WEBVTT 00:00:07.010 --> 00:00:08.280 『トロン:レガシー』 00:00:08.390 --> 00:00:12.460 ネオンが眩しいこのディズニー作品は 1982年の名作『トロン』の続編だ 00:00:12.570 --> 00:00:18.630 この作品には、私を長年悩ませている かなり厄介なトロープ(描写方法)の例が盛り込まれている 00:00:20.140 --> 00:00:21.710 クオラ:私はクオラ! 00:00:22.160 --> 00:00:26.850 SFファンにはすぐに分かる、 一方の性に偏った手法だ 00:00:27.400 --> 00:00:31.790 それは何度も何度も スペキュレイティブ作品に現れるが 00:00:31.910 --> 00:00:36.430 名前が付いていなかったので 私はこう呼ぶことにする 00:00:36.550 --> 00:00:41.490 "Born Sexy Yesterday"(純粋で無知でセクシーな女性)と 00:00:43.230 --> 00:00:44.610 サム:彼女はISOなのか 00:00:44.710 --> 00:00:49.700 クオラというキャラクターは 同型アルゴリズム、アイソー(ISO)だ 00:00:49.840 --> 00:00:54.090 つまり彼女は女性の形をした、 感情を持つコンピュータプログラムなのだ 00:00:54.220 --> 00:00:56.320 ケヴィン:彼女は奇跡だ 00:00:56.530 --> 00:00:58.680 これまで全てをかけた 00:00:59.580 --> 00:01:03.170 人間のありようを作り変える デジタルの最先端だ 00:01:04.110 --> 00:01:06.380 最後のISOとして 00:01:06.490 --> 00:01:09.315 クオラはこう言い表されている 00:01:09.810 --> 00:01:12.020 ケヴィン:非常に純粋で 00:01:12.960 --> 00:01:15.230 想像できないほど賢い 00:01:15.420 --> 00:01:20.160 もしこれが何となく、子どもについて 言っているように聞こえるなら 00:01:20.270 --> 00:01:21.880 それは決して偶然ではない 00:01:21.980 --> 00:01:25.780 なぜなら『トロン:レガシー』は クオラをまさしくそのように表現しているからだ 00:01:25.900 --> 00:01:27.840 クオラ:でも、ここだけの話 00:01:28.210 --> 00:01:30.370 ジュール・ヴェルヌが好きなの 00:01:31.680 --> 00:01:33.150 ジュール・ヴェルヌを知ってる? 00:01:33.390 --> 00:01:34.399 サム:もちろん 00:01:35.320 --> 00:01:36.992 クオラ:どんな人なの? 00:01:37.250 --> 00:01:39.240 彼女は無邪気だが 00:01:39.340 --> 00:01:41.360 非常に腕の立つ子どもの心を持っている 00:01:41.460 --> 00:01:45.400 しかし、それは成熟した性的魅力のある女性の 肉体の中にある 00:01:45.760 --> 00:01:48.910 彼女は男性主人公の 恋愛対象としての役割も果たす 00:01:50.930 --> 00:01:57.730 「非常に純粋だが、想像できないほど賢い」は このトロープの本質を捉えている 00:02:00.490 --> 00:02:06.630 "Born Yesterday"というイディオムは 極めて純粋で未熟で無知という意味だ 00:02:07.450 --> 00:02:09.290 ビリー:彼はアタシをバカだと思ってるのね? 00:02:09.399 --> 00:02:12.830 ポール:そんなこと… ビリー:そうよ アタシってバカだしそれでいいの 00:02:13.830 --> 00:02:15.760 ポール:そうなのかい ビリー:ええ、アタシ幸せ! 00:02:15.880 --> 00:02:18.940 欲しいもの全部持ってる ミンクのコート2着 全部よ 00:02:24.190 --> 00:02:27.340 "Born Sexy Yesterday"というトロープは 00:02:27.460 --> 00:02:31.934 比喩的な意味と、多くの場合 文字通りの意味を持っている 00:02:34.960 --> 00:02:37.720 1997年のSFカルト傑作 00:02:37.830 --> 00:02:40.410 『フィフス・エレメント』はおそらく 00:02:40.500 --> 00:02:44.631 Born Sexy Yesterdayの最も典型的な例だろう 00:02:45.760 --> 00:02:48.060 MACTILBURGH:言ったでしょう……完璧だ! 00:02:49.610 --> 00:02:53.670 クオラのように リー・ルーは風変わりで無邪気だが 00:02:57.550 --> 00:03:01.860 彼女は意図的に性的に表現されている 00:03:02.080 --> 00:03:04.850 デイビッド:彼女は本当に… コーネリアス神父:完璧、だろ 00:03:04.960 --> 00:03:10.240 このトロープで描かれる 女性キャラクターは特徴として 00:03:10.370 --> 00:03:12.870 無知で世間のことに疎い 00:03:12.990 --> 00:03:14.160 マディソン:キレイ! 00:03:14.370 --> 00:03:19.880 特にセックスや恋愛や 基本的な社会的交流において 00:03:20.000 --> 00:03:22.100 スティーヴ:キスしてもいいかい? 