1 00:00:00,000 --> 00:00:03,000 私が7歳で妹が5歳の時 2 00:00:03,000 --> 00:00:06,000 2段ベッドの上で一緒に遊んでいました 3 00:00:06,000 --> 00:00:08,000 当時私は妹より2つ年上で・・・ 4 00:00:08,000 --> 00:00:11,000 今でも2つ年上ですが・・・ 5 00:00:11,000 --> 00:00:14,000 当時は何でも私が仕切っていて 6 00:00:14,000 --> 00:00:16,000 戦争ごっこをすることになりました 7 00:00:16,000 --> 00:00:18,000 それで2段ベッドの上で 8 00:00:18,000 --> 00:00:20,000 一方の端には 9 00:00:20,000 --> 00:00:22,000 私のG.I.ジョーの兵士と武器が並び 10 00:00:22,000 --> 00:00:25,000 もう一方には妹のマイリトルポニーが 11 00:00:25,000 --> 00:00:27,000 騎馬突撃に備えていました 12 00:00:27,000 --> 00:00:29,000 あの日の午後起きたことに関しては 13 00:00:29,000 --> 00:00:32,000 見解の相違があるのですが 今日この場に妹は来ていないので 14 00:00:32,000 --> 00:00:34,000 皆さんに真実をお話しすることにしましょう 15 00:00:34,000 --> 00:00:36,000 (笑) 16 00:00:36,000 --> 00:00:38,000 妹はすこしばかり不器用なところがあって 17 00:00:38,000 --> 00:00:41,000 兄が押しも何もしていないのに 18 00:00:41,000 --> 00:00:43,000 突然ベッドの上から姿を消し 19 00:00:43,000 --> 00:00:45,000 床に落下しました 20 00:00:45,000 --> 00:00:47,000 妹に何が起きたのか恐る恐る 21 00:00:47,000 --> 00:00:50,000 ベッドの脇から覗いてみると 22 00:00:50,000 --> 00:00:52,000 妹は四つん這いで 23 00:00:52,000 --> 00:00:54,000 痛々しく着地していました 24 00:00:54,000 --> 00:00:56,000 私は不安になりました 25 00:00:56,000 --> 00:00:58,000 危ないことをせず 大人しく 26 00:00:58,000 --> 00:01:01,000 妹と遊びなさいと 親にきつく言われていたからです 27 00:01:01,000 --> 00:01:04,000 特に一週間前に妹の腕を 28 00:01:04,000 --> 00:01:06,000 怪我させたばかりということもあって・・・ 29 00:01:06,000 --> 00:01:10,000 (笑) 30 00:01:10,000 --> 00:01:12,000 空想上の狙撃手から妹を守ろうと 31 00:01:12,000 --> 00:01:15,000 勇敢にも押し飛ばしたんです 32 00:01:15,000 --> 00:01:17,000 (笑) 33 00:01:17,000 --> 00:01:19,000 まだお礼も言ってもらっていませんが 34 00:01:19,000 --> 00:01:21,000 必死で助けようとしたんです 35 00:01:21,000 --> 00:01:23,000 妹は弾に気づきもしなかったんですから 36 00:01:23,000 --> 00:01:25,000 私はいつだって兄らしく振る舞ってきたのです 37 00:01:25,000 --> 00:01:27,000 下にいる妹の顔を見ると 38 00:01:27,000 --> 00:01:29,000 痛みと苦しみと驚きに 39 00:01:29,000 --> 00:01:31,000 泣き声を上げそうになっていて 40 00:01:31,000 --> 00:01:34,000 冬の長いお昼寝中の両親を 今にもたたき起こさんとしていました 41 00:01:34,000 --> 00:01:36,000 パニくった7歳児の頭で 42 00:01:36,000 --> 00:01:39,000 悲劇を回避すべく思い付いた唯一のことをしました 43 00:01:39,000 --> 00:01:41,000 お子さんがいれば よく目にするでしょう 44 00:01:41,000 --> 00:01:43,000 こう言ったんです 「エイミー お願い 泣かないで 45 00:01:43,000 --> 00:01:45,000 どんな風に着地したかわかる? 