「大人になったら何になりたい?」 と 聞かれた事のある人  手を挙げてください (笑) 思い出してください 最初にその質問をされた時  何歳でしたか? 指で結構ですよ 3才 5才 3才 5才 5才 OK では 「大人になったら何になりたい?」に どう答えようか悩んだ経験のある人は 手を挙げてください (笑) どんな悩みでもです 私はそんな質問に 一度も答えられなかった人です 「大人になったら何になりたい?」 問題は 何にも興味がなかったのではなくて ありすぎたことです 高校では 国語も数学も美術も好きで ウェブサイトもつくりました 『欲求不満の電話交換手』という パンクバンドでギターも弾きました (笑) 聞いた事ありますか? (笑) 高校を卒業してからもこの傾向が続いて ある時このパターンに気が付きました ある分野に興味をひきつけられ そこに飛び込むと もう夢中になって 何にでも ある程度までうまくなるんですが どこか途中で飽きてしまうんです せっかく時間とエネルギーを費やし 時には お金もつぎ込んでいますから とにかく我慢はしてみるのですが 結局は 飽きが来て  「もうやり尽くした チャレンジする程のことでもない」と 思ってしまうのです そんな思いがつのって 放り出す羽目になるのです しかしまた 他の事に それも全く無関係の分野に 興味をもち 全く夢中になって 「見つけた これだ」と感じるのですが するとまた同じように どこかの時点で 飽きが来て 放り出してしまいます しかしまた 全く別の新しいことを発見して 夢中になってしまうのです このパターンは 2つの理由で私を非常に苦しめました 1つ目は 自分のしている事を どのようにすれば まともなキャリアに結びつけられるか 分からなかったからです 最終的には 1つの事を選んで 他のやりたい事を否定して 飽きがくることも 観念せねばならないのでしょう もう1つの理由は すこし個人的なことです 1つの事をやりとおせない自分の方に 何か欠陥があるんじゃないかと 心配になったのです 何かに専念することを怖がっているか 気持ちが散漫になっているか はたまた 自分の成功を恐れ  自ら妨害しているのではないかと もしあなたもこんなパターンや感情に 覚えがあるなら 自分にこう質問してみてください  当時 私もすればよかったのですけど いろんな事をやってみることが 間違っているとか 普通じゃないとか どこで習ったのだろう?と お教えしましょうか 私たちの文化からです 「大人になったら何になりたいか」と 最初に聞かれたのは あなたが5才ぐらいだったでしょう 本当は誰もあなたの答えなど 気にしていません (笑) これは小さな子の 無邪気な返事を引き出す 当たり障りのない質問と 見なされています 「宇宙飛行士になりたい」とか 「バレリーナになりたい」 「海賊」とかだと  ハロウィーンの衣装がいりそうです (笑) しかしこの質問は 私たちが大人になるまでに さまざまな形で繰り返されます 例えば 高校生には 「大学で何を専攻するのか」とか そしてある時点で  「大人になったら何になりたいか」の質問は 無邪気なやりとりから 夜も眠れない関心事となるのです どうしてでしょう いいですか この質問は 子供たちが夢を持つことは奨励しますが 全ての夢を持ち続けなさいとは 勧めていません 実際には逆です なぜならその質問に 20個も答えを挙げるわけには いかないからです 質問をした悪意のない大人は くすくす笑って こう言うでしょう 「いいねえ でも バイオリン職人の 心理学者にはなれないよ どちらかを選ばないと」と こちらはボブ・チャイルズ博士 (笑) 弦楽器職人また心理セラピストです こちらはエイミー・アン  雑誌編集者でしたが イラストレーター兼事業家 兼先生 兼クリエイティブ・ディレクターになりました 大部分の子供たちは こういう人たちの事を耳にしません 1つの道を選ばないといけないと 言われるだけです いや それ以上に 焦点の絞られた人生は 私たちの社会では 高度に美化され 宿命とか天職などと呼ばれます 一人一人は優れたものを 何か1つ持って生まれ この世でそれを果たすのだと そしてそれを探し当て それに人生を捧げねばならないと でもそんな風に 生まれてこなかったらどうでしょう? たくさんの事に興味を持ち いろんな事がしたかったら? あなたはこの枠には入れません ですから孤独で  生きる目的がないと感じるかもしれません 自分はどこかおかしいんじゃないか とも思うかもしれません でも何もおかしくないんですよ あなたはマルチ・ポテンシャライトだからです (拍手) マルチ・ポテンシャライトとは 多くに興味を持ち創造を追求する人です 発音しにくい長い単語です 3つに区切ると言いやすいです  マルチ ポテンシャル アイト 他の単語に 言い換えても構いません 「博学者」 「ルネサンス人」 実際にルネサンス時代は 多くの学問に通じる人が 