1 00:00:00,240 --> 00:00:02,449 前回の Developing で― 2 00:00:02,529 --> 00:00:07,040 僕はゲームエンジンの Unity を選んで その使い方を学び始めた 3 00:00:07,120 --> 00:00:10,780 だが今度は、自分の作品の アイデアを披露して… 4 00:00:11,960 --> 00:00:14,206 その制作に取りかかる時が来た 5 00:00:14,287 --> 00:00:19,231 でも、ゲームを開発するときは どこから手を付けたらいいのだろうか? 6 00:00:19,319 --> 00:00:22,754 これは死ぬほど重要な問題だと思う 7 00:00:22,834 --> 00:00:25,566 というのも これからお見せするように― 8 00:00:25,646 --> 00:00:29,698 開発を始めるときに もし間違った方向へ進んでしまうと 9 00:00:29,788 --> 00:00:33,817 その企画が悲惨なことに なってしまうかもしれないからだ 10 00:00:33,897 --> 00:00:35,171 いまから説明しよう 11 00:00:35,944 --> 00:00:39,775 「Developing - 開発過程」 12 00:00:44,800 --> 00:00:48,526 Okay このゲームのアイデアの話から始めよう 13 00:00:48,606 --> 00:00:51,861 僕が作ろうとしているのは… 覚悟して聞いてくれ 14 00:00:51,941 --> 00:00:55,568 クレイジーな 2D 横スクロール ジャンプアクションゲームだ 15 00:00:55,648 --> 00:01:00,141 そうだ 独立系開発者はみんな 横スクアクションを作るところから出発してる 16 00:01:00,221 --> 00:01:04,353 だが僕にも相応の理由がある 僕はこのジャンルが大好きだし 17 00:01:04,433 --> 00:01:08,557 ジャンプアクションは、総合的に見れば 比較的作りやすい 18 00:01:08,637 --> 00:01:10,571 少なくとも MMO とは違うわけだ 19 00:01:10,651 --> 00:01:15,879 僕はこの形式のステージ構造や キャラ設計の動画をたくさん作ってきたし 20 00:01:15,957 --> 00:01:17,590 それが役に立つはずだ 21 00:01:17,670 --> 00:01:21,317 さて、これもまた… もう一度覚悟して聞いてくれ 22 00:01:21,387 --> 00:01:24,240 独特なひねりを加えた ゲームにするつもりだ 23 00:01:24,320 --> 00:01:29,045 僕の作品のアイデアは 磁力をもった主人公だ 24 00:01:29,125 --> 00:01:35,197 つまり、ある足場から反発したり 別の足場に引っ張られたりする 25 00:01:35,275 --> 00:01:38,600 プレイヤーはボタンを押すだけで 極性を変えられる 26 00:01:38,680 --> 00:01:41,006 実はこのアイデアは ここから思いついた 27 00:01:41,086 --> 00:01:43,200 『ゼルダの伝説:ふしぎの木の実 大地の章』だ 28 00:01:43,280 --> 00:01:46,020 このゲームには「マグネグローブ」という アイテムがある 29 00:01:46,090 --> 00:01:50,602 リンクがある場所から反発したり そこへ向かったりできるようになる 30 00:01:50,682 --> 00:01:56,087 デカイ鉄球を拾ってパズルを解いたり 戦闘に使ったりもできる 31 00:01:56,177 --> 00:02:00,770 クールな仕掛けだが 多少の制約があるように感じる 32 00:02:00,847 --> 00:02:03,842 このジャンルや 俯瞰のカメラ視点によるものや― 33 00:02:03,913 --> 00:02:06,980 もちろん、ゲームボーイの 技術的な限界もある 34 00:02:07,060 --> 00:02:09,286 そこで僕は考えた… 35 00:02:09,362 --> 00:02:14,435 このアイデアを借りて、別のジャンルに 当てはめてみたらどうだろうか? 36 00:02:14,515 --> 00:02:17,727 テンポの速い 2D ジャンプアクションに 付け足すわけだ 37 00:02:17,797 --> 00:02:19,808 『Celeste』や『Super Meat Boy』みたいなゲームだ 38 00:02:19,880 --> 00:02:26,006 磁力の動きを会得して、高速に、淀みなく 正確に操作するゲームだ 39 00:02:26,080 --> 00:02:29,230 これが僕の構想だ そして今の問題は― 40 00:02:29,300 --> 00:02:31,415 どこから始めたらいいのか? ってことだ 41 00:02:31,495 --> 00:02:34,514 すぐに Unity でコードを 書き始めればいいのか? 