私が7歳で妹が5歳の時
2段ベッドの上で一緒に遊んでいました
当時私は妹より2つ年上で・・・
今でも2つ年上ですが・・・
当時は何でも私が仕切っていて
戦争ごっこをすることになりました
それで2段ベッドの上で
一方の端には
私のG.I.ジョーの兵士と武器が並び
もう一方には妹のマイリトルポニーが
騎馬突撃に備えていました
あの日の午後起きたことに関しては
見解の相違があるのですが 今日この場に妹は来ていないので
皆さんに真実をお話しすることにしましょう
(笑)
妹はすこしばかり不器用なところがあって
兄が押しも何もしていないのに
突然ベッドの上から姿を消し
床に落下しました
妹に何が起きたのか恐る恐る
ベッドの脇から覗いてみると
妹は四つん這いで
痛々しく着地していました
私は不安になりました
危ないことをせず 大人しく
妹と遊びなさいと 親にきつく言われていたからです
特に一週間前に妹の腕を
怪我させたばかりということもあって・・・
(笑)
空想上の狙撃手から妹を守ろうと
勇敢にも押し飛ばしたんです
(笑)
まだお礼も言ってもらっていませんが
必死で助けようとしたんです
妹は弾に気づきもしなかったんですから
私はいつだって兄らしく振る舞ってきたのです
下にいる妹の顔を見ると
痛みと苦しみと驚きに
泣き声を上げそうになっていて
冬の長いお昼寝中の両親を 今にもたたき起こさんとしていました
パニくった7歳児の頭で
悲劇を回避すべく思い付いた唯一のことをしました
お子さんがいれば よく目にするでしょう
こう言ったんです 「エイミー お願い 泣かないで
どんな風に着地したかわかる?
人間なら四つん這いで着地なんてしないよ
これはつまり お前はユニコーンだってことさ」
(笑)
ずるいやり方です 妹にとって 自分が痛みに耐える5歳児ではなく
特別なユニコーンであるという考えほど
魅力的なものはなかったでしょうから
もちろん妹はそんな風に考えたことはありませんでした
操作されている哀れな妹の小さな頭が
葛藤しているのが見て取れました
今経験している痛みと苦しみと驚きに
すべてを傾けるか それとも
新たに見出したユニコーンとしての
自分に浸るか——そして後者が勝ちを収めました
泣き出し 遊ぶのをやめて 親に言いつけ
私に降りかかったであろう
ネガティブな結果を引き起こす代わりに
顔に笑みを広げてベッドの上に駆け戻り
子ユニコーンの優美さを見せたのです・・・
(笑)
・・・痛む片足を引きずりながら
5歳と7歳という
この幼年時代に私たちが体験したのは・・・
当時は何か理解していませんでしたが・・・
20年後に人間の脳の見方を変えることになる
科学的革命の先駆けだったのです
私たちが体験したのはポジティブ心理学と呼ばれるもので
それは私がここにいる理由であり
日々活動する力になっているものです
この研究について 学問の場以外の
企業や学校などで話すようになったとき
講演をグラフで始めたりしたらいけないと
言われたものです でも講演のはじめに
私が見せたいのはグラフなんです
一見退屈なグラフに見えますが これこそ
私が心躍らせ活動し始める理由なのです
それにこのグラフは何も意味しません
でっち上げたデータですから・・・
(笑)
これが皆さんの調査データだったなら すごく興奮したでしょう
非常にはっきりした傾向が見られます
だから論文誌にも掲載されるでしょうし
実際それが重要なすべてです
曲線から外れた変な点がある事実は・・・
変わった人が混じっているのは・・・
さっき見て誰か分かっているので
問題ではありません
皆さんお分かりでしょうが 問題ないのです
単に削除すればいいのですから
削除できるのは 明らかに測定誤差だからで
それが測定誤差である理由は
私のデータを台無しにしてしまうからです
経済 統計 心理といった授業で
最初に教えているのが何かと言うと
統計的に適切な方法で異常値を抹消する方法です
一番良い曲線が得られるよう
異常値を消すにはどうすれば良いか?
