WEBVTT

00:00:00.688 --> 00:00:03.577
15年前の人々の間では

00:00:03.577 --> 00:00:05.627
脳は誕生後わずか数年で

00:00:05.627 --> 00:00:08.606
その発達の大部分が起こると
考えられていました

00:00:08.606 --> 00:00:11.318
そのころは 生きた人間の

00:00:11.318 --> 00:00:13.939
脳の中身を見て 
脳が発達していく経過を

00:00:13.939 --> 00:00:17.118
観察するなんてことは
できませんでした

00:00:17.756 --> 00:00:19.787
でもここ十年程のこと

00:00:19.787 --> 00:00:21.375
MRIなどの

00:00:21.375 --> 00:00:24.886
脳画像技術が進歩したため

00:00:24.886 --> 00:00:28.013
脳科学者達は 幅広い年齢の脳を観て

00:00:28.013 --> 00:00:30.513
年齢と共に 人の脳の構造と働きが

00:00:30.513 --> 00:00:33.382
どう変化するのか研究し始めました

00:00:33.382 --> 00:00:37.084
構造解析用のMRIを使えば
ものすごく高画質な

00:00:37.084 --> 00:00:41.163
生きている脳のスナップ写真を
撮ることができ

00:00:41.163 --> 00:00:43.660
灰白質は脳のどれくらいを占めるのか

00:00:43.660 --> 00:00:45.702
その比率は歳と共に
どう変わるのか など

00:00:45.702 --> 00:00:47.782
様々な謎を解明しだしました

00:00:47.782 --> 00:00:51.268
そして機能的MRI 
いわゆるfMRIを使えば

00:00:51.268 --> 00:00:54.723
実験参加者の脳のビデオを撮って

00:00:54.723 --> 00:00:57.593
考えたり 感じたり
知覚したりしている脳を

00:00:57.593 --> 00:01:00.437
観察することができるのです

NOTE Paragraph

00:01:00.437 --> 00:01:03.245
世界中で このような研究が
行われている今

00:01:03.245 --> 00:01:05.981
生きた人間の脳の発達について

00:01:05.981 --> 00:01:09.047
非常に多くのことが
分かってきました

00:01:09.047 --> 00:01:11.536
そのため 科学者たちの

00:01:11.536 --> 00:01:14.593
脳の発達についての考え方も
一新しました

00:01:14.593 --> 00:01:17.547
脳は幼いころに
全て完成するのではなく

00:01:17.547 --> 00:01:20.707
青年期 そして20代 30代と

00:01:20.707 --> 00:01:24.015
発達し続けることが
明らかになったのです

NOTE Paragraph

00:01:24.015 --> 00:01:29.517
さて青年期とは 人の生物的な面
ホルモンや身体の

00:01:29.517 --> 00:01:32.493
思春期における変化とともに始まり

00:01:32.493 --> 00:01:35.962
社会的に安定して
自立したとき終了する

00:01:35.962 --> 00:01:39.306
期間だと考えられています

00:01:39.306 --> 00:01:41.139
（笑）

00:01:41.139 --> 00:01:43.819
青年期が長いこと続く人もいます（笑）

00:01:43.819 --> 00:01:46.907
脳で青年期に最も劇的に
変化する部分は

00:01:46.907 --> 00:01:49.950
前頭前皮質でしょう

00:01:49.950 --> 00:01:53.073
これは人の脳の模型です

00:01:53.073 --> 00:01:55.955
正面の この部分が 前頭前皮質です

00:01:55.955 --> 00:01:58.542
脳の中でも面白い部分です

00:01:58.542 --> 00:02:03.208
人の前頭前皮質は他の生物に比べ 
脳の中でより大きな比率を占め

00:02:03.208 --> 00:02:07.253
様々な 高度の認知機能を果たします

00:02:07.253 --> 00:02:10.381
例えば意思決定や計画—
明日 来週 あるいは来年

00:02:10.381 --> 00:02:12.224
何をするか計画する

00:02:12.224 --> 00:02:14.844
あるいは不適当な行動の抑制 つまり

00:02:14.844 --> 00:02:16.795
失礼なことを口にしたり

00:02:16.795 --> 00:02:19.005
ばかげたことをしないように
自己を抑える機能や

00:02:19.005 --> 00:02:21.543
社会的交流 他人への理解

00:02:21.543 --> 00:02:24.247
自己認識にも関わっています

NOTE Paragraph

00:02:24.247 --> 00:02:26.918
MRIを利用して
