WEBVTT 00:00:01.000 --> 00:00:06.300 経済学では 何百年にもわたって 人間の行動の研究が行われてきました 00:00:06.880 --> 00:00:08.456 意思決定の仕方や 00:00:08.480 --> 00:00:11.536 個人の行動や集団での行動の様子 00:00:11.560 --> 00:00:13.300 価値を交換する方法などです 00:00:14.760 --> 00:00:18.376 また 人間の経済活動を 円滑化する制度や機関— 00:00:18.400 --> 00:00:19.656 例えば 法制度 00:00:19.680 --> 00:00:20.920 企業 00:00:21.520 --> 00:00:22.890 市場も研究対象です 00:00:23.600 --> 00:00:27.056 しかし今 技術の形をした ある機関が新たに生まれ 00:00:27.080 --> 00:00:31.096 これで人間同士が取引する姿が 根本的に変わっていくでしょう 00:00:31.120 --> 00:00:33.000 その機関とはブロックチェーンです NOTE Paragraph 00:00:34.040 --> 00:00:36.696 今 かなり大胆に言い切りましたが 00:00:36.720 --> 00:00:39.856 今日 私の話の中から 1点だけでいいので 00:00:39.880 --> 00:00:41.616 覚えておいてほしいことがあります 00:00:41.640 --> 00:00:45.576 ブロックチェーンの技術は 比較的新しいと言えども 00:00:45.600 --> 00:00:49.976 非常に人間らしい ある傾向を引き継いだものです 00:00:50.000 --> 00:00:51.930 それは何か説明しましょう 00:00:52.080 --> 00:00:53.030 私たち人間は 00:00:53.050 --> 00:00:57.096 他人と価値の交換ができるように お互いに対する不安を 00:00:57.120 --> 00:00:59.210 軽減する方法を見つけ出すものです NOTE Paragraph 00:01:01.080 --> 00:01:04.575 さて 経済活動の中で 制度や機関を利用し 00:01:04.599 --> 00:01:07.776 お互いへの不安を軽減することで 取引をしやすくするという概念を 00:01:07.800 --> 00:01:10.256 深く掘り下げる研究をした— 00:01:10.280 --> 00:01:12.256 草分け的な存在の1人が 00:01:12.296 --> 00:01:15.040 ノーベル経済学賞を受賞した ダグラス・ノースです 00:01:15.680 --> 00:01:17.816 2015年の暮れに亡くなりましたが 00:01:17.840 --> 00:01:22.560 「新制度派経済学」という理論を いち早く開拓した人です 00:01:23.120 --> 00:01:27.296 ここでは「制度」という言葉は 憲法をはじめとした 公式の規定や 00:01:27.320 --> 00:01:29.296 収賄のような非公式の制約を 00:01:29.320 --> 00:01:32.330 指しているだけに過ぎません 00:01:33.280 --> 00:01:35.650 このような制度は 要は 00:01:35.680 --> 00:01:39.176 経済の歯車が うまく回るように 油をさす役目を果たすわけですが 00:01:39.186 --> 00:01:42.450 人類史と共に発展してきたことが分かります NOTE Paragraph 00:01:43.120 --> 00:01:46.576 狩猟採集時代に さかのぼって考えると 00:01:46.600 --> 00:01:49.536 経済活動は 自分たちの 村社会の中に限られました 00:01:49.560 --> 00:01:51.976 非公式の制約要因は ある程度あったものの 00:01:52.000 --> 00:01:55.536 暴力や社会の目などが圧力となり 00:01:55.560 --> 00:01:57.490 売り買いができたのです 00:01:57.960 --> 00:02:00.296 社会の複雑性が増して 00:02:00.320 --> 00:02:03.536 取引ルートが広がるにつれ 00:02:03.560 --> 00:02:06.576 もっと公式な機関が設けられ 00:02:06.600 --> 00:02:09.936 例えば 通貨を管理する銀行や 00:02:09.960 --> 00:02:12.656 政府や企業などが生まれました 00:02:12.680 --> 00:02:15.216 これらの機関は 社会の複雑さや不確定性が増し 00:02:15.240 --> 00:02:18.256 個々人の力が及ぶ範囲が 著しく縮小した中で 00:02:18.280 --> 00:02:20.880 人々が商売を営むのを 助けてくれました 00:02:21.560 --> 00:02:25.980 