WEBVTT

00:00:11.074 --> 00:00:15.796
脳震盪は 以前よりはるかに
恐ろしい言葉になっています

00:00:15.820 --> 00:00:18.196
私自身も
身に染みて感じています

00:00:18.220 --> 00:00:20.876
わたしは アメフトをしてきた10年間で

00:00:20.900 --> 00:00:23.316
何千回も頭を衝突されました

00:00:23.340 --> 00:00:26.996
これ以上にひどい経験をしたのは

00:00:27.020 --> 00:00:31.796
自転車で何度かの事故を起こし
脳震盪に苦しんだことで―

00:00:31.820 --> 00:00:34.756
今ここに立っている状態でも

00:00:34.780 --> 00:00:36.800
もっとも最近の事故の影響が残っています

00:00:38.340 --> 00:00:40.796
脳震盪に関する不安には

00:00:40.820 --> 00:00:42.780
証拠があります

00:00:44.300 --> 00:00:47.636
何度も脳震盪を経験すると

00:00:47.660 --> 00:00:50.450
アルツハイマー病などの初期の認知症や

00:00:50.450 --> 00:00:53.036
慢性外傷性脳症を
引き起こす可能性があります

00:00:53.060 --> 00:00:56.820
ウィル・スミス主演の『コンカッション』は
このような題材を取り上げているので

00:00:57.260 --> 00:01:00.836
アメフトや軍隊で脳震盪が起きやすい
ということはご存知でしょう

00:01:00.860 --> 00:01:02.196
しかし 皆さんの中では

00:01:02.220 --> 00:01:06.516
サイクリングが
子供のスポーツ関連脳震盪の第一原因だと

00:01:06.540 --> 00:01:08.207
知っている人は
少ないかもしれません

00:01:09.740 --> 00:01:12.316
そのため もう１つ
皆さんがおそらく知らないことを

00:01:12.340 --> 00:01:13.556
お伝えします

00:01:13.580 --> 00:01:16.516
それは アメフトや自転車など
多くのスポーツで使用するヘルメットは

00:01:16.540 --> 00:01:18.196
子供を脳震盪から

00:01:18.220 --> 00:01:20.796
適切に守ることができるように

00:01:20.820 --> 00:01:24.300
設計や試験されたものでは
ないのです

00:01:24.900 --> 00:01:27.146
実際は 
頭がい骨骨折から守るための

00:01:27.146 --> 00:01:29.690
設計や試験がなされたのです

00:01:30.540 --> 00:01:36.156
そこで いつも親御さんから受けるのは

00:01:36.180 --> 00:01:37.756
こんな質問です

00:01:37.780 --> 00:01:40.076
「あなたの子供に
アメフトをさせたいと思いますか？」

00:01:40.100 --> 00:01:43.276
または 「私の子供には
サッカーをさせるべきでしょうか？」と

00:01:43.300 --> 00:01:46.196
それはまだ自信をもって

00:01:46.220 --> 00:01:50.620
答を出せる領域ではありません

00:01:52.140 --> 00:01:55.716
そのため 少し違う角度から
この質問を見てみます

00:01:55.740 --> 00:01:59.476
どのようにすれば
脳震盪が防げるのでしょうか

00:01:59.500 --> 00:02:01.156
または 防ぐことは可能なのでしょうか

00:02:01.180 --> 00:02:03.740
殆どの専門家は
防げないと考えています

00:02:05.220 --> 00:02:07.436
しかし 私の研究室での研究によると

00:02:07.460 --> 00:02:11.836
脳震盪に関する詳細な情報が
分かってきており

00:02:11.860 --> 00:02:14.636
これについてより深く
理解することができるようになっています

00:02:14.660 --> 00:02:17.516
何故ヘルメットによって
頭がい骨骨折を防げるかというと

00:02:17.540 --> 00:02:19.994
極めて単純なことだからです
その仕組みが分かっています

00:02:20.020 --> 00:02:22.060
脳震盪が起こる仕組みは
ほとんど知られていません

00:02:22.980 --> 00:02:26.740
脳震盪になったときに
何が起きるかイメージしやすいよう

00:02:27.590 --> 00:02:29.876
動画をお見せします

00:02:29.900 --> 00:02:32.436
