WEBVTT 00:00:00.098 --> 00:00:06.970 前回の Developing で、僕はゲームエンジンの Unity を選んで使い方を学び始めた 00:00:07.010 --> 00:00:10.780 だが今度は、自分の作品の アイデアを披露して… 00:00:11.960 --> 00:00:14.259 制作に取りかかる時が来た 00:00:14.299 --> 00:00:18.945 でも、ゲーム開発は どこから手を付けたらいいのか? 00:00:18.985 --> 00:00:22.760 これは死ぬほど重要な問題だと思う 00:00:22.800 --> 00:00:25.533 というのも これからお見せするように—— 00:00:25.573 --> 00:00:29.701 開発を始めるときに 間違った方向へ進んでしまうと 00:00:29.741 --> 00:00:33.639 その企画が悲惨なことになるかも しれないからだ 00:00:33.679 --> 00:00:35.171 いまから説明しよう 00:00:44.800 --> 00:00:48.457 このゲームのアイデアの話から始めよう 00:00:48.497 --> 00:00:51.848 僕が作ろうとしてるのは… 覚悟して聞いてくれ 00:00:51.888 --> 00:00:55.503 クレイジーな 2D 横スクロール プラットフォーマーゲームだ 00:00:55.543 --> 00:01:00.130 そうだ 独立系開発者はみんな 横スクアクションを作るところから出発してる 00:01:00.170 --> 00:01:04.237 だが僕にも相応の理由がある 僕はこのジャンルが大好きだし 00:01:04.277 --> 00:01:08.555 プラットフォーマーは総合的に見れば 比較的作りやすい 00:01:08.595 --> 00:01:10.568 少なくとも MMO とは違う 00:01:10.608 --> 00:01:15.381 僕はこの形式のステージやキャラ設計の動画を たくさん作ってきたし 00:01:15.421 --> 00:01:17.646 それが役に立つはずだ 00:01:17.686 --> 00:01:21.372 さて、これもまた… もう一度覚悟して聞いてくれ 00:01:21.412 --> 00:01:24.096 独自のひねりを加えるつもりだ 00:01:24.136 --> 00:01:29.046 僕のゲームのアイデアは 磁力をもった主人公だ 00:01:29.086 --> 00:01:35.448 つまりある足場から反発したり 別の足場に引っ張られたりする 00:01:35.488 --> 00:01:38.596 ボタンを押すだけで 極性を変えられる 00:01:38.636 --> 00:01:40.945 実はこのアイデアは ここから思いついた 00:01:40.985 --> 00:01:42.940 『ゼルダの伝説:ふしぎの木の実 大地の章』だ 00:01:42.980 --> 00:01:45.819 このゲームには「マグネグローブ」という アイテムがある 00:01:45.859 --> 00:01:50.473 リンクがある場所から反発したり そこへ向かったりできる 00:01:50.513 --> 00:01:56.164 デカイ鉄球を拾ってパズルを解いたり 戦闘に使ったりもできる 00:01:56.204 --> 00:02:00.751 クールな仕様だが 多少の制約があるように感じる 00:02:00.791 --> 00:02:06.941 このジャンルや俯瞰のカメラ視点による制約や もちろんゲームボーイの技術的な限界もある 00:02:06.981 --> 00:02:09.507 そこで僕は考えた… 00:02:09.547 --> 00:02:14.637 このアイデアを借りて、別のジャンルに 当てはめたらどうなるだろう? 00:02:14.677 --> 00:02:19.534 『Celeste』や『Super Meat Boy』とかの テンポの速い 2D プラットフォーマーに足すわけだ 00:02:19.574 --> 00:02:26.011 磁力を会得して、高速に、流動的に 正確に操作するゲームだ 00:02:26.051 --> 00:02:29.314 これが僕の構想だ そして今の問題は 00:02:29.354 --> 00:02:31.468 どこから始めたらいいのか? ってことだ 00:02:31.508 --> 00:02:34.656 すぐに Unity でコードを 書き始めればいいのか? 00:02:34.696 --> 00:02:37.857 急いで Photoshop で 何か絵を描けばいいのか? 00:02:37.897 --> 00:02:41.345 物語の展開やキャラとかを 考えたほうがいいのか? 