WEBVTT 00:00:08.229 --> 00:00:11.129 思ったことをはっきり言うのは 難しいものです 00:00:11.649 --> 00:00:16.479 その本当の意味が分かったのは ちょうど1ヶ月前 00:00:16.479 --> 00:00:19.620 私たち夫婦に子供が 誕生した時のことです 00:00:20.100 --> 00:00:21.880 感動と 00:00:21.880 --> 00:00:27.210 心躍る歓喜の瞬間でした と同時に怖くて身がすくむ思いもあり 00:00:27.390 --> 00:00:31.540 特に赤ちゃんを初めて 我が家に迎えた日がそうでした 00:00:31.720 --> 00:00:35.189 妻も私も 母乳からの栄養で十分なのか 00:00:35.189 --> 00:00:37.590 確信が持てませんでした 00:00:37.720 --> 00:00:41.039 それで小児科医に 電話したかったのですが 00:00:41.069 --> 00:00:43.670 第一印象が悪くなってもいけないし 神経質で常識外れな親だと 00:00:43.680 --> 00:00:48.609 思われたくなかったので ただ心配しながら待ちました 00:00:49.239 --> 00:00:51.489 翌日 小児科医を訪れると 00:00:51.489 --> 00:00:55.769 かなりの脱水症状を示していた息子は すぐにミルクを与えられました 00:00:56.429 --> 00:00:57.789 今では元気ですし 00:00:57.819 --> 00:01:00.979 担当医は いつでも電話していいと 言ってくれています 00:01:01.119 --> 00:01:04.310 あの時 電話して 思っていることを 00:01:04.490 --> 00:01:05.600 言えばよかったのでした 00:01:05.920 --> 00:01:09.230 一方 発言すべきでない時に 言ってしまう場合もあります 00:01:09.300 --> 00:01:13.600 10年以上前 私の双子の弟を 落胆させてしまった時がそうです 00:01:13.690 --> 00:01:16.160 弟はドキュメンタリー映画を 製作しています 00:01:16.310 --> 00:01:20.500 ある初期の作品に対して 映画配給会社から 契約の申し出がありました 00:01:20.570 --> 00:01:24.580 弟は興奮して 承諾するつもりになっていました 00:01:24.620 --> 00:01:29.560 しかし 交渉に関する研究をしていた私は 逆提案をすべきだと主張し 00:01:29.620 --> 00:01:32.550 完璧な提案を練り上げる 手伝いをしました 00:01:32.850 --> 00:01:36.620 それは完璧に・・・ 完璧に無礼なものだったのです 00:01:37.440 --> 00:01:41.210 その会社は 酷く憤慨し オファーを取り下げ 00:01:41.210 --> 00:01:43.460 全てがフイになってしまいました 00:01:43.620 --> 00:01:47.380 さて私はこの自己主張のジレンマに関して 世界中の人々に質問をしてきました 00:01:47.410 --> 00:01:51.050 自分を強く主張できる時とは? 自分の利益や関心を押し通せる時とは? 00:01:51.070 --> 00:01:55.550 自分の意見を表現できる時とは? 野心的な要求ができる時とは? 00:01:56.990 --> 00:02:00.160 内容は幅広く様々なのですが 一方で 00:02:00.190 --> 00:02:02.860 それらが織りなす模様は万国共通です 00:02:02.890 --> 00:02:05.650 上司がミスをしたとき 進言してもいいだろうか? 00:02:05.660 --> 00:02:09.828 いつも口出ししてくる嫌な同僚に 直接 注意してもいいだろうか? 00:02:10.068 --> 00:02:13.349 無神経な冗談を言う友人を いさめてもいいだろうか? 00:02:13.479 --> 00:02:17.750 心の奥底にある不安を 最愛の人に明かしてもいいだろうか? 00:02:18.190 --> 00:02:20.740 私は こうした調査を通して 人には それぞれ 00:02:20.780 --> 00:02:24.590 許されている言動の範囲が あることに気がつきました 00:02:25.190 --> 00:02:29.880 時には押しが強すぎることがあります 00:02:29.910 --> 00:02:31.670 それが弟の身に起きたことです 00:02:31.700 --> 00:02:36.590 逆提案をすること自体が 弟に許される範囲外の行為だったのです 00:02:36.740 --> 00:02:38.810 しかし押しが弱すぎる時もあり 00:02:38.810 --> 00:02:40.500 先程の妻と私のケースがそれです 00:02:40.940 --> 00:02:42.720 この1人1人が持つ許容範囲— 00:02:42.730 --> 00:02:45.770 