[Script Info] Title: [Events] Format: Layer, Start, End, Style, Name, MarginL, MarginR, MarginV, Effect, Text Dialogue: 0,0:00:06.39,0:00:10.75,Default,,0000,0000,0000,,もし壁が話せたとしたら\N建物にはそれぞれの物語があるでしょう Dialogue: 0,0:00:10.75,0:00:15.84,Default,,0000,0000,0000,,しかし 「アヤソフィア」\Nつまり「聖なる英知」ほど Dialogue: 0,0:00:15.84,0:00:19.38,Default,,0000,0000,0000,,あまたの魅惑的な物語を\N語ることができる者はいないでしょう Dialogue: 0,0:00:19.38,0:00:21.82,Default,,0000,0000,0000,,大陸と文化の交差点に位置し Dialogue: 0,0:00:21.82,0:00:25.51,Default,,0000,0000,0000,,これまで大規模な変化を\N目の当たりにしてきました Dialogue: 0,0:00:25.51,0:00:27.99,Default,,0000,0000,0000,,所在地の名前から\N自身の姿形や目的に至るまでです Dialogue: 0,0:00:27.99,0:00:30.69,Default,,0000,0000,0000,,そして今\Nそれぞれの時代からの声が Dialogue: 0,0:00:30.69,0:00:34.01,Default,,0000,0000,0000,,ここを訪れ 耳を傾ける人に\N物語を語ろうとしています Dialogue: 0,0:00:34.01,0:00:38.40,Default,,0000,0000,0000,,アヤソフィアにたどり着くまでもなく\N古い要塞を見れば Dialogue: 0,0:00:38.40,0:00:41.39,Default,,0000,0000,0000,,周囲の都市の戦略的重要性が伺えます Dialogue: 0,0:00:41.39,0:00:46.36,Default,,0000,0000,0000,,ここは紀元前657年 ギリシャ人入植者が\Nビザンチオンとして築いた都市です Dialogue: 0,0:00:46.36,0:00:50.81,Default,,0000,0000,0000,,その後アウグスタ・アントニア、新ローマ\Nコンスタンティノープルと名前を変えたのは Dialogue: 0,0:00:50.81,0:00:54.40,Default,,0000,0000,0000,,その後何世紀にも渡り 何度も征服され\N破壊される度に再建されたからです Dialogue: 0,0:00:54.40,0:00:59.74,Default,,0000,0000,0000,,ギリシャ人、ペルシャ人、ローマ人の統治者による\N征服と再建でした Dialogue: 0,0:00:59.74,0:01:04.40,Default,,0000,0000,0000,,そして4世紀 \Nこの砦の中に最初に建てられたのが Dialogue: 0,0:01:04.40,0:01:06.49,Default,,0000,0000,0000,,メガレ・エクレシア つまり偉大な教会です Dialogue: 0,0:01:06.49,0:01:08.75,Default,,0000,0000,0000,,これもすぐに反乱により\N焼失してしまいましたが Dialogue: 0,0:01:08.75,0:01:11.82,Default,,0000,0000,0000,,地域の主たる宗教施設の場所として Dialogue: 0,0:01:11.82,0:01:13.96,Default,,0000,0000,0000,,その後何世紀にも渡り確立されました Dialogue: 0,0:01:13.96,0:01:16.47,Default,,0000,0000,0000,,入口の周辺には 彫刻の施された大理石があり Dialogue: 0,0:01:16.47,0:01:19.10,Default,,0000,0000,0000,,2番目に建てられた教会を思い起こさせます Dialogue: 0,0:01:19.13,0:01:24.31,Default,,0000,0000,0000,,それは415年に建設され\N532年のニカの反乱で破壊されました Dialogue: 0,0:01:24.31,0:01:26.33,Default,,0000,0000,0000,,戦車レースで荒れ狂った群衆が Dialogue: 0,0:01:26.33,0:01:29.59,Default,,0000,0000,0000,,皇帝ユスティニアヌス1世に\N反旗を翻したのです Dialogue: 0,0:01:29.59,0:01:31.72,Default,,0000,0000,0000,,かろうじてその権力を保った彼は Dialogue: 0,0:01:31.72,0:01:35.06,Default,,0000,0000,0000,,教会をより荘厳なものに\N再建することを決心しました Dialogue: 0,0:01:35.06,0:01:39.82,Default,,0000,0000,0000,,そして5年後 \N言わずと知れた巨大建築が完成しました Dialogue: 0,0:01:39.82,0:01:42.97,Default,,0000,0000,0000,,内部に入ると 土台や壁の石たちが Dialogue: 