00:02:41.385 --> 00:02:43.583 どこから始めれば良いんだ? 00:02:43.623 --> 00:02:48.436 ぶっちゃけた話をすると これは僕が初めて作ろうとしたゲームではない 00:02:48.476 --> 00:02:52.308 僕は子供の頃からゲームのアイデアを 何個も考えていて 00:02:52.348 --> 00:02:57.416 人生のいろんな場面で、色々なツールで そういったゲームを作ろうとしてきた 00:02:57.456 --> 00:03:02.083 でもこれらのゲームが完成したことは ほとんど無かった 00:03:02.123 --> 00:03:06.472 そしてその原因は毎回同じだと思う 00:03:06.512 --> 00:03:09.443 間違ったやり方で始めていたからだ 00:03:09.483 --> 00:03:10.591 ご覧いただこう 00:03:10.631 --> 00:03:15.823 このフォルダは僕の実家から 持ってきたやつで 00:03:15.863 --> 00:03:20.949 僕が作ろうとしていたゲームの メモや下絵や構想がいっぱい入ってる 00:03:20.989 --> 00:03:23.934 Game Maker’s Toolkit を始める 数年前のことだ 00:03:23.974 --> 00:03:27.930 こいつは『Starcraft Ghost』の マウスパッドだ 00:03:27.970 --> 00:03:32.831 これ開発中止になったやつだろ? eBay に出品する価値があるかもな 00:03:32.871 --> 00:03:36.875 それでこれは『カーターの呪い』という 題名になる予定だった 00:03:36.915 --> 00:03:41.780 ツタンカーメンの墓を発見した有名な考古学者 ハワード・カーターのゲームだ 00:03:41.820 --> 00:03:47.030 少なくともゲームの中では 古代エジプトの呪いを目覚めさせてしまって 00:03:47.070 --> 00:03:50.955 ゾンビ、ミイラ、古代エジプトの神々と 戦うハメになる 00:03:50.995 --> 00:03:56.373 何時間もかけてこういう絵とかを 描いていたのを覚えてる 00:03:56.413 --> 00:03:58.510 なんてオタクなんだ! 00:03:58.550 --> 00:04:01.463 ともかく じゃあどうやって敵と戦うのか? 00:04:01.503 --> 00:04:04.497 答えは…ピクロスをやることだ 00:04:04.537 --> 00:04:08.942 ピクロスは論理とマス目のパズルで 数独にちょっと似てる 00:04:08.982 --> 00:04:11.075 任天堂はたくさんの ピクロスゲームを作ってる 00:04:11.115 --> 00:04:14.506 僕は『Bookworm Adventures』みたいなゲームに かなり影響を受けた 00:04:14.546 --> 00:04:16.943 下画面にパズルがあって 00:04:16.983 --> 00:04:22.497 それを解くと、上画面の小さな戦闘シーンで 敵にダメージが入る 00:04:22.537 --> 00:04:26.268 僕のアイデアも同じで 下画面でピクロスをやって 00:04:26.308 --> 00:04:29.932 ハワード・カーターが 上画面で怪物と戦う 00:04:29.972 --> 00:04:35.760 それで僕はすぐに開発に取り掛かった Codea という iPad アプリを使った 00:04:35.800 --> 00:04:38.842 iPad 用に iOS ゲームを作れるアプリだ 00:04:38.882 --> 00:04:43.937 僕は以前、これで iOS 用のごく普通の ピクロスアプリを作ったことがあって 00:04:43.977 --> 00:04:48.552 コードは自分で書けるだろうと思ったが グラフィックスは最高のやつにしたかったから 00:04:48.592 --> 00:04:53.576 すぐに Photoshop を起動して 素材やアニメをたくさん作った 00:04:53.616 --> 00:04:58.260 Dropbox のフォルダにはドット絵の素材や アニメーションがたくさん保存されている 00:04:58.300 --> 00:05:00.596 色んなキャラを大量に作ったし 00:05:00.636 --> 00:05:02.499 ハワード・カーターの 必殺技も作ったし 00:05:02.539 --> 00:05:05.289 冒頭のカットシーンも作ったし 00:05:05.329 --> 00:05:08.150 メニュー用の大きな 