WEBVTT 00:00:00.791 --> 00:00:07.766 この夏 親族の結婚式で オハイオに戻ってました 00:00:08.986 --> 00:00:09.915 滞在中に 00:00:09.925 --> 00:00:14.028 『アナと雪の女王(原題:Frozen)』 のサイン会がありました 00:00:14.258 --> 00:00:17.543 ディズニー公式イベントでは なかったので 00:00:17.753 --> 00:00:19.713 本物のアナとエルサでは ありません 00:00:19.733 --> 00:00:24.783 この2人はプリンセスパーティを ビジネスとしてやっていました 00:00:24.813 --> 00:00:26.017 お子さんの5歳の誕生日に 00:00:26.037 --> 00:00:29.844 プリンセスが歌を歌って 妖精の粉を振ったら喜ぶでしょう 00:00:30.264 --> 00:00:33.708 社会現象になるほどの 『アナと雪の女王』人気を 00:00:33.728 --> 00:00:36.313 逃す手はないですからね NOTE Paragraph 00:00:36.493 --> 00:00:38.460 このアナとエルサが おもちゃ屋で 00:00:38.460 --> 00:00:39.977 土曜の午前に 子供達を迎えます 00:00:39.987 --> 00:00:42.277 子供がたくさん来て ディズニーグッズを買い 00:00:42.297 --> 00:00:44.560 プリンセスと写真撮影するわけです 00:00:44.570 --> 00:00:47.896 季節を無視したサンタのイベント みたいなものですね 00:00:47.916 --> 00:00:49.132 (笑) NOTE Paragraph 00:00:49.142 --> 00:00:53.790 3才半の姪っ子 サマンサも そんな子供たちの1人でした 00:00:53.800 --> 00:00:59.622 ポスターや塗り絵帳にしてもらえるサインが 著作権に配慮して 00:00:59.642 --> 00:01:04.406 AnnaではなくAnaなのは 子供には気になりません 00:01:04.436 --> 00:01:05.962 (笑) 00:01:05.982 --> 00:01:10.498 オモチャ屋の駐車場に集った サマンサや200人余の子供たちにとっては 00:01:10.518 --> 00:01:14.802 映画から出てきた アナとエルサそのものだったのです NOTE Paragraph 00:01:15.955 --> 00:01:21.667 その朝は夏だったので オハイオは焼けつくような暑さでした 00:01:21.687 --> 00:01:24.173 開場時間の10時ちょうどに行ったんですが 00:01:24.203 --> 00:01:27.065 それでも整理番号59番でした 00:01:27.345 --> 00:01:31.673 11時までに呼ばれたのが 21番から25番 00:01:31.694 --> 00:01:33.426 これは長くなるな と思いました 00:01:33.457 --> 00:01:37.891 暑さで身も心も爆発寸前の子供たちには 無料フェイスペイントやタトゥーシールが 00:01:37.902 --> 00:01:41.396 どれだけあっても意味がありません 00:01:41.417 --> 00:01:42.692 (笑) NOTE Paragraph 00:01:42.712 --> 00:01:47.103 12:30になって ようやく 私たちの番号が呼ばれました 00:01:47.114 --> 00:01:49.966 「56番から63番の方 どうぞ」 00:01:49.986 --> 00:01:53.328 会場に入ると そこはまるで 00:01:53.348 --> 00:01:56.707 ノルウェーの雪景色を ひっくり返したようなすごい光景 00:01:56.717 --> 00:01:57.448 (笑) 00:01:57.468 --> 00:02:01.923 厚紙を切った雪の結晶が床を覆い 00:02:01.933 --> 00:02:07.252 あらゆる表面がラメにまみれ 壁全面につららが張っていました NOTE Paragraph 00:02:07.930 --> 00:02:09.122 並んでいるとき 00:02:09.132 --> 00:02:11.456 58番の母親の後ろよりも 00:02:11.486 --> 00:02:13.501 