話を始める前に言わせて下さい TEDxYouth@Hewittに大感謝です ここにいるのは信じられない程 名誉なことです この中で僕がトゥレット症候群なのを 知っている人はいますか? OK いませんね OK そう 僕はトゥレット症候群です 約20年間トゥレットを抱えています しかし最近になって すごいことが起きました 約5か月前 僕は トゥレットの症状を制御する術を 会得したのです ですから舞台上ではチックを出さないで 僕はこれから皆さんを過去20年間の 僕の人生にお連れします これから短い動画を見てみましょう 『何がチックを起こすのか?』 (トゥレットのチック) (不随意的な顎の動き) 僕のトゥレットをお見せしましょう OK? 「ファック」「ファック」! 「ホモ」「ホモ」! 「ニガー」「ニガー」! 「ニガー」「ニガー」! ボストン公立図書館 どうしましたか? いえ 僕はトゥレット症候群です 分かりました しかし これは― 周りの人たちを怖がらせているので― 抑えられませんか? できません これがトゥレット症候群です 聞いたことありますか? 私はありますが… これは医学的な障害で 不随意的に耳障りな音を発します 僕は迷惑をかけようとはしていません (歯をガチガチ言わせる) チックを止めます 僕は世界最強の顎を持っています 本当に 僕は友達と去年 見積もってみました 考えるに 僕は人生でこれまで 2000万から3000万回チックをしています これはかなりの回数です ご想像通り これだけのチックを 出す中で さまざまなことを僕は学びました その一つは寛容さです そして過去3年間 「何がチックを起こすのか?」 のプレゼンを 全米中を渡り歩いて行うという 信じられない名誉と機会を得ました 僕は より寛容な人間になる方法を 人々に教えようとしているのです そのために自分のエピソードを話したり 自分の困難をオープンにしています こうすることによって 聞き手の人々が 自分たちは互いの人生について いかに知らないのかに 気づいてくれるからです 人がこれに気づく時 自分に対してだけでなく 自分と違う人々への 思いやりも生まれます ではトゥレット症候群についての お話を始めましょう トゥレット症候群について 聞いたことのある人? すごい トゥレット症候群について 聞いたことのある人? すごい 全く聞いたことのない人は? 数人ですね 悪くない 大多数は聞いたことがあるようです それはテレビや映画で見たんですか? よければちょっと手を挙げて下さい どなたか? はい 後ろの人 (観客) 「ABCnews特集」 「ABCnews特集」 素敵だ (観客)「デュース・ビガロウ」 「デュース・ビガロウ:激安ジゴロ!?」 古い映画ですね 勿論 他には? はい (観客)「サウス・パーク」 「サウス・パーク」とは 可笑しいですね? あれは爆笑ものだから OK さて...(笑) 僕は友達と見て泣きました すごく可笑しくて YouTubeで「トゥレットの男」を見た人は? 「トゥレットの男」? 彼は僕の従兄なんですよ いやいや うそ (笑) 別に...(笑) 僕たちは全員が親戚という訳じゃない (笑) (笑) 皆さんが多くの場面を 見ているのは嬉しいですが はっきりさせておきたいことがあります ビデオで見たように トゥレットは非常におかしい 狂っています トゥレット症候群が引き起こすのは 体内の感覚としての かゆみのようなものです たった今 皆さん そのかゆさを想像してみて下さい たった今 口の中にこのトゥレット性の かゆみがあります はっきりさせたい 腕がかゆくなるようなものとは 違いますが かゆくなる部位を選べない点では 同じです これは全く不随意的で そして非常に不愉快です 僕がこうする時(歯を鳴らす)や 何かを言ったり 体で何かをした時 それがチックです このかゆみを引っ掻こうと しているのです 意味が分かりますか? かゆみ自体は統制できませんが それを掻くことは自発的にできることです 人は勿論こう尋ねます 「掻かなければいいのでは?」と 答えは それが非常に困難だからです かゆみを想像してみて下さい それを10倍 15倍して下さい それが過去20年の 僕の経験です 僕にはあらゆる種類のチックがあります 瞬き 嗅ぐ 歯を鳴らす 言葉 あなたの想像しうる全てです そして中学生の時 汚言が始まりました 皆さんご存じのように 「トゥレットには汚言がつきものでは?」 事実ですが とても大きな偏見です 面白いことに 大半の人にはありません 10%以下だと思います 不幸にも 僕は何でも少し 違っているのが好きなのか 僕にはあらゆる汚言があります ビデオで見た通り 侮辱的な言葉を言い 「ペニス」などの体の部位を言います 聞いたことあるかな (笑) 僕は代替教員をしていたことがあり ある時 4年生のクラスを担当しました OK 冗談じゃないですよ(笑) 授業中 僕は言葉のチックで 「ペニス」と何度も言ってしまいました ある子が叫びました 「エリオット先生 何を言ってるんです!」