自分の許容範囲内での言動なら 見返りがありますが 00:02:45.790 --> 00:02:49.950 その範囲から一歩出てしまうと 様々な形で罰せられます 00:02:49.980 --> 00:02:52.999 冷遇されたり見下げられたり 疎外されたりさえします 00:02:52.999 --> 00:02:56.489 時には昇給や昇進を逃したり 商談を棒にふったりです 00:02:56.929 --> 00:03:01.240 それで まず知るべきことは 自分の許容範囲ですが 00:03:01.910 --> 00:03:05.870 その範囲の幅は一定でない ということが鍵です 00:03:06.280 --> 00:03:07.750 実際かなり変動するんです 00:03:07.770 --> 00:03:12.330 状況により その範囲は 広がりも狭まりもします 00:03:12.460 --> 00:03:16.710 許容範囲の決定に 何よりも大きく影響するのは 00:03:17.090 --> 00:03:18.430 私たち自身の「力」です 00:03:18.470 --> 00:03:20.720 私たちの力がその範囲を 左右するのです 00:03:20.740 --> 00:03:22.050 この「力」とは何でしょう? 00:03:22.080 --> 00:03:23.810 それは様々な形で現れます 00:03:23.860 --> 00:03:26.850 交渉の際には選択の余地 という形で現れます 00:03:26.920 --> 00:03:30.000 弟の場合 その余地がなく つまり力が足りなかったのです 00:03:30.080 --> 00:03:33.130 相手の会社には多くの選択肢 つまり力があったのです 00:03:33.150 --> 00:03:36.230 力の無さは移民のように 新しい国に来たばかりの人や 00:03:36.260 --> 00:03:37.890 組織の新メンバーや 00:03:37.910 --> 00:03:41.380 何かを初めて経験する人々 例えば 妻と私のような新米の親などに見られます 00:03:41.460 --> 00:03:42.730 ある時は 職場で 00:03:42.750 --> 00:03:45.239 一人が上司で もう一人が部下という状況で生まれ 00:03:45.309 --> 00:03:47.060 ある時は 人間関係で 00:03:47.060 --> 00:03:50.290 一方が もう一方よりも 相手に入れあげている場合に表れます 00:03:50.480 --> 00:03:51.809 ここでの鍵は 力が大きければ 00:03:51.819 --> 00:03:55.420 許容範囲は うんと広くなり 00:03:55.690 --> 00:03:58.430 許される言動の幅が かなりありますが 00:03:58.890 --> 00:04:01.440 力が無ければ その幅は狭まり 00:04:01.580 --> 00:04:03.580 余裕はほとんどありません 00:04:04.070 --> 00:04:06.550 問題は許容範囲が狭くなると 00:04:06.720 --> 00:04:10.920 「ローパワー・ダブルバインド」と 呼ばれるものが生まれます 00:04:11.610 --> 00:04:14.180 力の弱さゆえの二重拘束のことで それが起きるのは 00:04:14.190 --> 00:04:17.189 黙っていれば 誰の目にも留まらず 00:04:17.539 --> 00:04:20.339 思い切って言えば 罰せられるという時です 00:04:20.409 --> 00:04:23.088 みなさんの多くは 「ダブルバインド」と聞くと 00:04:23.110 --> 00:04:25.990 ジェンダーに関する話を 連想したのではないでしょうか 00:04:26.100 --> 00:04:27.750 ジェンダーによるダブルバインドとは 00:04:27.790 --> 00:04:33.090 黙っている女性は目立たず 発言する女性は嫌な目に遭うというものです 00:04:33.260 --> 00:04:38.060 女性も男性と同様 発言しなければなりませんが 00:04:38.119 --> 00:04:40.540 問題は それを阻む 障壁があることです 00:04:41.150 --> 00:04:44.109 過去20年に渡る私の研究で こういうことが分かりました 00:04:44.299 --> 00:04:47.750 女性だから起きていると 思われていたダブルバインドは 00:04:48.130 --> 00:04:52.760 実は 個人の「力」の弱さから来る ローパワー・ダブルバインドだったのです 00:04:52.929 --> 00:04:54.820 つまり 性別に関係なく 00:04:54.840 --> 00:04:58.260 力の差の現れにすぎない ことが多いのです 00:04:58.420 --> 00:04:59.900 男性と女性の違いを 00:04:59.910 --> 00:05:01.910 個別に見ても 男女別の集団を見ても 00:05:01.930 --> 00:05:03.840 「生物学上の根本的な違いだ」と 