46 00:01:45,000 --> 00:01:48,000 人間なら四つん這いで着地なんてしないよ 47 00:01:48,000 --> 00:01:51,000 これはつまり お前はユニコーンだってことさ」 48 00:01:51,000 --> 00:01:54,000 (笑) 49 00:01:54,000 --> 00:01:57,000 ずるいやり方です 妹にとって 自分が痛みに耐える5歳児ではなく 50 00:01:57,000 --> 00:01:59,000 特別なユニコーンであるという考えほど 51 00:01:59,000 --> 00:02:01,000 魅力的なものはなかったでしょうから 52 00:02:01,000 --> 00:02:04,000 もちろん妹はそんな風に考えたことはありませんでした 53 00:02:04,000 --> 00:02:07,000 操作されている哀れな妹の小さな頭が 54 00:02:07,000 --> 00:02:09,000 葛藤しているのが見て取れました 55 00:02:09,000 --> 00:02:11,000 今経験している痛みと苦しみと驚きに 56 00:02:11,000 --> 00:02:13,000 すべてを傾けるか それとも 57 00:02:13,000 --> 00:02:15,000 新たに見出したユニコーンとしての 58 00:02:15,000 --> 00:02:17,000 自分に浸るか——そして後者が勝ちを収めました 59 00:02:17,000 --> 00:02:19,000 泣き出し 遊ぶのをやめて 親に言いつけ 60 00:02:19,000 --> 00:02:21,000 私に降りかかったであろう 61 00:02:21,000 --> 00:02:23,000 ネガティブな結果を引き起こす代わりに 62 00:02:23,000 --> 00:02:25,000 顔に笑みを広げてベッドの上に駆け戻り 63 00:02:25,000 --> 00:02:28,000 子ユニコーンの優美さを見せたのです・・・ 64 00:02:28,000 --> 00:02:30,000 (笑) 65 00:02:30,000 --> 00:02:32,000 ・・・痛む片足を引きずりながら 66 00:02:32,000 --> 00:02:34,000 5歳と7歳という 67 00:02:34,000 --> 00:02:36,000 この幼年時代に私たちが体験したのは・・・ 68 00:02:36,000 --> 00:02:38,000 当時は何か理解していませんでしたが・・・ 69 00:02:38,000 --> 00:02:41,000 20年後に人間の脳の見方を変えることになる 70 00:02:41,000 --> 00:02:44,000 科学的革命の先駆けだったのです 71 00:02:44,000 --> 00:02:47,000 私たちが体験したのはポジティブ心理学と呼ばれるもので 72 00:02:47,000 --> 00:02:49,000 それは私がここにいる理由であり 73 00:02:49,000 --> 00:02:51,000 日々活動する力になっているものです 74 00:02:51,000 --> 00:02:53,000 この研究について 学問の場以外の 75 00:02:53,000 --> 00:02:55,000 企業や学校などで話すようになったとき 76 00:02:55,000 --> 00:02:57,000 講演をグラフで始めたりしたらいけないと 77 00:02:57,000 --> 00:02:59,000 言われたものです でも講演のはじめに 78 00:02:59,000 --> 00:03:01,000 私が見せたいのはグラフなんです 79 00:03:01,000 --> 00:03:03,000 一見退屈なグラフに見えますが これこそ 80 00:03:03,000 --> 00:03:05,000 私が心躍らせ活動し始める理由なのです 81 00:03:05,000 --> 00:03:07,000 それにこのグラフは何も意味しません 82 00:03:07,000 --> 00:03:09,000 でっち上げたデータですから・・・ 83 00:03:09,000 --> 00:03:13,000 (笑) 84 00:03:13,000 --> 00:03:16,000 これが皆さんの調査データだったなら すごく興奮したでしょう 85 00:03:16,000 --> 00:03:18,000 非常にはっきりした傾向が見られます 86 00:03:18,000 --> 00:03:20,000 だから論文誌にも掲載されるでしょうし 87 00:03:20,000 --> 00:03:22,000 実際それが重要なすべてです 88 00:03:22,000 --> 00:03:24,000 曲線から外れた変な点がある事実は・・・ 89 00:03:24,000 --> 00:03:26,000 変わった人が混じっているのは・・・ 90 00:03:26,000 --> 00:03:29,000 さっき見て誰か分かっているので 91 00:03:29,000 --> 00:03:31,000 問題ではありません 92 00:03:31,000 --> 00:03:33,000 皆さんお分かりでしょうが 問題ないのです 93 00:03:33,000 --> 00:03:35,000 単に削除すればいいのですから 94 00:03:35,000 --> 00:03:37,000 削除できるのは 明らかに測定誤差だからで 95 00:03:37,000 --> 00:03:39,000 それが測定誤差である理由は 96 00:03:39,000 --> 00:03:42,000 私のデータを台無しにしてしまうからです 97 00:03:42,000 --> 00:03:44,000 経済 統計 心理といった授業で 98 00:03:44,000 --> 00:03:47,000 最初に教えているのが何かと言うと 99 00:03:47,000 --> 00:03:50,000 統計的に適切な方法で異常値を抹消する方法です 100 00:03:50,000 --> 00:03:52,000 一番良い曲線が得られるよう 101 00:03:52,000 --> 00:03:54,000 異常値を消すにはどうすれば良いか? 