生き生きしたボタンも作った 00:05:08.190 --> 00:05:10.552 僕は本当に夢中で作った 00:05:10.592 --> 00:05:13.281 だが僕はあることに気付いた 00:05:13.321 --> 00:05:15.683 かなり重要なことだ 00:05:15.723 --> 00:05:21.083 かなり…致命的なことだ この企画にとっては 00:05:21.123 --> 00:05:26.072 ゲームは全然ダメだった! とてもお粗末で全然面白くなかった 00:05:26.112 --> 00:05:29.299 コードを書けば書くほど 開発すればするほど 00:05:29.339 --> 00:05:31.927 何が問題なのかが分かってきた 00:05:31.967 --> 00:05:36.942 ピクロスは、この種のゲームとしては 深みが欠けている 00:05:36.982 --> 00:05:44.541 戦法も戦略もないし、戦う敵に応じて 行動を変えることもできない 00:05:44.581 --> 00:05:47.936 突き詰めると この戦闘には実体がなかった 00:05:47.976 --> 00:05:52.311 上画面を丸ごと無視しても ゲームはそのまま成立する 00:05:52.351 --> 00:05:55.049 だってピクロスを 解いてるだけだから 00:05:55.089 --> 00:06:01.354 つまり敵の種類に応じてもっと難しくしたり もっと面白くしたりすることはできないし 00:06:01.394 --> 00:06:05.045 プレイヤーは同じことを何度も 繰り返すだけってことだ 00:06:05.085 --> 00:06:09.610 僕が作ったのは、浅くて作業的で 退屈なゲームだった 00:06:09.650 --> 00:06:14.096 修正できたかもしれないが 僕はその時点でボロボロで 00:06:14.136 --> 00:06:18.931 すっかり落ち込んでいたから そこで全てを破棄してしまった 00:06:18.971 --> 00:06:21.266 で、僕は何を間違えたのか? 00:06:21.306 --> 00:06:26.587 これは何年も経った後に分かったことだが… もう 10 年近くになるが… 00:06:26.627 --> 00:06:29.187 失敗した理由は明白で つまりこうだ 00:06:29.227 --> 00:06:33.585 ゲームを作るときは 制作しなきゃいけないものが色々ある 00:06:33.625 --> 00:06:40.018 主なものと言えば、音楽、アート ゲーム設計、物語、そしてコードだ 00:06:40.058 --> 00:06:44.843 これらの要素が平等だと考えるのは簡単だが 実際はそうじゃない 00:06:44.883 --> 00:06:53.158 多くの場合「ゲーム設計」は同等ではなく 他の全ての要素が乗っかる基盤になる 00:06:53.198 --> 00:06:58.023 だから設計を間違えると 全体が崩壊してしまう 00:06:58.063 --> 00:07:01.423 つまりバグやグラフィックの 修正はできたとしても 00:07:01.463 --> 00:07:07.758 遊びに根本的な欠陥があると 企画そのものが救出不可能になることがある 00:07:07.798 --> 00:07:12.951 僕の失敗はほぼこれだった 絵とアニメに時間をたくさん費やしてしまい 00:07:12.991 --> 00:07:18.355 ようやく遊びに手を着けたときに 何もかもが欠陥だらけだと気付いた 00:07:18.395 --> 00:07:22.576 要するに僕はグラグラする地盤に 家を建てたくせに 00:07:22.616 --> 00:07:26.550 トイレが床から抜け落ちて ビックリ仰天してるわけだ 00:07:26.590 --> 00:07:29.728 恥ずかしいことに 僕はこれを何度もやらかしてる 00:07:29.768 --> 00:07:35.923 僕はポイントクリック型の犯罪捜査ゲームに 独自の手がかり自動生成システムを載せようとしたが 00:07:35.963 --> 00:07:39.526 あまりに多くの時間を 物語や時代考証に費やしてしまって 00:07:39.566 --> 00:07:42.171 そのシステムを実際に 設計する余裕がなかった 00:07:42.211 --> 00:07:47.213 また携帯ゲーム『Snake』を 現代的なハイテンポゲームにしたかったのだが 00:07:47.253 --> 00:07:51.946 バグ修正や挙動のコードを 完璧にするという泥沼にハマってしまい 00:07:51.986 --> 00:07:57.169 このゲームが面白いのかどうか分からないまま 