0:00:00.000,0:00:02.000
最初に子供の頃見た

0:00:02.000,0:00:04.000
この美しい絵から始めましょう

0:00:04.000,0:00:06.000
私はサイエンス・フィクションが大好きです

0:00:06.000,0:00:08.000
これは『宇宙水爆戦』 （原題：This Island Earth）

0:00:08.000,0:00:10.000
ハリウッドは頼もしいですね

0:00:10.000,0:00:12.000
たった2年半で出来たという

0:00:12.000,0:00:15.000
(笑)

0:00:15.000,0:00:18.000
創造説論者でさえ６千年と言うのに

0:00:18.000,0:00:20.000
さすがハリウッドですね

0:00:20.000,0:00:24.000
この映画に登場するのは[br]想像上の存在です

0:00:24.000,0:00:27.000
宇宙船や宇宙人です

0:00:27.000,0:00:30.000
どの世界にも宇宙人がいて[br]そこには宇宙船があります

0:00:30.000,0:00:34.000
そして超高速で飛行します[br]宇宙人たち

0:00:35.000,0:00:38.000
私の友人ドン・ブラウンリーと私は

0:00:38.000,0:00:41.000
毎晩テレビをつけると宇宙船が

0:00:41.000,0:00:44.000
登場するのにうんざりして

0:00:44.000,0:00:47.000
反論を書くことにしました

0:00:47.000,0:00:51.000
そして地球が居住可能な条件は何か

0:00:51.000,0:00:53.000
地球であるための条件は何か

0:00:53.000,0:00:56.000
単なる生命ではなく非常に長い進化を経て

0:00:56.000,0:00:58.000
高等な生命体を育む

0:00:58.000,0:01:01.000
恒常性がある環境とは[br]何かを論述しました

0:01:01.000,0:01:04.000
2000年に私たちは『レアアース』[br]を執筆し 2003年には

0:01:04.000,0:01:09.000
他に地球を探すのではなく 今の地球が[br]どの位続いているのか問いかけました

0:01:09.000,0:01:11.000
20億年さかのぼると地球は

0:01:11.000,0:01:13.000
もはや地球らしくありません

0:01:13.000,0:01:17.000
地球らしき惑星はごく短い[br]期間しか存在していないのです

0:01:17.000,0:01:19.000
『レアアース』のおかげで

0:01:19.000,0:01:22.000
多くの人々と会い たくさん学ぶことができました

0:01:22.000,0:01:25.000
出版直後サイエンス・フィクションの[br]集会に招かれました

0:01:25.000,0:01:28.000
私は熱意を持って参加しました

0:01:28.000,0:01:30.000
デイヴィッド・ブリンと討論会を行う予定でした

0:01:30.000,0:01:34.000
到着すると百人程の聴衆から[br]思い切りブーイングを受けました

0:01:34.000,0:01:37.000
少女が近づいてきて言うのです [br]“パパは あなたを悪魔って言うのよ”

0:01:37.000,0:01:41.000
宇宙人のイメージを壊してしまうと

0:01:41.000,0:01:45.000
みんなに嫌われるんです

0:01:45.000,0:01:47.000
その後さらに事件が起きました

0:01:47.000,0:01:50.000
聴衆に見かけたポール・アレンと話をしていて

0:01:50.000,0:01:52.000
『レアアース』を一冊渡した時です

0:01:52.000,0:01:56.000
隣にいたジル・ターターが私の方に振り向いて

0:01:56.000,0:01:59.000
まるで「エクソシスト」の少女のように言うのです

0:01:59.000,0:02:01.000
“やめて～!”

0:02:01.000,0:02:03.000
SETI（地球外知的生命体探査協会）[br]には迷惑なのです

0:02:03.000,0:02:06.000
SETIは宇宙に様々なものが[br]存在すると思っています

0:02:06.000,0:02:09.000
SETIの努力は称賛しますが[br]まだ何も傍受していません

0:02:09.000,0:02:11.000
何が良い惑星で 何が悪い惑星か

0:02:11.000,0:02:14.000
本当に考え始めるべきだと私は思います

0:02:14.000,0:02:17.000
さて このスライドを出した理由は

0:02:17.000,0:02:21.000
仮にSETIが何か傍受したら[br]私たちに解読できるでしょうか?