もし私の見出そうとしているのが
「平均的な人は鎮痛剤を何錠飲むべきか」なら それは結構ですが
見出したいと思っているのが 潜在能力や
幸福 生産性 エネルギー
創造性の秘密であるなら このやり方は
科学の名による「平均」教崇拝です
「子どもが教室で読み方を学ぶ早さ」
について質問をしたなら 科学者は
「平均的な子どもが教室で読み方を学ぶ早さ」に言い換えます
「平均的な子どもが教室で読み方を学ぶ早さ」に言い換えます
そして平均に合わせて教室を仕立てるのです
この曲線で平均より下になるようなら
心理学者は色めき立つでしょう
それは抑鬱傾向にあるか障害を持っているということで
両方なら言うことありません
そう望むのは 精神医のビジネスモデルは
1つの問題を抱えて診療を受けに来た人に
問題を10個抱えていると自覚させ
繰り返し通院させることだからです
必要なら子ども時代にも遡り
最終的には患者を正常に戻したいと思いますが
正常というのは単に平均的というに過ぎません
ポジティブ心理学が指摘するのは
平均的に過ぎないものを研究していたら
平均的なものにしかなれないということです
ポジティブな異常値を消してしまうのはなく
あのような分布を見たら むしろ積極的に
なぜかと問うべきです ある人たちの能力は—
なぜ曲線の遙か上なのか?
知的能力 運動能力 音楽センス
創造性 エネルギーのレベル
困難に直面したときの反発力 ユーモアのセンス
それが何であれ 取り除いてしまうのではなく 研究したいのです
そうすれば みんなを
平均まで引き上げるだけでなく
自分の会社や 世界中の学校の平均自体を引き上げる方法だって
分かるかもしれません
このグラフが私にとって大切なのは
ニュースを見ていると その大半は
ポジティブでなく ネガティブなものだからです
ニュースの多くは殺人や汚職や病気や自然災害といった話です
そのため脳は 現実はネガティブなこと
ばかりだと思い込みます
俗に言う 医学部症候群を
起こすのです
医学部に行った知人がいれば分かりますが
彼らは医学部での最初の年に
様々な症状や病気について読むうちに
ふと どれも自分に該当すると気づくのです
私にはボボという義理の弟がいて・・・また別な話になりますが
ボボはユニコーンのエイミーと結婚しました
イエールの医学部にいるボボから
電話がかかってきて言うのです
「ショーン 僕はハンセン病みたいだ」
(笑)
イエールでもきっと珍しことでしょう
私には哀れなボボをどう慰めていいのか分かりませんでした
何しろ 先週ずっと思い悩んでいた更年期障害を
克服したばかりだったんですから (笑)
これで分かるのは 必ずしも現実が私たちを形作るのではなく
脳が世界を見るレンズによって 私たちの現実は形作られるということです
そのレンズを変えれば 自分の幸福を変えられるばかりでなく
あらゆる学習や仕事の結果を変えることもできるのです
私がハーバードに願書を出したのは
やってみただけで 入れるとは思わず 経済的余裕もありませんでした
2週間後に軍の奨学金が取れ 入学を許可されました
突然 可能性のなかったことが現実になったのです
ハーバードに入ったとき 他の人もみんな それを名誉に思い
興奮していることだろうと思いました
周りが自分より頭のいい人ばかりでも
そこにいること自体を幸せに感じるだろうと・・・
しかし必ずしもそうではないことに
気がつきました
大学での4年の後
寮で他の学生たちと8年過ごしましたが・・・
ハーバードに頼まれたんです 留年したんじゃありませんよ
(笑)
問題を抱えている学生のカウンセリングを頼まれたんです
その時やった調査や指導で気づいたのは
ハーバードに入るという成功に
はじめは幸せを感じていても 2週間も経つと
頭を占めているのはハーバードにいられるありがたみでも
哲学や物理の勉強のことでもなく
競争 勉強の重荷 厄介な問題
ストレス 不満といったことなのです
ハーバードに入ったばかりの頃
生まれ育ったテキサス州の田舎町から遊びにきた友達と一緒に
一年生の食堂ホールに入りました
食堂を見回していた友達が言いました
「この食堂 ハリー・ポッターに出てくる
ホグワーツみたいだな」その通りでした
映画のホグワーツと ハーバードの食堂です
それから友達は言いました
「ハーバードで幸福の研究をするなんて
時間の無駄じゃないの? ハーバードの学生でいて
どうして不幸に思えるのか分からないよ」
この質問には
幸福に関する科学を理解する鍵が隠れています
この質問は 人の幸福の度合いが
その人の周囲の環境を見て言い当てられるものと仮定していますが
実際には 周囲のことがすべて分かったとしても
その人の長期的な幸福について予想できるのは10%くらいで
あとの90%は周囲の環境ではなく
脳が周囲の環境をどう処理するかに
かかっているということです
