0:00:00.586,0:00:02.649
戦略について[br]少しお話ししたいと思います

0:00:02.649,0:00:06.823
技術と関連付けた話です

0:00:06.823,0:00:09.718
ビジネス戦略を考えるとき

0:00:09.718,0:00:11.681
本質的に経済学的な概念による

0:00:11.681,0:00:13.396
抽象的な対象としてとらえ

0:00:13.396,0:00:15.026
時間軸を考えないでしょう

0:00:15.026,0:00:16.966
でも 私はこのように考えています

0:00:16.966,0:00:19.521
ビジネス戦略はいつでも―

0:00:19.521,0:00:21.940
技術を前提に立てられますが

0:00:21.940,0:00:23.913
その前提が変化しているのです

0:00:23.913,0:00:26.630
実際 めまぐるしく変化しており

0:00:26.630,0:00:29.702
それゆえに ビジネス戦略という言葉で

0:00:29.702,0:00:32.605
意味するところの概念は

0:00:32.605,0:00:35.043
変化していくのです

0:00:35.043,0:00:36.524
まずは その歴史について

0:00:36.524,0:00:39.294
少し話をさせて下さい

0:00:39.294,0:00:41.038
ビジネス戦略の概念は

0:00:41.038,0:00:44.338
２人の知的な偉人に起源を[br]遡ることができます

0:00:44.338,0:00:46.472
BCGを創立したブルース・ヘンダーソンと

0:00:46.472,0:00:50.244
ハーバード・ビジネススクールの[br]マイケル・ポーターです

0:00:50.244,0:00:53.076
ヘンダーソンの考えの核心部分は

0:00:53.076,0:00:56.067
ナポレオン的な考えと言えるもの[br]つまり弱者に対し

0:00:56.067,0:00:58.936
数で相手を圧倒するということでした

0:00:58.936,0:01:00.729
ヘンダーソンが理解したことは

0:01:00.729,0:01:02.125
ビジネスの世界では

0:01:02.125,0:01:04.780
様々な経済現象が[br]エコノミストが主張する通り

0:01:04.780,0:01:06.815
規模と経験に伴って“収穫逓増”を

0:01:06.815,0:01:08.178
もたらしているということです

0:01:08.178,0:01:10.052
より多く経済活動を行えば

0:01:10.052,0:01:12.449
比例以上の報酬が得られるということです

0:01:12.449,0:01:15.412
そこで 競争における優位を得るために

0:01:15.412,0:01:18.154
圧倒的な数でもって投資するという

0:01:18.154,0:01:20.707
論法を見出したのです

0:01:20.707,0:01:22.775
これは本質的に軍隊における戦略の概念を

0:01:22.775,0:01:25.439
ビジネスの世界に導入した

0:01:25.439,0:01:28.421
最初の事例だったのです

0:01:28.421,0:01:31.156
ポーターはその考えに[br]同意するにとどまらず

0:01:31.156,0:01:32.707
改善したのです

0:01:32.707,0:01:35.696
彼は この戦略は上手くいくが[br]実際 ビジネスには

0:01:35.696,0:01:39.571
そこに至る複数の段階がある事を[br]正確に指摘したのです

0:01:39.571,0:01:41.144
異なるいくつの要素があって

0:01:41.144,0:01:43.676
個々の要素には

0:01:43.676,0:01:45.461
異なる戦略が必要かもしれないのです

0:01:45.461,0:01:47.789
特定の会社やビジネスの有り方は

0:01:47.789,0:01:51.267
ある経済活動では有利であり[br]別の場合には不利になるかもしれません

0:01:51.267,0:01:53.368
彼は価値連鎖という概念を[br]生み出しました

0:01:53.368,0:01:56.438
要は 生産の一連の過程において

0:01:56.438,0:01:59.590
例えば 原材料が部品となり

0:01:59.590,0:02:00.953
これを組み立てて製品が作られ

0:02:00.953,0:02:03.594
