WEBVTT 00:00:11.063 --> 00:00:12.485 はじめてTED Talksを 00:00:12.485 --> 00:00:16.613 見る機会に恵まれたときのことを とても鮮明に覚えています 00:00:16.613 --> 00:00:19.793 インターネット普及の初期のころで 00:00:20.399 --> 00:00:22.999 見終わったあとで 00:00:22.999 --> 00:00:25.854 自分にとってのインターネットの 重要性を感じこう言いました 00:00:25.854 --> 00:00:28.339 「インターネットの発明が 00:00:28.339 --> 00:00:31.749 TED Talksのような素晴らしいものを 届けるためだったのなら 00:00:31.749 --> 00:00:33.734 これは理にかなったことだ」 00:00:33.734 --> 00:00:35.159 正しい見立てでした 00:00:35.646 --> 00:00:40.086 私は当時 「TED」を定義する3つの単語にも 00:00:40.206 --> 00:00:42.456 興味を抱きました 00:00:42.456 --> 00:00:46.776 テクノロジー、エンターテイメント デザインです 00:00:48.186 --> 00:00:52.786 私のプレゼンテーションには 小さな「m」が入れてあります 00:00:52.786 --> 00:00:54.661 勝手に足しました 00:00:54.661 --> 00:00:57.696 「TEDm?」と 00:00:58.056 --> 00:00:59.706 mは「music」を表しています 00:01:00.164 --> 00:01:06.014 私は 音楽が人生において 他のどんな行為にも劣らず大切だと信じてます 00:01:06.014 --> 00:01:07.264 控えめに言ってもね 00:01:07.264 --> 00:01:10.464 そして音楽に関わっている全ての人は 00:01:10.464 --> 00:01:12.944 人生を通して 関わり続けるべきだと思います 00:01:13.234 --> 00:01:16.284 私の人生の過去50年で 00:01:16.284 --> 00:01:19.594 中心となってきたのは 教えること 学ぶこと 演奏することで 00:01:19.594 --> 00:01:23.144 今日のトークは 自分の経験を反映したものです 00:01:23.144 --> 00:01:26.124 だから これは理論でも仮説でもなく 00:01:26.124 --> 00:01:29.494 私が日々 経験していることです 00:01:30.601 --> 00:01:34.601 私は音楽を 人と分かち合うものだと考えます 00:01:34.921 --> 00:01:37.521 音楽は共有する美です 00:01:37.521 --> 00:01:43.381 演奏を通して自分を豊かにすることで 他者をも豊かにします 00:01:43.381 --> 00:01:47.481 演奏者として言えることですが 演奏しているときは 心が豊かになりますし 00:01:47.481 --> 00:01:51.761 観客として聴いているときも 心が豊かになります 00:01:51.761 --> 00:01:55.661 さて 私が懸念しているのは こんな相互作用による創造性が 00:01:55.661 --> 00:02:01.001 過去20年ほどで減少しているということです 00:02:02.141 --> 00:02:06.511 そこで今日は 音楽を探究し 先の3つの言葉、分野、単語という観点から 00:02:06.511 --> 00:02:10.851 音楽を語ろうと思います 00:02:10.851 --> 00:02:14.621 テクノロジー、エンターテイメント デザインでしたね 00:02:15.823 --> 00:02:21.261 テクノロジーが おそらく 過去50年の音楽を変えた― 00:02:21.261 --> 00:02:23.971 最も重要な要素の1つなのは 明らかでしょう 00:02:23.971 --> 00:02:26.441 そして 疑う余地もなく 00:02:28.121 --> 00:02:32.021 現代において 音楽を聴く手段がある人の数は― 00:02:32.021 --> 00:02:35.931 思いつくどんな音楽でもいいですが― 00:02:36.287 --> 00:02:39.387 そのような人の数は過去最多です 00:02:39.387 --> 00:02:44.527 テクノロジーは音楽の普及に とてつもない影響を与えたのです 00:02:44.527 --> 00:02:46.047 