0,0:01:42.97,0:01:46.57,Default,,0000,0000,0000,,故郷であるエジプトやシリアの話を囁きます Dialogue: 0,0:01:46.57,0:01:51.86,Default,,0000,0000,0000,,アルテミス神殿からきた柱は\Nもっと遠い昔を思い起こしているでしょう Dialogue: 0,0:01:51.86,0:01:55.23,Default,,0000,0000,0000,,皇帝のエリート護衛であるバイキングが刻んだ碑文は\Nルーン文字で書かれていて Dialogue: 0,0:01:55.23,0:01:57.64,Default,,0000,0000,0000,,遠く離れた北の国の伝説を今に伝えます Dialogue: 0,0:01:57.64,0:02:02.70,Default,,0000,0000,0000,,立派なドーム型の天井にも目が留まります\N天国を表しているものです Dialogue: 0,0:02:02.70,0:02:06.95,Default,,0000,0000,0000,,高さは50メートル 直径は30メートルを超え Dialogue: 0,0:02:06.95,0:02:09.59,Default,,0000,0000,0000,,台座の周りは窓に囲まれています Dialogue: 0,0:02:09.59,0:02:12.35,Default,,0000,0000,0000,,この黄金のドームは\Nまるで天からつるされているようで Dialogue: 0,0:02:12.35,0:02:15.01,Default,,0000,0000,0000,,光が内で反射しています Dialogue: 0,0:02:15.01,0:02:19.25,Default,,0000,0000,0000,,その壮大な象徴の下に\Nコリント式の柱が頑丈な補強材としてあります Dialogue: 0,0:02:19.25,0:02:23.51,Default,,0000,0000,0000,,これは558年の地震で元のドームが\N部分的に壊れたため Dialogue: 0,0:02:23.51,0:02:25.65,Default,,0000,0000,0000,,レバノンから持ち込まれたものです Dialogue: 0,0:02:25.65,0:02:27.69,Default,,0000,0000,0000,,この建物の脆さや\N驚くべき建築技術の高さを Dialogue: 0,0:02:27.69,0:02:31.28,Default,,0000,0000,0000,,あなたは静かに感じ取ることでしょう Dialogue: 0,0:02:31.28,0:02:34.34,Default,,0000,0000,0000,,一幅の絵は幾千もの言葉に値するとも言えます Dialogue: 0,0:02:34.34,0:02:37.42,Default,,0000,0000,0000,,その後何世紀にもわたって\N描かれたモザイク画を見れば Dialogue: 0,0:02:37.42,0:02:39.89,Default,,0000,0000,0000,,聖書の内容をテーマにしたものばかりではなく Dialogue: 0,0:02:39.89,0:02:42.96,Default,,0000,0000,0000,,それを作らせたビザンチンの皇帝たちも Dialogue: 0,0:02:42.96,0:02:45.44,Default,,0000,0000,0000,,キリストと一緒に描かれていることが\Nわかるでしょう Dialogue: 0,0:02:45.44,0:02:47.48,Default,,0000,0000,0000,,しかし 彼らの大きくはっきりとした声の下で Dialogue: 0,0:02:47.48,0:02:51.84,Default,,0000,0000,0000,,破壊され 失われたモザイク画や肖像の\N声がこだまするのも聞こえます Dialogue: 0,0:02:51.84,0:02:56.13,Default,,0000,0000,0000,,第4回十字軍におけるラテン帝国の占拠で\N冒とくや略奪の限りを尽くされたのです Dialogue: 0,0:02:56.13,0:02:59.93,Default,,0000,0000,0000,,床にはエリンコ・ダンドロの墓碑があります Dialogue: 0,0:02:59.93,0:03:02.38,Default,,0000,0000,0000,,彼はベネチアの元首で この十字軍を\N指揮しました Dialogue: 0,0:03:02.38,0:03:08.11,Default,,0000,0000,0000,,この荒れ果てた墓碑は アヤソフィアが57年間\Nローマ・カトリックの教会であったことを思わせます Dialogue: 0,0:03:08.11,0:03:13.01,Default,,0000,0000,0000,,その後 ビザンチン帝国の再征服により\N正統派のキリスト教教会となりました Dialogue: 0,0:03:13.01,0:03:15.23,Default,,0000,0000,0000,,しかし それも長くは続きませんでした Dialogue: 0,0:03:15.23,0:03:19.87,Default,,0000,0000,0000,,十字軍によって弱体化したコンスタンティノープルは\N1453年にオスマン帝国に征服され Dialogue: 0,0:03:19.87,0:03:22.45,Default,,0000,0000,0000,,それ以来 \Nイスタンブールとして知られています Dialogue: 