WEBVTT 00:00:00.315 --> 00:00:02.572 10歳の時 00:00:02.572 --> 00:00:04.271 父とキャンプに行きました 00:00:04.271 --> 00:00:07.031 行き先は 手付かずの自然が広がる 00:00:07.031 --> 00:00:10.026 NY州北部のアディロンダック山脈でした 00:00:10.026 --> 00:00:11.467 その日は素晴らしい日で 00:00:11.467 --> 00:00:13.469 森はキラキラ光り 00:00:13.469 --> 00:00:16.993 太陽で木の葉はステンドグラスの様に輝き 00:00:16.993 --> 00:00:20.198 歩み行く道がなければ 00:00:20.198 --> 00:00:21.602 その土地に足を踏み入れたのは 00:00:21.602 --> 00:00:25.164 自分達が最初だと思えるほどでした NOTE Paragraph 00:00:25.164 --> 00:00:26.815 キャンプ場では 00:00:26.815 --> 00:00:28.782 切り立った崖の上に簡素な小屋があり 00:00:28.782 --> 00:00:31.478 澄んだ美しい湖を見渡せましたが 00:00:31.478 --> 00:00:34.174 そこでぞっとする光景を目の当たりにしました 00:00:34.174 --> 00:00:37.272 小屋の後ろはゴミ捨て場になっており 00:00:37.272 --> 00:00:38.730 12㎡くらいの広さだったでしょうか 00:00:38.730 --> 00:00:41.043 腐ったリンゴの芯 00:00:41.043 --> 00:00:42.790 丸められたアルミフォイルや 00:00:42.790 --> 00:00:44.539 履かれなくなったスニーカーの片方が捨てられていました 00:00:44.539 --> 00:00:47.110 私は非常に驚き 00:00:47.110 --> 00:00:50.542 とても腹立たしくなり 深く感情が混乱しました 00:00:50.542 --> 00:00:52.124 キャンプ場に来た人達が怠慢で 00:00:52.124 --> 00:00:54.082 持参品を持ち帰らなかったら 00:00:54.082 --> 00:00:57.927 誰が代わりに清掃してくれると思ったのでしょうか? NOTE Paragraph 00:00:57.927 --> 00:00:59.836 そんな疑問が頭に残りました 00:00:59.836 --> 00:01:01.803 疑問はさらにシンブルな問いとなりました 00:01:01.803 --> 00:01:04.179 誰が私たちの代わりに清掃してくれるのでしょうか 00:01:04.179 --> 00:01:05.601 「私たち」の定義がどうであれ 00:01:05.601 --> 00:01:07.308 「私たち」がどこにいようとも 00:01:07.308 --> 00:01:09.898 私たちの代わりに誰がイスタンブールで清掃をしているのでしょうか 00:01:09.898 --> 00:01:12.154 リオデジャネイロでは 00:01:12.154 --> 00:01:14.683 パリやロンドンでは 誰が清掃をしているのでしょうか 00:01:14.683 --> 00:01:16.255 ここ ニューヨークでは 00:01:16.255 --> 00:01:18.847 衛生局の人達が私たちの代わりに清掃をしています 00:01:18.847 --> 00:01:21.517 1万1千トンもの大量のゴミと 00:01:21.517 --> 00:01:25.879 2千トンの資源ごみを毎日回収しています 00:01:25.879 --> 00:01:28.512 私は彼らについて知りたいと思いました 00:01:28.512 --> 00:01:31.358 清掃をしている人達を理解したいと思ったのです 00:01:31.358 --> 00:01:33.877 衛生局の制服を着て 00:01:33.877 --> 00:01:35.531 ゴミを回収するのはどのような感じなのでしょうか NOTE Paragraph 00:01:35.531 --> 00:01:38.184 私は 清掃作業員と一緒に調査を始めました 00:01:38.184 --> 00:01:40.723 私は清掃トラックに同乗し 回収ルートを歩き 00:01:40.723 --> 00:01:43.132 町中のオフィス 施設で 00:01:43.132 --> 00:01:44.639 人々にインタビューをしました 00:01:44.639 --> 00:01:46.378 私は多くのことを学びましたが 00:01:46.378 --> 