WEBVTT

00:00:12.120 --> 00:00:14.570
この場に立てるのは
大変光栄です

00:00:14.570 --> 00:00:16.960
皆さんには 世界を
変える力があります

00:00:16.960 --> 00:00:19.180
決まり文句として
言うのではなく

00:00:19.180 --> 00:00:21.656
皆さんには本当に
世界を変える力があるんです

00:00:21.660 --> 00:00:23.846
皆さん１人ひとりの中に

00:00:23.846 --> 00:00:27.460
人類が知る 最も強力な
装置があります

00:00:27.460 --> 00:00:29.460
アイデアです

00:00:29.460 --> 00:00:32.729
１人の心から生まれた
１つのアイデアが

00:00:32.729 --> 00:00:34.620
地を揺るがし

00:00:34.620 --> 00:00:37.030
運動の火種となり

00:00:37.030 --> 00:00:39.980
未来をも書き換えるのです

00:00:39.980 --> 00:00:42.830
しかし自分の内に
留まっている限り

00:00:42.830 --> 00:00:44.876
アイデアは無力です

00:00:44.889 --> 00:00:47.775
他の人たちが取り組めるよう
表に出さないなら

00:00:47.775 --> 00:00:49.457
アイデアは死んでしまいます

00:00:49.457 --> 00:00:52.970
皆さんの中には
自分のアイデアを伝えようとしたけど

00:00:52.970 --> 00:00:54.408
受け入れられず 拒絶され 
代わりに

00:00:54.408 --> 00:00:58.032
月並みなアイデアが採用されたという
経験をした人もいるでしょう

00:00:58.032 --> 00:01:02.010
２者の間の違いは
伝え方です

00:01:02.010 --> 00:01:04.915
もしアイデアを 
人の心に響くよう伝えられたなら

00:01:04.915 --> 00:01:08.495
変化が起こり 
世界を変えられるのです

00:01:08.510 --> 00:01:11.143
うちの家族では ヨーロッパの
古いポスターを集めていて

00:01:11.143 --> 00:01:13.532
マウイに行くたびに
ポスターの専門店に寄って

00:01:13.532 --> 00:01:15.468
店主にポスターを
見せてもらいます

00:01:15.468 --> 00:01:17.350
ポスターがいいのは 
１つのアイデアを持ち

00:01:17.350 --> 00:01:19.900
そのアイデアを伝える
明快な視覚表現があるところです

00:01:19.900 --> 00:01:22.120
マットレスみたいに
大きなポスターで

00:01:22.120 --> 00:01:24.730
マットレスみたいに厚くはありませんが 
すごく大きいんです

00:01:24.730 --> 00:01:26.990
店主はページをめくりながら
ストーリーを聞かせてくれます

00:01:27.020 --> 00:01:29.401
ある時 子ども２人と一緒に
見せてもらっていて

00:01:29.401 --> 00:01:32.790
めくられたページの下から
出てきたポスターに

00:01:32.790 --> 00:01:34.790
思わず顔を寄せ
言いかけました

00:01:34.790 --> 00:01:37.260
「わぁ このポスター すごくいい！」

00:01:37.260 --> 00:01:40.271
すると 子ども達が飛び上がって言ったんです
「あっ お母さんがいる」

00:01:40.277 --> 00:01:43.575
それがこのポスターです (笑)

