WEBVTT 00:00:05.340 --> 00:00:11.600 マーク・ブラウンのGame Maker's Toolkitへようこそ ゲームデザインについてのシリーズだ 00:00:11.600 --> 00:00:17.160 ソニーのPS4の新作Until Dawnは インタラクティブホラーとして宣伝されていて 00:00:17.160 --> 00:00:21.160 「君の選択だけが、生存者を決定する」 00:00:21.160 --> 00:00:23.860 今回はそのことについて話していくが 00:00:23.860 --> 00:00:26.460 選択がどの程度ストーリーに影響するか、という話ではない 00:00:26.460 --> 00:00:31.250 その点では、このゲームもTelltaleや Quantic Dreamのゲームのシステムと同じだからだ 00:00:31.250 --> 00:00:36.730 確かにプレイヤーの決定は筋書きに影響する だが偽の選択も大量にある 00:00:36.730 --> 00:00:41.620 最後の方まで死なないキャラクターや 同じ点にたどり着く分岐 00:00:41.620 --> 00:00:45.700 この選択は間違いなく筋書きに影響しますと 教える小さな表示など 00:00:45.700 --> 00:00:48.440 まあ大体そんなところだ 00:00:48.480 --> 00:00:52.120 「ドカーン、バタフライ・エフェクトさ」 00:00:52.129 --> 00:00:56.200 しかし、本作にはこのタイプの他のゲームでは 見たことのないアイデアがいくつかある 00:00:56.200 --> 00:01:00.829 時々、セピア色のフラッシュバックが起こり どの選択が今の出来事に 00:01:00.829 --> 00:01:03.140 つながったのかを多少わかりやすく教えてくれる 00:01:03.140 --> 00:01:08.020 だが、選択肢がどういう結果を生むかを表示する こういうスクリーンとか 00:01:08.020 --> 00:01:12.479 性格と他のキャラとの関係を示す ゲージとかに騙されてはいけない 00:01:12.479 --> 00:01:16.700 正直に言って、これらは全部カモフラージュにすぎない 00:01:16.700 --> 00:01:21.090 それは別に構わない この動画でも言ったように こうしたゲームは無限のストーリーを 00:01:21.090 --> 00:01:26.789 提供するものではないし、基本的に単一の結果を 見ることより、選択をすることの方に意味がある 00:01:26.789 --> 00:01:31.649 それに大量の分岐を用意しなくても ゲーム制作はお金がかかるものだ 00:01:31.649 --> 00:01:34.289 こういうグラフィックの場合は特にそうだ 00:01:34.289 --> 00:01:42.319 「前回の面談では、君は私に対して 完全に正直ではなかったね」 00:01:42.319 --> 00:01:46.869 だから今回話したいことは、こうした選択肢と その帰結が優れたドラマにつながるかどうかだ 00:01:46.869 --> 00:01:51.479 特に暴力的な、血しぶきたっぷりの帰結がだ 00:01:51.479 --> 00:01:52.939 00:01:52.940 --> 00:01:57.300 確かに、プレイヤーが進行に関わることができれば どんなストーリーでもより有意義で 00:01:57.310 --> 00:02:01.439 印象的なものになる どんなゲームも協力プレイがあれば 00:02:01.439 --> 00:02:03.239 より面白くなるのと一緒だ 00:02:03.239 --> 00:02:04.539 あるいはチョコレートとか 00:02:04.560 --> 00:02:08.660 それは実際に物語をドラマとして面白くしているのか? 00:02:08.660 --> 00:02:13.660 この問いはUntil Dawnにとって特に重要だ このゲームはハリウッドのホラー映画のような 00:02:13.670 --> 00:02:18.650 展開を目指しているからだ The Wireのように人物が理由もなく死ぬような 00:02:18.650 --> 00:02:22.730 リアルな感じの物語ではない ホラー映画と言えば… 00:02:22.730 --> 00:02:27.750 「決まりがあるんだよ!シンプルな決まりが!」 