1 00:00:00,000 --> 00:00:04,000 私の話は 世界最大の難問についてです 2 00:00:04,000 --> 00:00:06,000 「環境論者の懐疑論」については話さないつもりです 3 00:00:06,000 --> 00:00:08,000 それもまた良い話だったでしょうけれど 4 00:00:08,000 --> 00:00:09,000 (笑い) しかし 5 00:00:09,000 --> 00:00:12,000 世界の重大な問題とは何か について話します 6 00:00:12,000 --> 00:00:15,000 その話を始める前にお願いがひとつあります 7 00:00:15,000 --> 00:00:17,000 ペンと紙を出してください 8 00:00:17,000 --> 00:00:20,000 我々のやり方を知っていただきたいと思うのです 9 00:00:20,000 --> 00:00:22,000 ペンと紙のご用意を 10 00:00:22,000 --> 00:00:24,000 要するに 世界にはたくさんの問題があります 11 00:00:24,000 --> 00:00:26,000 そのうち幾つかをリストアップします 12 00:00:26,000 --> 00:00:28,000 8億人の人たちが飢えています 13 00:00:28,000 --> 00:00:30,000 清潔な飲料水が飲めない人が10億人います 14 00:00:30,000 --> 00:00:32,000 20億人の人は 衛生施設なしで生活しています 15 00:00:32,000 --> 00:00:35,000 数百万人がHIVとエイズで亡くなっています 16 00:00:35,000 --> 00:00:37,000 リストはまだまだ続きます 17 00:00:37,000 --> 00:00:42,000 20億の人々が気候変動で深刻な影響を受けます ― など 18 00:00:42,000 --> 00:00:44,000 実に多くの問題が山積みです 理想的な世界なら 19 00:00:44,000 --> 00:00:48,000 全ての問題が解決されますが 実際は違います 20 00:00:48,000 --> 00:00:50,000 問題の全ては解決できません 21 00:00:50,000 --> 00:00:54,000 となると よく考えなければならない事があります 22 00:00:54,000 --> 00:00:57,000 この経済セッションで話している理由でもあるのですが 23 00:00:57,000 --> 00:01:00,000 全部ができないとき どの問題を最初に解決すべきか 24 00:01:00,000 --> 00:01:02,000 という問いです 25 00:01:02,000 --> 00:01:04,000 これが 皆さんに伺いたかった問いかけです 26 00:01:04,000 --> 00:01:09,000 仮に 今後4年で500億ドルの費用をかけて 27 00:01:09,000 --> 00:01:12,000 世界の役に立てるとしたら どこに使うべきなのか 28 00:01:12,000 --> 00:01:15,000 ここに世界の重要な問題を10件選びました 29 00:01:15,000 --> 00:01:17,000 これから読み上げていきます 30 00:01:17,000 --> 00:01:19,000 地球温暖化 伝染病 紛争 教育 31 00:01:19,000 --> 00:01:21,000 金融不安 統治と汚職 32 00:01:21,000 --> 00:01:24,000 栄養不良と飢餓 移民 33 00:01:24,000 --> 00:01:27,000 衛生と水 補助金と貿易障壁です 34 00:01:27,000 --> 00:01:29,000 これらはいろいろな意味で世界の 35 00:01:29,000 --> 00:01:31,000 重要な問題をカバーしていると思います 36 00:01:31,000 --> 00:01:33,000 自然に生じる質問があります 37 00:01:33,000 --> 00:01:35,000 最重要な問題は何だと思いますか? 38 00:01:35,000 --> 00:01:38,000 どこから これらの問題解決にあたればよいでしょうか? 39 00:01:38,000 --> 00:01:40,000 しかし その問いは間違っています 40 00:01:40,000 --> 00:01:43,000 1月のダボス会議でも 実際にそういう事が問われてましたが 41 00:01:43,000 --> 00:01:46,000 その欠点は 問題にフォーカスさせてしまう事なのです 42 00:01:46,000 --> 00:01:49,000 なぜなら これらの問題は解決できないからです 43 00:01:49,000 --> 00:01:52,000 この世で最大の問題といえば 誰もがみな死ぬという事です 44 00:01:52,000 --> 00:01:54,000 それを解決するだけの技術はありませんよね 45 00:01:54,000 --> 00:01:57,000 大事な事は 問題に順位をつけないで 46 00:01:57,000 --> 00:02:01,000 問題の解決策に優先順位をつける事です 47 00:02:01,000 --> 