飽きて燃え尽きてしまった 00:07:57.209 --> 00:08:00.679 つまり、僕は自作ゲームを 設計しようとするたびに 00:08:00.719 --> 00:08:06.516 物語やグラフィックとかの他の要素を 遊びよりも優先させてきた 00:08:06.556 --> 00:08:07.743 なんでだ? 00:08:07.783 --> 00:08:13.209 結局のところ、非常に間違った 2つの誤解をしてたのが原因だと思う 00:08:13.249 --> 00:08:18.049 誤解1は、僕のゲームは頭の中では いつもクールなものに感じられたから 00:08:18.089 --> 00:08:22.208 これを作ったら面白いだろうと 思い込んでしまったことだ 00:08:22.248 --> 00:08:24.133 明らかに これは間違いだった 00:08:24.173 --> 00:08:31.886 誤解2は、そのゲームが面白いかどうかは 完成するまで分からないという思い込みだ 00:08:31.926 --> 00:08:38.270 制作をひたすら続けていけば、ある時 それが良いものかどうか分かる…だろ? 00:08:38.310 --> 00:08:40.509 いや、これも間違いだった 00:08:40.549 --> 00:08:43.697 こう言うと 非常に格好悪いのだが 00:08:43.737 --> 00:08:48.284 今となっては答えは明白でも 当時の自分はよく分かっていなかった 00:08:48.324 --> 00:08:50.386 Game Maker’s Toolkit を やるようになって 00:08:50.426 --> 00:08:52.395 ゲーム開発を調査して 00:08:52.435 --> 00:08:55.613 数十人ものゲーム開発者に 取材してきたからこそ—— 00:08:55.653 --> 00:09:00.157 大人気ゲームの原点が 分かるようになった 00:09:00.197 --> 00:09:03.450 ゲーム開発者にはいつも たくさんのアイデアがある 00:09:03.490 --> 00:09:07.150 頭の中では 驚くほど楽しそうに見える 00:09:07.190 --> 00:09:12.479 だが一番の開発者は、自分の脳みそが 臭い嘘つき野郎だと知っている 00:09:12.519 --> 00:09:18.819 ゲームのアイデアが良いかどうかを知る唯一の方法は それを作って試すことだ 00:09:18.859 --> 00:09:24.343 だがゲーム全体を作るのではなく 開発者が作るのは… 00:09:24.383 --> 00:09:25.840 「試作品」だけだ 00:09:25.880 --> 00:09:30.228 試作品とは、アイデアを具現化した 小さい断片的な実験台で 00:09:30.268 --> 00:09:34.193 そのアイデアが楽しいかどうかを ただ確認するために作られる 00:09:34.233 --> 00:09:37.637 こうした試作品は 通常信じられないほど不格好で 00:09:37.677 --> 00:09:42.768 未完成のアートや、簡単な図形や 他からパクったドット絵とかで出来ている 00:09:42.808 --> 00:09:45.413 バグだらけで壊れてることが ほとんどで 00:09:45.453 --> 00:09:50.521 思いついたシステムを試すために必要な 最低限の機能だけで出来ている 00:09:50.561 --> 00:09:55.762 できるだけ短時間で作られた 機能的に十分なバージョンのゲームで 00:09:55.802 --> 00:10:00.667 唯一の目的は アイデアが機能するかどうかの確認だけだ 00:10:00.707 --> 00:10:02.936 それは楽しいのか? 興味深いのか? 00:10:02.976 --> 00:10:04.817 追求する価値があるのか? 00:10:04.857 --> 00:10:09.771 ゲームの残りの部分を構築できる 強固な基盤になっているのか? 