もっとよく見える場所にと 00:02:13.511 --> 00:02:15.190 姪を肩車してあげました 00:02:15.200 --> 00:02:19.649 視界に入ったプリンセスに 姪はもう釘付け 00:02:19.659 --> 00:02:22.519 列が進むにつれて 姪の興奮は増すばかりでした 00:02:22.540 --> 00:02:24.324 とうとう列の先頭になり 00:02:24.334 --> 00:02:28.567 目の前で58番の子が ポスターを広げています 00:02:28.597 --> 00:02:31.698 肩の上の姪の興奮が 乗せている私にも伝わってきます 00:02:31.708 --> 00:02:35.062 まあ 正直言うと 私もかなりわくわくしていましたね 00:02:35.073 --> 00:02:35.978 (笑) 00:02:35.998 --> 00:02:39.526 私のほうは 行き過ぎた氷雪の装飾に くらくらしていたわけですがね 00:02:39.536 --> 00:02:40.376 (笑) NOTE Paragraph 00:02:40.396 --> 00:02:42.535 そんなわけで列の先頭に来たとき 00:02:42.536 --> 00:02:45.416 疲れきった係員が 姪に向かって 00:02:45.436 --> 00:02:47.655 「おじょうちゃん とうとう次だね! 00:02:47.665 --> 00:02:49.506 降りてくる?それとも写真撮影も 00:02:49.516 --> 00:02:52.052 お父さんの肩の上でいいのかな?」 と言いました 00:02:52.062 --> 00:02:53.240 (笑) 00:02:53.250 --> 00:02:57.281 私といえば その場で 「凍りついて(frozen)」いました 00:02:57.301 --> 00:02:58.614 (笑) NOTE Paragraph 00:02:58.644 --> 00:03:03.347 まったく予期せずして 自問自答が始まりました 00:03:03.367 --> 00:03:04.818 私は何なのか?という問いです 00:03:04.838 --> 00:03:08.216 サマンサの叔母か? ゲイ人権活動家か? 00:03:08.226 --> 00:03:12.197 壁を打ち破る会話についての前講演は 沢山の方にご覧いただきましたが 00:03:12.217 --> 00:03:14.334 まさに ここで格好の事例発生です 00:03:14.344 --> 00:03:15.156 しかし同時に 00:03:15.176 --> 00:03:17.936 私にとって 姪っ子に勝る 大切なものはありません 00:03:17.946 --> 00:03:22.184 誰にでもよくある葛藤が始まりました 00:03:22.194 --> 00:03:25.976 2つの間の板ばさみになり どっちも選べないのです 00:03:25.996 --> 00:03:27.704 活動家としての自分を優先し 00:03:27.714 --> 00:03:32.032 姪を肩から降ろして 係員にこう言ったとしたら? 00:03:32.042 --> 00:03:35.479 「私はこの子の叔母です 父親ではありません 00:03:35.490 --> 00:03:37.759 髪型とか 肩車を見ただけで 00:03:37.769 --> 00:03:42.235 性別を判断するのは 配慮が足らないのでは?」 00:03:42.255 --> 00:03:43.281 (笑) 00:03:43.291 --> 00:03:46.167 しかしそんなことをしている間に 00:03:46.187 --> 00:03:50.386 姪にとっての人生最高の瞬間を 見逃してしまうことでしょう 00:03:51.066 --> 00:03:53.076 では 叔母という立場を優先し 00:03:53.096 --> 00:03:55.954 係員の言葉は聞き流して 写真を撮りまくり 00:03:55.964 --> 00:04:00.651 余計なことは気にせず この瞬間を純粋に楽しみ抜いたら? 00:04:01.112 --> 00:04:02.920 でも そっちを選べば 00:04:02.930 --> 00:04:06.283 声を上げなかったことを恥じながら 店を出ることになります 00:04:06.303 --> 00:04:08.666 よりによって姪の前で 情けないですね NOTE Paragraph 00:04:08.686 --> 00:04:10.689 では何者であるべきか 00:04:10.709 --> 00:04:14.980 どっちのほうを大事にして どっちの役目を優先すべきか? 