(笑) ああ この子に 何と説明しましょうか? 別の子が叫びました 「先生は『ピザ』って言ったんだよ!」 (笑) ピザ いいでしょう しかし僕はさらに 非常に侮辱的なことも言いました 想像しうる最も侮蔑的な言葉を 最愛の人に言うところを想像して下さい 黒人の友達に最大の禁句を 言うところを想像して下さい 僕はそうだったのです 何千回も 僕の兄はゲイです 僕は 想像しうる 最も侮辱的なことを言いました 僕は 想像しうる 最も侮辱的なことを言いました 僕のトゥレット症候群の中でも 最悪の部分です 最悪より遥かにひどいです 二夏前 マクドナルドで ある男性が僕に言いました 「お前 トゥレット症候群なのか?」 僕は言いました 「このとおり」 彼は続けました 「すげえ!」 「そうでもないですけど」と 僕は言いました すると彼は言いました 「侮辱的な言葉を言うのか?」 「はい」 「Fワードとか?」 「はい」 「お前 そんな言い訳あるなんていいな」 (笑) 僕は少しここで考えました 僕はどうやってこの見知らぬ人に トゥレットのことを伝えたらよいのかと 混み合ったマクドナルドの ど真ん中で です そして僕は言いました 「お願いです Nワード(黒人の蔑称)を 今すぐ 極力大声で言って下さい」 彼は何も言わなくなりました 要点をすぐ理解したのでしょう 1回「ペニス」と言うのは 笑い話で済みます しかし 僕が20年してきたように 侮辱的なことを言うのは 全く面白くもありません そして僕が人々に言うとおり 「もし気に障ったらごめんなさい 僕はもっと嫌なんです」 要するにこれがトゥレットです 僕は この話をすることで 人々にトゥレット症候群を 知ってもらいたいのです 皆さん ちょっと立って下さい 一瞬だけ 皆さんに トゥレット症候群になることを許可します これは皆さんが人生で「火事だ!」と 火事でもないのに言える 唯一の機会です チックは身体的でも言語的でも構いません ただ 他人を侮辱することは 言わないようお願いします 今から10秒さしあげます (叫ぶ人々) OK 静かに 静かにして下さい 皆さん お分かりですか いかに滅茶苦茶だったか 僕は冗談で言ったんです いいえ ただの冗談です 冗談 しかし僕がこうしたのは 全員トゥレットだと可笑しいと思った訳ではなく これがすごい社会実験だからです たとえ僕がトゥレットを許可して 他の人がそうしているのを見ても 多くの人はチックをしようとしません 願わくばこれが 実際トゥレット症候群だったら どう感じるのかを 知る機会となりますように 毎日だといかにこれが不快であるか トゥレット実験へのご参加 ありがとうございます 皆さんへ拍手! 皆さんは今の経験からお分かりのとおり 僕は人生に対して 異なる視点を持っています 僕は毎日 人々が自分とは違う人をどう扱い どう反応するのか見ています 20年間 歯を鳴らしたり 侮辱的な言葉 体の動きなど 奇妙な行動で 僕は人を怖がらせてきました そして僕は 他の人と大きく違うということが どういうことかを知る機会を得ました そしてこの異なる視点から 僕が学んだ最も重要なことの一つは 寛容さです はっきり断っておきますが 僕は寛容という最低限のレベルに 話をしぼります 僕は寛容についてだけお話しします 皆さんの中にもいるかもしれませんが これを大問題と思う人もいるでしょう こう思われるかもしれません 「マーク 受容について語るべきでは?」 「その方がもっと重要なのではないか?」 僕も大賛成ですが 20年にわたる人生経験に基づく 僕の意見では この基本的な寛容の水準に 達していない人が たくさんいます ですから寛容について語りたいのです 「寛容」の代わりに 僕は違う言葉を使います 言葉というか句です それは 「僕は僕 人は人」 聞いたことありますか? 