最後に インターネット時代になると 同じ機関がオンラインにもできました 00:02:26.600 --> 00:02:30.976 Amazon eBay Alibabaなど プラットフォーム型市場が生まれ 00:02:31.000 --> 00:02:33.780 単に 処理時間が短縮された バージョンの機関として 00:02:33.820 --> 00:02:37.880 人と人との経済活動を 間に入って取り持つようになりました NOTE Paragraph 00:02:39.840 --> 00:02:41.976 ダグラス・ノースの考えたとおり 00:02:42.000 --> 00:02:45.656 機関には 私たちの不安を軽減することで 00:02:45.680 --> 00:02:50.130 人同士をつなぎ どんな種類の価値でも 交換できるようにする役目があります 00:02:50.840 --> 00:02:53.176 そして今まさに 00:02:53.200 --> 00:02:56.176 人同士が交流し取引を行う形が いっそうの進化を 00:02:56.200 --> 00:02:58.656 急激に遂げつつあると私は思います 00:02:58.680 --> 00:03:00.846 というのも 今までと違って 00:03:00.860 --> 00:03:05.856 私たち人間は 銀行や企業や政府など 政治・金融機関の力を借りる以外にも 00:03:05.880 --> 00:03:09.616 未知のものに対する不安感を 軽減する方法を編み出し 00:03:09.640 --> 00:03:12.200 必要なのは技術の力だけだからです NOTE Paragraph 00:03:13.920 --> 00:03:16.006 では ブロックチェーンとは何かというと 00:03:16.026 --> 00:03:20.016 分散型データベースを使った技術のことで 00:03:20.040 --> 00:03:23.626 P2P型ネットワーク内で 資産や取引履歴の記録を 00:03:23.640 --> 00:03:25.550 蓄積する仕組みになっています 00:03:26.160 --> 00:03:28.386 要は 公開帳簿であり そこでは 00:03:28.416 --> 00:03:31.320 誰が何を所有していて 誰が何を取引したのかが見られます 00:03:31.920 --> 00:03:34.916 取引を暗号化して保護し 00:03:34.940 --> 00:03:40.696 これが積み重なるうちに取引履歴が データの塊であるブロックに閉じ込められ 00:03:40.720 --> 00:03:44.200 続いてブロック同士が暗号で つながれて 保護されるという仕組みです 00:03:45.360 --> 00:03:49.536 これで ネットワーク上 全ての取引を記録した— 00:03:49.560 --> 00:03:53.486 変更や改ざんが不可能な帳簿が でき上がります 00:03:53.486 --> 00:03:57.840 この帳簿が ネットワーク内の 全てのコンピューターに複製されます NOTE Paragraph 00:03:59.240 --> 00:04:00.480 アプリではなく 00:04:01.080 --> 00:04:02.320 会社でもありません 00:04:03.120 --> 00:04:06.950 たとえるなら ウィキペディアなんかが最も近いでしょう 00:04:07.800 --> 00:04:09.856 ウィキペディアでは 全てが丸見えです 00:04:09.880 --> 00:04:14.140 情報つぎはぎの状態で表示され 常に変更・更新されます 00:04:15.880 --> 00:04:19.536 ウィキペディアでは 変更履歴を辿ることもできますし 00:04:19.560 --> 00:04:21.986 自分のウィキページを作ることもできます 00:04:22.005 --> 00:04:25.050 突き詰めれば 1つの データ基盤でしかないからです 00:04:26.600 --> 00:04:32.236 ウィキペディアとは 言葉や画像を保管し それらのデータへの変更も蓄積していく— 00:04:32.246 --> 00:04:34.700 オープンなプラットフォームだと言えます 00:04:35.520 --> 00:04:36.976 一方 ブロックチェーンは 00:04:37.000 --> 00:04:39.936 様々な種類の資産を保管する— 00:04:39.960 --> 00:04:42.710 オープンな基盤であると言えます 00:04:43.778 --> 00:04:45.208 ブロックチェーンを使って 00:04:45.250 --> 00:04:48.736 管財人や所有者や場所などの履歴を 保管できる対象の財産には 00:04:48.760 --> 00:04:52.416 デジタル通貨のビットコインや 00:04:52.440 --> 00:04:54.016 その他のデジタル資産— 00:04:54.040 --> 00:04:57.680 例えば知的財産の所有権の 