1 00:00:00,136 --> 00:00:04,539 私は宇宙船エンタープライズ号の 退役隊員です 2 00:00:04,539 --> 00:00:07,899 私は巨大な宇宙船で 3 00:00:07,899 --> 00:00:10,635 汪洋たる宇宙を飛び回りました 4 00:00:10,635 --> 00:00:12,034 この宇宙の旅を共にした 5 00:00:12,034 --> 00:00:14,970 クルーはというと 6 00:00:14,970 --> 00:00:16,734 多種多様な人種 7 00:00:16,734 --> 00:00:18,498 文化 そして背景を有する 8 00:00:18,498 --> 00:00:20,264 世界各国から集まった 9 00:00:20,264 --> 00:00:22,221 人員で構成されていました 10 00:00:22,221 --> 00:00:25,866 我々の使命は まだ見ぬ新たな世界や 11 00:00:25,866 --> 00:00:29,742 新たな生命体 文明を探し求めて 12 00:00:29,742 --> 00:00:34,705 人類未開の宇宙を 大胆に突き進む ことでした 13 00:00:34,705 --> 00:00:36,190 さて... 14 00:00:36,190 --> 00:00:41,654 (拍手) 15 00:00:42,906 --> 00:00:49,692 私はアメリカに渡った 日系移民の孫に当たります 16 00:00:49,692 --> 00:00:53,177 彼らもまた 機会を求めて 未知の新たな世界へと 17 00:00:53,177 --> 00:00:56,013 大胆にも渡っていった というわけです 18 00:00:56,013 --> 00:00:59,499 母はカリフォルニア州 サクラメント出身で 19 00:00:59,499 --> 00:01:01,940 父はサンフランシスコです 20 00:01:01,940 --> 00:01:04,685 二人はロサンゼルスで出会い 結婚し そして私が生まれました 21 00:01:04,685 --> 00:01:08,406 二人はロサンゼルスで出会い 結婚し そして私が生まれました 22 00:01:08,406 --> 00:01:10,599 私が4歳の頃でした 23 00:01:10,599 --> 00:01:12,524 1941年の12月7日 24 00:01:12,524 --> 00:01:17,231 日本軍が真珠湾を爆撃しました 25 00:01:17,231 --> 00:01:21,240 これを皮切りに世界は 一夜にして戦争へと突き進みました 26 00:01:21,240 --> 00:01:24,674 これを皮切りに世界は 一夜にして戦争へと突き進みました 27 00:01:24,674 --> 00:01:27,627 アメリカは突如として ヒステリー状態に陥りました 28 00:01:27,627 --> 00:01:31,551 アメリカは突如として ヒステリー状態に陥りました 29 00:01:31,551 --> 00:01:33,025 日系アメリカ人や 30 00:01:33,025 --> 00:01:36,185 日本人を祖先にもつ アメリカ国民らには 31 00:01:36,185 --> 00:01:37,520 疑惑と恐怖 そして むき出しの憎悪の眼差しが 32 00:01:37,520 --> 00:01:41,542 疑惑と恐怖 そして むき出しの憎悪の眼差しが 33 00:01:41,542 --> 00:01:44,514 一斉に向けられました 34 00:01:44,514 --> 00:01:47,184 理由は単に 真珠湾を襲った日本人に 35 00:01:47,184 --> 00:01:49,870 見た目が似ているからです 36 00:01:49,870 --> 00:01:53,340 ヒステリー状態は さらに膨らみ 37 00:01:53,340 --> 00:01:56,930 ついに1942年の2月 38 00:01:56,930 --> 00:01:59,074 合衆国大統領 フランクリン・ルーズベルトの命令で 39 00:01:59,074 --> 00:02:01,244 合衆国大統領 フランクリン・ルーズベルトの命令で 40 00:02:01,244 --> 00:02:03,917 西海岸の日系アメリカ人は 全員捕らえられたのです 41 00:02:03,917 --> 00:02:06,026 西海岸の日系アメリカ人は 全員捕らえられたのです 42 00:02:06,026 --> 00:02:08,942 西海岸の日系アメリカ人は 全員捕らえられたのです 43 00:02:08,942 --> 00:02:12,147 私たちは告訴することも 裁判を起こすこともできず 44 00:02:12,147 --> 00:02:14,461 「適正手続きの保障」すら ありませんでした 45 00:02:14,461 --> 00:02:17,165 「適正手続きの保障」は 司法制度の核心です 46 00:02:17,165 --> 00:02:18,778 「適正手続きの保障」は 司法制度の核心です 47 00:02:18,778 --> 00:02:21,207 しかし正義は消え失せました 48 00:02:21,207 --> 00:02:23,306 私たち日系人は収監されたのです 49 00:02:23,306 --> 00:02:27,567 有刺鉄線で囲まれた10の収容所は 50 00:02:27,567 --> 00:02:31,757 アメリカの中でも最も荒廃した 地域にありました 51 00:02:31,767 --> 00:02:35,186 うだるように熱い アリゾナの砂漠や 52 00:02:35,186 --> 00:02:38,651 耐えがたく蒸し暑い アーカンザスの湿地 53 00:02:38,651 --> 00:02:42,344 ワイオミング アイダホ  ユタ コロラドの荒れ地に 54 00:02:42,344 --> 00:02:47,778 カリフォルニアの 人里離れた地域です 55 00:02:47,778 --> 00:02:52,546 4月20日 私は5度目の誕生日を祝いました 56 00:02:52,546 --> 00:02:56,163 私の誕生日から わずかに数週間後でした 57 00:02:56,163 --> 00:02:58,934 両親は弟とまだ乳児の妹 そして私のことを 58 00:02:58,934 --> 00:03:00,992 両親は弟とまだ乳児の妹 そして私のことを 59 00:03:00,992 --> 00:03:03,021 早朝に突然起こして 着替えさせました 60 00:03:03,021 --> 00:03:06,246 早朝に突然起こして 着替えさせました 61 00:03:06,246 --> 00:03:08,240 弟と私がリビングから 62 00:03:08,240 --> 00:03:11,303 窓の外を眺めていると 63 00:03:11,303 --> 00:03:15,147 二人の兵士が こちらにやって来ました 64 00:03:15,147 --> 00:03:19,669 彼らの持つライフルの先には 銃剣が光っていました 65 00:03:19,669 --> 00:03:22,470 玄関先で足を止めると ドアをガンガン叩きました 66 00:03:22,470 --> 00:03:24,989 玄関先で足を止めると ドアをガンガン叩きました 67 00:03:24,989 --> 00:03:27,094 父が応対すると 68 00:03:27,094 --> 00:03:31,835 兵士たちは「全員 外に出ろ」 と命令してきました 69 00:03:31,835 --> 00:03:34,160 父が私と弟に 小さな荷物を手渡すと 70 00:03:34,160 --> 00:03:35,902 父が私と弟に 小さな荷物を手渡すと 71 00:03:35,902 --> 00:03:39,418 そのまま外に出て立ったまま 母が出てくるのを待ちました 72 00:03:39,418 --> 00:03:42,413 そのまま外に出て立ったまま 母が出てくるのを待ちました 73 00:03:42,413 --> 00:03:45,728 しばらくして 片手に赤子の妹を抱え 74 00:03:45,728 --> 00:03:48,791 もう片方でダッフルバッグを持って 75 00:03:48,791 --> 00:03:52,163 母が出てきました 76 00:03:52,163 --> 00:03:57,305 母の両頬には とめどなく 涙が流れ落ちていました 77 00:03:57,305 --> 00:04:01,092 あの光景は今も忘れません 78 00:04:01,092 --> 00:04:05,440 私の脳裏にしっかりと 焼き付いています 79 00:04:05,440 --> 00:04:08,231 私たち家族は家を追われ 他の日系アメリカ人たちと一緒に 80 00:04:08,231 --> 00:04:10,749 私たち家族は家を追われ 他の日系アメリカ人たちと一緒に 81 00:04:10,749 --> 00:04:13,759 