僕の考案でないことは断っておきます しかし僕にとっては 寛容とはこれに尽きます お名前を教えてもらえますか? (観客) タミーです 大丈夫 舞台に上がらなくてもいいから 「タミーに寛容だ」という場合 僕が伝えたいのはこういうことです 「僕は自分の人生を生き そして タミーが彼女の人生を生きるのを許す」 僕は僕で生き 他者にもそれを許す 僕は「僕は僕 人は人」について 教科書からではなく 非寛容な状況に 何度も出くわすなかで学びました そしてその後 僕は最も単純な結論にたどり着きました 人々は普通 寛容ではありません 彼/彼女は 他者について 非常に多くの思い込みをもちます 思い込みをもつこと自体は問題ないことに 誰もが同意するでしょう しかしその後 人はこの思い込みに基づき 行動を起こすのです このお話をしましょう ウェンディーズが好きな人? クリスピーチキンサンドには スパイスがいいよ さて ウェンディーズの列に並んでいます 僕の隣に女性がいます 僕は並んでいる最中 犬のように吠えています 彼女は隣で何が起こっているか 分かりません 僕の方は完全に分かっています それで彼女を見て僕は 「僕はマークです トゥレット症候群です お断りしておきたいのですが ご迷惑をかける気はないんです」 彼女はそうは思えないと言いたげでした まあいいでしょう その10秒後 突然 その女性はアナウンスしたのです 僕たちに接するスタッフたちに 彼女は大声で 「皆さん心配しないで 彼は知的障害です」 そして僕は深呼吸し...ヘッドバット! いやいや そんなことしませんでした (笑) (笑) これはトゥレットの症状です いえ冗談 (笑) 僕は彼女に 知的障害ではなく トゥレット症候群だと言いました そして非常にまじめな話 彼女は 僕を 助けたかったのかもしれないし 僕を守りたかったのかも しれませんが ここで大事なのは 彼女は 僕と会ってたった10~15秒で 僕がどんな人間で何をしているのか 多くの思い込みをもったことです それ自体は理解できるものです しかし彼女は 自分の考えは全て正しいと信じて これらの思い込みを実行に移しました 「僕は僕 人は人」ではないのです 僕はこんな状況に数多く遭っています バスを追い出されたことがあります 僕がトゥレット症候群ではないと 言った医者もいました 僕は想像しうる全てのことで 笑われてきました これを話すのは 皆さんに僕のことを 悪く 又は気の毒に 思ってほしいからではなく これが いかに人は他者について 非常に多くの思い込みをもつのか また自分の考えは全く正しいと 信じている人たちがいることを よく表しているからです 僕の意見では 彼らはただ知らないだけなのです しかし僕はその無知を 否定的に思ってはいません 彼らは他者の理解に 欠けているだけです そしてこれが「僕は僕 人は人」の全てです 人は自分の人生を生き そこで自分とは 非常に違う人に出会います 彼らは奇妙で 可笑しく見えるかもしれません 違う肌の色 違う性的志向の人 トゥレット症候群の人 単にイラつく人かもしれません イラつく人に会ったことのある人? OK 僕たちがそのような人に会った時 僕たちはその人について 好きに考えることができます 好きなだけ思い込んだり 判断したりできます なぜなら 僕たちは人間だから 人間はこういうものです 自分と違う人に対し思い込みをもちます しかしそれを 思い込みのままに してはおけないのでしょうか? 思い込みはただの思い込みにすぎないのに なぜそれを行動に移すのでしょう? これは人の人生に 否定的影響を与えかねません どうやっても結局 お互いの生活や経験を 実際にはほぼ知らないままで終わるのに 皆さんがそれを思い出す時 これが 「僕には僕の人生 彼らには彼らの人生 僕は僕 人は人」という言葉を 思い出すきっかけにしてほしいのです 僕はある人に会いました 2年前 マンハッタンに転居した頃です 勿論ここは 「僕は僕 人は人」が蔓延するところです これは23丁目と7番街の 交差するあたりで起きたことです 僕はその道を歩いていました ヘッドホンをしていました そして他人に気づかず 一人でヘッドホンをして 踊っていました 上手にね 僕は台にのって踊っていました そしてたくさんチックが出ました 30秒後 気づくと 2メートル位離れた所に 男性がいました 彼は一度も僕を見ませんでした しかし僕は大声で叫んでいたので 彼に釈明することにしました 彼を見て 僕は言いました 「僕はマーク トゥレット症候群です 迷惑をかける気はありません それをお伝えしておきます」 すると彼は僕の方をゆっくりと向き 「全く心配しなくていいよ」と言って 自分のしていたことに戻りました 僕は彼のやり方が気になって なぜかそこに戻って 彼に質問をしたくなりました そして こんなこと初めてだったのですが 2分後 僕は勇気をふりしぼり その男性の方に行き 言いました 「奇妙なことをうかがいますが あなたの僕に対する考えは 僕がトゥレットと分かる前からですか?」 「なんでそんなこと訊くんだい?」と 彼は言いました 「僕は心底 君は楽しんでいるなあと 思っただけだよ」 (笑) OK 僕は吠え 踊っていました どんなパーティなんだか 僕は言いました 「歯をガチガチ言わせたのはどうでしたか?」 