流通に回るというようなもので

0:02:03.594,0:02:06.010
彼が議論したことは優位性は―

0:02:06.010,0:02:07.551
個々の要素ごとに積み重ねられ

0:02:07.551,0:02:09.265
全体としての価値は

0:02:09.265,0:02:11.396
各要素の合計ないし平均により

0:02:11.396,0:02:13.744
評価されるというような ことなのです

0:02:13.744,0:02:16.321
そして彼の価値連鎖の考えにおいて

0:02:16.321,0:02:18.889
前提となる考えは

0:02:18.889,0:02:22.535
取引のコストを調整することで[br]ビジネスが最適化されるということであり

0:02:22.535,0:02:24.830
組織は市場よりもそれを効率的に

0:02:24.830,0:02:27.405
行うことができるということが[br]本質的なのでした

0:02:27.405,0:02:29.067
それゆえ しばしば

0:02:29.067,0:02:32.123
事業者間の協力関係において

0:02:32.123,0:02:35.962
その性質 役割 境界は[br]取引コストで定義されるのです

0:02:35.962,0:02:38.526
この２つの考え つまり

0:02:38.526,0:02:41.912
ヘンダーソンのいう[br]規模や経験に応じた

0:02:41.912,0:02:43.460
“収穫逓増”の考え

0:02:43.460,0:02:45.883
そしてこれに続き[br]ビジネス戦略の全体像における

0:02:45.883,0:02:47.796
様々な異なる要素を包括した

0:02:47.796,0:02:51.131
ポーターの価値連鎖の考えが

0:02:51.131,0:02:53.908
形作られたのでした

0:02:53.908,0:02:56.337
ここで私が議論したいことは

0:02:56.337,0:03:02.051
こういった前提が[br]無効になっていくという事実です

0:03:02.051,0:03:04.605
まず初めに取引コストを[br]考えてみましょう

0:03:04.605,0:03:07.002
取引コストには２つの要素があります

0:03:07.002,0:03:09.872
一つは情報を処理すること[br]もう一つは通信です

0:03:09.872,0:03:13.153
処理と通信が長い時間をかけて[br]ここまで進化してこれたのは

0:03:13.153,0:03:15.627
それ自身の経済の結果です

0:03:15.627,0:03:18.637
皆さんがご存じの様に[br]いろんな意味において

0:03:18.637,0:03:20.893
これらの要素は

0:03:20.893,0:03:23.205
ポーターとヘンダーソンが[br]理論を初めて提唱して以来

0:03:23.205,0:03:25.299
劇的に変化してきました

0:03:25.299,0:03:27.365
特に90年代中頃から

0:03:27.365,0:03:29.233
通信コストは下がり続け

0:03:29.233,0:03:31.224
取引コストの低下よりも速く

0:03:31.224,0:03:33.783
だからこそ 通信 つまりインターネットは

0:03:33.783,0:03:38.398
劇的に普及したのです

0:03:38.398,0:03:40.568
このような取引コストの低減は

0:03:40.568,0:03:42.544
重要な結果をもたらします

0:03:42.544,0:03:44.337
というのは 取引コストが価値連鎖を

0:03:44.337,0:03:46.759
結びつけているのだとすると[br]その低下につれて

0:03:46.759,0:03:48.401
さらなる低下の余地が無くなっていきます

0:03:48.401,0:03:51.333
すると縦につながった組織の必要性が減り

0:03:51.333,0:03:54.211
価値連鎖の分割さえあるのです

0:03:54.211,0:03:56.710
そうすべきと いうのではなく[br]有り得る ということです

0:03:56.710,0:03:58.850
特に起こり得ることは

0:03:58.850,0:04:00.616
一つのビジネスにおける[br]競争相手の一方が

0:04:00.616,0:04:03.941
価値連鎖のあるステップにおける[br]立場を利用し

0:04:03.941,0:04:05.773
