1 00:00:01,000 --> 00:00:03,000 4年前 私はこの場にいました 2 00:00:03,000 --> 00:00:05,000 その当時 3 00:00:05,000 --> 00:00:08,000 トークはまだネット配信されておらず 4 00:00:08,000 --> 00:00:12,000 参加者に箱入りのDVDセットとして 5 00:00:12,000 --> 00:00:14,000 配られました 6 00:00:14,000 --> 00:00:17,000 きっと大事にしまわれていることでしょう 取り出されることもなく 7 00:00:17,000 --> 00:00:19,000 (笑) 8 00:00:19,000 --> 00:00:21,000 トークの一週間後に 9 00:00:21,000 --> 00:00:23,000 クリスが連絡してきました 10 00:00:23,000 --> 00:00:25,000 「トークをネット配信することになりました 11 00:00:25,000 --> 00:00:28,000 あなたのも配信して構いませんか?」「もちろん」 12 00:00:28,000 --> 00:00:30,000 その後の4年間で 13 00:00:30,000 --> 00:00:32,000 あのトークは 14 00:00:32,000 --> 00:00:35,000 4百万回ダウンロードされました 15 00:00:35,000 --> 00:00:38,000 見た人の数ということであれば 16 00:00:38,000 --> 00:00:40,000 たぶんその20倍くらいになるでしょう 17 00:00:40,000 --> 00:00:44,000 そしてクリスが言うには みんな飢えているというのです 18 00:00:44,000 --> 00:00:46,000 私のビデオに 19 00:00:46,000 --> 00:00:49,000 (笑) 20 00:00:49,000 --> 00:00:52,000 (拍手) 21 00:00:54,000 --> 00:00:55,000 皆さんもそう感じませんか? 22 00:00:55,000 --> 00:00:58,000 (笑) 23 00:01:00,000 --> 00:01:03,000 だからこのイベントの間中ずっと 24 00:01:03,000 --> 00:01:07,000 入念に準備していました では始めましょう 25 00:01:07,000 --> 00:01:08,000 (笑) 26 00:01:10,000 --> 00:01:12,000 アル ゴアは 27 00:01:12,000 --> 00:01:15,000 私が講演したのと同じ4年前のTEDで 28 00:01:15,000 --> 00:01:17,000 自然環境の危機の話をしました 29 00:01:17,000 --> 00:01:19,000 私は自分の話の最後に 30 00:01:19,000 --> 00:01:21,000 そのトークの内容に触れました 31 00:01:21,000 --> 00:01:23,000 今日はその続きから始めたいと思います 32 00:01:23,000 --> 00:01:26,000 なにせ18分しかないのですから 33 00:01:26,000 --> 00:01:28,000 ですから 先ほど申し上げた通り... 34 00:01:28,000 --> 00:01:33,000 (笑) 35 00:01:36,000 --> 00:01:38,000 彼の指摘は正しいのです 36 00:01:38,000 --> 00:01:41,000 明らかに気候変動の重大な危機が存在します 37 00:01:41,000 --> 00:01:44,000 信じられないと言う人は もっと外に出た方がいいですね 38 00:01:44,000 --> 00:01:47,000 (笑) 39 00:01:47,000 --> 00:01:50,000 でも環境の危機はもう一つあるのです 40 00:01:51,000 --> 00:01:53,000 同じくらい深刻で 41 00:01:53,000 --> 00:01:56,000 同じ種類の危機で 42 00:01:56,000 --> 00:01:59,000 同じくらい緊急に対処しなければなりません 43 00:01:59,000 --> 00:02:01,000 それは... 44 00:02:01,000 --> 00:02:03,000 でも 皆さんは言うでしょうね「もう十分だ 45 00:02:03,000 --> 00:02:05,000 危機は一つでたくさん 46 00:02:05,000 --> 00:02:08,000 二つめは必要ない」 47 00:02:08,000 --> 00:02:10,000 これは自然環境の問題ではなく 48 00:02:10,000 --> 00:02:13,000 もちろん自然環境も大事ですが 49 00:02:13,000 --> 00:02:15,000 人の環境の問題です 50 00:02:15,000 --> 00:02:17,000 他の多くの講演者たちもこの大会で 51 00:02:17,000 --> 00:02:19,000 指摘していますが 基本的に 52 00:02:19,000 --> 00:02:22,000 私達は自分の才能を 53 00:02:22,000 --> 00:02:25,000 うまく生かせていません 54 00:02:25,000 --> 00:02:27,000 大多数の人は人生において 