WEBVTT 00:00:00.618 --> 00:00:03.452 何かで読んで 気に入っている話なんですが 00:00:03.476 --> 00:00:06.350 人類の種としての成功に 00:00:06.350 --> 00:00:08.947 貢献をした要因に 00:00:08.947 --> 00:00:11.653 体毛の欠如が あると言うんです 00:00:11.653 --> 00:00:14.021 我々に体毛がなく 裸であることが 00:00:14.045 --> 00:00:16.351 服の発明と相まって 00:00:16.375 --> 00:00:19.669 体温を自由に 調整できるようにし 00:00:19.693 --> 00:00:23.387 どのような気候条件下でも 生きられるようになったのだと 00:00:23.387 --> 00:00:26.846 今では我々は服なしには 生きられないまでになりましたが 00:00:26.846 --> 00:00:28.676 服には実用以上の 意味があり 00:00:28.676 --> 00:00:30.321 一種のコミュニケーションツールです 00:00:30.321 --> 00:00:33.733 我々の身に付けるものすべてが 何かを物語っています 00:00:33.733 --> 00:00:35.092 自分がどこにいて 00:00:35.092 --> 00:00:36.208 何をしていて 00:00:36.208 --> 00:00:37.988 何になりたいのか NOTE Paragraph 00:00:39.048 --> 00:00:40.796 私は孤独な子供でした 00:00:40.820 --> 00:00:43.652 遊び友達をなかなか作れず 00:00:43.676 --> 00:00:46.341 一人で遊ぶ方法を 見つけていました 00:00:46.373 --> 00:00:48.816 自分でおもちゃを いろいろ作りましたが 00:00:48.816 --> 00:00:50.725 はじまりはアイスクリームでした 00:00:50.725 --> 00:00:53.713 私の故郷の町には サーティワンアイスクリームがあって 00:00:53.737 --> 00:00:57.019 カウンターに並んだ 20Lの巨大な厚紙製の桶から 00:00:57.019 --> 00:00:58.720 アイスを提供していました 00:00:58.744 --> 00:01:01.446 8歳の時のことですが 誰かから聞いたんです 00:01:01.446 --> 00:01:03.104 空になった桶は 00:01:03.104 --> 00:01:05.172 洗って裏に置いてあり 00:01:05.172 --> 00:01:07.340 頼めばもらえるんだと 00:01:07.340 --> 00:01:09.898 勇気を奮い起こすのに 2週間かかりましたが 00:01:09.898 --> 00:01:11.579 頼んだら本当にもらえて 00:01:11.603 --> 00:01:14.916 その素敵な厚紙製の桶を 持ち帰りました 00:01:14.940 --> 00:01:17.910 その魅惑的な素材で いったい何ができるか考えました 00:01:17.910 --> 00:01:19.745 上下に金属の輪がついています 00:01:19.769 --> 00:01:21.948 頭に被ってみて気付きました 00:01:21.948 --> 00:01:25.320 「おや 頭にピッタリの大きさだ」 NOTE Paragraph 00:01:25.344 --> 00:01:26.907 (笑) NOTE Paragraph 00:01:26.931 --> 00:01:28.624 それで穴を開けて 00:01:28.648 --> 00:01:30.161 透明フィルムを張り 00:01:30.161 --> 00:01:31.899 宇宙ヘルメットを作りました NOTE Paragraph 00:01:31.899 --> 00:01:33.082 (笑) NOTE Paragraph 00:01:33.106 --> 00:01:35.900 そうすると宇宙ヘルメットを 被れる場所が必要です 00:01:35.900 --> 00:01:38.894 家から2ブロック離れたところで 大きな段ボール箱を見つけ 00:01:38.894 --> 00:01:40.255 それを家まで押してきて 00:01:40.255 --> 00:01:42.897 ゲストルームのクローゼットに入れ 00:01:42.921 --> 00:01:45.312 そこを宇宙船に変えました 00:01:45.336 --> 00:01:47.479 まずボール紙で 制御板を作り始めました 00:01:47.479 --> 00:01:49.597 レーダー画面のための穴を開け 00:01:49.597 --> 00:01:51.678 