00:10:09.811 --> 00:10:13.427 これが僕のやることだ 今度はちゃんとやるぞ 00:10:13.467 --> 00:10:19.308 試作品を作ることだけに専念して 徹底的に自制心を持って 00:10:19.348 --> 00:10:23.617 ゲームのアイデアを試すこと以外は 何もしないつもりだ 00:10:23.657 --> 00:10:26.946 絵はググった画像でやりくりする 00:10:26.986 --> 00:10:33.878 音楽も物語も用意しないし ゲームの題名や主人公の名前も考えない 00:10:33.918 --> 00:10:38.201 まだ作ってもないゲームの アプリアイコンを考えることもしないぞ 00:10:38.241 --> 00:10:39.662 マーク、お前アホだな 00:10:39.702 --> 00:10:44.669 まだ Unity は勉強中だから、コードは 間違いなくバグまみれで壊れてるだろう 00:10:44.709 --> 00:10:48.404 だがアイデアがイケるかどうかは 十分確認できるはずだ 00:10:48.444 --> 00:10:52.939 ゲームのシステムを試して 楽しさを調べるただの遊び場だ 00:10:52.979 --> 00:10:56.383 それじゃあ、早速 Unity を起動しよう 00:10:56.423 --> 00:11:01.111 まず必要だったのは、左右移動と ジャンプができるキャラクターだ 00:11:01.151 --> 00:11:05.535 そこで右キーを押した時に リジッドボディ(剛体)に力が加わるようにした 00:11:05.575 --> 00:11:10.617 ここで既に不具合があって 幸先の良いスタートではなかったが何とかなった 00:11:10.657 --> 00:11:17.182 次にこのシーンに磁石を置いて キャラが磁石へ引っ張られるようにする必要があった 00:11:17.222 --> 00:11:21.306 これを実現させるには 自分が熟練プログラマーになるしかないから 00:11:21.346 --> 00:11:24.706 僕の銀河系コーディング能力を 発動するハメになった 00:11:24.746 --> 00:11:28.538 それで指の柔軟をしてから 次のような文字列を入力した 00:11:28.578 --> 00:11:31.854 「リジッドボディを他の物体の方へ動かす方法」 00:11:31.894 --> 00:11:35.806 これをググって、コードを見つけて 僕のゲームに貼り付けた 00:11:35.846 --> 00:11:38.437 だがしっかりと その仕組みを理解しておいた 00:11:38.477 --> 00:11:45.069 要は、キャラと磁石の間の方向を検出して リジッドボディに加える力をその方向にするわけだ 00:11:45.109 --> 00:11:49.895 また磁石に近付くにつれて速度が上がるように コードを微調整した 00:11:50.275 --> 00:11:53.837 次にボタンで磁力を消せるようにした 00:11:53.877 --> 00:11:59.118 これで思惑通り、キャラの移動速度が維持されて 空中へ飛ばせるようになった 00:11:59.158 --> 00:12:03.560 つまり、ここに足場を置いとけば キャラを磁石で引き寄せてから 00:12:03.600 --> 00:12:06.456 磁力を消して ここへ飛び乗ることができる 00:12:06.496 --> 00:12:11.189 かなり良い感じだが 制御するのはちょっと難しい 00:12:11.229 --> 00:12:15.379 このコードは完璧じゃないから すぐに手に負えなくなる 00:12:15.419 --> 00:12:20.638 だが調べてるうちに、偶然にも Unity で本当に便利なやつを発見した 00:12:20.678 --> 00:12:24.316 これはポイントエフェクタと呼ばれる 組み込みコンポーネントで 00:12:24.356 --> 00:12:26.589 要は磁場を作ってくれる 00:12:26.629 --> 00:12:30.731 なんでこれを見落としたのか分からないが こいつのアイコンはただの磁石だ 00:12:30.771 --> 00:12:31.826 その仕組みはこうだ 00:12:31.866 --> 00:12:35.490 GameObject にコライダー(当たり判定)と ポイントエフェクタを付けて 00:12:35.530 --> 00:12:37.451 引き寄せる強さを設定する 00:12:37.491 --> 00:12:42.820 リジッドボディがコライダーの中に入ると 磁場の中心に引き寄せられる 00:12:42.860 --> 00:12:48.758 Unity のレイヤーマスクを使って 特定の物体だけを引き寄せることもできる 00:12:48.798 --> 00:12:54.105 これで間違いなくゲームが作りやすくなったから 試作品を作り直すことにした 00:12:54.145 --> 00:12:56.750 なるほど、ゲームが しっかりした感じになった 00:12:56.790 --> 00:12:59.902 これなら微調整しやすいし クールなこともできる 00:12:59.942 --> 00:13:03.951 例えばくっつく箇所を磁石の両極に置くと こうなる 00:13:03.991 --> 00:13:05.028 良い感じだ 00:13:05.068 --> 00:13:09.858 だが2つ目の試作品を作ったとき どうしてか分からないが 00:13:09.898 --> 00:13:15.788 今度はマリオを使わずに 主人公を磁石の絵に替えることにした 00:13:15.828 --> 00:13:19.351 すると、あるアイデアが浮かんできた 00:13:19.391 --> 00:13:23.100 キャラを磁石にするのではなく—— 00:13:23.140 --> 00:13:29.829 ゲーム世界に磁石が置いてあって キャラが歩いて行って磁石を拾うのはどうだ? 