列車に詰め込まれました 82 00:04:13,759 --> 00:04:15,239 各列車の両端には 見張りの兵士がいて 83 00:04:15,239 --> 00:04:18,699 各列車の両端には 見張りの兵士がいて 84 00:04:18,699 --> 00:04:21,398 私たちはまるで犯罪者でした 85 00:04:21,398 --> 00:04:25,555 そうして四日三晩もの間 列車に揺られて 86 00:04:25,555 --> 00:04:29,767 アメリカの三分の二を 横断して ついには 87 00:04:29,767 --> 00:04:33,502 アーカンザスの湿地へと 連れてこられたのです 88 00:04:33,502 --> 00:04:35,515 収容所を囲んだ有刺鉄線を 今でも覚えています 89 00:04:35,515 --> 00:04:38,125 収容所を囲んだ有刺鉄線を 今でも覚えています 90 00:04:38,125 --> 00:04:40,712 私たちに自動小銃の照準を合せてくる 監視塔のことも忘れはしません 91 00:04:40,712 --> 00:04:44,965 私たちに自動小銃の照準を合せてくる 監視塔のことも忘れはしません 92 00:04:44,965 --> 00:04:47,654 夜間 兵営から便所に走る私を 93 00:04:47,654 --> 00:04:49,093 沿うように追いかけてくる サーチライトのことも忘れません 94 00:04:49,093 --> 00:04:52,344 沿うように追いかけてくる サーチライトのことも忘れません 95 00:04:52,344 --> 00:04:54,504 ただ 5歳の私には 96 00:04:54,504 --> 00:04:56,800 おしっこに行く道を照らす明りは 少し嬉しくもありました 97 00:04:56,800 --> 00:05:00,054 おしっこに行く道を照らす明りは 少し嬉しくもありました 98 00:05:00,054 --> 00:05:01,947 子供だった私は 自らが置かれている状況を 99 00:05:01,947 --> 00:05:04,572 子供だった私は 自らが置かれている状況を 100 00:05:04,572 --> 00:05:07,003 理解するには幼すぎました 101 00:05:07,003 --> 00:05:11,769 子供には驚く程の 適応力があります 102 00:05:11,769 --> 00:05:15,326 捕虜収容所での 悲惨を極めた非日常が 103 00:05:15,326 --> 00:05:18,180 その適応力をもって 私の日常に成りかわったのです 104 00:05:18,180 --> 00:05:21,794 その適応力をもって 私の日常に成りかわったのです 105 00:05:21,794 --> 00:05:25,484 騒々しい 人々でごったがえす ホールで1日に3回 106 00:05:25,484 --> 00:05:30,231 汚らしい食べ物のために 並ぶことも 107 00:05:30,231 --> 00:05:32,578 父と一緒に 集団で浴びるシャワーも 108 00:05:32,578 --> 00:05:35,375 私には普通になりました 109 00:05:35,375 --> 00:05:37,344 収容所で過ごし 110 00:05:37,344 --> 00:05:39,645 有刺鉄線で囲まれた 捕虜としての生活が定着したのです 111 00:05:39,645 --> 00:05:43,269 有刺鉄線で囲まれた 捕虜としての生活が定着したのです 112 00:05:43,269 --> 00:05:44,910 戦争が終結すると 私たちは解放され 113 00:05:44,910 --> 00:05:46,962 戦争が終結すると 私たちは解放され 114 00:05:46,962 --> 00:05:48,968 アメリカ全土どこへでも行ける 片道切符を渡されました 115 00:05:48,968 --> 00:05:52,534 アメリカ全土どこへでも行ける 片道切符を渡されました 116 00:05:52,534 --> 00:05:54,435 両親はロサンゼルスへ 帰ることに決めましたが 117 00:05:54,435 --> 00:05:57,003 両親はロサンゼルスへ 帰ることに決めましたが 118 00:05:57,003 --> 00:06:01,384 かつての故郷での生活は 困難を極めました 119 00:06:01,384 --> 00:06:02,780 