0:02:21.000,0:02:23.000
というのも このスライドは

0:02:23.000,0:02:27.000
地球上の２つの知性の塊である[br]マックとPCの間を往復したのです

0:02:27.000,0:02:30.000
文字すら正しく表示されません

0:02:30.000,0:02:32.000
(笑)

0:02:32.000,0:02:34.000
これでどうやって宇宙人と会話するのでしょう?

0:02:34.000,0:02:37.000
もし宇宙人が50光年先にいるとして[br]私たちが呼びかけて

0:02:37.000,0:02:39.000
バババババ... と言ったとします

0:02:39.000,0:02:42.000
すると50年後に返信があって[br]相手曰く “繰返して下さい”

0:02:42.000,0:02:44.000
...てな訳です

0:02:44.000,0:02:47.000
私たちの惑星は水を保有できる[br]良い惑星です

0:02:47.000,0:02:51.000
火星は悪い惑星ですが[br]私たちが行って地表に住むのは

0:02:51.000,0:02:53.000
保護する物があれば可能です

0:02:53.000,0:02:56.000
しかし金星は劣悪です 最悪の惑星です

0:02:56.000,0:02:59.000
地球らしき惑星であり 太古には

0:02:59.000,0:03:02.000
地球らしき生命も存在したかも知れませんが

0:03:02.000,0:03:05.000
やがて充満する二酸化炭素の

0:03:05.000,0:03:07.000
温室効果で気温が上昇し続け

0:03:07.000,0:03:10.000
地表は 400℃を超えました

0:03:10.000,0:03:13.000
天体生物学のおかげで今では

0:03:13.000,0:03:16.000
私たちの惑星が どうなるか予測できます

0:03:16.000,0:03:19.000
私たちの地球惑星は生命の観点では

0:03:19.000,0:03:22.000
最初の過酷な微生物時代を終えて

0:03:22.000,0:03:25.000
現在オレオ・クッキーのクリームの中に[br]いるようなものです

0:03:25.000,0:03:28.000
カンブリア爆発で湿地帯で生命が生まれ

0:03:28.000,0:03:30.000
より高等になりました

0:03:30.000,0:03:33.000
現在 私たちは中間地点にいます

0:03:33.000,0:03:36.000
この惑星上に存在する全ての動物は

0:03:36.000,0:03:38.000
今後もしばらくは存続するでしょうが

0:03:38.000,0:03:40.000
それは次の微生物時代までです

0:03:40.000,0:03:42.000
地球温暖化とは逆説的に

0:03:42.000,0:03:44.000
何が起きるかというと

0:03:44.000,0:03:47.000
二酸化炭素濃度が 10ppm を下回ると

0:03:47.000,0:03:49.000
光合成をする植物は

0:03:49.000,0:03:53.000
生存できなくなり それに伴って動物も消滅します

0:03:53.000,0:03:55.000
その後地球は70億年存続しますが

0:03:55.000,0:03:58.000
やがて太陽の輝きが増し 最終的には

0:03:58.000,0:04:03.000
始まりから120億年を経過した段階で

0:04:03.000,0:04:06.000
地球は巨大な太陽に吸収され

0:04:06.000,0:04:09.000
残るのは これだけになります

0:04:09.000,0:04:13.000
従って 私たちの惑星にも寿命があり老化しますが

0:04:13.000,0:04:17.000
現在は その絶頂期なのです

0:04:17.000,0:04:19.000
しかし全てには２つの運命がありますよね

0:04:19.000,0:04:22.000
皆さんの多くは寿命で死亡するでしょう

0:04:22.000,0:04:25.000
しかし何人かは惨いことに事故死するのです

0:04:25.000,0:04:27.000
惑星の運命も同様です

0:04:27.000,0:04:31.000
向こう70億年に渡り 幸運にも

0:04:31.000,0:04:35.000
ヘール・ボップ彗星が衝突せず[br]近くでスーパーノバ爆発がない限り

0:04:35.000,0:04:38.000
地球は私たちの足元にあります

0:04:38.000,0:04:40.000
しかし事故死はどうでしょう?