55 00:02:27,000 --> 00:02:30,000 自分の才能が何なのかわからず 56 00:02:30,000 --> 00:02:32,000 そもそも才能があるとも思っていません 57 00:02:32,000 --> 00:02:34,000 何の取り柄もないと思っている人に 58 00:02:34,000 --> 00:02:37,000 出会うのは珍しくありません 59 00:02:38,000 --> 00:02:41,000 私は世界を二つのグループに分けて見るようになりました 60 00:02:41,000 --> 00:02:44,000 功利主義哲学者のジェレミー ベンサムは 61 00:02:44,000 --> 00:02:46,000 この考えを見事に言い表しました 62 00:02:46,000 --> 00:02:48,000 「世界には2種類の人がいる 63 00:02:48,000 --> 00:02:50,000 世界を二つに分ける人と 64 00:02:50,000 --> 00:02:52,000 そうしない人だ」 65 00:02:52,000 --> 00:02:55,000 (笑) 66 00:02:57,000 --> 00:02:59,000 私は分ける派です 67 00:02:59,000 --> 00:03:01,000 (笑) 68 00:03:04,000 --> 00:03:06,000 自分の仕事を 69 00:03:06,000 --> 00:03:09,000 楽しめない人が大勢います 70 00:03:09,000 --> 00:03:11,000 この人達は人生を黙々と 71 00:03:11,000 --> 00:03:13,000 耐えて生きるだけです 72 00:03:13,000 --> 00:03:15,000 仕事から喜びを見いだすことはありません 73 00:03:15,000 --> 00:03:18,000 楽しむというより 耐えながら 74 00:03:18,000 --> 00:03:21,000 週末が来るのを待つのです 75 00:03:21,000 --> 00:03:23,000 一方で 76 00:03:23,000 --> 00:03:25,000 仕事が大好きで 77 00:03:25,000 --> 00:03:27,000 他のことをするなんて考えられない人もいます 78 00:03:27,000 --> 00:03:30,000 やめろと言われたりしたら 訳が分からないという顔をするでしょう 79 00:03:30,000 --> 00:03:33,000 彼らにとってそれは 自分の存在に関わることだからです 80 00:03:33,000 --> 00:03:35,000 「だけど これがあっての私なんです 81 00:03:35,000 --> 00:03:37,000 これをやめるなんて馬鹿げてる 82 00:03:37,000 --> 00:03:39,000 一番本当の自分がここにあるんだから」 83 00:03:39,000 --> 00:03:42,000 でもこのような生き方をしている人は多くありません 84 00:03:42,000 --> 00:03:44,000 それどころか 実際は 85 00:03:44,000 --> 00:03:46,000 このような生き方の人は少数派です 86 00:03:46,000 --> 00:03:48,000 その原因は 87 00:03:48,000 --> 00:03:50,000 いろいろとあると思いますが 88 00:03:50,000 --> 00:03:52,000 大きな原因の一つは 89 00:03:52,000 --> 00:03:54,000 教育にあります 90 00:03:54,000 --> 00:03:56,000 教育はある面で多くの人を 91 00:03:56,000 --> 00:03:58,000 その持って生まれた才能から 92 00:03:58,000 --> 00:04:00,000 引き離すものだからです 93 00:04:00,000 --> 00:04:03,000 人の才能は天然資源と同じで 94 00:04:03,000 --> 00:04:05,000 深い場所に埋もれています 95 00:04:05,000 --> 00:04:07,000 探さないと見つかりません 96 00:04:07,000 --> 00:04:09,000 表面に転がってはいません 97 00:04:09,000 --> 00:04:12,000 才能が現れ出る状況を作る必要があります 98 00:04:12,000 --> 00:04:14,000 教育がそのための手段だと 99 00:04:14,000 --> 00:04:16,000 思うかもしれませんが 100 00:04:16,000 --> 00:04:18,000 多くの場合 そうなっていません 101 00:04:18,000 --> 00:04:20,000 現在世界中で 教育システムの 102 00:04:20,000 --> 00:04:22,000 改善が進められています 103 00:04:22,000 --> 00:04:24,000 でも十分ではありません 104 00:04:24,000 --> 00:04:26,000 改善では役に立たないのです 105 00:04:26,000 --> 00:04:29,000 破綻しているモデルを改良するだけだからです 106 00:04:29,000 --> 00:04:31,000 必要なのは 107 00:04:31,000 --> 00:04:33,000 この場でも度々使われてきた言葉ですが 