00:13:29.869 --> 00:13:33.506 これを実現するために Unity のジョイント機能を使った 00:13:33.546 --> 00:13:35.043 こいつは別の 組み込みコンポーネントだ 00:13:35.083 --> 00:13:38.955 これで 2つのリジッドボディを 色んな種類のジョイントで繋げられる 00:13:38.995 --> 00:13:40.862 蝶板やバネみたいにできる 00:13:40.902 --> 00:13:44.076 これでキャラが磁石を持つようになって 00:13:44.116 --> 00:13:48.386 磁石が金属片に引き寄せられると キャラも一緒に移動する 00:13:48.426 --> 00:13:51.441 磁石を手放すとまた歩き回れる 00:13:51.481 --> 00:13:57.746 僕が以前やりたかった遊びは磁石の軌道を使って キャラを高い足場へ飛ばすというやつだが 00:13:57.786 --> 00:14:01.702 これなら空中で磁石を手放すだけで 実現できる 00:14:01.742 --> 00:14:06.387 さらに2つ以上の磁石を使ったり 色んなことが可能になる 00:14:06.427 --> 00:14:09.393 例えば、磁石をここに置いてから 00:14:09.433 --> 00:14:12.700 敵が追ってくるようにして 磁力を消すと… 00:14:12.740 --> 00:14:13.535 ペシャ! 00:14:13.575 --> 00:14:16.727 おぉ~ これやってみたら ちょっとクールだな 00:14:16.767 --> 00:14:18.550 これはイケるかもしれない 00:14:18.590 --> 00:14:23.177 突然このゲームが当初のアイデアよりも ずっと面白いものになった 00:14:23.217 --> 00:14:26.197 正直、最初のアイデアに 少し不安になってきていたのでね 00:14:26.237 --> 00:14:32.811 キャラが磁石になって引っ張られたり反発したりすると 制御不能になったと感じやすい 00:14:32.851 --> 00:14:38.450 だが磁石を独立させたことで キャラを完全に操作できる時間と—— 00:14:38.490 --> 00:14:41.244 磁石を掴んで 制御不能になる時間ができる 00:14:41.284 --> 00:14:46.896 それと磁石キャラの場合、僕がそこで どれだけアイデアを思いつけるか少し心配だった 00:14:46.936 --> 00:14:52.291 だが磁石とキャラの2つに分けた途端 どんどんアイデアが湧いてきた 00:14:52.331 --> 00:14:57.757 それに、僕は2種類の遊びが 行ったり来たりするゲームが好きだ 00:14:57.797 --> 00:15:02.208 例えば『マリオオデッセイ』は 帽子が無いときにプレイが変わる 00:15:02.248 --> 00:15:07.391 つまり磁石を持ってないとき キャラは軽快に動いてジャンプ力も高いが 00:15:07.431 --> 00:15:10.773 磁石を持ってるときは 重く、遅くなる 00:15:10.813 --> 00:15:14.959 だが当然、磁石のおかげで あらゆる凄い発展性が考えられる 00:15:14.999 --> 00:15:20.469 ところで、試作する過程でもっと良いアイデアが 出てきたことは驚きでも何でもない 00:15:20.509 --> 00:15:24.328 GMTK の動画「ゲームが自らを設計する」で 紹介したように 00:15:24.368 --> 00:15:28.752 試作中に新たなアイデアが浮かぶことは よくあることだ 00:15:28.792 --> 00:15:31.022 『Crypt of the Necrodancer』を 見てみよう 00:15:31.062 --> 00:15:38.355 元々の設計では、ターンの制限時間が 厳しいだけのローグライクになるはずだった 00:15:38.395 --> 