫か
あの人どこかおかしいわ
あんなこと言って...
私達のことを全部知ってるのよ
よろしければ
ジプシーは部屋にもう一人
若い独身婦人がいると言って
あなたをみないと
引き上げないそうなので
家庭教師だわ
もちろん 行きます
こんな手からは何も分からない
良すぎるのだ
膝まづいて
それは顔にある
目に
口に
何を思って私のところに
来たのだろう
素敵な未来を囁くような
秘密の希望はない?
一番の望みはお金を貯めー
いつか小さな学校を作ることです
心へのけちな食べ物
あの窓辺の椅子に
腰掛けてる時...
そうとも
あんたの習慣を知ってるのさ
召使と話していたのね
ああ 召使の一人に
あんたは鋭い 勘がいい
プール夫人だよ
そう警戒するな
あれは安全な人だ
信用できる人だ
さて あの窓辺に座ってる時
未来の学校以外
何も考えないのか?
連中の誰一人のことも
考えていないのか?
あんたが注視する顔は
一つもないのか?
皆の顔を観察するのが好きですよ
ご主人様を観察せざるを得ないだろ
彼は家にいません
それで 彼を存在しないことに
するのか?
ロチェスター様が私と
どう関係するのか分かりません
この社交全部の中で
彼の顔にある愛を見なかったか?
私は告白しに
来てるのではありません
ロチェスター様が結婚すると
分かってますか?
そう あの美しいミス・イングラムと
近々?
外観ではそう見えるだろう
でも私はロチェスター様の
運勢ではなく
私の運勢を聞きに来たのよ
あんたの運勢はまだ未定だ
運命はあんたに一定の幸福を
与えてる
手を伸ばしてそれをつかむのは
あんた次第だ
あんたがそうするかが
問題だ
もう一度跪いて
長くかけないで
火で体が焦げるわ
炎が目の中でちらついてる
目が輝いてる
柔らかく感情にあふれてる
目は見込みある
口は...
時に楽しそうに笑う
額は敵だ
その額は言うのだ「自尊心が
要求するなら一人でも生きられる
幸福を買う為に魂を売る必要はない」
その額は宣言する
「理性はしっかり手綱を
握っている」
「理性は感情を破裂させ
深淵に彼女をせかすことはない」
「強風 地震 火事が通ることも
あろう
「だが 私は良心という
静かな小声の導きに
従うのだ」
よくぞ言った 良心
その声は尊重されよう
ジェーン もう私がわかるか?
去れ 汝 借り物よ
うまくやっただろ
そう思わないか?
こんなゲームを
私から何かを引き出そうと
していたわ
ジェーン 許してくれるか?
わかりません
考えてみないと
ロチェスター様
見知らぬ方が訪ねて
おいでなのをご存知ですか?
西インド諸島のメーソンさん
メーソン?
西インド諸島?
ご気分が悪いのですか?
ジェーン 私はうちのめ...
打ちのめされた ジェーン
彼はどこに?
皆さんと一緒です
囁きはない
笑って話している
彼は打ち解けてるようでした
打ち解けて?
その人達みんなが私に背を向け
ここを去ったら
君も去るだろうか?
私はお友達と残ります
あなたと一緒にいます
だけど何故?
ジェーン そこに行って
静かにメーソンに近づき
耳に囁いて
ロチェスターはここで待ってると
伝えてくれ
彼を案内して
それから引き取ってくれ
不意に来て済まない
その様子では
元気そうだな リチャード
ああ エドワード
時は思ったより 私に優しかった
私も同じことを言えればいいがね
メーソン 今夜行くのは
やめた方がいい...
特に一人では
明日まで待て
今行くしかない
さもないと眠れない
助けて!
助けて!
頼む 来てくれ!
ヘンリー あれが聞こえた?
一体 ロチェスターはどこに?
ここだ 落ち着いて みなさん
どんな恐ろしいことが?
私を締め付けないで
大丈夫だ いい? 大丈夫
じゃ 一体あの音は何だ?
召使が悪い夢をみた
それだけだ
さあ 皆さん 部屋に戻って
家の中をおさめないと
紳士方はご婦人方の模範に
なってください
イングラムさん
あなたを頼りにできますね
ご婦人方 この廊下で
風邪をひきますよ
さあ 早く
どなた?
ドアを開けて
気付け薬はあるか?
- はい
- もってきて