下から懐中電灯で照らしました 00:01:51.678 --> 00:01:54.732 上には黒い壁に向けて 画面を付けます 00:01:54.732 --> 00:01:56.759 すごく上手い考えだと 思ったんですが 00:01:56.759 --> 00:02:00.490 両親の許可を得ずに クローゼットの壁を黒く塗り 00:02:00.490 --> 00:02:03.889 屋根裏で見つけた クリスマスのランプで 00:02:03.889 --> 00:02:06.227 星空を作りました 00:02:06.227 --> 00:02:08.564 そしてスペースミッションに 乗り出したのです NOTE Paragraph 00:02:08.914 --> 00:02:10.269 それから2年ほどして 00:02:10.269 --> 00:02:12.101 映画『ジョーズ』が公開されました 00:02:12.101 --> 00:02:14.105 私は小さすぎて 見られませんでしたが 00:02:14.105 --> 00:02:17.497 当時のアメリカのみんなと同様 ジョーズ熱に浮かされました 00:02:17.709 --> 00:02:21.015 町に『ジョーズ』のコスチュームを 飾っている店があって 00:02:21.015 --> 00:02:23.893 それがすごくイカしていると 誰かに私が言ったのを 00:02:23.893 --> 00:02:25.897 聞いたのに違いありません 00:02:25.921 --> 00:02:27.779 母がハロウィーンの数日前に 00:02:27.803 --> 00:02:32.288 そのジョーズのコスチュームをくれて 私を驚喜させました NOTE Paragraph 00:02:32.305 --> 00:02:33.729 「今時の子供は 00:02:33.729 --> 00:02:36.622 自分がどれほど恵まれているか わかっていない」と 00:02:36.622 --> 00:02:40.216 年寄りが愚痴るのは野暮だ というのは分かってますが 00:02:40.216 --> 00:02:43.901 近頃ネットで買える入門レベルの 子供用コスチュームがどんなものか 00:02:43.901 --> 00:02:45.967 ちょっと見てください 00:02:45.967 --> 00:02:50.049 そしてこれが 私に母が買ってくれた ジョーズのコスチュームです NOTE Paragraph 00:02:50.049 --> 00:02:52.615 (笑) NOTE Paragraph 00:02:52.639 --> 00:02:55.714 ペラペラのサメの頭と 00:02:55.714 --> 00:02:59.452 ジョーズのポスターをプリントした ビニールが貼り付けてあります NOTE Paragraph 00:02:59.476 --> 00:03:00.524 (笑) NOTE Paragraph 00:03:00.548 --> 00:03:02.341 すごく気に入りましたよ NOTE Paragraph 00:03:02.351 --> 00:03:03.636 さらに2年ほどして 00:03:03.636 --> 00:03:06.803 父が『エクスカリバー』という映画に 連れて行ってくれました 00:03:06.803 --> 00:03:08.939 2度も連れて行ってもらいましたが 00:03:08.939 --> 00:03:12.804 これは大したことでした R指定の映画でしたから 00:03:12.804 --> 00:03:14.574 でも私がまた 見たくなったのは 00:03:14.574 --> 00:03:16.895 血や内臓やおっぱいの ためではありません 00:03:16.895 --> 00:03:18.373 それもなくはありませんが — NOTE Paragraph 00:03:18.373 --> 00:03:19.309 (笑) NOTE Paragraph 00:03:19.333 --> 00:03:20.472 鎧なんです 00:03:20.472 --> 00:03:24.740 『エクスカリバー』に出てくる鎧は うっとりするほど素晴らしく見えました 00:03:24.740 --> 00:03:29.447 文字通り鏡のように磨き上げられた 輝く鎧を身にまとった騎士達 — 00:03:29.447 --> 00:03:33.478 しかも『エクスカリバー』の騎士達は いつでも鎧を着ていました 00:03:33.502 --> 00:03:37.025 夕食の時だろうと 寝る時だろうと NOTE Paragraph 00:03:37.049 --> 00:03:38.100 (笑) NOTE Paragraph 00:03:38.124 --> 00:03:39.994 僕の気持ちが 分かるのかと思いました 00:03:40.018 --> 00:03:42.486 「僕だってずっと 鎧を着ていたい!」 