0:00:00.724,0:00:02.972 これはフンです 0:00:02.972,0:00:05.455 今日はフンに懸ける私の思いを 0:00:05.455,0:00:08.598 共感して頂きたいと思います 0:00:08.598,0:00:11.411 できなくても構いません 0:00:11.411,0:00:14.504 しかしこの小さな生物と[br]フンの関係には 0:00:14.504,0:00:17.705 興味を持てるのでは[br]ないでしょうか 0:00:17.705,0:00:20.057 この生物の脳は 0:00:20.057,0:00:24.017 米粒ほどの大きさです [br]しかし人間なら 0:00:24.017,0:00:27.767 試みることもないことを[br]彼らはするのです 0:00:27.767,0:00:31.889 つまり彼らの食糧源である 0:00:31.889,0:00:34.023 フンの扱い方です 0:00:34.023,0:00:36.602 さて何から話しましょう? 0:00:36.602,0:00:39.627 やはりここはお尻からが[br]いいでしょう 0:00:39.627,0:00:42.412 これは他の動物が出す[br]排泄物ですが 0:00:42.412,0:00:45.985 まだ栄養が残っています 0:00:45.985,0:00:47.942 フンコロガシが生きていくのに 0:00:47.942,0:00:50.905 十分な量の栄養素です 0:00:50.905,0:00:53.840 彼らはフンを餌とし[br]その幼虫も 0:00:53.840,0:00:55.995 またフンを食べます 0:00:55.995,0:00:59.225 フンだけを餌にして[br]成長するのです 0:00:59.225,0:01:03.020 南アフリカには800種の[br]フンコロガシがいます 0:01:03.020,0:01:06.290 アフリカ全体では2000種 0:01:06.290,0:01:10.888 世界では6000種です 0:01:10.888,0:01:16.026 彼らにとってフンは[br]相当のごちそうです 0:01:16.026,0:01:18.698 指でフンをほじくれなければ 0:01:18.698,0:01:21.467 フンコロガシ種の9割は 0:01:21.467,0:01:23.758 お目にかかれません 0:01:23.758,0:01:26.164 彼らはフンの奥に 0:01:26.164,0:01:28.776 入り込み[br]地上のフンと 0:01:28.776,0:01:30.831 地中の巣との間を 0:01:30.831,0:01:33.771 何度も往復するからです 0:01:33.771,0:01:39.016 では 彼らはフンを[br]どう扱うのでしょう? 0:01:39.016,0:01:42.996 大半は何かしらの形にまとめます 0:01:42.996,0:01:46.676 1割方は フンをボールのようにして 0:01:46.676,0:01:50.838 元のフンから離れた[br]場所へと転がし 0:01:50.838,0:01:54.274 地中に埋めます 0:01:54.274,0:01:57.579 彼らは独特の行動を取りますが 0:01:57.579,0:02:02.554 その行動によってフンが転がせるのです 0:02:02.554,0:02:06.147 ここに自慢げなフンの持ち主がいます 0:02:06.147,0:02:07.382 オスです 0:02:07.382,0:02:09.623 足の後ろに毛が生えていますからね 0:02:09.623,0:02:14.692 彼はこの美しいフンの玉に[br]ご満悦のようです 0:02:14.692,0:02:16.604 ところが悲劇です 0:02:16.604,0:02:21.853 卑劣な強盗の[br]犠牲者となりました 0:02:21.853,0:02:24.551 この行為はフンが貴重な 0:02:24.551,0:02:27.162 食糧源であることの表れです 0:02:27.162,0:02:31.287 貴重な食糧源は特別な方法で 0:02:31.287,0:02:34.606 守る必要があります [br]だからフンを遠くに 0:02:34.606,0:02:37.908 転がすのではないでしょうか? 