権原なども含まれます 00:04:58.480 --> 00:05:01.616 証明書や契約書や 00:05:01.640 --> 00:05:02.936 物的資産や 00:05:02.960 --> 00:05:05.850 個人を特定できる情報でさえアリです 00:05:07.080 --> 00:05:10.936 もちろん細部の小難しい事柄は 他にもありますが 00:05:10.960 --> 00:05:13.140 本質は 今説明した通りです 00:05:13.170 --> 00:05:17.336 つまり 取引内容を保管する 公開帳簿であり 00:05:17.360 --> 00:05:21.790 複製されるため 非常に安全性が高く 不正改変が起こりにくいのです NOTE Paragraph 00:05:23.120 --> 00:05:25.256 つまり 先ほど私が 00:05:25.280 --> 00:05:28.336 ブロックチェーンが不安感を軽減し 00:05:28.360 --> 00:05:32.546 それにより確実に経済の仕組みを 急激に作り変えると言ったのは 00:05:32.560 --> 00:05:34.010 そういうわけです 00:05:35.810 --> 00:05:39.640 さて「不確実性」という言葉は 経済学ではなかなか重要です 00:05:39.650 --> 00:05:42.256 毎日の金銭のやり取りの ほぼ全てにおいて 00:05:42.296 --> 00:05:45.100 私たちが経験する不確実性は3種類あり ブロックチェーンが 00:05:45.110 --> 00:05:47.506 そんな場面でどう役立つのか 見ていきましょう 00:05:47.526 --> 00:05:50.706 ここでの不確実性とは 取引の相手が誰だかわからないことや 00:05:50.740 --> 00:05:53.456 取引の中身が見えないことや 00:05:53.480 --> 00:05:56.520 万一のとき 償還請求ができないことを指します NOTE Paragraph 00:05:57.520 --> 00:06:00.880 まず1つ目 取引相手を知らない というケースからいきます 00:06:01.720 --> 00:06:05.210 仮に 中古のスマートフォンを eBayで買いたいとします 00:06:05.760 --> 00:06:09.080 まず最初にすることは 売り手について調べることです 00:06:09.600 --> 00:06:11.406 熟練ユーザーかどうか 00:06:11.420 --> 00:06:15.520 高評価がついているか それともプロフィールがないかなどです 00:06:16.960 --> 00:06:19.786 評価の内容や星の数 認証チェックマークなど 00:06:19.800 --> 00:06:25.246 現代では その人の身元の証明になる 材料を揃えることで 00:06:25.256 --> 00:06:28.550 取引相手についての 不安を解消するのに役立てているのです 00:06:29.840 --> 00:06:32.956 しかし こういった証明は 統一性に大きく欠けているのが難点です 00:06:32.980 --> 00:06:35.630 今までに作ったプロフィールを 数えてみてください 00:06:36.520 --> 00:06:42.116 ブロックチェーンを使えば オープンな 世界規模のプラットフォームを作り出せます 00:06:42.160 --> 00:06:46.416 そこには 誰に対しても どんな出処からの情報でも 00:06:46.440 --> 00:06:48.070 証明として保管できます 00:06:48.480 --> 00:06:51.776 そうすれば ユーザー主導で どこでも通用するプロフィールを 00:06:51.800 --> 00:06:53.310 作ることができます 00:06:55.800 --> 00:06:57.696 単なるプロフィールではなく 00:06:57.720 --> 00:06:59.730 自分自身の特性の中で 00:06:59.770 --> 00:07:02.976 取引や交流を 円滑化するようなものを 00:07:03.000 --> 00:07:06.296 選んで開示することも できるということです 00:07:06.320 --> 00:07:09.176 国が発行した身分証明書を持っていることや 00:07:09.200 --> 00:07:11.456 21歳以上であることなど 00:07:11.520 --> 00:07:14.176 これらが事実であることや 承認済みであることを 00:07:14.200 --> 00:07:17.320 証明内容を暗号化して 公表すればいいわけです 00:07:18.960 --> 00:07:21.016 このようなプロフィールが 00:07:21.040 --> 00:07:24.056 実世界でもネットの世界でも あちこちで通用することで 00:07:24.080 --> 00:07:27.376 人間同士の あらゆる取引が 全く新しい姿で 