0,0:03:22.45,0:03:24.83,Default,,0000,0000,0000,,皇帝のメフメト2世は 自軍に\N3日間の略奪を許した後 Dialogue: 0,0:03:24.83,0:03:27.47,Default,,0000,0000,0000,,この建物に入りました Dialogue: 0,0:03:27.47,0:03:30.58,Default,,0000,0000,0000,,ひどく傷ついてはいたものの\Nその壮麗さは失われておらず Dialogue: 0,0:03:30.58,0:03:33.87,Default,,0000,0000,0000,,若き皇帝はすぐにこれを\N新しい帝国のモスクと宣言し Dialogue: 0,0:03:33.87,0:03:37.33,Default,,0000,0000,0000,,アラーに奉納しました Dialogue: 0,0:03:37.33,0:03:39.46,Default,,0000,0000,0000,,4つの尖塔は次の世紀に建てられましたが Dialogue: 0,0:03:39.46,0:03:41.57,Default,,0000,0000,0000,,この時代を象徴するものとしては\Nもっとも明確なものです Dialogue: 0,0:03:41.57,0:03:45.67,Default,,0000,0000,0000,,宗教上の役割に加え \N構造上の支えとしての役目も果たしています Dialogue: 0,0:03:45.67,0:03:47.13,Default,,0000,0000,0000,,他にもまだまだあります Dialogue: 0,0:03:47.13,0:03:50.75,Default,,0000,0000,0000,,華麗なろうそく立てはスレイマンの\Nハンガリー征服に関連しています Dialogue: 0,0:03:50.75,0:03:53.28,Default,,0000,0000,0000,,一方 天井からつるされている\Nアラビア語が書かれた円盤は Dialogue: 0,0:03:53.28,0:03:57.62,Default,,0000,0000,0000,,モハメドに続く4人のカリフを\N思い起こさせます Dialogue: 0,0:03:57.62,0:04:02.67,Default,,0000,0000,0000,,現在目にする建物は一見モスクに見えますが\N博物館となっています Dialogue: 0,0:04:02.67,0:04:06.70,Default,,0000,0000,0000,,トルコ共和国の初代大統領である\Nケマル・アタチュルクによって Dialogue: 0,0:04:06.70,0:04:08.80,Default,,0000,0000,0000,,1935年に決定されました Dialogue: 0,0:04:08.80,0:04:11.61,Default,,0000,0000,0000,,オスマン帝国の崩壊後のことです Dialogue: 0,0:04:11.61,0:04:15.16,Default,,0000,0000,0000,,この決定により \N大理石で飾られた床を隠すカーペットや Dialogue: 0,0:04:15.16,0:04:17.86,Default,,0000,0000,0000,,キリスト教のモザイク画を覆う石膏を取り除き Dialogue: 0,0:04:17.86,0:04:20.64,Default,,0000,0000,0000,,建物の世俗化を行いました Dialogue: 0,0:04:20.64,0:04:24.61,Default,,0000,0000,0000,,現在も行われている修復作業によって\N何世紀にも渡る沈黙を破り Dialogue: 0,0:04:24.61,0:04:26.49,Default,,0000,0000,0000,,アヤソフィアの長い歴史の多種多様な声を Dialogue: 0,0:04:26.49,0:04:29.34,Default,,0000,0000,0000,,もう一度聴くことができるようになりました Dialogue: 0,0:04:29.34,0:04:31.07,Default,,0000,0000,0000,,しかし 対立は残っています Dialogue: 0,0:04:31.07,0:04:34.47,Default,,0000,0000,0000,,イスラムの書の下から\N隠れたモザイク画が声を上げています Dialogue: 0,0:04:34.47,0:04:38.97,Default,,0000,0000,0000,,破壊なしに歴史上価値のあるものを\N見出すことはできないのです Dialogue: 0,0:04:38.97,0:04:42.65,Default,,0000,0000,0000,,同時にイスラム教 キリスト教社会双方から Dialogue: 0,0:04:42.65,0:04:45.93,Default,,0000,0000,0000,,以前のようにこの建物を宗教目的として\N返還してほしいとの声も聞かれます Dialogue: 0,0:04:45.93,0:04:49.20,Default,,0000,0000,0000,,神の英知の物語は\Nまだまだ終わりそうにありません Dialogue: 0,0:04:49.20,0:04:52.62,Default,,0000,0000,0000,,ただ願ってやまないのは\Nそこに存在するたくさんの声が Dialogue: 0,0:04:52.62,0:04:55.71,Default,,0000,0000,0000,,この先もずっと物語を\N語り継ぐことです