0:04:40.000,0:04:42.000
古生物学者は過去２百年に渡り

0:04:42.000,0:04:44.000
死を解析してきました 奇妙なことに

0:04:44.000,0:04:47.000
キュヴィエ男爵が初めてマストドンを

0:04:47.000,0:04:50.000
発見するまで絶滅の概念はありませんでした

0:04:50.000,0:04:52.000
同様な骨が他に存在せず

0:04:52.000,0:04:54.000
彼は絶滅を唱えたのです

0:04:54.000,0:04:57.000
その後すぐに高等な生命体が残した

0:04:57.000,0:05:00.000
興味深い化石を調査をすることで

0:05:00.000,0:05:02.000
化石に残る植物や動物が

0:05:02.000,0:05:05.000
何種類存在したか 分かるようになりました

0:05:05.000,0:05:08.000
化石の複雑な記録の中には

0:05:08.000,0:05:10.000
とても多くの生命体が突然死滅したと

0:05:10.000,0:05:12.000
思える時期がありました

0:05:12.000,0:05:14.000
それを見た先代の地質学者は

0:05:14.000,0:05:16.000
“大量絶滅”と呼びました

0:05:16.000,0:05:18.000
長い間その原因は 神の仕業か

0:05:18.000,0:05:20.000
長期間に渡る気象変動と考えられました

0:05:20.000,0:05:22.000
1980年 その考えが大きく変わりました

0:05:22.000,0:05:25.000
ウォルター・アルバレスが グッビオ近くの岩層を

0:05:25.000,0:05:28.000
調査し 白亜紀の生物を含んだ白い岩石と

0:05:28.000,0:05:31.000
その上層の第三紀の化石を含んだ

0:05:31.000,0:05:33.000
ピンク色の岩石の年代差を

0:05:33.000,0:05:35.000
解明しようとしました

0:05:35.000,0:05:39.000
そして 一つの地質時代から次へ移行するのに[br]どれ程の時間を要したかを

0:05:39.000,0:05:41.000
彼らが発見したのは予想外のことでした

0:05:41.000,0:05:44.000
彼らは地層の境目に とても薄い粘土層を発見しました

0:05:44.000,0:05:47.000
その粘土層は ―このとても薄い赤い層ですが―

0:05:47.000,0:05:49.000
イリジウムを含んでいます

0:05:49.000,0:05:52.000
そしてイリジウムだけでなく[br]ガラス状の小球体もあります

0:05:52.000,0:05:54.000
さらに石英粒子も含んでいます

0:05:54.000,0:05:58.000
石英粒子は強烈な圧力が[br]掛かかった 衝撃石英です

0:05:58.000,0:06:00.000
このスライドにある白い部分は白亜です

0:06:00.000,0:06:03.000
白亜は温暖な海で堆積しました

0:06:03.000,0:06:05.000
白亜自体はプランクトンが

0:06:05.000,0:06:09.000
海面から海底に沈んで堆積して[br]できたので ここに見える

0:06:09.000,0:06:12.000
沈殿物の90%は生命体の残骸です

0:06:12.000,0:06:14.000
そしてミリ単位幅の赤い層と

0:06:14.000,0:06:16.000
それに黒い岩石があります

0:06:16.000,0:06:19.000
黒い岩石は海底にプランクトンが

0:06:19.000,0:06:21.000
なかった時の堆積物です

0:06:21.000,0:06:25.000
隕石が衝突した結果こうなります

0:06:25.000,0:06:28.000
これが証拠です 有名なK-T隕石は

0:06:28.000,0:06:30.000
長さ10Kmあり 地球に衝突しました

0:06:30.000,0:06:34.000
その痕跡が地球全体に[br]この大変薄い層として拡がり

0:06:34.000,0:06:37.000
恐竜が突然に死滅し

0:06:37.000,0:06:39.000
これら美しいアンモナイトも死滅しました

0:06:39.000,0:06:41.000
これはリトセラス[br]これはセラセラスです

0:06:41.000,0:06:43.000
そして その他の生物も

0:06:43.000,0:06:45.000
これは真実に間違いないです

0:06:45.000,0:06:48.000
２つのハリウッド映画がヒットしたし

0:06:48.000,0:06:51.000
1980年～2000年の間に唱えられた理論は

0:06:51.000,0:06:56.000
