WEBVTT 00:00:00.724 --> 00:00:02.972 これはフンです 00:00:02.972 --> 00:00:05.455 今日はフンに懸ける私の思いを 00:00:05.455 --> 00:00:08.598 共感して頂きたいと思います 00:00:08.598 --> 00:00:11.411 できなくても構いません 00:00:11.411 --> 00:00:14.504 しかしこの小さな生物と フンの関係には 00:00:14.504 --> 00:00:17.705 興味を持てるのでは ないでしょうか NOTE Paragraph 00:00:17.705 --> 00:00:20.057 この生物の脳は 00:00:20.057 --> 00:00:24.017 米粒ほどの大きさです しかし人間なら 00:00:24.017 --> 00:00:27.767 試みることもないことを 彼らはするのです 00:00:27.767 --> 00:00:31.889 つまり彼らの食糧源である 00:00:31.889 --> 00:00:34.023 フンの扱い方です NOTE Paragraph 00:00:34.023 --> 00:00:36.602 さて何から話しましょう? 00:00:36.602 --> 00:00:39.627 やはりここはお尻からが いいでしょう 00:00:39.627 --> 00:00:42.412 これは他の動物が出す 排泄物ですが 00:00:42.412 --> 00:00:45.985 まだ栄養が残っています 00:00:45.985 --> 00:00:47.942 フンコロガシが生きていくのに 00:00:47.942 --> 00:00:50.905 十分な量の栄養素です 00:00:50.905 --> 00:00:53.840 彼らはフンを餌とし その幼虫も 00:00:53.840 --> 00:00:55.995 またフンを食べます 00:00:55.995 --> 00:00:59.225 フンだけを餌にして 成長するのです 00:00:59.225 --> 00:01:03.020 南アフリカには800種の フンコロガシがいます 00:01:03.020 --> 00:01:06.290 アフリカ全体では2000種 00:01:06.290 --> 00:01:10.888 世界では6000種です 00:01:10.888 --> 00:01:16.026 彼らにとってフンは 相当のごちそうです NOTE Paragraph 00:01:16.026 --> 00:01:18.698 指でフンをほじくれなければ 00:01:18.698 --> 00:01:21.467 フンコロガシ種の9割は 00:01:21.467 --> 00:01:23.758 お目にかかれません 00:01:23.758 --> 00:01:26.164 彼らはフンの奥に 00:01:26.164 --> 00:01:28.776 入り込み 地上のフンと 00:01:28.776 --> 00:01:30.831 地中の巣との間を 00:01:30.831 --> 00:01:33.771 何度も往復するからです NOTE Paragraph 00:01:33.771 --> 00:01:39.016 では 彼らはフンを どう扱うのでしょう? 00:01:39.016 --> 00:01:42.996 大半は何かしらの形にまとめます 00:01:42.996 --> 00:01:46.676 1割方は フンをボールのようにして 00:01:46.676 --> 00:01:50.838 元のフンから離れた 場所へと転がし 00:01:50.838 --> 00:01:54.274 地中に埋めます 00:01:54.274 --> 00:01:57.579 彼らは独特の行動を取りますが 00:01:57.579 --> 00:02:02.554 その行動によってフンが転がせるのです 00:02:02.554 --> 00:02:06.147 ここに自慢げなフンの持ち主がいます 00:02:06.147 --> 00:02:07.382 オスです 00:02:07.382 --> 00:02:09.623 足の後ろに毛が生えていますからね 00:02:09.623 --> 00:02:14.692 彼はこの美しいフンの玉に ご満悦のようです 00:02:14.692 --> 00:02:16.604 ところが悲劇です 00:02:16.604 --> 00:02:21.853 卑劣な強盗の 犠牲者となりました 00:02:21.853 --> 00:02:24.551 この行為はフンが貴重な 00:02:24.551 --> 00:02:27.162 食糧源であることの表れです 00:02:27.162 --> 00:02:31.287 貴重な食糧源は特別な方法で 00:02:31.287 --> 00:02:34.606 守る必要があります だからフンを遠くに 00:02:34.606 --> 00:02:37.908 転がすのではないでしょうか? 