108 00:04:33,000 --> 00:04:35,000 教育の「進化」ではなく 109 00:04:35,000 --> 00:04:38,000 教育の「革命」なのです 110 00:04:38,000 --> 00:04:40,000 教育は 111 00:04:40,000 --> 00:04:42,000 全く別のものにならねばなりません 112 00:04:42,000 --> 00:04:47,000 (拍手) 113 00:04:48,000 --> 00:04:50,000 本当に難しいのは 114 00:04:50,000 --> 00:04:52,000 教育を 115 00:04:52,000 --> 00:04:54,000 根本的に改革することです 116 00:04:54,000 --> 00:04:56,000 改革は難しいものです 117 00:04:56,000 --> 00:04:58,000 それはみんなが簡単だと思っていないことを 118 00:04:58,000 --> 00:05:00,000 しなければならないからです 119 00:05:00,000 --> 00:05:03,000 それは 私達が当然と思うもの 120 00:05:03,000 --> 00:05:06,000 明白だと思うことに 挑戦することになります 121 00:05:06,000 --> 00:05:08,000 改善や変革において 122 00:05:08,000 --> 00:05:10,000 大きな問題になるのは 123 00:05:10,000 --> 00:05:12,000 「常識」という とてつもなく強い力です 124 00:05:12,000 --> 00:05:14,000 常識とは「ずっとそうやってきたんだから 125 00:05:14,000 --> 00:05:16,000 他のやり方はない」と皆が思い込んでいることです 126 00:05:16,000 --> 00:05:19,000 最近リンカーン大統領の素晴らしい言葉を知りました 127 00:05:19,000 --> 00:05:22,000 ここでリンカーンが出てくるのは皆さん嬉しいでしょう 128 00:05:22,000 --> 00:05:24,000 (笑) 129 00:05:24,000 --> 00:05:27,000 リンカーン大統領の1862年12月の 130 00:05:27,000 --> 00:05:30,000 第2回米国連邦議会での演説です 131 00:05:31,000 --> 00:05:34,000 私は当時の米国で何があったのか全く知りません 132 00:05:36,000 --> 00:05:38,000 英国では米国の歴史を教えないからです 133 00:05:38,000 --> 00:05:40,000 (笑) 134 00:05:40,000 --> 00:05:43,000 米国史を「抑圧」してるんです 政策として 135 00:05:43,000 --> 00:05:45,000 (笑) 136 00:05:46,000 --> 00:05:48,000 何か大事件があったのだと思います 137 00:05:48,000 --> 00:05:50,000 皆さんのうち 米国出身の方なら 138 00:05:50,000 --> 00:05:52,000 きっとご存じでしょう 139 00:05:53,000 --> 00:05:55,000 リンカーンは言いました 140 00:05:55,000 --> 00:05:57,000 「平穏な過去の時代の 141 00:05:57,000 --> 00:05:59,000 定説は 142 00:05:59,000 --> 00:06:02,000 嵐のような現在には役立たない 143 00:06:02,000 --> 00:06:04,000 この時代は 144 00:06:04,000 --> 00:06:06,000 困難に満ちている 145 00:06:06,000 --> 00:06:09,000 我々はこの時代とともに立ち上がらねばならない」 146 00:06:09,000 --> 00:06:11,000 素晴らしいですね 147 00:06:11,000 --> 00:06:14,000 「時代に対して」ではなく「時代とともに」です 148 00:06:15,000 --> 00:06:17,000 「新たな事態には 149 00:06:17,000 --> 00:06:20,000 新たな思考と行動をもって 150 00:06:20,000 --> 00:06:23,000 対処しなければならない 151 00:06:23,000 --> 00:06:26,000 我々自身の束縛を解き 152 00:06:26,000 --> 00:06:29,000 この国を救わねばならない」 153 00:06:29,000 --> 00:06:31,000 良い言葉ですね 「束縛を解く」 154 00:06:31,000 --> 00:06:33,000 意味はわかりますね? 