00:02:04,000 そうすると 少し複雑な話になってきます 48 00:02:04,000 --> 00:02:06,000 地球温暖化であれば 京都議定書が解決策でしょう 49 00:02:06,000 --> 00:02:09,000 伝染病に対しては 診療所や蚊よけネットです 50 00:02:09,000 --> 00:02:12,000 紛争に対しては 国連の平和維持軍です 51 00:02:12,000 --> 00:02:17,000 みなさんにチャレンジしていただきたいのは 52 00:02:17,000 --> 00:02:20,000 ある意味では 非常に困難なお願いなのですが 53 00:02:20,000 --> 00:02:22,000 30秒の間に 54 00:02:22,000 --> 00:02:24,000 最優先と思う事を書き出してください 55 00:02:24,000 --> 00:02:27,000 そして経済学の不愉快な面ですが 56 00:02:27,000 --> 00:02:30,000 最初にやるべきではない事を書いてください 57 00:02:30,000 --> 00:02:32,000 リストの一番下に来るのは 何でしょうか 58 00:02:32,000 --> 00:02:35,000 30秒です 隣の方とお話して頂いても結構です 59 00:02:35,000 --> 00:02:37,000 何を最優先とすべきか決めてください 60 00:02:37,000 --> 00:02:39,000 世界の重要課題に対する解決策の中で 61 00:02:39,000 --> 00:02:41,000 一番優先順位が低い事も決めてください 62 00:02:41,000 --> 00:02:44,000 このプロセスで驚くべきところは --- 実際のところ 63 00:02:44,000 --> 00:02:46,000 18 分しかないので…よろしいでしょうか 64 00:02:46,000 --> 00:02:48,000 考えていただく時間は十分でしょうか 65 00:02:48,000 --> 00:02:52,000 このプロセスの詳細について 一緒に見て行きましょう 66 00:02:52,000 --> 00:02:54,000 これがまさに 我々の実施した事なのです 67 00:02:54,000 --> 00:02:56,000 我々が実際どうやって優先順位をつけるか 68 00:02:56,000 --> 00:02:58,000 という事に思いを巡らせて頂きたいし 69 00:02:58,000 --> 00:03:00,000 今後も議論を続けるつもりです 70 00:03:00,000 --> 00:03:02,000 考えてみれば 71 00:03:02,000 --> 00:03:04,000 この種のリストがこれまで無かったのはなぜでしょうか 72 00:03:04,000 --> 00:03:09,000 ひとつの理由は 優先順位付けは実に不愉快だからです 73 00:03:09,000 --> 00:03:11,000 誰だってやりたくないのです 74 00:03:11,000 --> 00:03:14,000 どの組織も リストの1番になりたいし 75 00:03:14,000 --> 00:03:17,000 リストの1番以外にはなりたくないのです 76 00:03:17,000 --> 00:03:21,000 リストには1番以外の順位が沢山あるので 77 00:03:21,000 --> 00:03:24,000 こんなリストを作りたくないのも 78 00:03:24,000 --> 00:03:26,000 無理はありません 79 00:03:26,000 --> 00:03:28,000 国連の設立後60年ほどたちますが 80 00:03:28,000 --> 00:03:31,000 我々が世界でできる大事業のすべてを並べ 81 00:03:31,000 --> 00:03:33,000 最初にどれから始めるべきかを示す 82 00:03:33,000 --> 00:03:36,000 重要なリストが作られた事はありません 83 00:03:36,000 --> 00:03:39,000 優先順位をつけていない訳ではありません 84 00:03:39,000 --> 00:03:43,000 全ての決定は何かを優先し 暗黙のうちに 85 00:03:43,000 --> 00:03:46,000 我々は優先順位をつけているわけです 86 00:03:46,000 --> 00:03:48,000 我々が行ったように優先順位を付けて 各々を議論した場合ほど 87 00:03:48,000 --> 00:03:50,000 よい順位づけになっているとは考えにくいですが 88 00:03:50,000 --> 00:03:52,000 私の提案が明らかにした事があります 89 00:03:52,000 --> 00:03:56,000 選択すべきメニューは長い事提示されているのです 90 00:03:56,000 --> 00:03:58,000 我々ができる事は メニューにたくさん載っていますが 91 00:03:58,000 --> 00:04:01,000 しかし 値段もサイズも書いてないのです 92 00:04:01,000 --> 00:04:03,000 それについて見当も付かなかったのです 93 00:04:03,000 --> 00:04:06,000 