1 00:00:00,724 --> 00:00:02,972 これはフンです 2 00:00:02,972 --> 00:00:05,455 今日はフンに懸ける私の思いを 3 00:00:05,455 --> 00:00:08,598 共感して頂きたいと思います 4 00:00:08,598 --> 00:00:11,411 できなくても構いません 5 00:00:11,411 --> 00:00:14,504 しかしこの小さな生物と フンの関係には 6 00:00:14,504 --> 00:00:17,705 興味を持てるのでは ないでしょうか 7 00:00:17,705 --> 00:00:20,057 この生物の脳は 8 00:00:20,057 --> 00:00:24,017 米粒ほどの大きさです しかし人間なら 9 00:00:24,017 --> 00:00:27,767 試みることもないことを 彼らはするのです 10 00:00:27,767 --> 00:00:31,889 つまり彼らの食糧源である 11 00:00:31,889 --> 00:00:34,023 フンの扱い方です 12 00:00:34,023 --> 00:00:36,602 さて何から話しましょう? 13 00:00:36,602 --> 00:00:39,627 やはりここはお尻からが いいでしょう 14 00:00:39,627 --> 00:00:42,412 これは他の動物が出す 排泄物ですが 15 00:00:42,412 --> 00:00:45,985 まだ栄養が残っています 16 00:00:45,985 --> 00:00:47,942 フンコロガシが生きていくのに 17 00:00:47,942 --> 00:00:50,905 十分な量の栄養素です 18 00:00:50,905 --> 00:00:53,840 彼らはフンを餌とし その幼虫も 19 00:00:53,840 --> 00:00:55,995 またフンを食べます 20 00:00:55,995 --> 00:00:59,225 フンだけを餌にして 成長するのです 21 00:00:59,225 --> 00:01:03,020 南アフリカには800種の フンコロガシがいます 22 00:01:03,020 --> 00:01:06,290 アフリカ全体では2000種 23 00:01:06,290 --> 00:01:10,888 世界では6000種です 24 00:01:10,888 --> 00:01:16,026 彼らにとってフンは 相当のごちそうです 25 00:01:16,026 --> 00:01:18,698 指でフンをほじくれなければ 26 00:01:18,698 --> 00:01:21,467 フンコロガシ種の9割は 27 00:01:21,467 --> 00:01:23,758 お目にかかれません 28 00:01:23,758 --> 00:01:26,164 彼らはフンの奥に 29 00:01:26,164 --> 00:01:28,776 入り込み 地上のフンと 30 00:01:28,776 --> 00:01:30,831 地中の巣との間を 31 00:01:30,831 --> 00:01:33,771 何度も往復するからです 32 00:01:33,771 --> 00:01:39,016 では 彼らはフンを どう扱うのでしょう? 33 00:01:39,016 --> 00:01:42,996 大半は何かしらの形にまとめます 34 00:01:42,996 --> 00:01:46,676 1割方は フンをボールのようにして 35 00:01:46,676 --> 00:01:50,838 元のフンから離れた 場所へと転がし 36 00:01:50,838 --> 00:01:54,274 地中に埋めます 37 00:01:54,274 --> 00:01:57,579 彼らは独特の行動を取りますが 38 00:01:57,579 --> 00:02:02,554 その行動によってフンが転がせるのです 39 00:02:02,554 --> 00:02:06,147 ここに自慢げなフンの持ち主がいます 40 00:02:06,147 --> 00:02:07,382 オスです 41 00:02:07,382 --> 00:02:09,623 足の後ろに毛が生えていますからね 42 00:02:09,623 --> 00:02:14,692 彼はこの美しいフンの玉に ご満悦のようです 43 00:02:14,692 --> 00:02:16,604 ところが悲劇です 44 00:02:16,604 --> 00:02:21,853 卑劣な強盗の 犠牲者となりました 45 00:02:21,853 --> 00:02:24,551 この行為はフンが貴重な 46 00:02:24,551 --> 00:02:27,162 食糧源であることの表れです 47 00:02:27,162 --> 00:02:31,287 貴重な食糧源は特別な方法で 48 00:02:31,287 --> 00:02:34,606 守る必要があります だからフンを遠くに 49 00:02:34,606 --> 00:02:37,908 転がすのではないでしょうか? 