155 00:06:33,000 --> 00:06:36,000 私達みんなが囚われている考えがあります 156 00:06:36,000 --> 00:06:38,000 私達はそういう考えを 自然なこととして 157 00:06:38,000 --> 00:06:40,000 そういうものと 思い込んでいます 158 00:06:40,000 --> 00:06:42,000 私達の考えの多くは 159 00:06:42,000 --> 00:06:45,000 現在の状況ではなく 160 00:06:45,000 --> 00:06:48,000 前世紀の状況に合わせて形成されました 161 00:06:48,000 --> 00:06:50,000 しかし私達の心は いまだ囚われたままです 162 00:06:50,000 --> 00:06:53,000 ですから 私達は自らを束縛から解放する必要があるのです 163 00:06:53,000 --> 00:06:56,000 言うのはやさしく 実行するのは難しいです 164 00:06:56,000 --> 00:06:59,000 自分が何を当然と思っているかを知ることは大変難しいのです 165 00:06:59,000 --> 00:07:02,000 なぜなら それを当然のことと思っているからです 166 00:07:02,000 --> 00:07:05,000 皆さんが当然と思っていることについて聞いてみましょう 167 00:07:05,000 --> 00:07:08,000 25歳以上の方は どれくらいいますか? 168 00:07:08,000 --> 00:07:10,000 それを皆さん当たり前とは思ってないでしょう 169 00:07:10,000 --> 00:07:12,000 その歳にはもう慣れたとは思いますが 170 00:07:12,000 --> 00:07:15,000 では 25歳未満の方は? 171 00:07:15,000 --> 00:07:18,000 25歳以上の方で 172 00:07:18,000 --> 00:07:21,000 腕時計をしている方は手を挙げてください 173 00:07:21,000 --> 00:07:24,000 大半の方がそうですね 174 00:07:24,000 --> 00:07:27,000 同じ質問を10代の若者にしてごらんなさい 175 00:07:27,000 --> 00:07:29,000 10代の若者は腕時計をしません 176 00:07:29,000 --> 00:07:31,000 できないとか 許されてないわけではなく 177 00:07:31,000 --> 00:07:33,000 自分でしようと思わないのです 178 00:07:33,000 --> 00:07:35,000 その理由はこうです 25歳以上の人は 179 00:07:35,000 --> 00:07:38,000 デジタル化以前の時代に育ったので 180 00:07:38,000 --> 00:07:40,000 時間を知りたければ 181 00:07:40,000 --> 00:07:42,000 時を告げるものを身につける必要がありました 182 00:07:42,000 --> 00:07:45,000 今の子供たちは デジタル化された世界に住んでいますから 183 00:07:45,000 --> 00:07:47,000 時間はどこででも知ることができます 184 00:07:47,000 --> 00:07:49,000 腕時計をする必要がないのです 185 00:07:49,000 --> 00:07:51,000 もちろん 皆さんも腕時計は必要ありませんが 186 00:07:51,000 --> 00:07:54,000 習慣的にし続けているのです 187 00:07:54,000 --> 00:07:57,000 私の娘のケイトは20歳ですが 腕時計などしたことがありません 188 00:07:57,000 --> 00:07:59,000 腕時計の必要を認めないのです 189 00:07:59,000 --> 00:08:02,000 彼女は言います 「え なに その機能1個って?」 190 00:08:02,000 --> 00:08:07,000 (笑) 191 00:08:07,000 --> 00:08:10,000 「ダサいもいいとこね」 192 00:08:10,000 --> 00:08:12,000 「そんなことないよ 日付だって分るんだから」 193 00:08:12,000 --> 00:08:16,000 (笑) 194 00:08:17,000 --> 00:08:20,000 「ほら 多機能じゃない!」 195 00:08:20,000 --> 00:08:23,000 教育においても 私達には囚われていることがあります 196 00:08:23,000 --> 00:08:25,000 例を挙げましょう 197 00:08:25,000 --> 00:08:28,000 ひとつは 一本道という考えで 198 00:08:28,000 --> 00:08:31,000 スタートして規定のコースを走り 199 00:08:31,000 --> 00:08:33,000 すべて正しくやれば 200 00:08:33,000 --> 00:08:35,000 あとの人生は安泰というものです 201 00:08:37,000 --> 00:08:39,000 TEDで講演した人はみんな 202 00:08:39,000 --> 00:08:42,000 暗に あるいは明確に それとは違ったことを言っています 203 00:08:42,000 --> 00:08:45,000 人生は一本道ではなく もっと絡み合っているものです 204 00:08:45,000 --> 00:08:47,000 私達は自分の才能を追求する中で 205 00:08:47,000 --> 00:08:49,000 成長の助けとなる周囲のものと 206 00:08:49,000 --> 00:08:52,000 共生的に生きています 207 00:08:52,000 --> 00:08:54,000 しかし私達は一本道という 208 00:08:54,000 --> 