理想的とされたのです バーバラ・シャーはそういう人を スキャナーと称しました どう呼んでもいいですし  新しい単語を作っても結構です 私が思うに 社会全体が 単一のありように合意することは 不可能だということです (笑) マルチ・ポテンシャルには限界があるとか 苦悩を乗り越える必要があると 言われるかもしれません 私がこの考えについて 多くの人と話をしたり ウェブサイト『Puttylike』に書いたりして 学んだのは マルチ・ポテンシャライトには 相当な強みがあるということです これらがその3つのスーパーパワーです 1つ目は アイデアを統合する これは2つ以上の分野を組みあわせ それらが交わる部分で 新しい何かを創造することです シャ・ファンとレイチェル・ビンクスは 地図作成や データ視覚化、旅行、数学、デザインという 共通の関心からMeshu社を創業しました Meshu社では地理にヒントを得た装飾品を オーダーメイドで作っています シャとレイチェルが このユニークなアイデアにたどり着いたのは 2人の広い技能と経験の混在 「にもかかわらず」ではなく 「だからこそ」なのです 革新はそんな交差点で起こります  そこから新しいアイデアが生まれるのです さまざまな経歴をもつ マルチ・ポテンシャライトは 多くのこういった交差点に 容易にアクセスできるのです 2つ目は 迅速な学習能力 何かに興味を持つと のめりこみ 手当たりしだい吸収します 初心者である事にも慣れています 過去に初心者だった事が 多かったからです なので新しい事を始めたり 居心地の良いところから 足を踏み出すのも それほど怖がりません さらに 多くの技能は 違った分野でも応用できます 過去のあらゆる経歴を持って 新しい分野に飛び込むので 1から物事を始めることは ほとんどありません ノラ・ダンは旅行が職業で フリーランス作家でもあります 子供の頃はコンサート・ピアニストでもあり 身体で物事を覚える 驚異的な能力を磨きあげました 今や 彼女自身が知るところ 最速のタイピストです 作家になる前は ファイナンシャル・プランナーで 開業するにあたり セールスの より優れた手法を 学ばねばならなかったのですが この技能は今 作品の魅力を 編集者にアピールするのに役立っています 自分が惹かれる物を追求する事が 時間の無駄になることは滅多になく 途中で止める事になっても そこで得た知識は全く違った分野でも 想像もしていなかった形で 応用できるのです 3つ目は適応力です これはどんな場面に遭遇しても それに合わせられるという能力です エイブ・カフドは 時にビデオディレクター ウェブデザイナー 時にKickstarter社のコンサルタント 時に先生 時に 一見したところジェームズ・ボンド (笑) 彼は良い仕事をするので 貴重な存在ですが もっと貴重なのは 顧客のニーズにあわせて 役割を変えられるからです 『Fast Company』誌は 適応力を 21世紀で成功する上で 最も重要な技能だと評価しています 世界の経済界が激変する中 容易に方向転換できる 個人や組織こそが 成長の真っ只中にある市場のニーズを 満たすことができるのです アイデアの統合 迅速な学習能力 適応力の3つは マルチ・ポテンシャライトが 得意とするところであり 焦点を絞るよう強いられると 失われかねない技能です マルチ・ポテンシャライトの ありのままの姿を大事にするのは 私たちの社会に もっともな理由があるからです 今の世の中に山ほどある 複雑で多次元的な問題に取り組むには 創造的で 型にはまらない人材が 必要なのです もしあなたが真のスペシャリストで 生まれてすぐ 小児神経外科医になると決めたとします 大丈夫 あなただって 何もおかしくないですよ (笑) 実際のところ 最高のチームは スペシャリストと マルチ・ポテンシャライトのペアです スペシャリストがアイデアを 奥深く追求して 実行段階に移し マルチ・ポテンシャライトが そのプロジェクトに幅広い知識を持ち込む すばらしいパートナーシップです 我々は人生やキャリアを それぞれの個性に応じて 追求するべきですが 悲しいかな マルチ・ポテンシャライトは多くの場合 スペシャリストになれと言われます それゆえ このトークから1つ学んで頂きたいことは これです 自分の内なる資質を大切にしてください あなたが 真のスペシャリストなら それを全うしてください それがあなたの最高の仕事となります しかし この会場にいらっしゃる マルチ・ポテンシャライトの皆さん この12分間でそうと悟った あなたも含めて (笑) 内に秘める情熱を大切にし 好奇心を追って いくつもの穴に入り込み その好奇心の交差点を追求してください 内に秘める情熱を大切にする事が 幸せな本物の人生につながります もっと大切なのは  マルチ・ポテンシャライトの皆さん 世界が私たちを必要としています ありがとうございます (拍手)