そしておそらく 私たちが 00:02:46.047 --> 00:02:48.947 どこを目指そうか 何をしようかと 模索している理由の1つは 00:02:48.947 --> 00:02:51.137 テクノロジーの変化があまりに速く 00:02:51.137 --> 00:02:55.917 使いこなすには 知識や能力が 付いていけないほどだからでしょう 00:02:57.757 --> 00:03:03.617 君たちを見ていると 私の中でテクノロジーのある見方が生まれます 00:03:03.617 --> 00:03:05.457 ここにいる人の多くは 00:03:05.457 --> 00:03:09.587 この部屋を出るとすぐに ヘッドホンをして 00:03:09.587 --> 00:03:12.147 それぞれが独りで音楽を聴くでしょう 00:03:12.147 --> 00:03:16.727 これがどういうことか もちろん素晴らしい音が聴けますね 00:03:16.727 --> 00:03:20.727 でもその音は 自分の頭蓋骨の中でしか 聴こえません 00:03:20.727 --> 00:03:25.007 少しも外に出ることなく 自分の頭の中だけに留まり 00:03:25.382 --> 00:03:28.592 まるで 外界から隔離された繭のようです 00:03:29.579 --> 00:03:32.169 テクノロジーがこれを可能にしました 00:03:32.477 --> 00:03:35.277 一方では テクノロジーのおかげで 00:03:35.277 --> 00:03:38.957 会場に5~6千人もの人を集めて 00:03:38.957 --> 00:03:41.227 コンサートに参加してもらえるわけです 00:03:41.491 --> 00:03:44.631 ただ 前回 このようなイベントに行ったときには 00:03:45.526 --> 00:03:49.317 結局 イベントをずーっと 00:03:49.318 --> 00:03:51.886 家ほどの大きさのスクリーンで 見ることに終始したのです 00:03:51.886 --> 00:03:57.346 実際の演奏者は 遠くの方で 人形のように小さく見えました 00:03:57.346 --> 00:03:59.600 そこで自問したんです 00:03:59.603 --> 00:04:01.273 「これなら 家のパソコンで見ても 00:04:01.273 --> 00:04:05.873 ここで数千人のファンと一緒に見るのと 大差ないのでは?」 00:04:06.203 --> 00:04:09.443 私たちは大事なことを忘れてると思います 00:04:09.963 --> 00:04:13.003 なぜ大金を出して最前列に座りたいのか? 00:04:13.949 --> 00:04:15.729 それは音が良いからではなく 00:04:15.729 --> 00:04:18.289 その行為を近くで感じたいからです 00:04:18.289 --> 00:04:22.150 私たちのDNAや遺伝子に 組み込まれていることです 00:04:22.150 --> 00:04:27.500 人類の大本の習慣では 音楽が儀式の一部だったんです 00:04:27.500 --> 00:04:31.500 私たちはみんな ビートを感じずにはいられない民族なんです 00:04:31.900 --> 00:04:34.500 その音楽を感じたい そうでしょ? 00:04:34.610 --> 00:04:36.280 (足踏と手拍子) 00:04:37.723 --> 00:04:39.552 (笑) (足踏と手拍子) 00:04:39.552 --> 00:04:40.959 (観客の手拍子) 00:04:40.959 --> 00:04:43.889 ほらね 一体感があるんです 00:04:43.889 --> 00:04:47.499 「こうしてくれ」と頼んでないのに 君たちはどうするか分かってました 00:04:47.499 --> 00:04:48.959 これが音楽の力です 00:04:50.769 --> 00:04:55.719 テクノロジーのある面に伴って 失われつつあるものは 00:04:55.719 --> 00:04:59.539 この直接性です これは なくてはならないものです 00:04:59.539 --> 00:05:04.209 実際の音楽演奏の一部になりたいという ニーズは満たされていません 00:05:04.209 --> 00:05:05.421 私たちは 受け身です 00:05:05.421 --> 00:05:08.341 ただ座って 遠くから音楽を楽しんだり 00:05:08.341 --> 00:05:11.721 外界から離れて 自分の中に閉じこもりながら楽しみます 00:05:11.721 --> 00:05:15.301 だから 音楽をただ個々人として 体験しているんです 00:05:15.301 --> 00:05:18.231 大きな集まりの一員としてではないのです 00:05:18.231 --> 00:05:19.136 つまり 00:05:20.081 --> 00:05:22.731 私が言いたいのは 音楽に向き合おうということ 00:05:23.101 --> 00:05:24.511 楽しませてもらうのではなくね 00:05:24.721 --> 00:05:28.981 さて 楽しませるといえば 「エンターテイメント」です 00:05:29.409 --> 00:05:34.499 もちろん 音楽はエンターテイメントとして 見られるべきだし そう見てよいものです 00:05:34.809 --> 00:05:37.019 でも単にそれだけではありません 00:05:37.479 --> 00:05:39.489 それ以上にはるかに価値があります 00:05:39.489 --> 00:05:43.199 音楽を通してできる表現の幅は 00:05:43.199 --> 00:05:45.499 単なるエンターテイメントより ずっと広いのです 00:05:45.499 --> 00:05:48.069 「エンターテイメント」と聞いて 00:05:48.069 --> 00:05:51.839 私が最初に思い浮かべる音楽は とても軽くて 聴きやすい 00:05:51.839 --> 00:05:54.689 取るに足らないというか 後ろの方で流れていそうな 00:05:54.689 --> 00:05:58.419 エレベーターで掛かってるような音楽 あれがエンターテイメントです 00:05:58.419 --> 00:06:01.509 私は音楽をエンターテイメントとして 考えていません 00:06:01.509 --> 00:06:03.639 音に向き合ってほしいと思って 演奏しています 00:06:03.639 --> 00:06:06.918 それが スイングしたり 跳ねたくなる曲だろうが 00:06:06.925 --> 00:06:08.297 泣ける曲だろうが 00:06:08.304 --> 00:06:11.389 音楽と向き合わせたいのであって 楽しませたいのではありません 00:06:12.391 --> 00:06:15.739 エンターテイメントは悪くないですが 私はそれ以上を望んでいます 00:06:15.739 --> 00:06:20.545 残念なことに 音楽は 過去50年以上にわたり 00:06:20.545 --> 00:06:26.082 とても豊富にあった 気持ちや感情の表現を狭め続け 00:06:26.082 --> 00:06:29.802 限られたコードや音楽用語だけが 00:06:29.802 --> 00:06:33.802 50年以上も くり返し使われています 00:06:34.174 --> 00:06:39.614 これを100%ミュージシャンのせいには できないでしょう 00:06:40.243 --> 00:06:43.803 「エンターテイメント」と聞いて 他に思い浮かべるのは? 00:06:44.473 --> 00:06:45.924 「業界」ですね 00:06:45.924 --> 00:06:50.014 ある時点から 私たちは音楽を 00:06:50.014 --> 00:06:56.504 芸術的価値のある何かというよりも 売れる商品として 00:06:56.504 --> 00:06:59.454 見るようになっていきました 00:06:59.824 --> 00:07:01.434 つまり あるときから 00:07:01.434 --> 00:07:04.647 音楽を売り物と考えるようになったので 00:07:04.649 --> 00:07:08.844 当然 そのゴールは できるだけ多く売ることになりました 00:07:08.844 --> 00:07:11.464 それしか利益を出す方法がないですから 00:07:11.634 --> 00:07:14.734 では 簡単に売れる物とは? 