1 00:00:01,000 --> 00:00:03,000 しばらくの間 エネルギーについて話をしたいと思います 2 00:00:03,000 --> 00:00:06,000 様々なことをお話しすることになりますが 3 00:00:06,000 --> 00:00:08,000 あまり話が逸れないようにしたいと思います 4 00:00:08,000 --> 00:00:10,000 最初に石油について話すのが良いでしょう 5 00:00:10,000 --> 00:00:12,000 エネルギー一般についてお話ししますが 6 00:00:12,000 --> 00:00:14,000 石油の話から始めたいと思います 7 00:00:14,000 --> 00:00:17,000 まず何と言っても 石油は驚嘆すべき物質です 8 00:00:17,000 --> 00:00:19,000 炭素原子を8個ほどと 9 00:00:19,000 --> 00:00:21,000 水素原子を20個ほどを 10 00:00:21,000 --> 00:00:23,000 正確に組み合わせることができれば 11 00:00:23,000 --> 00:00:25,000 この素晴らしい液体となります 12 00:00:25,000 --> 00:00:27,000 エネルギー密度が高く 精製も簡単で 13 00:00:27,000 --> 00:00:30,000 数多くの有用な製品や燃料となります 14 00:00:30,000 --> 00:00:32,000 優れた物質なのです 15 00:00:32,000 --> 00:00:34,000 今のところ 16 00:00:34,000 --> 00:00:36,000 世界には十分な石油があります 17 00:00:36,000 --> 00:00:38,000 どこに石油があるかを示した 18 00:00:38,000 --> 00:00:40,000 ポケット・サイズの地図があります 19 00:00:40,000 --> 00:00:42,000 大きな地図をご覧下さい 20 00:00:42,000 --> 00:00:44,000 世界中の石油のありかを示しています 21 00:00:44,000 --> 00:00:46,000 地質学者は石油の埋蔵場所をかなり正確に把握しています 22 00:00:46,000 --> 00:00:49,000 まだ世界で 23 00:00:49,000 --> 00:00:51,000 約100兆ガロンの石油が 24 00:00:51,000 --> 00:00:54,000 採掘あるいは精製可能な状態で存在しているのです 25 00:00:54,000 --> 00:00:56,000 ここまでが石油に関するお話しです 26 00:00:56,000 --> 00:00:58,000 「石油の時代は終わらない 27 00:00:58,000 --> 00:01:00,000 十分な量が存在しているのだから」 28 00:01:00,000 --> 00:01:02,000 と言って話を終わることもできます 29 00:01:02,000 --> 00:01:04,000 しかし話はここでは終わらないのです 30 00:01:04,000 --> 00:01:07,000 話が逸れますが 石油は遠いところにあるんだなと思われる方 31 00:01:07,000 --> 00:01:10,000 皆さんが座っている場所の千メートル下は 32 00:01:10,000 --> 00:01:13,000 世界でも有数の油田なのです 33 00:01:13,000 --> 00:01:16,000 後で聞いていただければ 詳しいお話しができますよ 34 00:01:16,000 --> 00:01:19,000 石油についてお話することは他にもたくさんあります 35 00:01:19,000 --> 00:01:22,000 では石油とは?エネルギー・システムでの位置はどこにあるのでしょうか? 36 00:01:24,000 --> 00:01:27,000 過去150年間の石油についての簡単な歴史です 37 00:01:27,000 --> 00:01:29,000 過去150年間にわたって石油は 38 00:01:29,000 --> 00:01:32,000 エネルギー・システムを支配してきました 39 00:01:32,000 --> 00:01:35,000 もうひとつ ちょっとした秘密をお話ししましょう 40 00:01:36,000 --> 00:01:38,000 過去25年間 41 00:01:38,000 --> 00:01:41,000 世界のエネルギー・システムにおいて 42 00:01:41,000 --> 00:01:43,000 石油の役割は低下を続けてきました 43 00:01:43,000 --> 00:01:46,000 そのピークは1985年で 44 00:01:46,000 --> 00:01:48,000 世界のエネルギー供給の半分を担っていました 45 00:01:48,000 --> 00:01:50,000 現在は35%に過ぎません 46 00:01:50,000 --> 00:01:52,000 低下を続けてきた石油の割合ですが 47 00:01:52,000 --> 00:01:54,000 今後もこの傾向は続くと思います 48 00:01:54,000 --> 00:01:56,000 米国内におけるガソリン消費量のピークは2007年です 49 00:01:56,000 --> 00:01:58,000 それから消費量は減少しています 50 00:01:58,000 --> 00:02:01,000 毎年 石油の重要性は 51 00:02:01,000 --> 00:02:03,000 下がり続けています 52 00:02:03,000 --> 00:02:05,000 また 25年前に 53 00:02:05,000 --> 00:02:07,000 石油がピークを迎えたように 54 00:02:07,000 --> 00:02:09,000 1920年代には 55 00:02:09,000 --> 00:02:11,000 石炭のピークがありました 56 00:02:11,000 --> 00:02:13,000 その百年前には 57 00:02:13,000 --> 00:02:15,000 木材のピークもあったのです 58 00:02:15,000 --> 00:02:18,000 これはエネルギー・システムの進化に関する重要なグラフです 59 00:02:18,000 --> 00:02:21,000 過去数十年間 石油の穴を埋めてきたのは何だったのでしょうか? 