レストランに入って大きなメニューを渡されるのですが 94 00:04:06,000 --> 00:04:08,000 値段の見当が付かない状況を考えてみて下さい 95 00:04:08,000 --> 00:04:10,000 ピザはありますが 値段の見当もつかないのです 96 00:04:10,000 --> 00:04:12,000 1ドルかもしれませんし 1000ドルかもしれません 97 00:04:12,000 --> 00:04:14,000 家族サイズかもしれませんし 98 00:04:14,000 --> 00:04:16,000 小さな一人向けピザかもしれないのです 99 00:04:16,000 --> 00:04:18,000 ここのところを知りたいのです 100 00:04:18,000 --> 00:04:20,000 コペンハーゲン コンセンサスの試みでは 101 00:04:20,000 --> 00:04:23,000 これらの課題に値段をつけようとしています 102 00:04:23,000 --> 00:04:26,000 そこで基本的に こんな手順で進めました 103 00:04:26,000 --> 00:04:30,000 世界で最高の経済学者を30人選びました 各領域に3人です 104 00:04:30,000 --> 00:04:33,000 そして 3人の経済学者が地球温暖化についてレポートします 105 00:04:33,000 --> 00:04:36,000 何ができるか 費用はいくらか 106 00:04:36,000 --> 00:04:37,000 そのメリットはなにか 107 00:04:37,000 --> 00:04:39,000 伝染病についても同様です 108 00:04:39,000 --> 00:04:42,000 世界のトップエキスパート3人がまとめます 109 00:04:42,000 --> 00:04:43,000 何ができて 費用がいくらで 110 00:04:43,000 --> 00:04:46,000 どう行動すべきか そして結果はどうなるか 111 00:04:46,000 --> 00:04:47,000 それぞれの問題についてです 112 00:04:47,000 --> 00:04:49,000 引き続いて また世界最高の経済学者たちの中から 113 00:04:49,000 --> 00:04:53,000 3人のノーベル賞受賞者を含んで8人の経済学者が 114 00:04:53,000 --> 00:04:56,000 2004年の5月にコペンハーゲンに集まりました 115 00:04:56,000 --> 00:04:58,000 いわばドリームチームです 116 00:04:58,000 --> 00:05:01,000 ケンブリッジ大学の連中は 117 00:05:01,000 --> 00:05:03,000 経済学のレアル マドリッドと呼んでいます 118 00:05:03,000 --> 00:05:05,000 ヨーロッパでは通じますが アメリカではダメですね 119 00:05:05,000 --> 00:05:09,000 さて 経済学者たちは 優先順位のリストを作り上げました 120 00:05:09,000 --> 00:05:11,000 なぜ経済学者がやるのかと思われるでしょう 121 00:05:11,000 --> 00:05:13,000 よくぞ聞いてくれました (笑) 122 00:05:13,000 --> 00:05:15,000 実にいい質問で誠に喜ばしい 123 00:05:15,000 --> 00:05:18,000 まず マラリアについて知りたければ もちろん 124 00:05:18,000 --> 00:05:20,000 マラリアの専門家に話を聞くでしょう 125 00:05:20,000 --> 00:05:22,000 気候の問題については 気象学者に聞きます 126 00:05:22,000 --> 00:05:25,000 しかしこれらの問題のどちらを先に取り組むべきか 127 00:05:25,000 --> 00:05:28,000 という事をどちらに聞いてもわかりません 128 00:05:28,000 --> 00:05:30,000 彼らの仕事ではなく 経済学者の仕事だから 129 00:05:30,000 --> 00:05:31,000 優先順位をつける事 130 00:05:31,000 --> 00:05:36,000 何を先に着手して 何が後かを示すという 131 00:05:36,000 --> 00:05:38,000 うんざりするような仕事が経済学者の仕事です 132 00:05:38,000 --> 00:05:41,000 さあ これがそのリストです 皆さんと共有したいと思います 133 00:05:41,000 --> 00:05:43,000 もちろん ウェブサイトでも見られます 134 00:05:43,000 --> 00:05:46,000 このリストについてはこれからお話ししていきます 135 00:05:46,000 --> 00:05:48,000 基本的にこういうリストを作り上げました 136 00:05:48,000 --> 00:05:51,000 中には 「不可」のプロジェクトがあります 137 00:05:51,000 --> 00:05:54,000 それは投資した1ドルが 返ってこないプロジェクトの事です 138 00:05:54,000 --> 00:05:58,000 それから「可」と「良」の そして「優」のプロジェクトがあります 139 00:05:58,000 --> 00:06:00,000 もちろん「優」のプロジェクトから着手すべきです 140 00:06:00,000 --> 00:06:02,000 さてここでは 下位から進めて 141 00:06:02,000 --> 00:06:04,000 最後にベストのプロジェクトを見ましょう 142 00:06:04,000 --> 00:06:06,000 ここに示すのが 「不可」のプロジェクトです 143 00:06:06,000 --> 00:06:10,000 最下位に地球温暖化があります。 