0:02:37.908,0:02:40.318 フン獲得の競争が 0:02:40.318,0:02:42.193 激しいからです 0:02:42.193,0:02:45.390 このフンの塊--もはや過去形ですね 0:02:45.390,0:02:47.836 この写真を撮影する15分前は塊でした 0:02:47.836,0:02:50.885 この激しい競争こそフンコロガシが 0:02:50.885,0:02:54.765 フンを転がすに至った 0:02:54.765,0:02:57.454 理由ではないかと思うのです 0:02:57.454,0:02:59.487 ではこの生物がアフリカの 0:02:59.487,0:03:03.090 草原を横切る姿を想像して下さい 0:03:03.090,0:03:06.438 頭を下に 後ろ向きに歩いています 0:03:06.438,0:03:11.809 食糧の運び方として[br]これ以上ないほど突飛です 0:03:11.809,0:03:14.675 しかも熱との戦いもあります 0:03:14.675,0:03:16.663 アフリカは暑いです 0:03:16.663,0:03:18.370 ではここで私と同僚が行った 0:03:18.370,0:03:21.545 実験についてお話します 0:03:21.545,0:03:26.386 フンコロガシは運搬と熱に 0:03:26.386,0:03:28.438 どう対処しているのでしょう 0:03:28.438,0:03:30.975 このフンコロガシを見てください 0:03:30.975,0:03:35.119 二つの点に注目して下さい[br]一つは 0:03:35.119,0:03:37.681 置かれた障害物に対する 0:03:37.681,0:03:40.569 対処法です[br]ちょっと踊りましたね 0:03:40.569,0:03:43.503 そして最初に向かっていた方向と 0:03:43.503,0:03:47.193 全く同じ方向に歩いていきます 0:03:47.193,0:03:50.959 一瞬踊ってから[br]目的の方向へと進みます 0:03:50.959,0:03:54.336 彼らは行き先が[br]分かっているのです 0:03:54.336,0:03:55.675 行きたいところがわかっています 0:03:55.675,0:03:57.560 これは非常に重要なことです 0:03:57.560,0:03:59.975 例えば自分が大きなフンの塊の中にいて 0:03:59.975,0:04:04.498 ご馳走を独り占めしたい[br]遠くに運びたいわけです 0:04:04.498,0:04:07.391 直進するのが[br]一番手っ取り早いですよね 0:04:07.391,0:04:11.770 そこで私達はこの子に[br]更に課題を与えました 0:04:11.770,0:04:15.930 彼の足元を回転させたのです 0:04:15.930,0:04:19.609 彼の反応に注目して下さい 0:04:25.287,0:04:28.083 彼の世界は足元で今回転しました 0:04:28.083,0:04:30.930 90度回転したのです 0:04:30.930,0:04:33.402 しかし全く動じません[br]行きたい方向に 0:04:33.402,0:04:36.370 再び向かっていきます 0:04:36.370,0:04:38.562 ではどうやって彼らは 0:04:38.562,0:04:40.522 行き先を認識しているのか? 0:04:40.522,0:04:43.971 何をしているのか? [br]私達は気がつきました 0:04:43.971,0:04:47.098 彼らは時々ボールの上に登るのです 0:04:47.098,0:04:49.730 そして辺りを見回します 0:04:49.730,0:04:51.450 ボールの頂上に登って 0:04:51.450,0:04:53.126 彼らは一体何を見ているのでしょう? 0:04:53.126,0:04:56.681 動物が利用できる手掛かりは 0:04:56.681,0:05:00.859 何でしょう?[br]一番分かりやすいのは 0:05:00.859,0:05:05.078 空でしょう [br]では空の何を 0:05:05.078,0:05:07.342 見ているのでしょう? 0:05:07.342,0:05:11.451 空と言えば太陽です 0:05:11.451,0:05:14.405 そこで典型的な実験をしました 0:05:14.405,0:05:17.944 太陽を動かしたのです 0:05:17.944,0:05:20.685 板を使って太陽を遮ります 0:05:20.685,0:05:22.655 そして鏡を使って全く違う 0:05:22.655,0:05:24.521 位置に太陽を動かします 0:05:24.521,0:05:26.433 フンコロガシの反応を見てください 0:05:26.433,0:05:29.264 少し踊って 0:05:29.264,0:05:31.543 元の方向と全く同じ方向へ 0:05:31.543,0:05:33.952 歩いていきます 0:05:33.952,0:05:37.679 彼らが太陽を見ていることが[br]明らかになりました 