マーク・ブラウンのGame Maker's Toolkitへようこそ ゲームデザインについてのシリーズだ ソニーのPS4の新作Until Dawnは インタラクティブホラーとして宣伝されていて 「君の選択だけが、生存者を決定する」 今回はそのことについて話していくが 選択がどの程度ストーリーに影響するか、という話ではない その点では、このゲームもTelltaleや Quantic Dreamのゲームのシステムと同じだからだ 確かにプレイヤーの決定は筋書きに影響する だが偽の選択も大量にある 最後の方まで死なないキャラクターや 同じ点にたどり着く分岐 この選択は間違いなく筋書きに影響しますと 教える小さな表示など まあ大体そんなところだ 「ドカーン、バタフライ・エフェクトさ」 しかし、本作にはこのタイプの他のゲームでは 見たことのないアイデアがいくつかある 時々、セピア色のフラッシュバックが起こり どの選択が今の出来事に つながったのかを多少わかりやすく教えてくれる だが、選択肢がどういう結果を生むかを表示する こういうスクリーンとか 性格と他のキャラとの関係を示す ゲージとかに騙されてはいけない 正直に言って、これらは全部カモフラージュにすぎない それは別に構わない この動画でも言ったように こうしたゲームは無限のストーリーを 提供するものではないし、基本的に単一の結果を 見ることより、選択をすることの方に意味がある それに大量の分岐を用意しなくても ゲーム制作はお金がかかるものだ こういうグラフィックの場合は特にそうだ 「前回の面談では、君は私に対して 完全に正直ではなかったね」 だから今回話したいことは、こうした選択肢と その帰結が優れたドラマにつながるかどうかだ 特に暴力的な、血しぶきたっぷりの帰結がだ 確かに、プレイヤーが進行に関わることができれば どんなストーリーでもより有意義で 印象的なものになる どんなゲームも協力プレイがあれば より面白くなるのと一緒だ あるいはチョコレートとか それは実際に物語をドラマとして面白くしているのか? この問いはUntil Dawnにとって特に重要だ このゲームはハリウッドのホラー映画のような 展開を目指しているからだ The Wireのように人物が理由もなく死ぬような リアルな感じの物語ではない ホラー映画と言えば… 「決まりがあるんだよ!シンプルな決まりが!」 このゲームは殺人鬼映画をベースにしている 未熟なティーンエイジャーたちがいて 人里離れた森の中の小屋に集まる そこで何か恐ろしいことが起きるのだ そして殺人鬼がいて、彼らを1人ずつ始末しようとする 本作にはまた、心理的ホラーや拷問ポルノなどの 要素もあるし、他にも――まあ、ネタバレはやめよう とりあえず殺人鬼映画ということにしておく こういう映画の特徴は、誰が生き残り、誰が死ぬかは 常に明確な理由があるということだ 時には、殺す順番が重要だったりもする 例えば早期の殺人鬼映画は道徳が大事だ 偉そうな潔癖主義の道徳だが それがルールなのだ 「ホラー映画で生き残るには、従わなきゃならん ルールがあるんだ」 「その1、セックスをしないこと 絶対だめだぞ!絶対だめだ!」 「お前死ぬんだぜ、メグ」 「セックスすなわち死だ、いいか? その2、酒を飲まない、ドラッグもしないこと」 「こいつは罪深いことだ、罪なんだよ ルールその1の延長だ」 こうしたルールを破れば殺される 最後に残るのは無垢な処女だけだ 殺人鬼映画は女性差別的という批判をよく受ける だからビデオゲームには完璧な素材だろう とにかく大事なのは、ドラマで人が死ぬには 理由があるということだ 英雄的犠牲や復讐、他の人物に何かを させるためなど――ホラー映画だと 大麻を吸ったとか、ビールを飲み過ぎたとか 弱い者いじめをしたとかが理由になる しかしインタラクティブ性が入ってくると ルールはどこかにいってしまう Until Dawnのエミリーは全くの悪女だ 「考えさせてくれ」 「考えてないで早く助けなさいよ、バカ!」 ホラー映画なら、彼女は最も残酷な殺され方をするだろう だがUntil Dawnでは夜を生き残り 利用されている彼氏のマットが死ぬこともある あるいはジェスとマイクだ ホラー映画のお約束では こういうセックス魔は死んで 無垢な人物は生き残るが、Until Dawnでは そうはいかない 実はどんなキャラの組み合わせも 最後まで生き残ることができる クリア時に生存者は複数いる可能性が高い 全員が夜を生き延びることもある これは1人だけが生き残るというホラー映画の 基本に反している だが、ホラー映画の決まりを気にしない人や ホラー映画の思考法に反対の人にとっても 本作のインタラクティブなストーリーは 正直なところ、支離滅裂になりがちだ 例えばジェスは殺されるが、死体は出てこない だから当然また出てくると思うだろう 実際出てくる 物語内で数時間後 彼女は坑道の中、1人きりで目を覚ます 僕のプレイではその後、彼女が数歩前進すると いきなり殺されてしまった どんな脚本家もこのシーンには赤点を付けるだろう ここに問題がある インタラクティブ性は より印象的で意外性のある、個人的な物語を生むが 上手く調整を行う監督や脚本家がいないと 物語の破綻が起こる可能性がある ひどくつまらないものになることもあるし キャラクターの成長や因果応報、優れたペース配分など 重要な要素を欠いてしまうこともある これは常にそういうものだ 視聴してくれてありがとう 「いいね!」