00:07:15.644 --> 00:07:20.444 ぐっと引き込まれるまでに それほど時間がかからない物です 00:07:20.444 --> 00:07:22.954 すごく簡単な例をあげます 00:07:22.954 --> 00:07:24.434 適切じゃないかもしれないけど 00:07:24.694 --> 00:07:26.344 君は今 お腹が空いています 00:07:26.971 --> 00:07:29.421 誰かが一切れのピザをくれました 00:07:29.421 --> 00:07:34.941 でも手元には 素晴らしく新鮮で 市場直送の様々な― 00:07:34.941 --> 00:07:38.841 栄養満点の野菜や 必要な材料が全部そろっていて 00:07:39.111 --> 00:07:41.771 約30分後には食べられる状況です 00:07:41.771 --> 00:07:43.421 つまり料理しないといけない 00:07:43.421 --> 00:07:45.151 さあ どうするか 00:07:45.151 --> 00:07:47.641 腹ぺこの君はピザを選ぶわけです 00:07:47.641 --> 00:07:49.741 パッと短時間で満たされたいから 00:07:49.741 --> 00:07:52.461 こんな構図で 音楽業界は 私たちに音楽を与えています 00:07:52.461 --> 00:07:54.361 満足感を瞬時に与えます 00:07:54.361 --> 00:07:57.331 それについて考えることも 分析する必要もなく 00:07:57.331 --> 00:08:00.211 音楽がパッと入ってきて 私たちを喜ばせ 満たしてくれます 00:08:00.211 --> 00:08:02.931 もし毎日ピザを食べ続けたらどうなるか 00:08:02.931 --> 00:08:05.231 食生活に及ぼす影響は 分かりますよね 00:08:05.231 --> 00:08:06.923 身体に良くないと分かっていても 00:08:06.929 --> 00:08:10.401 続けてしまうのは マーケティングの魔法と 00:08:10.401 --> 00:08:12.611 この業界がもたらす全てのものが理由です 00:08:14.328 --> 00:08:19.558 ここでのポイントはこうです 業界は良いものです 00:08:19.558 --> 00:08:22.948 私たちが聴いている音楽が 楽しいのは事実だけど 00:08:22.948 --> 00:08:25.338 音楽を単に エンターテイメントや 00:08:25.338 --> 00:08:27.438 取引する商品として見ないでください 00:08:27.696 --> 00:08:32.626 私たちは音楽を非音楽的な方法で 評価しているように思います 00:08:32.626 --> 00:08:34.826 「どれくらい売れるか」を話してばかりで 00:08:34.826 --> 00:08:36.786 「どれくらい良いか」じゃありません 00:08:36.786 --> 00:08:41.586 このような音楽の二重性 つまり 異なる2つのものとしての見方は 00:08:42.716 --> 00:08:44.386 デザインのことを想起させます 00:08:44.386 --> 00:08:47.266 まじめな話 この3つの単語を考えたとき 00:08:47.266 --> 00:08:51.406 「デザイン」を「アート」に 替えたらどうかと思いました 00:08:51.406 --> 00:08:53.426 すごく良い略語ができます 00:08:53.446 --> 00:08:58.246 「TEA Talks」 リラックスして お茶を飲みながら話す 00:08:58.246 --> 00:08:59.806 「TED Talks」とは大違い 00:08:59.806 --> 00:09:03.806 でも残念なことにデザインがあって... いや残念ではないですが 00:09:04.221 --> 00:09:06.031 つまりデザインとは何か? 00:09:06.321 --> 00:09:08.591 アートとデザインの違いは? 00:09:09.175 --> 00:09:11.851 デザインは2つの目的を追及します 00:09:11.851 --> 00:09:16.661 見て美しいこと そして機能的であることです 00:09:17.399 --> 00:09:20.879 マルチタスクについて語られる全てを 00:09:20.879 --> 00:09:25.779 アートに持ち込んだようなものです 双方を共に満たしなさい と 00:09:27.269 --> 00:09:30.879 今日は学生がたくさんいるので ある質問をしたいと思います 00:09:30.879 --> 00:09:34.999 高校で音楽に関わったことがある人は? 00:09:35.740 --> 00:09:38.500 なるほど ここは良い大学ですね 00:09:39.264 --> 00:09:43.904 では 頭の片隅でこう思ったことがある人は? 00:09:43.904 --> 00:09:47.204 「これは受験で有利になるぞ」と 00:09:47.204 --> 00:09:50.514 遠慮しないで ここだけの話です 私にしか見えませんから 00:09:50.514 --> 00:09:52.394 こう言ったことがある人は? 