00:01:43.590 --> 00:01:45.520
「盛り上がろう！」と
叫んでいるかのようです

00:01:45.520 --> 00:01:48.230
このポスターで気に入っているのは
そのアイロニーです

00:01:48.230 --> 00:01:50.568
１人の女が意気込んで
戦場に向かい

00:01:50.568 --> 00:01:52.071
旗を掲げ

00:01:52.071 --> 00:01:55.050
スワヴィートス印スパイスの
小さな箱を手に

00:01:55.050 --> 00:01:58.030
そのちっぽけな
ものの宣伝のために

00:01:58.030 --> 00:02:00.030
自分の手足や
命さえ

00:02:00.030 --> 00:02:02.500
かけるとでも
いうようです

00:02:02.508 --> 00:02:03.888
だからこの小さな

00:02:03.888 --> 00:02:06.337
スワヴィートスの箱を
プレゼンに

00:02:06.337 --> 00:02:07.740
差し替えたなら

00:02:07.740 --> 00:02:10.090
まさに気負い込んでいる
私です

00:02:10.090 --> 00:02:11.878
プレゼンなんかに
気負い込むのが

00:02:11.878 --> 00:02:14.885
格好良くなかった昔から 
私はプレゼンに気負い込んでいたんです

00:02:14.885 --> 00:02:17.280
効果的に伝えるなら
プレゼンには

00:02:17.280 --> 00:02:19.755
世界を変える力があると
本当に思っています

00:02:19.770 --> 00:02:22.050
世界を変えるのは
難しいです

00:02:22.050 --> 00:02:25.530
１つのアイデアを持つ１人の人間だけで
できるわけではありません

00:02:25.530 --> 00:02:28.880
広まらなければ
アイデアに力はないのです

00:02:28.880 --> 00:02:30.747
他の人たちにも分かるよう
アイデアが

00:02:30.747 --> 00:02:33.952
自分の外へと出て行く
必要があります

00:02:33.952 --> 00:02:38.680
そしてアイデアが最も効果的に伝わるのは
ストーリーによってです

00:02:38.680 --> 00:02:41.560
何千年もの間 
文字を持たない人々が

00:02:41.569 --> 00:02:45.310
価値観や文化を 
損なうことなく

00:02:45.310 --> 00:02:47.200
世代から世代へと
語り継いで来たのです

00:02:47.200 --> 00:02:49.820
ストーリーの構造には
不思議な力があって

00:02:49.820 --> 00:02:52.230
ストーリーが
組み立てられると

00:02:52.230 --> 00:02:54.361
聞いた人の中に
取り込まれ

00:02:54.361 --> 00:02:56.967
記憶に刻まれる
ようになるんです

00:02:56.967 --> 00:03:00.850
ストーリーに対して
人は肉体的に反応します

00:03:00.850 --> 00:03:03.860
胸が高まり 
瞳が大きくなり

00:03:03.860 --> 00:03:06.431
「背筋がぞっとしたよ」とか

00:03:06.431 --> 00:03:08.028
「みぞおちにグッときた」
などと言います

00:03:08.028 --> 00:03:11.550
ストーリーを聞くと
文字通り体が反応するのです

00:03:11.550 --> 00:03:13.953
ストーリーが語られるのと
同じ舞台でありながら

00:03:13.953 --> 00:03:16.710
プレゼンとなると
まったく単調になってしまいます

00:03:16.710 --> 00:03:18.245
その理由を
知りたいと思いました

00:03:18.245 --> 00:03:21.848
なぜストーリーを聞いているときは
全身で夢中になって聞くのに

00:03:21.848 --> 00:03:24.299
プレゼンだと 死んだように
なってしまうのか？

00:03:24.299 --> 00:03:28.180
どうすればプレゼンにストーリーを
取り込めるものか知りたいと思いました

00:03:28.180 --> 00:03:30.470
私の仕事場には
文字通り—

00:03:30.470 --> 00:03:33.111
何百何千という
プレゼンがあって

00:03:33.111 --> 00:03:36.015
本当に酷いプレゼンがどういうものか
よく知っています

00:03:36.029 --> 00:03:38.740
私は映画や文学を研究し

00:03:38.749 --> 00:03:41.141
いったい何が起きていて 
どうして

00:03:41.141 --> 00:03:43.198
そうなってしまうのか
探ろうと思いました

00:03:43.198 --> 00:03:46.117
そうして発見した
いくつかのことと

00:03:46.117 --> 00:03:50.546
辿り着いた あるプレゼン形式について
お話ししたいと思います

00:03:50.546 --> 00:03:52.460
当然アリストテレスから
始めるべきでしょう

00:03:52.460 --> 00:03:53.816
彼は序盤 中盤 終盤という

00:03:53.816 --> 00:03:54.938
三幕構成を考え

00:03:54.938 --> 00:03:57.147
詩や修辞法を研究しました

00:03:57.147 --> 00:04:00.650
プレゼンの多くは この最もシンプルな
形式すら持っていません

00:04:00.650 --> 00:04:03.400
英雄の原型へと
研究を進めた時

00:04:03.400 --> 00:04:05.208
「そうだ プレゼンターは
物語の主人公なんだ

00:04:05.208 --> 00:04:07.464
舞台に立つショーの花形なんだから」
と思いました

00:04:07.464 --> 00:04:10.720
プレゼンターとして 自分を
スターだと考えるのは たやすいことです

00:04:10.720 --> 00:04:13.240
でもすぐに この考えが