00:02:30.260 --> 00:02:35.180 このゲームは殺人鬼映画をベースにしている 未熟なティーンエイジャーたちがいて 00:02:35.180 --> 00:02:39.620 人里離れた森の中の小屋に集まる そこで何か恐ろしいことが起きるのだ 00:02:39.620 --> 00:02:42.980 そして殺人鬼がいて、彼らを1人ずつ始末しようとする 00:02:42.989 --> 00:02:47.379 本作にはまた、心理的ホラーや拷問ポルノなどの 要素もあるし、他にも――まあ、ネタバレはやめよう 00:02:47.379 --> 00:02:49.879 とりあえず殺人鬼映画ということにしておく 00:02:49.879 --> 00:02:53.819 こういう映画の特徴は、誰が生き残り、誰が死ぬかは 常に明確な理由があるということだ 00:02:53.819 --> 00:02:58.439 時には、殺す順番が重要だったりもする 00:02:58.439 --> 00:03:03.810 例えば早期の殺人鬼映画は道徳が大事だ 偉そうな潔癖主義の道徳だが 00:03:03.810 --> 00:03:06.980 それがルールなのだ 00:03:06.980 --> 00:03:13.010 「ホラー映画で生き残るには、従わなきゃならん ルールがあるんだ」 00:03:13.010 --> 00:03:19.670 「その1、セックスをしないこと 絶対だめだぞ!絶対だめだ!」 00:03:19.670 --> 00:03:21.879 「お前死ぬんだぜ、メグ」 00:03:21.879 --> 00:03:28.290 「セックスすなわち死だ、いいか? その2、酒を飲まない、ドラッグもしないこと」 00:03:28.290 --> 00:03:34.530 「こいつは罪深いことだ、罪なんだよ ルールその1の延長だ」 00:03:34.530 --> 00:03:40.659 こうしたルールを破れば殺される 最後に残るのは無垢な処女だけだ 00:03:40.659 --> 00:03:45.439 殺人鬼映画は女性差別的という批判をよく受ける 00:03:45.439 --> 00:03:47.930 だからビデオゲームには完璧な素材だろう 00:03:48.609 --> 00:03:54.769 とにかく大事なのは、ドラマで人が死ぬには 理由があるということだ 00:03:54.769 --> 00:03:59.650 英雄的犠牲や復讐、他の人物に何かを させるためなど――ホラー映画だと 00:03:59.650 --> 00:04:02.499 大麻を吸ったとか、ビールを飲み過ぎたとか 弱い者いじめをしたとかが理由になる 00:04:02.499 --> 00:04:07.760 しかしインタラクティブ性が入ってくると ルールはどこかにいってしまう 00:04:07.760 --> 00:04:10.180 Until Dawnのエミリーは全くの悪女だ 00:04:10.180 --> 00:04:15.300 「考えさせてくれ」 「考えてないで早く助けなさいよ、バカ!」 00:04:15.300 --> 00:04:19.739 ホラー映画なら、彼女は最も残酷な殺され方をするだろう 00:04:19.739 --> 00:04:25.919 だがUntil Dawnでは夜を生き残り 利用されている彼氏のマットが死ぬこともある 00:04:25.919 --> 00:04:31.789 あるいはジェスとマイクだ ホラー映画のお約束では こういうセックス魔は死んで 00:04:31.789 --> 00:04:36.550 無垢な人物は生き残るが、Until Dawnでは そうはいかない 実はどんなキャラの組み合わせも 00:04:36.550 --> 00:04:38.280 最後まで生き残ることができる 00:04:38.280 --> 00:04:43.800 クリア時に生存者は複数いる可能性が高い 全員が夜を生き延びることもある 00:04:43.800 --> 00:04:50.120 これは1人だけが生き残るというホラー映画の 基本に反している 00:04:50.120 --> 00:04:54.590 だが、ホラー映画の決まりを気にしない人や ホラー映画の思考法に反対の人にとっても 00:04:54.590 --> 00:05:00.460 本作のインタラクティブなストーリーは 正直なところ、支離滅裂になりがちだ 00:05:00.460 --> 00:05:04.500 例えばジェスは殺されるが、死体は出てこない だから当然また出てくると思うだろう 00:05:04.500 --> 00:05:09.340 実際出てくる 物語内で数時間後 彼女は坑道の中、1人きりで目を覚ます 00:05:09.340 --> 00:05:15.750 