別のステップでは[br]競合相手の立場を奪ったり

0:04:05.773,0:04:08.937
敵対行動を行ったり仲介者を排除した[br]投資を行ったりするのです

0:04:08.937,0:04:11.598
これは単に概念的な提案ということでなく

0:04:11.598,0:04:13.277
実際にそのような事例が

0:04:13.277,0:04:15.049
いくつも起きているのです

0:04:15.049,0:04:18.542
典型的な例が[br]百科事典のビジネスです

0:04:18.542,0:04:19.991
革装の本であった時代の[br]百科事典ビジネスは

0:04:19.991,0:04:22.093
革装の本であった時代の[br]百科事典ビジネスは

0:04:22.093,0:04:23.797
基本的に流通業であり

0:04:23.797,0:04:26.251
主なコストは販売員への手数料でした

0:04:26.251,0:04:28.877
CD-ROM そしてインターネットが[br]登場すると

0:04:28.877,0:04:32.293
新しい技術は知識の流通のコストを

0:04:32.293,0:04:34.572
何ケタも安くし

0:04:34.572,0:04:37.286
百科事典ビジネスはつぶれました

0:04:37.286,0:04:40.118
今となっては勿論[br]とてもよく知られていることです

0:04:40.118,0:04:42.160
これはインターネット・ビジネスの

0:04:42.160,0:04:44.669
第一世代でよくあったことでした

0:04:44.669,0:04:46.869
取引のコストが低下したことによって

0:04:46.869,0:04:48.344
価値連鎖が分断され

0:04:48.344,0:04:50.973
それゆえ直接取引が可能になったり

0:04:50.973,0:04:53.310
“脱構築”というものが起こり得るのです

0:04:53.310,0:04:55.627
しばしば受ける質問の一つが

0:04:55.627,0:04:58.143
ブリタニカのビジネスモデルが[br]成り立たなくなったので

0:04:58.143,0:05:00.794
何が百科事典ビジネスを取って代わるのか？

0:05:00.794,0:05:02.960
その答えが明らかになるまでに[br]少し時間がかかりました

0:05:02.960,0:05:05.747
今や周知のとおりウィキペディアです

0:05:05.747,0:05:08.970
ウィキペディアが特別なのは[br]流通方式についてではありません

0:05:08.970,0:05:11.374
ウィキペディアの特徴は[br]それが作られる過程です

0:05:11.374,0:05:13.614
ウィキペディアは勿論 百科事典ですが

0:05:13.614,0:05:16.141
ユーザーによってつくられるのです

0:05:16.141,0:05:18.021
これはインターネット経済を

0:05:18.021,0:05:20.509
10年単位で表せば[br]第２期といえるかもしれません

0:05:20.509,0:05:23.869
この期間ではインターネットは[br]名詞ではなく

0:05:23.869,0:05:25.776
動詞的なものになったのです

0:05:25.776,0:05:27.645
様々な会話の形態ができ

0:05:27.645,0:05:31.721
ユーザーが中身を作ったり[br]ソーシャルネットワークが

0:05:31.721,0:05:34.412
流行する時代になったのです

0:05:34.412,0:05:36.310
これが意味するところは

0:05:36.310,0:05:39.684
ポーターとヘンダーソンの枠組みにおける

0:05:39.684,0:05:43.075
ある種の“規模の経済”というものは[br]崩壊したということなのです

0:05:43.075,0:05:45.413
判明したことは何万人もの

0:05:45.413,0:05:48.496
個人個人が自主的に百科事典を作り上げ

0:05:48.496,0:05:50.042
階級的な組織に属する プロよりも

0:05:50.042,0:05:51.733
同じレベルの仕事を

0:05:51.733,0:05:54.712
ずっと安く成し遂げたということです

0:05:54.712,0:05:57.169
基本的にここで起きていることは

0:05:57.169,0:06:00.063
価値連鎖の一つの層が[br]ばらばらに分裂し

0:06:00.063,0:06:01.907