50 00:02:37,908 --> 00:02:40,318 フン獲得の競争が 51 00:02:40,318 --> 00:02:42,193 激しいからです 52 00:02:42,193 --> 00:02:45,390 このフンの塊--もはや過去形ですね 53 00:02:45,390 --> 00:02:47,836 この写真を撮影する15分前は塊でした 54 00:02:47,836 --> 00:02:50,885 この激しい競争こそフンコロガシが 55 00:02:50,885 --> 00:02:54,765 フンを転がすに至った 56 00:02:54,765 --> 00:02:57,454 理由ではないかと思うのです 57 00:02:57,454 --> 00:02:59,487 ではこの生物がアフリカの 58 00:02:59,487 --> 00:03:03,090 草原を横切る姿を想像して下さい 59 00:03:03,090 --> 00:03:06,438 頭を下に 後ろ向きに歩いています 60 00:03:06,438 --> 00:03:11,809 食糧の運び方として これ以上ないほど突飛です 61 00:03:11,809 --> 00:03:14,675 しかも熱との戦いもあります 62 00:03:14,675 --> 00:03:16,663 アフリカは暑いです 63 00:03:16,663 --> 00:03:18,370 ではここで私と同僚が行った 64 00:03:18,370 --> 00:03:21,545 実験についてお話します 65 00:03:21,545 --> 00:03:26,386 フンコロガシは運搬と熱に 66 00:03:26,386 --> 00:03:28,438 どう対処しているのでしょう 67 00:03:28,438 --> 00:03:30,975 このフンコロガシを見てください 68 00:03:30,975 --> 00:03:35,119 二つの点に注目して下さい 一つは 69 00:03:35,119 --> 00:03:37,681 置かれた障害物に対する 70 00:03:37,681 --> 00:03:40,569 対処法です ちょっと踊りましたね 71 00:03:40,569 --> 00:03:43,503 そして最初に向かっていた方向と 72 00:03:43,503 --> 00:03:47,193 全く同じ方向に歩いていきます 73 00:03:47,193 --> 00:03:50,959 一瞬踊ってから 目的の方向へと進みます 74 00:03:50,959 --> 00:03:54,336 彼らは行き先が 分かっているのです 75 00:03:54,336 --> 00:03:55,675 行きたいところがわかっています 76 00:03:55,675 --> 00:03:57,560 これは非常に重要なことです 77 00:03:57,560 --> 00:03:59,975 例えば自分が大きなフンの塊の中にいて 78 00:03:59,975 --> 00:04:04,498 ご馳走を独り占めしたい 遠くに運びたいわけです 79 00:04:04,498 --> 00:04:07,391 直進するのが 一番手っ取り早いですよね 80 00:04:07,391 --> 00:04:11,770 そこで私達はこの子に 更に課題を与えました 81 00:04:11,770 --> 00:04:15,930 彼の足元を回転させたのです 82 00:04:15,930 --> 00:04:19,609 彼の反応に注目して下さい 83 00:04:25,287 --> 00:04:28,083 彼の世界は足元で今回転しました 84 00:04:28,083 --> 00:04:30,930 90度回転したのです 85 00:04:30,930 --> 00:04:33,402 しかし全く動じません 行きたい方向に 86 00:04:33,402 --> 00:04:36,370 再び向かっていきます 87 00:04:36,370 --> 00:04:38,562 ではどうやって彼らは 88 00:04:38,562 --> 00:04:40,522 行き先を認識しているのか? 89 00:04:40,522 --> 00:04:43,971 何をしているのか?  私達は気がつきました 90 00:04:43,971 --> 00:04:47,098 彼らは時々ボールの上に登るのです 91 00:04:47,098 --> 00:04:49,730 そして辺りを見回します 92 00:04:49,730 --> 00:04:51,450 ボールの頂上に登って 93 00:04:51,450 --> 00:04:53,126 彼らは一体何を見ているのでしょう? 