00:04:15.000 --> 00:04:18.218 叔母なのか?それとも活動家なのか? 00:04:18.229 --> 00:04:21.435 迷っている時間はありませんでした NOTE Paragraph 00:04:22.565 --> 00:04:23.614 今まさに 世の中 00:04:23.634 --> 00:04:27.753 沢山の物事の二極化が進んでいると 言われています 00:04:27.763 --> 00:04:32.684 何事も 白と黒、善と悪 「私たち」と「彼ら」で語られ 00:04:33.354 --> 00:04:37.691 グレーゾーンや中間はなく あるのは両極のみです 00:04:38.131 --> 00:04:40.181 二極性とは 2つの考えや意見が 00:04:40.212 --> 00:04:42.392 互いに完全な真逆で 00:04:42.412 --> 00:04:45.006 180度 正反対であることです 00:04:45.407 --> 00:04:47.911 どっち側につくのか 何かと問われがちです 00:04:47.931 --> 00:04:52.176 完全に 心の底から 「反戦派、母体選択優先派、死刑反対派で 00:04:52.186 --> 00:04:55.794 銃器規正法賛成派、移民歓迎派 かつ労働組合寄り」なのか? 00:04:56.104 --> 00:05:01.487 それとも 完璧に 妥協の余地なしに 00:05:01.497 --> 00:05:03.502 「戦争肯定派、生命優先派、死刑賛成派で 00:05:03.522 --> 00:05:05.298 合衆国憲法の武器を持つ権利を信じ 00:05:05.308 --> 00:05:07.072 移民反対派で企業寄り」なのか? 00:05:07.092 --> 00:05:09.867 全部かゼロか 敵か見方か 00:05:09.877 --> 00:05:11.507 これが二極性というものです NOTE Paragraph 00:05:11.987 --> 00:05:17.281 二極性や絶対性が問題なのは 00:05:17.301 --> 00:05:22.065 人それぞれ独特の個性や経歴を 排除してしまうので 00:05:22.075 --> 00:05:26.671 その結果 私たち人間の本質と 相容れなくなってしまうからです 00:05:27.297 --> 00:05:29.057 二極に引き裂かれてしまったときは 00:05:29.077 --> 00:05:31.037 どうすればいいのでしょうか? 00:05:31.067 --> 00:05:32.677 どっちを取ったとしても 00:05:32.707 --> 00:05:34.817 現実とは違うのですから 00:05:34.837 --> 00:05:37.157 「二極性」の反対にあるものは 何でしょうか? NOTE Paragraph 00:05:37.748 --> 00:05:41.858 決して叶わないような 完全に調和した理想世界ではありません 00:05:41.878 --> 00:05:45.652 「二極性」の反対は 「二元性」だと思います 00:05:45.672 --> 00:05:47.916 二元性とは 2つの面を持つことを言いますが 00:05:47.926 --> 00:05:52.229 これらが180度正反対にあるのではなく 00:05:52.249 --> 00:05:54.895 同時に共存しています 00:05:54.905 --> 00:05:56.752 そんなの不可能だって? 00:05:56.762 --> 00:05:58.333 実現している人 知ってますよ 00:05:58.354 --> 00:06:01.817 中絶を認めているカトリック ヒジャブを着るフェミニスト 00:06:01.827 --> 00:06:03.711 反戦派の元軍人もいれば 00:06:03.731 --> 00:06:06.286 ゲイ同士の結婚を支持する 全米ライフル協会会員まで 00:06:06.296 --> 00:06:08.713 私の周りの友人や家族がそうです 00:06:08.713 --> 00:06:12.469 社会の大多数もそうだし あなたも 私もそうです 00:06:12.489 --> 00:06:16.987 (拍手) 00:06:20.597 --> 00:06:26.095 「二元性」とは 両方の要素を保つ力です 00:06:26.105 --> 00:06:30.567 でも 問題は 両方とも自力で維持できるか? 