個人個人がこれに取って代わり

0:06:01.907,0:06:05.194
組織がもやは不要になったという[br]ことなのです

0:06:05.194,0:06:07.826
しかし このグラフから明らかなように[br]別の問いが現れます

0:06:07.826,0:06:10.109
ここまで第１期と第２期を見てきましたが

0:06:10.109,0:06:12.787
第３期の特徴はなんでしょう？

0:06:12.787,0:06:14.902
私が議論しようとしていることは まさに

0:06:14.902,0:06:16.407
第３期を特徴付ける“何か”です

0:06:16.407,0:06:18.853
これこそがここまで語ってきた

0:06:18.853,0:06:21.321
ポーター－ヘンダーソンの理論を[br]新しい枠組みで位置づけるものです

0:06:21.321,0:06:23.908
それはデータに関するものです

0:06:23.908,0:06:25.577
2000年まで遡ると

0:06:25.577,0:06:27.936
人々は情報革命を議論し

0:06:27.936,0:06:30.237
実際 データが次々と蓄積―

0:06:30.237,0:06:32.511
大変な勢いで蓄積されていきました

0:06:32.511,0:06:35.369
しかしこの段階ではまだ[br]アナログデータが圧倒的です

0:06:35.369,0:06:37.187
2007年に進みましょう

0:06:37.187,0:06:40.372
データの蓄積は爆発的に増えるだけでなく

0:06:40.372,0:06:42.892
アナログデータからデジタルデータへの

0:06:42.892,0:06:44.907
置換が行われてきました

0:06:44.907,0:06:46.776
さらに重要なことは

0:06:46.776,0:06:48.516
グラフをもっと注意して―

0:06:48.516,0:06:50.536
見てみると分ることは[br]デジタルデータの半分ほどが

0:06:50.536,0:06:52.150
見てみると分ることは[br]デジタルデータの半分ほどが

0:06:52.150,0:06:54.536
サーバーであれ個人PCであれ[br]IPアドレス情報が付加されていることです

0:06:54.536,0:06:57.387
サーバーであれ個人PCであれ[br]IPアドレス情報が付加されていることです

0:06:57.387,0:06:59.194
IPアドレスが分るということは

0:06:59.194,0:07:01.364
IPアドレスのある別のデータと

0:07:01.364,0:07:03.227
関連付けられるので

0:07:03.227,0:07:04.873
世界中の半分の知識を集め

0:07:04.873,0:07:07.960
パターンを分析することが[br]可能になるのです

0:07:07.960,0:07:09.612
パターンを分析することが[br]可能になるのです

0:07:09.612,0:07:11.969
全く新しいことです

0:07:11.969,0:07:13.937
さて現在に時を戻しますと

0:07:13.937,0:07:15.363
おそらく こんな感じでしょう

0:07:15.363,0:07:16.531
正確な数字は分りません

0:07:16.531,0:07:18.559
2020年まで先に進めますと

0:07:18.559,0:07:21.459
IDCのおかげで勿論正確な数字が分ります

0:07:21.459,0:07:25.799
現在のことよりも将来のことが[br]良く分るとは興味深いことです

0:07:25.799,0:07:30.194
これが意味することは[br]何百倍もの

0:07:30.194,0:07:33.167
蓄積されたデータが

0:07:33.167,0:07:35.395
IPアドレスで関連付けられるということです

0:07:35.395,0:07:38.856
情報の結びつきの組合せ数が

0:07:38.856,0:07:41.996
データ間の対の数に[br]比例するならば

0:07:41.996,0:07:44.459
データが100倍に増えると

0:07:44.459,0:07:46.562
１万倍ほどの

0:07:46.562,0:07:48.127
パターンを

0:07:48.127,0:07:50.204
データに見出すことができます

0:07:50.204,0:07:52.864
これは過去僅か10~11年で起きたことで

0:07:52.864,0:07:55.688