144 00:06:10,000 --> 00:06:14,000 これには多くの人が気分を害しました 145 00:06:14,000 --> 00:06:16,000 私にこの話はしないほうがよいと多くの人が言います 146 00:06:16,000 --> 00:06:18,000 でも私はこの話がしたい おかしいと思いませんか 147 00:06:18,000 --> 00:06:20,000 どうしてこれが問題となったのか 148 00:06:20,000 --> 00:06:22,000 おそらく皆さんに作っていただいたリストと 149 00:06:22,000 --> 00:06:24,000 一致しない点だとも思いますので 150 00:06:24,000 --> 00:06:26,000 あとでまたこの点にふれます 151 00:06:26,000 --> 00:06:29,000 京都議定書やその後の提案が 152 00:06:29,000 --> 00:06:31,000 割に合わないという結論になった理由は 153 00:06:31,000 --> 00:06:33,000 効率的ではないからです 154 00:06:33,000 --> 00:06:35,000 地球温暖化が起きていないなどとは申しません 155 00:06:35,000 --> 00:06:37,000 それが重大な問題ではない というのでもありません 156 00:06:37,000 --> 00:06:39,000 これに対してできる事があまりにもわずかで 157 00:06:39,000 --> 00:06:42,000 そのコストがとても高いという事を述べています 158 00:06:42,000 --> 00:06:46,000 全てのマクロ経済モデルの平均によれば 159 00:06:46,000 --> 00:06:51,000 京都議定書に全ての国が同意したとして 費用は年間1500億ドルです 160 00:06:51,000 --> 00:06:53,000 実に巨額です 161 00:06:53,000 --> 00:06:55,000 発展途上国に対する国際的な 162 00:06:55,000 --> 00:06:57,000 開発支援の2倍から3倍になります 163 00:06:57,000 --> 00:06:59,000 それでも ほとんど役にたたないのです どのモデルも 164 00:06:59,000 --> 00:07:03,000 2100年の温暖化の進展を6年遅らせるというのです 165 00:07:03,000 --> 00:07:07,000 バングラデシュを襲う2100年の洪水を2106年まで遅らせます 166 00:07:07,000 --> 00:07:09,000 わずかに改善しますが それほど効果的ではありません 167 00:07:09,000 --> 00:07:14,000 わずかな改善に 巨額の費用を投入するわけです 168 00:07:14,000 --> 00:07:16,000 比較のために言うと 169 00:07:16,000 --> 00:07:18,000 国連の推計によれば この半額にあたる 170 00:07:18,000 --> 00:07:20,000 年間750億ドルあれば 171 00:07:20,000 --> 00:07:23,000 世界の主要問題は解決できるとされています 172 00:07:23,000 --> 00:07:26,000 清潔な飲料水や 衛生施設 基本的な医療施設 173 00:07:26,000 --> 00:07:29,000 教育を地球上で全ての人に提供できるのです 174 00:07:29,000 --> 00:07:33,000 もう一度考えてみてください その2倍のお金を 175 00:07:33,000 --> 00:07:34,000 わずかな効果のために投入するのですか? 176 00:07:34,000 --> 00:07:37,000 それとも 半額で 問題解決を驚異的に進めますか? 