00:03:22.570 --> 00:03:23.760 セレステ:それ痛い? 00:03:24.300 --> 00:03:26.600 このSFの手法によって 00:03:26.712 --> 00:03:30.602 彼女らは既に完全に形成され、 人間界に連れてこられる 00:03:30.830 --> 00:03:32.450 子どもの心が 00:03:32.560 --> 00:03:36.156 成熟した女性の肉体に現れる 00:03:36.400 --> 00:03:39.560 彼女はアンドロイドやコンピュータプログラム 00:03:39.670 --> 00:03:43.530 人魚、エイリアン、 不思議な生き物だったりする 00:03:43.640 --> 00:03:49.178 そうでなければ、他の人間社会から 隔離された環境で育てられた 00:03:50.230 --> 00:03:54.410 これら女性キャラクターの多くには 非常に明確な共通点が一つある 00:03:54.530 --> 00:03:59.365 自分たちの性的魅力に全く気付いていない というように意図的に書かれている 00:04:01.600 --> 00:04:04.880 すると、これにより映画製作者には 口実が与えられる 00:04:04.960 --> 00:04:08.120 少なくともワンシーン、 彼女が男たちの前で服を脱ぐが 00:04:08.230 --> 00:04:13.455 彼女はとても純粋だから、この行動の意味合いを 理解しないという場面を入れるというものだ 00:04:16.270 --> 00:04:18.530 アルティア:おはよう、こっちに来て! 00:04:18.640 --> 00:04:20.720 ジョン:水着を持ってこなかった 00:04:20.820 --> 00:04:22.375 アルティア:水着って何? 00:04:23.410 --> 00:04:25.000 ジョン:勘弁してくれ 00:04:25.100 --> 00:04:26.230 想像できることだが、 00:04:26.340 --> 00:04:31.930 マニック・ピクシー・ドリーム・ガールという トロープとかなりの共通点がある 00:04:32.100 --> 00:04:34.300 ジゼル:魔法の部屋ね! 00:04:34.930 --> 00:04:36.650 水はどこから来るの? 00:04:36.750 --> 00:04:41.210 ロバート:えーっと、水はこのパイプから来てる 00:04:41.320 --> 00:04:43.120 ジゼル:パイプはどこで水をもらうの? 00:04:43.200 --> 00:04:46.070 Born Sexy Yesterdayのキャラクターは 00:04:46.170 --> 00:04:50.056 男性が尊敬する高度な技術を 持っている場合が多いが 00:04:50.660 --> 00:04:53.534 それは大抵、戦闘だ 00:04:56.830 --> 00:05:02.100 さてこれまで、このトロープに関連した 女性キャラクターに注目してきたが 00:05:02.210 --> 00:05:04.700 これは、実のところ 彼女たちについての話ではない 00:05:04.810 --> 00:05:07.140 アラン:ドアが回転するんだ 00:05:07.370 --> 00:05:12.616 ハリウッドの大抵のものと同様に Born Sexy Yesterdayは男性のために書かれている 00:05:13.190 --> 00:05:15.940 そして結局、これは関係のトロープなのだ 00:05:16.030 --> 00:05:19.670 コーベン:175cm、青い目 00:05:19.800 --> 00:05:21.750 長い脚、綺麗な肌…… 00:05:22.200 --> 00:05:24.100 完璧なんだ! 