00:09:52.394 --> 00:09:54.834 「僕はオーケストラで演奏してるし 00:09:54.834 --> 00:09:56.854 受験で有利になるはずだ」 00:09:56.854 --> 00:09:58.534 誰もいない? 00:09:58.895 --> 00:10:02.785 私の生徒はこう言ってますよ 「音楽は絶対に取った方がいいな 00:10:02.785 --> 00:10:05.195 色々興味があって視野が広いというアピールは 00:10:05.195 --> 00:10:08.185 大学の受験で有利になるから」と 00:10:09.305 --> 00:10:15.185 私はこういう発想にはウンザリです 数学科に入るために必要な何かの資質を 00:10:15.568 --> 00:10:17.768 音楽を使って示そうだなんて 00:10:18.248 --> 00:10:19.478 研究によれば 00:10:19.478 --> 00:10:22.798 音楽を勉強したり 音楽に関わることは 00:10:22.798 --> 00:10:26.948 幼少期の情緒的・知的発達に 良いということです 00:10:27.968 --> 00:10:30.868 前から知られてましたが 今や 科学が証明しています 00:10:32.045 --> 00:10:34.465 では これまでに 自分の研究に役立ちそうだからと 00:10:34.465 --> 00:10:36.869 小説を読んだことのある人はいますか? 00:10:36.869 --> 00:10:40.439 役立つけど それが小説を読む 一番の理由ではないはずです 00:10:40.879 --> 00:10:42.149 物理学を勉強するのは 00:10:42.149 --> 00:10:44.919 優れた運動選手になりたいから? 00:10:45.459 --> 00:10:46.404 違います! 00:10:46.410 --> 00:10:49.229 物理学を勉強するのは 00:10:49.229 --> 00:10:51.789 それによって学べる良いことがあるからです 00:10:51.789 --> 00:10:53.964 だから音楽も音楽として考えましょう 00:10:53.964 --> 00:10:57.229 音楽のために音楽を勉強し 美学の良さを学び 00:10:57.229 --> 00:10:59.819 人との関わりの中で 音楽がどう作用するかを知り 00:10:59.819 --> 00:11:02.399 他者と音楽を創作するために 音楽を勉強しましょう 00:11:02.399 --> 00:11:05.739 音楽以外のことのために 音楽を勉強しないでください 00:11:06.220 --> 00:11:08.825 最近の傾向で 気付いたことがあります 00:11:08.825 --> 00:11:11.070 君たちにも知ってほしいんですが 00:11:11.070 --> 00:11:17.400 現代では常に 音楽を上の空で聴き 音楽との関わりが薄れています 00:11:18.936 --> 00:11:24.376 音楽をとても単純なもの 楽しくて愉快なものとして見ていて 00:11:24.376 --> 00:11:26.456 もっと深くまで掘り下げようとしません 00:11:26.456 --> 00:11:30.146 そして音楽は あまりにも単純なルールに 帰着させられています 00:11:30.146 --> 00:11:32.816 音楽が秘めた様々な美しさは どこへ行ってしまったのでしょう 00:11:34.370 --> 00:11:37.410 また 音楽業界の仕組みが原因ですが 00:11:37.410 --> 00:11:42.220 多様性というのは 私たちが望むほどは 現れていません 00:11:42.580 --> 00:11:44.560 私が育った地域は 00:11:44.570 --> 00:11:50.580 130キロの範囲の中で 7、8か国語が使われているような場所で 00:11:50.580 --> 00:11:54.930 音楽もまた 7、8種類の文化がありました 00:11:55.666 --> 00:11:57.896 私がアメリカ合衆国に来たとき 00:11:57.896 --> 00:12:01.786 ラジオで色々な音楽を聴こうと思っても 流れてくるのは ただただ― 00:12:01.786 --> 00:12:04.216 ポップソングだけでした 00:12:04.438 --> 00:12:08.438 フランス語や 他の言語は聞けず 00:12:08.438 --> 00:12:12.378 英語だけだったので 昔の環境が恋しくなりました 00:12:13.563 --> 00:12:16.753 さて この状況をどうしましょうか? 