グーグルで
「脳震盪とは何？」と検索すると

00:02:32.460 --> 00:02:33.876
見ることができます

00:02:33.900 --> 00:02:37.016
アメリカ疾病予防管理センター（CDC）の
ウェブサイトが出てくるので

00:02:37.016 --> 00:02:39.036
その動画を見ると
脳震盪の全体像が分かります

00:02:39.060 --> 00:02:41.476
動画では まず
頭が前に動くと

00:02:41.500 --> 00:02:43.556
脳は遅れて動きます

00:02:43.580 --> 00:02:44.996
脳はだんだんスピードを上げ

00:02:45.020 --> 00:02:47.276
頭がい骨に衝突します

00:02:47.300 --> 00:02:49.476
そして その場所で跳ね返って

00:02:49.500 --> 00:02:53.260
頭がい骨の反対側に
衝突します

00:02:54.020 --> 00:02:57.636
そして このNFLから資金援助を受けた
CDCの動画で

00:02:57.660 --> 00:03:00.116
はっきり分かるように

00:03:00.140 --> 00:03:03.076
脳の表層 ―

00:03:03.100 --> 00:03:06.396
つまり 頭がい骨に衝突した場所は

00:03:06.420 --> 00:03:10.356
ダメージを受けているように見えます

00:03:10.380 --> 00:03:12.356
さてこの動画について言えば

00:03:12.380 --> 00:03:16.076
脳震盪が起こる仕組みとして
科学者が考えていることを

00:03:16.100 --> 00:03:19.186
正しく描いている部分もあります

00:03:19.186 --> 00:03:21.756
でもこの動画は
間違っている点もたくさんあります

00:03:21.780 --> 00:03:25.036
１つだけ 私も おそらく殆どの専門家も
共通の認識なのは

00:03:25.060 --> 00:03:27.076
脳は様々な動きをする ということです

00:03:27.100 --> 00:03:29.476
脳は頭がい骨の動きから遅れをとり

00:03:29.500 --> 00:03:32.156
頭がい骨の動きに追いついた後
前後に動き そして振動もする

00:03:32.180 --> 00:03:33.420
この動きは本当だと思います

00:03:34.460 --> 00:03:37.756
しかし この動画で見られる
脳の動きの量は

00:03:37.780 --> 00:03:39.356
おそらく 全く正しくありません

00:03:39.380 --> 00:03:42.796
頭蓋内には
ほとんど余分な空間はありません

00:03:42.820 --> 00:03:44.516
たった数ミリの空間に

00:03:44.540 --> 00:03:47.716
満たされている脳髄液が

00:03:47.740 --> 00:03:49.916
外傷から守る役割を果たしています

00:03:49.940 --> 00:03:54.100
そして 脳は恐らく 頭蓋骨の中で
ほんの少ししか動いていません

00:03:55.220 --> 00:03:57.276
また この動画では

00:03:57.300 --> 00:03:59.036
脳が一つの固い塊として動いているように

00:03:59.060 --> 00:04:02.156
見えていますが

00:04:02.180 --> 00:04:03.580
実際はそうではありません

00:04:04.420 --> 00:04:07.836
脳は 私達の身体の中でも
最も柔らかいものの一つです

00:04:07.860 --> 00:04:09.876
ゼリーのようなイメージです

00:04:09.900 --> 00:04:12.036
そのため 頭が前後に動くと

00:04:12.060 --> 00:04:14.916
脳は歪み 回り ねじれて

00:04:14.940 --> 00:04:17.156
組織は引き伸ばされます

00:04:17.180 --> 00:04:20.196
多くの専門家は 恐らく―

00:04:20.220 --> 00:04:23.356
脳震盪は脳の表層で起きているものではなく

00:04:23.380 --> 00:04:25.196
より深いところで

00:04:25.220 --> 00:04:27.316
脳の中心部のほうに起きている
という考えに

00:04:27.340 --> 00:04:28.900
同意するでしょう

00:04:29.979 --> 00:04:32.556
そこで 脳震盪のメカニズムを

00:04:32.580 --> 00:04:34.916
理解し 脳震盪を防ぐために

00:04:34.940 --> 00:04:36.796
