WEBVTT 00:00:00.240 --> 00:00:07.040 前回の「Developing - 開発過程」で僕は、ゲームエンジンの Unity を選び、その使い方を学び始めた 00:00:07.040 --> 00:00:13.840 だが今度は、作品のアイデアを披露して それを作り始める時だ 00:00:14.400 --> 00:00:19.429 しかしゲームを開発するときは どこから手を付けたらいいのだろうか? 00:00:19.429 --> 00:00:25.857 これは死ぬほど重要な問題だと思う これからお見せするように― 00:00:25.857 --> 00:00:35.637 開発を始めるときに、もし間違った方向へ進んでしまうと 企画が壊滅的(悲惨な)な結果になってしまうかもしれないからだ これから説明しよう 00:00:44.800 --> 00:00:48.606 Okay ゲームのアイデアの話から始めよう 00:00:48.606 --> 00:00:55.570 僕が作ろうとしているのは… 覚悟して聞いてくれ クレイジー 2D 横スクロールジャンプアクションゲームだ 00:00:55.570 --> 00:01:00.330 分かってる 独立系開発者はみんな 横スクロールジャンプアクションを作るところから出発してる 00:01:00.330 --> 00:01:04.507 だが僕にも相応の理由がある 僕はこの形式が大好きだし 00:01:04.507 --> 00:01:10.775 ジャンプアクションは、総合的に見れば、比較的簡単に作れる 少なくとも MMO とは違うわけだ 00:01:10.775 --> 00:01:17.760 僕はこの形式のステージ構造や キャラ設計の動画をたくさん作ってきたし、役に立つはずだ 00:01:17.760 --> 00:01:24.240 さて、これもまた… もう一度覚悟して聞いてくれ 独特なひねりを加えたゲームにするつもりだ 00:01:24.240 --> 00:01:29.125 僕のアイデアは、 磁力をもった主人公だ 00:01:29.125 --> 00:01:38.560 つまり、ある足場から反発したり 別の足場に引き寄せられたりする プレイヤーはボタンを押すだけで極性を変えられる 00:01:38.560 --> 00:01:43.200 このアイデアは実のところ このゲームから着想を得た 『ゼルダの伝説:ふしぎの木の実 大地の章』だ 00:01:43.200 --> 00:01:50.602 このゲームでは「マグネグローブ」を入手する リンクがある場所から反発したり、そこへ向かったりできる 00:01:50.602 --> 00:01:56.177 デカイ鉄球を拾ってパズルを解いたり 戦闘に使ったりもできる 00:01:56.177 --> 00:02:00.720 クールな仕組みだが、多少の制約があるように感じる 00:02:00.720 --> 00:02:06.960 この様式や、俯瞰のカメラ視点 もちろん、ゲームボーイの技術的制限だ 00:02:06.960 --> 00:02:14.240 そこで考えた… このアイデアを借りて、別の形式に当てはめてみたらどうだろうか? 00:02:14.240 --> 00:02:20.000 テンポの速い 2D ジャンプアクションだ 『Celeste』や『Super Meat Boy』に似たやつだ 00:02:20.000 --> 00:02:25.791 速さ、柔軟性、正確さのために 磁力を会得しなければならないゲームだ 00:02:26.080 --> 00:02:29.456 これが僕の構想だ そして今の問題は― 00:02:29.456 --> 00:02:37.840 どこから始めたらいいのか? すぐに Unity でコードを書き始めればいいのか? 急いで Photoshop で絵を作ればいいのか? 00:02:37.840 --> 00:02:42.880 物語の展開やキャラとかを 考えたほうがいいのか? どこから始めれば良いんだ? 00:02:43.600 --> 00:02:48.616 ぶっちゃけた話をすると これは僕が初めて作ろうとしたゲームではない 00:02:48.616 --> 00:02:53.804 子供の頃からゲームの構想があって 人生のなかで時々― 00:02:53.804 --> 00:03:02.720 色々なツールとかで そのゲームを作ろうとしてきた だが、僕がそういったゲームを完成させることはほとんど無かった 00:03:02.720 --> 00:03:10.640 その理由は毎回同じだと思う 間違ったやり方で始めたことだ ご覧いただこう 00:03:10.640 --> 00:03:15.261 このフォルダは僕の実家から持ってきたやつで 00:03:15.261 --> 00:03:24.000 Game Maker’s Toolkit を始める数年前に 作ろうとしたゲームのメモや下絵や構想がいっぱい入ってる 00:03:24.000 --> 00:03:27.912 これ『Starcraft Ghost』のマウスパッドだ 00:03:27.912 --> 00:03:32.800 これ開発中止になったやつだろ? eBay に出品する価値があるかもな 00:03:32.800 --> 00:03:36.327 それでこれは『カーターの呪い』という 題名になる予定だった 00:03:36.327 --> 00:03:41.787 ツタンカーメンの墓を発見した有名な考古学者 ハワード・カーターのゲームだ 00:03:41.787 --> 00:03:50.894 少なくともゲーム内では 古代エジプトの呪いを目覚めさせてしまって ゾンビやミイラ、古代エジプトの神々と戦う羽目になる 00:03:50.894 --> 00:03:57.600 何時間もかけてこういう絵とかを描いていたのを覚えてる つまり…なんてオタク野郎だ! 