間違っていることに気付きました

00:04:13.240 --> 00:04:16.779
アイデアを
持っていたとしても

00:04:16.779 --> 00:04:19.459
それを後生大事に
しまい込んでいたら

00:04:19.459 --> 00:04:21.980
どこに辿り着くこともなく 
世界は変わりません

00:04:21.980 --> 00:04:24.242
だからプレゼンターは
主人公ではなく

00:04:24.242 --> 00:04:27.085
聴衆こそアイデアにとっての
主人公なのです

00:04:27.085 --> 00:04:29.530
ジョゼフ・キャンベルの
『英雄の旅』を読むと

00:04:29.530 --> 00:04:32.750
はじめの部分に 
非常に興味深い洞察があります

00:04:32.750 --> 00:04:35.400
愛すべき主人公は
普通の生活をしていますが

00:04:35.400 --> 00:04:37.120
冒険へと引き込まれます

00:04:37.120 --> 00:04:38.684
いわば世界の均衡が
崩れるのです

00:04:38.684 --> 00:04:40.680
主人公は最初
抵抗しています

00:04:40.680 --> 00:04:43.037
「こんなの やりたいか
分からないよ」

00:04:43.037 --> 00:04:44.315
そこに導き手
となる人が現れ

00:04:44.315 --> 00:04:46.788
普通の世界から
特別な世界へと進む

00:04:46.788 --> 00:04:48.203
手助けをします

00:04:48.203 --> 00:04:50.220
それがプレゼンターの役割です

00:04:50.220 --> 00:04:53.120
導き手です — 
ルークではなくヨーダなんです

00:04:53.120 --> 00:04:55.219
聴衆が 今いるところから

00:04:55.219 --> 00:04:59.333
新しい特別なアイデアへと
進む手助けをする

00:04:59.333 --> 00:05:01.400
それがストーリーの力です

00:05:01.400 --> 00:05:05.810
最もシンプルな構造が
この三部構成です

00:05:05.810 --> 00:05:08.630
愛すべき主人公がいて 
希望を抱き

00:05:08.630 --> 00:05:11.480
困難に直面しますが 
最終的には

00:05:11.480 --> 00:05:15.156
本当の姿が現れて変容を遂げる 
というのが基本的な構造です

00:05:15.157 --> 00:05:18.900
しかしそれからグスタフ・フライタークの
ピラミッドに出会いました

00:05:18.900 --> 00:05:21.664
彼はこの形を
1863年に描きました

00:05:21.664 --> 00:05:24.015
彼はドイツの劇作家で

00:05:24.023 --> 00:05:26.326
彼はドイツの劇作家で

00:05:26.326 --> 00:05:29.114
五部構成を標榜していました

00:05:29.114 --> 00:05:34.913
提示部 上昇展開 クライマックス 
下降展開 それに大団円—

00:05:34.913 --> 00:05:38.080
つまりストーリーの落着です

00:05:38.080 --> 00:05:39.972
私はこの形が好きです
形の話です

00:05:39.972 --> 00:05:42.596
ストーリーは弧を持ち 
弧がその形です

00:05:42.596 --> 00:05:46.037
クラシック音楽では形の良さ
について話しますが

00:05:46.052 --> 00:05:49.710
プレゼンに形があるとしたら 
それはどんな形だろうと思いました

00:05:49.710 --> 00:05:52.910
偉大なコミュニケーターは
形をどう使うのか？

00:05:52.910 --> 00:05:54.277
そもそも形を使うのか？

00:05:54.277 --> 00:05:56.430
忘れもしません 
ある土曜の朝のことです

00:05:56.430 --> 00:05:58.817
こういったことを
２年も研究し続けていて

00:05:58.817 --> 00:06:00.214
ふとある形を画きました

00:06:00.214 --> 00:06:01.242
そして思いました

00:06:01.242 --> 00:06:02.776
「ああ もしこの形が本当なら

00:06:02.776 --> 00:06:05.614
まったく違う２つの
プレゼン選んでも

00:06:05.614 --> 00:06:07.966
当てはまるはずだわ」

00:06:07.966 --> 00:06:09.269
当然の選択として

00:06:09.269 --> 00:06:11.371
マーティン・ルーサー・キングの
『私には夢がある』と

00:06:11.371 --> 00:06:14.290
スティーブ・ジョブズの 2007年の
iPhoneお披露目のプレゼンを選び

00:06:14.290 --> 00:06:16.440
重ね合わせてみたところ 
ピッタリはまったんです

00:06:16.440 --> 00:06:19.950
仕事場で驚きに打たれ 
少し泣きさえしました

00:06:19.950 --> 00:06:22.940
「これはすごい賜物だ」
と感じたからです

00:06:22.940 --> 00:06:24.066
それがこの形です

00:06:24.066 --> 00:06:27.340
すごいプレゼンが
持つ形です

00:06:27.340 --> 00:06:31.380
素晴らしいと思いません？ (鼻をすする—笑) 
泣いていました

00:06:31.380 --> 00:06:33.930
それを お見せしたいと思います
本当にビックリしますよ

00:06:33.930 --> 00:06:36.250
始まりと中間と結末を
順に辿っていこうと思います

00:06:36.250 --> 00:06:40.100
歴史上の偉大なコミュニケーター達は 
演説にせよ何にせよ

00:06:40.100 --> 00:06:41.360
この形に従っています

00:06:41.360 --> 00:06:44.010
リンカーンのゲティスバーグ演説でさえ 