このようなデバイスを使って

00:04:36.820 --> 00:04:39.636
問題にアプローチしています

00:04:39.660 --> 00:04:40.860
マウスガードです

00:04:41.660 --> 00:04:44.556
この中に
携帯電話と同じような

00:04:44.580 --> 00:04:45.916
センサーが入っています

00:04:45.940 --> 00:04:48.276
加速度計 姿勢制御装置といったもので

00:04:48.300 --> 00:04:50.196
頭をぶつけた時に

00:04:50.220 --> 00:04:52.756
１秒間に1000サンプルを取って

00:04:52.780 --> 00:04:55.900
脳がどのように動いたかを示します

00:04:57.460 --> 00:05:00.156
マウスピースの原理はこうです

00:05:00.180 --> 00:05:01.436
これは歯にフィットします

00:05:01.460 --> 00:05:04.516
歯は身体のなかで非常に硬い部分ですので

00:05:04.540 --> 00:05:06.596
がっしりと頭蓋骨に繋がっています

00:05:06.620 --> 00:05:09.036
これにより 
どのように頭蓋骨が動くか

00:05:09.060 --> 00:05:10.996
最も正確に測定することができます

00:05:11.020 --> 00:05:13.556
ヘルメットを使った方法で
試した人もいます

00:05:13.580 --> 00:05:16.956
皮膚に接触させる他のセンサーも
試みましたが

00:05:16.980 --> 00:05:19.596
どのセンサーも動きすぎてしまいました

00:05:19.620 --> 00:05:22.316
マウスピースで最も信頼できるデータを
取得できるということが

00:05:22.340 --> 00:05:23.700
分かりました

00:05:26.100 --> 00:05:30.396
このデバイスを手に入れたことで
死体から学べる以上のことが学べます

00:05:30.420 --> 00:05:32.836
これまでは 脳震盪について理解する
最善の方法は

00:05:32.860 --> 00:05:34.076
死体からでしたが

00:05:34.100 --> 00:05:36.876
これからは 生きた人間から
もっと多くのことを学べるのです

00:05:36.900 --> 00:05:40.796
しかし 日常的に外出時に頭をぶつけて

00:05:40.820 --> 00:05:45.076
脳震盪を受ける
積極的なボランティアは―

00:05:45.100 --> 00:05:46.316
どこで見つかるのでしょうか

00:05:46.340 --> 00:05:48.236
実は 私もその一人でした

00:05:48.260 --> 00:05:51.060
我らがスタンフォード
アメフトチームです

00:05:52.340 --> 00:05:53.956
そして これが私達の実験室です

00:05:53.980 --> 00:05:55.676
初めて私達が―

00:05:55.700 --> 00:05:58.876
このデバイスで脳震盪を測定した
シーンをお見せします

00:05:58.900 --> 00:06:03.156
注目していただきたいことは
これには姿勢制御装置が入っていて

00:06:03.180 --> 00:06:05.916
頭の回転運動を測定します

00:06:05.940 --> 00:06:08.316
多くの専門家は 回転の測定が

00:06:08.340 --> 00:06:11.196
脳震盪で何が起こっているかを知る上で
最も重要な要素だと考えています

00:06:11.220 --> 00:06:12.580
この動画を観て下さい

00:06:13.980 --> 00:06:17.396
（実況） クーガーズは遅れて
ラックは余裕のプレイ

00:06:17.420 --> 00:06:19.060
ウィンスローが激突

00:06:20.820 --> 00:06:22.396
大丈夫でしょうか

00:06:22.420 --> 00:06:24.380
（観客の歓声）

00:06:29.260 --> 00:06:30.716
画面の上の方です

00:06:30.740 --> 00:06:33.156
ポストプレイで抜きますが

00:06:33.180 --> 00:06:34.820
セーフティが来る

00:06:38.940 --> 00:06:41.500
実際の速度ですと
このような音が聞こえます

00:06:43.340 --> 00:06:45.220
ぶつかったのは―

00:06:47.419 --> 00:06:50.530
（デイビッド・カマリロ） すみません
３回はちょっとやりすぎでした

00:06:50.530 --> 00:06:52.156
でも 見ての通りです