私たち地質学者の大変動に関する[br]考え方を根本から変えました

0:06:56.000,0:06:59.000
それ以前は斉一説が主流な理論でした

0:06:59.000,0:07:02.000
つまり 地球で過去に起きた事象は

0:07:02.000,0:07:06.000
それを説明できる作用が[br]今日も存在するという説です

0:07:06.000,0:07:09.000
しかし私たちは隕石衝突を目撃していないので

0:07:09.000,0:07:11.000
これは いわば新しい絶滅論です

0:07:11.000,0:07:14.000
そして科学界が隕石衝突説－

0:07:14.000,0:07:16.000
大量絶滅の原因が隕石衝突だったことを

0:07:16.000,0:07:20.000
受け入れるには 20年を要しました

0:07:21.000,0:07:23.000
過去５億年の間には５つの主要な

0:07:23.000,0:07:26.000
大量絶滅が発生しビッグファイブと呼ばれます

0:07:26.000,0:07:29.000
五大絶滅の最初は 4.5億年前で

0:07:29.000,0:07:31.000
最後は４で示す K-Tです

0:07:31.000,0:07:35.000
最大だったのは P で示すペルム紀絶滅で

0:07:35.000,0:07:37.000
時々全ての大量絶滅の祖と呼ばれます

0:07:37.000,0:07:40.000
そして各々の絶滅は大型の隕石衝突に

0:07:40.000,0:07:42.000
起因すると考えられました

0:07:42.000,0:07:44.000
しかし本当でしょうか?

0:07:45.000,0:07:48.000
ペルム紀絶滅の原因が[br]隕石衝突とする理由は

0:07:48.000,0:07:50.000
右側にある美しい構造物です

0:07:50.000,0:07:53.000
バックミンスターフラーレン C60構造です

0:07:53.000,0:07:56.000
60年代に有名だった今は悪名高き

0:07:56.000,0:07:58.000
ジオデシック・ドームに似ているので

0:07:58.000,0:08:00.000
バッキーボールと呼ばれます

0:08:00.000,0:08:02.000
2.5億年前ペルム紀末に

0:08:02.000,0:08:06.000
隕石が地上に落下した際に[br]その圧力によって

0:08:06.000,0:08:09.000
バッキーボールが形成され[br]その成分に地上では希少だが

0:08:09.000,0:08:11.000
宇宙には豊富にある

0:08:11.000,0:08:15.000
ヘリウム3が含まれることから[br]隕石衝突説の根拠となりました

0:08:16.000,0:08:18.000
しかし本当でしょうか?

0:08:18.000,0:08:22.000
1990年 K-T絶滅を既に10年研究していた私は

0:08:22.000,0:08:25.000
南アフリカに移り住んで

0:08:25.000,0:08:27.000
年に２度カルー砂漠で調査を続けました

0:08:27.000,0:08:30.000
あの南アフリカが 新生南アフリカになる様子を

0:08:30.000,0:08:33.000
毎年体験できたことは幸運でした

0:08:33.000,0:08:35.000
そしてボーア人墓地近くでキャンプをして

0:08:35.000,0:08:38.000
一回に何か月も滞在し[br]ペルム紀絶滅を研究しました

0:08:38.000,0:08:41.000
化石は類い稀なものでした

0:08:41.000,0:08:43.000
遠い祖先を見ているのです

0:08:43.000,0:08:45.000
化石は哺乳類に似た爬虫類です

0:08:45.000,0:08:48.000
一般には知られない動物で[br]映画にも登場しません

0:08:48.000,0:08:50.000
これは ゴルゴノプスや[br]ゴルゴンと呼ばれます

0:08:50.000,0:08:54.000
この動物の頭蓋骨は45cm あります

0:08:54.000,0:08:58.000
体長はおそらく 2～2.5m [br]体つきはトカゲで

0:08:58.000,0:09:00.000
頭部はおそらくライオンのようでした

0:09:00.000,0:09:02.000
最強の食肉種 ティラノサウルス級です

0:09:02.000,0:09:04.000
さらに多くの物があります

0:09:04.000,0:09:06.000
私のかわいそうな息子のパトリック

0:09:06.000,0:09:07.000
(笑)

0:09:07.000,0:09:10.000
古生物学的子供のいじめです

0:09:10.000,0:09:12.000
じっとして 寸法代わりだから

0:09:12.000,0:09:17.000
(笑)