この形なんです

00:06:44.010 --> 00:06:47.580
プレゼンの始で 何の話なのかを
確立する必要があります

00:06:47.580 --> 00:06:50.040
現状や 起きていることを示し

00:06:50.040 --> 00:06:52.620
それを あるべき姿と
比較します

00:06:52.620 --> 00:06:55.530
そして そのギャップを
可能な限り大きくします

00:06:55.530 --> 00:06:59.394
現状で当たり前と
されていることを

00:06:59.394 --> 00:07:02.260
自分のアイデアの高みと
対比する必要があります

00:07:02.260 --> 00:07:04.445
過去はこう 
現在はこう

00:07:04.445 --> 00:07:06.628
でも ほら 
未来を見て

00:07:06.628 --> 00:07:07.948
こんな問題がある

00:07:07.948 --> 00:07:09.745
だけど それが解決されたところを
考えてみて

00:07:09.745 --> 00:07:11.066
こんな障害がある

00:07:11.066 --> 00:07:12.757
さあ それを打ち破ろう

00:07:12.757 --> 00:07:14.850
このギャップを強調する
必要があります

00:07:14.850 --> 00:07:17.700
映画の中の誘発的な
出来事のようなものです

00:07:17.700 --> 00:07:21.010
観客は突然目の前に
現れるシーンに対して

00:07:21.010 --> 00:07:22.166
思います

00:07:22.166 --> 00:07:24.360
「これを受け入れて
話に付き合うべきか？」

00:07:24.360 --> 00:07:27.708
プレゼンの以降の部分で
それを補強してやる必要があります

00:07:27.708 --> 00:07:30.319
だから中間部では

00:07:30.319 --> 00:07:33.730
現状と理想の間を
行ったり来たりします

00:07:33.730 --> 00:07:35.130
ここでやろうとしているのは

00:07:35.130 --> 00:07:38.169
現状の異常さや
醜さを示し

00:07:38.169 --> 00:07:42.933
自分のアイデアが実現された未来へと
引き込むということです

00:07:42.933 --> 00:07:45.990
世界を変えようとするとき 
人々は抵抗します

00:07:45.990 --> 00:07:48.310
彼らは歓迎せず 現状の世界に
居続けようとします

00:07:48.310 --> 00:07:49.970
だから抵抗に遭う
ことになります

00:07:49.970 --> 00:07:51.932
それが行ったり来たりする
必要がある理由です

00:07:51.932 --> 00:07:54.110
ヨットと一緒です

00:07:54.110 --> 00:07:57.519
風上に向かって帆走する時は 
風の抵抗があり

00:07:57.519 --> 00:08:00.870
船を左右に切り返す
必要があります

00:08:00.870 --> 00:08:02.513
そうやって
風を捉えるんです

00:08:02.513 --> 00:08:06.030
帆走するときには 自分に向かってくる
抵抗を捉えなければなりません

00:08:06.030 --> 00:08:10.180
面白いことに
風を正しく捉えられたなら

00:08:10.180 --> 00:08:12.496
船は風よりも
速く進むのです

00:08:12.496 --> 00:08:14.322
一種の物理現象です

00:08:14.322 --> 00:08:17.889
現状と理想の間で
抵抗させることによって

00:08:17.889 --> 00:08:22.866
人々を自分のアイデアへと
より早く導くことができるんです

00:08:22.866 --> 00:08:26.440
現状と あるべき姿の間を
行き来したあと

00:08:26.440 --> 00:08:30.195
最後の折り返し点は行動の呼びかけで
これはすべてのプレゼンが

00:08:30.195 --> 00:08:31.736
最後に持つべきものです

00:08:31.736 --> 00:08:33.658
自分のアイデアが実現された
ユートピアとして

00:08:33.658 --> 00:08:36.120
世界を 新たな希望の中に 
描き出すんです

00:08:36.120 --> 00:08:37.543
みんなが力を合わせ

00:08:37.543 --> 00:08:40.227
大きな問題を解決したときの
世界の姿です

00:08:40.227 --> 00:08:42.566
それを結末として

00:08:42.566 --> 00:08:45.704
詩的で劇的に見せる
必要があります

00:08:45.704 --> 00:08:48.765
これを発見した時

00:08:48.765 --> 00:08:51.613
「分析ツールに使えるかも」
と思いました

00:08:51.613 --> 00:08:53.770
そして いろんなスピーチの
文字起こしをして

00:08:53.770 --> 00:08:55.444
どれだけ当てはまるものか

00:08:55.444 --> 00:08:57.320
やってみました

00:08:57.320 --> 00:08:58.894
その例をお見せしましょう

00:08:58.894 --> 00:09:02.388
私が最初に試した
２人です

00:09:02.411 --> 00:09:05.400
スティーブ・ジョブズです
世界をすっかり変えました

00:09:05.400 --> 00:09:08.295
パーソナルコンピュータの世界を変え 
音楽業界を変え

00:09:08.304 --> 00:09:10.440
今度はモバイル業界を

00:09:10.440 --> 00:09:11.630
変えようとしています

00:09:11.630 --> 00:09:12.960
確かに世界を変えました

00:09:12.960 --> 00:09:16.546
そしてこれが 2007年の
iPhoneお披露目の際の

00:09:16.546 --> 00:09:17.526