42 00:02:34,594 --> 00:02:37,840 急いで Photoshop で 何か絵を描けばいいのか? 43 00:02:37,930 --> 00:02:41,369 物語の展開やキャラとかを 考えたほうがいいのか? 44 00:02:41,449 --> 00:02:43,520 どこから始めれば良いんだ? 45 00:02:43,600 --> 00:02:48,486 ぶっちゃけた話をすると これは僕が初めて作ろうとしたゲームではない 46 00:02:48,576 --> 00:02:52,169 僕は子供の頃からゲームのアイデアを 何個も考えていて 47 00:02:52,254 --> 00:02:57,526 人生のいろんな場面で、色々なツールで そういったゲームを作ろうとしてきた 48 00:02:57,606 --> 00:03:02,238 だが、これらのゲームが完成したことは ほとんど無かった 49 00:03:02,313 --> 00:03:06,419 そして、その原因は 毎回同じだと思う 50 00:03:06,499 --> 00:03:09,537 間違ったやり方で始めていたからだ 51 00:03:09,614 --> 00:03:10,715 ご覧いただこう 52 00:03:10,795 --> 00:03:15,181 このフォルダは僕の実家から 持ってきたやつで 53 00:03:15,261 --> 00:03:21,099 僕が作ろうとしていたゲームの メモや下絵や構想がいっぱい入ってる 54 00:03:21,179 --> 00:03:24,010 Game Maker’s Toolkit を始める 数年前のことだ 55 00:03:24,090 --> 00:03:27,822 こいつは『Starcraft Ghost』の マウスパッドだ 56 00:03:27,892 --> 00:03:32,720 これ開発中止になったやつだろ? eBay に出品する価値があるかもな 57 00:03:32,800 --> 00:03:36,804 それでこれは『カーターの呪い』という 題名になる予定だった 58 00:03:36,874 --> 00:03:41,797 ツタンカーメンの墓を発見した有名な考古学者 ハワード・カーターのゲームだ 59 00:03:41,877 --> 00:03:46,265 少なくともゲームの中では 古代エジプトの呪いを目覚めさせてしまって 60 00:03:46,345 --> 00:03:50,984 ゾンビやミイラ、古代エジプトの神々と 戦う羽目になる 61 00:03:51,059 --> 00:03:56,045 何時間もかけてこういう絵とかを 描いていたのを覚えてる 62 00:03:56,135 --> 00:03:58,400 つまり…オタク野郎だな! 63 00:03:58,480 --> 00:04:01,430 ともかく じゃあどうやって敵と戦うのか? 64 00:04:01,510 --> 00:04:04,400 答えは…ピクロスをやることだ 65 00:04:04,480 --> 00:04:08,819 ピクロスとは、論理とマス目を使った パズルのことで…数独にちょっと似てる 66 00:04:08,899 --> 00:04:11,077 任天堂はたくさんの ピクロスゲームを作ってる 67 00:04:11,157 --> 00:04:14,573 僕は『Bookworm Adventures』みたいなゲームに かなり影響を受けた 68 00:04:14,653 --> 00:04:17,387 下の画面にパズルがあって― 69 00:04:17,467 --> 00:04:22,591 それを解くと、上画面の小さな戦闘シーンで 敵にダメージが入る 70 00:04:22,681 --> 00:04:26,308 僕のアイデアも同じで 下画面でピクロスをやって 71 00:04:26,388 --> 00:04:29,910 ハワード・カーターが上画面で 怪物と戦うという内容だ 72 00:04:30,000 --> 00:04:35,960 それで僕はすぐに開発に取り掛かった Codea という iPad アプリを使った 73 00:04:36,040 --> 00:04:38,844 iPad 用に iOS ゲームを作れるアプリだ 74 00:04:38,914 --> 00:04:43,920 僕は以前、これで iOS 用のごく普通の ピクロスアプリを作ったことがあって 75 00:04:44,010 --> 00:04:48,510 コードは自分で書けるだろうと思ったが グラフィックは最高のやつにしたかったから 76 00:04:48,590 --> 00:04:52,999 すぐに Photoshop を起動して 素材や動きをたくさん作った 77 00:04:53,079 --> 00:04:58,384 Dropbox のフォルダにはドット絵の素材や アニメーションがたくさん保存されている 78 00:04:58,464 --> 00:05:00,441 色んなキャラを大量に作ったし 79 00:05:00,511 --> 00:05:02,699 ハワード・カーターの 必殺技も作ったし 80 00:05:02,779 --> 00:05:04,824 冒頭のカットシーンも作ったし 81 00:05:04,894 --> 00:05:08,201 メニュー用の大きな