00:05:24.200 --> 00:05:28.230 つまり、この方程式の反対側について 話す必要があるということだ 00:05:28.340 --> 00:05:30.140 男性の主人公に 00:05:31.600 --> 00:05:36.520 典型的に、彼は異性愛者の勇ましい男性で 様々な理由により 00:05:36.630 --> 00:05:40.440 恋愛において孤独か 満たされていない 00:05:43.690 --> 00:05:48.860 社会から取り残されるか 方向性を見失った状態だ 00:05:49.690 --> 00:05:54.820 自分のいる世界では女性を見つけられない 00:05:54.940 --> 00:05:59.880 愛と性において、自分と対等である女性を 00:06:00.330 --> 00:06:03.470 彼には一つ有利なことがある 00:06:03.570 --> 00:06:07.640 普通の人間として生活することは 全て知っている 00:06:07.750 --> 00:06:09.490 スティーヴ:食べ物を口にしないなんて残念だね 00:06:09.620 --> 00:06:11.670 すごく楽しいって思うかもよ 00:06:12.640 --> 00:06:14.240 セレスタ:食べ物で楽しみを得るの? 00:06:14.360 --> 00:06:16.030 スティーヴ:ほら セレスタ:いいえ、要らない 00:06:16.130 --> 00:06:19.030 スティーヴ:俺の秘密が知りたいなら、 サンドウィッチを食べるんだ 00:06:19.150 --> 00:06:21.880 もちろん、地球上の他の男も同じだから 00:06:21.990 --> 00:06:24.660 彼には特筆すべき点はない 00:06:24.780 --> 00:06:26.380 スティーヴ:噛め!噛め! 00:06:26.720 --> 00:06:29.923 Born Yesterdayの女性を除いては 00:06:30.410 --> 00:06:33.760 彼女はおそらく他の男性を知らないため 00:06:34.090 --> 00:06:36.020 彼は全宇宙で一番賢く 00:06:36.160 --> 00:06:39.160 素晴らしい男性に見えるだろう 00:06:39.870 --> 00:06:41.500 セレスタ:楽しい! 00:06:41.850 --> 00:06:43.200 これは何? 00:06:45.150 --> 00:06:47.400 スティーヴ:ライ麦パンに ハムとチーズとマヨネーズ 00:06:47.600 --> 00:06:52.692 このトロープが男性の空想として 構築されているのが見えてくる 00:06:53.180 --> 00:06:56.100 まさに純粋さと無知によって 00:06:56.210 --> 00:06:59.340 彼女は彼に、特別な何かを見出せるのだ 00:06:59.460 --> 00:07:04.830 それほど無知でなく 経験豊かな女性が見出さないことを 00:07:04.930 --> 00:07:08.860 機械:システム ノーマル 推定蘇生時間 600秒 00:07:08.960 --> 00:07:10.480 カウントダウン開始 00:07:10.590 --> 00:07:13.060 詳しく論じる時間はないが 00:07:13.180 --> 00:07:18.200 日本のアニメには、実にあらゆるところに Born Sexy Yesterdayがある 00:07:20.150 --> 00:07:24.530 Born Sexy Yesterdayは現代のトロープではないと 述べておかねばならない 00:07:24.690 --> 00:07:28.850 それどころか ハリウッドのSF映画ではずっと定番だ 00:07:28.980 --> 00:07:31.060 このジャンルの初めから 00:07:31.640 --> 00:07:32.990 実に面白い 00:07:33.730 --> 00:07:37.116 女性はどの程度まで 許してくれるだろうか? 00:07:38.340 --> 00:07:41.910 ジョン:そんなに個人的なことじゃない ただのキスだ 00:07:42.660 --> 00:07:44.900 アルティア:どうしてお互い キスしたいって思うの? 00:07:45.030 --> 00:07:49.430 ジョン:古い習慣だよ 高度な文明では皆やっている 00:07:49.540 --> 00:07:51.100 アルティア:でも馬鹿げてる 00:07:51.200 --> 00:07:54.800 ジョン:でも体にいい 体全体が活性化する 00:07:54.900 --> 00:07:57.840 実を言うと、それ無しでは 健康ではいられないよ 00:07:57.950 --> 00:08:00.530 アルティア:本当?知らなかった 00:08:01.460 --> 00:08:03.400 ジョン:喜んでお見せするよ 00:08:03.520 --> 00:08:05.340 アルティア:どうもありがとう 00:08:06.040 --> 00:08:07.900 ジョン:全く構わないさ 00:08:08.130 --> 00:08:12.560 1956年の『禁断の惑星』はその一例だ 00:08:15.480 --> 00:08:18.970 1960年『タイム・マシン 80万年後の世界へ』は また別の例だ 00:08:21.260 --> 00:08:22.873 アレクサンダー:名前は? 00:08:23.960 --> 00:08:26.766 女性:ウィーナ アレクサンダー:ウィーナ? 00:08:28.350 --> 00:08:29.914 どういうスペル? 