00:07:27.380 --> 00:07:28.910 できるようになります NOTE Paragraph 00:07:30.600 --> 00:07:33.496 今のは ブロックチェーンが 取引相手に対する不確実性を 00:07:33.520 --> 00:07:35.056 軽減できるという話でした 00:07:35.080 --> 00:07:37.696 次のタイプの不確実性は 00:07:37.710 --> 00:07:41.080 要は やり取りの中身が 見えないという話です 00:07:41.600 --> 00:07:44.396 例えば 先ほどのスマホを 送ってもらうとなると 00:07:44.410 --> 00:07:46.306 ある程度の情報開示が欲しいところです 00:07:46.316 --> 00:07:50.436 届くものが 購入した商品 そのものであるかどうか知りたいし 00:07:50.460 --> 00:07:52.776 配達経路の詳細が 記録されていてほしいのです 00:07:52.800 --> 00:07:55.416 スマホのような電子製品だけでなく 00:07:55.440 --> 00:07:58.616 様々な種類の物品やデータでも 同じことで 00:07:58.640 --> 00:08:01.280 医薬品や ぜいたく品など 00:08:02.000 --> 00:08:05.540 改ざんされたくない データや製品も含まれます NOTE Paragraph 00:08:06.880 --> 00:08:09.096 多くの企業に共通する問題点は— 00:08:09.120 --> 00:08:12.456 特に スマホのような複雑な製品の 製造会社に言えることですが— 00:08:12.480 --> 00:08:14.236 水平サプライチェーンの中で 00:08:14.250 --> 00:08:17.070 あらゆる種類のベンダーを 管理していることです 00:08:18.300 --> 00:08:20.876 製造に関わっている会社同士 00:08:20.890 --> 00:08:22.496 共有のデータベースはないし 00:08:22.520 --> 00:08:24.536 同じ情報基盤も持っていないので 00:08:24.560 --> 00:08:29.770 ある製品の変遷する様子を 詳細まで把握するのは非常に困難なのです NOTE Paragraph 00:08:31.840 --> 00:08:33.315 ブロックチェーンを使えば 00:08:33.349 --> 00:08:37.558 お互いの信用が確立していない者同士に 共通の現実が作り出せます 00:08:38.640 --> 00:08:39.556 これはつまり 00:08:39.580 --> 00:08:41.804 ネットワーク内の節である ノードとノード同士に 00:08:41.804 --> 00:08:44.780 面識や信用は 一切必要ないということです 00:08:44.800 --> 00:08:46.856 というのも それぞれが自ら 00:08:46.880 --> 00:08:50.360 チェーンを監視し認証する権限を 持っているからです 00:08:51.040 --> 00:08:52.806 先ほどのウィキペディアで言えば 00:08:52.820 --> 00:08:54.976 共通のデータベースであり 00:08:55.000 --> 00:08:57.816 複数の読者や 複数の執筆者が 00:08:57.840 --> 00:08:59.986 同時に存在するにもかかわらず 00:09:00.006 --> 00:09:01.790 真実はただ1つです 00:09:02.720 --> 00:09:04.816 これがブロックチェーンでも実現できます 00:09:04.840 --> 00:09:10.816 集約型と同じ効率性を持つ 分散型のデータベースを 00:09:10.840 --> 00:09:13.670 中央集権型の管理が実在しなくても 作り出せるのです 00:09:14.200 --> 00:09:16.736 こういったベンダーも企業も全て 00:09:16.750 --> 00:09:20.680 信用の段階を飛ばして 同じデータベース上でやり取りができます 00:09:22.280 --> 00:09:25.736 消費者にとっても ずっとたくさんの情報が明らかになります 00:09:25.760 --> 00:09:27.896 製品そのものが移動すると同時に 00:09:27.920 --> 00:09:33.096 ブロックチェーン上を デジタル証明書やトークンが移動しながら 00:09:33.120 --> 00:09:35.340 価値を積み重ねていく様子が見えます 00:09:36.360 --> 00:09:40.440 可視性という観点から言えば 全くの新しい世界です NOTE Paragraph 00:09:41.720 --> 00:09:46.430 ここまでは ブロックチェーンが 相手の身元に対する不確実性を軽減し 00:09:47.240 --> 00:09:50.506 サプライチェーン内を始めとした 遠方の相手との取引や 00:09:50.520 --> 00:09:54.350 複雑な取引における情報の透明性の 定義が変わるという話でした 00:09:55.520 --> 00:09:57.706 そして よくある3つ目の不確実性は 00:09:57.720 --> 00:10:00.980 約束の反故に対する恐れです これにはキリがありません 00:10:00.990 --> 00:10:03.416 買ったスマホが送られてこなかったとしたら? 