00:03:58.480 --> 00:04:04.480 ともかく じゃあどうやって敵と戦うのか? 答えは…ピクロスをやることだ 00:04:04.480 --> 00:04:11.077 ピクロスは論理とマス目を使ったパズルで… 数独にちょっと似てる 任天堂はピクロスのゲームをたくさん作った 00:04:11.077 --> 00:04:15.200 僕は『Bookworm Adventures』みたいなゲームに かなり影響を受けた 00:04:15.200 --> 00:04:22.681 画面下にパズルがあって、それを解くと 上画面の小さな戦闘シーンで敵にダメージが入る 00:04:22.681 --> 00:04:26.388 僕のアイデアも同じで 下画面でピクロスをやって 00:04:26.388 --> 00:04:30.000 ハワード・カーターが上画面で 怪物と戦うという内容だ 00:04:30.000 --> 00:04:36.080 それですぐに開発に取り掛かった 僕は Codea という iPad アプリを使った 00:04:36.080 --> 00:04:43.589 iPad 用に iOS ゲームを作れるアプリだ 僕は以前、これで iOS 用のごく普通のピクロスアプリを 作ったことがあったので 00:04:43.589 --> 00:04:48.480 コードは自分で書けるだろうと思ったが グラフィックは最高のやつにしたかったから 00:04:48.480 --> 00:04:52.999 すぐに Photoshop を起動して 素材や動きをたくさん作った 00:04:52.999 --> 00:04:58.484 Dropbox のフォルダにはドット絵の素材や アニメーションがたくさん保存されている 00:04:58.484 --> 00:05:02.699 いろんなキャラを大量に作ったし ハワード・カーターの必殺技も作ったし 00:05:02.699 --> 00:05:10.480 冒頭のカットシーンも作ったし メニュー用の大きなワクワクするボタンも作った 僕は本当に、夢中で作った 00:05:10.480 --> 00:05:16.080 しかし僕はあることに気付いた かなり重要なことだ 00:05:16.880 --> 00:05:26.080 この企画にかなり不都合なことだ ゲームは全然良くなかった! とても粗悪で、全然面白くなかった 00:05:26.080 --> 00:05:29.440 コードを書けば書くほど 開発すればするほど 00:05:29.440 --> 00:05:36.967 何が問題なのかが分かってきた ピクロスは、この種のゲームとしては 深さが欠如してる 00:05:36.967 --> 00:05:44.653 戦法も戦略も無いし、戦う敵に応じて 行動を変えることもできない 00:05:44.653 --> 00:05:47.961 突き詰めると、この戦闘には 実体が無かった 00:05:47.961 --> 00:05:52.365 上画面を丸ごと無視しても ゲームはそのまま成立する 00:05:52.365 --> 00:05:54.881 だってピクロスを 解いてるだけだから 00:05:54.881 --> 00:06:01.408 つまり戦う敵に応じてもっと難しくしたり もっと面白くしたりすることはできないし 00:06:01.408 --> 00:06:05.040 プレイヤーは同じことを何度も何度も 繰り返すだけというわけだ 00:06:05.040 --> 00:06:09.750 僕が作ったのは、浅くて作業的で 退屈なゲームだった 00:06:09.750 --> 00:06:18.240 これを修正することも出来たかもしれないが 僕はその時点でボロボロですっかり落ち込んでいたから そこで全てを破棄してしまった 00:06:18.960 --> 00:06:26.640 それで僕は何を間違えたのか? これは何年も経ってからの後知恵で(何年も経った後に分かったことだが)… もう 10年近くになるが… 00:06:26.640 --> 00:06:33.726 事の真相(何でこうなったのか)は、かなり明らかだ ゲームを作るときは、制作しなければならないものが色々ある 00:06:33.726 --> 00:06:40.044 主なものは、音楽、アート、ゲーム設計、物語、そしてコードだ 00:06:40.044 --> 00:06:45.005 これらが平等だと考えるのは簡単だが 実際はそうじゃない 00:06:45.005 --> 00:06:53.190 多くの場合、ゲーム設計は対等ではなく 他の全ての要素が乗っかる基盤になる 00:06:53.190 --> 00:06:58.000 だから設計を間違えると 全体が崩壊してしまう 00:06:58.000 --> 00:07:02.000 バグの修正や、グラフィックを描き直すことはできるが 00:07:02.000 --> 00:07:07.760 ゲームプレイに根本的な欠陥がある場合 企画そのものが救出不可能になることがある 00:07:07.760 --> 00:07:09.865 僕の失敗は ほぼこれだった 00:07:09.865 --> 00:07:18.416 絵と動きにたくさんの時間を費やしてしまい ようやく「遊び」の部分に手を着けたときに、何もかもが欠陥だらけだと気付いた 00:07:18.416 --> 00:07:21.889 要するに僕はグラグラする地盤に家を建てたくせに 00:07:21.889 --> 00:07:26.560 トイレが床から抜け落ちてビックリ仰天してるわけだ 00:07:26.560 --> 00:07:30.170 恥ずかしいことに、僕はこの手の失敗を 何度もやらかしている 00:07:30.170 --> 