00:08:56,000 考えに囚われており 209 00:08:56,000 --> 00:08:58,000 教育の最大の山場は 210 00:08:58,000 --> 00:09:00,000 大学に入ることだと思っています 211 00:09:00,000 --> 00:09:03,000 それも特定の大学に 212 00:09:03,000 --> 00:09:05,000 入学させようという考えにとりつかれています 213 00:09:05,000 --> 00:09:07,000 大学に行くなと言うわけではありません 214 00:09:07,000 --> 00:09:09,000 全員が すぐに行く必要はないということです 215 00:09:09,000 --> 00:09:11,000 もう少し後でも良いかもしれません 216 00:09:11,000 --> 00:09:13,000 しばらく前に 本のサイン会のため 217 00:09:13,000 --> 00:09:15,000 サンフランシスコに出かけました 218 00:09:15,000 --> 00:09:17,000 本を買ってくれた ある30代の男性に 219 00:09:17,000 --> 00:09:19,000 「お仕事は何を?」と尋ねました 220 00:09:19,000 --> 00:09:22,000 「消防士です」 221 00:09:22,000 --> 00:09:24,000 「消防士をやって長いんですか?」 222 00:09:24,000 --> 00:09:26,000 「ずっとです 昔から消防士をしています」 223 00:09:26,000 --> 00:09:28,000 「なろうと思ったのはいつですか?」 224 00:09:28,000 --> 00:09:31,000 「子供の時です 実のところ学校では問題がありました 225 00:09:31,000 --> 00:09:34,000 みんな消防士になりたいと言いますからね」 226 00:09:34,000 --> 00:09:37,000 「でも私は本気で消防士になりたかったんです」 227 00:09:37,000 --> 00:09:40,000 「高校3年生になったとき 228 00:09:40,000 --> 00:09:43,000 先生方は私の進路希望を本気にしてくれませんでした」 229 00:09:43,000 --> 00:09:45,000 「全然まともに取り合ってくれない先生がいて 230 00:09:45,000 --> 00:09:47,000 その先生は言いました "消防士なんて 231 00:09:47,000 --> 00:09:49,000 人生を棒に振るようなものだ 232 00:09:49,000 --> 00:09:52,000 大学へ行って 専門を身につけなさい 233 00:09:52,000 --> 00:09:54,000 君には素晴らしい可能性があるんだから 234 00:09:54,000 --> 00:09:56,000 才能を無駄にするんじゃない"」 235 00:09:56,000 --> 00:09:58,000 「クラスのみんなの前で言われたので 236 00:09:58,000 --> 00:10:00,000 すごく屈辱的で 嫌な思いをしました 237 00:10:00,000 --> 00:10:02,000 でも 私はどうしても消防士になりたかったのです 238 00:10:02,000 --> 00:10:05,000 卒業するとすぐに 消防士に志願して念願を果たしました」 239 00:10:05,000 --> 00:10:07,000 「あなたが先ほど話をされていたとき 240 00:10:07,000 --> 00:10:10,000 私はその先生のことを思い出していました」 241 00:10:10,000 --> 00:10:12,000 「というのも 6ヶ月前のこと 242 00:10:12,000 --> 00:10:14,000 私はその先生の命を救ったからです」 243 00:10:14,000 --> 00:10:16,000 (笑) 244 00:10:16,000 --> 00:10:18,000 「先生が自動車事故に遭って 245 00:10:18,000 --> 00:10:21,000 私が救出して蘇生救命措置をしたんです 246 00:10:21,000 --> 00:10:24,000 奥さんの命も救いました」 247 00:10:24,000 --> 00:10:26,000 「今では多少は見直してくれたんじゃないかと思います」 248 00:10:26,000 --> 00:10:28,000 (笑) 249 00:10:28,000 --> 00:10:33,000 (拍手) 250 00:10:34,000 --> 00:10:36,000 私は思うのですが 251 00:10:36,000 --> 00:10:38,000 人間社会は才能の多様性によって 252 00:10:38,000 --> 00:10:40,000 成り立っています 253 00:10:40,000 --> 00:10:43,000 単一の能力によってではありません 254 00:10:43,000 --> 00:10:45,000 私達にとっての課題は... 