僕のプレイではその後、彼女が数歩前進すると いきなり殺されてしまった 00:05:15.750 --> 00:05:19.110 どんな脚本家もこのシーンには赤点を付けるだろう 00:05:19.110 --> 00:05:22.479 ここに問題がある インタラクティブ性は より印象的で意外性のある、個人的な物語を生むが 00:05:22.479 --> 00:05:26.979 上手く調整を行う監督や脚本家がいないと 00:05:26.979 --> 00:05:31.870 物語の破綻が起こる可能性がある ひどくつまらないものになることもあるし 00:05:31.870 --> 00:05:35.990 キャラクターの成長や因果応報、優れたペース配分など 重要な要素を欠いてしまうこともある 00:05:35.990 --> 00:05:39.199 これは常にそういうものだ 視聴してくれてありがとう 「いいね!」とコメント、チャンネル登録をよろしく 00:05:39.199 --> 00:05:44.639 Patreonに全財産を投じてくれ、それから ――いや待て まだ方法はある 00:05:46.050 --> 00:05:50.849 僕がUntil Dawnで一番気に入っている点は 8人のキャラクターを操作できることだ 00:05:50.849 --> 00:05:54.639 これはLife is StrangeやTales from the Borderlands Beyond: Two Soulsなどよりもずっと多い 00:05:54.639 --> 00:05:56.669 00:05:56.669 --> 00:06:00.979 今言ったようなゲームでは普通、共感できる 優しいキャラクターを操作するが 00:06:00.979 --> 00:06:04.860 8人のキャラの中には典型的な卑劣漢やナルシストがいる 00:06:04.860 --> 00:06:09.460 だからこいつらをゲス野郎としてロールプレイするのが 自然に感じられるのだ 00:06:09.460 --> 00:06:14.020 そしてサムやクリス、アシュリーなどの気に入った キャラはなるべく救おうとするが 00:06:14.020 --> 00:06:17.800 他の連中がバカなことをして血の海に沈んでも 大して気にならないというわけだ 00:06:17.800 --> 00:06:19.880 00:06:22.000 --> 00:06:26.840 そこで自分がキャラクターとしてではなく 監督としてプレイしていることに気づいた 00:06:26.840 --> 00:06:31.889 自分の好みに従って、誰が生きて誰が死ぬかに 影響を与える役割だ 00:06:31.889 --> 00:06:35.840 すると突然、ホラー映画のルールがまた生きてきて 物語のつじつまが合ってくる 00:06:35.840 --> 00:06:39.300 例えばプレイヤーはホラー映画の変なお約束を ひっくり返したいと思うかもしれない 00:06:39.300 --> 00:06:43.629 頭も身持ちも悪い金髪女を生き残らせたり 黒人がいきなり死ぬのを防いだり 00:06:43.629 --> 00:06:48.360 典型的な「最後の女の子」を 最後の最後で死なせたりできる 00:06:48.360 --> 00:06:52.789 プレイヤーは実際、イベントが特定の 仕方で起きるよう、影響を行使できる 00:06:52.789 --> 00:06:57.330 死は多くの場合、一定の論理に従って起きるからだ QTEに失敗すればキャラは死ぬことがあるし 00:06:57.330 --> 00:07:01.789 人間関係ゲージによって、少なくとも1人は死ぬ 00:07:01.789 --> 00:07:06.210 このジャンルのお約束を無視すれば ――例えば仲間から離れて、奇妙な物音を調べに行くとか 00:07:06.210 --> 00:07:10.430 そのキャラは死んで当然だ もっとホラー映画を見て勉強すべきだった 00:07:10.430 --> 00:07:14.270 それにトーテムも賢いシステムだ トーテムを見つけて拾うと 00:07:14.270 --> 00:07:17.599 キャラの1人が殺されたり、襲撃を生き延びる 映像を見ることができる 00:07:17.599 --> 00:07:22.539 漠然としたヒントだが、後に選択する際に 役立つこともある 00:07:22.550 --> 00:07:27.879 だが全ての死がそう簡単に予測できるわけではない これは理解できることだ 00:07:27.879 --> 00:07:31.590 Supermassiveはプレイヤーを驚かせたい 