00:15:42.576 だが開発者が作ってみると キャラを時間制限ではなく—— 00:15:42.616 --> 00:15:46.943 曲のビートに合わせて動かせば もっと面白くなると気付いた 00:15:46.983 --> 00:15:51.676 つまり試作品はアイデアの有効性を 検証するためだけじゃなく 00:15:51.716 --> 00:15:55.928 もっと良い新たなアイデアを 生み出すためのものでもある 00:15:55.968 --> 00:16:00.268 さて、この段階で Unity で もう1つ面白い発見をした 00:16:00.308 --> 00:16:02.705 「Sprite Shape」と 呼ばれるやつだ 00:16:02.745 --> 00:16:08.039 一般的には『Ori』にあるような クールで有機的な地形の作成に使われる 00:16:08.079 --> 00:16:11.112 だが僕は単色の地形を 置くだけで十分だったから 00:16:11.152 --> 00:16:15.019 これで地形を本当に速く 作れるようになった 00:16:15.059 --> 00:16:20.039 Photoshop みたいにハンドル線をドラッグするだけで 簡単に試作品のエリアを作れた 00:16:20.079 --> 00:16:25.757 それで再び試作を始めたのだが 今度はもう少し操作しやすいキャラにしたかった 00:16:25.797 --> 00:16:28.243 実際のゲームキャラに近付けたい 00:16:28.283 --> 00:16:32.499 挙動やジャンプのコーディングという 泥沼にハマるのは避けたいので 00:16:32.539 --> 00:16:36.115 キャラ制御のスクリプトを ネットからダウンロードした 00:16:36.155 --> 00:16:42.500 これは本当に出来がいいから 将来的には微調整や作り直しとかに専念できる 00:16:42.540 --> 00:16:45.506 でも今はそういうことに 時間をかけたくないのでね 00:16:45.546 --> 00:16:49.087 またこの試作品で 僕は追加仕様の検討を始めた 00:16:49.127 --> 00:16:55.383 磁石を投げた後で、ソーのハンマーみたいに 呼び戻すことができるようにした 00:16:55.423 --> 00:16:59.317 磁石のリジッドボディ(剛体)が キャラのリジッドボディにぶつかるので 00:16:59.357 --> 00:17:02.876 磁石を掴んだとき こういうちょっとした手応えがある 00:17:02.916 --> 00:17:04.862 無料ゲームっぽい感触だ すごい 00:17:04.902 --> 00:17:09.030 それから磁石を活用させる 色々な状況を考えた 00:17:09.070 --> 00:17:12.064 例えば、壁に投げて足場にするとか 00:17:12.104 --> 00:17:16.775 ピストンにくっつけた後 タイミングよく離して飛ばすとか 00:17:16.815 --> 00:17:20.510 2つのベルトコンベアの間で 極性を切り替えて移動させるとか 00:17:20.550 --> 00:17:24.475 他にも、この足場を重みで下げて その上に立った後で 00:17:24.515 --> 00:17:27.768 磁石の極性を変えて 空中へ大ジャンプするのはどうだ? 00:17:27.808 --> 00:17:32.775 ワォ、こいつはかなりクールじゃないか? これはまるで… 00:17:32.815 --> 00:17:35.177 ビデオゲームみたいだ かなり楽しいぞ! 00:17:35.217 --> 00:17:40.458 そしてこの時、このゲームのアイデアには 確かに可能性があると感じた 00:17:40.498 --> 00:17:42.255 このゲームは独創的だ 00:17:42.295 --> 00:17:46.220 僕はたくさんの磁石ゲームを見てきたが こんなゲームは世間に無い 00:17:46.260 --> 00:17:50.445 こいつはジャンプアクションと パズルの両方の遊びができる 00:17:50.485 --> 00:17:56.326 このゲームのアイデアは簡単に湧いてくるから 色々なステージを大量に作れそうだ 00:17:56.366 --> 00:17:59.249 何よりも最高なのは 遊ぶのが本当に楽しいってことだ 00:17:59.289 --> 00:18:02.375 Unity でこのシーンに飛び込んで コントローラを手にするだけで—— 00:18:02.415 --> 00:18:04.282 かなり楽しめる 00:18:04.322 --> 00:18:06.719 これは間違いなく とても良い兆候だと思う 