102 00:03:54,000 --> 00:03:56,000 もし私の見出そうとしているのが 103 00:03:56,000 --> 00:03:59,000 「平均的な人は鎮痛剤を何錠飲むべきか」なら それは結構ですが 104 00:03:59,000 --> 00:04:01,000 見出したいと思っているのが 潜在能力や 105 00:04:01,000 --> 00:04:03,000 幸福 生産性 エネルギー 106 00:04:03,000 --> 00:04:05,000 創造性の秘密であるなら このやり方は 107 00:04:05,000 --> 00:04:07,000 科学の名による「平均」教崇拝です 108 00:04:07,000 --> 00:04:09,000 「子どもが教室で読み方を学ぶ早さ」 109 00:04:09,000 --> 00:04:11,000 について質問をしたなら 科学者は 110 00:04:11,000 --> 00:04:13,000 「平均的な子どもが教室で読み方を学ぶ早さ」に言い換えます 111 00:04:13,000 --> 00:04:15,000 「平均的な子どもが教室で読み方を学ぶ早さ」に言い換えます 112 00:04:15,000 --> 00:04:17,000 そして平均に合わせて教室を仕立てるのです 113 00:04:17,000 --> 00:04:19,000 この曲線で平均より下になるようなら 114 00:04:19,000 --> 00:04:21,000 心理学者は色めき立つでしょう 115 00:04:21,000 --> 00:04:24,000 それは抑鬱傾向にあるか障害を持っているということで 116 00:04:24,000 --> 00:04:26,000 両方なら言うことありません 117 00:04:26,000 --> 00:04:28,000 そう望むのは 精神医のビジネスモデルは 118 00:04:28,000 --> 00:04:30,000 1つの問題を抱えて診療を受けに来た人に 119 00:04:30,000 --> 00:04:32,000 問題を10個抱えていると自覚させ 120 00:04:32,000 --> 00:04:34,000 繰り返し通院させることだからです 121 00:04:34,000 --> 00:04:36,000 必要なら子ども時代にも遡り 122 00:04:36,000 --> 00:04:38,000 最終的には患者を正常に戻したいと思いますが 123 00:04:38,000 --> 00:04:40,000 正常というのは単に平均的というに過ぎません 124 00:04:40,000 --> 00:04:42,000 ポジティブ心理学が指摘するのは 125 00:04:42,000 --> 00:04:44,000 平均的に過ぎないものを研究していたら 126 00:04:44,000 --> 00:04:46,000 平均的なものにしかなれないということです 127 00:04:46,000 --> 00:04:48,000 ポジティブな異常値を消してしまうのはなく 128 00:04:48,000 --> 00:04:50,000 あのような分布を見たら むしろ積極的に 129 00:04:50,000 --> 00:04:52,000 なぜかと問うべきです ある人たちの能力は— 130 00:04:52,000 --> 00:04:54,000 なぜ曲線の遙か上なのか? 131 00:04:54,000 --> 00:04:56,000 知的能力 運動能力 音楽センス 132 00:04:56,000 --> 00:04:58,000 創造性 エネルギーのレベル 133 00:04:58,000 --> 00:05:00,000 困難に直面したときの反発力 ユーモアのセンス 134 00:05:00,000 --> 00:05:03,000 それが何であれ 取り除いてしまうのではなく 研究したいのです 135 00:05:03,000 --> 00:05:05,000 そうすれば みんなを 136 00:05:05,000 --> 00:05:07,000 平均まで引き上げるだけでなく 137 00:05:07,000 --> 00:05:10,000 自分の会社や 世界中の学校の平均自体を引き上げる方法だって 138 00:05:10,000 --> 00:05:12,000 分かるかもしれません 139 00:05:12,000 --> 00:05:14,000 