NOTE Paragraph 00:03:42.510 --> 00:03:43.429 (笑) NOTE Paragraph 00:03:43.429 --> 00:03:45.748 それでまた お気に入りの素材を手にしました 00:03:45.752 --> 00:03:47.761 もの作りの入門薬物とも言うべき 00:03:47.761 --> 00:03:48.765 段ボールです 00:03:48.789 --> 00:03:51.651 それで鎧一式を作りました 00:03:51.675 --> 00:03:55.044 ネック・シールドと 白馬までつけて 00:03:55.044 --> 00:03:56.850 ちょっと誇大表現だったかも 00:03:56.850 --> 00:03:58.460 これが私の作った鎧です NOTE Paragraph 00:03:58.484 --> 00:03:59.825 (笑) NOTE Paragraph 00:03:59.849 --> 00:04:02.299 (拍手) NOTE Paragraph 00:04:04.356 --> 00:04:07.351 これは私が『エクスカリバー』に 刺激されて作った 00:04:07.351 --> 00:04:08.695 鎧の第1号です 00:04:08.719 --> 00:04:09.972 2年後 00:04:09.996 --> 00:04:14.094 ちゃんとした鎧を作るのを 手伝ってくれるよう父を説得しました 00:04:14.118 --> 00:04:15.763 1ヶ月以上費やし 00:04:15.787 --> 00:04:20.005 段ボールは卒業して 屋根に使うアルミ材の フラッシングを使い 00:04:20.005 --> 00:04:22.285 今でもお気に入りの留め具 00:04:22.285 --> 00:04:24.152 ポップリベットで留めました 00:04:24.152 --> 00:04:25.762 1ヶ月以上かけて私たちは 00:04:25.762 --> 00:04:28.570 複合曲線で構成され関節のある アルミ製の鎧一式を 00:04:28.570 --> 00:04:29.921 入念に深く作り上げました 00:04:29.921 --> 00:04:32.534 ヘルメットには息が出来るよう ドリルで穴を開けました 00:04:32.534 --> 00:04:35.821 ちょうどハロウィーン前に完成させ 学校に着て行ったんです 00:04:35.821 --> 00:04:37.809 お見せできるスライドが 00:04:37.833 --> 00:04:39.650 これだけはありません 00:04:39.674 --> 00:04:41.676 この鎧の写真がないからです 00:04:41.700 --> 00:04:42.987 私は学校に着ていき 00:04:42.987 --> 00:04:45.851 卒業アルバムのカメラマンが 廊下を歩き回っていましたが 00:04:45.851 --> 00:04:49.105 後で述べる理由により 私を見かけることはなかったのです NOTE Paragraph 00:04:49.129 --> 00:04:52.827 アルミで出来た完全な鎧を 学校に着ていくことには 00:04:52.827 --> 00:04:56.052 予期しなかった問題がありました 00:04:56.061 --> 00:04:58.126 3時限目の数学の時 00:04:58.126 --> 00:05:00.391 私は教室の後ろに 立っていました 00:05:00.391 --> 00:05:03.017 その鎧を着ていると 座れなかったものですから NOTE Paragraph 00:05:03.017 --> 00:05:04.346 (笑) NOTE Paragraph 00:05:04.370 --> 00:05:07.320 これは私の予期して いなかったことの1つです 00:05:07.351 --> 00:05:09.760 先生が授業の途中に 心配して 00:05:09.760 --> 00:05:11.916 「大丈夫?」と聞きました 00:05:11.916 --> 00:05:14.406 私は思いました 「何言ってるの? 大丈夫かだって? 00:05:14.406 --> 00:05:18.084 鎧を着ているんだぞ! 人生最高の時と言っても・・・」 00:05:18.084 --> 00:05:20.728 自分がどんなにいい気分か 言おうとした矢先 00:05:20.752 --> 00:05:23.145 教室が左に傾きはじめ 00:05:23.169 --> 00:05:25.886 長いトンネルの向こうに 消えていきました 00:05:25.910 --> 00:05:29.482 目を覚ますと 保健室にいました 00:05:30.275 --> 00:05:33.269 鎧を着ていたために 熱中症になって 00:05:33.293 --> 00:05:34.673 気を失ったのです 00:05:34.673 --> 00:05:36.174 目覚めたときに思ったのは 00:05:36.174 --> 00:05:38.927 教室で気を失って 恥ずかしいということではなく 00:05:38.927 --> 00:05:41.490 「僕の鎧はどこなの?」 