スピーチの形です

00:09:17.526 --> 00:09:20.607
90分のプレゼンで 
ご覧のように

00:09:20.607 --> 00:09:24.027
現状から始めて 行き来を繰り返し 
あるべき姿で終わっています

00:09:24.027 --> 00:09:26.185
拡大してみましょう

00:09:26.194 --> 00:09:29.628
白い線は彼が
話している部分です

00:09:29.628 --> 00:09:33.200
緑色はビデオを
見せている部分です

00:09:33.200 --> 00:09:35.350
変化をつけています
オレンジ色はデモの部分

00:09:35.350 --> 00:09:37.640
ずっと１人でしゃべり続けている
わけではありません

00:09:37.640 --> 00:09:40.696
これらの線が
それを表しています

00:09:40.696 --> 00:09:44.313
それから最後の方の青い線は 
ゲスト・スピーカーです

00:09:44.313 --> 00:09:46.513
ここが面白いところですが

00:09:46.513 --> 00:09:49.362
この刻み目は 聴衆を
笑わせているところです

00:09:49.362 --> 00:09:51.780
こちらの刻み目は 拍手が
起きているところ

00:09:51.780 --> 00:09:53.870
みんな全身で参加していて

00:09:53.870 --> 00:09:57.650
ジョブズの言ったことに体を使って反応しています
これは素晴らしいことです

00:09:57.650 --> 00:10:00.830
聴衆の心を掴んでいる
ということだからです

00:10:00.830 --> 00:10:03.680
彼はあるべき姿の話を

00:10:03.680 --> 00:10:07.120
「今日は 私が２年半待ち望んでいた日です」
と始めます

00:10:07.120 --> 00:10:08.630
だから彼にすれば
２年以上も前から

00:10:08.630 --> 00:10:10.490
知っている製品の話を
しているわけです

00:10:10.490 --> 00:10:12.120
彼にとっては
新しいものではありません

00:10:12.120 --> 00:10:14.120
しかしここで彼は

00:10:14.120 --> 00:10:15.500
驚いて見せるのです

00:10:15.500 --> 00:10:16.962
自分自身の製品にです

00:10:16.962 --> 00:10:20.203
聴衆が笑い拍手する以上に 
彼は自らに感動しています

00:10:20.203 --> 00:10:23.690
「これすごいと思いません？ 
とてもきれいでしょう？」

00:10:23.690 --> 00:10:27.230
彼は聴衆に感じて欲しいことの
お手本を示しているのです

00:10:27.230 --> 00:10:31.770
聴衆に特別な感じを持つよう
促しているわけです

00:10:31.770 --> 00:10:33.990
彼はあるべき姿の
話を始めます

00:10:33.990 --> 00:10:38.590
「時折 画期的な製品が現れては 
すべてを変えます」

00:10:38.590 --> 00:10:41.010
そうして自分の新製品について
話し出します

00:10:41.010 --> 00:10:44.060
最初のうち iPhoneのスイッチは
切られたままです

00:10:44.060 --> 00:10:47.210
スイッチを入れるまで 随分 
間があるのが分かります

00:10:47.210 --> 00:10:51.850
彼は行き来を繰り返しています
「これが新しい携帯で これが最低の競合製品」

00:10:51.850 --> 00:10:54.790
「これが新しい携帯で これが最低の競合製品」

00:10:54.790 --> 00:10:57.583
そして みんなが記憶に
とどめる瞬間が

00:10:57.583 --> 00:10:59.672
ここで訪れます

00:10:59.672 --> 00:11:01.193
ジョブズがiPhoneの
スイッチを入れ

00:11:01.193 --> 00:11:03.002
観客は初めて画面が
スクロールするのを見ます

00:11:03.002 --> 00:11:04.752
空気が吸い出される音が
聞こえそうです

00:11:04.752 --> 00:11:06.720
会場全体が息をのむのを
感じられるでしょう

00:11:06.720 --> 00:11:09.110
彼は誰もの記憶に残る瞬間を
作り出しているのです

00:11:09.110 --> 00:11:11.594
このモデルを見ていくと 
青い部分が現れます

00:11:11.594 --> 00:11:13.362
別のスピーカーが
登場しているところです

00:11:13.362 --> 00:11:16.102
そして右下のところで
線が途切れています

00:11:16.102 --> 00:11:18.010
スライドのリモコンが
故障してしまったためです

00:11:18.010 --> 00:11:20.852
彼はどうしたでしょう？ 
盛り上がった空気を壊したくはありません

00:11:20.852 --> 00:11:22.560
それで彼は
個人的な話をします

00:11:22.560 --> 00:11:24.630
テクノロジーがうまく
機能しなかった時にです

00:11:24.630 --> 00:11:26.782
コミュニケーションの
達人である彼は

00:11:26.782 --> 00:11:28.826
ストーリーによって聴衆の心を
つなぎ止めるのです

00:11:28.826 --> 00:11:31.730
プレゼンは右上のところ 
新たな喜びで終わります

00:11:31.730 --> 00:11:33.091
Appleは

00:11:33.091 --> 00:11:36.560
画期的な新製品を生み出し続ける
という約束を

00:11:36.560 --> 00:11:38.700
彼は残します

00:11:38.700 --> 00:11:41.210
「私が好きなウェイン・グレツキーの
言葉があります

00:11:41.210 --> 00:11:43.760
“パックがあるところに行くんじゃない
パックが行くところに行くんだ”