00:08:32.359 --> 00:08:33.639 女性:スペル? 00:08:33.720 --> 00:08:36.270 アレクサンダー:スペル、書く 書けないのか? 00:08:36.590 --> 00:08:40.400 そして『猿の惑星』の ノヴァというキャラクターがいる 00:08:41.340 --> 00:08:42.980 テイラー:見てごらん 00:08:44.070 --> 00:08:45.989 君に笑顔を教えた 00:08:46.790 --> 00:08:52.328 言語の概念を理解しないにも関わらず 主人公の恋愛対象だ 00:08:56.670 --> 00:08:59.140 このトロープは普通は白人女性を含むが 00:08:59.260 --> 00:09:04.350 Born Sexy Yesterdayはもっと古い メディア手法から派生している 00:09:08.710 --> 00:09:13.590 白人冒険家が先住民の女性を "発見"するというものだ 00:09:14.890 --> 00:09:18.870 ただこの場合、SFは植民地主義に取って代わり 00:09:19.000 --> 00:09:21.640 メカニズムが物語を動かすのだ 00:09:21.750 --> 00:09:25.370 リー・ルー:[判読不能の古代の言葉] 00:09:25.480 --> 00:09:27.940 リー・ルー:ブーン! コーベン:うん、ビッグ バダ ブーン! 00:09:28.150 --> 00:09:32.260 リー・ルー:バダ ブーン! コーベン:ビッグ ブーン、ビッグ バダ ブーン! 00:09:34.360 --> 00:09:37.545 両方が少しずつ混ざっていることもある 00:09:39.250 --> 00:09:43.830 Born Sexy Yesterdayは より賢く経験豊かな男と 00:09:43.930 --> 00:09:49.180 世間知らずで未熟な女性の間にある 明確な力の不均衡への執着なのだ 00:09:49.910 --> 00:09:53.460 究極の「先生と生徒」の力関係だ 00:09:53.850 --> 00:09:58.890 カーク:困ったら助け合うのがしきたりだ 00:09:59.030 --> 00:10:03.338 『スタートレック』は頻繁に このトロープを用いることで"有名"だ 00:10:07.300 --> 00:10:09.270 "悪名高い"の方が適切かもしれない 00:10:09.390 --> 00:10:15.300 このトロープはオリジナルのシリーズと その後のシリーズ全てに登場するからだ 00:10:16.940 --> 00:10:22.380 エイリアン:じゃあ、これも助けてる? 00:10:24.960 --> 00:10:26.600 カーク:そうとも言える 00:10:28.620 --> 00:10:32.220 エイリアン:お願い、もう一度助けて 00:10:38.610 --> 00:10:40.360 ドクター:髪型をどうにかすることから始めよう 00:10:40.460 --> 00:10:45.850 『スタートレック:ヴォイジャー』の セブン・オブ・ナインとドクターの関係は顕著な例だ 00:10:45.960 --> 00:10:49.650 特に『誰かが君に恋してる』という エピソードにおいて 00:10:50.320 --> 00:10:52.580 ドクター:ちょっと頭を振ってごらん 00:10:54.240 --> 00:10:55.760 セブン:これでいい? 00:10:55.850 --> 00:10:59.930 このシリーズのファンは覚えているだろう ドクターの純情さは 00:11:00.050 --> 00:11:03.940 作品内で決してセクシーなものとして 表現されていない 00:11:04.330 --> 00:11:09.274 セブン:どうやって選べばいいの ドクター:これがとても似合うと思う 00:11:10.680 --> 00:11:13.770 セブン:こういう服はどうやって 着るのかさっぱり 00:11:13.910 --> 00:11:15.290 手伝って 00:11:15.750 --> 00:11:17.470 ドクター:きっと自分でできる 00:11:17.590 --> 00:11:21.220 私は準備に取り掛かる 覚えておいて、今夜は楽しむことだよ 00:11:21.340 --> 00:11:23.080 朝には詳しいレポートを期待している 00:11:23.560 --> 00:11:29.390 少なくとも当初、Born Sexy Yesterdayは セブンの特徴の大部分を占めていたが 00:11:29.520 --> 00:11:32.750 最終的に彼女は、それ以上になった 00:11:33.110 --> 00:11:36.410 一部の気味の悪いエピソード以外では 00:11:36.540 --> 00:11:41.420 セブンの物語は主に自己実現と自己発見だ 00:11:41.540 --> 00:11:45.400 トロープの制約を見事に越えたのだ 00:11:47.120 --> 00:11:52.320 これは『クラウド アトラス』のソンミ451のような キャラクターにも大いに当てはまる 