255 00:10:45,000 --> 00:10:47,000 (拍手) 256 00:10:47,000 --> 00:10:49,000 私達にとっての重要な課題は 257 00:10:49,000 --> 00:10:51,000 能力と知性についての私達の考え方を 258 00:10:51,000 --> 00:10:53,000 再構築することです 259 00:10:53,000 --> 00:10:55,000 一本道という考え方に問題があります 260 00:10:55,000 --> 00:10:57,000 私が9年ほど前 261 00:10:57,000 --> 00:10:59,000 ロサンゼルスに移ってきたとき 262 00:10:59,000 --> 00:11:02,000 次のような標語に出逢いました 263 00:11:02,000 --> 00:11:04,000 善意で作られたものでしょうが 264 00:11:04,000 --> 00:11:07,000 「大学は幼稚園から始まる」というものでした 265 00:11:09,000 --> 00:11:11,000 まさか 違いますよ 266 00:11:11,000 --> 00:11:14,000 (笑) 267 00:11:14,000 --> 00:11:16,000 大学は幼稚園からは始まりません 268 00:11:16,000 --> 00:11:19,000 時間があればお話ししたいところですが やめときます 269 00:11:19,000 --> 00:11:21,000 (笑) 270 00:11:21,000 --> 00:11:23,000 幼稚園は幼稚園から始まるのです 271 00:11:23,000 --> 00:11:25,000 (笑) 272 00:11:25,000 --> 00:11:27,000 私の友人が以前言っていました 273 00:11:27,000 --> 00:11:30,000 「3歳児は6歳児の半分ってわけじゃない」 274 00:11:30,000 --> 00:11:32,000 (笑) 275 00:11:32,000 --> 00:11:37,000 (拍手) 276 00:11:37,000 --> 00:11:39,000 3歳児は3歳児なのです 277 00:11:39,000 --> 00:11:41,000 ですが 先のセッションで聞いたように 278 00:11:41,000 --> 00:11:44,000 現在は「良い」幼稚園に入る競争が 279 00:11:44,000 --> 00:11:46,000 とても熾烈になっているので 280 00:11:46,000 --> 00:11:49,000 入園面接もあります 3歳児ですよ 281 00:11:51,000 --> 00:11:53,000 子供たちが 無表情な面接官の前に座ります 282 00:11:53,000 --> 00:11:55,000 面接官は履歴書を手に 283 00:11:55,000 --> 00:11:58,000 (笑) 284 00:11:58,000 --> 00:12:00,000 ぱらぱらとめくりながら言います「これだけですか?」 285 00:12:00,000 --> 00:12:02,000 (笑) 286 00:12:02,000 --> 00:12:05,000 (拍手) 287 00:12:05,000 --> 00:12:08,000 「36ヶ月間生きてきて たったこれだけですか?」 288 00:12:08,000 --> 00:12:15,000 (笑) 289 00:12:15,000 --> 00:12:18,000 「確たる実績が何もありませんね 290 00:12:18,000 --> 00:12:21,000 最初の6ヶ月は授乳を受けていただじゃありませんか」 291 00:12:21,000 --> 00:12:24,000 (笑) 292 00:12:26,000 --> 00:12:29,000 考えただけでも馬鹿げていますが みんなそれに引かれるのです 293 00:12:29,000 --> 00:12:31,000 もう一つの問題は画一性です 294 00:12:31,000 --> 00:12:33,000 私達は教育システムを 295 00:12:33,000 --> 00:12:35,000 ファーストフード産業をモデルに構築しました 296 00:12:35,000 --> 00:12:38,000 そのことについては ジェミー オリバーが先日講演しました 297 00:12:38,000 --> 00:12:40,000 外食産業には 二つの品質保証モデルがあります 298 00:12:40,000 --> 00:12:42,000 その一つは ファーストフードで 299 00:12:42,000 --> 00:12:44,000 すべてが標準化されています 300 00:12:44,000 --> 00:12:46,000 もう一つは ザガットやミシュランのレストランで 301 00:12:46,000 --> 00:12:48,000 標準化されず 302 00:12:48,000 --> 00:12:50,000 その地方の特色を生かしたサービスを提供します 303 00:12:50,000 --> 00:12:53,000 私達は教育のファーストフード化を推進してきました 304 00:12:53,000 --> 00:12:56,000 ファーストフードが私達の肉体を蝕むように 305 00:12:56,000 --> 00:12:59,000 教育が私達の精神と活力を蝕んでいます 306 00:12:59,000 --> 00:13:04,000 (拍手) 307 00:13:05,000 --> 00:13:07,000 ここで いくつかの事項を確認したいと思います 308 00:13:07,000 --> 00:13:10,000 一つは 人間の才能は途方もなく多様性に満ちていることです 