[Script Info] Title: [Events] Format: Layer, Start, End, Style, Name, MarginL, MarginR, MarginV, Effect, Text Dialogue: 0,0:00:13.00,0:00:16.04,Default,,0000,0000,0000,,想像してください\Nあなたは友人と美術展にいます Dialogue: 0,0:00:16.04,0:00:18.66,Default,,0000,0000,0000,,そこで はっとするような絵画が\N目に飛び込んできました Dialogue: 0,0:00:18.66,0:00:22.08,Default,,0000,0000,0000,,あなたには 鮮やかな赤の色が\N愛のシンボルに見えました Dialogue: 0,0:00:22.08,0:00:25.44,Default,,0000,0000,0000,,しかし友人は\N戦争のシンボルだと譲りません Dialogue: 0,0:00:25.44,0:00:28.96,Default,,0000,0000,0000,,あなたには ロマンチックな空に\N浮かぶ星に見えるものも Dialogue: 0,0:00:28.96,0:00:33.79,Default,,0000,0000,0000,,友人は 地球温暖化を引き起こす\N汚染物質だと解釈しました Dialogue: 0,0:00:33.79,0:00:37.41,Default,,0000,0000,0000,,議論の決着をつけるために\Nインターネットで調べると Dialogue: 0,0:00:37.41,0:00:41.91,Default,,0000,0000,0000,,その絵画は 作者が小学1年生だった時の\N図工作品のレプリカで Dialogue: 0,0:00:41.91,0:00:46.75,Default,,0000,0000,0000,,赤は作者が一番好きな色\N銀の点は妖精だということが分かりました Dialogue: 0,0:00:46.75,0:00:51.33,Default,,0000,0000,0000,,この作品が創作された\N真の意図は分かりましたが Dialogue: 0,0:00:51.33,0:00:55.40,Default,,0000,0000,0000,,作者の意図と異なる形で作品を楽しむのは\N間違っているのでしょうか Dialogue: 0,0:00:55.40,0:00:58.92,Default,,0000,0000,0000,,真実を知った後では 以前ほど\N作品を楽しめなくなるのでしょうか? Dialogue: 0,0:00:58.92,0:01:01.04,Default,,0000,0000,0000,,作者の意図は絵画の解釈に Dialogue: 0,0:01:01.04,0:01:04.33,Default,,0000,0000,0000,,どの程度\N影響を与えるべきなのでしょうか Dialogue: 0,0:01:04.33,0:01:06.28,Default,,0000,0000,0000,,この疑問について\N哲学者や美術評論家が Dialogue: 0,0:01:06.28,0:01:11.78,Default,,0000,0000,0000,,何十年も考えてきましたが\N皆が納得する答えは出そうもありません Dialogue: 0,0:01:11.78,0:01:13.48,Default,,0000,0000,0000,,20世紀の半ばに Dialogue: 0,0:01:13.48,0:01:17.99,Default,,0000,0000,0000,,文芸評論家のW・K・ウィムザットと\N哲学者のモンロー・ビアズリーは Dialogue: 0,0:01:17.99,0:01:21.36,Default,,0000,0000,0000,,創作家の意図は\N関係ないと論じました Dialogue: 0,0:01:21.36,0:01:23.83,Default,,0000,0000,0000,,彼らはこれを\N「意図の誤謬(ごびゅう)」と呼びました Dialogue: 0,0:01:23.83,0:01:28.15,Default,,0000,0000,0000,,作者の意図を考慮に入れることは\N作品の評価の妨げになるという考えです Dialogue: 0,0:01:28.15,0:01:30.27,Default,,0000,0000,0000,,彼らの主張には2つの論点がありました Dialogue: 0,0:01:30.27,0:01:33.55,Default,,0000,0000,0000,,まず研究している芸術家が\Nもうこの世におらず Dialogue: 0,0:01:33.55,0:01:35.45,Default,,0000,0000,0000,,彼らの意図の記録も残っていない Dialogue: 0,0:01:35.45,0:01:39.60,Default,,0000,0000,0000,,または 単に作者が作品についての質問に\N答えられない状況にあるかもしれないこと Dialogue: 0,0:01:39.61,0:01:44.16,Default,,0000,0000,0000,,次に たとえ作品に関連する情報が\N十分にあったとしても Dialogue: 0,0:01:44.16,0:01:45.60,Default,,0000,0000,0000,,その情報があることで Dialogue: 0,0:01:45.60,0:01:49.09,Default,,0000,0000,0000,,作品そのものへの純粋な評価ができなくなる\N可能性があるということです Dialogue: 0,0:01:49.09,0:01:51.23,Default,,0000,0000,0000,,彼らは芸術作品をデザートと比較しました Dialogue: 0,0:01:51.23,0:01:52.77,Default,,0000,0000,0000,,プリンを食べる時 Dialogue: 0,0:01:52.77,0:01:57.34,Default,,0000,0000,0000,,プリンの味や食感が好きかどうかに\Nシェフの意図は関係ありません Dialogue: 0,0:01:57.34,0:02:01.60,Default,,0000,0000,0000,,大事なのはプリンが「合う」かどうかだと\N彼らは言いました Dialogue: 0,0:02:01.60,0:02:05.68,Default,,0000,0000,0000,,もちろん ある人には「合う」ものが\N他の人には「合わない」かもしれません Dialogue: 0,0:02:05.68,0:02:09.02,Default,,0000,0000,0000,,解釈は人それぞれ異なるものなので Dialogue: 0,0:02:09.02,0:02:13.27,Default,,0000,0000,0000,,先ほど見た絵画の銀色の点を\N妖精 