ワクワクするボタンも作った 82 00:05:08,271 --> 00:05:10,530 僕は本当に、夢中で作った 83 00:05:10,610 --> 00:05:13,311 だが僕は、あることに気付いた 84 00:05:13,391 --> 00:05:15,706 かなり重要なことだ 85 00:05:15,780 --> 00:05:20,998 かなり…致命的なことだ この企画にとっては 86 00:05:21,088 --> 00:05:26,000 ゲームは全然ダメだった! とてもお粗末で、全然面白くなかった 87 00:05:26,080 --> 00:05:29,370 コードを書けば書くほど 開発すればするほど 88 00:05:29,450 --> 00:05:31,926 何が問題なのかが分かってきた 89 00:05:32,006 --> 00:05:36,887 ピクロスは、この種のゲームとしては 深みが欠如してる 90 00:05:36,967 --> 00:05:44,563 戦法も戦略も無いし、戦う敵に応じて 行動を変えることもできない 91 00:05:44,653 --> 00:05:47,881 突き詰めると、この戦闘には 実体が無かった 92 00:05:47,961 --> 00:05:52,275 上画面を丸ごと無視しても ゲームはそのまま成立する 93 00:05:52,365 --> 00:05:54,791 だってピクロスを 解いてるだけだから 94 00:05:54,881 --> 00:06:01,328 つまり敵の種類に応じてもっと難しくしたり もっと面白くしたりすることはできないし 95 00:06:01,408 --> 00:06:05,040 プレイヤーは同じことを何度も何度も 繰り返すだけってことだ 96 00:06:05,120 --> 00:06:09,660 僕が作ったのは、浅くて作業的で 退屈なゲームだった 97 00:06:09,750 --> 00:06:14,113 修正することもできたかもしれないが 僕はその時点でボロボロで 98 00:06:14,193 --> 00:06:18,767 すっかり落ち込んでいたから そこで全てを破棄してしまった 99 00:06:18,860 --> 00:06:21,341 で、僕は何を間違えたのか? 100 00:06:21,421 --> 00:06:26,490 これは何年も経った後に分かったことだが… もう 10 年近くになるが… 101 00:06:26,570 --> 00:06:29,222 失敗した理由は明白で つまりこうだ 102 00:06:29,302 --> 00:06:33,646 ゲームを作るときは 制作しなきゃいけないものが色々ある 103 00:06:33,726 --> 00:06:39,964 主なものと言えば、音楽、アート ゲーム設計、物語、そしてコードだ 104 00:06:40,044 --> 00:06:44,968 これらの要素が平等だと考えるのは簡単だが 実際はそうじゃない 105 00:06:45,058 --> 00:06:53,190 多くの場合「ゲーム設計」は対等ではなく 他の全ての要素が乗っかる基盤になる 106 00:06:53,280 --> 00:06:57,920 だから設計を間違えると 全体が崩壊してしまう 107 00:06:58,010 --> 00:07:01,371 つまりバグやグラフィックの 修正はできたとしても― 108 00:07:01,450 --> 00:07:07,837 「遊びの構造」に根本的な欠陥があると 企画そのものが救出不可能になることがある 109 00:07:07,927 --> 00:07:09,865 僕の失敗は ほぼこれだった 110 00:07:09,955 --> 00:07:13,247 絵とアニメーションに 時間をたくさん費やしてしまい 111 00:07:13,334 --> 00:07:18,537 ようやく「遊び方」の部分に手を着けたときに 何もかもが欠陥だらけだと気付いた 112 00:07:18,627 --> 00:07:22,366 要するに僕はグラグラする地盤に 家を建てたくせに 113 00:07:22,447 --> 00:07:26,520 トイレが床から抜け落ちて ビックリ仰天してるわけだ 114 00:07:26,610 --> 00:07:30,080 恥ずかしいことに、僕はこの手の失敗を 何度もやらかしている 115 00:07:30,170 --> 00:07:35,760 僕はポイントクリック型の犯罪捜査ゲームに 独自の手がかり自動生成システムを載せようとしたが 116 00:07:35,840 --> 00:07:39,430 あまりに多くの時間を、物語や 時代考証に費やしてしまって 117 00:07:39,520 --> 00:07:42,251 そのシステムを実際に 設計する余裕がなかった 118 00:07:42,341 --> 00:07:47,289 また携帯ゲーム『Snake』を、現代的な ハイテンポなゲームにしたかったのだが 119 00:07:47,379 --> 00:07:52,070 バグ修正と動きのコードを 完璧にすることにハマってしまい 120 00:07:52,166 --> 00:07:56,862 このゲームが面白いのかどうか分からないまま 飽きて燃え尽きてしまった 121 