私たちは無一文で 120 00:06:02,780 --> 00:06:05,256 全てを奪われた上に 世間の風当たりは散々でした 121 00:06:05,256 --> 00:06:07,689 全てを奪われた上に 世間の風当たりは散々でした 122 00:06:07,689 --> 00:06:10,540 最初の住まいはスキッド・ロウという LAで最も貧困層の多い地区で 123 00:06:10,540 --> 00:06:15,493 最初の住まいはスキッド・ロウという LAで最も貧困層の多い地区で 124 00:06:15,493 --> 00:06:18,060 路上生活者や酔っ払い 犯罪者などが暮らしていました 125 00:06:18,060 --> 00:06:20,080 路上生活者や酔っ払い 犯罪者などが暮らしていました 126 00:06:20,080 --> 00:06:22,674 小便のひどい悪臭が 127 00:06:22,674 --> 00:06:25,787 大きな通りだけでなく 小さな脇道や 128 00:06:25,787 --> 00:06:28,108 玄関からも漂いました 129 00:06:28,108 --> 00:06:30,810 ひどい体験でしたよ 130 00:06:30,810 --> 00:06:34,226 子供だった私と弟は 恐怖も覚えました 131 00:06:34,226 --> 00:06:36,738 ある日のことです 酔っぱらいがふらふらと近づいてきて 132 00:06:36,738 --> 00:06:39,690 ある日のことです 酔っぱらいがふらふらと近づいてきて 133 00:06:39,690 --> 00:06:42,207 私たちの目の前で倒れたと思うと 134 00:06:42,207 --> 00:06:43,857 嘔吐したのです 135 00:06:43,857 --> 00:06:49,174 まだ小さかった妹は言いました 「ママ お家に帰ろうよ!」 136 00:06:49,174 --> 00:06:51,480 有刺鉄線に囲まれた収容所が 137 00:06:51,480 --> 00:06:54,096 当時の私たちにとっては 138 00:06:54,096 --> 00:06:56,939 帰りたいと思う「お家」だったのです 139 00:06:56,939 --> 00:06:58,590 両親は普通の生活を 取り戻そうと必死に働きました 140 00:06:58,590 --> 00:07:00,427 両親は普通の生活を 取り戻そうと必死に働きました 141 00:07:00,427 --> 00:07:01,726 全てを失ったので 142 00:07:01,726 --> 00:07:04,170 両親にとっては 人生半ばでの再出発でした 143 00:07:04,170 --> 00:07:05,805 両親にとっては 人生半ばでの再出発でした 144 00:07:05,805 --> 00:07:08,354 文字通り身を削りながら働きました 145 00:07:08,354 --> 00:07:11,632 そうして やっとの思いで 資金を工面して 146 00:07:11,632 --> 00:07:14,120 素敵な郊外に寝室が3つある 147 00:07:14,120 --> 00:07:17,285 一軒家を購入しました 148 00:07:17,285 --> 00:07:18,876 思春期を迎えた私は 149 00:07:18,876 --> 00:07:20,670 幼少期の収容体験について とても興味を寄せるようになりました 150 00:07:20,670 --> 00:07:23,940 幼少期の収容体験について とても興味を寄せるようになりました 151 00:07:23,940 --> 00:07:26,980 社会科の本も読むようになり 152 00:07:26,980 --> 00:07:30,691 アメリカ民主主義の理想に ついて学びました 153 00:07:30,691 --> 00:07:33,356 「全ての人間は平等に造られていること」 154 00:07:33,356 --> 00:07:36,267 「全ての人間は― 155 00:07:36,267 --> 00:07:41,206 生命 自由及び幸福追求 について不可侵の権利を有すること」 156 00:07:41,206 --> 00:07:43,440 収容所での体験を思うと 157 00:07:43,440 --> 00:07:46,829 この主義主張はどこか 腑に落ちませんでした 158 00:07:46,829 --> 00:07:48,910 歴史の教科書は収容所について 