00:06:52.180 --> 00:06:54.996
この動画を見る限り

00:06:55.020 --> 00:06:58.836
彼は強く頭を打ち 負傷した
ということしか分からないでしょう

00:06:58.860 --> 00:07:00.516
しかし 彼が着けていた

00:07:00.540 --> 00:07:02.540
マウスガードからデータを抽出すると

00:07:02.564 --> 00:07:05.276
より詳細で 多様な情報が
見えてきます

00:07:05.300 --> 00:07:07.716
その一つとして

00:07:07.740 --> 00:07:11.796
彼はマスクの左下側から
アタックされたことが分かります

00:07:11.820 --> 00:07:14.996
直感から少し外れたことが起こったのです

00:07:15.020 --> 00:07:16.716
彼の頭は右に動いたのではなく

00:07:16.740 --> 00:07:18.676
実際は まず左側に回転したのです

00:07:18.700 --> 00:07:21.556
そして 首が圧縮された後

00:07:21.580 --> 00:07:24.676
その力で右後方にしなったのです

00:07:24.700 --> 00:07:30.556
つまり この左右の動きが
むち打ちの現象に似ていて

00:07:30.580 --> 00:07:34.996
これが結果的に脳の損傷に繋がる
と考えられます

00:07:35.020 --> 00:07:38.796
このデバイスで
頭蓋骨の動きを測ることはできますが

00:07:38.820 --> 00:07:42.236
脳の実際の動きについては
知ることはできません

00:07:42.260 --> 00:07:45.756
そこで私達は スウェーデンのスベイン・
クライベン氏のグループと共同研究をしました

00:07:45.780 --> 00:07:49.356
彼らは脳の有限要素モデルを開発しました

00:07:49.380 --> 00:07:51.476
これがそのシミュレーションモデルです

00:07:51.500 --> 00:07:54.836
先程お見せした マウスガードで得た
衝突のデータを使い

00:07:54.860 --> 00:07:56.876
脳の変化が分かります

00:07:56.900 --> 00:07:59.316
これが脳前部の断面図です

00:07:59.340 --> 00:08:02.116
先程お話しした ねじれや歪みが
見えるでしょう

00:08:02.140 --> 00:08:05.036
CDCの動画と大きくことなっていることが
分かると思います

00:08:05.060 --> 00:08:06.916
今見えている色は―

00:08:06.940 --> 00:08:11.076
どれだけ脳の組織が伸びているかを
示しています

00:08:11.100 --> 00:08:12.796
赤色は50％伸びています

00:08:12.820 --> 00:08:16.476
つまり 脳の特定の箇所は
通常の長さより―

00:08:16.500 --> 00:08:18.196
50％伸びたということです

00:08:18.220 --> 00:08:21.476
そして 一番見て頂きたいのが
この赤い部分です

00:08:21.500 --> 00:08:24.956
ここは
脳の中心に非常に近いところです

00:08:24.980 --> 00:08:26.236
そして CDCの動画と較べて

00:08:26.260 --> 00:08:30.916
このような色は 表層には―

00:08:30.940 --> 00:08:33.299
あまり見られません

00:08:34.659 --> 00:08:36.395
脳震盪がどのように起きているかを―

00:08:36.419 --> 00:08:40.035
私達の見解をもう少し詳しく
お伝えします

00:08:40.059 --> 00:08:41.356
お伝えしたいのは

00:08:41.380 --> 00:08:44.595
私達や他の研究者が見つけたのは

00:08:44.619 --> 00:08:48.595
頭がこの方向で回転する時に
脳震盪が起きる可能性が高いということです

00:08:48.619 --> 00:08:50.876
この動きはアメフトのようなスポーツで
よく起こり―

00:08:50.900 --> 00:08:54.234
この動きはそれより危険に見えますが
いったい何が起きているのでしょうか

00:08:54.258 --> 00:08:57.276
一つ気づくことは
人間の脳は―

00:08:57.300 --> 00:08:59.036
他の動物と異なり

00:08:59.060 --> 00:09:01.516
このように大きな半球が二つあります

00:09:01.540 --> 00:09:03.756
右脳と左脳です

00:09:03.780 --> 00:09:06.836