00:07:57,200 --> 00:08:00,713 つまり、僕は自作ゲームを 設計しようとするたびに 122 00:08:00,803 --> 00:08:06,546 物語やグラフィックとかの他の要素を ゲーム性よりも優先させてきた 123 00:08:06,624 --> 00:08:07,730 なんでだ? 124 00:08:07,810 --> 00:08:13,194 結局のところ、非常に間違った 2つの誤解をしてたのが原因だと思う 125 00:08:13,284 --> 00:08:18,392 [誤解 1] は、僕のゲームは頭の中では いつもクールなものに感じられたから 126 00:08:18,474 --> 00:08:22,220 これを作ったら面白いだろうと 思い込んでしまったことだ 127 00:08:22,310 --> 00:08:24,380 明らかに これは間違いだった 128 00:08:24,459 --> 00:08:31,854 [誤解 2] は、そのゲームが面白いかどうかは 完成するまで分からないという思い込みだ 129 00:08:31,944 --> 00:08:38,281 制作をひたすら続けていけば、ある時 それが良いものかどうかに気付く…だろ? 130 00:08:38,371 --> 00:08:40,450 いや、これも間違いだった 131 00:08:40,540 --> 00:08:43,644 こう言うと 非常に格好悪いのだが 132 00:08:43,724 --> 00:08:48,289 今となっては答えは明白でも 当時の自分はよく分かっていなかった 133 00:08:48,379 --> 00:08:50,449 Game Maker’s Toolkit を やるようになって 134 00:08:50,539 --> 00:08:52,560 ゲーム開発の調査を するようになって 135 00:08:52,650 --> 00:08:55,905 数十人ものゲーム開発者に 取材してきたからこそ― 136 00:08:55,985 --> 00:09:00,080 大人気ゲームがどう始まるのか 分かるようになった 137 00:09:00,170 --> 00:09:03,826 ゲーム開発者はいつも たくさんのアイデアを持っている 138 00:09:03,916 --> 00:09:07,210 頭の中では 驚くほど楽しそうに見える 139 00:09:07,290 --> 00:09:12,563 だが最良の開発者は、自分の脳みそが くせぇ嘘つき野郎であると分かってる 140 00:09:12,645 --> 00:09:18,950 ゲームのアイデアが良いかどうかを知る唯一の方法は それを作って試すことだ 141 00:09:19,040 --> 00:09:24,258 だがゲーム全体を作るのではなく 開発者が作るのは… 142 00:09:24,351 --> 00:09:25,895 「試作品」だけでいい 143 00:09:25,975 --> 00:09:30,306 試作品とは、アイデアを具現化した 小さい断片的な実験台で 144 00:09:30,396 --> 00:09:34,361 そのアイデアが楽しいかどうかを ただ確認するために作られる 145 00:09:34,451 --> 00:09:37,680 こうした試作品は、通常 信じられないほど不格好で 146 00:09:37,760 --> 00:09:43,147 未完成のアートや、簡単な図形や 他からパクったドット絵とかで出来ている 147 00:09:43,227 --> 00:09:46,003 バグだらけで壊れてることが ほとんどで― 148 00:09:46,081 --> 00:09:51,070 思いついたシステムを試すために必要な 最低限の機能だけで出来ている 149 00:09:51,157 --> 00:09:55,559 アイデアが機能するかどうかを 確認することだけが目的で 150 00:09:55,632 --> 00:10:00,731 できるだけ短時間で作られた 機能的に十分なバージョンのゲームだ 151 00:10:00,801 --> 00:10:03,069 それは楽しいのか? 興味深いのか? 152 00:10:03,148 --> 00:10:05,083 追求する価値があるのか? 153 00:10:05,153 --> 00:10:09,805 ゲームの残りの部分を構築できる 強固な基盤になっているのか? 154 00:10:09,895 --> 00:10:13,570 これが僕のやることだ 今度はちゃんとやるぞ 155 00:10:13,660 --> 00:10:19,334 僕は試作品を作ることだけに専念して 徹底的に自制心を持って 156 00:10:19,424 --> 00:10:23,627 ゲームのアイデアを試すこと以外は 何もしないつもりだ 157 00:10:23,717 --> 00:10:27,086 絵に関しては、ググった画像で やりくりする 158 00:10:27,176 --> 00:10:33,814 音楽も物語も用意しないし ゲームの題名や主人公の名前も考えない 159 00:10:33,914 --> 00:10:38,090 まだ作ってもないゲームの アプリアイコンを考えることもしないぞ 160 00:10:38,180 --> 00:10:39,703 マーク、お前アホだな 161 00:10:39,783 --> 00:10:44,657 まだ Unity を勉強中だから、コードは 間違いなくバグまみれで壊れてるだろう 162 00:10:44,747 --> 00:10:48,707 だがアイデアがイケるかどうかは 十分確認できるはずだ 163 00:10:48,797 --> 00:10:53,002 ゲームのシステムを試して、何が楽しいのかを 調べるただの遊び場ってわけだ 164 00:10:53,092 --> 00:10:56,310 それじゃあ、早速 Unity を起動しよう 165 00:10:56,400 --> 00:11:01,318 まず必要だったのは、左右移動と ジャンプができるキャラクターだ 166 00:11:01,408 --> 00:11:05,639 そこで右キーを押した時に リジッドボディ(剛体)に力が加わるようにした 167 00:11:05,729 --> 00:11:09,137 ここで既に不具合があって 幸先の良いスタートではなかったが 168 00:11:09,224 --> 00:11:10,890 最終的には上手く出来た 169 00:11:10,970 --> 00:11:17,200 次にこのシーンに磁石を置いて キャラが磁石へ引っ張られるようにする必要があった 170 00:11:17,300 --> 00:11:21,231 これを実現させるには、自分が 熟練プログラマーになる必要があったから 171 00:11:21,331 --> 00:11:24,874 僕は銀河脳コーディング能力を 発動する羽目になった 172 00:11:24,964 --> 00:11:28,556 それで指の柔軟をしてから 次のような文字列を入力した 173 00:11:28,646 --> 00:11:31,844 「リジッドボディを他の物体の方へ動かす方法」 174 00:11:31,934 --> 00:11:35,906 Okay これをググって、コードを見つけて 僕のゲームに貼り付けた 175 00:11:35,996 --> 00:11:38,557 だがしっかりと その仕組みを理解しておいた 176 00:11:38,647 --> 00:11:45,162 要は、キャラと磁石の間の方向を検出して リジッドボディに加える力をその方向にするわけだ 177 00:11:45,242 --> 00:11:49,967 また磁石に近付くにつれて速度が上がるように コードを微調整した 178 00:11:50,320 --> 00:11:54,046 次に、ボタンを押して 磁力を消せるようにした 179 00:11:54,136 --> 00:11:59,168 これで思惑通り、キャラの移動速度が維持されて 空中へ飛ばせるようになった 180 00:11:59,258 --> 00:12:03,635 つまり、ここに足場を置いとけば キャラを磁石で引き寄せてから 181 00:12:03,715 --> 00:12:06,544 磁力を消して ここへ飛び乗ることができる 182 00:12:06,634 --> 00:12:11,245 かなり良い感じだが 制御するのはちょっと難しい 183 00:12:11,335 --> 00:12:15,270 このコードは完璧じゃないから すぐに手に負えなくなる 184 00:12:15,360 --> 00:12:20,624 だが調べてるうちに、偶然にも Unity で本当に便利なやつを発見した 185 00:12:20,714 --> 00:12:24,348 これはポイントエフェクタと呼ばれる 組み込みコンポーネントで 186 00:12:24,428 --> 00:12:26,710 簡単に言えば 磁場を作ってくれる 187 00:12:26,790 --> 00:12:30,874 なんでこれを見落としたのか分からないが こいつのアイコンはただの磁石だ 188 00:12:30,954 --> 00:12:32,043 その仕組みはこうだ 189 00:12:32,123 --> 00:12:35,614 GameObject にコライダー(当たり判定)と ポイントエフェクタを付けて― 190 00:12:35,694 --> 00:12:37,590 引き寄せる強さを設定する 191 00:12:37,670 --> 00:12:42,925 リジッドボディがコライダーの中に入ると 磁場の中心に引き寄せられるようになる 192 00:12:43,005 --> 00:12:48,630 Unity のレイヤーマスクを使って 特定の物体だけを引き寄せることもできる 193 00:12:48,720 --> 00:12:54,247 これで間違いなくゲームが作りやすくなったから 試作品を作り直すことにした 194 00:12:54,337 --> 00:12:56,669 なるほど、ゲームが しっかりした感じになった 195 00:12:56,750 --> 00:12:59,693 これなら微調整しやすいし クールなこともできる 196 00:12:59,781 --> 00:13:03,917 例えば、くっつく箇所を磁石の両極に置くと こんなことが起きる 197 00:13:03,999 --> 00:13:05,103 かなり良い感じだ 198 00:13:05,183 --> 00:13:09,680 だが 2つ目の試作品を作ったとき… どうしてか分からないが 199 00:13:09,760 --> 00:13:15,724 今度はマリオを使わずに 主人公を磁石の絵に替えることにした 200 00:13:15,814 --> 00:13:19,380 すると、あるアイデアが浮かんできた 201 00:13:19,462 --> 00:13:23,030 キャラを磁石にするのではなく― 202 00:13:23,120 --> 00:13:29,760 ゲームの世界に磁石が置いてあって キャラが歩いて行って磁石を拾うのはどうだ? 