00:02:37.908 --> 00:02:40.318 フン獲得の競争が 00:02:40.318 --> 00:02:42.193 激しいからです 00:02:42.193 --> 00:02:45.390 このフンの塊--もはや過去形ですね 00:02:45.390 --> 00:02:47.836 この写真を撮影する15分前は塊でした 00:02:47.836 --> 00:02:50.885 この激しい競争こそフンコロガシが 00:02:50.885 --> 00:02:54.765 フンを転がすに至った 00:02:54.765 --> 00:02:57.454 理由ではないかと思うのです NOTE Paragraph 00:02:57.454 --> 00:02:59.487 ではこの生物がアフリカの 00:02:59.487 --> 00:03:03.090 草原を横切る姿を想像して下さい 00:03:03.090 --> 00:03:06.438 頭を下に 後ろ向きに歩いています 00:03:06.438 --> 00:03:11.809 食糧の運び方として これ以上ないほど突飛です 00:03:11.809 --> 00:03:14.675 しかも熱との戦いもあります 00:03:14.675 --> 00:03:16.663 アフリカは暑いです NOTE Paragraph 00:03:16.663 --> 00:03:18.370 ではここで私と同僚が行った 00:03:18.370 --> 00:03:21.545 実験についてお話します 00:03:21.545 --> 00:03:26.386 フンコロガシは運搬と熱に 00:03:26.386 --> 00:03:28.438 どう対処しているのでしょう NOTE Paragraph 00:03:28.438 --> 00:03:30.975 このフンコロガシを見てください 00:03:30.975 --> 00:03:35.119 二つの点に注目して下さい 一つは 00:03:35.119 --> 00:03:37.681 置かれた障害物に対する 00:03:37.681 --> 00:03:40.569 対処法です ちょっと踊りましたね 00:03:40.569 --> 00:03:43.503 そして最初に向かっていた方向と 00:03:43.503 --> 00:03:47.193 全く同じ方向に歩いていきます 00:03:47.193 --> 00:03:50.959 一瞬踊ってから 目的の方向へと進みます 00:03:50.959 --> 00:03:54.336 彼らは行き先が 分かっているのです 00:03:54.336 --> 00:03:55.675 行きたいところがわかっています 00:03:55.675 --> 00:03:57.560 これは非常に重要なことです 00:03:57.560 --> 00:03:59.975 例えば自分が大きなフンの塊の中にいて 00:03:59.975 --> 00:04:04.498 ご馳走を独り占めしたい 遠くに運びたいわけです 00:04:04.498 --> 00:04:07.391 直進するのが 一番手っ取り早いですよね 00:04:07.391 --> 00:04:11.770 そこで私達はこの子に 更に課題を与えました 00:04:11.770 --> 00:04:15.930 彼の足元を回転させたのです 00:04:15.930 --> 00:04:19.609 彼の反応に注目して下さい 00:04:25.287 --> 00:04:28.083 彼の世界は足元で今回転しました 00:04:28.083 --> 00:04:30.930 90度回転したのです 00:04:30.930 --> 00:04:33.402 しかし全く動じません 行きたい方向に 00:04:33.402 --> 00:04:36.370 再び向かっていきます NOTE Paragraph 00:04:36.370 --> 00:04:38.562 ではどうやって彼らは 00:04:38.562 --> 00:04:40.522 行き先を認識しているのか? 00:04:40.522 --> 00:04:43.971 何をしているのか?  私達は気がつきました 00:04:43.971 --> 00:04:47.098 彼らは時々ボールの上に登るのです 00:04:47.098 --> 00:04:49.730 そして辺りを見回します 00:04:49.730 --> 00:04:51.450 ボールの頂上に登って 00:04:51.450 --> 00:04:53.126 彼らは一体何を見ているのでしょう? 