00:11:43.760 --> 00:11:47.709
Appleはその最初の日からそうあろうとし 
そうあり続けます」

00:11:47.709 --> 00:11:49.742
新たな希望で
締めくくっているわけです

00:11:49.742 --> 00:11:51.510
次にキング牧師を
見てみましょう

00:11:51.510 --> 00:11:54.030
すごいビジョンを
持った聖職者で

00:11:54.030 --> 00:11:56.810
平等を勝ち取るために
人生を捧げました

00:11:56.810 --> 00:11:59.500
これが『私には夢がある』の
演説の形です

00:11:59.500 --> 00:12:00.730
現状から始め

00:12:00.730 --> 00:12:03.365
現状とあるべき姿の間を
行き来しているのが分かります

00:12:03.365 --> 00:12:07.940
そして最後は 誰もが知っている
とても詩的な理想で終わります

00:12:07.940 --> 00:12:11.742
少し引き延ばしてみましょうか

00:12:11.742 --> 00:12:14.141
ここでは 文字起こしした文を
脇につけています

00:12:14.141 --> 00:12:16.689
細かくて読めないと
思いますが

00:12:16.689 --> 00:12:19.098
改行は 
彼が息をついて

00:12:19.098 --> 00:12:21.603
間があるところです

00:12:21.603 --> 00:12:24.540
彼は南部の
バプティスト派の牧師で

00:12:24.540 --> 00:12:26.229
語りに独特の
リズムがあります

00:12:26.229 --> 00:12:28.042
聞いていた人たちには
目新しいものでした

00:12:28.042 --> 00:12:30.870
このテキストを
ラベルで隠しましょう

00:12:30.870 --> 00:12:34.450
これを情報ツールとして
使いたいからです

00:12:34.450 --> 00:12:37.790
彼がどのように人々に語ったのか
見ていきましょう

00:12:38.650 --> 00:12:41.022
青いラベルは彼が
レトリックとして

00:12:41.022 --> 00:12:42.955
繰り返しを使っている
部分です

00:12:42.955 --> 00:12:44.165
彼は同じ言葉や
フレーズを

00:12:44.165 --> 00:12:46.440
何度も繰り返し

00:12:46.440 --> 00:12:49.020
みんなの記憶に残るように
しているのです

00:12:49.020 --> 00:12:52.040
彼はまた沢山のメタファーや
視覚的な表現を使っています

00:12:52.040 --> 00:12:54.485
これは難しい概念を
みんなが記憶し

00:12:54.485 --> 00:12:57.416
理解できるようにする
ための方法です

00:12:57.416 --> 00:12:58.918
彼は実際

00:12:58.918 --> 00:13:01.495
情景を描き出すかのように
言葉を使ったので

00:13:01.495 --> 00:13:03.953
みんな彼の言うことを
イメージすることができました

00:13:03.953 --> 00:13:07.210
それから馴染み深い歌や
聖書の言葉を使っています

00:13:07.219 --> 00:13:09.300
今見ているのは
前半部分です

00:13:09.300 --> 00:13:14.300
それから政治家が人々に約束した
言葉を沢山引用しています

00:13:14.300 --> 00:13:17.020
最初の現状を述べる部分の終わりで

00:13:17.020 --> 00:13:22.190
人々が本当に大きく
喝采し歓声を上げます

00:13:22.190 --> 00:13:24.185
彼はこう言ったのです

00:13:24.185 --> 00:13:26.352
「アメリカは黒人に
不渡り小切手を渡してきた

00:13:26.352 --> 00:13:28.980
残高不足と記され
突き返される小切手だ」

00:13:28.980 --> 00:13:31.630
口座にお金のないのが どんなものか
みんな知っています

00:13:31.630 --> 00:13:34.880
だから彼はみんなに馴染みのある
メタファーを使ったわけです

00:13:34.880 --> 00:13:39.180
でもみんなが本当に盛り上がって