94 00:04:53,126 --> 00:04:56,681 動物が利用できる手掛かりは 95 00:04:56,681 --> 00:05:00,859 何でしょう? 一番分かりやすいのは 96 00:05:00,859 --> 00:05:05,078 空でしょう では空の何を 97 00:05:05,078 --> 00:05:07,342 見ているのでしょう? 98 00:05:07,342 --> 00:05:11,451 空と言えば太陽です 99 00:05:11,451 --> 00:05:14,405 そこで典型的な実験をしました 100 00:05:14,405 --> 00:05:17,944 太陽を動かしたのです 101 00:05:17,944 --> 00:05:20,685 板を使って太陽を遮ります 102 00:05:20,685 --> 00:05:22,655 そして鏡を使って全く違う 103 00:05:22,655 --> 00:05:24,521 位置に太陽を動かします 104 00:05:24,521 --> 00:05:26,433 フンコロガシの反応を見てください 105 00:05:26,433 --> 00:05:29,264 少し踊って 106 00:05:29,264 --> 00:05:31,543 元の方向と全く同じ方向へ 107 00:05:31,543 --> 00:05:33,952 歩いていきます 108 00:05:33,952 --> 00:05:37,679 彼らが太陽を見ていることが 明らかになりました 109 00:05:37,679 --> 00:05:40,941 彼らにとって太陽は 重要な手掛かりなのです 110 00:05:40,941 --> 00:05:43,566 でもいつも太陽があるとは限りません 111 00:05:43,566 --> 00:05:47,982 日没後は水平線の下に 隠れてしまいます 112 00:05:47,982 --> 00:05:50,566 空には私達には見えない 113 00:05:50,566 --> 00:05:54,225 偏光の大きなパターンがあります 114 00:05:54,225 --> 00:05:57,976 人間の目では感知できません 115 00:05:57,976 --> 00:06:01,679 しかし太陽は 水平線上にあります 116 00:06:01,679 --> 00:06:04,646 太陽が水平線上にある時は-- 117 00:06:04,646 --> 00:06:06,190 例えばこちら側にあるとすると 118 00:06:06,190 --> 00:06:10,775 南北に大きな帯状の 119 00:06:10,775 --> 00:06:13,248 偏光パタ―ンができます 人間には見えません 120 00:06:13,248 --> 00:06:16,046 でもフンコロガシには 見えるのです 121 00:06:16,046 --> 00:06:18,905 ではそれを証明しましょう 122 00:06:18,905 --> 00:06:21,847 大きな偏光フィルターを用意します 123 00:06:21,847 --> 00:06:26,271 その下にフンコロガシを入れます フィルターは 124 00:06:26,271 --> 00:06:28,921 空の偏光パターンの向きと 直角に置きます 125 00:06:28,921 --> 00:06:33,091 フンコロガシは フィルターの下から 126 00:06:33,091 --> 00:06:35,594 出てきて 右に曲がります 127 00:06:35,594 --> 00:06:37,788 元々の向きのパターンの 128 00:06:37,788 --> 00:06:40,607 空の下に戻ったので 129 00:06:40,607 --> 00:06:42,952 元々の方角へと 130 00:06:42,952 --> 00:06:46,874 体の向きを変えたのです 131 00:06:46,874 --> 00:06:52,691 彼らには光の偏光が わかるのです 132 00:06:52,691 --> 00:06:55,448 ここまでのおさらいをすると 133 00:06:55,448 --> 00:06:58,224 フンコロガシはボールを転がします 134 00:06:58,224 --> 00:07:01,239 しかも直線で転がします 135 00:07:01,239 --> 00:07:04,817 何故曲がらずに 移動できるのか? 136 00:07:04,817 --> 00:07:07,512 それは私達の目には見えない 137 00:07:07,512 --> 00:07:09,756 天空の手掛かりを 使っているからです 138 00:07:09,756 --> 00:07:11,440 ではその手掛かりは どう感知するのか? 