脳のこの部分の発達を追う

00:02:26.918 --> 00:02:29.832
研究をすることで 
前頭前皮質は青年期に

00:02:29.832 --> 00:02:32.492
本当に劇的に発達することが
明らかにされました

00:02:32.492 --> 00:02:35.402
例えば 4歳から22歳の
前頭前皮質の灰白質を見ると

00:02:35.402 --> 00:02:40.045
その容積は子供の頃に増え始め

00:02:40.045 --> 00:02:42.367
このグラフを見てわかるように

00:02:42.367 --> 00:02:46.212
青年期のはじめ ピークに達します

00:02:46.212 --> 00:02:50.375
矢印は前頭前皮質中の灰白質容積の
ピークを示しています

00:02:50.375 --> 00:02:53.196
このピークが訪れるのは 
男の子の方が

00:02:53.196 --> 00:02:55.661
女の子より２年ほど遅れています

00:02:55.661 --> 00:02:57.825
平均して 男の子は女の子より


00:02:57.825 --> 00:03:00.044
２年ほど遅れて
思春期を迎えるからでしょう

00:03:00.044 --> 00:03:03.419
そして前頭前皮質の
灰白質容積は

00:03:03.419 --> 00:03:05.967
青年期の間に
はっきりと減少します

00:03:05.967 --> 00:03:08.011
これは悪いことに
聞こえるかもしれませんが

00:03:08.011 --> 00:03:10.930
実は脳の発達にとって大変重要なことなのです

00:03:10.930 --> 00:03:14.671
灰白質にはたくさんの神経細胞体や

00:03:14.671 --> 00:03:18.071
細胞同士をつなぐシナプスがあり

00:03:18.071 --> 00:03:20.665
灰白質の容積の減少は

00:03:20.665 --> 00:03:24.244
余分なシナプスの除去に
関連していると

00:03:24.244 --> 00:03:26.704
考えられています

00:03:26.704 --> 00:03:29.115
これは非常に大切な過程で

00:03:29.115 --> 00:03:32.855
ある程度 その生き物の
生活環境にも影響されます

00:03:32.855 --> 00:03:36.472
使用されているシナプスは
より強化され

00:03:36.472 --> 00:03:38.527
その環境で生活する上で

00:03:38.527 --> 00:03:40.860
使われないシナプスは
除去されます

00:03:40.860 --> 00:03:43.193
バラの木を剪定するように

00:03:43.193 --> 00:03:45.777
やわな枝を除去することで

00:03:45.777 --> 00:03:49.096
残りの 重要な枝が
より丈夫になるのです

00:03:49.096 --> 00:03:52.532
その生き物特有の環境に最も適した

00:03:52.532 --> 00:03:55.520
脳をつくり上げるこの過程が

00:03:55.520 --> 00:03:58.495
青年期において 前頭前皮質や

00:03:58.495 --> 00:04:01.825
その他の脳の部分で起きるのです

NOTE Paragraph

00:04:02.485 --> 00:04:05.912
さて 青年期の脳の変化を
記録するために

00:04:05.918 --> 00:04:08.942
fMRIを利用して 
歳と共に人の脳の動きが

00:04:08.942 --> 00:04:11.867
どう変化するか
研究したりもしています

00:04:11.867 --> 00:04:14.327
例として私の研究室での
実験を紹介しましょう

00:04:14.327 --> 00:04:17.483
私達は脳の社会的な機能に
興味があります

00:04:17.483 --> 00:04:20.258
つまり周りの人を理解して

00:04:20.258 --> 00:04:23.527
交流するために重要な 
脳の部分です

00:04:23.527 --> 00:04:27.504
この社会的な脳の持つ
２つの側面を示すために

00:04:27.504 --> 00:04:31.608
ここにある写真を見てもらいましょう

00:04:31.608 --> 00:04:33.283
サッカーの試合の一場面ですが（笑）

00:04:33.283 --> 00:04:35.683
ゴールをミスしたマイケル・オーウェンが

00:04:35.683 --> 00:04:38.653
グラウンドに横たわり
頭を抱えているとこです

00:04:38.653 --> 00:04:41.444
この写真では 社会的・感情的な反応が

00:04:41.444 --> 00:04:44.574
自動的・本能的なものであることが
よく表れています

00:04:44.574 --> 00:04:47.337
オーウェンがゴールをミスした 
その瞬間に

00:04:47.337 --> 00:04:49.484
皆 腕と顔で同じことをする

00:04:49.484 --> 00:04:51.412
同じ動作 同じ表情