これは我々が住む世界の

0:07:55.688,0:07:57.772
経済における目覚しい変化

0:07:57.772,0:07:59.723
深遠なる変化と申し上げたいのです

0:07:59.723,0:08:00.887
人類の最初のゲノムとして

0:08:00.887,0:08:02.453
ジェームス・ワトソンのゲノムが

0:08:02.453,0:08:06.373
2000年に行われたヒトゲノム計画の[br]究極的な成果物として解析された時

0:08:06.373,0:08:08.550
２億ドルの費用がかかり

0:08:08.550,0:08:10.531
しかも一人の人間のゲノム解析に

0:08:10.531,0:08:12.946
10年の時を要したのです

0:08:12.946,0:08:15.551
それ以降ゲノムの解析コストは下がり

0:08:15.551,0:08:17.438
ここ数年のコストダウンは

0:08:17.438,0:08:19.112
実に劇的で

0:08:19.112,0:08:21.558
今や1000ドルを下回るに至り

0:08:21.558,0:08:24.509
2015年までには100ドルを下回るという

0:08:24.509,0:08:26.240
確かな予測があります

0:08:26.240,0:08:29.436
過去15年間においてゲノムの解析コストが[br]５－６ケタ下がったのです

0:08:29.436,0:08:31.381
過去15年間においてゲノムの解析コストが[br]５－６ケタ下がったのです

0:08:31.381,0:08:33.804
過去15年間においてゲノムの解析コストが[br]５－６ケタ下がったのです

0:08:33.804,0:08:36.199
これは とてつもないことです

0:08:36.199,0:08:40.604
ゲノム解析に

0:08:40.604,0:08:43.613
100万ドル ないし１万ドル[br]掛かっていた時代では

0:08:43.613,0:08:45.591
これはまさに研究事業であり

0:08:45.591,0:08:48.133
各分野を代表するような[br]科学者たちが集まり

0:08:48.133,0:08:49.347
人類の特徴や病気について

0:08:49.347,0:08:52.237
選ばれた限られた人から[br]人間の特徴や病気に関する

0:08:52.237,0:08:53.828
抽象的なパターンを見出し

0:08:53.828,0:08:57.288
一般化しようとしたのです

0:08:57.288,0:09:00.121
しかしゲノムが100ドルで[br]解析できるようになると

0:09:00.121,0:09:02.469
さらに少し待って99ドルになると

0:09:02.469,0:09:04.659
解析装置は誰にでも[br]使われるようになります

0:09:04.659,0:09:06.516
全ての病院で使われるのです

0:09:06.516,0:09:07.728
風邪をひいて病院に行くと

0:09:07.728,0:09:09.662
まだ解析データがなければ

0:09:09.662,0:09:11.900
まずはあなたのゲノムを解析します

0:09:11.900,0:09:13.555
この時点で医者は

0:09:13.555,0:09:18.084
ゲノム医学の抽象的な知識を元に[br]あなたに効果があるかを―

0:09:18.084,0:09:20.148
試していく代わりに

0:09:20.148,0:09:22.717
あなたのゲノムに合わせた処方を探していくのです

0:09:22.717,0:09:24.157
このことの可能性を考えてみましょう

0:09:24.157,0:09:25.946
どの様な道が開けるでしょうか

0:09:25.946,0:09:28.892
ゲノム解析データが

0:09:28.892,0:09:30.381
臨床データ

0:09:30.381,0:09:32.340
薬との相互作用に関するデータ

0:09:32.340,0:09:34.629
さらには電話や医療センサーで測る[br]周囲のデータなども

0:09:34.629,0:09:36.388
次々と集められ

0:09:36.388,0:09:38.246
結び付けられることでしょう

0:09:38.246,0:09:40.707
これらのデータを全て集めて

0:09:40.707,0:09:42.180
一緒にすれば

0:09:42.180,0:09:44.668
これまでに見えなかったパターンが[br]見つかるかもしれません