00:01:48.727 それでもまだ部外者にしか過ぎません 00:01:48.727 --> 00:01:50.605 そこでもっと深く入り込みたいと思い NOTE Paragraph 00:01:50.605 --> 00:01:53.721 私は清掃職員の仕事に就きました 00:01:53.721 --> 00:01:56.368 ただトラックに同乗するだけではなく 今ではトラックを運転します 00:01:56.368 --> 00:01:59.513 清掃機も操作しますし 除雪もしました 00:01:59.513 --> 00:02:01.412 私にとってはかけがえのない体験でしたし 00:02:01.412 --> 00:02:04.019 多くのことを学ぶ機会となりました NOTE Paragraph 00:02:04.019 --> 00:02:06.171 誰もがごみの臭いについて質問します 00:02:06.171 --> 00:02:09.231 もちろん臭いはありますが 皆さんが思うほどのものではありません 00:02:09.231 --> 00:02:10.745 臭いが本当にひどい時でも 00:02:10.745 --> 00:02:13.421 割とすぐに慣れます 00:02:13.421 --> 00:02:16.618 慣れるのに時間がかかるのはゴミの重さです 00:02:16.618 --> 00:02:18.905 清掃員の職に就いて数年はたっている人達を知っていますが 00:02:18.905 --> 00:02:21.490 彼らは 未だにその負荷に苦戦しています 00:02:21.490 --> 00:02:23.571 体で支えて 00:02:23.571 --> 00:02:26.550 毎週何トンものゴミを持ち運ぶ負担に NOTE Paragraph 00:02:26.550 --> 00:02:28.734 さらに そこには危険も伴います 00:02:28.734 --> 00:02:31.206 労働局の統計によると 00:02:31.206 --> 00:02:33.408 清掃作業はアメリカで最も危険な職業の 00:02:33.408 --> 00:02:35.300 トップ10の中に入っており 00:02:35.300 --> 00:02:37.051 私もその理由が分かりました 00:02:37.051 --> 00:02:38.472 清掃員はものすごいスピードで駆け抜ける交通の中へ 00:02:38.472 --> 00:02:39.433 一日中出入りしています 00:02:39.433 --> 00:02:41.317 清掃車を通り越そうとする時によくあることですが 00:02:41.317 --> 00:02:43.367 運転手は清掃員には注意を払ってくれません 00:02:43.367 --> 00:02:45.193 これは彼らにとって非常に危険です 00:02:45.193 --> 00:02:47.353 ゴミ自体も危険の塊で 00:02:47.353 --> 00:02:49.372 トラックの後ろへ飛び出て 00:02:49.372 --> 00:02:51.453 ひどい危害が及ぶこともあります NOTE Paragraph 00:02:51.453 --> 00:02:54.268 私は ゴミは終わりがないことも知りました 00:02:54.268 --> 00:02:55.579 縁石から降りて 00:02:55.579 --> 00:02:58.428 トラックを背にして街を見ると 00:02:58.428 --> 00:03:00.214 ゴミはそれ自体 自然の力のようだと 00:03:00.214 --> 00:03:02.831 思うようになります 00:03:02.831 --> 00:03:05.287 ゴミには一向に終わりがないのです 00:03:05.287 --> 00:03:08.766 まるで呼吸や血の循環のように 00:03:08.766 --> 00:03:11.811 ゴミは常に動いているにちがいありません NOTE Paragraph 00:03:11.811 --> 00:03:13.859 また 清掃員は侮辱も受けます 00:03:13.859 --> 00:03:16.775 清掃員の制服を着て 特に意識されない存在となるのは 00:03:16.775 --> 00:03:19.079 誰かが何らかの理由で彼らに腹を立てるまでです 00:03:19.079 --> 00:03:21.394 例えば 清掃車が道をふさいでいたり 00:03:21.394 --> 00:03:24.045 清掃員が他人の家に近すぎる場所で休憩をしているとか 00:03:24.045 --> 00:03:27.159 レストランでコーヒーを飲んでいても 00:03:27.159 --> 00:03:29.569 清掃員のところにやって来て 罵ったり 00:03:29.569 --> 