00:05:03.870 --> 00:05:07.200 思うのが常ですが 00:05:07.280 --> 00:05:09.930 研究を重ねた結果 分かったのは 00:05:09.950 --> 00:05:15.369 女性特有のダブルバインドだと 思われていた事柄は実は「力」が原因だったのです 00:05:15.579 --> 00:05:22.150 その要因だったローパワー・ダブルバインドの 二重拘束は力に欠けているせいで 00:05:22.180 --> 00:05:25.630 言動の許容範囲が狭くなると いうものです 00:05:25.670 --> 00:05:29.140 許容範囲が狭いと 強力なダブルバインドが生じるのです 00:05:29.330 --> 00:05:31.900 さて 許容範囲を広げる方法が 必要だということで 00:05:31.910 --> 00:05:33.430 過去20年の間に 00:05:33.450 --> 00:05:36.660 私は同僚と共に それに関わる 2つの要素を発見しました 00:05:36.960 --> 00:05:41.010 1つ目は 力がありそうだ という自分に対する自己判断 00:05:41.350 --> 00:05:44.559 2つ目は 力がありそうだ という自分に対する他者の判断 00:05:44.719 --> 00:05:49.019 自分に力がみなぎっていると感じる時 私は自信に溢れ 物怖じせず 00:05:49.030 --> 00:05:50.870 自ら許容範囲を広げています 00:05:50.970 --> 00:05:56.240 他者の目にも私が力強く映っていれば 許容範囲を広げる許可が与えられます 00:05:56.320 --> 00:06:00.900 では その許容範囲を広げる道具が 必要になりますが 00:06:01.040 --> 00:06:03.409 今日はその道具一式を 皆さんにお渡ししましょう 00:06:03.439 --> 00:06:05.600 意見を述べることには リスクが伴いますが 00:06:05.610 --> 00:06:09.650 そのリスクを下げてくれる道具です 00:06:10.500 --> 00:06:15.780 最初の道具は 交渉に関する研究で発見された 00:06:16.040 --> 00:06:17.480 重要なものです 00:06:17.510 --> 00:06:19.700 概して 女性は控えめに提案するため 00:06:19.730 --> 00:06:25.000 交渉は 男性より女性にとって 不利な結果となってしまいます 00:06:25.290 --> 00:06:28.590 しかしハナ・ライリー・ボウルズと エミリー・アマナトゥラの研究で 00:06:28.600 --> 00:06:29.800 ある状況下では 00:06:29.820 --> 00:06:33.759 女性も強気になれ 男性と同じような結果を 出せることが分かりました 00:06:34.309 --> 00:06:37.790 その状況とは 女性が他者のために発言する時です 00:06:38.330 --> 00:06:40.440 他者のために発言する時 00:06:40.440 --> 00:06:45.280 女性は自分の許容範囲を把握し 自ら押し広げ 00:06:45.349 --> 00:06:47.090 より自信を持って発言できます 00:06:47.110 --> 00:06:49.820 これは「母熊効果」と 呼ばれることがあります 00:06:50.550 --> 00:06:52.890 自分の子を守る母熊のように 00:06:52.930 --> 00:06:56.930 他者のために発言する時 自分の意見が述べられるようになります 00:06:57.410 --> 00:07:00.500 しかし時には自分のためにも 発言しなければなりません 00:07:00.520 --> 00:07:01.910 その方法とは? 00:07:01.940 --> 00:07:05.890 自分のために発言するのに 最も重要な道具の1つに 00:07:05.930 --> 00:07:08.260 「他者視点取得」と 呼ばれるものがあります 00:07:08.380 --> 00:07:10.980 他者視点取得とは実に単純で 00:07:11.070 --> 00:07:15.620 他者の視点を通して 世の中を見るということです 00:07:16.100 --> 00:07:19.810 これが 自分の許容範囲を広げてくれる 最も重要な道具の1つです 00:07:19.950 --> 00:07:23.810 相手の視点を取り入れて 相手が本当に望んでいるものを考えると 00:07:24.050 --> 00:07:27.490 相手から 自分の望んでいるものを もらえる可能性が高まります 00:07:28.600 --> 00:07:29.900 しかし ここに問題があります 00:07:30.110 --> 00:07:32.330 視点取得は難しいのです 00:07:32.410 --> 00:07:33.870 ちょっと実験をしてみましょう 00:07:33.950 --> 00:07:38.540 このように手を挙げて下さい 人差し指を突き出して 00:07:38.880 --> 00:07:44.790 できるだけ速く 大文字の「E」をおでこに書いてください 00:07:46.890 --> 00:07:47.670 はい 00:07:47.690 --> 00:07:50.540 「E」を書くのには2通りありますね 00:07:50.570 --> 00:07:53.950 これは元々 視点取得のテストとして 考案されたものです 00:07:53.970 --> 00:07:57.440 おでこに「E」を書いた 2枚の写真をお見せします 00:07:57.460 --> 00:07:59.560 教え子のエリカ・ホールです 00:08:00.460 --> 00:08:03.650 左に見えるのは 正しい「E」ですね 00:08:03.700 --> 00:08:07.100 自分の書いた「E」が 他の人にも「E」に見えます 00:08:07.150 --> 00:08:09.180 これは視点取得型の「E」です 00:08:09.180 --> 00:08:12.410 他者の観点から見た「E」だからです 00:08:12.430 --> 00:08:15.580 しかし右のは自己注目型の「E」です 00:08:15.740 --> 00:08:17.500 自己注目は よくあることですが 00:08:17.530 --> 00:08:20.800 特に危機に陥ると そうなります 00:08:21.010 --> 00:08:23.130 ある危機のお話をしましょう 00:08:23.140 --> 00:08:26.340 カリフォルニア州ワトソンビルで 銀行に1人の男が入って来ました 00:08:27.300 --> 00:08:29.690 男は言いました 00:08:29.690 --> 00:08:32.080 「2千ドル出せ さもないと銀行ごと爆破する」 00:08:32.500 --> 00:08:34.940 銀行の支店長は お金を渡さず 00:08:35.170 --> 00:08:38.369 一歩引いて その男の立場に立って考えました 00:08:38.489 --> 00:08:40.550 すると非常に重要なことに気づきました 00:08:40.820 --> 00:08:43.529 男は特定の金額を要求してきています 00:08:43.629 --> 00:08:48.120 そこで男に尋ねました 「どうして2千ドルなのですか?」 00:08:48.270 --> 00:08:52.680 男は答えました「今すぐ2千ドル 渡さないと友達が強制退去させられるんだ」 00:08:53.100 --> 00:08:55.950 そこで支店長は言いました 「それなら銀行強盗なんかではなく 00:08:55.980 --> 00:08:57.620 ローンを組んだ方がお得ですよ」 00:08:57.650 --> 00:08:58.640 (笑) 00:08:58.660 --> 00:08:59.770 「私のオフィスへどうぞ 00:08:59.790 --> 00:09:01.860 書類を作りましょう」 00:09:01.880 --> 00:09:02.700 (笑) 00:09:02.750 --> 00:09:09.060 支店長の迅速な視点取得が 一触即発の状況を鎮めたのです 00:09:09.320 --> 00:09:11.130 他者の視点を取り入れると 00:09:11.140 --> 00:09:15.840 野心的になれる上 自己主張でき それでいて感じもいいのです 00:09:16.220 --> 00:09:19.470 もう1つ自己主張できて 好ましく思われる方法があります 00:09:19.500 --> 00:09:21.980 それは柔軟性を示すことです 00:09:22.640 --> 00:09:26.600 例えば あなたが営業マンで 車を売ろうとしていると思ってください 00:09:26.910 --> 00:09:31.160 選択肢を2つ示すことで 売れる可能性が高くなります 00:09:31.300 --> 00:09:32.690 例えば 選択肢Aは 00:09:32.710 --> 00:09:36.060 2万4千ドルで保証期間5年 00:09:36.060 --> 00:09:37.780 選択肢Bは 00:09:37.800 --> 00:09:40.820 2万3千ドルで保証期間3年 という風にです 00:09:40.900 --> 00:09:44.330 私の研究で分かったことは 00:09:44.500 --> 00:09:46.350 人は選択権を与えられると ガードがゆるくなり 00:09:46.370 --> 00:09:48.750 与えられた提案を 承諾しがちだということです 00:09:49.220 --> 00:09:52.470 これは営業マンに限らず 親にも言えます 00:09:52.650 --> 00:09:53.970 私の姪が4才の時 00:09:53.970 --> 00:09:56.990 着替えるのを嫌がり どの洋服も拒絶しました 00:09:57.290 --> 00:10:00.000 しかし母親に 素晴らしい考えが浮かびました 00:10:00.080 --> 00:10:02.700 娘に選択肢を示し 選ばせたらどうだろう? 