0:09:44.668,0:09:47.579
時間が掛かるかもしれませんが

0:09:47.579,0:09:50.020
医学の革命が起こるかもしれません

0:09:50.020,0:09:52.340
素晴らしいことです[br]多くの人々がこのことを語っています

0:09:52.340,0:09:54.779
でも 注目されていないことが[br]一つあります

0:09:54.779,0:09:58.063
様々なデータベースを

0:09:58.063,0:10:00.709
徹底的に結び付けて行こうというモデルは

0:10:00.709,0:10:03.201
今日のビジネスに関連した

0:10:03.201,0:10:05.815
組織 機関 法人の事業モデルと

0:10:05.815,0:10:08.112
相容れるものでしょうか？

0:10:08.112,0:10:10.888
独占的に所有するデータに依存するビジネスや

0:10:10.888,0:10:13.931
データこそが強みだ[br]というビジネスを行なっている

0:10:13.931,0:10:17.451
このような会社や組織は

0:10:17.451,0:10:19.549
技術によって裏付けられる価値を

0:10:19.549,0:10:22.554
これまで同様に生み出せるのでしょうか[br]それは不可能です

0:10:22.554,0:10:24.601
本質的に 何が起きているかというと―

0:10:24.601,0:10:27.245
遺伝子工学は一つの例に過ぎず―

0:10:27.245,0:10:29.559
技術はビジネスの規模を

0:10:29.559,0:10:32.128
これまで その枠の中で考えることに慣れていた

0:10:32.128,0:10:35.055
組織の境界を越えて自然に拡大させています

0:10:35.055,0:10:37.213
組織の境界を越えて自然に拡大させています

0:10:37.213,0:10:39.376
特に ビジネス戦略は

0:10:39.376,0:10:41.630
組織の境界を越えてはならないという[br]規律を保つことだったのです

0:10:41.630,0:10:45.085
組織の境界を越えてはならないという[br]規律を保つことだったのです

0:10:45.085,0:10:48.571
基本的な流れは

0:10:48.571,0:10:52.233
垂直的に統合された組織で[br]売り手による寡占的な市場での競争に―

0:10:52.233,0:10:55.024
慣れていた[br]同じような形態をもつ競合者達が

0:10:55.024,0:10:57.483
何らかの方法で

0:10:57.483,0:11:00.844
縦の繋がりから 横に広がった[br]ビジネスへと進化を遂げることなのです

0:11:00.844,0:11:02.559
なぜそんなことが起こるのでしょうか？

0:11:02.559,0:11:05.064
それは取引コストが下がり

0:11:05.064,0:11:06.992
規模が分極化しているからです

0:11:06.992,0:11:08.734
取引コストの低下は

0:11:08.734,0:11:11.372
価値連鎖の繋がりを弱くし

0:11:11.372,0:11:13.040
分割を促すのです

0:11:13.040,0:11:14.975
規模の経済が 分極して

0:11:14.975,0:11:18.101
小さくなる側では[br]－小さいことは美しいことですが－

0:11:18.101,0:11:20.769
規模を変えられる共同体によって

0:11:20.769,0:11:23.886
これまでの企業による生産を[br]とって代わることが可能になります

0:11:23.886,0:11:25.890
逆に ビッグデータで象徴される

0:11:25.890,0:11:27.923
大規模化の方向では

0:11:27.923,0:11:29.332
ビジネスの構造を

0:11:29.332,0:11:32.055
新たな規模を達成するような[br]新しいタイプの組織が

0:11:32.055,0:11:34.033
生み出されます

0:11:34.033,0:11:36.791
しかし 何れにしろ[br]典型的な垂直型の構造は

0:11:36.791,0:11:39.795
水平的なものへと 変容していくのです

0:11:39.795,0:11:42.210
この理屈はビッグ・データに限りません

0:11:42.210,0:11:45.536
例えば通信業界を見てみると

0:11:45.536,0:11:47.911