0:09:18.000,0:09:21.000
当時 巨大な生物が存在しました

0:09:21.000,0:09:24.000
哺乳類に似た爬虫類が 55種確認されました

0:09:24.000,0:09:27.000
哺乳類の時代が 2.5億年前に

0:09:27.000,0:09:29.000
始まったのも束の間

0:09:29.000,0:09:32.000
大変動が起きたのです

0:09:32.000,0:09:34.000
次に来たのは恐竜の時代です

0:09:34.000,0:09:38.000
全ては間違いでした [br]起きてはならない事が起きたのです

0:09:38.000,0:09:40.000
しかし幸いにも―

0:09:40.000,0:09:43.000
これはトリナクソドン[br]コマドリの卵位の大きさです

0:09:43.000,0:09:46.000
この写真を撮る直前に私が発見しました

0:09:46.000,0:09:48.000
ペンと比べると とても小さいです

0:09:48.000,0:09:52.000
三畳紀前期は大量絶滅が終わった後です

0:09:52.000,0:09:55.000
眼窩と鼻先にある小さな歯が見えます

0:09:55.000,0:10:00.000
もしこいつが存続しなかったら[br]私はここで講演していません

0:10:00.000,0:10:04.000
つまりこいつが存続しなかったら[br]私たち人類は存在しないのです

0:10:04.000,0:10:08.000
哺乳類は存在しません 実に際どい[br]存続は この種のおかげです

0:10:08.000,0:10:11.000
では誰が存続して 誰がしなかったか[br]何かパターンはあるのでしょうか?