00:10:02.730 --> 00:10:04.920 どっちのシャツがいい? こっちね 00:10:04.920 --> 00:10:07.070 どっちのズボンがいい? こっちね 00:10:07.090 --> 00:10:08.390 見事にうまく行きました 00:10:08.390 --> 00:10:11.540 姪はグズることなく さっさと着替えたのです 00:10:12.500 --> 00:10:14.700 私は世界中の人々に こんな質問をしてきました 00:10:14.700 --> 00:10:18.340 「思っていることが気軽に言える時とは?」 最も多い答えは 00:10:18.380 --> 00:10:20.970 「聞き手の中に 支持者や仲間がいる時」 00:10:21.150 --> 00:10:22.920 「聞き手の中に 支持者や仲間がいる時」 00:10:23.080 --> 00:10:26.450 では 自分の側に立ってくれる 仲間を得るには 00:10:26.960 --> 00:10:28.350 どうしましょう? 00:10:28.940 --> 00:10:31.050 1つの方法は「母熊」になることです 00:10:31.050 --> 00:10:34.830 他者のために発言する時 自分だけでなく 00:10:34.830 --> 00:10:38.170 他者の目から見ても自分の許容範囲が広がり 同時に強力な仲間を得られます 00:10:38.780 --> 00:10:43.420 強力な仲間を得るもう1つの方法 特に権力のある人を味方につけるには 00:10:43.560 --> 00:10:46.250 助言を求めることです 00:10:46.490 --> 00:10:48.830 他者に助言を求めると 好ましく思ってもらえます 00:10:49.960 --> 00:10:54.070 相手を立てているし 謙虚さを示してもいるからです 00:10:54.380 --> 00:10:57.620 もう1つのダブルバインド解決にも とても効果的です 00:10:57.880 --> 00:11:00.370 自己PRから生じる ダブルバインドのことです 00:11:00.590 --> 00:11:02.030 どういうことかと言うと 00:11:02.050 --> 00:11:06.490 自分の功績を宣伝しなければ 誰も気付かないが 00:11:06.520 --> 00:11:08.690 ひけらかすと好ましく思われない というものです 00:11:08.990 --> 00:11:12.369 しかし自分の功績に関して 助言を求めると 00:11:12.469 --> 00:11:16.930 相手の目に映る自分は有能で さらに好ましく思ってもらえます 00:11:17.580 --> 00:11:19.410 この方法は とても強力で 00:11:19.550 --> 00:11:22.440 誰かが相談に来ると わかっている時でさえ効果的なのです 00:11:22.530 --> 00:11:26.590 「力」の弱い人が紹介を受けて 私の所に助言を求めに来ることを 00:11:26.619 --> 00:11:31.000 前もって知らされるというケースが 今まで何度もありました 00:11:31.329 --> 00:11:33.469 ここで気付いて欲しいことが 3つあります 00:11:33.679 --> 00:11:36.599 その1 私は助言を 求められると知っていた 00:11:36.999 --> 00:11:38.770 その2 助言を求める行為には 00:11:38.790 --> 00:11:42.689 戦略的な利点があることを 私はよく知っていた 00:11:43.009 --> 00:11:44.869 その3 そう知っていても 効果的だったのです! 00:11:45.699 --> 00:11:49.170 相手の視点を受け入れ 彼らのために もっと力を尽くすようになり 00:11:49.200 --> 00:11:53.120 より熱心に相談に乗りました 助言を求められたからです 00:11:53.419 --> 00:11:56.639 自信を持って意見が述べられる場面は 他にもあります 00:11:56.999 --> 00:11:58.820 専門分野がある場合です 00:11:59.230 --> 00:12:01.600 専門性によって信頼が得られます 00:12:01.790 --> 00:12:04.760 たっぷり力を持っている場合は すでに信頼があるので 00:12:04.890 --> 00:12:06.839 そこそこの証拠を示せば 十分です 00:12:06.919 --> 00:12:09.779 力が無い場合は 信頼がありませんから 00:12:09.909 --> 00:12:12.050 優れた証拠が必要になります 00:12:12.460 --> 00:12:14.819 専門家として印象づける方法の1つに 00:12:14.929 --> 00:12:18.129 自分の情熱を表す というやり方があります 00:12:18.819 --> 00:12:22.970 皆さん 向こう数日の間 友達にこう訊いてみて下さい 00:12:23.139 --> 00:12:27.190 「あなたが情熱を傾けていることを 語って下さい」と 00:12:27.860 --> 00:12:30.159 私は世界中の人々に これをやってもらい 00:12:30.319 --> 00:12:34.060 その後こう尋ねました 「自分の情熱を語る人を見ていて 00:12:34.070 --> 00:12:35.529 どんなことに気がつきましたか?」 