光通信技術で似たような状況が[br]見出されるでしょう

0:11:47.911,0:11:50.047
製薬業界では

0:11:50.047,0:11:51.940
この場合 大学での研究を含みますが

0:11:51.940,0:11:53.614
いわゆる“ビッグ・サイエンス”について[br]全く同じことが言えます

0:11:53.614,0:11:55.353
いわゆる“ビッグ・サイエンス”について[br]全く同じことが言えます

0:11:55.353,0:11:56.888
逆向きのことになりますが

0:11:56.888,0:11:59.085
エネルギー部門を見てみると

0:11:59.085,0:12:01.945
各家庭が

0:12:01.945,0:12:05.529
環境に優しいエネルギーの[br]効率的な生産者となり

0:12:05.529,0:12:08.157
しかもエネルギーの効率的な[br]節約者として語られています

0:12:08.157,0:12:10.037
これは実際逆向きの現象です

0:12:10.037,0:12:11.907
これは細分化であり

0:12:11.907,0:12:14.261
とても小さいものが

0:12:14.261,0:12:16.855
典型的な大規模な企業を[br]とって代わるのです

0:12:16.855,0:12:18.646
何れにしろ

0:12:18.646,0:12:22.017
産業構造の水平化が起こり[br]これは―

0:12:22.017,0:12:24.607
ビジネス戦略を考える上での[br]根本的な変化を意味するのです

0:12:24.607,0:12:26.669
ビジネス戦略を考える上での[br]根本的な変化を意味するのです

0:12:26.669,0:12:28.701
つまり 我々が考えるべきことは[br]例えば―

0:12:28.701,0:12:31.248
ビジネス戦略を このような

0:12:31.248,0:12:33.893
水平構造を作りだすものと考え

0:12:33.893,0:12:35.533
ビジネスの定義や

0:12:35.533,0:12:37.095
さらには産業の定義さえも

0:12:37.095,0:12:39.897
ビジネス戦略の結果として[br]再定義するのです

0:12:39.897,0:12:43.078
戦略の前提ではないのです

0:12:43.078,0:12:46.234
そして我々が解決すべき課題は[br]例えば―

0:12:46.234,0:12:48.591
協力と競争をどの様にして

0:12:48.591,0:12:50.457
同時に釣り合わせるか ということです

0:12:50.457,0:12:51.543
ゲノムの場合なら

0:12:51.543,0:12:53.321
巨大なデータと

0:12:53.321,0:12:55.456
個々への適用という問題を[br]同時に扱う必要があります

0:12:55.456,0:12:57.399
産業の構造は

0:12:57.399,0:13:00.341
極めて異なった動機を受け入れられなければなりません

0:13:00.341,0:13:02.974
例えば 共同体における[br]素人的な関心から

0:13:02.974,0:13:04.947
政府によって建設されるインフラといった

0:13:04.947,0:13:07.283
社会的な動機もあるかもしれませんし

0:13:07.283,0:13:09.908
普段 競合関係にある会社同士が

0:13:09.908,0:13:12.400
組織を共同で設立するかもしれません

0:13:12.400,0:13:15.394
なぜなら それが規模を大きくする[br]唯一の方法だからです

0:13:15.394,0:13:17.371
この様な変革は

0:13:17.371,0:13:21.096
伝統的なビジネス戦略の前提を[br]時代遅れのものにし

0:13:21.096,0:13:23.665
全く新しい世界へと導きます

0:13:23.665,0:13:25.086
ここで必要とされることは

0:13:25.086,0:13:27.853
公共部門であれ 民間部門であれ

0:13:27.853,0:13:30.153
ビジネスの構造についての

0:13:30.153,0:13:31.973
根本的に異なった考え方です

0:13:31.973,0:13:35.427
ビジネス戦略は[br]ついに再び興味深いものになるでしょう

0:13:35.427,0:13:38.240
どうも有難うございました

0:13:38.240,0:13:40.755
(拍手)