00:04:51.412 --> 00:04:53.944
グラウンドに倒れている
オーウェンも きっと

00:04:53.944 --> 00:04:56.531
同じ表情をしていることでしょう

00:04:56.531 --> 00:04:58.458
例外は 後ろの方にいる

00:04:58.458 --> 00:05:00.705
黄色の服を着た彼らだけでしょう（笑）

00:05:00.705 --> 00:05:03.142
彼らはスタジアムの
反対側にいるべきでしょう

00:05:03.142 --> 00:05:07.363
彼らは別の社会的感情反応を示しており
私たちにはそれがすぐにわかります

00:05:07.363 --> 00:05:09.787
それが社会的な脳のもう一つの側面で

00:05:09.787 --> 00:05:11.913
この写真がよく示していますが

00:05:11.913 --> 00:05:15.338
私達は周囲の人の振舞い 
行動 しぐさ 表情を見て

00:05:15.338 --> 00:05:18.460
その人の感情と心理を非常に上手く

00:05:18.460 --> 00:05:21.636
読みとる能力を持っているのです

00:05:21.636 --> 00:05:23.613
だから彼らが今どんなことを

00:05:23.613 --> 00:05:26.226
考え 感じているか 直接彼らに

00:05:26.226 --> 00:05:28.489
問うまでもないのです

NOTE Paragraph

00:05:28.489 --> 00:05:30.871
私の研究室の関心は
そういうことです

00:05:30.871 --> 00:05:33.960
研究室に青年期と
成人期の人をそれぞれ集め

00:05:33.960 --> 00:05:35.627
脳の映像をとります

00:05:35.627 --> 00:05:38.233
そしてある課題を与えることで

00:05:38.233 --> 00:05:41.850
他人の思考 心理 感情について
考えてもらいます

00:05:41.850 --> 00:05:45.096
世界中で こんな研究を通して
あることが解明されました

00:05:45.096 --> 00:05:48.235
前頭前皮質の内側部

00:05:48.235 --> 00:05:51.688
このスライドで見ると青の部分で

00:05:51.688 --> 00:05:54.362
前頭前皮質のちょうど中央

00:05:54.362 --> 00:05:56.879
頭の正中線に位置する部分です

00:05:56.879 --> 00:06:00.790
他人について考えている青年期の
脳の前頭前皮質内側部は

00:06:00.790 --> 00:06:03.834
大人に比べより活発に
働いているのです

00:06:03.834 --> 00:06:06.416
世界中の９つの研究室の結果を集めた

00:06:06.416 --> 00:06:08.663
メタアナリシスの結果を見ると

00:06:08.663 --> 00:06:10.993
同じ傾向を見て取ることができます

00:06:10.993 --> 00:06:14.363
前頭前皮質内側部の活動は 
青年期を頂点に

00:06:14.363 --> 00:06:16.810
しだいに弱くなっていくのです

00:06:16.810 --> 00:06:19.454
これは 社会的な意思決定をするとき

00:06:19.454 --> 00:06:22.371
若者と大人では
違った精神的アプローチ

00:06:22.371 --> 00:06:25.430
異なる認知的方略をとるためだと
考えられています

00:06:25.430 --> 00:06:28.754
この違いを観察するために 
人を研究室に集め

00:06:28.754 --> 00:06:30.980
行動科学実験の課題を与えます

00:06:30.980 --> 00:06:33.374
私の研究室で行っている実験を

00:06:33.374 --> 00:06:36.688
もう一つ例として紹介しましょう

NOTE Paragraph

00:06:36.688 --> 00:06:39.308
この実験の参加者として 
実験室に来て

00:06:39.308 --> 00:06:40.858
コンピュータで

00:06:40.858 --> 00:06:43.631
こんな課題を見せられたと
想像してみてください

00:06:43.631 --> 00:06:46.221
この課題は 本棚を使います

00:06:46.221 --> 00:06:49.374
さて 棚のところどころに
物が置かれていて

00:06:49.374 --> 00:06:52.342
反対側に男の人がいるのが見えますね

00:06:52.342 --> 00:06:55.898
彼には全ての物は
見えないようになっています

00:06:55.898 --> 00:06:58.180
いくつかの物は 
この人には見えないよう

00:06:58.180 --> 00:07:00.841
グレーの板によって
隠されているのです

00:07:00.841 --> 00:07:04.258
これが 反対側に立っている
男に見える棚です

00:07:04.258 --> 00:07:07.723