309 00:13:10,000 --> 00:13:12,000 人の才能は皆異なります 310 00:13:12,000 --> 00:13:14,000 最近分かったことがあります 311 00:13:14,000 --> 00:13:16,000 私は子供の頃ギターを買ってもらいましたが 312 00:13:16,000 --> 00:13:19,000 同じ頃に エリック クラプトンも最初のギターを手にしていたんです 313 00:13:20,000 --> 00:13:23,000 私に言えるのは まあエリックにはうまくいったね ということです 314 00:13:23,000 --> 00:13:25,000 (笑) 315 00:13:25,000 --> 00:13:27,000 私はダメでしたけど 316 00:13:27,000 --> 00:13:30,000 良い音色は出ませんでした 317 00:13:30,000 --> 00:13:32,000 いくら一生懸命に吹いても 318 00:13:32,000 --> 00:13:34,000 まったくダメでした 319 00:13:37,000 --> 00:13:39,000 でもそれだけではありません 320 00:13:39,000 --> 00:13:41,000 情熱が違ったのです 321 00:13:41,000 --> 00:13:43,000 人は本当に好きなことに上達するものです 322 00:13:43,000 --> 00:13:45,000 情熱が大切なのです 323 00:13:45,000 --> 00:13:48,000 精神と活力をたぎらせるものが大事なのです 324 00:13:48,000 --> 00:13:51,000 大好きなことや得意なことをしているときには 325 00:13:51,000 --> 00:13:54,000 時間の過ぎ方が異なります 326 00:13:54,000 --> 00:13:57,000 妻は最近小説を書き上げました 327 00:13:57,000 --> 00:13:59,000 傑作です 執筆に没頭すると 328 00:13:59,000 --> 00:14:02,000 何時間も姿を消してしまいます 329 00:14:02,000 --> 00:14:04,000 ご存じでしょう 何か本当に好きなことをしていると 330 00:14:04,000 --> 00:14:07,000 1時間が5分ほどに思えます 331 00:14:07,000 --> 00:14:09,000 一方で 心に響くものがなければ 332 00:14:09,000 --> 00:14:11,000 5分が1時間に感じられます 333 00:14:11,000 --> 00:14:14,000 多くの人が教育を見限るのは 334 00:14:14,000 --> 00:14:16,000 教育が心の糧にならないからです 335 00:14:16,000 --> 00:14:19,000 活力や情熱をかき立てないからです 336 00:14:19,000 --> 00:14:22,000 ですから 教育のモデルを変える必要があります 337 00:14:22,000 --> 00:14:25,000 教育を 工業的 製造業的モデルから 338 00:14:25,000 --> 00:14:27,000 脱却させる必要があります 339 00:14:27,000 --> 00:14:29,000 このモデルは 直線的 画一的であり 340 00:14:29,000 --> 00:14:32,000 人を一緒くたに扱います 341 00:14:32,000 --> 00:14:34,000 このモデルを 342 00:14:34,000 --> 00:14:37,000 農業的原理に基づくモデルに変えねばなりません 343 00:14:37,000 --> 00:14:40,000 人がその才能を花開かせるのは 344 00:14:40,000 --> 00:14:42,000 機械的で自動的なプロセスではなく 345 00:14:42,000 --> 00:14:44,000 「有機的」なプロセスだと捉える必要があります 346 00:14:44,000 --> 00:14:47,000 人の成長の結果を予言することなどできません 347 00:14:47,000 --> 00:14:49,000 できることは 農夫のように 348 00:14:49,000 --> 00:14:51,000 花開く条件を 349 00:14:51,000 --> 00:14:53,000 整えることだけです 350 00:14:53,000 --> 00:14:56,000 教育の改革 変革は 351 00:14:56,000 --> 00:14:59,000 同じシステムのコピーではできません 352 00:14:59,000 --> 00:15:01,000 KIPPのような 個別指導を特徴とする 353 00:15:01,000 --> 00:15:03,000 素晴らしいモデルが いくつもあります 354 00:15:03,000 --> 00:15:06,000 個々の状況や 355 00:15:06,000 --> 00:15:08,000 実態に合わせて 356 00:15:08,000 --> 00:15:10,000 教育を個別化することが大切です 357 00:15:10,000 --> 00:15:12,000 これが未来につながる 358 00:15:12,000 --> 00:15:14,000 解決方法です 359 00:15:14,000 --> 00:15:17,000 