とコメント、チャンネル登録をよろしく Patreonに全財産を投じてくれ、それから ――いや待て まだ方法はある 僕がUntil Dawnで一番気に入っている点は 8人のキャラクターを操作できることだ これはLife is StrangeやTales from the Borderlands Beyond: Two Soulsなどよりもずっと多い 今言ったようなゲームでは普通、共感できる 優しいキャラクターを操作するが 8人のキャラの中には典型的な卑劣漢やナルシストがいる だからこいつらをゲス野郎としてロールプレイするのが 自然に感じられるのだ そしてサムやクリス、アシュリーなどの気に入った キャラはなるべく救おうとするが 他の連中がバカなことをして血の海に沈んでも 大して気にならないというわけだ そこで自分がキャラクターとしてではなく 監督としてプレイしていることに気づいた 自分の好みに従って、誰が生きて誰が死ぬかに 影響を与える役割だ すると突然、ホラー映画のルールがまた生きてきて 物語のつじつまが合ってくる 例えばプレイヤーはホラー映画の変なお約束を ひっくり返したいと思うかもしれない 頭も身持ちも悪い金髪女を生き残らせたり 黒人がいきなり死ぬのを防いだり 典型的な「最後の女の子」を 最後の最後で死なせたりできる プレイヤーは実際、イベントが特定の 仕方で起きるよう、影響を行使できる 死は多くの場合、一定の論理に従って起きるからだ QTEに失敗すればキャラは死ぬことがあるし 人間関係ゲージによって、少なくとも1人は死ぬ このジャンルのお約束を無視すれば ――例えば仲間から離れて、奇妙な物音を調べに行くとか そのキャラは死んで当然だ もっとホラー映画を見て勉強すべきだった それにトーテムも賢いシステムだ トーテムを見つけて拾うと キャラの1人が殺されたり、襲撃を生き延びる 映像を見ることができる 漠然としたヒントだが、後に選択する際に 役立つこともある だが全ての死がそう簡単に予測できるわけではない これは理解できることだ Supermassiveはプレイヤーを驚かせたい 本作を有名にしたYoutubeゲーマーも含めてだ だから、このフレアガンをどうするかは 全く不透明な決断だが エミリーとマットにとって重大な結果を生むことになる そしてこれは僕のように、ある特定の物語を 作ろうとしている場合しか意味がない Until Dawnはプレイヤーを一切導いてくれない 特定の組み合わせでクリアするとトロフィーはもらえる これが特定の結末を試すよう促す可能性はあるが これらは全て隠しトロフィーだ だから1つアイデアを示そうと思う でもその前に言っておくが 僕はこのゲームに実際以上の評価を与えている かもしれない 僕はUntil Dawnを 楽しんだし、他の人にも薦めたいと思ってる でも、このゲームが実際に監督を演じる作品だったらと思う ゲーム性は同じようなもので、ただし最初に 誰を生き残らせ、誰を死なせるかを伝えられる 順番を決めてもいい それからキャラクターたちの行動を誘導して 彼らの生死を決定する 死ぬ運命のキャラには不道徳な行動をさせ ひどいことを言わせて、殺人鬼に因果応報を 成就してもらう あるいはホラーのお約束に従って 仲間から離れさせる そうすればこのゲームはもっと短くてもよかった その代わり何度もプレイして 毎回異なる指示を受けるようにする ある程度のランダム要素も必要だろう ショッキングな瞬間や不気味なシーンを 見飽きてしまわないようにするためだ というのも、Until Dawnの主な問題はここにあるからだ 一方でこのゲームはキャラクターたちが 虐殺されるホラー映画を目指している しかし他方でこれはゲームであり ゲームである以上は、勝つことが目的だ ゲームは会話オプションからベストな結果を 導くように教える 画面上にボタンが表示されたら、できるだけ 速くそれを押すのが常識だ そしてトーテムが起こりうる死を警告してきたら それを解決する方法があるはずだ そうじゃないか? 映画としてのUntil Dawnは皆殺しを望むが ゲームとしてのUntil Dawnは全員が生き残ることを望む どちらかは諦めなければならない この衝突は、プレイヤーが監督のイスに座ることで 一定程度は解消される ウェス・クレイブンやジョン・カーペンターになることを 目指せばいい だがゲームがそれを促し システムで支えてくれないと、多くのプレイヤーは Until Dawnの最高の楽しさを見逃してしまう 視聴してくれてありがとう このエピソードを楽しんでくれたら、「いいね!」をよろしく 君だったらどうやってインタラクティブなホラー映画を 作る?それともSupermassiveは成功していると思う? コメント欄で君の考えを教えてほしい