彼の方から見える物は限られています

00:07:07.723 --> 00:07:10.237
逆に あなたの方からは 
ずっと多くの物が見えます

00:07:10.237 --> 00:07:12.535
課題は 棚の物を動かすことです

00:07:12.535 --> 00:07:14.934
棚の反対側の男は 監督として

00:07:14.934 --> 00:07:17.194
何を動かすかべきか指示します

00:07:17.194 --> 00:07:19.695
ただ 彼が見えない物について
指示することはない ということを

00:07:19.695 --> 00:07:21.335
忘れないでくださいね

00:07:21.335 --> 00:07:24.933
この設定により 
あなたと監督の観点の間に

00:07:24.933 --> 00:07:28.512
興味深い衝突が生じます

00:07:28.512 --> 00:07:31.857
例えば 一番上のトラックを左に動かすよう
指示されたとします

00:07:31.857 --> 00:07:34.117
トラックは３つありますが 直感的に

00:07:34.117 --> 00:07:36.743
自分から見て一番上にある 
白いトラックに手を伸ばすでしょう

00:07:36.743 --> 00:07:38.632
ここで思い出さなければいけません

00:07:38.632 --> 00:07:41.060
「そうだ 彼にはこのトラックは
見えないんだから

00:07:41.060 --> 00:07:44.597
彼の方から見て一番上の
青いのトラックのことを言ってるんだ」

00:07:44.597 --> 00:07:46.571
驚くことに あなた方のような

00:07:46.571 --> 00:07:48.991
何の障害もない 頭のいい大人でも

00:07:48.991 --> 00:07:52.146
50％近い確率で間違うのです

00:07:52.146 --> 00:07:55.094
青いトラックでなく 
白いのを動かしてしまいます

00:07:55.094 --> 00:07:58.667
青年期と成人期の人に 
それぞれこんな作業をしてもらうわけです

00:07:58.667 --> 00:08:00.242
対照実験では

00:08:00.242 --> 00:08:03.975
監督なしで 代わりにルールを決めます

00:08:03.975 --> 00:08:05.993
全く同じことをするのですが

00:08:05.993 --> 00:08:08.656
今回は反対側に監督はいません

00:08:08.656 --> 00:08:11.996
ルールは 後ろに濃いグレーの板がある物は
無視するということです

00:08:11.996 --> 00:08:14.563
全く同じ設定ですね

00:08:14.563 --> 00:08:17.835
ただ監督なしの場合は 何だか恣意的な

00:08:17.835 --> 00:08:20.410
ルールを与えられて

00:08:20.410 --> 00:08:22.160
監督がいる設定では

00:08:22.160 --> 00:08:25.701
彼の視点について考えることを忘れずに

00:08:25.701 --> 00:08:29.200
次の動きを決めなければいけません

NOTE Paragraph

00:08:29.910 --> 00:08:32.693
私の研究室で行った 
大規模な発達の研究における

00:08:32.693 --> 00:08:35.212
間違いの割合をお見せしましょう

00:08:35.212 --> 00:08:38.828
参加者は７歳児から大人までいました

00:08:38.828 --> 00:08:40.254
両方の設定における

00:08:40.254 --> 00:08:42.572
大人たちの間違う割合を
見てみましょう

00:08:42.572 --> 00:08:45.080
グレーは監督有りの設定です

00:08:45.080 --> 00:08:48.521
賢い大人が 50%近い確率で
間違っていますね

00:08:48.521 --> 00:08:50.989
でも グレーの板の前の物は
無視するという

00:08:50.989 --> 00:08:53.138
監督無しの設定では

00:08:53.138 --> 00:08:55.931
間違える確率がぐんと低い 
ということが分かります

00:08:55.931 --> 00:08:59.833
この２つの設定で必要となる能力は 
全く同じように発達します

00:08:59.833 --> 00:09:01.560
児童期の終わりから

00:09:01.560 --> 00:09:03.792
青年期の半ばにかけて 
両方の設定で

00:09:03.792 --> 00:09:06.778
間違う確率は減っていきます

00:09:06.778 --> 00:09:08.143
どっちの設定でも です

00:09:08.143 --> 00:09:10.148
でも右端の 青年期半ばと

00:09:10.148 --> 00:09:12.610
大人のグループを比較すると

00:09:12.610 --> 00:09:15.001
とても興味深いことが
明らかになってきます

00:09:15.001 --> 00:09:18.426
ここからは 監督無しの設定では 