00:11:52.430 --> 00:11:55.110 セブンのように、彼女の恋愛は重要視されず 00:11:55.220 --> 00:11:58.209 人物形成が中心に置かれる 00:11:58.450 --> 00:12:01.990 ソンミ:知識は鏡 生まれて初めて 00:12:02.100 --> 00:12:07.000 私は自分が何者で 誰になれるかを見ることを許された 00:12:07.100 --> 00:12:09.150 つまりこういうことだ 00:12:09.400 --> 00:12:14.398 このトロープの問題は 必ずしも女性キャラクター自身ではない 00:12:14.510 --> 00:12:17.410 ただ単に、純朴な地球外の女性が 00:12:17.520 --> 00:12:22.930 愛や人間性について学んだ物語なら それは問題ではない 00:12:23.670 --> 00:12:30.180 同様に、男性側も未熟で、 二人の主人公が一緒に愛やセックスを見つける 00:12:30.310 --> 00:12:34.030 それなら、厄介な力関係問題の大半は避けられる 00:12:34.340 --> 00:12:35.400 ジョン:どうしたの 00:12:36.120 --> 00:12:38.300 キャメロン:仕組みを理解しないと 00:12:39.880 --> 00:12:40.700 ジョン:何? 00:12:41.130 --> 00:12:43.830 キャメロン:このチップ この体 00:12:43.960 --> 00:12:49.780 例えば『ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ』の キャメロンはこのトロープに当てはまる 00:12:50.100 --> 00:12:56.120 だが彼女とジョン・コナーとの関係は もっと相互的なものとして表現されている 00:12:57.070 --> 00:13:01.630 Born Sexy Yesterdayは 偏った力関係によるものなので 00:13:01.720 --> 00:13:05.200 逆方向に描かれることはほとんどない 00:13:06.110 --> 00:13:12.627 経験豊富な女性キャラが、純朴な男性に セックスについて教えるのは非常に珍しい 00:13:12.730 --> 00:13:14.690 スキップ:家に帰らないと、メアリー・スー 00:13:15.640 --> 00:13:16.520 メアリー・スー:どうして? 00:13:16.900 --> 00:13:19.380 スキップ:病気に……なるかもしれない 00:13:21.220 --> 00:13:22.840 何か起こってるんだ 00:13:23.900 --> 00:13:25.600 メアリー・スー:そういうもの 00:13:27.330 --> 00:13:28.400 スキップ:そうなの? 00:13:29.910 --> 00:13:31.390 メアリー・スー:ええ、信じて 00:13:32.710 --> 00:13:34.810 ジェニー:ちょっとダメ、待って 00:13:35.320 --> 00:13:36.960 それはデザート 00:13:37.380 --> 00:13:39.020 フォークで食べるの 00:13:39.110 --> 00:13:43.490 おそらく、多くの成人女性は 世間知らずで子どもっぽい少年と付き合うのは 00:13:43.600 --> 00:13:47.840 それほど魅力的ではないと 感じるからだろう 00:13:47.940 --> 00:13:50.940 ジェニー:違う違う 最後に食べるの 00:13:51.440 --> 00:13:53.680 サンドイッチが先 デザートが最後 00:13:56.330 --> 00:14:02.730 稀に性別が逆になった場合 男性の場違いな行動は笑いの的になる 00:14:02.910 --> 00:14:05.460 イヴ:野球カードの店の者だけど 覚えてる? 00:14:05.560 --> 00:14:08.040 アダム:あぁ勿論、やあ! 00:14:08.160 --> 00:14:10.928 こんにちは、こいつはいいね! 00:14:11.240 --> 00:14:13.332 電話かけてくれてありがとう 00:14:15.680 --> 00:14:18.100 最終的に彼女は彼を 好きになるかもしれないが 00:14:18.190 --> 00:14:23.684 彼女は彼の未熟さにも関わらず惚れるのであり 彼が未熟だから惚れるのではない 00:14:28.480 --> 00:14:32.200 ごめんよ、オートウォッシュを忘れていた 00:14:32.540 --> 00:14:36.780 Born Sexy Yesterdayは 不均衡な関係に関連するが 00:14:36.880 --> 00:14:40.587 男らしさにも非常に関連が深い 00:14:42.960 --> 00:14:49.660 このトロープが暗に示すのは、男性が根強く持つ セックスとセクシュアリティについての不安感だ 00:14:50.890 --> 00:14:55.010 