星 もしくは汚染物質と解釈しても Dialogue: 0,0:02:13.27,0:02:15.51,Default,,0000,0000,0000,,どれも問題ありません Dialogue: 0,0:02:15.51,0:02:19.66,Default,,0000,0000,0000,,ウィムザットとビアズリーの論理では\N作者自身の作品の解釈も Dialogue: 0,0:02:19.66,0:02:24.55,Default,,0000,0000,0000,,他にたくさんある妥当な解釈のうちの\N1つにすぎないのです Dialogue: 0,0:02:24.55,0:02:26.20,Default,,0000,0000,0000,,この考えに納得できないという人は Dialogue: 0,0:02:26.20,0:02:28.11,Default,,0000,0000,0000,,文学理論家の\Nスティーブン・ナップと Dialogue: 0,0:02:28.11,0:02:30.29,Default,,0000,0000,0000,,W・B・マイケルズの主張に\N共感するかもしれません Dialogue: 0,0:02:30.29,0:02:34.07,Default,,0000,0000,0000,,彼らは「意図の誤謬」を否定し Dialogue: 0,0:02:34.07,0:02:36.46,Default,,0000,0000,0000,,作者が作品に込めた意図は Dialogue: 0,0:02:36.46,0:02:39.05,Default,,0000,0000,0000,,単なる可能な解釈の1つではなく Dialogue: 0,0:02:39.05,0:02:41.80,Default,,0000,0000,0000,,唯一の可能な解釈であると主張しました Dialogue: 0,0:02:41.80,0:02:44.49,Default,,0000,0000,0000,,例えば ビーチ沿いを歩いていた時に Dialogue: 0,0:02:44.49,0:02:49.01,Default,,0000,0000,0000,,詩の一節をつづった連続する文字を\N砂浜で見つけたとしましょう Dialogue: 0,0:02:49.01,0:02:52.22,Default,,0000,0000,0000,,もし それが人間が残したものではなく Dialogue: 0,0:02:52.22,0:02:55.69,Default,,0000,0000,0000,,波によって偶然できたものだと\N考えたとしたら Dialogue: 0,0:02:55.69,0:02:58.47,Default,,0000,0000,0000,,詩の意味はなくなってしまうと\Nナップとマイケルズは主張しました Dialogue: 0,0:02:58.47,0:03:00.42,Default,,0000,0000,0000,,意図的に作られたということにより Dialogue: 0,0:03:00.42,0:03:04.59,Default,,0000,0000,0000,,詩は理解する対象として\N捉えられるのだと論じたのです Dialogue: 0,0:03:04.59,0:03:06.93,Default,,0000,0000,0000,,さらに 中道の意見も出てきました Dialogue: 0,0:03:06.93,0:03:11.82,Default,,0000,0000,0000,,意図は大きなパズルの中の\N1つのピースにすぎないという主張です Dialogue: 0,0:03:11.82,0:03:15.26,Default,,0000,0000,0000,,現代の哲学者ノエル・キャロルは\Nこの立場をとり Dialogue: 0,0:03:15.26,0:03:18.93,Default,,0000,0000,0000,,作者の意図は鑑賞者に関係があり Dialogue: 0,0:03:18.93,0:03:20.66,Default,,0000,0000,0000,,それは話し手の意図が Dialogue: 0,0:03:20.66,0:03:24.16,Default,,0000,0000,0000,,会話をしている相手に関係があるのと\N同じだと論じました Dialogue: 0,0:03:24.16,0:03:27.10,Default,,0000,0000,0000,,話し手の意図が会話の中で\Nどう働くのかを理解するため Dialogue: 0,0:03:27.10,0:03:31.21,Default,,0000,0000,0000,,キャロルは 煙草を持った人がマッチがあるか\N尋ねる場合を例に出しました Dialogue: 0,0:03:31.21,0:03:34.61,Default,,0000,0000,0000,,尋ねられたあなたは その行動の動機は\N煙草に火をつけることだと推測し Dialogue: 0,0:03:34.61,0:03:36.25,Default,,0000,0000,0000,,ライターを手渡します Dialogue: 0,0:03:36.25,0:03:39.10,Default,,0000,0000,0000,,どのような言葉を使って\N尋ねてきたかにもよりますが Dialogue: 0,0:03:39.10,0:03:43.47,Default,,0000,0000,0000,,結局 相手は質問を通して\Nあなたの理解 つまり対応を Dialogue: 0,0:03:43.47,0:03:45.49,Default,,0000,0000,0000,,求めているのです Dialogue: 0,0:03:45.49,0:03:48.52,Default,,0000,0000,0000,,さあ あなたはどの考えを支持しますか? Dialogue: 0,0:03:48.52,0:03:52.26,Default,,0000,0000,0000,,ウィムザットとビアズリーのように\N芸術では プリン自体にこそ Dialogue: 0,0:03:52.26,0:03:53.100,Default,,0000,0000,0000,,判断の根拠があるべきだと思いますか? Dialogue: 0,0:03:53.100,0:03:57.69,Default,,0000,0000,0000,,あるいは 作者による\N作品の趣旨や創作の動機が Dialogue: 0,0:03:57.69,0:03:59.35,Default,,0000,0000,0000,,作品の意味に影響すると思いますか? Dialogue: 0,0:03:59.35,0:04:02.11,Default,,0000,0000,0000,,芸術作品の解釈は Dialogue: 0,0:04:02.11,0:04:06.16,Default,,0000,0000,0000,,永遠に出口の見えない\N迷宮のようなものなのでしょう