そして私たちが
幸福と成功の法則を変えられれば
私たちにできることが変わり
現実を変えることもできるのです
私たちの発見は 仕事での成功について
IQによって予測できるのは25%だけで
残りの75%は
楽観の度合いや 周りからのサポート
ストレスを脅威ではなく挑戦と受け取る能力にかかっているのです
ニューイングランドでも最も格式高い寄宿学校の人と話したとき
彼らは言いました「それは存じています
だから私たちは勉強を教えるだけでなく 健康週間を設けています
みんな楽しんでいますよ 世界的な専門家に話をしてもらうんです
月曜の夜は“青年期の憂鬱”
火曜の夜は“学校における暴力といじめ”
水曜の夜は“摂食障害”
木曜の夜は“薬物乱用”
金曜の夜は“危険なセックス”にするか“幸福”にするかで
まだ決めかねています」(笑)
私は「金曜の夜はたいていの人がそうですよ」と答えました (笑)
私は「金曜の夜はたいていの人がそうですよ」と答えました (笑)
(拍手)
彼らにはお気に召さなかったようです
電話でしばらく沈黙があって それから言いました
「喜んでおたくの学校でお話ししますが
それは“健康週間”というより“病気週間”ですね
あらゆるネガティブなことを解説しながら
ポジティブな話はまるでしていません」
病気がないのが健康ではありません
健康になるためには
幸福と成功の法則を反転させる必要があるのです
この3年間に私は45カ国を巡り
学校や不況下の企業とともに
取り組んできました
気づいたのは ほとんどの企業や学校で
考えられている成功の法則は
「一生懸命がんばれば成功できる
成功すれば幸せになれる」というものだということです
これは多くの人の子育てや マネジメント法
動機付け方法の基礎になっています
これの問題は 科学的に間違っており 逆だということです
第一に 成功するたびに脳がするのは
成功の定義を再設定するということです
良い成績を取れば もっと良い成績を取る
良い学校に入ったら さらに良い学校に入る
良い仕事に就いたら さらに良い仕事に就く
販売目標を達成したら 目標をさらに上げる
幸せが成功の向こう側にあるのなら 脳はいつまでもたどり着けません
私たちがしてきたのは 社会が一体となって
幸せを認知できる範囲外に追いやるということです
それは私たちが「成功したら幸せになれる」
と考えているからです
でも私たちの脳はそれとは逆の順に働くのです
現状へのポジティブさの度合いを引き上げられれば
その人の脳は「幸福優位性」を発揮し始めます
つまりポジティブな脳は ネガティブな脳や
ストレス下の脳よりも
ずっと良く機能するということです
知能が上がり 創造性が高まり 活力が増大します
実際 あらゆる仕事上の結果が
改善されることがわかりました
ポジティブな状態の脳は
ネガティブな状態の脳より31%生産性が高くなります
販売で37%成績が上がります
ネガティブやニュートラルでなく
ポジティブなときに 医者は19%早く正確に
診断するようになります
これは法則を反転させられることを示しています
現状に対してポジティブになることさえできれば
脳は より熱心に 速く 知的に働き
その結果として より成功するようになるのです
幸福と成功の法則をひっくり返すことができれば
自分の脳に本当は何ができるのか見えてきます
ポジティブなときに脳で増加するドーパミンには
2つの役割があります
幸福感を引き起こすだけでなく
あらゆる学習機能をオンにして
世界に対して違ったやり方で適応できるようにするのです
脳がよりポジティブになるよう
訓練する方法を私たちは見つけました
ほんの2分半でできることを21日続けるだけで
脳の回路を書き換えて
より楽観的でより成功するように
脳が働くようになります
今ではどこの会社に行っても
これを教えることにしています
ありがたく思うことを毎日新たに
3つ書くというのを21日間続けましょう
それを終える頃には
世の中にネガティブなものではなく
ポジティブなものをまず見つけようとするパターンが身につきます
過去24時間のポジティブな体験を日記に書けば
脳がそれを追体験することになります
運動は行動が大切であることを脳に教えます
瞑想は
私たちが複数のタスクを同時にしようとして陥る
文化的なADHDを克服して
手元にある1つのタスクに集中できるようにします
そして意識して親切な行動を取りましょう
メールソフトを開くたび 支えてくれる人の誰かに 称賛や感謝の気持ちの
メールソフトを開くたび 支えてくれる人の誰かに 称賛や感謝の気持ちの
ポジティブなメールを書くという人もいます
このような活動をすることで
体同様に脳だってトレーニングできます
そして幸福と成功の法則を反転させ
ポジティブな波紋を広げるだけでなく
本当の革命を生み出すことができるのです
ありがとうございました
(拍手)