0:05:37.679,0:05:40.941 彼らにとって太陽は[br]重要な手掛かりなのです 0:05:40.941,0:05:43.566 でもいつも太陽があるとは限りません 0:05:43.566,0:05:47.982 日没後は水平線の下に[br]隠れてしまいます 0:05:47.982,0:05:50.566 空には私達には見えない 0:05:50.566,0:05:54.225 偏光の大きなパターンがあります 0:05:54.225,0:05:57.976 人間の目では感知できません 0:05:57.976,0:06:01.679 しかし太陽は[br]水平線上にあります 0:06:01.679,0:06:04.646 太陽が水平線上にある時は-- 0:06:04.646,0:06:06.190 例えばこちら側にあるとすると 0:06:06.190,0:06:10.775 南北に大きな帯状の 0:06:10.775,0:06:13.248 偏光パタ―ンができます [br]人間には見えません 0:06:13.248,0:06:16.046 でもフンコロガシには[br]見えるのです 0:06:16.046,0:06:18.905 ではそれを証明しましょう 0:06:18.905,0:06:21.847 大きな偏光フィルターを用意します 0:06:21.847,0:06:26.271 その下にフンコロガシを入れます [br]フィルターは 0:06:26.271,0:06:28.921 空の偏光パターンの向きと[br]直角に置きます 0:06:28.921,0:06:33.091 フンコロガシは[br]フィルターの下から 0:06:33.091,0:06:35.594 出てきて 右に曲がります 0:06:35.594,0:06:37.788 元々の向きのパターンの 0:06:37.788,0:06:40.607 空の下に戻ったので 0:06:40.607,0:06:42.952 元々の方角へと 0:06:42.952,0:06:46.874 体の向きを変えたのです 0:06:46.874,0:06:52.691 彼らには光の偏光が[br]わかるのです 0:06:52.691,0:06:55.448 ここまでのおさらいをすると 0:06:55.448,0:06:58.224 フンコロガシはボールを転がします 0:06:58.224,0:07:01.239 しかも直線で転がします 0:07:01.239,0:07:04.817 何故曲がらずに[br]移動できるのか? 0:07:04.817,0:07:07.512 それは私達の目には見えない 0:07:07.512,0:07:09.756 天空の手掛かりを[br]使っているからです 0:07:09.756,0:07:11.440 ではその手掛かりは[br]どう感知するのか? 0:07:11.440,0:07:14.484 それがまさに次の疑問でした 0:07:14.484,0:07:17.672 そしてこの踊りこそが[br]重要なのではないかと 0:07:17.672,0:07:20.591 考えたのです [br]何故なら 0:07:20.591,0:07:22.147 このように時々休憩しています 0:07:22.147,0:07:26.626 そして再び行きたい方角へと[br]向かいます 0:07:26.626,0:07:30.863 この踊りが持つ意味は何なのか? 0:07:30.863,0:07:35.205 何が起こると彼らは向きを[br]変えるのでしょう? 0:07:35.205,0:07:38.701 こちらの実験では [br]まず無理矢理彼を 0:07:38.701,0:07:41.363 この溝に誘導します [br]良く見ると特に 0:07:41.363,0:07:44.101 無理強いはされていませんね 0:07:44.101,0:07:49.399 そして徐々に[br]180度ずらしていき 0:07:49.399,0:07:53.135 最終的に元の方向とは 0:07:53.135,0:07:55.700 逆方向へと向かわせます 0:07:55.700,0:07:58.501 彼の反応を見てみましょう 0:07:58.501,0:08:01.111 90度の場所を通り過ぎ 0:08:01.111,0:08:03.215 歩き続け 最終的には 0:08:03.215,0:08:06.262 元の方向とは[br]180度反対方向を向きます 0:08:06.262,0:08:08.560 彼の反応を見てみると 0:08:08.560,0:08:11.753 少し踊って 回転して 0:08:11.753,0:08:15.487 再び溝の中を進みます 0:08:15.487,0:08:17.766 彼は何が問題なのか理解し 0:08:17.766,0:08:19.361 かつ対処法も心得ているのです 0:08:19.361,0:08:22.062 そしてこの踊りを転機に 