00:06:30.587 --> 00:06:34.250 両立させる度胸があるか?です NOTE Paragraph 00:06:35.040 --> 00:06:36.842 私は市内のレストラン勤務で 00:06:36.852 --> 00:06:39.492 ホール係をしているんですが 00:06:39.502 --> 00:06:42.370 ホール助手の子とすごく仲良くなりました 00:06:42.390 --> 00:06:44.070 一緒にいてすごく楽しい子で 00:06:44.090 --> 00:06:48.208 スペイン語に堪能でした 00:06:48.218 --> 00:06:49.800 メキシコ出身だからです 00:06:49.810 --> 00:06:51.692 (笑) 00:06:51.702 --> 00:06:53.756 言う順番 間違えちゃいました 00:06:53.986 --> 00:06:58.418 英語はあまりできず でも 私のスペイン語よりは遥かに上手でした 00:06:59.738 --> 00:07:03.877 私たちにとって お互いの相違点は 障害にはならず 00:07:03.887 --> 00:07:06.898 むしろ 共通点で結びついたのです 00:07:07.268 --> 00:07:09.878 かなり違う環境の出身なのに 近い存在でした 00:07:09.898 --> 00:07:11.798 メキシコ出身の彼女は 00:07:12.048 --> 00:07:14.049 家族に楽をさせてあげたくて 00:07:14.069 --> 00:07:16.519 単身 渡米したそうです 00:07:17.069 --> 00:07:20.116 敬虔な保守派のカトリックで 00:07:20.126 --> 00:07:21.826 伝統的な家庭の価値観や 00:07:21.846 --> 00:07:24.003 典型的な性役割を 信じて疑わない子でした 00:07:24.023 --> 00:07:26.787 でも 私は ほら こんな感じでしょ 00:07:26.807 --> 00:07:28.642 (笑) NOTE Paragraph 00:07:28.653 --> 00:07:32.748 それでも 私の彼女のことを話したり 00:07:32.768 --> 00:07:35.787 メキシコに残してきた家族の写真を 見せてもらったり 00:07:35.798 --> 00:07:38.415 そういう話をしながら 仲良くなっていきました 00:07:38.436 --> 00:07:40.072 ある日 スタッフ部屋で 00:07:40.092 --> 00:07:43.682 珍しく客足が引いているうちにと 小さいテーブルを囲んで 00:07:43.693 --> 00:07:45.493 急いでまかないを食べている最中 00:07:45.513 --> 00:07:47.513 厨房担当の新人が来て― 00:07:47.533 --> 00:07:49.125 ちなみにその友人の従弟でした― 00:07:49.145 --> 00:07:52.117 ハタチの彼なりに精一杯の 虚勢と男っぽさを 00:07:52.127 --> 00:07:54.129 見せつけながら座ったんです 00:07:54.139 --> 00:07:55.971 (笑) 00:07:55.991 --> 00:08:01.024 そして 友人にスペイン語で 「アッシュに彼氏はいるのか?」 00:08:01.904 --> 00:08:06.286 友人がスペイン語で答えます 「彼氏じゃなくて 彼女がいるのよ」 00:08:07.276 --> 00:08:10.911 すると新人は 「彼女だって?!?」 00:08:10.932 --> 00:08:14.184 すると友人は フォークを置いて 彼の目をじっと見据え 00:08:14.204 --> 00:08:19.207 「そうよ 彼女がいるの それだけよ」 と言いました 00:08:19.227 --> 00:08:24.040 傲慢にニヤニヤしていた新人が 途端にしおらしくなり 00:08:24.060 --> 00:08:26.974 自分の皿を持って部屋を出て行き 仕事に戻りました 00:08:26.994 --> 00:08:29.178 友人は私とは一度も目を合わせず 00:08:29.668 --> 00:08:31.473 同じく皿を下げて仕事に戻りました 