00:03:32.831 近くに寄らないで欲しいと言う人がいるのです 00:03:32.831 --> 00:03:35.263 このような侮辱は特に皮肉なことだと思います 00:03:35.263 --> 00:03:38.574 というのも 強く思うこととして 清掃作業員は 00:03:38.574 --> 00:03:40.254 道路における最も重要な労働力だという事です 00:03:40.254 --> 00:03:43.278 その理由は3つあります 00:03:43.278 --> 00:03:46.060 清掃作業員は公衆衛生を第一線で守っています 00:03:46.060 --> 00:03:48.466 清掃作業員がゴミを毎日 00:03:48.466 --> 00:03:50.740 効率的 効果的に回収しなければ 00:03:50.740 --> 00:03:53.451 ゴミ箱はあふれ始め 00:03:53.451 --> 00:03:57.177 それが原因で引き起こさせる危険に 00:03:57.177 --> 00:03:58.351 実際に脅かされることになります 00:03:58.351 --> 00:04:01.322 何十年も何世紀も抑制されていた病気が 00:04:01.322 --> 00:04:04.228 再び猛威を振るうようになります 00:04:04.228 --> 00:04:05.900 経済的に見ても清掃作業員は必要です 00:04:05.900 --> 00:04:08.826 古くなった物を捨てることができなければ 00:04:08.826 --> 00:04:10.716 新しい物を買う事が出来ません 00:04:10.716 --> 00:04:12.785 そうなると 消費が落ち込み 00:04:12.785 --> 00:04:15.714 経済が回らなくなってしまいます 00:04:15.714 --> 00:04:19.778 私は資本主義的観点から述べているのではなく その関係性に着目してほしいのです 00:04:19.778 --> 00:04:21.766 それから いわゆる 00:04:21.766 --> 00:04:25.978 平均的で 必要な日々のスピードというものがあります 00:04:25.978 --> 00:04:27.027 簡単に言うと 00:04:27.027 --> 00:04:29.279 この現代において いかに早く動くことに 00:04:29.279 --> 00:04:31.411 慣れているかということです 00:04:31.411 --> 00:04:36.755 私たちは普段コーヒーカップ 買い物袋や 00:04:36.755 --> 00:04:39.392 ペットボトルを気にかけて 修理したり 洗ったり 00:04:39.392 --> 00:04:40.877 持ち歩いたりしません 00:04:40.877 --> 00:04:43.556 それらを使ったら 捨てるので その存在を忘れます 00:04:43.556 --> 00:04:45.336 というのも 私達は 掃除をしてくれる人が 00:04:45.336 --> 00:04:48.356 別にいることがわかっているからです NOTE Paragraph 00:04:48.356 --> 00:04:50.803 そこで今日は 清掃に対する 00:04:50.803 --> 00:04:55.317 考え方をいくつか提案したいと思います 00:04:55.317 --> 00:04:57.791 それらが この問題の改善につながり 00:04:57.791 --> 00:05:00.022 持続可能で人間らしい街の作り方の話し合いに 00:05:00.022 --> 00:05:05.612 役に立つでしょう 00:05:05.612 --> 00:05:09.773 清掃員の仕事はある意味 儀式のようなものだと思います 00:05:09.773 --> 00:05:12.234 彼らは 毎日決まった時間に街に出ます 00:05:12.234 --> 00:05:14.295 多くの街で 彼らは制服を着用します 00:05:14.295 --> 00:05:16.164 私達はいつ彼らが来るのか把握できます 00:05:16.164 --> 00:05:20.087 彼らの仕事のおかけで 私達は自分の仕事ができます 00:05:20.087 --> 00:05:22.878 彼らは安心させてくれる存在と言ってもいいでしょう 00:05:22.878 --> 00:05:24.615 彼らの一連の作業で 00:05:24.615 --> 00:05:26.605 私達自身や 街のゴミ 捨てられた物から 00:05:26.605 --> 00:05:29.242 私達は身を守られます 00:05:29.242 --> 00:05:32.500 そして その流れは 常に 何があっても 00:05:32.500 --> 