00:04:53.126 --> 00:04:56.681 動物が利用できる手掛かりは 00:04:56.681 --> 00:05:00.859 何でしょう? 一番分かりやすいのは 00:05:00.859 --> 00:05:05.078 空でしょう では空の何を 00:05:05.078 --> 00:05:07.342 見ているのでしょう? 00:05:07.342 --> 00:05:11.451 空と言えば太陽です 00:05:11.451 --> 00:05:14.405 そこで典型的な実験をしました 00:05:14.405 --> 00:05:17.944 太陽を動かしたのです 00:05:17.944 --> 00:05:20.685 板を使って太陽を遮ります 00:05:20.685 --> 00:05:22.655 そして鏡を使って全く違う 00:05:22.655 --> 00:05:24.521 位置に太陽を動かします 00:05:24.521 --> 00:05:26.433 フンコロガシの反応を見てください 00:05:26.433 --> 00:05:29.264 少し踊って 00:05:29.264 --> 00:05:31.543 元の方向と全く同じ方向へ 00:05:31.543 --> 00:05:33.952 歩いていきます 00:05:33.952 --> 00:05:37.679 彼らが太陽を見ていることが 明らかになりました 00:05:37.679 --> 00:05:40.941 彼らにとって太陽は 重要な手掛かりなのです NOTE Paragraph 00:05:40.941 --> 00:05:43.566 でもいつも太陽があるとは限りません 00:05:43.566 --> 00:05:47.982 日没後は水平線の下に 隠れてしまいます 00:05:47.982 --> 00:05:50.566 空には私達には見えない 00:05:50.566 --> 00:05:54.225 偏光の大きなパターンがあります 00:05:54.225 --> 00:05:57.976 人間の目では感知できません 00:05:57.976 --> 00:06:01.679 しかし太陽は 水平線上にあります 00:06:01.679 --> 00:06:04.646 太陽が水平線上にある時は-- 00:06:04.646 --> 00:06:06.190 例えばこちら側にあるとすると 00:06:06.190 --> 00:06:10.775 南北に大きな帯状の 00:06:10.775 --> 00:06:13.248 偏光パタ―ンができます 人間には見えません 00:06:13.248 --> 00:06:16.046 でもフンコロガシには 見えるのです 00:06:16.046 --> 00:06:18.905 ではそれを証明しましょう 00:06:18.905 --> 00:06:21.847 大きな偏光フィルターを用意します 00:06:21.847 --> 00:06:26.271 その下にフンコロガシを入れます フィルターは 00:06:26.271 --> 00:06:28.921 空の偏光パターンの向きと 直角に置きます 00:06:28.921 --> 00:06:33.091 フンコロガシは フィルターの下から 00:06:33.091 --> 00:06:35.594 出てきて 右に曲がります 00:06:35.594 --> 00:06:37.788 元々の向きのパターンの 00:06:37.788 --> 00:06:40.607 空の下に戻ったので 00:06:40.607 --> 00:06:42.952 元々の方角へと 00:06:42.952 --> 00:06:46.874 体の向きを変えたのです 00:06:46.874 --> 00:06:52.691 彼らには光の偏光が わかるのです NOTE Paragraph 00:06:52.691 --> 00:06:55.448 ここまでのおさらいをすると 00:06:55.448 --> 00:06:58.224 フンコロガシはボールを転がします 00:06:58.224 --> 00:07:01.239 しかも直線で転がします 00:07:01.239 --> 00:07:04.817 何故曲がらずに 移動できるのか? 00:07:04.817 --> 00:07:07.512 それは私達の目には見えない 00:07:07.512 --> 00:07:09.756 天空の手掛かりを 使っているからです NOTE Paragraph 00:07:09.756 --> 00:07:11.440 ではその手掛かりは どう感知するのか? 