00:08:31.483 --> 00:08:34.605 たった10秒という ものすごく短い会話でした NOTE Paragraph 00:08:34.625 --> 00:08:36.741 この2人は 言語、文化、歴史、家族など 00:08:36.751 --> 00:08:42.039 書類上の共通点は沢山あるし 地元の輪は彼女の命綱でしたが 00:08:42.049 --> 00:08:46.330 彼女自身の倫理基準が その全てを凌いだのです 00:08:46.841 --> 00:08:49.994 少し後で 2人は厨房で スペイン語で 冗談を言い合っていました 00:08:50.004 --> 00:08:51.624 私とは無関係に です 00:08:51.634 --> 00:08:54.678 これが「二元性」です 00:08:54.688 --> 00:08:58.983 ゲイに対する表現上の公正さなんかと 自分の文化や伝統の間で迷ったり 00:08:59.003 --> 00:09:01.594 家族親戚と友情の板挟みに なったりしませんでした 00:09:01.604 --> 00:09:04.478 キリスト様か アッシュ様か 選ばなくてよかったのです 00:09:04.498 --> 00:09:06.466 (笑) 00:09:08.556 --> 00:09:11.393 (拍手) NOTE Paragraph 00:09:15.223 --> 00:09:19.760 彼女自身の倫理観の根元が ものすごく しっかりしていて 00:09:19.771 --> 00:09:23.142 両方とも立てる度胸があったのです 00:09:23.153 --> 00:09:26.094 私たちには 自分の倫理観を 貫き通す責任があります 00:09:26.105 --> 00:09:30.536 やりにくい状況にあってもブレない そんな心構えがなければいけません 00:09:30.556 --> 00:09:33.460 それが何かを支持するいうことであり 支持すると決めたら 00:09:33.480 --> 00:09:35.858 積極的に支持すべきです 00:09:35.878 --> 00:09:40.235 不適切なことを耳にしたら 問題提議し 行動を起こし 00:09:40.245 --> 00:09:41.755 実際に 戦いましょう NOTE Paragraph 00:09:41.765 --> 00:09:47.038 家族ぐるみの友人で 私の彼女を ずっと「愛人」と呼んでた人がいました 00:09:48.981 --> 00:09:50.975 まさかの「愛人」です 00:09:50.996 --> 00:09:52.691 表現としていやらしすぎるし 00:09:52.711 --> 00:09:55.136 70年代のレズビアンポルノの イメージそのまま 00:09:55.146 --> 00:09:56.483 (笑) 00:09:58.963 --> 00:10:01.509 でも一応気を遣おうとはしてたし 訊いてくれました 00:10:01.529 --> 00:10:03.443 「お友達 」と呼ぶ人や 00:10:03.453 --> 00:10:07.807 「オトモダチ」「特別なお友達」 と呼ぶ人もいますから 00:10:07.827 --> 00:10:09.103 (笑) 00:10:09.113 --> 00:10:11.978 悪いときには その話題にまったく触れない人もね 00:10:11.998 --> 00:10:15.480 訊いてくれたほうがまだマシです 本気でそうなんです 00:10:15.500 --> 00:10:20.891 何も言わないより 「愛人」と言われたほうがマシです NOTE Paragraph 00:10:21.361 --> 00:10:24.074 よく こんなことを言われます 「ねえ アッシュ 00:10:24.094 --> 00:10:27.786 人種、宗教、セクシュアリティなんて 私にはどうでもいい 00:10:27.816 --> 00:10:30.600 そういう目で人を見ないし 興味ないから」 00:10:31.800 --> 00:10:37.085 でも 同性愛嫌悪、人種差別 外国人嫌悪の反対は「愛」じゃない 00:10:37.105 --> 00:10:38.579 「無関心」です 00:10:38.599 --> 00:10:43.002 私を同性愛者として見ないということは 私を見ていないのと同じ 00:10:43.022 --> 00:10:46.028 私の恋愛対象が男か女か 興味がないなら 00:10:46.038 --> 00:10:48.045 私の気持ちも理解できないでしょう 00:10:48.055 --> 00:10:50.651 例えば 夜遅くに 通り道で 彼女と手をつないで歩いて 00:10:50.671 --> 00:10:53.199 通り道に何人か立っているようなとき 00:10:53.209 --> 00:10:55.535 本音ではもっと強く握りたいのに 00:10:55.555 --> 00:10:58.234 つないだままか 離すべきか 迷ってしまう気持ちや 00:10:58.254 --> 00:11:00.852 手を離さずにやり過ごしたときの 00:11:00.862 --> 00:11:03.289 小さな勝利の気持ちや 00:11:03.590 --> 00:11:08.579 手を離してしまったときの とてつもない敗北感や失望など 00:11:08.579 --> 00:11:11.787 同性愛者であるがゆえの 同性愛者独特の葛藤を見ないなら 00:11:11.798 --> 00:11:17.263 私を人として見ていないのと同じです 00:11:17.554 --> 00:11:22.519 理解者でありたいのならば ありのままの私を見ないとダメです NOTE Paragraph 00:11:22.539 --> 00:11:25.792 個人として 理解者として 人間として 00:11:25.802 --> 00:11:28.752 良いほうも 悪いほうも 00:11:28.762 --> 00:11:31.370 簡単なほうも 難しいほうも 00:11:31.380 --> 00:11:32.860 両方とも立てる能力が必要です 00:11:32.880 --> 00:11:37.371 この能力は苦労せずに 習得できるものじゃない 00:11:37.392 --> 00:11:39.773 芯の強さから生まれるものです 00:11:39.794 --> 00:11:43.288 そして「二元性」は ほんの第一歩に過ぎないとしたら? 00:11:44.378 --> 00:11:49.137 もし 思いやりや共感や 人との交流を通じて 00:11:49.138 --> 00:11:51.812 両方を立てられるようになるなら? 00:11:51.822 --> 00:11:53.688 2つが可能なら4つでも 00:11:53.698 --> 00:11:55.289 4つが可能なら8つでも 00:11:55.309 --> 00:11:57.840 そして 8つが可能なら 100でも可能です NOTE Paragraph 00:11:57.860 --> 00:12:00.622 人間は一人一人が複雑で 00:12:00.642 --> 00:12:02.242 矛盾のかたまりです 00:12:02.272 --> 00:12:05.097 今 この瞬間に 沢山のものを抱えています 00:12:05.888 --> 00:12:09.420 そこに 更にもう少し抱えるには どうしたらいいでしょうか? NOTE Paragraph 00:12:10.100 --> 00:12:12.677 さて オハイオでの話に戻ります 00:12:12.687 --> 00:12:14.427 列の先頭で 姪を肩に乗せ 00:12:14.447 --> 00:12:18.280 疲れきった係員に 「お父さん」と呼ばれました 00:12:18.300 --> 00:12:22.420 性別を間違うって すごく失礼ですよね? 00:12:22.761 --> 00:12:24.930 いや それ以前の問題です 00:12:24.940 --> 00:12:29.759 自分がそうではないもの呼ばわり されたんですよ? 00:12:31.239 --> 00:12:33.590 そのときの私の気持ちといえば 00:12:33.610 --> 00:12:38.034 一瞬で 心の中に 相反する感情が渦巻き始め 00:12:38.054 --> 00:12:43.517 憤りと屈辱が混じった 汗が吹き出てきて 00:12:43.537 --> 00:12:46.198 店中の人に見られているような 気持ちと同時に 00:12:46.218 --> 00:12:48.609 透明人間にもなったような 気持ちです 00:12:48.629 --> 00:12:52.093 怒りを爆発させ 説教を始めたいけど 00:12:52.113 --> 00:12:54.127 穴があったら入りたい気分です 00:12:54.137 --> 00:12:57.210 そして極めつけには 私がその時着ていたのが 00:12:57.230 --> 00:13:00.988 柄にもなく ピチピチの紫のTシャツだったので 00:13:01.008 --> 00:13:02.936 店中の人に 私の胸が見えたはずで 00:13:02.956 --> 00:13:06.127 だから 性別を間違われるなんて ありえない 00:13:06.147 --> 00:13:08.710 (笑) 00:13:08.730 --> 00:13:12.462 しかし いくら正しい性別に 見られようと努力しても 00:13:12.482 --> 00:13:14.094 こういう状況は起こるものです 00:13:14.114 --> 00:13:19.496 そして この私の全存在をかけて 私がそういう目に遭っていることは 00:13:19.517 --> 00:13:24.100 妹や 彼女や ましてや姪には 知られたくない 00:13:24.110 --> 00:13:26.491 こうやって自分が傷つくことには 慣れっこですが 00:13:26.501 --> 00:13:30.406 大切な人たちは 何としてでも守ります NOTE Paragraph 00:13:31.906 --> 00:13:34.440 でも その時 姪っ子を肩から下ろして 00:13:34.451 --> 00:13:36.615 長く待ちわびていた姪が 00:13:36.636 --> 00:13:39.013 アナとエルサに 走り寄るのを見たら 00:13:39.023 --> 00:13:41.120 そういう感情が全部 消えてしまいました 00:13:41.130 --> 00:13:45.280 大事なのは 姪の笑顔です 00:13:45.300 --> 00:13:50.877 2時間半も待って やっと回ってきた 30秒間が終わりに近づき 00:13:50.897 --> 00:13:55.841 片付けをしていると 係員と再び目が合いました 00:13:55.862 --> 00:13:58.698 すると係員は申し訳なさそうな笑顔を見せ 口パクで 00:13:58.708 --> 00:14:01.275 「ごめんなさい!」 00:14:01.286 --> 00:14:03.385 (笑) 00:14:03.396 --> 00:14:09.242 店員の人間らしさや 間違いを認める 素直さに 一瞬で力が抜けて 00:14:09.253 --> 00:14:14.415 「よくあることですから でも ありがとう」 NOTE Paragraph 00:14:14.435 --> 00:14:17.257 その瞬間 気づきました 00:14:17.287 --> 00:14:19.994 叔母か 活動家かの 00:14:20.005 --> 00:14:23.643 どっちかを選ぶ必要はないんだ 両方とも私なんだ と 00:14:24.623 --> 00:14:30.251 二元性の中に生きるのは可能だし 両方とも立てることができる 00:14:30.282 --> 00:14:33.189 あの状況で 両方とも 立てられたのだから 00:14:33.210 --> 00:14:35.702 もっと沢山立てることもできる と悟ったのです 00:14:35.733 --> 00:14:39.285 姪が私の彼女と手をつないで 玄関を出て行くのを見て 00:14:39.296 --> 00:14:42.039 妹に尋ねました 「行った甲斐あったかな?」 00:14:42.060 --> 00:14:43.824 妹「何バカなこと言ってるの? 00:14:43.844 --> 00:14:47.242 顔を見ればわかるでしょ! あの子にとって人生最高の日よ」 00:14:47.263 --> 00:14:48.350 (笑) 00:14:48.361 --> 00:14:51.758 「暑い中 2時間半待った甲斐があったわよ 00:14:51.779 --> 00:14:56.136 高いぬり絵帳の元も取れたわ 家に同じの持ってたけどね」 00:14:56.147 --> 00:14:57.594 (笑) 00:14:57.615 --> 00:15:01.449 「お姉ちゃんが『お父さん』 呼ばわりされた甲斐もね」 00:15:01.470 --> 00:15:03.365 (笑) 00:15:05.115 --> 00:15:11.469 実際 私も人生で初めて 心からそう思えた日でした NOTE Paragraph 00:15:11.480 --> 00:15:13.458 ボルダーの皆さん ありがとうございました NOTE Paragraph 00:15:13.469 --> 00:15:14.619 (拍手)