177 00:07:37,000 --> 00:07:40,000 そういうわけで「不可」のプロジェクトとしたのです 178 00:07:40,000 --> 00:07:43,000 必要なお金が十分あってもやらないと言うのではありません 179 00:07:43,000 --> 00:07:47,000 お金に限りがあるので 優先順位の一番にはなりません 180 00:07:47,000 --> 00:07:50,000 ここの全てにコメントはしませんが 伝染病は「可」としました 181 00:07:50,000 --> 00:07:54,000 基本的な医療サービスの規模が理由です 182 00:07:54,000 --> 00:07:57,000 単純に規模の問題です 基本的医療サービスは大掛かりになります 183 00:07:57,000 --> 00:08:00,000 非常に有用ですが また非常に費用がかかります 184 00:08:00,000 --> 00:08:02,000 再度になりますが 方程式の両辺について 185 00:08:02,000 --> 00:08:04,000 考慮し始めたという事なのです 186 00:08:04,000 --> 00:08:08,000 「良」のプロジェクトには 衛生施設と水とが入っています 187 00:08:08,000 --> 00:08:10,000 衛生施設と水も実に重要ですが 188 00:08:10,000 --> 00:08:13,000 莫大なインフラ投資が必要になります 189 00:08:13,000 --> 00:08:15,000 さて トップ4をご紹介します 190 00:08:15,000 --> 00:08:18,000 これらこそが世界の問題に取り組む事を論ずるときに 191 00:08:18,000 --> 00:08:21,000 最初にとりくむべき問題です 192 00:08:21,000 --> 00:08:25,000 4位の問題はマラリアです マラリア対策です 193 00:08:25,000 --> 00:08:29,000 毎年 [2-3億人] がマラリアにかかります 194 00:08:29,000 --> 00:08:33,000 感染国では毎年GDPの 195 00:08:33,000 --> 00:08:35,000 1パーセントにも達する費用が生じています 196 00:08:35,000 --> 00:08:39,000 今後4年間に130億ドルを投資する事で 197 00:08:39,000 --> 00:08:41,000 罹患数を半減する事ができます 198 00:08:41,000 --> 00:08:44,000 死者を50万人減らせますし もっと重要なのは 199 00:08:44,000 --> 00:08:47,000 マラリアの罹患数を1年あたり [1億人] 200 00:08:47,000 --> 00:08:48,000 減らす事ができます 201 00:08:48,000 --> 00:08:50,000 これらの人たちの能力は直面する他の問題に 202 00:08:50,000 --> 00:08:53,000 取り組む事ができるようになるわけです 203 00:08:53,000 --> 00:08:56,000 もちろん いずれは地球温暖化にも取り組むでしょう 204 00:08:57,000 --> 00:09:00,000 3位は自由貿易です 205 00:09:00,000 --> 00:09:03,000 基本的に モデルによれば 自由貿易を維持して 206 00:09:03,000 --> 00:09:06,000 アメリカとヨーロッパでの補助金を削減できれば 207 00:09:06,000 --> 00:09:10,000 世界経済を活発化させる事ができ 208 00:09:10,000 --> 00:09:14,000 年間2兆4000億ドルという驚異的な数字が達成され 209 00:09:14,000 --> 00:09:16,000 その半分が第三世界の利益となります 210 00:09:16,000 --> 00:09:19,000 大事な事は 2-3億人の人を 211 00:09:19,000 --> 00:09:22,000 2年から5年というすばらしい速さで 212 00:09:22,000 --> 00:09:25,000 貧困から脱却させる事ができます 213 00:09:25,000 --> 00:09:27,000 これができる最良の事 第3位です 214 00:09:27,000 --> 00:09:31,000 2番目は 栄養失調の問題にフォーカスします 215 00:09:31,000 --> 00:09:34,000 栄養失調の中でも 特に微量栄養素の不足については 216 00:09:34,000 --> 00:09:37,000 非常に安価な対処が可能です 217 00:09:37,000 --> 00:09:40,000 基本的に 世界の人口の半数は 218 00:09:40,000 --> 00:09:42,000 鉄とヨウ素とビタミンAの欠乏に見舞われています 219 00:09:42,000 --> 00:09:44,000 120億ドルを投資すると 220 00:09:44,000 --> 00:09:47,000 この問題に対して 効果的な対策が打てます 221 00:09:47,000 --> 00:09:50,000 我々にできる効果的な投資の第2位です 222 00:09:50,000 --> 00:09:55,000 最良のプロジェクトは HIV/エイズにフォーカスします 223 00:09:55,000 --> 00:09:59,000 今後8年間に270億ドルを投資する事で 224 00:09:59,000 --> 00:10:03,000 2800万人の新たな HIV/エイズ患者を減らします 225 00:10:03,000 --> 00:10:07,000 ここでも注目してフォーカスすべき事として 226 00:10:07,000 --> 00:10:10,000 HIV/エイズの取組みには二つの異なった方法があります 227 00:10:10,000 --> 00:10:13,000 一つは治療であり もう一つは予防です 228 00:10:13,000 --> 00:10:16,000 そして 理想的な世界であれば両方を行うのですが 229 00:10:16,000 --> 00:10:19,000 両方をできない あるいは十分にはできないときに 230 00:10:19,000 --> 00:10:23,000 どちらから投資を始めるのか よく考えなければなりません 231 00:10:23,000 --> 00:10:26,000 治療には 予防と比べてはるかに費用がかかります 232 00:10:26,000 --> 00:10:30,000 そこで 予防に投資する事でより多くを成し遂げられる 233 00:10:30,000 --> 00:10:32,000 という事にフォーカスしました 234 00:10:32,000 --> 00:10:34,000 ある金額を使ったときに 235 00:10:34,000 --> 00:10:37,000 治療によってXという効果が得られるときに 236 00:10:37,000 --> 00:10:40,000 予防の効果はその 10 倍です 237 00:10:40,000 --> 00:10:43,000 したがって まず最初にすべき事は 238 00:10:43,000 --> 00:10:44,000 治療よりも予防に集中する事です 239 00:10:44,000 --> 00:10:48,000 リストは 我々の優先順位について考えさせるものでした 240 00:10:48,000 --> 00:10:52,000 皆さんにも ご自分の優先順位を見ていただきたいのです 241 00:10:52,000 --> 00:10:54,000 同じ結果になっていますか? 242 00:10:54,000 --> 00:10:56,000 我々のリストと近いリストになっていますか? 243 00:10:56,000 --> 00:11:00,000 もちろん 気候変動がひとつの論点となるでしょう 244 00:11:00,000 --> 00:11:03,000 見込みがわずかでも 温暖化対策は必要と考える人が多いはずです 245 00:11:03,000 --> 00:11:05,000 地球温暖化にも取り組むべきです 246 00:11:05,000 --> 00:11:08,000 これが大変大きな問題だから というだけで理由は十分 247 00:11:08,000 --> 00:11:11,000 それでも 全ての問題に取り組めるわけではありません 248 00:11:11,000 --> 00:11:13,000 世界には実に多くの問題があります 249 00:11:13,000 --> 00:11:17,000 お伝えしたい事は ある問題に集中するならば 250 00:11:17,000 --> 00:11:19,000 適切な問題に集中するべきではないか という事です 251 00:11:19,000 --> 00:11:22,000 わずかな改善よりは 多くの成果が得られる問題に集中しましょう 252 00:11:22,000 --> 00:11:25,000 ドリームチームに参加したトーマス シェリングは 253 00:11:25,000 --> 00:11:29,000 次のように 実にうまい事を言っています 254 00:11:29,000 --> 00:11:32,000 100年後の気候変動のインパクトを論じるときに 255 00:11:32,000 --> 00:11:35,000 その時代の人々は今よりもずっと豊かになっているだろう 256 00:11:35,000 --> 00:11:37,000 という事が よく忘れられている事の一つです 257 00:11:37,000 --> 00:11:41,000 国連のもっとも悲観的な見通しによっても 258 00:11:41,000 --> 00:11:44,000 発展途上国の平均的な国民は 2100年には 259 00:11:44,000 --> 00:11:46,000 今日の我々と同じ程度には豊かになっているます 260 00:11:46,000 --> 00:11:50,000 今の我々の2から4倍ほど豊かになっているかもしれません 261 00:11:50,000 --> 00:11:52,000 もちろん 我々はそれ以上に豊かになっているはずです 262 00:11:52,000 --> 00:11:56,000 しかしポイントは 人々を助けるというときに 263 00:11:56,000 --> 00:11:59,000 2100年のバングラデシュの人たちを助けるというときに 264 00:11:59,000 --> 00:12:01,000 今の貧しいバングラデシュの人の話ではないのです 265 00:12:01,000 --> 00:12:03,000 かなり裕福な「オランダ人」を助けるのだという事 266 00:12:03,000 --> 00:12:05,000 すなわち 本当のところ 267 00:12:05,000 --> 00:12:09,000 我々は大金を費やして 少々の支援を100年後の 268 00:12:09,000 --> 00:12:11,000 かなり裕福な「オランダ人」に与えたいのでしょうか? 269 00:12:11,000 --> 00:12:16,000 それとも 今のバングラデシュの本当に貧しく 援助が必要で 270 00:12:16,000 --> 00:12:19,000 ほとんどお金をかけないで援助できる人々を助けたいのでしょうか? 