全く触れていませんでした 159 00:07:48,910 --> 00:07:51,781 歴史の教科書は収容所について 全く触れていませんでした 160 00:07:51,781 --> 00:07:55,685 そこで私は父とこのことについて 毎晩長く ときに熱く 議論するようになりました 161 00:07:55,685 --> 00:08:00,245 そこで私は父とこのことについて 毎晩長く ときに熱く 議論するようになりました 162 00:08:00,245 --> 00:08:03,013 父と私は何度も議論を重ねました 163 00:08:03,013 --> 00:08:05,792 そうして私が得たもの それは父の英知でした 164 00:08:05,792 --> 00:08:07,982 そうして私が得たもの それは父の英知でした 165 00:08:07,982 --> 00:08:10,294 父こそが あの収容の状況下で 166 00:08:10,294 --> 00:08:13,760 最も苦しんだ本人なのでした 167 00:08:13,760 --> 00:08:17,737 それでも父は アメリカの民主主義を深く理解し 168 00:08:17,737 --> 00:08:20,464 私に言いました「この民主主義は 人民のために存在している」 169 00:08:20,464 --> 00:08:22,571 私に言いました「この民主主義は 人民のために存在している」 170 00:08:22,571 --> 00:08:25,630 「民主主義には 素晴らしい可能性もあるが 171 00:08:25,630 --> 00:08:30,821 人間と同じく 脆く崩れ去る可能性もある」 172 00:08:30,821 --> 00:08:35,091 父は教えてくれました 「アメリカの民主主義は 173 00:08:35,091 --> 00:08:41,047 民主主義を機能させる過程において そこに関わる制度や考え方を 174 00:08:41,047 --> 00:08:44,548 大切にしている善良な人々によって 支えられている」ということを 175 00:08:44,548 --> 00:08:47,278 大切にしている善良な人々によって 支えられている」ということを 176 00:08:47,278 --> 00:08:51,343 父に連れられ 選挙対策事務本部に行くと 177 00:08:51,343 --> 00:08:55,134 当時はイリノイ州知事が 大統領選に出馬しており 178 00:08:55,134 --> 00:08:59,822 父はアメリカの選挙政治についての いろはを教えてくれました 179 00:08:59,822 --> 00:09:02,183 それと 第二次大戦中の 若き日系アメリカ人たちのことも 180 00:09:02,183 --> 00:09:03,961 それと 第二次大戦中の 若き日系アメリカ人たちのことも 181 00:09:03,961 --> 00:09:07,021 一緒に語ってくれました 182 00:09:07,021 --> 00:09:09,825 真珠湾が爆撃されたとき 183 00:09:09,825 --> 00:09:12,806 若いアメリカ人と同じくして 184 00:09:12,806 --> 00:09:15,304 若い日系アメリカ人らも自ら 185 00:09:15,304 --> 00:09:18,712 アメリカ合衆国の為に闘おうと 徴兵委員会へと志願にいったそうです 186 00:09:18,712 --> 00:09:21,144 しかしこの国を想っての行動も 拒絶されてしまったそうです 187 00:09:21,144 --> 00:09:25,462 しかしこの国を想っての行動も 拒絶されてしまったそうです 188 00:09:25,462 --> 00:09:28,466 日系アメリカ人たちは兵役を拒否され 189 00:09:28,466 --> 00:09:34,328 「非外国人であり敵だ」と形容されました 190 00:09:34,328 --> 00:09:37,372 祖国の為に闘おうと 立ち上がったのに 191 00:09:37,372 --> 00:09:40,590 敵呼ばわりされるのは 常軌を逸しています 192 00:09:40,590 --> 00:09:44,960 唯一の救いは「非外国人」という 部分でつまり 193 00:09:44,960 --> 00:09:48,070 否定的な表現を伴いながらも 194 00:09:48,070 --> 00:09:52,111 「アメリカ国民」ではあったわけです 195 