このグラフが私にとって大切なのは 140 00:05:14,000 --> 00:05:16,000 ニュースを見ていると その大半は 141 00:05:16,000 --> 00:05:18,000 ポジティブでなく ネガティブなものだからです 142 00:05:18,000 --> 00:05:21,000 ニュースの多くは殺人や汚職や病気や自然災害といった話です 143 00:05:21,000 --> 00:05:23,000 そのため脳は 現実はネガティブなこと 144 00:05:23,000 --> 00:05:25,000 ばかりだと思い込みます 145 00:05:25,000 --> 00:05:27,000 俗に言う 医学部症候群を 146 00:05:27,000 --> 00:05:29,000 起こすのです 147 00:05:29,000 --> 00:05:31,000 医学部に行った知人がいれば分かりますが 148 00:05:31,000 --> 00:05:33,000 彼らは医学部での最初の年に 149 00:05:33,000 --> 00:05:35,000 様々な症状や病気について読むうちに 150 00:05:35,000 --> 00:05:37,000 ふと どれも自分に該当すると気づくのです 151 00:05:37,000 --> 00:05:40,000 私にはボボという義理の弟がいて・・・また別な話になりますが 152 00:05:40,000 --> 00:05:43,000 ボボはユニコーンのエイミーと結婚しました 153 00:05:43,000 --> 00:05:46,000 イエールの医学部にいるボボから 154 00:05:46,000 --> 00:05:49,000 電話がかかってきて言うのです 155 00:05:49,000 --> 00:05:51,000 「ショーン 僕はハンセン病みたいだ」 156 00:05:51,000 --> 00:05:53,000 (笑) 157 00:05:53,000 --> 00:05:55,000 イエールでもきっと珍しことでしょう 158 00:05:55,000 --> 00:05:58,000 私には哀れなボボをどう慰めていいのか分かりませんでした 159 00:05:58,000 --> 00:06:00,000 何しろ 先週ずっと思い悩んでいた更年期障害を 160 00:06:00,000 --> 00:06:02,000 克服したばかりだったんですから (笑) 161 00:06:02,000 --> 00:06:05,000 これで分かるのは 必ずしも現実が私たちを形作るのではなく 162 00:06:05,000 --> 00:06:08,000 脳が世界を見るレンズによって 私たちの現実は形作られるということです 163 00:06:08,000 --> 00:06:11,000 そのレンズを変えれば 自分の幸福を変えられるばかりでなく 164 00:06:11,000 --> 00:06:14,000 あらゆる学習や仕事の結果を変えることもできるのです 165 00:06:14,000 --> 00:06:16,000 私がハーバードに願書を出したのは 166 00:06:16,000 --> 00:06:19,000 やってみただけで 入れるとは思わず 経済的余裕もありませんでした 167 00:06:19,000 --> 00:06:21,000 2週間後に軍の奨学金が取れ 入学を許可されました 168 00:06:21,000 --> 00:06:24,000 突然 可能性のなかったことが現実になったのです 169 00:06:24,000 --> 00:06:27,000 ハーバードに入ったとき 他の人もみんな それを名誉に思い 170 00:06:27,000 --> 00:06:29,000 興奮していることだろうと思いました 171 00:06:29,000 --> 00:06:31,000 周りが自分より頭のいい人ばかりでも 172 00:06:31,000 --> 00:06:33,000 そこにいること自体を幸せに感じるだろうと・・・ 173 00:06:33,000 --> 00:06:35,000 しかし必ずしもそうではないことに 174 00:06:35,000 --> 00:06:37,000 気がつきました 175 00:06:37,000 --> 00:06:39,000 大学での4年の後 176 00:06:39,000 --> 00:06:41,000 寮で他の学生たちと8年過ごしましたが・・・ 177 00:06:41,000 --> 00:06:44,000 ハーバードに頼まれたんです 留年したんじゃありませんよ 178 00:06:44,000 --> 00:06:48,000 (笑) 179 00:06:48,000 --> 00:06:51,000 問題を抱えている学生のカウンセリングを頼まれたんです 180 00:06:51,000 --> 00:06:53,000 その時やった調査や指導で気づいたのは 181 00:06:53,000 --> 00:06:55,000 ハーバードに入るという成功に 182 00:06:55,000 --> 00:06:58,000 はじめは幸せを感じていても 2週間も経つと 183 00:06:58,000 --> 00:07:01,000 頭を占めているのはハーバードにいられるありがたみでも 184 00:07:01,000 --> 00:07:03,000 哲学や物理の勉強のことでもなく 185 00:07:03,000 --> 00:07:05,000 競争 勉強の重荷 厄介な問題 186 00:07:05,000 --> 00:07:07,000 ストレス 不満といったことなのです 187 00:07:07,000 --> 00:07:09,000 ハーバードに入ったばかりの頃 188 00:07:09,000 --> 00:07:12,000 生まれ育ったテキサス州の田舎町から遊びにきた友達と一緒に 189 00:07:12,000 --> 00:07:14,000 一年生の食堂ホールに入りました 190 00:07:14,000 --> 00:07:16,000 食堂を見回していた友達が言いました 191 00:07:16,000 --> 00:07:18,000 「この食堂 ハリー・ポッターに出てくる 192 00:07:18,000 --> 00:07:20,000 ホグワーツみたいだな」その通りでした 193 00:07:20,000 --> 00:07:22,000 映画のホグワーツと ハーバードの食堂です 194 00:07:22,000 --> 00:07:24,000 それから友達は言いました 195 00:07:24,000 --> 00:07:26,000 「ハーバードで幸福の研究をするなんて 196 00:07:26,000 --> 00:07:28,000 時間の無駄じゃないの? ハーバードの学生でいて 197 00:07:28,000 --> 00:07:30,000 どうして不幸に思えるのか分からないよ」 198 00:07:30,000 --> 00:07:32,000 この質問には 199 00:07:32,000 --> 00:07:34,000 幸福に関する科学を理解する鍵が隠れています 200 00:07:34,000 --> 00:07:36,000 この質問は 人の幸福の度合いが 201 00:07:36,000 --> 00:07:39,000 その人の周囲の環境を見て言い当てられるものと仮定していますが 202 00:07:39,000 --> 00:07:41,000 実際には 周囲のことがすべて分かったとしても 203 00:07:41,000 --> 00:07:44,000 その人の長期的な幸福について予想できるのは10%くらいで 204 00:07:44,000 --> 00:07:46,000 あとの90%は周囲の環境ではなく 205 00:07:46,000 --> 00:07:48,000 脳が周囲の環境をどう処理するかに 206 00:07:48,000 --> 00:07:50,000 かかっているということです 207 00:07:50,000 --> 00:07:52,000 そして私たちが 208 00:07:52,000 --> 00:07:54,000 幸福と成功の法則を変えられれば 209 00:07:54,000 --> 00:07:56,000 私たちにできることが変わり 210 00:07:56,000 --> 00:07:58,000 現実を変えることもできるのです 211 00:07:58,000 --> 00:08:00,000 私たちの発見は 仕事での成功について 212 00:08:00,000 --> 00:08:02,000 IQによって予測できるのは25%だけで 213 00:08:02,000 --> 00:08:04,000 残りの75%は 214 00:08:04,000 --> 00:08:07,000 楽観の度合いや 周りからのサポート 215 00:08:07,000 --> 00:08:10,000 ストレスを脅威ではなく挑戦と受け取る能力にかかっているのです 216 00:08:10,000 --> 00:08:13,000 ニューイングランドでも最も格式高い寄宿学校の人と話したとき 217 00:08:13,000 --> 00:08:15,000 彼らは言いました「それは存じています 218 00:08:15,000 --> 00:08:18,000 だから私たちは勉強を教えるだけでなく 健康週間を設けています 219 00:08:18,000 --> 00:08:21,000 みんな楽しんでいますよ 世界的な専門家に話をしてもらうんです 220 00:08:21,000 --> 00:08:23,000 月曜の夜は“青年期の憂鬱” 221 00:08:23,000 --> 00:08:25,000 火曜の夜は“学校における暴力といじめ” 222 00:08:25,000 --> 00:08:27,000 水曜の夜は“摂食障害” 223 00:08:27,000 --> 00:08:29,000 木曜の夜は“薬物乱用” 224 00:08:29,000 --> 00:08:32,000 金曜の夜は“危険なセックス”にするか“幸福”にするかで 225 00:08:32,000 --> 00:08:35,000 まだ決めかねています」(笑) 226 00:08:35,000 --> 00:08:37,000 私は「金曜の夜はたいていの人がそうですよ」と答えました (笑) 227 