60 00:02:21,000 --> 00:02:23,000 それは天然ガスです 61 00:02:23,000 --> 00:02:26,000 核エネルギーも使用されるようになりました 62 00:02:26,000 --> 00:02:28,000 それでは未来はどうなるでしょうか 63 00:02:28,000 --> 00:02:30,000 数十年先には ガスがピークを迎えるのでは 64 00:02:30,000 --> 00:02:33,000 ないかと思います 65 00:02:33,000 --> 00:02:35,000 そしてその後 66 00:02:35,000 --> 00:02:37,000 再生可能エネルギーがピークに達します 67 00:02:37,000 --> 00:02:39,000 この図の重要な点について 68 00:02:39,000 --> 00:02:41,000 お話ししましょう 69 00:02:41,000 --> 00:02:43,000 私は決して エネルギーの総使用量が 70 00:02:43,000 --> 00:02:45,000 増加しないとしているのはありません 71 00:02:45,000 --> 00:02:47,000 それは別の話です 72 00:02:47,000 --> 00:02:49,000 別の機会に 詳しく検討することができると思います 73 00:02:49,000 --> 00:02:51,000 しかし ここには重要なメッセージがあります 74 00:02:51,000 --> 00:02:53,000 この200年間にわたって 75 00:02:53,000 --> 00:02:56,000 過去200年の間 我々は組織的にエネルギー・システムから 76 00:02:56,000 --> 00:02:58,000 炭酸ガスを取り除いてきました 77 00:02:58,000 --> 00:03:00,000 世界のエネルギー・システムは 78 00:03:00,000 --> 00:03:02,000 1年前に比べても 79 00:03:02,000 --> 00:03:04,000 10年前に比べても 1世紀前に比べても 80 00:03:04,000 --> 00:03:07,000 炭酸ガスの排出量を減らしてきています 81 00:03:07,000 --> 00:03:09,000 現在 我々が開発している再生可能エネルギーが 82 00:03:09,000 --> 00:03:11,000 今世紀半ばには主要エネルギーの 83 00:03:11,000 --> 00:03:13,000 30%を占めるようになるため 84 00:03:13,000 --> 00:03:15,000 炭酸ガス排出量の減少はさらに続きます 85 00:03:15,000 --> 00:03:17,000 このお話しはここまでにしておきましょう 86 00:03:17,000 --> 00:03:19,000 もちろん 核以外の再生可能エネルギーですべて置き換えることもできます 87 00:03:19,000 --> 00:03:21,000 しかし 実際には様々な点を考慮しなければならないのです 88 00:03:21,000 --> 00:03:23,000 次のお話しに移りたいと思いますが 89 00:03:23,000 --> 00:03:26,000 ここでは ずっと先 例えば2100年以降を考えてみましょう 90 00:03:26,000 --> 00:03:28,000 真に維持可能な 炭酸ガスを排出しない 91 00:03:28,000 --> 00:03:30,000 エネルギーはどうなっているでしょうか? 92 00:03:30,000 --> 00:03:32,000 ちょっと遠出をしてみましょう 93 00:03:32,000 --> 00:03:34,000 まず テキサスの中央部へ 94 00:03:34,000 --> 00:03:36,000 これは石灰岩ですが 95 00:03:36,000 --> 00:03:38,000 テキサスのマーブル・フォールス郊外で採ったものです 96 00:03:38,000 --> 00:03:40,000 約4億年前のものです 97 00:03:40,000 --> 00:03:43,000 ありふれた石灰岩で 特に変わった点はありません 98 00:03:43,000 --> 00:03:45,000 チョークがあります 99 00:03:45,000 --> 00:03:48,000 M.I.Tで拾ったものですが 少しばかり新しいものです 100 00:03:48,000 --> 00:03:50,000 石灰岩とは異なるということはお分かりいただけるでしょう 101 00:03:50,000 --> 00:03:52,000 チョークではビルを建築することはできません 102 00:03:52,000 --> 00:03:55,000 石灰岩で黒板に文字を書いて授業をすることはできません 103 00:03:55,000 --> 00:03:57,000 これが違いです しかし同じなのです 104 00:03:57,000 --> 00:03:59,000 この二つは同じ物質なのです 105 00:03:59,000 --> 00:04:02,000 どちらも炭酸カルシウムなのです 106 00:04:02,000 --> 00:04:05,000 違いは分子の結合の仕方にあります 107 00:04:05,000 --> 00:04:08,000 この種の話が好きな方には 108 00:04:08,000 --> 00:04:11,000 ここからが興味深い話になるはずです 109 00:04:11,000 --> 00:04:14,000 これはカリフォルニアの海岸で拾った 110 00:04:14,000 --> 00:04:16,000 アワビの貝殻です 