この図で見て頂きたいポイントは

00:09:06.860 --> 00:09:10.116
右脳と左脳の間に

00:09:10.140 --> 00:09:13.076
脳の深部にまで達する
大きな溝があります

00:09:13.100 --> 00:09:16.655
この溝の中に
この図では見えないのですが

00:09:16.680 --> 00:09:17.896
信じて想像してください

00:09:17.920 --> 00:09:19.616
線維性のシート状組織があります

00:09:19.640 --> 00:09:20.856
鎌（かま）と呼ばれるものです

00:09:20.880 --> 00:09:24.320
これが前頭から後頭まで
続いています

00:09:24.320 --> 00:09:25.776
大変強固なものです

00:09:25.800 --> 00:09:29.256
こんな構造であるので

00:09:29.280 --> 00:09:32.336
衝突で
頭が左右に動いた時

00:09:32.360 --> 00:09:36.136
その力が すぐに
脳の中心まで届きます

00:09:36.160 --> 00:09:38.400
さて
溝の底はどうなっているのでしょうか

00:09:39.520 --> 00:09:42.016
これは脳の接続部であり―

00:09:42.040 --> 00:09:46.656
実は
溝の底にあるこの赤い神経線維束は

00:09:46.680 --> 00:09:49.656
最大の神経線維束で―

00:09:49.680 --> 00:09:53.656
右脳と左脳のつながりなのです

00:09:54.380 --> 00:09:55.904
これを脳梁（のうりょう）といいます

00:09:57.380 --> 00:09:59.316
私達は これが

00:09:59.340 --> 00:10:03.156
脳震盪のメカニズムで
起こりうる可能性が最も高く

00:10:03.180 --> 00:10:07.876
力は下の方に伝わって
脳梁に達し

00:10:07.900 --> 00:10:10.876
右脳と左脳間での解離が起こると
考えられます

00:10:10.900 --> 00:10:13.380
これで
いくつかの脳震盪の症状が説明できます

00:10:14.580 --> 00:10:19.116
この結果は
先に述べた慢性外傷性脳症でも

00:10:19.116 --> 00:10:21.436
同様に見られます

00:10:21.460 --> 00:10:26.996
これは
中年の元アメフト選手の脳断面写真です

00:10:27.020 --> 00:10:30.996
ここで見て頂きたいのは
脳梁です

00:10:31.020 --> 00:10:36.016
こちらは通常の脳梁のサイズで ―

00:10:36.080 --> 00:10:40.496
こちらは慢性外傷性脳症のある脳梁です

00:10:40.520 --> 00:10:43.056
大きく萎縮しています

00:10:43.080 --> 00:10:46.416
全ての脳室内の空間も同様です

00:10:46.440 --> 00:10:48.216
これらの脳室は通常よりずっと大きく―

00:10:48.240 --> 00:10:50.776
脳の中心近くの組織は

00:10:50.800 --> 00:10:52.016
時間とともに死滅しました

00:10:52.040 --> 00:10:55.600
これらの情報は
みごとに整合しています

00:10:56.520 --> 00:10:59.176
良い情報もあります

00:10:59.200 --> 00:11:02.656
私の話の終わりまでには
希望を持って頂けるようにします

00:11:02.680 --> 00:11:04.776
私達が気付いたのは

00:11:04.800 --> 00:11:07.056
特に損傷のメカニズムについてです

00:11:07.080 --> 00:11:11.136
力はこの溝の底に素早く伝わるのですが

00:11:11.160 --> 00:11:14.456
それでも一定の時間がかかります

00:11:14.480 --> 00:11:18.816
そこで もし頭の運きのスピードを落として

00:11:18.840 --> 00:11:22.056
脳が頭蓋骨の動きから遅れないで―

00:11:22.080 --> 00:11:25.656
頭蓋骨と同時に動けば

00:11:25.680 --> 00:11:28.936
脳震盪を防ぐことができるかもしれません

00:11:28.960 --> 00:11:31.640
では どうすれば
頭の動きを減速できるのでしょうか？

00:11:33.640 --> 00:11:35.376
（笑）

00:11:35.400 --> 00:11:37.360
巨大なヘルメットです

00:11:38.440 --> 00:11:41.296