00:08:37,000 --> 00:08:40,000 私は「金曜の夜はたいていの人がそうですよ」と答えました (笑) 228 00:08:40,000 --> 00:08:43,000 (拍手) 229 00:08:43,000 --> 00:08:45,000 彼らにはお気に召さなかったようです 230 00:08:45,000 --> 00:08:47,000 電話でしばらく沈黙があって それから言いました 231 00:08:47,000 --> 00:08:49,000 「喜んでおたくの学校でお話ししますが 232 00:08:49,000 --> 00:08:52,000 それは“健康週間”というより“病気週間”ですね 233 00:08:52,000 --> 00:08:54,000 あらゆるネガティブなことを解説しながら 234 00:08:54,000 --> 00:08:56,000 ポジティブな話はまるでしていません」 235 00:08:56,000 --> 00:08:58,000 病気がないのが健康ではありません 236 00:08:58,000 --> 00:09:00,000 健康になるためには 237 00:09:00,000 --> 00:09:03,000 幸福と成功の法則を反転させる必要があるのです 238 00:09:03,000 --> 00:09:05,000 この3年間に私は45カ国を巡り 239 00:09:05,000 --> 00:09:07,000 学校や不況下の企業とともに 240 00:09:07,000 --> 00:09:09,000 取り組んできました 241 00:09:09,000 --> 00:09:11,000 気づいたのは ほとんどの企業や学校で 242 00:09:11,000 --> 00:09:13,000 考えられている成功の法則は 243 00:09:13,000 --> 00:09:15,000 「一生懸命がんばれば成功できる 244 00:09:15,000 --> 00:09:18,000 成功すれば幸せになれる」というものだということです 245 00:09:18,000 --> 00:09:20,000 これは多くの人の子育てや マネジメント法 246 00:09:20,000 --> 00:09:22,000 動機付け方法の基礎になっています 247 00:09:22,000 --> 00:09:25,000 これの問題は 科学的に間違っており 逆だということです 248 00:09:25,000 --> 00:09:28,000 第一に 成功するたびに脳がするのは 249 00:09:28,000 --> 00:09:30,000 成功の定義を再設定するということです 250 00:09:30,000 --> 00:09:32,000 良い成績を取れば もっと良い成績を取る 251 00:09:32,000 --> 00:09:34,000 良い学校に入ったら さらに良い学校に入る 252 00:09:34,000 --> 00:09:36,000 良い仕事に就いたら さらに良い仕事に就く 253 00:09:36,000 --> 00:09:38,000 販売目標を達成したら 目標をさらに上げる 254 00:09:38,000 --> 00:09:41,000 幸せが成功の向こう側にあるのなら 脳はいつまでもたどり着けません 255 00:09:41,000 --> 00:09:43,000 私たちがしてきたのは 社会が一体となって 256 00:09:43,000 --> 00:09:46,000 幸せを認知できる範囲外に追いやるということです 257 00:09:46,000 --> 00:09:48,000 それは私たちが「成功したら幸せになれる」 258 00:09:48,000 --> 00:09:50,000 と考えているからです 259 00:09:50,000 --> 00:09:52,000 でも私たちの脳はそれとは逆の順に働くのです 260 00:09:52,000 --> 00:09:55,000 現状へのポジティブさの度合いを引き上げられれば 261 00:09:55,000 --> 00:09:58,000 その人の脳は「幸福優位性」を発揮し始めます 262 00:09:58,000 --> 00:10:00,000 つまりポジティブな脳は ネガティブな脳や 263 00:10:00,000 --> 00:10:02,000 ストレス下の脳よりも 264 00:10:02,000 --> 00:10:04,000 ずっと良く機能するということです 265 00:10:04,000 --> 00:10:07,000 知能が上がり 創造性が高まり 活力が増大します 266 00:10:07,000 --> 00:10:09,000 実際 あらゆる仕事上の結果が 267 00:10:09,000 --> 00:10:11,000 改善されることがわかりました 268 00:10:11,000 --> 00:10:13,000 ポジティブな状態の脳は 269 00:10:13,000 --> 00:10:16,000 ネガティブな状態の脳より31%生産性が高くなります 270 00:10:16,000 --> 00:10:18,000 販売で37%成績が上がります 271 00:10:18,000 --> 00:10:20,000 ネガティブやニュートラルでなく 272 00:10:20,000 --> 00:10:22,000 ポジティブなときに 医者は19%早く正確に 273 00:10:22,000 --> 00:10:24,000 診断するようになります 274 00:10:24,000 --> 00:10:26,000 これは法則を反転させられることを示しています 275 00:10:26,000 --> 00:10:29,000 現状に対してポジティブになることさえできれば 276 00:10:29,000 --> 00:10:31,000 脳は より熱心に 速く 知的に働き 277 00:10:31,000 --> 00:10:34,000 その結果として より成功するようになるのです 278 00:10:34,000 --> 00:10:37,000 幸福と成功の法則をひっくり返すことができれば 279 00:10:37,000 --> 00:10:39,000 自分の脳に本当は何ができるのか見えてきます 280 00:10:39,000 --> 00:10:41,000 ポジティブなときに脳で増加するドーパミンには 281 00:10:41,000 --> 00:10:43,000 2つの役割があります 282 00:10:43,000 --> 00:10:45,000 幸福感を引き起こすだけでなく 283 00:10:45,000 --> 00:10:47,000 あらゆる学習機能をオンにして 284 00:10:47,000 --> 00:10:50,000 世界に対して違ったやり方で適応できるようにするのです 285 00:10:50,000 --> 00:10:52,000 脳がよりポジティブになるよう 286 00:10:52,000 --> 00:10:54,000 訓練する方法を私たちは見つけました 287 00:10:54,000 --> 00:10:57,000 ほんの2分半でできることを21日続けるだけで 288 00:10:57,000 --> 00:10:59,000 脳の回路を書き換えて 289 00:10:59,000 --> 00:11:01,000 より楽観的でより成功するように 290 00:11:01,000 --> 00:11:03,000 脳が働くようになります 291 00:11:03,000 --> 00:11:05,000 今ではどこの会社に行っても 292 00:11:05,000 --> 00:11:07,000 これを教えることにしています 293 00:11:07,000 --> 00:11:09,000 ありがたく思うことを毎日新たに 294 00:11:09,000 --> 00:11:11,000 3つ書くというのを21日間続けましょう 295 00:11:11,000 --> 00:11:13,000 それを終える頃には 296 00:11:13,000 --> 00:11:15,000 世の中にネガティブなものではなく 297 00:11:15,000 --> 00:11:18,000 ポジティブなものをまず見つけようとするパターンが身につきます 298 00:11:18,000 --> 00:11:20,000 過去24時間のポジティブな体験を日記に書けば 299 00:11:20,000 --> 00:11:22,000 脳がそれを追体験することになります 300 00:11:22,000 --> 00:11:25,000 運動は行動が大切であることを脳に教えます 301 00:11:25,000 --> 00:11:27,000 瞑想は 302 00:11:27,000 --> 00:11:30,000 私たちが複数のタスクを同時にしようとして陥る 303 00:11:30,000 --> 00:11:32,000 文化的なADHDを克服して 304 00:11:32,000 --> 00:11:35,000 手元にある1つのタスクに集中できるようにします 305 00:11:35,000 --> 00:11:37,000 そして意識して親切な行動を取りましょう 306 00:11:37,000 --> 00:11:39,000 メールソフトを開くたび 支えてくれる人の誰かに 称賛や感謝の気持ちの 307 00:11:39,000 --> 00:11:41,000 メールソフトを開くたび 支えてくれる人の誰かに 称賛や感謝の気持ちの 308 00:11:41,000 --> 00:11:43,000 ポジティブなメールを書くという人もいます 309 00:11:43,000 --> 00:11:45,000 このような活動をすることで 310 00:11:45,000 --> 00:11:47,000 体同様に脳だってトレーニングできます 311 00:11:47,000 --> 00:11:50,000 そして幸福と成功の法則を反転させ 312 00:11:50,000 --> 00:11:53,000 ポジティブな波紋を広げるだけでなく 313 00:11:53,000 --> 00:11:55,000 本当の革命を生み出すことができるのです 314 00:11:55,000 --> 00:11:57,000 ありがとうございました 315 00:11:57,000 --> 00:12:00,000 (拍手)