彼は言いました 「ああ あれは変だったね」 (笑) OK 正直でいいでしょう 僕は続けました 「僕がお尋ねしたのは あなたのやり方が すごく格好よかったからです あなたが僕についてどう思おうと どんな思い込みをもとうと どんなふうに判断しようと 僕がトゥレット症候群であると知る前も後も あなたは僕を自由にさせてくれました」 そして僕は彼に自分の考えを伝え 最後に率直に尋ねました 「なぜあなたはこんなふうなんですか?」 彼は言いました 「君の方こそ マーク」 彼はジェイ もうファーストネームで呼ぶ間柄です もうだいぶ会話しましたからね (笑) 彼は言いました 「マーク 僕が16歳の時 ニューヨークの市バスの後部にいたら 前の方に 叫んでいる子どもがいて イライラさせるんだ」 叫んでイラつかせる子ども いますね 彼は言いました 「その子は全く統制不能でね もっと悪いことに 彼は父親の隣に座っているようだった」 それでジェイは バスの後部で考えていました 「ああ どうしてあの子は 黙らないんだ?」 ジェイは言いました 彼の隣に女性が座っていて 彼女はジェイに言いました 「もしあれが私の子どもだったら とっちめてやるわ」 そしてその子がいかにイラつくかを 話していたところへ 別の人が立ち上がって その子と父親の所に行き その人は父親に言いました 「お子さんをどうにかして もらえませんか?」 それはジェイたちがバスの後部で 考えていたことでした そしてジェイは僕に言いました 「その父親はその人に言ったんだ 『この子の母親が死んだばかりなんです 葬式からの帰りなんですよ』」 そしてジェイは言いました 「僕は 他人のことは 全く分からないと悟ったんだ 僕は人が何を考えているのか 何をしているのか知ることはできない 僕はその人の思うように させてあげたいんだ」 言い換えると 「僕は僕 人は人」 ということです 皆さん 今日の朝 起きた時点に戻って下さい そして今日一日 自分が出会うであろう 困難について考えて下さい あなたが対処することになる ある種の困難 苦闘 不安です 言っておきますが 非常に小さいものでも 非常に大きなものでもいいのです 僕のトゥレット症候群のように 目立つ場合もあれば 世界中の誰も あなたが困っているとは 気づかない場合もあります 皆さん何かあるでしょう? そして今僕は いかにその困難が あなたの言動に影響するかを 考えてほしいのです 僕が言いたいのはこれです その困難やそれに対処することがいかに あなたの言動に影響を与えるか それは人々があなたを見る目を変えます 例えば僕は背中ににきびがあります ずっとあるんです 嫌なんだけど そして時々 僕が友達と部屋にいて シャツを着ていない時 彼らの脇を通る場合は 向きを変えて 背中が見えないようにします とても恥ずかしいからです あなたの困難は行動をどう変えますか? この部屋にいるあまり知らない人を ちらっと見て下さい これはまた気まずいですね (笑) 次は この部屋にいる 知人をちらっと見て下さい 知人がいなければ僕を見て下さい 僕のことを もう結構知っているでしょう (笑) なぜ僕がこれをお願いするのかというと あなたはスーパーで見る知らない人や 教室の友達 親友といった人たちについて ちょっと考えてみるために 人生のペースを真剣に 落としてみたことがありますか? 彼らが対処している困難を 考えたことがありますか? それらは彼らの行動に影響を与え あなたが彼らを見る目を変えるものです そして自分の人生を考える時 それはヒューイット校でも 職場でも どこでもいいのですが あなたはこれまでに肥満の人が 実は薬の影響でそうなっているのだと 考えてみたことがありますか? または人に無礼な態度を取られて それがあなたには関係ないことだと 考えたことはありますか? それは昨晩両親が離婚したためや その人が不安や 摂食障害や セクシュアリティに 対処しているためだったり たまたまその人が とても上機嫌なうち一瞬の 不機嫌な瞬間に 出くわしたためかもしれないのです ですから次に 皆さんが思い込みを行動に移して 誰かのゴシップを言ったり 誰かを見下したり 友達をやめたりといった 他者の人生に 否定的影響を及ぼしそうな時 そうする前に いったん立ち止まって これを考えてみて下さい その人の人生に起きていることを 自分は本当に知っているのか? 何がその人にチックを起こさせるか 本当に知っているのか? 答えはNoでしょう 僕はこのような考えが 生まれることを望みます 「僕には僕の生き方がある 彼らには彼らの生き方がある 僕は僕 人は人」 そしてプラトンからの引用で 話を終えましょう これは僕の話の本質をとらえています こんなふうです 「必要以上に優しくあれ 人はそれぞれ戦っているのだ あなたには知り得ないものと」 TEDx@Hewitt ありがとうございます (歓声)(拍手)