3年半前に
私は人生でベストの決断をしました
新年の誓いとして
ダイエットをやめ 体重を気にしないことにし
五感で感じながら
食事を摂ることにしたのです
今では空腹を感じたら普通に食事をしますが
5キログラムほど体重が減りました
これは13歳の時の私
最初のダイエットを始めたときです
この写真を今見てみると 思いますが
この人 ダイエットなんかより
ファッション・アドバイスのほうが必要だった
(笑)
でも 私は体重を減らすべきと思いましたし
体重が戻ってしまったとき
もちろん自分自身を責めました
それから30年間
様々なダイエットをやったり止めたりしました
何をやってみても
落とした体重は元に戻ってしまいました
多くの方がその気持ち分って下さいますね
私は神経科学者として
ダイエットがなぜそんなに難しいのか
疑問を抱きました
明らかに体重は
食べた量とカロリー消費量で決まります
多くの人が気が付いていないことは
空腹感とカロリーの消費は
ほぼ無意識のうちに
脳でコントロールされているということです
脳が陰でいろいろと作用しているのです
それは良いことなのです
意識のある行動というものは
―どう表現したらいいのでしょうか―
少し散漫になり易いのです
映画に夢中になっているときに
呼吸をいちいち気にせずに済みます
夕食で何を食べようかと考えているときに
歩き方を忘れたりしません
脳はどれだけの体重が必要か
あなたが意識的に信じていることとは別に
理解しているのです
これをセットポイントといいます
でも誤解を招きやすい言葉です
というのは
4kgから7kg位の幅があるからです
ライフスタイルを変えることによって
その範囲で体重を変えることができます
その範囲から出ようといくら努力しても
脳の一部である視床下部が
体重を制御するように働くのです
脳の中で「体重を増やせ」という
1ダース以上の化学的な信号と
脳の中で「体重を増やせ」という
1ダース以上の化学的な信号と
「体重を落とせ」という
1ダース以上の化学的信号があって
まるでサーモスタットのように機能し
飢え 活動 代謝といった
体中から発せられる信号に反応し
状況が変化しても体重を
一定に保とうとするのです
サーモスタットと同じですね?
外の天気の変化があっても
家の中の温度を一定に保ちます
冬に窓を開けて
部屋の温度を変えようとしても
サーモスタットの設定は変わらないので
暖房が作動し
温度を元に戻そうとします
脳も全く同じように機能し
体重が落ちると 強力な仕組みで
正常と考えられる体重に
戻そうとするのです
正常と考えられる体重に
戻そうとするのです
体重をひどく落とすと
飢餓状態にあると脳は判断し
元の体重が高くあれ低くあれ
脳は同様の反応を示します
あなたが体重を落としたいとか
そうでないとか
脳が分ってくれると思いたいところですが
そうではないのです
体重が大きく減ると
空腹感が増し
筋肉のエネルギー消費量は減るのです
コロンビア大学のルーディー・ライベル博士が
発見したことは
体重を10%落とした人は
代謝が抑制され
エネルギーの消費が
250から400カロリー減ることです
これは かなりの量の食べ物に相当します
ですからダイエットで落とした
体重を維持するには
同じ体重で
元から痩せていた人に比べ
食べる量をこれ程にも
少なくし続けなければなりません
食べる量をこれ程にも
少なくし続けなければなりません
進化論の観点から見ると
体が減量に逆らうのには
意味があるのです
食べ物が不足していた時
我々の祖先の生存は
エネルギーの無駄な消費を
抑えることに依存し
食べ物があるときに
体重を増やすことによって
次に来たる飢餓に備えていたのです
人間の歴史において
飢餓は過食よりも 重大な問題だったのです
飢餓は過食よりも 重大な問題だったのです
このことが あるとても残念な事実に
説明を与えます
セットポイントは上がり得るのですが
滅多なことで下がりません
もしあなたのお母さまが
人生なんて不平等と言ったら
まさにこのことを言っているんですね
(笑)
ダイエットに成功しても
セットポイントは下がりません
7年間も体重を抑え続けていたとしても
7年間も体重を抑え続けていたとしても
脳はなおも体重を元に戻そうとするのです
体重の減少が長期の飢餓によるものであったら
これは道理にかなった反応です
ハンバーガー・ショップのドライブスルーが
ある今の世の中では
多くの人にとって
なかなか上手くいかないものです
祖先の時代と
飽食の現代の差が肥満の原因であると
オタワ大学の
ヨニ・フリードホフ博士は考えており
肥満患者たちを食べ物が少なかった時代に
[タイムマシンがあれば それこそ最善の減量法だ]
連れて行きたいとさえ考えています
[タイムマシンがあれば それこそ最善の減量法だ]
また 食をとりまく
環境を変えることが
肥満を防ぐ最善の解決方法だと
考えています
残念なことに 一時的な体重増が
恒久的なものになりうるのです
体重が高いまま長い間留まると
通常 数年程度も続けば
脳がそれがあなたの平常体重と
みなしてしまうのです
心理学者は食の観点から
人を2つのグループに分類します
空腹感に反応して食べる人と
ダイエットをする多くの人がそうであるように
自制心でコントロールしようとする人
これを直感的グループと
自制的グループと呼びましょう
興味深いことに
直感的グループの方が
太り過ぎになりにくく
食べ物の事を考えている時間が短いのです