0:08:22.062,0:08:24.871 彼らは正しい方向に[br]向き直るのです 0:08:24.871,0:08:29.663 以上が踊りについてです [br]しかし灼熱のアフリカで 0:08:29.663,0:08:33.319 何年もフンコロガシを[br]観察しているうちに 0:08:33.319,0:08:35.670 踊りに関連するもう一つの 0:08:35.670,0:08:38.159 ある行動に気がついたのです 0:08:38.159,0:08:42.097 ボールに登ると彼らは時たま 0:08:42.097,0:08:45.503 顔を拭くのです 0:08:45.503,0:08:48.466 またやりましたね 0:08:48.466,0:08:51.447 これは一体どういうことなのでしょう? 0:08:51.447,0:08:54.351 明らかに地面は熱いです [br]地面が熱いと 0:08:54.351,0:08:57.086 踊る回数が増えます [br]そして踊ると 0:08:57.086,0:08:59.056 顔の下の方を拭くのです 0:08:59.056,0:09:01.755 これは温度調節をしているのではないか 0:09:01.755,0:09:03.765 熱い砂を払い 顔に唾をかけて 0:09:03.765,0:09:07.206 頭を冷やしているのではないかと 0:09:07.206,0:09:09.622 私達は考えたのです 0:09:09.622,0:09:14.064 そこで二つの舞台を作りました 0:09:14.064,0:09:16.163 一つは熱く [br]一つは涼しい状態です 0:09:16.163,0:09:18.540 こちらは日陰に [br]もう一つは日向に置きました 0:09:18.540,0:09:22.007 そして熱探知カメラで[br]撮影しました 0:09:22.007,0:09:26.423 今映っているのは[br]熱を映像化したものです 0:09:26.423,0:09:30.344 そしてフンの中から低温の 0:09:30.344,0:09:33.953 フンコロガシが出てきました 0:09:33.953,0:09:37.232 フンコロガシは低温 [br]つまりクール 0:09:37.232,0:09:42.212 かっこいい奴なのです(笑) 0:09:42.212,0:09:45.430 私達の関心はフンコロガシと 0:09:45.430,0:09:48.070 周囲との温度差です 0:09:48.070,0:09:52.014 周囲はおよそ50℃です 0:09:52.014,0:09:54.622 フンコロガシとボールはおよそ 0:09:54.622,0:09:56.693 30℃から35℃くらいでしょう 0:09:56.693,0:09:59.359 例えるなら 大きな[br]アイスクリームの塊を 0:09:59.359,0:10:02.486 熱い草原の上を転がしていく[br]ようなものです 0:10:02.486,0:10:05.189 まだ登っていません 踊っていません 0:10:05.189,0:10:08.030 体温が比較的低いからです 0:10:08.030,0:10:11.103 私達の体温とほぼ同じです 0:10:11.103,0:10:16.067 そして小さな脳みそも[br]かなり低温です 0:10:16.067,0:10:20.374 ところが周りが熱くなると 0:10:20.374,0:10:22.524 地面の温度を見てください 0:10:22.524,0:10:25.974 55℃から60℃です 0:10:25.974,0:10:29.416 頻繁に踊り始めましたね 0:10:29.416,0:10:33.958 前足を見てください[br]相当熱そうです 0:10:33.958,0:10:36.881 ボールは熱の影を残しています 0:10:36.881,0:10:38.815 そしてフンコロガシは[br]ボールに登ります 0:10:38.815,0:10:43.454 顔を拭き 常に体温を下げ[br]熱い砂を 0:10:43.454,0:10:49.124 避けようとしていると考えられます 0:10:49.124,0:10:53.056 そこで靴を履かせてみました 0:10:53.056,0:10:56.018 地面の温度を足で知覚するのか 0:10:56.018,0:10:59.776 確認するためです 0:10:59.776,0:11:03.753 ここを見て下さい [br]靴を履くとボールに登る 0:11:03.753,0:11:07.944 回数が格段に少なくなります 0:11:07.944,0:11:10.271 クールブーツと命名しました 0:11:10.271,0:11:13.193 靴は歯科治療用の[br]材料で作りました 0:11:13.193,0:11:16.080 