00:12:35.919 --> 00:12:37.729 その答えはいつも同じでした 00:12:37.769 --> 00:12:39.590 「目が輝き イキイキとしてきた」 00:12:39.800 --> 00:12:42.620 「満面の笑顔になった」 00:12:42.820 --> 00:12:44.239 「手ぶりが大きくなって 00:12:44.239 --> 00:12:46.549 避けなきゃいけないほどだった 当たりそうで」 00:12:46.559 --> 00:12:48.900 「早口になり ちょっと声がうわずっていた」 00:12:48.920 --> 00:12:49.859 (笑) 00:12:49.869 --> 00:12:52.429 「秘密を明かすかのように 身を乗り出してきた」 00:12:52.659 --> 00:12:57.360 さらに こう尋ねました「それを聞いていた あなたはどうなりましたか?」 00:12:57.520 --> 00:13:02.139 こんな答えでした「「私の目も輝き 笑みがこぼれ 身を乗り出しました」 00:13:02.390 --> 00:13:04.479 自分たちの情熱に関することとなると 00:13:04.499 --> 00:13:07.870 自ら発言する勇気が 奮い起こされるものですが 00:13:07.870 --> 00:13:10.880 同時に 発言することに対し 周りも寛容になります 00:13:11.630 --> 00:13:16.939 自分が弱すぎるように見えてしまう状況でも 情熱を表すとプラスに働きます 00:13:17.629 --> 00:13:22.140 性別を問わず職場での涙は ひんしゅくを買いますが 00:13:22.460 --> 00:13:24.669 リジー・ウルフの研究では 00:13:24.669 --> 00:13:28.849 強い感情が情熱という形で表された場合 00:13:28.849 --> 00:13:34.989 男性であれ女性であれ 涙は 非難されないことが分かっています 00:13:35.660 --> 00:13:39.749 最後に今は亡き父が 弟の結婚式で述べた言葉で 00:13:39.769 --> 00:13:41.529 締めくくりたいと思います 00:13:41.739 --> 00:13:43.239 その時の写真です 00:13:45.379 --> 00:13:47.190 父は私と同じく心理学者でしたが 00:13:47.210 --> 00:13:51.929 父が本当に愛し 情熱を持っていたのは 弟と同じく映画でした 00:13:52.020 --> 00:13:54.599 父が結婚式のために書いた スピーチの題材は 00:13:54.619 --> 00:13:57.679 人生を喜劇に喩え その中で 私たちが演じる役柄についてでした 00:13:57.819 --> 00:14:01.409 「人との関わりが 軽やかであればあるほど 00:14:01.489 --> 00:14:04.149 上手に立ち回れるようになり 人生を充実させるのに長けてくるものだ 00:14:04.289 --> 00:14:08.189 自分の役割を受け入れ 向上しようと努力する者は 00:14:09.029 --> 00:14:11.749 自分を大きく成長させる 00:14:12.029 --> 00:14:15.630 自分の役割をうまくこなせば 人生は概ね楽しいものとなるだろう」 00:14:16.030 --> 00:14:17.629 父が言わんとしたのは 00:14:17.629 --> 00:14:21.620 この世界で私たちは皆 役割と自由を与えられており— 00:14:22.060 --> 00:14:25.579 この講演の核心でもあるのですが— 00:14:26.060 --> 00:14:31.199 その役割と幅は常に広がり 発展しているということです 00:14:31.709 --> 00:14:33.809 必要とあらば 00:14:34.259 --> 00:14:38.049 母熊のように勇猛になり 謙虚に助言を求めてください 00:14:38.899 --> 00:14:42.989 そうして優れた証拠と 心強い仲間を得て 00:14:43.079 --> 00:14:45.649 情熱を持って 他者の視点を取り入れましょう 00:14:45.939 --> 00:14:47.540 そして 皆さんがこの道具を使えば― 00:14:47.540 --> 00:14:50.859 誰でもこの道具を 使えるようになれば 00:14:51.299 --> 00:14:54.889 自分の言動の許容範囲を 広げられるようになり 00:14:55.119 --> 00:14:58.130 人生は概ね楽しいものと なることでしょう 00:14:59.190 --> 00:15:00.360 ありがとうございました 00:15:00.407 --> 00:15:01.767 (拍手)