00:07:11.440 --> 00:07:14.484 それがまさに次の疑問でした 00:07:14.484 --> 00:07:17.672 そしてこの踊りこそが 重要なのではないかと 00:07:17.672 --> 00:07:20.591 考えたのです 何故なら 00:07:20.591 --> 00:07:22.147 このように時々休憩しています 00:07:22.147 --> 00:07:26.626 そして再び行きたい方角へと 向かいます 00:07:26.626 --> 00:07:30.863 この踊りが持つ意味は何なのか? 00:07:30.863 --> 00:07:35.205 何が起こると彼らは向きを 変えるのでしょう? 00:07:35.205 --> 00:07:38.701 こちらの実験では まず無理矢理彼を 00:07:38.701 --> 00:07:41.363 この溝に誘導します 良く見ると特に 00:07:41.363 --> 00:07:44.101 無理強いはされていませんね 00:07:44.101 --> 00:07:49.399 そして徐々に 180度ずらしていき 00:07:49.399 --> 00:07:53.135 最終的に元の方向とは 00:07:53.135 --> 00:07:55.700 逆方向へと向かわせます 00:07:55.700 --> 00:07:58.501 彼の反応を見てみましょう 00:07:58.501 --> 00:08:01.111 90度の場所を通り過ぎ 00:08:01.111 --> 00:08:03.215 歩き続け 最終的には 00:08:03.215 --> 00:08:06.262 元の方向とは 180度反対方向を向きます 00:08:06.262 --> 00:08:08.560 彼の反応を見てみると 00:08:08.560 --> 00:08:11.753 少し踊って 回転して 00:08:11.753 --> 00:08:15.487 再び溝の中を進みます 00:08:15.487 --> 00:08:17.766 彼は何が問題なのか理解し 00:08:17.766 --> 00:08:19.361 かつ対処法も心得ているのです 00:08:19.361 --> 00:08:22.062 そしてこの踊りを転機に 00:08:22.062 --> 00:08:24.871 彼らは正しい方向に 向き直るのです NOTE Paragraph 00:08:24.871 --> 00:08:29.663 以上が踊りについてです しかし灼熱のアフリカで 00:08:29.663 --> 00:08:33.319 何年もフンコロガシを 観察しているうちに 00:08:33.319 --> 00:08:35.670 踊りに関連するもう一つの 00:08:35.670 --> 00:08:38.159 ある行動に気がついたのです 00:08:38.159 --> 00:08:42.097 ボールに登ると彼らは時たま 00:08:42.097 --> 00:08:45.503 顔を拭くのです 00:08:45.503 --> 00:08:48.466 またやりましたね 00:08:48.466 --> 00:08:51.447 これは一体どういうことなのでしょう? 00:08:51.447 --> 00:08:54.351 明らかに地面は熱いです 地面が熱いと 00:08:54.351 --> 00:08:57.086 踊る回数が増えます そして踊ると 00:08:57.086 --> 00:08:59.056 顔の下の方を拭くのです 00:08:59.056 --> 00:09:01.755 これは温度調節をしているのではないか 00:09:01.755 --> 00:09:03.765 熱い砂を払い 顔に唾をかけて 00:09:03.765 --> 00:09:07.206 頭を冷やしているのではないかと 00:09:07.206 --> 00:09:09.622 私達は考えたのです NOTE Paragraph 00:09:09.622 --> 00:09:14.064 そこで二つの舞台を作りました 00:09:14.064 --> 00:09:16.163 一つは熱く 一つは涼しい状態です 00:09:16.163 --> 00:09:18.540 こちらは日陰に もう一つは日向に置きました 00:09:18.540 --> 00:09:22.007 そして熱探知カメラで 撮影しました 00:09:22.007 --> 00:09:26.423 今映っているのは 熱を映像化したものです 00:09:26.423 --> 00:09:30.344 