271 00:12:19,000 --> 00:12:24,000 あるいは シェリングが述べているのですが あなたが 272 00:12:24,000 --> 00:12:29,000 2100年の裕福な中国人やボリビア人 コンゴ人だとして 273 00:12:29,000 --> 00:12:35,000 2005年の事を振り返って言うのです 「奇妙な事がある 274 00:12:35,000 --> 00:12:39,000 当時の人々は気候変動を心配して 少し支援してくれた 275 00:12:39,000 --> 00:12:43,000 しかし もっと助けを必要としていた我々のじいさんや 276 00:12:43,000 --> 00:12:46,000 ひいじいさんを支援する事もできたのに 277 00:12:46,000 --> 00:12:49,000 なにもしてくれなかったのだ」 278 00:12:49,000 --> 00:12:52,000 この事から 優先順位を正さないと 279 00:12:52,000 --> 00:12:54,000 いけない理由が分かると思います 280 00:12:54,000 --> 00:12:57,000 これまで思われていた普通の見方と違っていたとしても 281 00:12:57,000 --> 00:13:02,000 主な理由の一つとして 気候変動は絵になるのです 282 00:13:02,000 --> 00:13:05,000 「デイ アフター トゥモロー」という映画もあります 283 00:13:05,000 --> 00:13:08,000 派手な映画ですよね 284 00:13:08,000 --> 00:13:11,000 私だってこれは観たいと思います 285 00:13:11,000 --> 00:13:14,000 でもエメリッヒ監督の次の映画で 主演のブラッド ピットが 286 00:13:14,000 --> 00:13:16,000 タンザニアで便所を掘る映画はどうでしょう (笑) 287 00:13:16,000 --> 00:13:18,000 なんとも 絵になりません 288 00:13:18,000 --> 00:13:20,000 いろいろな意味で コペンハーゲン コンセンサスと 289 00:13:20,000 --> 00:13:22,000 優先順位をめぐる議論は 290 00:13:22,000 --> 00:13:25,000 退屈な問題にとっての防衛策なのだと思います 291 00:13:25,000 --> 00:13:29,000 自己満足のためにするのではなく 292 00:13:29,000 --> 00:13:34,000 メディアの注目を浴びるためにするのでもなく 293 00:13:34,000 --> 00:13:37,000 一番効果的な事業を進めるための場を確保するための議論です 294 00:13:37,000 --> 00:13:40,000 触れなければならない重要な反論として 295 00:13:40,000 --> 00:13:44,000 間違った選択をしていないかという論点があります 296 00:13:44,000 --> 00:13:46,000 理想的な世界であれば 297 00:13:46,000 --> 00:13:48,000 全てを行うわけです その事には異論はありません 298 00:13:48,000 --> 00:13:50,000 しかし 実際はそうではない 299 00:13:50,000 --> 00:13:54,000 1970年代には 先進国は今現在している事の 300 00:13:54,000 --> 00:14:00,000 2倍の事を発展途上国のためにしようと決めました 301 00:14:00,000 --> 00:14:02,000 その後 援助は半分に減ってしまいました 302 00:14:02,000 --> 00:14:05,000 ですから すべての大きな問題が直ちに 303 00:14:05,000 --> 00:14:07,000 解決へと向かっているとは思えないのです 304 00:14:07,000 --> 00:14:10,000 同様に イラクの戦争はどうなのだ という人もいます 305 00:14:10,000 --> 00:14:12,000 1000億ドルを使いました 306 00:14:12,000 --> 00:14:14,000 どうして 世界をよくするために その額を使えないのか? 307 00:14:14,000 --> 00:14:15,000 私もまったく同感です 308 00:14:15,000 --> 00:14:17,000 だれか ブッシュ大統領に言ってやってください ぜひ 309 00:14:17,000 --> 00:14:19,000 いや それでも さらに 310 00:14:19,000 --> 00:14:21,000 1000億ドルを使うのなら 311 00:14:21,000 --> 00:14:24,000 いちばんいい使い方をしたいですよね 312 00:14:24,000 --> 00:14:26,000 結局 問題は もう一度考え直して 313 00:14:26,000 --> 00:14:28,000 適切な優先順位をつける事になるのです 314 00:14:28,000 --> 00:14:32,000 簡単に述べます 私たちが得たこのリストは本当に正しいのでしょうか? 