思い浮かべて下さい
あなたは友人とシットコムを見ています
生意気な脇役が四段重ねの
ウエディングケーキを
運んでいますが
転けてしまって
転けてしまって
顔面からケーキへダイブ
あなたの友人は笑い転げて 言います
「ばかみたい!ほんと皮肉だね!」
さてさて あなたは どうしますか?
一緒になって笑い転げて
この悲しくも誤った「皮肉」の
使い方を見過ごす?
もしくは 危険を冒して
「皮肉」の本当の意味を
説明しますか?
私なら後者を選びますね
不幸にして 皮肉という単語は
完全に誤解されています
皮肉という言葉は
おかしな場面、偶然が起きた時に
誤った意味で使われがちです
もちろん 皮肉は大抵
滑稽ではありますが
それは皮肉である条件ではありません
皮肉というのは 予想されていたことと
全く 逆のことが
起こった場合にのみ成立します
結果 A を予期していて
結果 B が起これば
これは皮肉ですね
それでは先程の
どたばた劇に戻りましょう
誰かが 一人では運べないようなものを
バランスを取りながら
慎重に運んでいる最中に
転けてしまえば 大混乱です
これはおかしいですが
皮肉ではありません
実を言えば 巨大なケーキを
一人で運ぶ人は転けると
予想していませんでしたか?
そこで 転んでも
予想と結果は同じなので
これは皮肉ではない
ということになります
しかし この脇役が1996年
アトランタオリンピックの
ケーキ運び競技で獲得した
金メダルを首から
下げていたらどうでしょう?
ケーキ運びのプロだったら
どうでしょうか?
そうすれば 巨大なケーキを
運んでいたとしても
「こいつなら できるだろう」という
合理的な期待がわくかもしれませんね
さてこの合理的な期待が
覆されたとき つまり彼が転ぶと
これこそが 皮肉というやつです
別の例を挙げましょう
あるお年寄りがテクスティングと
ブログをしています
「お年寄り」というと
色々なイメージが浮かびますよね
「お年寄り」というと
色々なイメージが浮かびますよね
テクノロジーに疎いか
もしくは興味がない
パソコンは
電源をつけるだけで一苦労
80年代の煉瓦のような
携帯を持ってる 等々
それでネットも使えず
テクノロジーとは無関係
テクスティングもブログも
できないと予想されます
「こういった最新技術は 若い頃には
ありもしなかったんだ」
という声が聞こえてきそうです
ですから おばあちゃんが
スマートフォンを取りだして
入れ歯とか
孫の写真をアップしていれば
合理的期待が裏切られたことになり
これで皮肉が成立したことになります
これが皮肉なのです
ケーキを落とすのは
皮肉ではないかもしれませんが
皮肉が起こりうる状況は
至るところに潜んでいます
実際に 本当の皮肉を
探してみませんか?