139 00:07:11,440 --> 00:07:14,484 それがまさに次の疑問でした 140 00:07:14,484 --> 00:07:17,672 そしてこの踊りこそが 重要なのではないかと 141 00:07:17,672 --> 00:07:20,591 考えたのです 何故なら 142 00:07:20,591 --> 00:07:22,147 このように時々休憩しています 143 00:07:22,147 --> 00:07:26,626 そして再び行きたい方角へと 向かいます 144 00:07:26,626 --> 00:07:30,863 この踊りが持つ意味は何なのか? 145 00:07:30,863 --> 00:07:35,205 何が起こると彼らは向きを 変えるのでしょう? 146 00:07:35,205 --> 00:07:38,701 こちらの実験では まず無理矢理彼を 147 00:07:38,701 --> 00:07:41,363 この溝に誘導します 良く見ると特に 148 00:07:41,363 --> 00:07:44,101 無理強いはされていませんね 149 00:07:44,101 --> 00:07:49,399 そして徐々に 180度ずらしていき 150 00:07:49,399 --> 00:07:53,135 最終的に元の方向とは 151 00:07:53,135 --> 00:07:55,700 逆方向へと向かわせます 152 00:07:55,700 --> 00:07:58,501 彼の反応を見てみましょう 153 00:07:58,501 --> 00:08:01,111 90度の場所を通り過ぎ 154 00:08:01,111 --> 00:08:03,215 歩き続け 最終的には 155 00:08:03,215 --> 00:08:06,262 元の方向とは 180度反対方向を向きます 156 00:08:06,262 --> 00:08:08,560 彼の反応を見てみると 157 00:08:08,560 --> 00:08:11,753 少し踊って 回転して 158 00:08:11,753 --> 00:08:15,487 再び溝の中を進みます 159 00:08:15,487 --> 00:08:17,766 彼は何が問題なのか理解し 160 00:08:17,766 --> 00:08:19,361 かつ対処法も心得ているのです 161 00:08:19,361 --> 00:08:22,062 そしてこの踊りを転機に 162 00:08:22,062 --> 00:08:24,871 彼らは正しい方向に 向き直るのです 163 00:08:24,871 --> 00:08:29,663 以上が踊りについてです しかし灼熱のアフリカで 164 00:08:29,663 --> 00:08:33,319 何年もフンコロガシを 観察しているうちに 165 00:08:33,319 --> 00:08:35,670 踊りに関連するもう一つの 166 00:08:35,670 --> 00:08:38,159 ある行動に気がついたのです 167 00:08:38,159 --> 00:08:42,097 ボールに登ると彼らは時たま 168 00:08:42,097 --> 00:08:45,503 顔を拭くのです 169 00:08:45,503 --> 00:08:48,466 またやりましたね 170 00:08:48,466 --> 00:08:51,447 これは一体どういうことなのでしょう? 171 00:08:51,447 --> 00:08:54,351 明らかに地面は熱いです 地面が熱いと 172 00:08:54,351 --> 00:08:57,086 踊る回数が増えます そして踊ると 173 00:08:57,086 --> 00:08:59,056 顔の下の方を拭くのです 174 00:08:59,056 --> 00:09:01,755 これは温度調節をしているのではないか 175 00:09:01,755 --> 00:09:03,765 熱い砂を払い 顔に唾をかけて 176 00:09:03,765 --> 00:09:07,206 頭を冷やしているのではないかと 177 00:09:07,206 --> 00:09:09,622 私達は考えたのです 178 00:09:09,622 --> 00:09:14,064 そこで二つの舞台を作りました 179 00:09:14,064 --> 00:09:16,163 一つは熱く 一つは涼しい状態です 180 00:09:16,163 --> 00:09:18,540 こちらは日陰に もう一つは日向に置きました 181 00:09:18,540 --> 00:09:22,007 そして熱探知カメラで 撮影しました 182 00:09:22,007 --> 00:09:26,423 今映っているのは 熱を映像化したものです 183 00:09:26,423 --> 00:09:30,344 そしてフンの中から低温の 184 00:09:30,344 --> 00:09:33,953 フンコロガシが出てきました 