00:07:35.840 僕は独自の「手がかり自動生成システム」を搭載した ポイントクリック型の犯罪捜査ゲームを作りたかったが 00:07:35.840 --> 00:07:39.520 あまりに多くの時間を、物語や 時間周期の調査に費やしてしまって 00:07:39.520 --> 00:07:42.341 そのシステムを実際に 設計することはなかった 00:07:42.341 --> 00:07:47.289 また携帯ゲーム『Snake』に、現代的な 速いテンポの工夫を加えたかったが 00:07:47.289 --> 00:07:51.920 バグ修正と動きのコードを 完璧にすることにハマってしまい 00:07:51.920 --> 00:07:56.640 このゲームが面白いのかどうか分からないまま 飽きて燃え尽きてしまった 00:07:57.200 --> 00:08:00.793 だから僕は自作ゲームを 設計しようとするたびに 00:08:00.793 --> 00:08:06.960 物語やグラフィックとかの他の要素を ゲームプレイよりも優先させてきた なんでだ? 00:08:07.680 --> 00:08:13.254 結局は、2つのかなり間違った 思い込み(誤解)をしてるからだと思う 00:08:13.254 --> 00:08:18.115 誤解 1. は、ゲームは脳内だと いつもクールな感じがしたから 00:08:18.115 --> 00:08:22.310 これを作ったら面白いだろうと 思い込んでしまったことだ 00:08:22.310 --> 00:08:31.944 明らかにこれは間違いだった 誤解 2. は、作ってみるまでそのゲームが面白いかどうかは分からないということだ 00:08:31.944 --> 00:08:38.082 そのゲームの制作をひたすら続けていけば いつかそれが良いものかどうか分かる…と思うだろ? 00:08:38.082 --> 00:08:40.400 いや、これも間違いだった 00:08:40.400 --> 00:08:48.281 今となっては答えは明白(自明)だから これを言うのはドン引き???なのだが 当時は明白ではなかった(簡単に気付けなかった) 00:08:48.281 --> 00:08:52.560 Game Maker’s Toolkit をやるようになって ゲーム開発の調査をするようになって 00:08:52.560 --> 00:09:00.080 数十人ものゲーム開発者に取材して、その後で 大成功したゲームがどう始まるのか分かるようになった 00:09:00.080 --> 00:09:07.290 ゲーム開発者はいつもたくさんのアイデアを持っている 頭の中では驚くほど楽しそうに見える 00:09:07.290 --> 00:09:12.513 だが最良の開発者は、自分の脳みそが ひどい悪臭の嘘つき野郎だと分かってる 00:09:12.513 --> 00:09:19.040 ゲームのアイデアが良いかどうかを知る唯一の方法は それを作って試すことだ 00:09:19.040 --> 00:09:25.760 だがゲーム全体を作るのではなく 開発者が作るのは…「試作品」だけでいい 00:09:25.760 --> 00:09:32.480 00:09:32.480 --> 00:09:37.680 00:09:37.680 --> 00:09:45.280 00:09:45.280 --> 00:09:51.280 00:09:51.280 --> 00:09:55.760 00:09:55.760 --> 00:10:03.520 00:10:03.520 --> 00:10:09.760 00:10:09.760 --> 00:10:15.280 00:10:15.280 --> 00:10:19.280 00:10:19.280 --> 00:10:23.120 00:10:23.120 --> 00:10:28.240 00:10:28.240 --> 00:10:33.840 00:10:33.840 --> 00:10:38.240 00:10:38.240 --> 00:10:43.520 00:10:43.520 --> 00:10:46.880 00:10:46.880 --> 00:10:52.960 00:10:52.960 --> 00:10:56.400 00:10:56.400 --> 00:11:00.720 00:11:00.720 --> 00:11:05.520 00:11:05.520 --> 00:11:10.880 00:11:10.880 --> 00:11:17.200 00:11:17.200 --> 00:11:23.200 00:11:23.200 --> 00:11:29.200 00:11:29.200 --> 00:11:34.240 00:11:34.240 --> 00:11:38.880 00:11:38.880 --> 00:11:44.080 00:11:44.080 --> 00:11:49.680 00:11:50.320 --> 00:11:54.960 00:11:54.960 --> 00:11:59.120 00:11:59.120 --> 00:12:04.640 00:12:04.640 --> 00:12:10.880 00:12:10.880 --> 00:12:15.360 00:12:15.360 --> 00:12:20.000 00:12:20.000 --> 00:12:26.720 00:12:26.720 --> 00:12:31.760 00:12:31.760 --> 00:12:37.440 00:12:37.440 --> 00:12:42.720 00:12:42.720 --> 00:12:48.720 00:12:48.720 --> 00:12:52.560 