315 00:14:32,000 --> 00:14:35,000 世界の最高の経済学者に聞いたという事は 必然的に 316 00:14:35,000 --> 00:14:38,000 年配のアメリカ白人に聞いた という事です 317 00:14:38,000 --> 00:14:40,000 これが必ずしも世界の全体を俯瞰する最高の手段で 318 00:14:40,000 --> 00:14:44,000 あるとは限りません 319 00:14:44,000 --> 00:14:46,000 そこで 実は80人の若者を世界中から集めて 320 00:14:46,000 --> 00:14:48,000 同じ問題を解いてもらいました 321 00:14:48,000 --> 00:14:52,000 たった二つだけ求めた事は 大学で勉強している事と 322 00:14:52,000 --> 00:14:54,000 英語を話す事でした 323 00:14:54,000 --> 00:14:57,000 メンバーの大半は 開発途上国から来ました 324 00:14:57,000 --> 00:14:59,000 同じ資料を渡しましたが 議論のスコープがここから 325 00:14:59,000 --> 00:15:02,000 大幅に外れてもよい事とし 実際にそうなりました 326 00:15:02,000 --> 00:15:04,000 そして 独自のリストを作りました 驚くべき事に 327 00:15:04,000 --> 00:15:06,000 リストは とても似たものになりました 328 00:15:06,000 --> 00:15:09,000 栄養不良と病気がトップにあって 329 00:15:09,000 --> 00:15:11,000 地球温暖化が一番下でした 330 00:15:11,000 --> 00:15:12,000 我々はこれを何度か行いました 331 00:15:12,000 --> 00:15:15,000 セミナーや大学をいろいろと変えて繰り返しても 332 00:15:15,000 --> 00:15:18,000 いつもほとんど同じようなリストが得られました 333 00:15:18,000 --> 00:15:22,000 ここに大きな希望を見出せます すなわち 334 00:15:22,000 --> 00:15:27,000 優先順位を考えれば 前に進む道筋が見えると信じられるのです 335 00:15:27,000 --> 00:15:29,000 では 世界にとって重要な問題は何でしょう? 336 00:15:29,000 --> 00:15:32,000 理想的な世界では 喜んですべてに取り組むのですが 337 00:15:32,000 --> 00:15:36,000 そうできないときには 着手する点の検討から始めましょう 338 00:15:36,000 --> 00:15:38,000 コペンハーゲン コンセンサスではプロセスが重要と考えています 339 00:15:38,000 --> 00:15:40,000 まず 2004年に行いました 340 00:15:40,000 --> 00:15:41,000 そして2008年 2012年には もっと多くの人を集め 341 00:15:41,000 --> 00:15:45,000 もっとよい情報を集めたいと思います 342 00:15:45,000 --> 00:15:47,000 世界のために正しい道筋を見つけたいのです 343 00:15:47,000 --> 00:15:50,000 政治的な緊急度による順位付けも考え始めています 344 00:15:50,000 --> 00:15:52,000 次のように訴える事を考えてはじめています 「さぁ 345 00:15:52,000 --> 00:15:55,000 ほとんど効果が上がらず 巨額の費用が掛かる事は止めよう 346 00:15:55,000 --> 00:15:57,000 どうすればよいか分からない事も止めよう 347 00:15:57,000 --> 00:16:00,000 代わりに 世界の役に立つ大切な事で 348 00:16:00,000 --> 00:16:04,000 費用もかからない事こそを 今すぐ始めよう」 349 00:16:04,000 --> 00:16:06,000 最終的に 我々が実際につけた優先順位に対して 350 00:16:06,000 --> 00:16:08,000 同意していただけないかもしれません 351 00:16:08,000 --> 00:16:11,000 正直かつ率直に言わなければならない事があります 352 00:16:11,000 --> 00:16:13,000 我々が何かを行ったら 手付かずになる別の事もあります 353 00:16:14,000 --> 00:16:16,000 何か特定の事ばかりを気にしすぎると 354 00:16:16,000 --> 00:16:18,000 別の事が見えなくなってしまいます 355 00:16:18,000 --> 00:16:20,000 今日の話が よりより優先順位づけと よりよい世界のために 356 00:16:20,000 --> 00:16:22,000 何をすべきかを考える事に役立つ事を願います 357 00:16:22,000 --> 00:16:23,000 ありがとうございました