より広いスペースがあれば
より時間を稼げます

00:11:41.320 --> 00:11:44.416
これはちょっとしたジョークですが
何人かの方々はこれを見たことがあるでしょう

00:11:44.440 --> 00:11:46.736
バブルサッカーと言われる
れっきとしたスポーツです

00:11:46.760 --> 00:11:48.416
実際に 先日 若者が―

00:11:48.440 --> 00:11:51.020
近くでこのスポーツをしているところを
家から見ました

00:11:51.020 --> 00:11:53.440
私が知る限り これまでこのスポーツで
脳震盪は報告されていません

00:11:53.440 --> 00:11:55.110
（笑）

00:11:55.110 --> 00:11:59.816
まじめな話
この原理で説明がつきます

00:11:59.840 --> 00:12:01.216
ただ この話は少し行きすぎでしたね

00:12:01.240 --> 00:12:06.496
これはサイクリングやアメフトでは
現実的ではありません

00:12:06.520 --> 00:12:10.896
そのため 私達は ホーブディングという
スウェーデンの企業と連携しました

00:12:10.920 --> 00:12:13.256
見たことがある方もいるでしょうが

00:12:13.280 --> 00:12:17.656
彼らは 同様に空気をつかった原理で
頭を守るスペースを増やして

00:12:17.680 --> 00:12:19.480
脳震盪を防ぐ方法をとっています

00:12:20.320 --> 00:12:22.080
子供達は家で試さないでくださいね

00:12:25.080 --> 00:12:27.240
このスタントマンは
ヘルメットを着けていませんが

00:12:28.600 --> 00:12:30.856
代わりに首輪を着けています

00:12:30.880 --> 00:12:33.456
この首輪には

00:12:33.480 --> 00:12:37.056
マウスガードと同じタイプの
センサーが付いていて

00:12:37.080 --> 00:12:40.216
彼が転びそうになると
それを察知し―

00:12:40.240 --> 00:12:42.576
エアバッグが飛び出します

00:12:42.600 --> 00:12:46.376
車のエアバッグの動作と
基本的には同じ方法です

00:12:46.400 --> 00:12:49.336
そして 私の研究室で
彼らのデバイスを使った実験をした結果

00:12:49.360 --> 00:12:53.096
いくつかのケースにおいて
通常の自転車用ヘルメットと比較して

00:12:53.120 --> 00:12:55.256
脳震盪のリスクを大幅に減らせることが
分かりました

00:12:55.280 --> 00:12:57.120
結構面白い製品だと思います

00:12:58.120 --> 00:13:02.816
しかし 脳震盪を防ぐ技術の恩恵を―

00:13:02.840 --> 00:13:04.696
実際に受けるには

00:13:04.720 --> 00:13:07.656
基準を満たさなくてはなりません

00:13:07.680 --> 00:13:09.376
これが現実です

00:13:09.400 --> 00:13:12.536
このデバイスはヨーロッパでは
すでに販売されていますが

00:13:12.560 --> 00:13:16.256
アメリカでは 今後もしばらくは
販売できないでしょう

00:13:16.280 --> 00:13:17.816
理由をお教えします

00:13:17.840 --> 00:13:21.616
良い理由とあまり良くない理由があります

00:13:21.640 --> 00:13:23.856
自転車用ヘルメットは
連邦政府によって規制されています

00:13:23.880 --> 00:13:26.860
消費者製品安全委員会の管轄により―

00:13:26.860 --> 00:13:29.496
自転車用ヘルメットの販売が承認されます

00:13:29.520 --> 00:13:30.976
これが彼らの使う試験です

00:13:31.000 --> 00:13:33.770
これは 最初の方でお話しした
頭蓋骨折の話に戻ります

00:13:33.770 --> 00:13:35.750
この試験の目的はこの承認のためです

00:13:35.750 --> 00:13:37.650
もちろん この試験は重要なことです

00:13:37.650 --> 00:13:40.736
人の命を守ることができます
ただし 充分ではないと思います

00:13:40.760 --> 00:13:43.496
例えば この試験では―

00:13:43.520 --> 00:13:46.336
エアバッグが必要な時と場所で作動し

00:13:46.360 --> 00:13:50.256