00:18:06.759 --> 00:18:10.172 だからこれが 試作品の力というわけだ 00:18:10.212 --> 00:18:14.954 試作を活用して、ゲームのアイデアが 良いかどうか試すことができる 00:18:14.994 --> 00:18:20.680 そして運が良ければ、試作の段階で 新たなアイデアが生まれるかもしれない 00:18:20.720 --> 00:18:24.795 ここでは、ある程度の 自制心が必要になると思う 00:18:24.835 --> 00:18:26.623 自分を律して言う必要がある 00:18:26.663 --> 00:18:30.950 「今は余計なことには見向きもせず 遊びだけに集中するつもりだ」 00:18:30.990 --> 00:18:35.741 これは難しいぞ 僕はこの1週間の様子を みんなに見せなかったが 00:18:35.781 --> 00:18:37.454 僕はパーティクル(粒子)エフェクトや… 00:18:37.494 --> 00:18:40.734 シェーダーや UI とかを 調べるとかして過ごしていた 00:18:40.774 --> 00:18:43.436 僕は昔の行動にすぐに戻っていた 00:18:43.476 --> 00:18:48.231 どうでもいいことに気を取られ それに夢中になってしまった 00:18:48.271 --> 00:18:54.404 だが運良く、自制心を取り戻し その試作品を破棄して、大事な作業に戻った 00:18:54.444 --> 00:18:56.549 最終的には上手くいったと思う 00:18:56.589 --> 00:19:01.826 最終的に出来たものは かなり楽しくて、可能性を秘めていて 00:19:01.866 --> 00:19:04.382 取り組むことに ワクワクできるゲームだ 00:19:04.422 --> 00:19:07.508 僕がもっと若い頃に 作ろうとした以前のゲームは 00:19:07.548 --> 00:19:11.685 「楽しいゲームになるだろう」という 盲目的な希望によって作られていたが 00:19:11.725 --> 00:19:15.411 そんなやり方でゲームを作っても 自信を失うだけだった 00:19:15.451 --> 00:19:19.840 でも今は、強固な土台の上に 作っている感じがする 00:19:19.880 --> 00:19:23.553 他の全要素 つまり物語、音楽、絵などが—— 00:19:23.593 --> 00:19:29.227 土台がしっかりしているという 確信のもとで制作できる 00:19:29.267 --> 00:19:34.419 そういうわけで これがゲーム制作の始め方だと思う 00:19:34.459 --> 00:19:36.216 「試作品を作ること」だ 00:19:36.256 --> 00:19:38.357 問題なのは… 00:19:38.397 --> 00:19:40.746 「次は一体何をすりゃいいんだ?」 ってことだ 00:19:40.786 --> 00:19:44.719 これは次回の「Developing」で 分かると思う 00:19:44.759 --> 00:19:46.494 ご視聴ありがとう 00:19:46.534 --> 00:19:49.934 この旅の次回の動画も 視聴してくれることを願ってるよ 00:19:49.974 --> 00:19:51.840 さようなら 00:19:54.985 --> 00:19:56.177 (字幕翻訳:Nekofloor) 00:20:14.315 --> 00:20:16.253 実はこのアイデアは ここから思いついた 00:20:16.293 --> 00:20:18.320 『ゼルダの伝説:ふしぎの木の実 大地の章』 00:20:19.600 --> 00:20:20.929 …チクショウ 00:20:20.969 --> 00:20:22.240 ここから…おっと! 00:20:25.120 --> 00:20:26.493 から思いついた 00:20:26.898 --> 00:20:28.426 ここから思いついた 00:20:28.466 --> 00:20:29.357 ここから… 00:20:29.397 --> 00:20:30.152 ここから 00:20:30.192 --> 00:20:32.898 『ゼルダの伝説:ふしぎの木の実 大地の章』 00:20:32.938 --> 00:20:33.848 このゲー… 00:20:34.369 --> 00:20:36.139 実はこのアイデアは ここから思いついた 00:20:36.179 --> 00:20:38.554 『ゼルダの伝説:ふしぎの木の実 大地の章』 00:20:39.985 --> 00:20:41.150 今のは良かったな