0:10:11.000,0:10:13.000
それが私の10年間に及ぶ研究の成果です

0:10:13.000,0:10:16.000
様々なことがあります[br]赤い線が大量絶滅ですが

0:10:16.000,0:10:18.000
生存して乗り越えた者もいます

0:10:18.000,0:10:22.000
分かったのは乗り越えた者は[br]どちらかというと冷血動物です

0:10:22.000,0:10:26.000
温血動物はこの時期ほぼ淘汰されました

0:10:27.000,0:10:29.000
乗り越えた生存者たちは

0:10:29.000,0:10:32.000
ワニのような生物が取り囲む世界を形成しました

0:10:32.000,0:10:36.000
恐竜は まだ出現せず ただゆっくり動く[br]トカゲのように鱗を持った醜い動物たちが

0:10:36.000,0:10:41.000
湿地帯を取り囲み周辺に わずかだけ[br]哺乳類が隠れ棲んでいました

0:10:41.000,0:10:44.000
そこで哺乳類は 1.6億年間隠れ続けるのです

0:10:44.000,0:10:47.000
そしてK-T隕石により解放されました

0:10:47.000,0:10:49.000
衝突説以外に説明はないでしょうか？[br]あります

0:10:49.000,0:10:53.000
地球は先カンブリア時代 のような[br]微生物時代に戻るたびに

0:10:53.000,0:10:56.000
大量絶滅が起きたのではないかと

0:10:56.000,0:10:58.000
そしてその微生物は依然存在します

0:10:58.000,0:11:00.000
微生物は動物が嫌いです

0:11:00.000,0:11:02.000
微生物の世界を復活させたいのです

0:11:02.000,0:11:06.000
復活しようと何度も試みたのです

0:11:06.000,0:11:09.000
つまり大量絶滅は生命が原因で

0:11:09.000,0:11:12.000
起きたことは本質的に反ガイア的です

0:11:12.000,0:11:17.000
生命体が働きかけて世界を[br]良くするというガイア的な考え―

0:11:17.000,0:11:21.000
金曜午後にロスアンジェルスの[br]高速道路を走行した人で

0:11:21.000,0:11:23.000
ガイア理論を信じる人います？ いません

0:11:23.000,0:11:26.000
そこで私は代替案があると思うのです

0:11:26.000,0:11:28.000
生命体は実は自滅しあうことがあります

0:11:28.000,0:11:30.000
無意識的にそうするのです

0:11:30.000,0:11:34.000
これが5億年間使用してきた[br]武器と思われるものです

0:11:34.000,0:11:37.000
微生物の中には代謝により[br]硫化水素を

0:11:37.000,0:11:39.000
発生するものがいます

0:11:39.000,0:11:42.000
しかも大量に発生します

0:11:42.000,0:11:45.000
硫化水素は私たち人間にとっては致死性が高いです

0:11:45.000,0:11:49.000
わずか200ppmでも死亡に至ります

0:11:51.000,0:11:55.000
黒海やその他 数か所の湖に行くと

0:11:55.000,0:11:59.000
水面が紫色に染まるのを見られます

0:11:59.000,0:12:02.000
紫色になるのは 日光と硫化水素を栄養源とする

0:12:02.000,0:12:05.000
多くの微生物が存在するからです

0:12:05.000,0:12:09.000
今日その存在が確認できます 実際に見えます

0:12:09.000,0:12:11.000
しかも過去に それらの微生物が

0:12:11.000,0:12:13.000
存在したことが確認できます[br]過去３年の間に

0:12:13.000,0:12:16.000
全く新しい分野で革新的進歩がありました

0:12:16.000,0:12:18.000
私は絶滅危惧種です

0:12:18.000,0:12:20.000
私は化石を収集する古生物学者です

0:12:20.000,0:12:23.000
しかし私の学院生など新種の古生物学者は

0:12:23.000,0:12:25.000
生体指標を収集します

0:12:25.000,0:12:29.000
彼らは堆積岩を収集しそれから直接[br]油性物質を抽出します

0:12:29.000,0:12:31.000
それから特定の微生物群の

0:12:31.000,0:12:35.000
特徴を持つ化合物を生成できるのです

0:12:35.000,0:12:39.000
脂質はとても強いため堆積岩の中で

0:12:39.000,0:12:42.000
何百万年もの間保存されます

0:12:42.000,0:12:44.000
抽出後そこに誰がいたか分かります

0:12:44.000,0:12:47.000
そうして特定できました ペルム紀の終わり

0:12:47.000,0:12:49.000
大量絶滅境界の多くで

0:12:49.000,0:12:53.000
我々が発見したのはイソレニエラテン[br]とても特有です

0:12:53.000,0:12:57.000
海面に酸素がなくて硫化水素が

0:12:57.000,0:13:00.000
溶液から気化する位 充満する

0:13:00.000,0:13:03.000
条件でのみ発見できるのです

0:13:03.000,0:13:07.000
これに基づきペンシルバニア州立大学の[br]リー・カンプはじめ私のグループは

0:13:07.000,0:13:10.000
カンプ仮説と呼ぶ 次の提言をしました

0:13:10.000,0:13:13.000
大量絶滅の多くは高濃度二酸化炭素により

0:13:13.000,0:13:17.000
酸素が減り地球温暖化の最悪の結果として

0:13:17.000,0:13:20.000
海洋から硫化水素が発生したことである

0:13:20.000,0:13:22.000
この証拠は どこにあるのか?