185 00:09:33,953 --> 00:09:37,232 フンコロガシは低温 つまりクール 186 00:09:37,232 --> 00:09:42,212 かっこいい奴なのです(笑) 187 00:09:42,212 --> 00:09:45,430 私達の関心はフンコロガシと 188 00:09:45,430 --> 00:09:48,070 周囲との温度差です 189 00:09:48,070 --> 00:09:52,014 周囲はおよそ50℃です 190 00:09:52,014 --> 00:09:54,622 フンコロガシとボールはおよそ 191 00:09:54,622 --> 00:09:56,693 30℃から35℃くらいでしょう 192 00:09:56,693 --> 00:09:59,359 例えるなら 大きな アイスクリームの塊を 193 00:09:59,359 --> 00:10:02,486 熱い草原の上を転がしていく ようなものです 194 00:10:02,486 --> 00:10:05,189 まだ登っていません 踊っていません 195 00:10:05,189 --> 00:10:08,030 体温が比較的低いからです 196 00:10:08,030 --> 00:10:11,103 私達の体温とほぼ同じです 197 00:10:11,103 --> 00:10:16,067 そして小さな脳みそも かなり低温です 198 00:10:16,067 --> 00:10:20,374 ところが周りが熱くなると 199 00:10:20,374 --> 00:10:22,524 地面の温度を見てください 200 00:10:22,524 --> 00:10:25,974 55℃から60℃です 201 00:10:25,974 --> 00:10:29,416 頻繁に踊り始めましたね 202 00:10:29,416 --> 00:10:33,958 前足を見てください 相当熱そうです 203 00:10:33,958 --> 00:10:36,881 ボールは熱の影を残しています 204 00:10:36,881 --> 00:10:38,815 そしてフンコロガシは ボールに登ります 205 00:10:38,815 --> 00:10:43,454 顔を拭き 常に体温を下げ 熱い砂を 206 00:10:43,454 --> 00:10:49,124 避けようとしていると考えられます 207 00:10:49,124 --> 00:10:53,056 そこで靴を履かせてみました 208 00:10:53,056 --> 00:10:56,018 地面の温度を足で知覚するのか 209 00:10:56,018 --> 00:10:59,776 確認するためです 210 00:10:59,776 --> 00:11:03,753 ここを見て下さい 靴を履くとボールに登る 211 00:11:03,753 --> 00:11:07,944 回数が格段に少なくなります 212 00:11:07,944 --> 00:11:10,271 クールブーツと命名しました 213 00:11:10,271 --> 00:11:13,193 靴は歯科治療用の 材料で作りました 214 00:11:13,193 --> 00:11:16,080 またフンのボールも冷やしました 215 00:11:16,080 --> 00:11:19,729 冷蔵庫で冷やしたフンを与えたのです 216 00:11:19,729 --> 00:11:22,280 するとボールが熱い時と比べて 217 00:11:22,280 --> 00:11:23,816 登る回数がかなり減りました 218 00:11:23,816 --> 00:11:26,790 「高床歩き」です 人間も熱い砂浜を 219 00:11:26,790 --> 00:11:28,698 歩くときにします 220 00:11:28,698 --> 00:11:31,416 他人のタオルに飛び乗り 221 00:11:31,416 --> 00:11:32,639 「失礼 踏んでしまいました」 と言って 222 00:11:32,639 --> 00:11:35,203 別の人のタオルに 飛び移る 223 00:11:35,203 --> 00:11:37,408 足を火傷せずに済みます 224 00:11:37,408 --> 00:11:40,209 フンコロガシの行為も全く同じことです 225 00:11:40,209 --> 00:11:43,424 もう一つお話をしたいと思います 226 00:11:43,424 --> 00:11:44,996 それはこの種についてです 227 00:11:44,996 --> 00:11:47,789 パキソーマ亜属と呼ばれ 228 00:11:47,789 --> 00:11:50,821 13種が存在します 彼らには 229 00:11:50,821 --> 00:11:56,959 興味深い習性があります 230 00:11:56,959 --> 00:12:01,619 これはフンコロガシです 見てください 231 00:12:01,619 --> 00:12:04,309 違いが分かりますか? 