00:12:16.753 --> 00:12:18.773 今後どのようなステップを踏んで 00:12:18.773 --> 00:12:21.533 日常に音楽を関連させることができますか? 00:12:21.933 --> 00:12:26.903 まず 演奏者や教育者という 私の背景を基に述べるなら 00:12:26.903 --> 00:12:31.203 できるだけ多くの人を 音楽に関わらせることが最初の段階です 00:12:31.203 --> 00:12:34.853 どんな年齢でも簡単なことです 00:12:35.213 --> 00:12:36.943 子供がいる人や これから親になる人は 00:12:36.943 --> 00:12:40.643 子供が3カ月になれば 音楽レッスンを受けさせて大丈夫です 00:12:40.898 --> 00:12:44.468 その後 君たちが小学校で 経験したようなことをします 00:12:44.468 --> 00:12:46.708 音楽を演奏し 音楽教室を探し回る 00:12:46.708 --> 00:12:49.068 そして 君たちのように大学生になると 00:12:49.068 --> 00:12:50.688 おそらく一番大変な時期になります 00:12:50.688 --> 00:12:53.208 いろんなことが起こる時期ですから 00:12:53.208 --> 00:12:56.088 音楽の時間を見つけるのは 至難の業になります 00:12:56.088 --> 00:12:58.768 それでも 頑張って 時間を見つけてください 00:12:58.768 --> 00:13:01.298 一方で プロのミュージシャンなら 00:13:01.298 --> 00:13:03.808 自分から出向いて 観客を探さなければなりません 00:13:03.808 --> 00:13:06.048 観客が来てくれるのを 待っていてはダメです 00:13:06.048 --> 00:13:08.258 外に出て 学校や図書館に行ってください 00:13:08.258 --> 00:13:11.218 そうやって明日の観客を獲得していくんです 00:13:11.218 --> 00:13:16.098 そして 私たちは教育者として 一般の人が自力で音楽を評価するための 00:13:16.098 --> 00:13:19.198 能力を育てる必要があります 00:13:19.198 --> 00:13:22.088 どんな音楽を聴くべきか 音楽における質とは何か 00:13:22.088 --> 00:13:25.038 音楽業界が与える「正解」を 00:13:25.038 --> 00:13:27.018 受け入れるばかりではいけません 00:13:27.108 --> 00:13:31.478 そして最終的に 自分の目を開き 耳を澄ませて 00:13:31.478 --> 00:13:36.068 できるだけ多くの種類の 文化や音楽やジャンルを 00:13:36.068 --> 00:13:38.998 自分のレパートリーに入れてください 00:13:39.168 --> 00:13:44.118 ここで 自分の大義について 声高に語ることが主眼ではなかったのですが 00:13:44.118 --> 00:13:48.628 もう言わずにはいられませんでした 00:13:48.628 --> 00:13:52.798 そこで 君たちに2つの課題を 残したいと思います 00:13:53.011 --> 00:13:58.601 1つ目は 今 音楽に関わっていない人は 音楽に関わってください 00:13:58.891 --> 00:14:02.221 今より幸せになれます 間違いありません 00:14:02.490 --> 00:14:07.580 すでに音楽に関わっている人は 他の人を誘って それを分かち合い 00:14:07.581 --> 00:14:10.960 自分が音楽を通して得ている利点や 美しさについて話してください 00:14:11.150 --> 00:14:15.710 さあそして これから4時間以内には 00:14:15.710 --> 00:14:19.080 君たち全員がここを出てヘッドホンをするか 00:14:19.080 --> 00:14:22.110 車のラジオをつけるとか 何かするでしょう 00:14:22.492 --> 00:14:29.372 2つ目の課題は チャンネルを合わせたり プレイリストを再生する前に 00:14:29.582 --> 00:14:30.902 こう自問することです 00:14:30.902 --> 00:14:36.602 「いつもと違う音楽を聴いて 何かを変えてみる勇気があるかな?」 00:14:36.602 --> 00:14:37.852 ありがとうございました 00:14:37.852 --> 00:14:40.202 (拍手)