声を上げたのは この部分です

00:13:39.180 --> 00:13:41.240
「だから我々は その小切手を
引き替えに来た

00:13:41.254 --> 00:13:46.170
我々に自由という富を与え
公正を保証する小切手を」

00:13:46.170 --> 00:13:47.675
みんなここで喝采します

00:13:47.683 --> 00:13:50.710
彼が現状とあるべき姿を
対比したところです

00:13:50.710 --> 00:13:53.277
このモデルを
さらに進んでいくと

00:13:53.277 --> 00:13:56.417
行き来が激したペースに
なっていきます

00:13:56.417 --> 00:13:58.759
彼が行き来するごとに
聴衆も激してきます

00:13:58.759 --> 00:14:00.950
みんな興奮していて

00:14:00.950 --> 00:14:03.179
その高じた状態を
維持するために

00:14:03.179 --> 00:14:06.408
そうしているわけです

00:14:06.408 --> 00:14:08.900
彼は言います
「私には夢がある

00:14:08.900 --> 00:14:13.800
いつの日か この国が目を覚まし
“すべての人間は平等に作られている” —

00:14:13.800 --> 00:14:17.247
という建国の信条が
本当の意味で実現されるという夢だ」

00:14:17.247 --> 00:14:20.338
彼はこのオレンジ色の文で 
政治家や

00:14:20.338 --> 00:14:23.480
国家がしてきた約束を
みんなに思い出させているのです

00:14:23.480 --> 00:14:25.194
それから彼は
行き来します

00:14:25.194 --> 00:14:28.691
「私には夢がある いつの日か—
私には夢がある いつの日か—

00:14:28.691 --> 00:14:32.020
私には夢がある いつの日か—」
そして最後が面白いものになっています

00:14:32.020 --> 00:14:34.740
緑が４箇所あります

00:14:34.740 --> 00:14:37.520
それに沢山の青 
つまり繰り返しが多用されています

00:14:37.520 --> 00:14:39.520
繰り返しの感覚が
とても強くなっています

00:14:39.520 --> 00:14:42.860
緑は 歌や聖書の言葉を
示しているところです

00:14:42.860 --> 00:14:47.260
最初の緑の部分は
イザヤ書からの引用で

00:14:47.260 --> 00:14:50.510
２番目の緑は『マイ・カントリー・
ティズ・オブ・ジー』です

00:14:50.510 --> 00:14:53.788
これはよく知られた歌で 
当時の黒人には

00:14:53.788 --> 00:14:55.064
特に大切なものでした

00:14:55.064 --> 00:14:59.790
この歌の歌詞を変えて 
守られずにいた約束への

00:14:59.790 --> 00:15:02.200
抗議の叫びとして
使っていたのです

00:15:02.200 --> 00:15:06.380
３番目の緑は『マイ・カントリー・ティズ・
オブ・ジー』の１節です

00:15:06.380 --> 00:15:09.130
そして４番目の緑は
黒人霊歌です

00:15:09.130 --> 00:15:12.310
「ついに自由だ！ ついに自由だ！ 
神よ感謝します！ ついに自由だ！」

00:15:12.310 --> 00:15:17.010
彼がしたのは聴衆の心に触れる
ということです

00:15:17.010 --> 00:15:19.059
大事な聖書の言葉や
怒りの叫びとして—

00:15:19.059 --> 00:15:21.171
みんなが歌っていた歌を
引っ張り出し

00:15:21.171 --> 00:15:24.423
それを聴衆と１つになって
響き合うための

00:15:24.423 --> 00:15:26.420
道具として使ったのです

00:15:26.420 --> 00:15:28.939
最後に 新しい理想の世界を
描き出します

00:15:28.939 --> 00:15:33.550
聴衆の心の中にある
神聖なものを使ってです

00:15:33.550 --> 00:15:36.630
だから彼は偉大な人でした
彼には大きな夢がありました

00:15:36.630 --> 00:15:39.340
皆さんも 大きな夢を持っていますね
[あなたの写真をここに] (笑)