進歩が見られません

00:09:18.426 --> 00:09:21.212
つまり ルールを忘れずに
その通りに行動するために

00:09:21.212 --> 00:09:23.804
必要な能力は もう青年期半ばに

00:09:23.804 --> 00:09:26.182
完全に発達しているようです

00:09:26.182 --> 00:09:28.805
反対に 最後の２つグレーの棒を見ると

00:09:28.805 --> 00:09:32.047
監督有りの設定では
青年期半ばから成人期にかけて

00:09:32.047 --> 00:09:34.589
はっきりした成績向上が続きます

00:09:34.589 --> 00:09:37.864
つまり 他人の観点を理解しながら

00:09:37.864 --> 00:09:41.149
次の動きを決めるために必要な能力

00:09:41.149 --> 00:09:44.210
生きていく上で 日々
絶えず必要になる この能力は

00:09:44.210 --> 00:09:47.888
青年期の後半には 
まだ発達中なのです

00:09:47.888 --> 00:09:50.675
だからティーンエージャーの息子や娘が

00:09:50.675 --> 00:09:53.234
ちゃんと他人の観点を気にして

00:09:53.234 --> 00:09:56.716
行動するのが下手なのには 
理由があるのです

NOTE Paragraph

00:09:56.719 --> 00:10:00.364
ティーンエージャーって
面白いですよね

00:10:00.364 --> 00:10:04.095
メディアは 典型的な
ティーンエージャーの振る舞いを

00:10:04.095 --> 00:10:07.771
パロディ化したり 
ときには悪魔のように扱います

00:10:07.771 --> 00:10:10.773
リスキーなことをする 気分屋 
そして異常に自意識過剰

00:10:10.773 --> 00:10:13.066
友達から聞いた 
とてもいい話があります

00:10:13.066 --> 00:10:16.514
彼の娘達が思春期を迎えたとき 
その前と後での

00:10:16.514 --> 00:10:18.809
最もはっきりとした違いは

00:10:18.809 --> 00:10:21.162
父親といる時の
彼女達の当惑ぶりだそうです

00:10:21.162 --> 00:10:23.819
思春期前の娘達が 
お店でふざけていたら

00:10:23.819 --> 00:10:27.500
「お前たちの大好きな歌を歌ってあげるから
ふざけるのはやめなさい」と言えば

00:10:27.500 --> 00:10:29.062
娘たちはすぐに
ふざけるのをやめ

00:10:29.062 --> 00:10:30.601
喜んで彼の歌を
聞いたそうです

00:10:30.601 --> 00:10:33.303
思春期を越えた彼女達にとって 
これは脅しとなりました

00:10:33.303 --> 00:10:34.380
（笑）

00:10:34.380 --> 00:10:37.588
父親が人前で歌うなんて考えただけで

00:10:37.588 --> 00:10:40.135
おりこうにする気になったのです

NOTE Paragraph

00:10:40.135 --> 00:10:41.877
こう疑問を持つ人もいます

00:10:41.877 --> 00:10:44.487
「青年期って比較的新しい
現象なのかな？

00:10:44.487 --> 00:10:46.633
最近 西洋人がつくり出した
概念なのかしら？」

00:10:46.633 --> 00:10:48.986
おそらく そんなことはないでしょう

00:10:48.986 --> 00:10:52.311
昔の人も 今日の私達と同じように

00:10:52.311 --> 00:10:54.723
青年期を描写していました

NOTE Paragraph

00:10:54.723 --> 00:10:58.985
よく知られた引用ですが
シェイクスピアは「冬物語」で

00:10:58.985 --> 00:11:01.574
青年期について 
こんなことを書いています

00:11:01.574 --> 00:11:05.259
「10と23の間の年齢がなくなるか 
その間ずっと

00:11:05.259 --> 00:11:07.964
眠っていてくれたら 
どんなに素晴らしいだろう

00:11:07.964 --> 00:11:10.899
この時期といったら 
娘を妊娠させる

00:11:10.899 --> 00:11:16.124
年寄りに悪さする 盗む そして
喧嘩する以外に何もないのだから」（笑）

00:11:16.124 --> 00:11:20.233
さらにこう続きます
「そうは言っても

00:11:20.233 --> 00:11:23.653
19や22の煮え立つ脳以外に

00:11:23.653 --> 00:11:26.538
こんな天気の中 狩りに出る者が
あるだろうか」（笑）

00:11:26.538 --> 00:11:29.589
約400年前のシェイクスピアは 
今日の私達と

00:11:29.589 --> 00:11:33.365
同じような感じで
青年期を描いていたわけです