00:09:52,111 --> 00:09:55,761 しかし 後にはその「国民」の 地位さえ剥奪され 196 00:09:55,761 --> 00:10:00,389 1年間に渡る強制収容を 強いられていたのです 197 00:10:00,389 --> 00:10:02,377 その後 米国政府は 198 00:10:02,377 --> 00:10:06,747 戦時中の人手不足に気づきました 199 00:10:06,747 --> 00:10:11,126 すると 突然手のひらを返して 200 00:10:11,126 --> 00:10:13,253 若い日系アメリカ人たちに 兵役につく門戸を開きました 201 00:10:13,253 --> 00:10:16,171 若い日系アメリカ人たちに 兵役につく門戸を開きました 202 00:10:16,171 --> 00:10:18,838 まったくもって不合理な話ですが 203 00:10:18,838 --> 00:10:21,072 驚くべき 素晴らしいことが 204 00:10:21,072 --> 00:10:23,429 起こりました 205 00:10:23,429 --> 00:10:25,382 男女問わず数千人もの 若き日系アメリカ人たちが 206 00:10:25,382 --> 00:10:28,340 男女問わず数千人もの 若き日系アメリカ人たちが 207 00:10:28,340 --> 00:10:32,303 有刺鉄線で囲まれた 収容所を後にして 208 00:10:32,303 --> 00:10:35,760 彼らを監視していた 兵士たちと同じ制服を着て 209 00:10:35,760 --> 00:10:39,288 収容所に家族を残したまま 210 00:10:39,288 --> 00:10:41,602 合衆国のために立ち上がりました 211 00:10:41,602 --> 00:10:43,563 彼らが立ち上がったのは 212 00:10:43,563 --> 00:10:46,829 有刺鉄線で囲まれた拘置所から 213 00:10:46,829 --> 00:10:49,387 家族を解放するためだけではなく 214 00:10:49,387 --> 00:10:52,617 人は皆 平等であるという 215 00:10:52,617 --> 00:10:54,840 当時はないがしろにされていた 216 00:10:54,840 --> 00:10:56,731 米国民主主義が守るべき 217 00:10:56,731 --> 00:10:59,232 まさにその理想を取り戻そうと 218 00:10:59,232 --> 00:11:03,145 彼らは立ち上がったのです 219 00:11:03,145 --> 00:11:05,479 「全ての人間は平等に造られている」 220 00:11:05,479 --> 00:11:09,300 彼らには合衆国の為に 闘う覚悟がありました 221 00:11:09,300 --> 00:11:10,980 日系アメリカ人による日系人だけの 特別部隊が編制され 222 00:11:10,980 --> 00:11:13,202 日系アメリカ人による日系人だけの 特別部隊が編制され 223 00:11:13,202 --> 00:11:15,826 ヨーロッパの戦地へと 送り込まれました 224 00:11:15,826 --> 00:11:18,897 そして危険も顧みずに闘いました 225 00:11:18,897 --> 00:11:21,742 彼らは信じられないような勇気をもって 226 00:11:21,742 --> 00:11:25,200 勇猛果敢な素晴らしい戦いぶりを見せました 227 00:11:25,200 --> 00:11:28,962 彼らが送り込まれたのは 最も危険な任務ばかりで 228 00:11:28,962 --> 00:11:31,843 全部隊中 最悪の戦闘死傷率を 229 00:11:31,843 --> 00:11:35,649 継続的に記録しました 230 00:11:35,649 --> 00:11:38,944 それを如実に物語る 戦いが一つあります 231 00:11:38,944 --> 00:11:41,988 それがゴシックラインの戦いです 232 00:11:41,988 --> 00:11:44,290 この難攻不落の山岳地帯は 洞窟の中から 233 00:11:44,290 --> 00:11:46,877 この難攻不落の山岳地帯は 洞窟の中から 234 00:11:46,877 --> 00:11:48,449 ごつごつとした山腹までを ドイツ国防軍が占拠していました 