00:10:03.440 --> 00:10:05.130 お金は返ってくるのか? 00:10:05.800 --> 00:10:09.496 ブロックチェーンでは 自分でコード つまり 00:10:09.520 --> 00:10:12.846 当人同士の間で 拘束力のある契約を作成し 00:10:12.920 --> 00:10:16.576 よって これらの契約が 第三者の執行役がいなくても 00:10:16.600 --> 00:10:18.560 実現することが保証されます 00:10:19.720 --> 00:10:23.616 スマホの例で言えば 「エスクローサービス」のようなものです 00:10:23.640 --> 00:10:25.736 代金は入れておくけれども 00:10:25.760 --> 00:10:28.406 全ての条件が揃ったという 確証が取れるまで 00:10:28.420 --> 00:10:31.136 送金が行われないという仕組みです 00:10:31.160 --> 00:10:32.970 この場合 携帯の受け取りが条件です NOTE Paragraph 00:10:34.240 --> 00:10:37.326 ブロックチェーンによる 不確実性の軽減作用の中でも 00:10:37.336 --> 00:10:39.220 最も画期的なものの1つです 00:10:39.840 --> 00:10:41.416 というのも これで 00:10:41.440 --> 00:10:45.470 機関や 機関による契約執行が ある程度まで要らなくなるからです 00:10:47.720 --> 00:10:50.416 つまり 様々な経済活動において 00:10:50.440 --> 00:10:55.456 保証になる担保の付加や 自動化が可能になって 00:10:55.480 --> 00:10:58.536 人の介入がほぼ必要無くなるケースが たくさん出てきます 00:10:58.560 --> 00:11:02.520 情報が実世界から ブロックチェーンに移動するためです NOTE Paragraph 00:11:04.880 --> 00:11:06.696 こういった技術の使い方について 00:11:06.720 --> 00:11:09.816 ダグラス・ノースが生きていたら 驚愕するだろう点は 00:11:09.840 --> 00:11:12.776 ブロックチェーンの働きを 支えていて 00:11:12.800 --> 00:11:17.336 この仕組みの安全と信用を 保証しているものは 00:11:17.360 --> 00:11:19.390 互いに抱いている不信であることです 00:11:21.600 --> 00:11:26.336 ですから 私たちが感じる不確実性に あれこれ気を取られて 00:11:26.360 --> 00:11:32.306 銀行や政府や企業などの 機関に依存するよりも 00:11:33.360 --> 00:11:37.736 人間が集団として持っている不確実性を むしろ いっさいがっさい利用して 00:11:37.760 --> 00:11:43.360 より多く 素早く オープンに協力し合ったり 取引したりするために使えばいいのです NOTE Paragraph 00:11:44.800 --> 00:11:46.446 ただ ブロックチェーンで 00:11:46.460 --> 00:11:49.256 何でも解決できるのかというと そうではありません 00:11:49.280 --> 00:11:54.200 これで世界の貧困に終止符が打たれるとか 偽造医薬品の問題が解決するとか 00:11:55.840 --> 00:11:58.576 森林破壊が食い止められるかもしれないという 00:11:58.600 --> 00:12:00.800 報道があるのは確かですが 00:12:02.320 --> 00:12:06.296 実際のところ この技術はまだ初期段階ですし 00:12:06.320 --> 00:12:09.536 たくさんの実験や おそらく数多くの試行錯誤も 00:12:09.560 --> 00:12:10.976 経験しなければなりません 00:12:11.000 --> 00:12:14.536 それで初めて 経済における このシステムのユースケースが 00:12:14.560 --> 00:12:15.970 本当に理解できるのです 00:12:17.240 --> 00:12:19.416 大勢の人々が これに取り組んでいる最中です 00:12:19.440 --> 00:12:21.136 金融機関に始まり 00:12:21.160 --> 