無理を押して新たな解決策を求めるのではなく 360 00:15:17,000 --> 00:15:19,000 個人個人のカリキュラムに基づき 361 00:15:19,000 --> 00:15:22,000 外的な支援を得ながら 皆がそれぞれの状況に合わせ 362 00:15:22,000 --> 00:15:25,000 解決策を探求できる運動を教育の場に作り出すことです 363 00:15:25,000 --> 00:15:27,000 このホールには 364 00:15:27,000 --> 00:15:29,000 ビジネス、マルチメディア、インターネットなどの 365 00:15:29,000 --> 00:15:31,000 素晴しいリソースを持った 366 00:15:31,000 --> 00:15:33,000 人たちが集っています 367 00:15:33,000 --> 00:15:35,000 これらの技術を 368 00:15:35,000 --> 00:15:38,000 優れた教師の能力と合体させることで 369 00:15:38,000 --> 00:15:41,000 教育に革命を起こすことができます 370 00:15:41,000 --> 00:15:43,000 この教育革命に皆さんも参加してください 371 00:15:43,000 --> 00:15:45,000 私達ばかりでなく 私達の子供たちの 372 00:15:45,000 --> 00:15:47,000 未来のために ぜひとも必要なことだからです 373 00:15:47,000 --> 00:15:49,000 教育は 工業的なモデルから 374 00:15:49,000 --> 00:15:51,000 農業的なモデルへと変わらねばなりません 375 00:15:51,000 --> 00:15:54,000 そうなれば 学校はすぐに生気を取り戻すでしょう 376 00:15:54,000 --> 00:15:56,000 そこで子供たちは本来の生き方を見つけるのです 377 00:15:56,000 --> 00:15:58,000 ホームスクーリングならば家庭で 378 00:15:58,000 --> 00:16:00,000 家族や友人達に囲まれて生き方を見つけます 379 00:16:00,000 --> 00:16:02,000 この大会では 380 00:16:02,000 --> 00:16:05,000 多くの方々が夢について語っています 381 00:16:05,000 --> 00:16:07,000 ここでちょっとご紹介したいのですが 382 00:16:07,000 --> 00:16:10,000 昨夜 ナタリー マーチャントが 383 00:16:10,000 --> 00:16:12,000 古い詩を歌ったのに感激したので 384 00:16:12,000 --> 00:16:14,000 私もちょっとだけ 短い詩をご紹介します 385 00:16:14,000 --> 00:16:17,000 W. B.イエイツの詩です 誰だかご存じですね 386 00:16:17,000 --> 00:16:19,000 この詩は恋人のために書かれました 387 00:16:19,000 --> 00:16:21,000 モード ゴンです 388 00:16:21,000 --> 00:16:24,000 イエイツは自分が貧しくて 389 00:16:24,000 --> 00:16:27,000 彼女の欲しいものを何もあげられないことを嘆いています 390 00:16:27,000 --> 00:16:30,000 「君に贈り物があるけれど 喜んではくれないだろうね」 391 00:16:30,000 --> 00:16:32,000 そして 392 00:16:32,000 --> 00:16:35,000 「もし私に 金と銀の光が 393 00:16:35,000 --> 00:16:37,000 縫い込まれた 394 00:16:37,000 --> 00:16:39,000 天の布があったなら 395 00:16:39,000 --> 00:16:41,000 夜と薄明と昼を表す 396 00:16:41,000 --> 00:16:43,000 漆黒と灰色と空色をした 397 00:16:43,000 --> 00:16:46,000 天の布があったなら 398 00:16:46,000 --> 00:16:49,000 その布を あなたの足下に広げましょう 399 00:16:49,000 --> 00:16:52,000 でも 貧しい私には 400 00:16:52,000 --> 00:16:55,000 夢しか持ち合わせがないので 401 00:16:55,000 --> 00:16:58,000 私の夢を あなたの足下に広げます 402 00:16:58,000 --> 00:17:00,000 どうかそっと歩いてください 403 00:17:00,000 --> 00:17:03,000 私の夢の上なのですから」 404 00:17:03,000 --> 00:17:06,000 毎日 世界中で 405 00:17:06,000 --> 00:17:09,000 子供たちが私達の足下に夢を広げているのです 406 00:17:09,000 --> 00:17:12,000 私達はその上を優しく歩まねばなりません 407 00:17:12,000 --> 00:17:14,000 ありがとうございました 408 00:17:14,000 --> 00:17:31,000 (拍手) 409 00:17:31,000 --> 00:17:33,000 どうもありがとうございました