1 00:00:07,195 --> 00:00:08,996 1995年の冬 2 00:00:08,996 --> 00:00:15,081 科学者たちはハッブル望遠鏡を おおぐま座付近の空に向けました 3 00:00:15,081 --> 00:00:21,146 真っ黒で周囲の星々の 光害からも外れていました 4 00:00:21,146 --> 00:00:25,975 一見何もない領域で 成果が得られるか危ぶまれました 5 00:00:25,975 --> 00:00:29,095 懸念したこととは逆に 何かが写っていたのでしょうか? 6 00:00:29,095 --> 00:00:30,816 10日間に渡り 7 00:00:30,816 --> 00:00:36,867 望遠鏡は同じ領域を 150時間近く露出しました 8 00:00:36,867 --> 00:00:40,924 その結果は壮観の一言に 尽きるものでした 9 00:00:40,924 --> 00:00:44,876 宇宙のほんの小さな一片に 彼方にある1,500個以上の銀河系が 10 00:00:44,876 --> 00:00:49,006 ぼんやり写っている 画像だったのです 11 00:00:49,006 --> 00:00:53,007 まずは この画像の大きさについて 理解しましょう 12 00:00:53,007 --> 00:00:54,927 ボールペンを手に取って 13 00:00:54,927 --> 00:00:58,576 夜空に向かって腕を伸ばし 14 00:00:58,576 --> 00:01:00,597 その先端に注目してみましょう 15 00:01:00,597 --> 00:01:07,694 それがハッブル望遠鏡が最初の ディープ・フィールドの撮影範囲となります 16 00:01:07,694 --> 00:01:08,587 言い換えれば 17 00:01:08,587 --> 00:01:13,838 宇宙のとても小さな1点に― 18 00:01:13,838 --> 00:01:17,347 夜空の約2百万分の1の範囲に 3千個の銀河が見えるのです 19 00:01:17,347 --> 00:01:18,947 その大きさを説明してみると― 20 00:01:18,947 --> 00:01:22,767 人間の平均身長は170cmです 21 00:01:22,767 --> 00:01:26,777 地球の直径は12,700kmなので 22 00:01:26,777 --> 00:01:31,918 約750万人の人を頭からつま先の方向に 一列に並べた大きさになります 23 00:01:31,918 --> 00:01:37,897 アポロ8号の宇宙飛行士は 月までの38万kmを飛行しました 24 00:01:37,897 --> 00:01:43,738 私たちの比較的小さな太陽の 直径は約140万kmで 25 00:01:43,738 --> 00:01:46,827 地球の直径の110倍です 26 00:01:46,827 --> 00:01:48,058 さらに広げていくと 27 00:01:48,058 --> 00:01:52,719 銀河系には太陽も含めて 28 00:01:52,719 --> 00:01:54,398 1千億~4千億個の星があります 29 00:01:54,398 --> 00:01:59,118 観測範囲 つまりディープ・フィールドに 捉えられた個々の輝く点には 30 00:01:59,118 --> 00:02:03,348 少なくとも数十億個の星が 含まれています 31 00:02:03,348 --> 00:02:06,148 ディープ・フィールドの 画像が撮影されてからほぼ10年後 32 00:02:06,148 --> 00:02:09,549 科学者たちはハッブル望遠鏡の 光学的な調整を行い 33 00:02:09,549 --> 00:02:14,869 2回目の露出を 約4カ月に渡る長期間行いました 34 00:02:14,869 --> 00:02:17,990 この時は1万個の銀河を 観察しました 35 00:02:17,990 --> 00:02:22,130 これらの銀河系の半数は より鮮明に分析され 36 00:02:22,130 --> 00:02:25,449 エクストリーム・ディープ・ フィールドの画像― 37 00:02:25,449 --> 00:02:27,670 XDFとして知られています 38 00:02:27,670 --> 00:02:30,349 10年に渡り撮影した写真を 一緒にすることで 39 00:02:30,349 --> 00:02:32,880 XDFは 40 00:02:32,880 --> 00:02:36,330 肉眼で見える明るさの わずか100億分の1しかない 41 00:02:36,330 --> 00:02:39,160 遥かかなたにある銀河を 写し出します 42 00:02:39,160 --> 00:02:43,140 ディープ・フィールドの画像から 宇宙について学べることは何でしょうか? 43 00:02:43,140 --> 00:02:47,552 宇宙の研究において 空間と時間は 密接に結びついています 44 00:02:47,552 --> 00:02:50,490 それは光の速さは 有限だからです 45 00:02:50,490 --> 00:02:55,520 だから ディープ・フィールドの画像は 太古の宇宙へのタイムマシンのようです 46 00:02:55,520 --> 00:02:57,750 はるか遠方の時空まで見通せるので 47 00:02:57,750 --> 00:03:03,160 130億年以上前の銀河を 観察できるのです 48 00:03:03,160 --> 00:03:05,611 つまり ビッグバンの後― 49 00:03:05,611 --> 00:03:09,141 10億年も経っていない頃の 宇宙が見られるので 50 00:03:09,141 --> 00:03:13,664 科学者たちは初期段階の 銀河を調査できます 51 00:03:13,664 --> 00:03:17,990 ディープ・フィールドの画像は 宇宙が均質であることも示しています 52 00:03:17,990 --> 00:03:22,633 つまり 空の違う場所で撮った画像が 似ているのです 53 00:03:22,633 --> 00:03:25,841 宇宙の広大さを考えると 信じられないことです 54 00:03:25,841 --> 00:03:30,151 一体なぜ膨大な距離が離れているのに 均質と考えられるのでしょうか? 55 00:03:30,151 --> 00:03:33,295 宇宙は言うまでもなく 1つの銀河の大きさを考えてみても 56 00:03:33,295 --> 00:03:36,392 私たちがすぐに把握できる範囲に比べ 我々の存在は小さなものですが 57 00:03:36,392 --> 00:03:38,221 私たちには疑問に思い 58 00:03:38,221 --> 00:03:39,206 質問し 59 00:03:39,206 --> 00:03:40,251 探索し 60 00:03:40,251 --> 00:03:41,292 調査し 61 00:03:41,292 --> 00:03:42,761 想像する能力があります 62 00:03:42,761 --> 00:03:45,362 だから次に夜空を 見上げる時は 63 00:03:45,362 --> 00:03:49,252 我々が肉眼では見ることのできない 星々の間の真っ暗な空間に 64 00:03:49,252 --> 00:03:52,502 広大な世界があるのだと 少し考えてみてください