00:12:52.560 --> 00:12:56.400 00:12:56.400 --> 00:12:59.840 00:12:59.840 --> 00:13:04.880 00:13:04.880 --> 00:13:09.760 00:13:09.760 --> 00:13:16.400 00:13:16.400 --> 00:13:23.120 00:13:23.120 --> 00:13:29.760 00:13:29.760 --> 00:13:34.960 00:13:34.960 --> 00:13:39.520 00:13:39.520 --> 00:13:44.960 00:13:44.960 --> 00:13:49.920 00:13:49.920 --> 00:13:53.040 00:13:53.040 --> 00:13:57.680 00:13:57.680 --> 00:14:01.680 00:14:01.680 --> 00:14:04.560 00:14:04.560 --> 00:14:07.600 00:14:07.600 --> 00:14:13.120 00:14:13.680 --> 00:14:20.240 00:14:20.240 --> 00:14:25.680 00:14:25.680 --> 00:14:30.720 00:14:30.720 --> 00:14:36.160 00:14:36.160 --> 00:14:41.200 00:14:41.200 --> 00:14:46.080 00:14:46.080 --> 00:14:52.320 00:14:52.320 --> 00:14:57.760 00:14:57.760 --> 00:15:03.200 00:15:03.200 --> 00:15:09.760 00:15:09.760 --> 00:15:14.960 00:15:14.960 --> 00:15:20.720 00:15:20.720 --> 00:15:26.880 00:15:26.880 --> 00:15:31.760 00:15:31.760 --> 00:15:37.440 00:15:37.440 --> 00:15:42.560 00:15:42.560 --> 00:15:46.400 00:15:46.960 --> 00:15:51.600 00:15:51.600 --> 00:15:55.920 00:15:55.920 --> 00:16:00.160 00:16:00.160 --> 00:16:04.800 00:16:04.800 --> 00:16:08.080 00:16:08.080 --> 00:16:13.600 00:16:13.600 --> 00:16:18.400 00:16:18.400 --> 00:16:22.960 00:16:22.960 --> 00:16:28.240 00:16:28.240 --> 00:16:33.920 00:16:33.920 --> 00:16:39.040 00:16:39.040 --> 00:16:45.520 00:16:45.520 --> 00:16:50.160 00:16:50.160 --> 00:16:54.800 00:16:54.800 --> 00:16:59.760 00:16:59.760 --> 00:17:04.800 00:17:04.800 --> 00:17:09.520 00:17:09.520 --> 00:17:14.160 00:17:14.160 --> 00:17:18.480 00:17:18.480 --> 00:17:24.400 00:17:24.400 --> 00:17:30.160 00:17:30.160 --> 00:17:35.120 00:17:35.120 --> 00:17:41.120 00:17:41.120 --> 00:17:46.160 00:17:46.160 --> 00:17:52.080 00:17:52.080 --> 00:17:56.960 00:17:56.960 --> 00:18:02.320 00:18:02.320 --> 00:18:06.720 00:18:06.720 --> 00:18:13.120 00:18:13.120 --> 00:18:16.320 00:18:16.320 --> 00:18:20.720 00:18:20.720 --> 00:18:26.880 00:18:26.880 --> 00:18:32.000 00:18:32.000 --> 00:18:37.520 00:18:37.520 --> 00:18:43.280 00:18:43.280 --> 00:18:49.520 00:18:49.520 --> 00:18:54.400 00:18:54.400 --> 00:18:59.600 00:18:59.600 --> 00:19:06.000 00:19:06.000 --> 00:19:11.600 00:19:11.600 --> 00:19:16.640 00:19:16.640 --> 00:19:22.000 00:19:22.000 --> 00:19:29.200 00:19:29.200 --> 00:19:34.400 00:19:34.400 --> 00:19:39.840 00:19:40.720 --> 00:19:45.120 00:19:45.120 --> 00:19:51.840 00:20:14.320 --> 00:20:18.320 00:20:19.600 --> 00:20:22.240 00:20:25.120 --> 00:20:31.760 00:20:31.760 --> 00:20:38.080 00:20:39.920 --> 00:20:41.120