00:12:24.320 IT企業やスタートアップ企業や 大学も取り掛かっています 00:12:25.120 --> 00:12:30.156 その理由の1つとして これは 単に 経済の進化にとどまらないからです 00:12:30.166 --> 00:12:33.800 コンピューターサイエンスの 革新でもあるのです NOTE Paragraph 00:12:37.360 --> 00:12:38.846 ブロックチェーンを使うと 00:12:38.860 --> 00:12:44.416 人同士の取引を記録していく 技術的な力が手に入ります 00:12:44.440 --> 00:12:46.330 ここでの取引は 通貨や 00:12:46.720 --> 00:12:50.496 あらゆる種類の デジタル資産や物的資産や 00:12:50.510 --> 00:12:53.036 私たち自身の個人の特性でさえ 対象になり 00:12:53.050 --> 00:12:54.950 全く新しい形で可能になるのです 00:12:55.720 --> 00:12:57.056 ある意味 00:12:57.080 --> 00:13:00.056 ブロックチェーンは 技術という形の機関と化します 00:13:00.080 --> 00:13:01.856 私たちが使い慣れた— 00:13:01.880 --> 00:13:05.310 従来の機関が持つ たくさんの利点を併せ持つ機関です 00:13:06.200 --> 00:13:09.320 それでいて あちこちに分散した形で 00:13:10.360 --> 00:13:13.896 不確実性がもたらす不安を 確信という安心に変えることで 00:13:13.920 --> 00:13:15.330 その役割を果たすのです NOTE Paragraph 00:13:16.360 --> 00:13:19.896 私たちも そろそろ心の準備を 始めるべきだと思います 00:13:19.920 --> 00:13:22.456 今 間近に迫る世界は 00:13:22.480 --> 00:13:25.616 分散型で自立型の機関が 00:13:25.640 --> 00:13:27.750 かなり重要な役割を持つ世界だからです NOTE Paragraph 00:13:28.600 --> 00:13:29.816 ありがとうございました NOTE Paragraph 00:13:29.840 --> 00:13:32.200 (拍手) NOTE Paragraph 00:13:38.400 --> 00:13:40.867 ブルーノ・ジュッサーニ: ありがとうございました 00:13:40.880 --> 00:13:44.576 ブロックチェーンが今 熱い ということは分かりました 00:13:44.600 --> 00:13:46.646 たくさんの可能性を秘めていて 00:13:46.650 --> 00:13:48.346 とても複雑ですね 00:13:48.780 --> 00:13:54.090 採用率の見積もりについては どう考えておられますか? NOTE Paragraph 00:13:55.120 --> 00:13:57.666 ベティーナ・ウォーバーグ: いい所を突いた質問ですね 00:13:57.680 --> 00:13:59.126 私たちが研究しているのは 00:13:59.140 --> 00:14:02.686 企業や政府を経由したルートが中心です 00:14:02.700 --> 00:14:06.236 現実の話 ブロックチェーンは 複雑な技術です 00:14:06.270 --> 00:14:09.016 インターネットの仕組みを 本当に理解する人は少なくても 00:14:09.040 --> 00:14:10.696 誰もが毎日使います 00:14:10.720 --> 00:14:14.496 ジョン・スカリーの次の言葉が ある意味 現状を表しています 00:14:14.520 --> 00:14:18.176 「技術とは空気のようなものか 美しいものでなければならない」 00:14:18.280 --> 00:14:22.056 ブロックチェーンとは 今現在 どちらとも言えない状態です 00:14:22.080 --> 00:14:26.156 現状は 仕組みをある程度理解し 技術を自ら手探りで探求できるような 00:14:26.190 --> 00:14:28.356 ごく少数の初期採用者向けであり 00:14:28.380 --> 00:14:31.296 また 企業や政府という規模で利用可能な 00:14:31.320 --> 00:14:34.496 身分証明や資産追跡 スマートコントラクトといった— 00:14:34.520 --> 00:14:38.536 最適なユースケースを見つけ出す 目的であれば適していると言えます NOTE Paragraph 00:14:38.560 --> 00:14:40.465 ブルーノ:ありがとうございました NOTE Paragraph 00:14:40.489 --> 00:14:41.696 ベティーナ:ありがとう NOTE Paragraph 00:14:41.720 --> 00:14:44.120 (拍手)