ということでした NOTE Paragraph 00:05:41.490 --> 00:05:43.834 それからずっと後のこと 00:05:43.834 --> 00:05:45.642 私達はディスカバリー チャンネルで 00:05:45.642 --> 00:05:48.247 『怪しい伝説』という番組を やることになりました 00:05:48.247 --> 00:05:49.623 この仕事を14年する中で 00:05:49.647 --> 00:05:52.201 実験方法の組み立て方や 00:05:52.215 --> 00:05:55.524 テレビでの伝え方について 多くを学びました 00:05:55.524 --> 00:05:57.649 また早い時点で ストーリーテリングにおいては 00:05:57.649 --> 00:06:00.712 コスチュームが重要な役割を 果たしうることに気付きました NOTE Paragraph 00:06:00.712 --> 00:06:04.531 私はコスチュームを ユーモアを持たせるために コメディとして 特色を与えるために 00:06:04.531 --> 00:06:07.928 また語っている物語を 明快に示すために使います 00:06:07.935 --> 00:06:10.694 それから『ゴミ箱ダイブ』 という回をやったとき 00:06:10.718 --> 00:06:12.949 コスチュームは自分にとって 00:06:12.949 --> 00:06:16.374 もっと深い意味があることに 気付きました 00:06:16.374 --> 00:06:18.204 この回で 答えようとした疑問は 00:06:18.204 --> 00:06:20.163 「高いところから ゴミ箱に飛び込むのは 00:06:20.163 --> 00:06:22.826 映画が見せているように 本当に安全なのか?」 00:06:22.826 --> 00:06:23.806 ということです NOTE Paragraph 00:06:23.806 --> 00:06:25.504 (笑) NOTE Paragraph 00:06:25.528 --> 00:06:28.163 この回は2部に 分かれていました 00:06:28.187 --> 00:06:31.086 1つは建物からエアマットに 飛び降りるトレーニングを 00:06:31.086 --> 00:06:32.869 スタントマンから 受けるというもの 00:06:32.869 --> 00:06:35.104 2つ目の部分で 実験へと進んで 00:06:35.128 --> 00:06:37.973 ゴミ箱にものを詰め込んで その中に飛び降ります 00:06:37.997 --> 00:06:40.354 この2つの要素を視覚的に はっきり分けたくて 00:06:40.354 --> 00:06:41.465 考えました 00:06:41.489 --> 00:06:45.157 「1番目の部分はトレーニングだから 運動着を着るべきだろう 00:06:45.157 --> 00:06:48.879 そうだ 服の背中に “スタント実習生” と 書いておくことにしよう 00:06:48.879 --> 00:06:50.293 トレーニングだと 分かるように」 00:06:50.293 --> 00:06:53.576 2番目の部分は視覚的に インパクトのあるものにしたかったので 00:06:53.576 --> 00:06:56.454 「よし “マトリックス” のネオの 格好で行くぞ!」と決めました NOTE Paragraph 00:06:56.454 --> 00:06:57.236 (笑) NOTE Paragraph 00:06:57.236 --> 00:06:59.226 それでサンフランシスコの ヘイト通りに行って 00:06:59.226 --> 00:07:01.349 膝まである見事な 留め金付ブーツを買い 00:07:01.349 --> 00:07:04.015 さらにeBayで 長いすらっとしたコートを買いました 00:07:04.015 --> 00:07:07.450 サングラスも手に入れましたが するとコンタクトにしなきゃいけません 00:07:07.474 --> 00:07:09.298 実験パートの撮影の日 00:07:09.298 --> 00:07:11.446 このコスチュームで 車から降り立つと 00:07:11.470 --> 00:07:13.690 それを見た番組スタッフが — 00:07:13.720 --> 00:07:16.709 必死に笑いを押し殺し ているのがわかりました 00:07:16.753 --> 00:07:19.801 「ウプッ」「プーッ」と 00:07:19.801 --> 00:07:22.442 この時同時に 2つの感情を覚えました 00:07:22.466 --> 00:07:24.163 私がこのコスチュームに 00:07:24.187 --> 00:07:26.933 マジで入れ込んでいることが スタッフの目に明らかで 00:07:26.957 --> 00:07:29.599 恥ずかしいというのが1つ NOTE Paragraph 00:07:29.623 --> 00:07:30.773 (笑) NOTE Paragraph 00:07:31.328 --> 00:07:34.548 しかしプロデューサーとしての私は 00:07:34.572 --> 00:07:36.963 高速度撮影のスロー再生で 00:07:36.963 --> 00:07:40.446 このコートは きれいに後ろへ たなびくはずだとも思っていました NOTE Paragraph 00:07:40.446 --> 00:07:41.720 (笑) NOTE Paragraph 00:07:42.012 --> 00:07:43.797 『怪しい伝説』の5年目に 00:07:43.797 --> 00:07:46.703 私たちはサンディエゴの コミコンに招待されました 00:07:46.703 --> 00:07:50.183 ずっと行きたいと思いながら それまで行く機会がありませんでした 00:07:50.183 --> 00:07:53.555 すごく大規模な コスプレの祭典です 00:07:53.555 --> 00:07:56.765 このサンディエゴの舞台で 自分の見事な創作物を見せようと 00:07:56.765 --> 00:07:58.685 世界中から人が集まります 00:07:58.685 --> 00:08:00.510 自分も参戦したいと思いました 00:08:00.510 --> 00:08:02.600 凝ったコスチュームで 00:08:02.600 --> 00:08:04.838 全身をすっかり覆い 00:08:04.838 --> 00:08:08.557 人知れずコミコン会場を 歩き回ることにしました 00:08:08.581 --> 00:08:09.989 私が選んだコスチュームは 00:08:09.989 --> 00:08:11.233 『ヘルボーイ』です 00:08:11.493 --> 00:08:12.644 これは私じゃありません 00:08:12.668 --> 00:08:13.819 本物です NOTE Paragraph 00:08:13.843 --> 00:08:14.786 (笑) NOTE Paragraph 00:08:14.786 --> 00:08:17.834 視覚的に可能な限り正確な コスチュームを組み上げるために 00:08:17.834 --> 00:08:18.908 何ヶ月もかけました 00:08:18.932 --> 00:08:20.867 ブーツからベルトにズボン 00:08:20.891 --> 00:08:22.449 そしてあの破滅の右腕まで 00:08:22.449 --> 00:08:25.558 ヘルボーイの頭部と胸部を 作ったという人を見つけ 00:08:25.558 --> 00:08:27.277 それを使わせて もらうことにし 00:08:27.277 --> 00:08:30.762 度入りのカラーコンタクトまで 用意しました 00:08:30.786 --> 00:08:33.116 コミコン会場で これを着ましたが 00:08:33.140 --> 00:08:37.713 このコスチュームの中が どれだけクソ暑かったことか NOTE Paragraph 00:08:37.713 --> 00:08:38.537 (笑) NOTE Paragraph 00:08:38.537 --> 00:08:40.892 汗だくです 忘れていましたけど 00:08:40.916 --> 00:08:44.164 汗でびしょ濡れになって コンタクトで目も痛くなりましたが 00:08:44.164 --> 00:08:47.378 全然気になりませんでした もうすっかり夢中になっていたので NOTE Paragraph 00:08:47.402 --> 00:08:48.552 (笑) NOTE Paragraph 00:08:49.066 --> 00:08:52.629 このコスチュームを着て 会場を歩き回るというプロセスだけでなく 00:08:52.653 --> 00:08:56.232 コスプレーヤーたちの コミュニティが素晴らしいんです 00:08:56.256 --> 00:08:58.152 コミコンでは「コスチューム」でなく 00:08:58.176 --> 00:09:00.002 「コスプレ」と呼んでいます 00:09:00.026 --> 00:09:01.344 コスプレというのは人々が 00:09:01.344 --> 00:09:04.471 映画やテレビやアニメの お気に入りのキャラクターの姿に 00:09:04.471 --> 00:09:06.299 着飾るということですが 00:09:06.299 --> 00:09:09.110 ここには それ以上のものがあります 00:09:09.134 --> 00:09:12.195 コスチュームを見つけて 着てみたというのではなく 00:09:12.219 --> 00:09:13.616 自分で作り上げているんです 00:09:13.640 --> 00:09:15.210 自分の好みで変えています 00:09:15.210 --> 00:09:18.810 番組に登場して欲しいと思うキャラクターを 作り出しているんです 00:09:18.810 --> 00:09:20.770 すごい創意工夫をしています 00:09:20.770 --> 00:09:23.813 オタク・パワーを全開にしていて 実に素晴らしいものです NOTE Paragraph 00:09:23.813 --> 00:09:24.606 (笑) NOTE Paragraph 00:09:24.630 --> 00:09:25.781 それだけでなく 00:09:25.805 --> 00:09:27.172 良く稽古もしています 00:09:27.172 --> 00:09:29.478 コミコンや その他のコスプレイベントでは 00:09:29.478 --> 00:09:31.509 歩き回る人たちを ただ撮ったりはしません 00:09:31.509 --> 00:09:32.668 近づいて頼むんです 00:09:32.668 --> 00:09:35.284 「あなたのコスチュームいいですね 写真撮ってもいいですか?」 00:09:35.284 --> 00:09:37.738 それから相手が決めポーズを 取るのを待ちます 00:09:37.738 --> 00:09:40.578 彼らはコスチュームが 最高に見えるポーズを見つけるために 00:09:40.578 --> 00:09:42.142 大変努力しています 00:09:42.166 --> 00:09:44.648 見ていて実に感心します 00:09:44.648 --> 00:09:46.533 私もこのことを心に留めています 00:09:46.533 --> 00:09:48.539 その後のコンベンションのために 00:09:48.539 --> 00:09:52.510 私は『ダークナイト』でのヒース・レジャー扮する ジョーカーの歩き方を練習しました 00:09:52.510 --> 00:09:56.190 『ロード・オブ・ザ・リング』の指輪の幽鬼が いかにも恐ろしげになるよう練習して 00:09:56.190 --> 00:09:57.835 子供達を本当に怖がらせました 00:09:57.835 --> 00:10:00.089 あの「ホゥッ ホゥッ ホゥッ」という 00:10:00.089 --> 00:10:02.430 チューバッカの笑い方を練習しました NOTE Paragraph 00:10:02.625 --> 00:10:05.599 それから『千と千尋の神隠し』の カオナシの扮装をしました 00:10:05.623 --> 00:10:09.074 もし宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』を 知らないなんて人がいたら 00:10:09.098 --> 00:10:10.549 許しといてあげます NOTE Paragraph 00:10:10.573 --> 00:10:12.123 (笑) NOTE Paragraph 00:10:12.136 --> 00:10:15.576 全くの名作で 大好きな映画の1つです 00:10:15.600 --> 00:10:18.407 日本のとある 廃れたテーマパークで 00:10:18.407 --> 00:10:22.300 千尋という女の子が 霊の世界に迷い込むという話です 00:10:22.314 --> 00:10:24.550 千尋は戻る道を探す中で 00:10:24.550 --> 00:10:26.560 そこで出来た友達の 助けを借ります 00:10:26.584 --> 00:10:28.074 囚われの龍ハク 00:10:28.098 --> 00:10:30.362 孤独な化け物カオナシ 00:10:30.386 --> 00:10:33.256 孤独なカオナシは 友達がほしくて 00:10:33.280 --> 00:10:35.649 手から金を作り出して 00:10:35.649 --> 00:10:38.539 気を引こうとします 00:10:38.563 --> 00:10:40.314 それがうまくいかなくて 00:10:40.338 --> 00:10:43.155 大暴れすることになりますが 