自制的グループは
(食べ物の)広告とか
特大サイズの食べ物だとか
食べ放題のブッフェとかに弱く
食べ過ぎになりやすいのです
ひとスクープのアイスクリームとかいった
ちょっとした道楽が
自制的グループには
食べ過ぎにつながりやすいのです
子供達は特に
ダイエットと過食のサイクルに弱いのです
いくつかの長年の研究によると
10代の前半にダイエットを経験した少女達は
たとえ標準的な体重から始まっても
5年も経てば
太り過ぎになる確率が3倍に高くなります
またこの分野における研究は何れも
体重増加と
同じ原因によって
摂食障害を起こしやすくなることを示しています
ところで (摂食障害の)別の原因は
― 皆様方ご両親が ―
ご家庭でお子さんの
体重について からかうことですから
そんなことしては いけませんよ
(笑)
グラフは殆ど全て 家に置いてきましたが
これだけはどうしてもお見せしたかったのです
だって私は根っからの数字好きで
そうやって生活しているのですから
(笑)
これは体に良いとされる
4つの生活習慣が
死のリスクとどう関係しているか
14年間研究したものです
十分な果物と野菜を摂り
週3回運動し
タバコを吸わず
飲酒はほどほどにするという
4つの習慣です
まずは標準的な体重の人を
見てみましょう
棒グラフの高さは死に至るリスクを表しており
横軸の 0、1、2、3、4といった数字は
横軸の 0、1、2、3、4といった数字は
その人に当てはまる
先ほどの良き生活習慣の数です
期待通りですが
健康的な生活を送っている人の方が
研究中に死に至った人は少なくなります
過剰体重の人の場合
どうなるか見てみましょう
あてはまる良き生活習慣が全くない人は
死のリスクがより高まります
たった1つでも良い習慣があれば
リスクを平常のレベルに下げるのです
肥満で良き生活習慣が全くない人は
研究対象となった
もっとも健康なグループと比較し
リスクが7倍にも高いのです
健康的な生活習慣は
肥満者にとっても良いことなのです
実際 4つの良き生活習慣
全てに当てはまるグループは
体重によるリスクの差は殆どありません
健康状態は
生活習慣をコントロールすれば
体重を減量・維持できなくとも
正常に保つことができます
ダイエットはあてになりません
ダイエットの後5年たてば
大抵の人はまた体重が戻ってしまいます
4割の人は元々の体重以上になってしまいます
そういうことですから
ダイエットの結果はたいていの所
長い目で見ると体重が減るどころか
増加になるのがおちです
ダイエットには問題があるということを
皆さんに分って頂けたなら
ではどうしたらいいの?
という質問がでますね
私の答えは一言でいえば
五感を集中しなさい ということです
瞑想の仕方を学びなさいとか
ヨガをしなさいと言っているのではありません
意識して食べることを言っているのです
身体の発する信号を理解し
[意識して食べること]
空腹の時にこそ食事を摂り
[意識して食べること]
お腹が満たされたらそこでやめる
[意識して食べること]
というのは空腹でない時に食べると
体重が一気に増えるからです
どうやったらいいか?
まずは食べたいだけ食べてみて
自分の体が丁度良いと感じる量を
考えてみて下さい
他所事に心乱されることなく
いつもの食事を摂り
食べ始めと終わりに
身体がどう感じているか考えてみて下さい
それができたら 空腹感だけで
食事を終えるタイミングを決めて下さい
私はこれが分るまでに1年かかりました
でも本当に価値がありました
今では私の人生の中で
最もリラックスして食事しています
食べ物の事を考えないことさえしばしばあります
家にあるチョコレートの事さえ忘れてしまいます
エイリアンが私の頭を支配した感じです
全く変わってしまったのです
これは言っておかなければなりません
この方法で減量はできないでしょう
空腹でもないのに
つい食べる人でもなければです
でも医者でさえ 多くの人に有効な
大幅減量の方法など知りません
だから 今や多くの人が
体重を落とそうとするのではなく
肥満予防に注目し始めているのです
現実を考えてみて下さい
ダイエットが上手くいくのなら
皆とっくに痩せているでしょう?
(笑)
どうして同じやり方を続けながらも
自分だけいい結果がでると期待するのでしょう?
ダイエットは害が無いように思えますが
実際には 思わぬダメージを与えます
一番悪いのは
人生をおかしくすることです
体重にこだわると 特に年齢の低い子供は
摂食障害を起こすことがあります
アメリカでは 10歳の少女の内 80%が
ダイエットをしたことがあると言っています
娘たちの世代は格好良く見せることを
間違った基準で判断しています
ダイエットはよくとも
時間とエネルギーの無駄遣いに終わります
強い意志が-
子供たちの宿題を手伝ったり
重要な仕事のプロジェクトを
こなすのに必要ですが
強い意志には限界があるので
際限なくこれに頼るという戦略は
何か別の事に気持ちが移った時点で
結局失敗することは
目に見えています
最後にもう一つ申し上げます
ダイエットしている少女たちに
空腹なら食べて良いのです と言い
食べることを恐れるのではなく
食欲のままに
自然に食べれば良いのだと教えたら
彼女たちは より楽しく
健康的な人生が送れるでしょう
そして大人になる頃には
体型もよりスッキリしている
かもしれません
私が13歳の時に 誰かがこの事を
教えてくれていたら と思います
有難うございました
(拍手)