本作を有名にしたYoutubeゲーマーも含めてだ 00:07:31.590 --> 00:07:36.430 だから、このフレアガンをどうするかは 全く不透明な決断だが 00:07:36.430 --> 00:07:39.819 エミリーとマットにとって重大な結果を生むことになる 00:07:39.819 --> 00:07:44.669 そしてこれは僕のように、ある特定の物語を 作ろうとしている場合しか意味がない 00:07:44.669 --> 00:07:48.830 Until Dawnはプレイヤーを一切導いてくれない 特定の組み合わせでクリアするとトロフィーはもらえる 00:07:48.830 --> 00:07:53.050 これが特定の結末を試すよう促す可能性はあるが 00:07:53.050 --> 00:07:55.390 これらは全て隠しトロフィーだ 00:07:56.620 --> 00:08:00.780 だから1つアイデアを示そうと思う でもその前に言っておくが 00:08:00.789 --> 00:08:04.780 僕はこのゲームに実際以上の評価を与えている かもしれない 僕はUntil Dawnを 00:08:04.780 --> 00:08:09.600 楽しんだし、他の人にも薦めたいと思ってる でも、このゲームが実際に監督を演じる作品だったらと思う 00:08:09.600 --> 00:08:14.700 ゲーム性は同じようなもので、ただし最初に 誰を生き残らせ、誰を死なせるかを伝えられる 00:08:14.700 --> 00:08:19.180 順番を決めてもいい それからキャラクターたちの行動を誘導して 00:08:19.189 --> 00:08:23.879 彼らの生死を決定する 死ぬ運命のキャラには不道徳な行動をさせ 00:08:23.879 --> 00:08:29.150 ひどいことを言わせて、殺人鬼に因果応報を 成就してもらう 00:08:29.150 --> 00:08:33.669 あるいはホラーのお約束に従って 仲間から離れさせる 00:08:33.669 --> 00:08:38.080 そうすればこのゲームはもっと短くてもよかった その代わり何度もプレイして 00:08:38.080 --> 00:08:41.630 毎回異なる指示を受けるようにする ある程度のランダム要素も必要だろう 00:08:41.630 --> 00:08:46.210 ショッキングな瞬間や不気味なシーンを 見飽きてしまわないようにするためだ 00:08:46.960 --> 00:08:52.900 というのも、Until Dawnの主な問題はここにあるからだ 00:08:52.910 --> 00:08:58.790 一方でこのゲームはキャラクターたちが 虐殺されるホラー映画を目指している 00:08:58.790 --> 00:09:02.540 しかし他方でこれはゲームであり ゲームである以上は、勝つことが目的だ 00:09:02.540 --> 00:09:07.140 ゲームは会話オプションからベストな結果を 導くように教える 00:09:07.140 --> 00:09:10.300 画面上にボタンが表示されたら、できるだけ 速くそれを押すのが常識だ 00:09:10.300 --> 00:09:15.130 そしてトーテムが起こりうる死を警告してきたら それを解決する方法があるはずだ 00:09:15.130 --> 00:09:17.070 そうじゃないか? 00:09:17.070 --> 00:09:22.330 映画としてのUntil Dawnは皆殺しを望むが ゲームとしてのUntil Dawnは全員が生き残ることを望む 00:09:22.330 --> 00:09:25.720 どちらかは諦めなければならない 00:09:25.720 --> 00:09:31.100 この衝突は、プレイヤーが監督のイスに座ることで 一定程度は解消される 00:09:31.100 --> 00:09:36.880 ウェス・クレイブンやジョン・カーペンターになることを 目指せばいい だがゲームがそれを促し 00:09:36.880 --> 00:09:42.820 システムで支えてくれないと、多くのプレイヤーは Until Dawnの最高の楽しさを見逃してしまう 00:09:46.320 --> 00:09:49.780 視聴してくれてありがとう このエピソードを楽しんでくれたら、「いいね!」をよろしく 00:09:49.790 --> 00:09:54.670 君だったらどうやってインタラクティブなホラー映画を 作る?それともSupermassiveは成功していると思う? 00:09:54.670 --> 00:09:57.010 コメント欄で君の考えを教えてほしい