またフンのボールも冷やしました 0:11:16.080,0:11:19.729 冷蔵庫で冷やしたフンを与えたのです 0:11:19.729,0:11:22.280 するとボールが熱い時と比べて 0:11:22.280,0:11:23.816 登る回数がかなり減りました 0:11:23.816,0:11:26.790 「高床歩き」です [br]人間も熱い砂浜を 0:11:26.790,0:11:28.698 歩くときにします 0:11:28.698,0:11:31.416 他人のタオルに飛び乗り 0:11:31.416,0:11:32.639 「失礼 踏んでしまいました」[br]と言って 0:11:32.639,0:11:35.203 別の人のタオルに[br]飛び移る 0:11:35.203,0:11:37.408 足を火傷せずに済みます 0:11:37.408,0:11:40.209 フンコロガシの行為も全く同じことです 0:11:40.209,0:11:43.424 もう一つお話をしたいと思います 0:11:43.424,0:11:44.996 それはこの種についてです 0:11:44.996,0:11:47.789 パキソーマ亜属と呼ばれ 0:11:47.789,0:11:50.821 13種が存在します [br]彼らには 0:11:50.821,0:11:56.959 興味深い習性があります 0:11:56.959,0:12:01.619 これはフンコロガシです [br]見てください 0:12:01.619,0:12:04.309 違いが分かりますか? 0:12:04.309,0:12:07.541 この映像は通常の[br]速度ではありませんが 0:12:07.541,0:12:09.335 ポイントは前向きに[br]歩いている点です 0:12:09.335,0:12:12.896 しかも乾燥した[br]小さなフンを運んでいます 0:12:12.896,0:12:15.350 同じ属の違う種ですが 0:12:15.350,0:12:19.222 全く同じ採食行動を取っています 0:12:19.222,0:12:22.013 もう一つ興味深いことがあります 0:12:22.013,0:12:26.316 何とフンコロガシは餌を探し 0:12:26.316,0:12:30.822 巣に持ち帰るのです 0:12:30.822,0:12:33.513 この子を見てください 0:12:33.513,0:12:36.233 巣作りをしています 0:12:36.233,0:12:37.942 最初の位置は気に入らなかったのか 0:12:37.942,0:12:39.565 二つ目の位置に巣を構えます 0:12:39.565,0:12:43.422 50分後 巣が完成し 0:12:43.422,0:12:47.149 食糧調達へと出かけます 0:12:47.149,0:12:49.503 乾燥したフンの粒達を目がけます 0:12:49.503,0:12:52.669 注目してもらいたいのは 0:12:52.669,0:12:57.278 往路と復路の違いです 0:12:57.278,0:12:59.938 復路のほうが往路より 0:12:59.938,0:13:02.769 遥かに真っすぐです 0:13:02.769,0:13:05.584 往路では常に新しいフンが 0:13:05.584,0:13:08.049 周囲にないか探しています 0:13:08.049,0:13:09.600 復路は自分の巣を目指して 0:13:09.600,0:13:12.818 真っすぐ帰るのです 0:13:12.818,0:13:16.393 重要なのは[br]普通のフンコロガシと違って 0:13:16.393,0:13:19.783 餌場と巣の間を何度も 0:13:19.783,0:13:24.088 往復していることです 0:13:24.088,0:13:25.030 そして南アフリカの犯罪が 0:13:25.030,0:13:29.040 繰り返されます 0:13:29.040,0:13:33.654 お隣が彼のフンを盗みました 0:13:33.654,0:13:36.791 ここで目にしているのは 0:13:36.791,0:13:40.119 経路積分と呼ばれる行為です 0:13:40.119,0:13:42.736 フンコロガシには本拠地があります 0:13:42.736,0:13:47.039 食糧を求めて外に出るときは 0:13:47.039,0:13:50.130 複雑な経路をたどり[br]食糧を見つけると 0:13:50.130,0:13:54.438 真っすぐ帰宅します[br]場所が分かっているからです 0:13:54.438,0:13:57.463 二つの可能性が浮上します [br]それを確かめるために 0:13:57.463,0:14:00.423 餌場にいるフンコロガシを 