203 00:13:29,850 --> 00:13:33,572 これを実現するために Unity のジョイント機能を使った 204 00:13:33,655 --> 00:13:35,130 こいつは別の 組み込みコンポーネントだ 205 00:13:35,214 --> 00:13:39,120 これで 2つのリジッドボディを 色んな種類のジョイントで繋げられる 206 00:13:39,205 --> 00:13:40,978 蝶板やバネみたいにできる 207 00:13:41,058 --> 00:13:44,253 これでキャラは基本的には 磁石を持つようになって 208 00:13:44,333 --> 00:13:48,595 磁石が金属片に引き寄せられると キャラも一緒に移動する 209 00:13:48,675 --> 00:13:51,636 磁石を手放すと また歩き回れるようになる 210 00:13:51,716 --> 00:13:55,290 僕が以前やりたかった遊び方は 磁石の軌道を利用して― 211 00:13:55,380 --> 00:13:57,903 キャラを高い足場へ 飛ばすというやつだが 212 00:13:57,993 --> 00:14:01,680 これなら空中で磁石を 手放すだけで実現できる 213 00:14:01,770 --> 00:14:06,370 さらに、2つ以上の磁石を使ったり 色んなことが可能になる 214 00:14:06,460 --> 00:14:09,437 例えば、磁石をここに置いてから 215 00:14:09,527 --> 00:14:12,623 敵が追ってくるようにして 磁力を消すと… 216 00:14:12,713 --> 00:14:13,545 ペシャ! 217 00:14:13,642 --> 00:14:16,212 おぉ~ これやってみたら ちょっとクールだな 218 00:14:16,292 --> 00:14:18,479 これはイケるかもしれない 219 00:14:18,569 --> 00:14:23,140 突然このゲームが当初のアイデアよりも ずっと面白いものになった 220 00:14:23,210 --> 00:14:26,378 正直、最初のアイデアに 少し不安になってきていたのでね 221 00:14:26,458 --> 00:14:29,984 キャラ自体が磁石になって 引っ張られたり反発したりすると― 222 00:14:30,071 --> 00:14:32,973 制御不能になったと 感じやすくなる 223 00:14:33,047 --> 00:14:38,423 だが磁石を独立させたことで キャラを完全に操作できる時間と― 224 00:14:38,509 --> 00:14:41,290 磁石を掴んで 制御不能になる時間ができる 225 00:14:41,370 --> 00:14:46,889 それと磁石キャラの場合、僕がそこで どれだけアイデアを思いつけるか少し心配だった 226 00:14:46,969 --> 00:14:52,310 だが磁石とキャラの 2つに分けた途端 どんどんアイデアが湧いてきた 227 00:14:52,390 --> 00:14:57,900 それに、僕は 2 種類の遊びが 行ったり来たりするゲームが好きだ 228 00:14:57,970 --> 00:15:02,660 例えば『マリオオデッセイ』は 帽子が無いときにゲーム性が変わる 229 00:15:02,750 --> 00:15:07,633 つまり磁石を持ってないとき、キャラは 軽快に動いてジャンプ力も高いが 230 00:15:07,713 --> 00:15:10,785 磁石を持ってるときは 重く、遅くなる 231 00:15:10,865 --> 00:15:15,060 だが当然、磁石のおかげで あらゆる凄い発展性が考えられる 232 00:15:15,140 --> 00:15:20,720 ところで、試作する過程でもっと良いアイデアが 出てきたことは驚きでも何でもない 233 00:15:20,800 --> 00:15:24,401 GMTK の動画「ゲームが自らを設計する」で 紹介したように― 234 00:15:24,471 --> 00:15:28,750 試作中に新たなアイデアが浮かぶことは よくあることだ 235 00:15:28,820 --> 00:15:31,194 『Crypt of the Necrodancer』を 見てみよう 236 00:15:31,264 --> 00:15:38,273 元々の設計では、ターンの制限時間が 厳しいだけのローグライクになるはずだった 237 00:15:38,343 --> 00:15:42,310 だが開発者が作ってみると