1 00:00:07,854 --> 00:00:12,144 チャクエクは冥界から 東の海の海面まで上がり 2 00:00:12,144 --> 00:00:14,324 さらに天上へと昇って行きました 3 00:00:14,324 --> 00:00:17,534 兄弟のキニチ・アハウも 後を追いました 4 00:00:17,534 --> 00:00:22,604 チャクエクが先に昇っていたのにもかかわらず キニチ・アハウの方が明るく輝きました 5 00:00:22,604 --> 00:00:26,468 それに腹を立てたチャクエクは冥界へ戻り 6 00:00:26,468 --> 00:00:28,889 兄弟に対する陰謀を企てました 7 00:00:28,889 --> 00:00:36,189 マヤ神話ではチャクエクは金星を象徴し キニチ・アハウは太陽を象徴します 8 00:00:36,189 --> 00:00:39,269 明けの明星と宵の明星として 知られている金星は 9 00:00:39,269 --> 00:00:43,429 上空を移動し 時には日の出前に見られたり 10 00:00:43,429 --> 00:00:47,080 時には日没後に見られたり 場合によっては全く見られないこともあります 11 00:00:47,080 --> 00:00:52,100 古代マヤ人は おおよそ584日のこの周期を 12 00:00:52,100 --> 00:00:54,120 1000年以上前にすでに認識していて 13 00:00:54,120 --> 00:00:59,040 いつ どの位置に金星が現れるか この方法によって 14 00:00:59,040 --> 00:01:00,620 現在でも 世界中で予測できます 15 00:01:00,620 --> 00:01:03,980 これら周期の5回分はほぼ8年に相当し 16 00:01:03,980 --> 00:01:07,240 マヤ人たちは この長い周期も 認識していました 17 00:01:07,240 --> 00:01:10,450 彼らは金星の各周期ごとに 5つの異なる姿をチャクエクに与え 18 00:01:10,450 --> 00:01:15,550 8年ごとにこれが繰り返されました 19 00:01:15,554 --> 00:01:22,744 584日の周期の内に 金星は夕方の空に250日間 見ることができ 20 00:01:22,744 --> 00:01:27,367 8日間 消えてから 明けの明星として再び現れます 21 00:01:27,367 --> 00:01:32,247 古代マヤ人はこの周期のこのタイミング ― 金星が見えなくなってから 22 00:01:32,247 --> 00:01:37,557 日の出前に初めて現れる時に 特別な意味をもたせました 23 00:01:37,557 --> 00:01:41,316 この日にチャクエクは 冥界から再び昇ると共に 24 00:01:41,316 --> 00:01:44,566 投槍器と投げ矢を持っていました 25 00:01:44,566 --> 00:01:46,596 世界に混乱をもたらすために 26 00:01:46,596 --> 00:01:50,646 彼は兄弟とその仲間を 攻撃することにしました 27 00:01:50,646 --> 00:01:55,748 彼の最初の標的は 豊穣と雷の神であるカウィールでした 28 00:01:55,748 --> 00:02:01,724 雨季の終わりの時期に昇ったチャクエクが 槍を構えてカウィールを射つと 29 00:02:01,724 --> 00:02:07,067 カウィールが生き返るまでの間 30 00:02:07,067 --> 00:02:09,612 食物に被害をもたらし 社会秩序を混乱させました 31 00:02:09,612 --> 00:02:13,380 カウィールを襲ってから584日後 32 00:02:13,380 --> 00:02:17,800 チャクエクは再び 太陽である兄弟に目を向けました 33 00:02:17,800 --> 00:02:20,850 毎晩 太陽はジャガーの姿で 34 00:02:20,850 --> 00:02:22,910 冥界を駆け抜けました 35 00:02:22,910 --> 00:02:29,310 チャクエクは乾季の終わりの頃 日の出に昇るジャガーを槍で射ちました 36 00:02:29,310 --> 00:02:35,642 太陽は傷つき 世界は 混沌と戦いの時代に突入しました 37 00:02:35,642 --> 00:02:38,907 チャクエクの3柱目の被害者は 人類全てに生命の源を与えた 38 00:02:38,907 --> 00:02:42,037 トウモロコシの神でした 39 00:02:42,037 --> 00:02:45,577 チャクエクは収穫の時期に 彼を攻撃しました 40 00:02:45,577 --> 00:02:49,817 彼は冥界に埋められ 主食であるトウモロコシを 41 00:02:49,817 --> 00:02:53,232 地球の住人は手に入れることが できなくなりました 42 00:02:53,232 --> 00:02:57,995 しかし トウモロコシの神は 3か月後に新たな始まりの場所である 43 00:02:57,995 --> 00:03:04,353 東にある洞窟「7つの水場」から再出現し 再び地球に食糧をもたらしました 44 00:03:04,353 --> 00:03:08,566 亀のアクナークが夏至を示すため 空に昇ったとき 45 00:03:08,566 --> 00:03:10,786 チャクエクは4柱目の神の命を奪いました 46 00:03:10,786 --> 00:03:16,136 この吉兆をもたらす神の死により 太陽 食糧 そして人間たちは 47 00:03:16,136 --> 00:03:20,298 土に埋められ 混沌とした勢力が支配しました 48 00:03:20,298 --> 00:03:24,964 しかし混沌の中からフンアハウによって 新たな秩序が生み出されました 49 00:03:24,964 --> 00:03:27,656 フンアハウは 冥界の神々を倒したことで皆が知る 50 00:03:27,656 --> 00:03:30,546 双子の英雄の内の1人です 51 00:03:30,546 --> 00:03:34,806 トウモロコシから 新たな人種が生まれたのです 52 00:03:34,806 --> 00:03:37,745 しかし この安定した状態は 長くは続きませんでした 53 00:03:37,745 --> 00:03:42,925 チャクエクの5柱目にして 最後の犠牲者は西から来た謎の神でした 54 00:03:42,925 --> 00:03:45,508 そして乾季の真っ盛りに起きた この神の死は 55 00:03:45,508 --> 00:03:49,398 フンアハウが確立した 秩序を揺るがしました 56 00:03:49,398 --> 00:03:54,278 神々や 支配者 トウモロコシは 冥界に埋められてしまいました 57 00:03:54,278 --> 00:03:58,270 しかしチャクエクの勝利も 一時的なものとなりました 58 00:03:58,270 --> 00:04:02,943 2人の兄弟である金星と太陽の 果てしない覇権争いが続き 59 00:04:02,943 --> 00:04:07,723 5つの同じ苦しみが繰り返され 60 00:04:07,723 --> 00:04:11,806 明けの明星が昇ると共に 61 00:04:11,806 --> 00:04:14,282 世界は秩序と混沌の間で揺れ動いたのです