このトロープの核心は 男性優位への執着なのだ 00:14:55.160 --> 00:14:59.070 純粋な少女を支配することへの執着 00:14:59.280 --> 00:15:01.700 しかしそれを社会的に 受け入れられるようにするため 00:15:01.830 --> 00:15:05.250 その少女の心を、性的魅力のある 大人の女性の体に入れるという 00:15:05.360 --> 00:15:08.190 SFが使われている 00:15:09.120 --> 00:15:11.610 これは不安をベースにした空想だ 00:15:11.700 --> 00:15:17.034 性体験や恋愛経験において 男性と対等な女性への不安 00:15:17.430 --> 00:15:21.565 そして知性で女性に負けることへの不安 00:15:24.580 --> 00:15:27.850 1973年製作 ウディ・アレンのコメディ映画 『スリーパー』では 00:15:27.960 --> 00:15:31.430 主人公は冷凍保存され、 彼が未来で目覚めたときには 00:15:31.560 --> 00:15:34.090 突然、非常に都合のいいことに 00:15:34.200 --> 00:15:38.771 地球上に残された、セックスの方法を 覚えている唯一の男なのだ 00:15:41.240 --> 00:15:45.960 全く同じことが『デモリションマン』の スタローンのキャラクターにも起こる 00:15:48.480 --> 00:15:53.214 ハックスリー:すごい! いつもあんな感じ? 00:15:53.320 --> 00:15:55.310 スパルタン:もっといい ハックスリー:もっと? 00:15:56.890 --> 00:15:58.670 つまりBorn Sexy Yesterdayとは 00:15:58.770 --> 00:16:03.260 男性主人公が必然的に、女性の人生で 一番素晴らしい男性となるように 00:16:03.380 --> 00:16:08.191 特別に作られたSFトロープなのだ 00:16:08.310 --> 00:16:13.290 繰り返しになるが、つまり彼らは 彼女の人生における唯一の男だ 00:16:15.730 --> 00:16:20.060 したがってこのトロープは 女性の純潔と処女性について 00:16:20.180 --> 00:16:22.984 厄介な家父長制の考えに基づいている 00:16:23.110 --> 00:16:26.540 当然のことながら Born Sexy Yesterdayのキャラクターたちは 00:16:26.650 --> 00:16:31.024 過去の恋人も性体験もない 00:16:31.320 --> 00:16:35.180 彼女は性にも恋愛にも 純潔でうぶで 00:16:35.300 --> 00:16:39.360 他の男性への関心によって 変わったり堕落したりしない 00:16:41.430 --> 00:16:46.300 そのため男性主人公は 基準に達していないことを比べられたり 00:16:46.440 --> 00:16:50.300 評価されたりする可能性すら免れる 00:16:51.390 --> 00:16:52.680 結局のところ 00:16:52.780 --> 00:16:57.340 これは拒否される屈辱からの逃避 という男性の空想なのだ 00:16:57.620 --> 00:17:00.990 彼は女性の人生における 初めてで唯一の男性なので 00:17:01.120 --> 00:17:04.130 最初から最高の存在になれるのだ 00:17:06.270 --> 00:17:09.840 それは、良いパートナー 良い彼氏、良い恋人に 00:17:09.960 --> 00:17:13.144 なろうと努力しなくていいことを 意味する 00:17:13.940 --> 00:17:16.280 Peabody:これがキスというものだよ 00:17:19.320 --> 00:17:25.220 もちろん実際には、人生経験は 恋愛関係においてプラスでありマイナスではない 00:17:29.640 --> 00:17:31.930 それを反映するメディアが もっと必要だ 00:17:32.060 --> 00:17:37.420 男性が自分と対等な女性を 心から受け入れるメディアが 00:17:37.560 --> 00:17:41.940 全てが対等 愛やセックスに関しても 00:17:42.740 --> 00:17:47.462 SF作家志望の方々にこう言っておく 00:17:47.880 --> 00:17:50.670 無知はセクシーではない 00:17:50.990 --> 00:17:57.070 一方で、知識や経験はものすごくセクシーだ 00:18:00.200 --> 00:18:03.460 メディアと男らしさについての動画を もっと見たいなら 00:18:03.560 --> 00:18:05.770 私のPatreonのページへ行って 00:18:05.920 --> 00:18:08.770 Pop Culture Detective Agencyへの クラウドファンディングにご協力ください