そしてフンの中から低温の 00:09:30.344 --> 00:09:33.953 フンコロガシが出てきました 00:09:33.953 --> 00:09:37.232 フンコロガシは低温 つまりクール 00:09:37.232 --> 00:09:42.212 かっこいい奴なのです(笑) NOTE Paragraph 00:09:42.212 --> 00:09:45.430 私達の関心はフンコロガシと 00:09:45.430 --> 00:09:48.070 周囲との温度差です 00:09:48.070 --> 00:09:52.014 周囲はおよそ50℃です 00:09:52.014 --> 00:09:54.622 フンコロガシとボールはおよそ 00:09:54.622 --> 00:09:56.693 30℃から35℃くらいでしょう 00:09:56.693 --> 00:09:59.359 例えるなら 大きな アイスクリームの塊を 00:09:59.359 --> 00:10:02.486 熱い草原の上を転がしていく ようなものです 00:10:02.486 --> 00:10:05.189 まだ登っていません 踊っていません 00:10:05.189 --> 00:10:08.030 体温が比較的低いからです 00:10:08.030 --> 00:10:11.103 私達の体温とほぼ同じです 00:10:11.103 --> 00:10:16.067 そして小さな脳みそも かなり低温です 00:10:16.067 --> 00:10:20.374 ところが周りが熱くなると 00:10:20.374 --> 00:10:22.524 地面の温度を見てください 00:10:22.524 --> 00:10:25.974 55℃から60℃です 00:10:25.974 --> 00:10:29.416 頻繁に踊り始めましたね 00:10:29.416 --> 00:10:33.958 前足を見てください 相当熱そうです 00:10:33.958 --> 00:10:36.881 ボールは熱の影を残しています 00:10:36.881 --> 00:10:38.815 そしてフンコロガシは ボールに登ります 00:10:38.815 --> 00:10:43.454 顔を拭き 常に体温を下げ 熱い砂を 00:10:43.454 --> 00:10:49.124 避けようとしていると考えられます NOTE Paragraph 00:10:49.124 --> 00:10:53.056 そこで靴を履かせてみました 00:10:53.056 --> 00:10:56.018 地面の温度を足で知覚するのか 00:10:56.018 --> 00:10:59.776 確認するためです 00:10:59.776 --> 00:11:03.753 ここを見て下さい 靴を履くとボールに登る 00:11:03.753 --> 00:11:07.944 回数が格段に少なくなります 00:11:07.944 --> 00:11:10.271 クールブーツと命名しました 00:11:10.271 --> 00:11:13.193 靴は歯科治療用の 材料で作りました 00:11:13.193 --> 00:11:16.080 またフンのボールも冷やしました 00:11:16.080 --> 00:11:19.729 冷蔵庫で冷やしたフンを与えたのです 00:11:19.729 --> 00:11:22.280 するとボールが熱い時と比べて 00:11:22.280 --> 00:11:23.816 登る回数がかなり減りました 00:11:23.816 --> 00:11:26.790 「高床歩き」です 人間も熱い砂浜を 00:11:26.790 --> 00:11:28.698 歩くときにします 00:11:28.698 --> 00:11:31.416 他人のタオルに飛び乗り 00:11:31.416 --> 00:11:32.639 「失礼 踏んでしまいました」 と言って 00:11:32.639 --> 00:11:35.203 別の人のタオルに 飛び移る 00:11:35.203 --> 00:11:37.408 足を火傷せずに済みます 00:11:37.408 --> 00:11:40.209 フンコロガシの行為も全く同じことです NOTE Paragraph 00:11:40.209 --> 00:11:43.424 もう一つお話をしたいと思います 00:11:43.424 --> 00:11:44.996 それはこの種についてです 00:11:44.996 --> 00:11:47.789 パキソーマ亜属と呼ばれ 00:11:47.789 --> 00:11:50.821 13種が存在します 彼らには 00:11:50.821 --> 00:11:56.959 興味深い習性があります 00:11:56.959 --> 00:12:01.619 これはフンコロガシです 見てください 00:12:01.619 --> 00:12:04.309 違いが分かりますか? 