00:15:39.340 --> 00:15:40.965
そのとても大きなアイデアを

00:15:40.965 --> 00:15:43.557
自分の中から
外に出す必要があります

00:15:43.557 --> 00:15:47.450
しかし私たちは困難に直面します
世界を変えるのは簡単ではなく 大仕事です

00:15:47.450 --> 00:15:49.189
彼がどんなだったか—

00:15:49.189 --> 00:15:51.107
家を爆破され 
レターオープナーで刺され

00:15:51.107 --> 00:15:52.890
最後には
命を落としました

00:15:52.890 --> 00:15:54.996
自分が信じるもののために

00:15:55.001 --> 00:15:59.480
多くの人は そこまでの犠牲を
強いられることはありませんが

00:15:59.480 --> 00:16:02.041
基本的なストーリー構造の
ようなことが起こります

00:16:02.041 --> 00:16:05.491
人生は得てして
そうなります

00:16:05.491 --> 00:16:07.644
皆さんは愛すべき人物で

00:16:07.644 --> 00:16:10.169
希望を抱いていますが 
困難に直面し

00:16:10.169 --> 00:16:12.270
そこで止まってしまいます

00:16:12.270 --> 00:16:14.404
「こんなアイデアがあるけど

00:16:14.404 --> 00:16:16.186
しまっておこう」

00:16:16.186 --> 00:16:17.370
「拒絶されてしまった」

00:16:17.370 --> 00:16:21.450
自分で自分のアイデアを
壊してしまい

00:16:21.450 --> 00:16:24.443
困難にぶつかって
立ち止まるのです

00:16:24.443 --> 00:16:27.143
格闘する中で 自らを変えて
先へ進む道を選び

00:16:27.143 --> 00:16:31.055
夢を抱き続けて
実現する代わりに—

00:16:31.055 --> 00:16:32.999
でも私にできるのなら

00:16:32.999 --> 00:16:35.091
誰にだってできます

00:16:35.091 --> 00:16:38.970
私は経済的にも感情的にも
貧しい環境で育ちました

00:16:38.970 --> 00:16:42.750
妹と初めてキャンプに行ったとき 
虐められました

00:16:42.750 --> 00:16:46.160
初めてのことではありませんが 
とても酷いものでした

00:16:46.160 --> 00:16:49.571
両親はそれぞれ
３度結婚しています

00:16:49.571 --> 00:16:53.042
まったく混乱した状況で 
両親は 喧嘩していない時には

00:16:53.042 --> 00:16:55.625
アルコール依存症の居候を
助けていました

00:16:55.625 --> 00:16:57.530
両親も元は
アルコール依存症だったからです

00:16:57.530 --> 00:17:00.440
母は私が16の時に
家族を捨てました

00:17:00.440 --> 00:17:03.820
それで私が家族や兄弟の
面倒を見ることになりました

00:17:03.820 --> 00:17:07.200
それから結婚しました

00:17:07.200 --> 00:17:09.569
ある人と出会い 恋に落ちたんです
大学には１年行きました

00:17:09.569 --> 00:17:11.940
私はすべての聡明な若い女性が
すべきことをしました

00:17:11.940 --> 00:17:14.319
18歳で結婚する
ということです

00:17:14.319 --> 00:17:15.887
でも私は

00:17:15.887 --> 00:17:19.939
自分には もっとふさわしい人生が
あるはずだと思っていました

00:17:19.939 --> 00:17:23.329
そして人生のこの時点で
選択をしたのです

00:17:23.329 --> 00:17:26.068
ああいったものに押し潰され 
アイデアを自分の中で

00:17:26.068 --> 00:17:28.682
枯らしてしまう
ということだってあり得ました

00:17:28.682 --> 00:17:30.709
「人生は辛すぎる」
「世界なんて変えられやしない

00:17:30.709 --> 00:17:32.250
難しすぎる」と

00:17:32.250 --> 00:17:35.360
でも私は 自分の人生に
別なストーリーを選びました

00:17:35.360 --> 00:17:39.440
そう あれです (笑)

00:17:39.440 --> 00:17:43.910
この場の人たちと同じように感じ 
あの小さなスワヴィートスの箱を掴んだのです

00:17:43.910 --> 00:17:46.253
そんな大それたことでは
ありません

00:17:46.253 --> 00:17:48.880
全世界を変えよう
というのではありません

00:17:48.880 --> 00:17:50.383
でも自分の世界なら
変えられます

00:17:50.383 --> 00:17:52.579
自分の人生なら
変えられます

00:17:52.579 --> 00:17:54.192
自分の手の届く
範囲なら

00:17:54.192 --> 00:17:55.945
自分の領分なら
変えられます

00:17:55.945 --> 00:17:58.100
皆さんにも そうすることを
お勧めします

00:17:58.100 --> 00:17:59.783
なぜなら

00:17:59.783 --> 00:18:03.127
未来とは 私たちが
行く場所ではないからです

00:18:03.127 --> 00:18:06.380
未来は私たちが
作る場所なのです

00:18:06.380 --> 00:18:08.433
どうもありがとうございました (拍手)

00:18:08.433 --> 00:18:11.780
皆さんに祝福がありますように
ありがとう