キャラを時間制限ではなく― 238 00:15:42,390 --> 00:15:47,010 曲のビートに合わせて動かすようにすれば もっと面白くなることに気付いた 239 00:15:47,094 --> 00:15:51,742 つまり試作品は、アイデアの有効性を 検証するためだけじゃなく 240 00:15:51,812 --> 00:15:55,920 もっと良い新たなアイデアを 生み出すためのものでもある 241 00:15:55,990 --> 00:16:00,311 さて、この段階で Unity で もう 1つ面白い発見をした 242 00:16:00,381 --> 00:16:02,842 「Sprite Shape」と 呼ばれるやつだ 243 00:16:02,912 --> 00:16:08,107 一般的には『Ori』にあるような クールで有機的な地形の作成に使われる 244 00:16:08,187 --> 00:16:11,256 だが僕は単色の地形を 置くだけで十分だったから 245 00:16:11,336 --> 00:16:14,631 これで地形構造を本当に速く 作れるようになった 246 00:16:14,711 --> 00:16:17,382 Photoshop みたいにハンドル線を ドラッグするだけで― 247 00:16:17,462 --> 00:16:20,052 簡単に試作品のエリアを 作ることができた 248 00:16:20,142 --> 00:16:25,742 それで再び試作を始めたのだが、今度は もう少し制御しやすいキャラにしたかった 249 00:16:25,829 --> 00:16:28,384 実際のゲームキャラに 近いものにしようと思ったわけだ 250 00:16:28,468 --> 00:16:32,785 さて、挙動やジャンプのコーディングに どっぷりハマるのは避けたいので 251 00:16:32,865 --> 00:16:36,322 キャラ制御のスクリプトを ネットからダウンロードした 252 00:16:36,400 --> 00:16:42,456 これは本当によく出来ているから、将来的には 微調整や作り直しとかに専念できる 253 00:16:42,526 --> 00:16:45,604 でも今は、そういうことに 時間をかけたくないのでね 254 00:16:45,674 --> 00:16:49,137 またこの試作品で 僕は追加仕様の検討を始めた 255 00:16:49,217 --> 00:16:55,327 磁石を投げた後で、ソーのハンマーみたいに 呼び戻すことができるようにした 256 00:16:55,407 --> 00:16:59,630 磁石のリジッドボディ(剛体)が キャラのリジッドボディにぶつかるので― 257 00:16:59,710 --> 00:17:02,901 磁石を掴んだとき、こういう ちょっとした手応えがある 258 00:17:02,971 --> 00:17:04,956 無料ゲームっぽい感触だ すごい 259 00:17:05,026 --> 00:17:09,161 それから磁石を活用させる 色々な状況を考えた 260 00:17:09,241 --> 00:17:12,220 例えば、壁に投げて足場にするとか 261 00:17:12,300 --> 00:17:16,815 ピストンにくっつけた後 タイミングよく離して飛ばすとか 262 00:17:16,895 --> 00:17:20,661 2つのベルトコンベアの間で 移動するように極性を切り替えるとか 263 00:17:20,745 --> 00:17:24,558 他にも、この足場を重みで下げて その上に立った後で 264 00:17:24,638 --> 00:17:27,906 磁石の極性を変えて 空中へ大ジャンプするのはどうだ? 265 00:17:27,986 --> 00:17:30,617 ワォ、こいつはかなり クールじゃないか? 266 00:17:30,697 --> 00:17:32,867 これはまるで… 267 00:17:32,957 --> 00:17:34,127 ビデオゲームみたいだ 268 00:17:34,217 --> 00:17:35,218 かなり楽しいぞ! 269 00:17:35,298 --> 00:17:40,468 そしてこの時、このゲームのアイデアには 確かに可能性があると感じた 270 00:17:40,543 --> 00:17:42,141 このゲームは独創的だ 271 00:17:42,226 --> 00:17:46,160 僕はたくさんの磁石ゲームを見てきたが こんなゲームは世間に無い 272 00:17:46,240 --> 00:17:50,513 こいつはジャンプアクションと パズルの両方の遊びができる 273 00:17:50,593 --> 00:17:56,373 このゲームのアイデアは簡単に湧いてくるから 色々なステージを大量に作れそうだ 274 00:17:56,453 --> 00:17:59,294 何よりも最高なのは 遊ぶのが本当に楽しいってことだ 275 00:17:59,374 --> 00:18:02,454 Unity でこのシーンに飛び込んで コントローラを手にするだけで― 276 00:18:02,534 --> 00:18:04,478 かなり楽しめる 277 00:18:04,558 --> 00:18:06,797 これは間違いなく とても良い兆候だと思う 278 00:18:06,867 --> 00:18:10,197 だからこれが 試作品の力というわけだ 279 00:18:10,277 --> 00:18:14,901 試作を活用して、ゲームのアイデアが 良いかどうか試すことができる 280 00:18:14,981 --> 00:18:20,720 そして運が良ければ、試作の段階で 新たなアイデアが生まれるかもしれない 281 00:18:20,790 --> 00:18:24,876 ここでは、ある程度の 自制心が必要になると思う 282 00:18:24,945 --> 00:18:26,946 自分を律して こう言う必要がある 283 00:18:27,026 --> 00:18:31,171 「今は余計なことには見向きもせず 遊びの構造だけに集中するつもりだ」 284 00:18:31,251 --> 00:18:35,357 これは難しいぞ 僕はこの 1 週間の様子を みんなに見せなかったが― 285 00:18:35,445 --> 00:18:37,546 僕はパーティクル(粒子)エフェクトや… 286 00:18:37,626 --> 00:18:41,023 シェーダーや UI とかを 調べるとかして過ごしていた 287 00:18:41,120 --> 00:18:43,635 僕は昔の行動に すぐに戻っていた 288 00:18:43,726 --> 00:18:48,227 どうでもいいことに気を取られ それに夢中になってしまった 289 00:18:48,307 --> 00:18:54,431 だが運良く、自制心を取り戻し その試作品を破棄して、大事な作業に戻った 290 00:18:54,521 --> 00:18:57,032 最終的には なんとか上手くいったと思う 291 00:18:57,112 --> 00:19:01,734 最終的に出来たものは かなり楽しくて、可能性を秘めていて 292 00:19:01,814 --> 00:19:04,523 取り組むことに ワクワクできるゲームだ 293 00:19:04,603 --> 00:19:07,658 僕がもっと若い頃に 作ろうとした以前のゲームは 294 00:19:07,728 --> 00:19:11,785 「楽しいゲームになるだろう」という 盲目的な希望によって作られていたが 295 00:19:11,865 --> 00:19:15,457 そんなやり方でゲームを作っても 自信を失うだけだった 296 00:19:15,537 --> 00:19:19,463 でも今は、強固な土台の上に 作っている感じがする 297 00:19:19,533 --> 00:19:23,753 他の全要素 つまり物語、音楽、絵などが― 298 00:19:23,833 --> 00:19:29,130 土台がしっかりしているという 確信のもとで制作できる 299 00:19:29,210 --> 00:19:34,157 そういうわけで、これが ゲーム制作の始め方だと思う 300 00:19:34,247 --> 00:19:36,372 「試作品を作ること」だ 301 00:19:36,452 --> 00:19:38,242 問題なのは… 302 00:19:38,322 --> 00:19:40,830 「次は一体何をすりゃいいんだ?」 ってことだ 303 00:19:40,919 --> 00:19:44,862 これは次回の「Developing」で 分かると思う 304 00:19:44,952 --> 00:19:46,656 ご視聴ありがとう 305 00:19:46,736 --> 00:19:50,038 この旅の次回の動画も 視聴してくれることを願ってるよ 306 00:19:50,138 --> 00:19:51,840 さようなら 307 00:19:54,867 --> 00:19:56,523 (字幕翻訳:Nekofloor) 308 00:20:14,226 --> 00:20:16,316 実はこのアイデアは ここから思いついた 309 00:20:16,396 --> 00:20:18,320 『ゼルダの伝説:ふしぎの木の実 大地の章』 310 00:20:19,600 --> 00:20:20,906 …チクショウ 311 00:20:20,986 --> 00:20:22,240 ここから…おっと! 312 00:20:25,120 --> 00:20:26,493 から思いついた 313 00:20:26,943 --> 00:20:28,337 ここから思いついた 314 00:20:28,417 --> 00:20:29,404 ここから… 315 00:20:29,484 --> 00:20:30,299 ここから 316 00:20:30,379 --> 00:20:32,962 『ゼルダの伝説:ふしぎの木の実 大地の章』 317 00:20:33,032 --> 00:20:33,848 このゲー… 318 00:20:34,426 --> 00:20:36,213 実はこのアイデアは ここから思いついた 319 00:20:36,303 --> 00:20:38,080 『ゼルダの伝説:ふしぎの木の実 大地の章』 320 00:20:39,920 --> 00:20:41,120 今のは良かったな