0:13:22.000,0:13:26.000
この特定の事例についての[br]手掛りは常に洪水玄武岩です

0:13:26.000,0:13:29.000
これは地球の現在の姿です [br]大部分を取り除くと

0:13:29.000,0:13:31.000
水素爆弾のような形になります

0:13:31.000,0:13:33.000
実は影響はもっとひどいのです

0:13:33.000,0:13:36.000
こうなるのは地球内部深くにある物質が

0:13:36.000,0:13:38.000
地上に達し地上に広がった時です

0:13:38.000,0:13:41.000
溶岩流が直接の死因ではありません

0:13:41.000,0:13:43.000
一緒に放出される二酸化炭素のせいです

0:13:43.000,0:13:46.000
これはボルボでなくて火山です

0:13:46.000,0:13:48.000
でも二酸化炭素は二酸化炭素です

0:13:49.000,0:13:52.000
そしてエール大学のロブ・バーナーと

0:13:52.000,0:13:54.000
私が収集したデータがあり

0:13:54.000,0:13:57.000
それに基づき 色々な方法を駆使して

0:13:57.000,0:14:00.000
岩石全体の記録から二酸化炭素の量を把握し

0:14:00.000,0:14:02.000
私が温暖化大量絶滅と呼ぶ

0:14:02.000,0:14:05.000
絶滅が起きた赤い線の状況を分析しました

0:14:05.000,0:14:07.000
極めて明確な事実を２つ発見しました

0:14:07.000,0:14:10.000
これらの絶滅は二酸化炭素が[br]上昇している時期に起きたこと

0:14:10.000,0:14:13.000
そして二つ目は ここにはありませんが

0:14:13.000,0:14:16.000
二酸化炭素が 1,000ppmを

0:14:16.000,0:14:20.000
超した時期は地球には[br]氷が存在しなかったことです

0:14:20.000,0:14:22.000
現在 380ppmで上昇中です

0:14:22.000,0:14:25.000
今後３世紀もすれば 1,000ppmに達するでしょう

0:14:25.000,0:14:29.000
しかしシアトルの友人デイビッド・[br]バッティスティの意見は 100年です

0:14:29.000,0:14:31.000
やがて氷がすべて解けます

0:14:31.000,0:14:35.000
すると海面が70メートル上昇します

0:14:35.000,0:14:37.000
私の家は高台にありますが

0:14:37.000,0:14:39.000
やがて海岸沿いになるでしょう

0:14:39.000,0:14:43.000
さて結末は何でしょう?[br]海洋は恐らく紫色になるでしょう

0:14:43.000,0:14:46.000
私たちは これが高等な生命が発展するのに

0:14:46.000,0:14:48.000
長期間要した理由と考えます

0:14:48.000,0:14:51.000
極めて長期間 海洋は硫化水素に満ちていました

0:14:51.000,0:14:55.000
そのために高度な生命が存在しなかったのです

0:14:55.000,0:15:00.000
硫化水素は今でも地球上の[br]数か所で噴出し続けています

0:15:00.000,0:15:04.000
これは２カ月前に撮った私の写真です

0:15:04.000,0:15:08.000
お気に入りの動物 オウムガイと[br]一緒なのでお見せしました

0:15:08.000,0:15:12.000
この動物は５億年の太古から生存しています

0:15:12.000,0:15:15.000
追跡調査をしている所です[br]スキューバ・ダイバーにとって

0:15:15.000,0:15:18.000
最高のプロジェクトに参加したいなら これです

0:15:18.000,0:15:20.000
ここはグレート・バリア・リーフの近くです

0:15:20.000,0:15:21.000
そしてこの瞬間にも

0:15:21.000,0:15:24.000
オウムガイは彼らの軌跡を私たちに伝えてくれるのです

0:15:24.000,0:15:28.000
ただし時折ダイバーには

0:15:28.000,0:15:30.000
危険が待ち受けています

0:15:30.000,0:15:32.000
少し考えてみましょう

0:15:32.000,0:15:35.000
仕掛けを食いちぎったホウジロザメです

0:15:35.000,0:15:38.000
釣り上げたところです[br]夜になってもサメがいます

0:15:38.000,0:15:41.000
泳いでいた私は脚を[br]食いちぎられたとします

0:15:41.000,0:15:44.000
海岸から 120キロ離れています[br]私はどうなるのでしょう?

0:15:44.000,0:15:46.000
死ぬでしょう

0:15:46.000,0:15:48.000
今から５年後 こうなると期待します

0:15:48.000,0:15:51.000
船に引き上げられ ガスマスクが被せられます

0:15:51.000,0:15:54.000
80ppmの硫化水素を吸入します

0:15:54.000,0:15:58.000
そして氷水につけられます[br]体温が15度低下した状態で

0:15:58.000,0:16:02.000
救命救急病院に搬送されます

0:16:02.000,0:16:04.000
これが可能な理由は私たち哺乳類は

0:16:04.000,0:16:07.000
これまで幾多の硫化水素放出を経験してきたので

0:16:07.000,0:16:09.000
身体が適応しているからです

0:16:09.000,0:16:13.000
実現すれば大きな医療革新になるでしょう

0:16:13.000,0:16:15.000
マーク・ロスです 国防総省国防高等研究事業局[br](DARPA)の

0:16:15.000,0:16:19.000
依頼を受け戦場で負傷した[br]米兵を救う研究をしています

0:16:19.000,0:16:21.000
豚を失血させます

0:16:21.000,0:16:24.000
80ppmの硫化水素を投与します

0:16:24.000,0:16:27.000
過去の大量絶滅を生き延びたのと同じ条件です

0:16:27.000,0:16:29.000
哺乳類が爬虫類に変身します

0:16:29.000,0:16:33.000
“この反応こそ哺乳類と爬虫類が何度となく

0:16:33.000,0:16:36.000
硫化水素に触れてきた結果だと確信します”

0:16:36.000,0:16:38.000
このEメールは２年前に受け取ったものです 彼曰く

0:16:38.000,0:16:41.000
“いくつかの質問に答えが出たと思う”