0:14:00.423,0:14:03.120 別の場所に移します 0:14:03.120,0:14:06.414 地上の何かを目印にしているなら[br]家に帰れます 0:14:06.414,0:14:09.829 一方 経路積分を利用しているなら 0:14:09.829,0:14:13.613 巣を見つけることはできません 0:14:13.613,0:14:16.037 経路積分を[br]利用するということは 0:14:16.037,0:14:19.908 この方向に向かって[br]歩数 距離を測っているということです 0:14:19.908,0:14:23.605 基準となる巣がどの方角に[br]あるべきか把握しているのです 0:14:23.605,0:14:26.733 位置をずらすと場所を間違えます 0:14:26.733,0:14:29.310 ではこのフンコロガシを使って 0:14:29.310,0:14:32.626 実験してみましょう 0:14:32.626,0:14:37.012 ここに狡猾な実験者がいます 0:14:37.012,0:14:39.413 フンコロガシを移動します 0:14:39.413,0:14:44.262 どうなるか見てみましょう 0:14:44.262,0:14:47.356 ここに巣があります [br]あそこにあった餌場は 0:14:47.356,0:14:50.303 新しい場所に移しました 0:14:50.303,0:14:52.662 目印を使っているなら 0:14:52.662,0:14:54.422 巣を見つけられるはずです 0:14:54.422,0:14:57.145 巣の周りの目印が[br]認識できるからです 0:14:57.145,0:15:00.188 経路積分を使っているなら 0:15:00.188,0:15:03.912 こちらの間違った場所に[br]到着します 0:15:03.912,0:15:06.222 実験にかけられた[br]フンコロガシが 0:15:06.222,0:15:09.513 どうなるか見てみましょう 0:15:09.513,0:15:11.509 ここにいますね 0:15:11.509,0:15:17.769 家に帰ろうとしています [br]どうなるか 0:15:17.769,0:15:20.262 残念です 0:15:20.262,0:15:22.496 全く分かっていません 0:15:22.496,0:15:25.416 餌場から[br]正しい距離にあるはずの家を 0:15:25.416,0:15:31.391 探していますが[br]完全に迷子になりました 0:15:31.391,0:15:35.609 つまり彼らは経路積分を使って 0:15:35.609,0:15:39.688 移動しているのです [br]無慈悲な実験者は 0:15:39.688,0:15:42.809 左上に誘導して[br]そのまま去ります 0:15:42.809,0:15:46.864 ここに描かれているのは太陽を 0:15:46.864,0:15:48.943 コンパスにして移動する 0:15:48.943,0:15:50.583 生物です 0:15:50.583,0:15:53.108 彼らは何かしらの仕組みで 0:15:53.108,0:15:55.071 この距離が測れるのです 0:15:55.071,0:15:58.408 これらの種は[br]歩数を数えることが分かっています 0:15:58.408,0:16:01.089 その仕組みを[br]距離計のように利用して 0:16:01.089,0:16:06.226 巣に戻るのです [br]しかしフンコロガシが何を 0:16:06.226,0:16:09.049 利用しているのかは[br]解明されていません 0:16:09.049,0:16:11.328 米粒ほどの大きさの脳を持つ 0:16:11.328,0:16:14.329 この生物から[br]学んだことは何でしょう? 0:16:14.329,0:16:18.440 彼らが天空の手掛かりを使って 0:16:18.440,0:16:20.585 ボールを真っすぐに[br]転がせることが分かりました 0:16:20.585,0:16:23.713 踊るのは方角を決めるのと 0:16:23.713,0:16:26.127 温度調節のためだ[br]ということも学びました 0:16:26.127,0:16:30.325 そして巣に戻るときは[br]経路積分を 0:16:30.325,0:16:32.414 利用することも知りました 0:16:32.414,0:16:36.584 不快な物体を扱う[br]こんな小さな生物からでも 0:16:36.584,0:16:39.353 人間なら絶対しない彼らの行為を見て 0:16:39.353,0:16:42.985 学べることは多いのです 0:16:42.985,0:16:46.985 ありがとうございます