00:12:04.309 --> 00:12:07.541 この映像は通常の 速度ではありませんが 00:12:07.541 --> 00:12:09.335 ポイントは前向きに 歩いている点です 00:12:09.335 --> 00:12:12.896 しかも乾燥した 小さなフンを運んでいます 00:12:12.896 --> 00:12:15.350 同じ属の違う種ですが 00:12:15.350 --> 00:12:19.222 全く同じ採食行動を取っています NOTE Paragraph 00:12:19.222 --> 00:12:22.013 もう一つ興味深いことがあります 00:12:22.013 --> 00:12:26.316 何とフンコロガシは餌を探し 00:12:26.316 --> 00:12:30.822 巣に持ち帰るのです 00:12:30.822 --> 00:12:33.513 この子を見てください 00:12:33.513 --> 00:12:36.233 巣作りをしています 00:12:36.233 --> 00:12:37.942 最初の位置は気に入らなかったのか 00:12:37.942 --> 00:12:39.565 二つ目の位置に巣を構えます 00:12:39.565 --> 00:12:43.422 50分後 巣が完成し 00:12:43.422 --> 00:12:47.149 食糧調達へと出かけます 00:12:47.149 --> 00:12:49.503 乾燥したフンの粒達を目がけます 00:12:49.503 --> 00:12:52.669 注目してもらいたいのは 00:12:52.669 --> 00:12:57.278 往路と復路の違いです 00:12:57.278 --> 00:12:59.938 復路のほうが往路より 00:12:59.938 --> 00:13:02.769 遥かに真っすぐです 00:13:02.769 --> 00:13:05.584 往路では常に新しいフンが 00:13:05.584 --> 00:13:08.049 周囲にないか探しています 00:13:08.049 --> 00:13:09.600 復路は自分の巣を目指して 00:13:09.600 --> 00:13:12.818 真っすぐ帰るのです 00:13:12.818 --> 00:13:16.393 重要なのは 普通のフンコロガシと違って 00:13:16.393 --> 00:13:19.783 餌場と巣の間を何度も 00:13:19.783 --> 00:13:24.088 往復していることです 00:13:24.088 --> 00:13:25.030 そして南アフリカの犯罪が 00:13:25.030 --> 00:13:29.040 繰り返されます 00:13:29.040 --> 00:13:33.654 お隣が彼のフンを盗みました NOTE Paragraph 00:13:33.654 --> 00:13:36.791 ここで目にしているのは 00:13:36.791 --> 00:13:40.119 経路積分と呼ばれる行為です 00:13:40.119 --> 00:13:42.736 フンコロガシには本拠地があります 00:13:42.736 --> 00:13:47.039 食糧を求めて外に出るときは 00:13:47.039 --> 00:13:50.130 複雑な経路をたどり 食糧を見つけると 00:13:50.130 --> 00:13:54.438 真っすぐ帰宅します 場所が分かっているからです 00:13:54.438 --> 00:13:57.463 二つの可能性が浮上します それを確かめるために 00:13:57.463 --> 00:14:00.423 餌場にいるフンコロガシを 00:14:00.423 --> 00:14:03.120 別の場所に移します 00:14:03.120 --> 00:14:06.414 地上の何かを目印にしているなら 家に帰れます 00:14:06.414 --> 00:14:09.829 一方 経路積分を利用しているなら 00:14:09.829 --> 00:14:13.613 巣を見つけることはできません 00:14:13.613 --> 00:14:16.037 経路積分を 利用するということは 00:14:16.037 --> 00:14:19.908 この方向に向かって 歩数 距離を測っているということです 00:14:19.908 --> 00:14:23.605 基準となる巣がどの方角に