00:11:33.365 --> 00:11:35.814
でも私たちは 青年期の若者の脳が

00:11:35.814 --> 00:11:38.347
どう変化しているか知ることで 
彼らの行動について

00:11:38.347 --> 00:11:40.379
理解を深めようとしているのです

NOTE Paragraph

00:11:40.379 --> 00:11:44.120
例えばリスクへの対応 
彼らはリスキーなことをしたがる

00:11:44.120 --> 00:11:46.432
傾向がありますね 本当に

00:11:46.432 --> 00:11:48.850
彼らは子供や大人に比べて

00:11:48.850 --> 00:11:51.757
リスキーなことをよくします

00:11:51.757 --> 00:11:54.278
特に周りに友達がいるとき

00:11:54.278 --> 00:11:57.036
これは青年期に 親から自立して

00:11:57.036 --> 00:11:59.707
友達を感心させるために 
重要な衝動です

00:11:59.707 --> 00:12:02.378
青年期ついて理解を深めるために

00:12:02.378 --> 00:12:05.452
今度は大脳辺縁系という部分の
発達を見てみましょう

00:12:05.452 --> 00:12:07.987
私の後ろにあるスライドや この模型で

00:12:07.987 --> 00:12:10.169
赤い部分が 大脳辺縁系です

00:12:10.169 --> 00:12:12.818
大脳辺縁系は脳の深いところにあり

00:12:12.818 --> 00:12:16.533
感情や報酬の処理を行う部分です

00:12:16.533 --> 00:12:19.770
リスキーなことを含め
面白いことをした時に

00:12:19.770 --> 00:12:22.950
報われたと感じるのはこの部分です

00:12:22.950 --> 00:12:25.476
リスキーな行動に伴う高揚も
この部分からきます

00:12:25.476 --> 00:12:29.879
そして大脳辺縁系内のこの部分は 
大人に比べて青年期において

00:12:29.879 --> 00:12:33.885
リスキーなことをしたときの
報われる感覚に対し

00:12:33.885 --> 00:12:35.694
より敏感なのです

00:12:35.694 --> 00:12:39.020
同時に 前頭前皮質

00:12:39.020 --> 00:12:41.453
このスライドでは青い部分

00:12:41.453 --> 00:12:44.493
過剰にリスキーなことをしないよう
制止するこの部分が

00:12:44.493 --> 00:12:47.591
青年期ではまだ発達中なのです

NOTE Paragraph

00:12:47.591 --> 00:12:51.385
脳科学者たちは研究を通して 
脳は青年期に

00:12:51.385 --> 00:12:54.881
ものすごい発達を遂げることを
明らかにしました

00:12:54.881 --> 00:13:00.019
この発見は 教育やリハビリ
その他の介入に重要な意味があります

00:13:00.019 --> 00:13:02.859
教育も含めて 周囲の環境は

00:13:02.859 --> 00:13:06.195
青年期の脳の発達に
影響を及ぼすものです

00:13:06.195 --> 00:13:08.914
しかし西洋の国々で 
ティーンエージャーに

00:13:08.914 --> 00:13:11.760
広く教育を与えるようになったのは 
比較的最近です

00:13:11.760 --> 00:13:16.960
例えば 私の祖父母は４人とも 
青年期の初めの頃に学校をやめました

00:13:16.960 --> 00:13:19.011
他に選択肢はなかったのです

00:13:19.011 --> 00:13:22.722
今でもそういうティーンエージャーは
世界中にたくさんいます

00:13:22.722 --> 00:13:25.115
ティーンエージャーの40%は

00:13:25.115 --> 00:13:29.169
中学や高校に行けません

00:13:29.169 --> 00:13:31.808
しかし この期間は人生で

00:13:31.808 --> 00:13:34.835
脳の適応性 順応性が
最も優れている期間です

00:13:34.835 --> 00:13:38.448
学習と創造性開発に最適な機会です

NOTE Paragraph

00:13:38.448 --> 00:13:41.648
だから青年期の若者の問題として
見られがちな振る舞いを

00:13:41.648 --> 00:13:43.134
非難すべきではありません

00:13:43.134 --> 00:13:47.272
リスキーな行動 衝動的な行動 
自意識過剰な態度 そういった行動は

00:13:47.272 --> 00:13:50.849
学習と社会性の発達に
最高な機会をもたらす

00:13:50.849 --> 00:13:54.388
脳の変化を反映しているのです

00:13:54.388 --> 00:13:56.149
ありがとうございました

00:13:56.149 --> 00:14:04.285
（拍手）