00:05:34.133 守らなければなりません NOTE Paragraph 00:05:34.133 --> 00:05:37.857 2001年9月11日 あの日に 00:05:37.857 --> 00:05:41.144 私は街で清掃車の音を耳にし 00:05:41.144 --> 00:05:43.456 幼い息子を抱き 急いで階段を下りたところ 00:05:43.456 --> 00:05:46.298 ある男性が紙の回収をしていました 00:05:46.298 --> 00:05:48.480 毎週水曜日に彼がやっていることです 00:05:48.480 --> 00:05:50.900 あの日に一日中 仕事をしてくれていることに 00:05:50.900 --> 00:05:53.025 感謝しようとしました 00:05:53.025 --> 00:05:55.626 でも 涙が出てきたのです 00:05:55.626 --> 00:05:57.310 すると その人は私を見て 00:05:57.310 --> 00:06:00.734 うなずいて こう言いました 00:06:00.734 --> 00:06:03.612 「大丈夫だよ 00:06:03.612 --> 00:06:06.253 きっと大丈夫だよ」 00:06:06.253 --> 00:06:07.606 その少し後に 私は清掃のリサーチを 00:06:07.606 --> 00:06:08.986 始めました 00:06:08.986 --> 00:06:10.400 そして 私は再びあの時の清掃員にお会いしました 00:06:10.400 --> 00:06:13.317 彼はポーリーという名前で 私達は何度も一緒に仕事をし 00:06:13.317 --> 00:06:15.140 良き友人になりました NOTE Paragraph 00:06:15.140 --> 00:06:17.967 私はポーリーの言ったことが正しいと信じたいと思います 00:06:17.967 --> 00:06:20.169 大丈夫だよ という事を 00:06:20.169 --> 00:06:22.146 しかし この地球上で生きていく種として 00:06:22.146 --> 00:06:25.187 私達が生き方を再設計するためには 00:06:25.187 --> 00:06:28.482 清掃員が仕事をする上で被る犠牲など 00:06:28.482 --> 00:06:32.275 あらゆるコストを 00:06:32.275 --> 00:06:33.779 考慮しなければなりません 00:06:33.779 --> 00:06:36.580 また 私達は清掃する人と触れ合う事で 00:06:36.580 --> 00:06:38.798 持続可能性なシステムをどのように考え 00:06:38.798 --> 00:06:40.643 どのように作ればよいのか 00:06:40.643 --> 00:06:42.396 専門的な意見を聞くことで 00:06:42.396 --> 00:06:45.646 多くの情報が得られるでしょう 00:06:45.646 --> 00:06:49.125 道端で資源ゴミを回収する方法は 00:06:49.125 --> 00:06:51.710 アメリカだけでなく世界中で 40年にわたり 00:06:51.710 --> 00:06:54.948 素晴らしい成果を上げてきましたが 00:06:54.948 --> 00:06:57.750 製造の過程で または原材料から 00:06:57.750 --> 00:07:00.636 排出されるゴミが削減されるような 00:07:00.636 --> 00:07:02.121 今までとは違うタイプの新たな次元を 00:07:02.121 --> 00:07:04.854 見ることができるかもしれません 00:07:04.854 --> 00:07:08.859 ゴミというと 町の生活ごみを思い浮かべますが 00:07:08.859 --> 00:07:12.857 それらは国のゴミの3%に相当します 00:07:12.857 --> 00:07:15.244 見過ごせない数字です NOTE Paragraph 00:07:15.244 --> 00:07:17.722 皆さんが一日過ごす中で 00:07:17.722 --> 00:07:19.248 人生の中で 00:07:19.248 --> 00:07:22.276 今度 皆さんの代わりに 00:07:22.276 --> 00:07:25.419 清掃をしてくれる人を見かけたら 00:07:25.419 --> 00:07:27.908 一瞬立ち止まって その存在を確認してください 00:07:27.908 --> 00:07:32.500 一瞬の時間をとって お礼をいってください NOTE Paragraph 00:07:32.500 --> 00:07:35.854 (拍手)