あるべきか把握しているのです 00:14:23.605 --> 00:14:26.733 位置をずらすと場所を間違えます 00:14:26.733 --> 00:14:29.310 ではこのフンコロガシを使って 00:14:29.310 --> 00:14:32.626 実験してみましょう NOTE Paragraph 00:14:32.626 --> 00:14:37.012 ここに狡猾な実験者がいます 00:14:37.012 --> 00:14:39.413 フンコロガシを移動します 00:14:39.413 --> 00:14:44.262 どうなるか見てみましょう 00:14:44.262 --> 00:14:47.356 ここに巣があります あそこにあった餌場は 00:14:47.356 --> 00:14:50.303 新しい場所に移しました 00:14:50.303 --> 00:14:52.662 目印を使っているなら 00:14:52.662 --> 00:14:54.422 巣を見つけられるはずです 00:14:54.422 --> 00:14:57.145 巣の周りの目印が 認識できるからです 00:14:57.145 --> 00:15:00.188 経路積分を使っているなら 00:15:00.188 --> 00:15:03.912 こちらの間違った場所に 到着します NOTE Paragraph 00:15:03.912 --> 00:15:06.222 実験にかけられた フンコロガシが 00:15:06.222 --> 00:15:09.513 どうなるか見てみましょう 00:15:09.513 --> 00:15:11.509 ここにいますね 00:15:11.509 --> 00:15:17.769 家に帰ろうとしています どうなるか 00:15:17.769 --> 00:15:20.262 残念です 00:15:20.262 --> 00:15:22.496 全く分かっていません 00:15:22.496 --> 00:15:25.416 餌場から 正しい距離にあるはずの家を 00:15:25.416 --> 00:15:31.391 探していますが 完全に迷子になりました 00:15:31.391 --> 00:15:35.609 つまり彼らは経路積分を使って 00:15:35.609 --> 00:15:39.688 移動しているのです 無慈悲な実験者は 00:15:39.688 --> 00:15:42.809 左上に誘導して そのまま去ります NOTE Paragraph 00:15:42.809 --> 00:15:46.864 ここに描かれているのは太陽を 00:15:46.864 --> 00:15:48.943 コンパスにして移動する 00:15:48.943 --> 00:15:50.583 生物です 00:15:50.583 --> 00:15:53.108 彼らは何かしらの仕組みで 00:15:53.108 --> 00:15:55.071 この距離が測れるのです 00:15:55.071 --> 00:15:58.408 これらの種は 歩数を数えることが分かっています 00:15:58.408 --> 00:16:01.089 その仕組みを 距離計のように利用して 00:16:01.089 --> 00:16:06.226 巣に戻るのです しかしフンコロガシが何を 00:16:06.226 --> 00:16:09.049 利用しているのかは 解明されていません NOTE Paragraph 00:16:09.049 --> 00:16:11.328 米粒ほどの大きさの脳を持つ 00:16:11.328 --> 00:16:14.329 この生物から 学んだことは何でしょう? 00:16:14.329 --> 00:16:18.440 彼らが天空の手掛かりを使って 00:16:18.440 --> 00:16:20.585 ボールを真っすぐに 転がせることが分かりました 00:16:20.585 --> 00:16:23.713 踊るのは方角を決めるのと 00:16:23.713 --> 00:16:26.127 温度調節のためだ ということも学びました 00:16:26.127 --> 00:16:30.325 そして巣に戻るときは 経路積分を 00:16:30.325 --> 00:16:32.414 利用することも知りました 00:16:32.414 --> 00:16:36.584 不快な物体を扱う こんな小さな生物からでも 00:16:36.584 --> 00:16:39.353 人間なら絶対しない彼らの行為を見て 00:16:39.353 --> 00:16:42.985 学べることは多いのです 00:16:42.985 --> 00:16:46.985 ありがとうございます