232 00:12:04,309 --> 00:12:07,541 この映像は通常の 速度ではありませんが 233 00:12:07,541 --> 00:12:09,335 ポイントは前向きに 歩いている点です 234 00:12:09,335 --> 00:12:12,896 しかも乾燥した 小さなフンを運んでいます 235 00:12:12,896 --> 00:12:15,350 同じ属の違う種ですが 236 00:12:15,350 --> 00:12:19,222 全く同じ採食行動を取っています 237 00:12:19,222 --> 00:12:22,013 もう一つ興味深いことがあります 238 00:12:22,013 --> 00:12:26,316 何とフンコロガシは餌を探し 239 00:12:26,316 --> 00:12:30,822 巣に持ち帰るのです 240 00:12:30,822 --> 00:12:33,513 この子を見てください 241 00:12:33,513 --> 00:12:36,233 巣作りをしています 242 00:12:36,233 --> 00:12:37,942 最初の位置は気に入らなかったのか 243 00:12:37,942 --> 00:12:39,565 二つ目の位置に巣を構えます 244 00:12:39,565 --> 00:12:43,422 50分後 巣が完成し 245 00:12:43,422 --> 00:12:47,149 食糧調達へと出かけます 246 00:12:47,149 --> 00:12:49,503 乾燥したフンの粒達を目がけます 247 00:12:49,503 --> 00:12:52,669 注目してもらいたいのは 248 00:12:52,669 --> 00:12:57,278 往路と復路の違いです 249 00:12:57,278 --> 00:12:59,938 復路のほうが往路より 250 00:12:59,938 --> 00:13:02,769 遥かに真っすぐです 251 00:13:02,769 --> 00:13:05,584 往路では常に新しいフンが 252 00:13:05,584 --> 00:13:08,049 周囲にないか探しています 253 00:13:08,049 --> 00:13:09,600 復路は自分の巣を目指して 254 00:13:09,600 --> 00:13:12,818 真っすぐ帰るのです 255 00:13:12,818 --> 00:13:16,393 重要なのは 普通のフンコロガシと違って 256 00:13:16,393 --> 00:13:19,783 餌場と巣の間を何度も 257 00:13:19,783 --> 00:13:24,088 往復していることです 258 00:13:24,088 --> 00:13:25,030 そして南アフリカの犯罪が 259 00:13:25,030 --> 00:13:29,040 繰り返されます 260 00:13:29,040 --> 00:13:33,654 お隣が彼のフンを盗みました 261 00:13:33,654 --> 00:13:36,791 ここで目にしているのは 262 00:13:36,791 --> 00:13:40,119 経路積分と呼ばれる行為です 263 00:13:40,119 --> 00:13:42,736 フンコロガシには本拠地があります 264 00:13:42,736 --> 00:13:47,039 食糧を求めて外に出るときは 265 00:13:47,039 --> 00:13:50,130 複雑な経路をたどり 食糧を見つけると 266 00:13:50,130 --> 00:13:54,438 真っすぐ帰宅します 場所が分かっているからです 267 00:13:54,438 --> 00:13:57,463 二つの可能性が浮上します それを確かめるために 268 00:13:57,463 --> 00:14:00,423 餌場にいるフンコロガシを 269 00:14:00,423 --> 00:14:03,120 別の場所に移します 270 00:14:03,120 --> 00:14:06,414 地上の何かを目印にしているなら 家に帰れます 271 00:14:06,414 --> 00:14:09,829 一方 経路積分を利用しているなら 272 00:14:09,829 --> 00:14:13,613 巣を見つけることはできません 273 00:14:13,613 --> 00:14:16,037 経路積分を 利用するということは 274 00:14:16,037 --> 00:14:19,908 この方向に向かって 歩数 距離を測っているということです 275 00:14:19,908 --> 00:14:23,605 基準となる巣がどの方角に