235 00:11:48,449 --> 00:11:50,929 ごつごつとした山腹までを ドイツ国防軍が占拠していました 236 00:11:50,929 --> 00:11:54,200 3つの部隊による 237 00:11:54,200 --> 00:11:55,978 6ヶ月にもわたる砲撃も 功を奏せずに 238 00:11:55,978 --> 00:11:57,462 6ヶ月にもわたる砲撃も 功を奏せずに 239 00:11:57,462 --> 00:11:59,892 膠着状態が続いていました 240 00:11:59,892 --> 00:12:02,786 そこに日系第442連隊戦闘団が 追加戦力として投入されます 241 00:12:02,786 --> 00:12:06,108 そこに日系第442連隊戦闘団が 追加戦力として投入されます 242 00:12:06,108 --> 00:12:08,274 第442連隊戦闘団の練り出した戦略は 243 00:12:08,274 --> 00:12:11,434 ユニークでしたが それと同時に 244 00:12:11,434 --> 00:12:13,734 危険なものでもありました 245 00:12:13,734 --> 00:12:15,529 その山の背面は 断崖絶壁だったため 246 00:12:15,529 --> 00:12:18,190 その山の背面は 断崖絶壁だったため 247 00:12:18,190 --> 00:12:21,599 ドイツ国防軍は 背面からの攻撃は不可能だと 248 00:12:21,599 --> 00:12:24,109 高を括っていました 249 00:12:24,109 --> 00:12:28,480 第442連隊戦闘団は この不可能に目をつけたのです 250 00:12:28,480 --> 00:12:32,223 月明かりさえない闇夜に 251 00:12:32,223 --> 00:12:36,471 第442連隊は 300m以上もある絶壁を 252 00:12:36,471 --> 00:12:40,090 登り始めました 253 00:12:40,090 --> 00:12:42,737 完全武装をした状態で 254 00:12:42,737 --> 00:12:45,581 断崖絶壁を一晩中 255 00:12:45,581 --> 00:12:48,631 黙々と登っていきました 256 00:12:50,279 --> 00:12:52,232 暗闇の中ですから 257 00:12:52,232 --> 00:12:54,312 手や足を滑らせる者が いないはずもなく 258 00:12:54,312 --> 00:12:55,925 手や足を滑らせる者が いないはずもなく 259 00:12:55,925 --> 00:12:58,122 山峡へと落下して 命を落とす者もいました 260 00:12:58,122 --> 00:13:00,203 山峡へと落下して 命を落とす者もいました 261 00:13:00,203 --> 00:13:04,630 ただただ 音もなく 落ちていきました 262 00:13:04,630 --> 00:13:07,195 自分たちの存在を知られないよう 263 00:13:07,195 --> 00:13:10,427 声を押し殺して堪えました 264 00:13:10,427 --> 00:13:14,285 8時間もの間 休みもなく 登り続けました 265 00:13:14,285 --> 00:13:17,404 頂上まで辿り着いた者は 266 00:13:17,404 --> 00:13:21,886 夜明けが来るのを 静かに待ちました 267 00:13:21,886 --> 00:13:24,965 そして 朝日が昇ると同時に 奇襲を仕掛けました 268 00:13:24,965 --> 00:13:26,558 そして 朝日が昇ると同時に 奇襲を仕掛けました 269 00:13:26,558 --> 00:13:28,212 不意を突かれたドイツ兵は 270 00:13:28,212 --> 00:13:29,960 この丘を諦め 遂に ゴシックラインが陥落しました 271 00:13:29,960 --> 00:13:32,970 この丘を諦め 遂に ゴシックラインが陥落しました 272 00:13:32,970 --> 00:13:35,258 6ヶ月もの膠着状態が続いた戦局を 273 00:13:35,258 --> 00:13:37,463 第442連隊はものの32分で 打開してみせたのです 274 00:13:37,463 --> 00:13:40,444 第442連隊はものの32分で 打開してみせたのです 