111 00:04:16,000 --> 00:04:18,000 毎年 数百万のアワビが 112 00:04:18,000 --> 00:04:20,000 このような貝殻を作ります 113 00:04:20,000 --> 00:04:22,000 もう既にお気づきかもしれませんが 114 00:04:22,000 --> 00:04:24,000 炭酸カルシウムでできています 115 00:04:24,000 --> 00:04:26,000 これと同じ物質であり 116 00:04:26,000 --> 00:04:28,000 こちらとも同じ物質です 117 00:04:28,000 --> 00:04:30,000 しかし同じではありません 違いがあるのです 118 00:04:30,000 --> 00:04:32,000 何千倍も 119 00:04:32,000 --> 00:04:35,000 おそらく三千倍も丈夫なのです 120 00:04:35,000 --> 00:04:38,000 なぜでしょうか? この小さなアワビは 121 00:04:38,000 --> 00:04:40,000 炭酸カルシウムの結晶を 122 00:04:40,000 --> 00:04:42,000 何層にも積み重ねることができるからです 123 00:04:42,000 --> 00:04:44,000 美しく輝く 124 00:04:44,000 --> 00:04:46,000 真珠を生み出すことができるのです 125 00:04:46,000 --> 00:04:48,000 それは アワビが生み出すことができる 126 00:04:48,000 --> 00:04:50,000 非常に特殊な素材なのです 127 00:04:50,000 --> 00:04:52,000 何百万というアワビが 128 00:04:52,000 --> 00:04:54,000 毎年 毎日 この素材を作り続けています 129 00:04:54,000 --> 00:04:56,000 信じられないほど美しいものです 130 00:04:56,000 --> 00:04:58,000 その違いはというと 131 00:04:58,000 --> 00:05:00,000 分子の結びつき方にあります 132 00:05:00,000 --> 00:05:03,000 これがエネルギーの話とどう繋がるのでしょうか? 133 00:05:03,000 --> 00:05:05,000 石炭があります 134 00:05:05,000 --> 00:05:07,000 この石炭が 135 00:05:07,000 --> 00:05:09,000 このチョークと同様に 136 00:05:09,000 --> 00:05:11,000 興味深いものであることを話しましょう 137 00:05:12,000 --> 00:05:14,000 燃料にせよ 138 00:05:14,000 --> 00:05:16,000 エネルギー担体にせよ 139 00:05:16,000 --> 00:05:18,000 バッテリーや燃料電池の 140 00:05:18,000 --> 00:05:20,000 新素材にせよ 141 00:05:20,000 --> 00:05:23,000 自然はこういった完全な素材を作り出してはいません 142 00:05:23,000 --> 00:05:25,000 なぜなら その必要がなかったからです 143 00:05:25,000 --> 00:05:28,000 アワビと違って 自然は 144 00:05:28,000 --> 00:05:31,000 このような素材を作ることに 種の存続が 145 00:05:31,000 --> 00:05:33,000 かかっているという訳ではなかったからです 146 00:05:33,000 --> 00:05:36,000 おそらく今まで これが問題になるまでは そうだったのです 147 00:05:37,000 --> 00:05:40,000 エネルギーの未来を考えると 148 00:05:40,000 --> 00:05:42,000 想像してください 149 00:05:42,000 --> 00:05:44,000 未来はどのようになるでしょうか 150 00:05:44,000 --> 00:05:46,000 これの代わりに 151 00:05:46,000 --> 00:05:49,000 分子の並び方を修正するだけで 152 00:05:50,000 --> 00:05:53,000 エネルギー的に等価な物質を作ることができます 153 00:05:54,000 --> 00:05:56,000 これがお話ししたかった内容です 154 00:05:56,000 --> 00:05:58,000 石油が枯渇することはありません 155 00:05:58,000 --> 00:06:00,000 大量に存在しているからではありません 156 00:06:00,000 --> 00:06:03,000 風車を大量に建設するからでもありません 157 00:06:03,000 --> 00:06:06,000 数千年前に 158 00:06:06,000 --> 00:06:08,000 人々は 新しいことを思いつき 159 00:06:08,000 --> 00:06:10,000 アイデア イノベーション テクノロジーを 160 00:06:10,000 --> 00:06:12,000 得ることが出来たからです 161 00:06:12,000 --> 00:06:15,000 そして石器時代に終止符が打たれました 162 00:06:15,000 --> 00:06:17,000 決して石が枯渇したからではありません 163 00:06:17,000 --> 00:06:19,000 (笑) 164 00:06:19,000 --> 00:06:22,000 アイデア イノベーション テクノロジーによって 165 00:06:22,000 --> 00:06:25,000 石油が枯渇する前に 石油の時代に終止符が打たれます 166 00:06:25,000 --> 00:06:27,000 ありがとうございました 167 00:06:27,000 --> 00:06:30,000 (拍手)