あるべきか把握しているのです 276 00:14:23,605 --> 00:14:26,733 位置をずらすと場所を間違えます 277 00:14:26,733 --> 00:14:29,310 ではこのフンコロガシを使って 278 00:14:29,310 --> 00:14:32,626 実験してみましょう 279 00:14:32,626 --> 00:14:37,012 ここに狡猾な実験者がいます 280 00:14:37,012 --> 00:14:39,413 フンコロガシを移動します 281 00:14:39,413 --> 00:14:44,262 どうなるか見てみましょう 282 00:14:44,262 --> 00:14:47,356 ここに巣があります あそこにあった餌場は 283 00:14:47,356 --> 00:14:50,303 新しい場所に移しました 284 00:14:50,303 --> 00:14:52,662 目印を使っているなら 285 00:14:52,662 --> 00:14:54,422 巣を見つけられるはずです 286 00:14:54,422 --> 00:14:57,145 巣の周りの目印が 認識できるからです 287 00:14:57,145 --> 00:15:00,188 経路積分を使っているなら 288 00:15:00,188 --> 00:15:03,912 こちらの間違った場所に 到着します 289 00:15:03,912 --> 00:15:06,222 実験にかけられた フンコロガシが 290 00:15:06,222 --> 00:15:09,513 どうなるか見てみましょう 291 00:15:09,513 --> 00:15:11,509 ここにいますね 292 00:15:11,509 --> 00:15:17,769 家に帰ろうとしています どうなるか 293 00:15:17,769 --> 00:15:20,262 残念です 294 00:15:20,262 --> 00:15:22,496 全く分かっていません 295 00:15:22,496 --> 00:15:25,416 餌場から 正しい距離にあるはずの家を 296 00:15:25,416 --> 00:15:31,391 探していますが 完全に迷子になりました 297 00:15:31,391 --> 00:15:35,609 つまり彼らは経路積分を使って 298 00:15:35,609 --> 00:15:39,688 移動しているのです 無慈悲な実験者は 299 00:15:39,688 --> 00:15:42,809 左上に誘導して そのまま去ります 300 00:15:42,809 --> 00:15:46,864 ここに描かれているのは太陽を 301 00:15:46,864 --> 00:15:48,943 コンパスにして移動する 302 00:15:48,943 --> 00:15:50,583 生物です 303 00:15:50,583 --> 00:15:53,108 彼らは何かしらの仕組みで 304 00:15:53,108 --> 00:15:55,071 この距離が測れるのです 305 00:15:55,071 --> 00:15:58,408 これらの種は 歩数を数えることが分かっています 306 00:15:58,408 --> 00:16:01,089 その仕組みを 距離計のように利用して 307 00:16:01,089 --> 00:16:06,226 巣に戻るのです しかしフンコロガシが何を 308 00:16:06,226 --> 00:16:09,049 利用しているのかは 解明されていません 309 00:16:09,049 --> 00:16:11,328 米粒ほどの大きさの脳を持つ 310 00:16:11,328 --> 00:16:14,329 この生物から 学んだことは何でしょう? 311 00:16:14,329 --> 00:16:18,440 彼らが天空の手掛かりを使って 312 00:16:18,440 --> 00:16:20,585 ボールを真っすぐに 転がせることが分かりました 313 00:16:20,585 --> 00:16:23,713 踊るのは方角を決めるのと 314 00:16:23,713 --> 00:16:26,127 温度調節のためだ ということも学びました 315 00:16:26,127 --> 00:16:30,325 そして巣に戻るときは 経路積分を 316 00:16:30,325 --> 00:16:32,414 利用することも知りました 317 00:16:32,414 --> 00:16:36,584 不快な物体を扱う こんな小さな生物からでも 318 00:16:36,584 --> 00:16:39,353 人間なら絶対しない彼らの行為を見て 319 00:16:39,353 --> 00:16:42,985 学べることは多いのです 320 00:16:42,985 --> 00:16:46,985 ありがとうございます