0:16:41.000,0:16:43.000
彼は今ではネズミで実験をしています

0:16:43.000,0:16:47.000
実験は４時間から時には６時間に及びます

0:16:47.000,0:16:49.000
ここに移動中に もらった最新のデータです

0:16:49.000,0:16:54.000
一番上の線は実験中の普通のネズミの体温です

0:16:54.000,0:16:56.000
点線は実験中の室温を示します

0:16:56.000,0:16:58.000
室温は 25℃から段々と低下し始めます

0:16:58.000,0:16:59.000
室温は 25℃から段々と低下し始めます

0:16:59.000,0:17:01.000
そして６時間後上昇し元に戻ります

0:17:01.000,0:17:06.000
さて同じネズミに 80ppm の硫化水素を投与します

0:17:06.000,0:17:08.000
そのグラフが実線です

0:17:08.000,0:17:10.000
体温がどうなるか見てください

0:17:10.000,0:17:12.000
体温が低下します

0:17:12.000,0:17:16.000
35℃から 15℃まで下がります

0:17:16.000,0:17:19.000
そして 異常なく回復するのです

0:17:19.000,0:17:22.000
これが人を救命救急施設に搬送する方法です

0:17:22.000,0:17:27.000
こうすれば低い体温を維持しながら[br]救命救急施設に搬送できるのです

0:17:28.000,0:17:32.000
皆さん思っていることでしょう [br]脳組織は大丈夫なのかと

0:17:32.000,0:17:35.000
克服すべき大きな問題になるでしょう

0:17:35.000,0:17:37.000
事故に遭ったとします 選択肢は二つです

0:17:37.000,0:17:40.000
死ぬか 硫化水素を吸引して[br]例えば75％の確率で

0:17:40.000,0:17:43.000
精神上は生き残るか

0:17:43.000,0:17:45.000
あなただったら どうしますか?

0:17:45.000,0:17:48.000
死ぬ意思を示す小さな[br]バッジを持ち歩くのでしょうか？

0:17:48.000,0:17:50.000
やがて この時代がやってくるのです

0:17:50.000,0:17:52.000
まさに革命的になるでしょう

0:17:52.000,0:17:55.000
生命を救えますが コストもあります

0:17:55.000,0:17:57.000
大量絶滅の新発見は 確かに衝突があり

0:17:57.000,0:17:59.000
そして長期的観点も必要なことです

0:17:59.000,0:18:01.000
将来また衝突があるでしょう

0:18:01.000,0:18:03.000
しかし私たちは もっと重大な危険に瀕しています

0:18:03.000,0:18:06.000
硫化水素の世界に 簡単に逆戻りし兼ねません

0:18:06.000,0:18:08.000
何千年もすれば―

0:18:08.000,0:18:10.000
今後何千間人類は存続するでしょうが―

0:18:10.000,0:18:14.000
それが再び繰返すのでしょうか [br]私たちがこのまま進めば繰返します

0:18:14.000,0:18:16.000
ここに来るのに何人が飛行機を使いましたか?

0:18:16.000,0:18:18.000
私たち何人が今年飛行機を

0:18:18.000,0:18:21.000
利用しただけで京都議定書の排出枠を

0:18:21.000,0:18:23.000
使い切りましたか?

0:18:23.000,0:18:26.000
何人が超えましたか?[br]私は間違いなく超えました

0:18:26.000,0:18:29.000
私たちは種として巨大な問題に直面しています

0:18:29.000,0:18:31.000
それに勝たねばなりません

0:18:31.000,0:18:35.000
私はこのサンゴ礁に戻りたいです[br]ありがとうございます

0:18:35.000,0:18:41.000
(拍手)

0:18:41.000,0:18:43.000
ひとつだけ質問があります

0:18:43.000,0:18:45.000
あなたが言っていることは

0:18:45.000,0:18:47.000
私たちの体内に硫化水素への

0:18:47.000,0:18:51.000
生化学的な反応が埋め込まれており

0:18:51.000,0:18:54.000
それが過去の大量絶滅は気象変動が

0:18:54.000,0:18:56.000
原因とする証拠だというのですか?

0:18:56.000,0:18:58.000
はい 私たちの細胞には危機的状況に

0:18:58.000,0:19:01.000
直面すると微量の硫化水素を[br]放出する能力が備わっています

0:19:02.000,0:19:03.000
ロスが発見しました

0:19:03.000,0:19:05.000
そこで今研究しているのは[br]その形跡を発見できるか?

0:19:05.000,0:19:07.000
骨や植物の中にその形跡があるか?

0:19:07.000,0:19:10.000
化石をさらに調査して[br]過去に そのような出来事が

0:19:10.000,0:19:12.000
何回あったか研究しています

0:19:12.000,0:19:14.000
信じられない医療技術です

0:19:14.000,0:19:17.000
しかし同時に恐ろしい...

0:19:17.000,0:19:20.000
福音であり 呪縛です