275 00:13:40,444 --> 00:13:44,080 全くもって素晴らしい所業ですよ 276 00:13:44,080 --> 00:13:46,930 そして終戦を迎え 277 00:13:46,930 --> 00:13:50,147 第442連隊は第二次世界大戦において 278 00:13:50,147 --> 00:13:52,563 最多の勲章を受けた部隊として アメリカ合衆国へ帰還しました 279 00:13:52,563 --> 00:13:55,480 最多の勲章を受けた部隊として アメリカ合衆国へ帰還しました 280 00:13:55,480 --> 00:13:58,210 彼らをホワイトハウスに迎えると 281 00:13:58,210 --> 00:14:00,818 トルーマン大統領は言いました 282 00:14:00,818 --> 00:14:04,074 「諸君は戦の敵だけでなく― 283 00:14:04,074 --> 00:14:08,164 偏見に対しても戦いを挑み 見事に勝利を勝ち取った」 284 00:14:08,694 --> 00:14:12,290 彼らは私のヒーローです 285 00:14:12,290 --> 00:14:15,337 合衆国の光り輝く理想を 286 00:14:15,337 --> 00:14:18,389 彼らは信じてやまなかったのです 287 00:14:18,389 --> 00:14:22,680 そして証明してくれました アメリカ合衆国民とは 288 00:14:22,680 --> 00:14:25,890 一部の人たちの地位ではないことを 289 00:14:25,890 --> 00:14:31,323 そしてその定義に人種的背景など 関係はないということを 290 00:14:31,323 --> 00:14:34,900 彼らの業績は 恐怖 疑念 憎悪の対象とされた 291 00:14:34,900 --> 00:14:37,224 日系アメリカ人らをも 292 00:14:37,224 --> 00:14:41,398 アメリカ合衆国民の定義の 一部分としてしまったのです 293 00:14:41,398 --> 00:14:44,609 彼らは変革を成し遂げ 294 00:14:44,609 --> 00:14:47,091 我々に遺産を残してくれたのです 295 00:14:47,091 --> 00:14:49,308 我々に遺産を残してくれたのです 296 00:14:49,308 --> 00:14:51,097 彼らは私のヒーローです 297 00:14:51,097 --> 00:14:53,448 そして私の父もまた 298 00:14:53,448 --> 00:14:55,258 民主主義の本質を理解し 私を導いてくれたヒーローです 299 00:14:55,258 --> 00:14:59,329 民主主義の本質を理解し 私を導いてくれたヒーローです 300 00:14:59,329 --> 00:15:01,819 先人が托してくれた遺産 301 00:15:01,819 --> 00:15:05,181 そしてその遺産には 責任が伴います 302 00:15:05,181 --> 00:15:07,597 ですから 私は 303 00:15:07,597 --> 00:15:09,586 祖国アメリカが 今よりさらに良い国に成長し 304 00:15:09,586 --> 00:15:12,790 祖国アメリカが 今よりさらに良い国に成長し 305 00:15:12,790 --> 00:15:15,000 我が国の政府が民主主義の本質に さらに近づけるよう力を尽くします 306 00:15:15,000 --> 00:15:18,497 我が国の政府が民主主義の本質に さらに近づけるよう力を尽くします 307 00:15:18,497 --> 00:15:22,237 過去の偉大なヒーローたちと 308 00:15:22,237 --> 00:15:25,859 私たち皆がくぐり抜けてきた 苦境のおかげで 309 00:15:25,859 --> 00:15:27,858 こうして皆さんの前に 310 00:15:27,858 --> 00:15:30,717 ゲイの日系人として立っていられます 311 00:15:30,717 --> 00:15:33,184 しかし それ以上に重要なのは 312 00:15:33,184 --> 00:15:37,192 私が誇り高きアメリカ人であることです 313 00:15:37,192 --> 00:15:39,379 どうもありがとうございました 314 00:15:39,379 --> 00:15:41,350 (拍手)