不要な時には作動しないことを
評価しません

00:13:50.280 --> 00:13:52.336
同様に
ヘルメットが脳震盪を防ぐかどうかは

00:13:52.360 --> 00:13:55.736
この評価では分からないのです

00:13:55.760 --> 00:13:59.496
そして 規制の無いアメフトのヘルメットも

00:13:59.520 --> 00:14:02.481
同じような試験をしています

00:14:02.520 --> 00:14:04.350
政府による規制は無いのですが

00:14:04.350 --> 00:14:07.080
産業団体の試験があり
これは多くの産業製品でそうだと思います

00:14:07.080 --> 00:14:09.340
しかしこの団体は 基準を更新することに

00:14:09.340 --> 00:14:11.190
あまり前向きではありません

00:14:11.280 --> 00:14:15.656
そこで私の研究室では
脳震盪のメカニズムだけでなく―

00:14:15.680 --> 00:14:19.136
より良い試験基準を検討しています

00:14:19.160 --> 00:14:23.696
そして政府は このような情報を使って
技術の革新を推進してほしいと

00:14:23.720 --> 00:14:25.456
願っています

00:14:25.480 --> 00:14:27.096
あるヘルメットがどれほど有効か

00:14:27.120 --> 00:14:30.896
消費者に伝えることで
変わるはずです

00:14:30.920 --> 00:14:34.296
そして最後に
最初の質問に戻りたいと思います

00:14:34.320 --> 00:14:37.656
私の子供にアメフトや自転車をさせることに
抵抗はないかという―

00:14:37.680 --> 00:14:39.416
質問のことです

00:14:39.440 --> 00:14:42.776
私自身が怪我をした経験に
基づいた答えにはなりますが

00:14:42.800 --> 00:14:46.800
私の娘のローズが自転車に乗ることには
いささか不安があります

00:14:47.920 --> 00:14:49.576
彼女は１歳半ですが

00:14:49.600 --> 00:14:55.056
すでにサンフランシスコの道を
自転車で走りたがっています

00:14:55.080 --> 00:14:57.416
これは その道の１つです

00:14:57.440 --> 00:15:02.656
私の個人的な目標であり
実現可能だと信じていることは―

00:15:02.680 --> 00:15:04.736
これらの技術を更に発展させることです

00:15:04.760 --> 00:15:09.086
実際 私の研究室では
ヘルメット内の空間の最適な利用方法について

00:15:09.086 --> 00:15:10.713
検討を進めています

00:15:10.737 --> 00:15:14.646
そして
彼女が二輪車を乗る準備が出来た時には

00:15:14.646 --> 00:15:16.456
規制に適合して―

00:15:16.480 --> 00:15:19.076
脳震盪のリスクを
実際に軽減することができる―

00:15:19.076 --> 00:15:21.216
何らかの製品が出来ていることを

00:15:21.240 --> 00:15:24.376
確信しています

00:15:24.400 --> 00:15:26.016
そして ここにいる何人かの皆さんは

00:15:26.040 --> 00:15:29.416
もっとすぐに必要としていると思いますので
私があと数年で―

00:15:29.440 --> 00:15:31.096
達成したいことがあります

00:15:31.120 --> 00:15:35.256
それは 
お子さんにこれらのアクティビティをさせるのは

00:15:35.280 --> 00:15:39.696
安全で健康的だと 親御さんや祖父母の方々に
伝えることができるようにすることです

00:15:39.720 --> 00:15:42.536
そして それを実現するために
日々切磋琢磨できる素晴らしい仲間が

00:15:42.560 --> 00:15:44.456
スタンフォードにいることは
非常に幸運なことです

00:15:44.480 --> 00:15:48.576
数年後にここに戻ってきて
最終報告をしたいと思っています

00:15:48.600 --> 00:15:50.576
ただ 今の私がお伝えできることは―

00:15:50.600 --> 00:15:53.330
脳震盪という言葉を聞いただけで
怖がらないでください

00:15:53.350 --> 00:15:54.776
希望はありますから

00:15:54.800 --> 00:15:55.880
ありがとうございました

00:15:55.880 --> 00:15:58.000
（拍手）