00:10:43.179 --> 00:10:45.349 千尋に救われます 00:10:45.349 --> 00:10:46.648 千尋に救われます NOTE Paragraph 00:10:46.971 --> 00:10:49.956 私はカオナシの コスチュームを作り上げて 00:10:50.731 --> 00:10:52.988 コミコンで着ました 00:10:53.012 --> 00:10:57.733 そしてカオナシらしい動きを よく練習しました 00:10:57.757 --> 00:11:01.371 このコスチュームを着ているときは 口を利かないと決めていました 00:11:01.395 --> 00:11:03.434 写真を撮らせてと頼まれたら 00:11:03.458 --> 00:11:05.037 うなずいて 00:11:05.037 --> 00:11:07.528 内気そうに相手の横に立ちます 00:11:07.552 --> 00:11:09.218 写真を撮っている間に 00:11:09.242 --> 00:11:10.920 外套の中から 00:11:10.920 --> 00:11:13.502 密かにチョコレートの金貨を取り出し 00:11:13.526 --> 00:11:16.884 別れ際に差し出しました 00:11:16.884 --> 00:11:19.627 「ア・・・ア・・・」と NOTE Paragraph 00:11:19.651 --> 00:11:21.034 みんな大喜びでした 00:11:21.058 --> 00:11:24.091 「カオナシが金をくれた! すごい!」 00:11:24.115 --> 00:11:27.955 私は上機嫌で会場を歩き回り 実に楽しかったです 00:11:28.006 --> 00:11:31.063 それから15分くらいして あることが起きました 00:11:31.368 --> 00:11:33.564 誰かが私の手を掴んで 00:11:34.014 --> 00:11:36.092 金貨を返したんです 00:11:36.116 --> 00:11:39.552 お返しとして何かのコインを くれたのかと思いましたが 00:11:39.552 --> 00:11:41.869 違いました 私があげたものです 00:11:41.979 --> 00:11:43.680 なぜなのか 分かりませんでした 00:11:43.704 --> 00:11:45.952 引き続き写真を撮っていると 00:11:45.976 --> 00:11:47.727 それがまた起きました 00:11:47.939 --> 00:11:51.150 このコスチュームを着ていると 何も見えないんです 00:11:51.174 --> 00:11:52.661 かろうじて口を通して 00:11:52.685 --> 00:11:54.304 相手の靴が見えるだけです 00:11:54.328 --> 00:11:57.143 相手の言っていることは聞こえ 足だけが見えます 00:11:57.167 --> 00:11:59.437 3度目に金貨を 突き返されたとき 00:11:59.461 --> 00:12:01.579 いったい何なのか 知りたいと思いました 00:12:01.612 --> 00:12:04.671 それでよく見えるよう 頭を上向けると 00:12:04.695 --> 00:12:08.779 誰かが歩き去りながら こんな身振りをするのが見えました 00:12:10.271 --> 00:12:12.103 それで思い当たりました 00:12:12.600 --> 00:12:16.233 カオナシから金を受け取ると 不幸になるんです 00:12:16.257 --> 00:12:18.093 『千と千尋』の映画の中で 00:12:18.093 --> 00:12:22.240 カオナシから金を受け取った人には みんな不幸が訪れます NOTE Paragraph 00:12:22.351 --> 00:12:28.899 これは演ずる者と観客という関係ではなく 「コスプレ」なんです 00:12:29.855 --> 00:12:32.068 その場にいるみんなが 00:12:32.092 --> 00:12:35.723 私たちにとって大切な物語の中に 身を置いていて 00:12:35.723 --> 00:12:37.918 みんなそれを 自分のものにしています 00:12:37.918 --> 00:12:42.192 私たちの中にある大切なもので みんな繋がっているんです 00:12:42.333 --> 00:12:44.086 そしてコスチュームは 00:12:44.086 --> 00:12:47.659 私たちが相手に 自分を見せる方法なんです NOTE Paragraph 00:12:47.854 --> 00:12:49.140 どうもありがとう NOTE Paragraph 00:12:49.164 --> 00:12:54.594 (拍手)