1 00:00:00,525 --> 00:00:02,015 大学では 2 00:00:03,349 --> 00:00:05,003 政治専攻だったので 3 00:00:05,003 --> 00:00:07,303 レポートを沢山 書かなければなりませんでした 4 00:00:07,303 --> 00:00:08,995 普通の学生が レポートを書く場合 5 00:00:08,995 --> 00:00:11,868 作業量はこんな感じに 分布していることでしょう 6 00:00:11,892 --> 00:00:13,043 これだと — 7 00:00:13,067 --> 00:00:14,724 (笑) 8 00:00:14,748 --> 00:00:16,499 はじめは ゆっくりですが 9 00:00:16,499 --> 00:00:18,607 最初の週 十分に 進めておいて 10 00:00:18,607 --> 00:00:20,421 後半 多少負荷が 高くはなっても 11 00:00:20,445 --> 00:00:22,603 秩序ある状態が 保たれています 12 00:00:22,627 --> 00:00:23,829 (笑) 13 00:00:23,853 --> 00:00:26,124 私だって そんな風に やりたいと思います 14 00:00:26,148 --> 00:00:27,342 予定としては 15 00:00:27,366 --> 00:00:29,856 すぐ取りかかる つもりでいますが 16 00:00:29,880 --> 00:00:32,374 実際にレポートを やる段になると 17 00:00:32,398 --> 00:00:34,339 私の場合 こんな風に なってしまいます 18 00:00:34,363 --> 00:00:36,733 (笑) 19 00:00:36,757 --> 00:00:39,260 毎回こういうことに なるんです 20 00:00:39,638 --> 00:00:43,520 それから90ページの 卒論を書くことになりました 21 00:00:43,544 --> 00:00:45,831 1年かけて 書くべきものです 22 00:00:45,855 --> 00:00:49,474 いつものようなやり方が 通用しないのは分かっていました 23 00:00:49,498 --> 00:00:50,899 規模が大きすぎます 24 00:00:50,923 --> 00:00:52,316 それで計画を立てて 25 00:00:52,316 --> 00:00:55,305 こんな感じでやろうと 決めました 26 00:00:55,781 --> 00:00:57,233 1年の計画です 27 00:00:57,257 --> 00:00:59,224 はじめは軽く 28 00:00:59,248 --> 00:01:01,566 中間で少し上がり 29 00:01:01,590 --> 00:01:04,119 終盤でスパートをかける 30 00:01:04,119 --> 00:01:06,059 なだらかな階段の ような感じです 31 00:01:06,059 --> 00:01:07,863 この階段を 上っていくのは 32 00:01:07,863 --> 00:01:09,812 難しいことでは ないでしょう 33 00:01:11,090 --> 00:01:12,900 しかし おかしなことが 起きました 34 00:01:12,924 --> 00:01:14,241 最初の数ヶ月が 35 00:01:14,241 --> 00:01:16,068 やって来ては 過ぎましたが 36 00:01:16,068 --> 00:01:17,647 何もできませんでした 37 00:01:17,647 --> 00:01:19,440 そのため計画は こう変更されます 38 00:01:19,464 --> 00:01:20,631 (笑) 39 00:01:20,655 --> 00:01:21,814 それから — 40 00:01:21,838 --> 00:01:23,720 (笑) 41 00:01:23,744 --> 00:01:26,528 真ん中の期間も 過ぎて行きましたが 42 00:01:26,552 --> 00:01:28,734 書くことができず 43 00:01:28,758 --> 00:01:30,993 こういう状態になります 44 00:01:31,500 --> 00:01:34,076 さらに2ヶ月が 1ヶ月になり 45 00:01:34,100 --> 00:01:35,725 それがさらに 2週間になります 46 00:01:35,749 --> 00:01:37,708 ある朝 目覚めると 47 00:01:37,708 --> 00:01:40,703 締め切りまで 3日しかありません (笑) 48 00:01:41,402 --> 00:01:43,347 まだ一言も 書けておらず 49 00:01:43,347 --> 00:01:45,606 選択の余地はありません 50 00:01:45,606 --> 00:01:48,177 90ページの論文を 72時間で書くことになり 51 00:01:48,177 --> 00:01:50,351 2晩連続で 徹夜しました 52 00:01:50,351 --> 00:01:53,550 人間の体は そんなことするように できてはいませんが 53 00:01:54,283 --> 00:01:56,350 キャンパスを 全力で駆け抜け 54 00:01:56,350 --> 00:01:57,946 時がスローモーションに変わり 55 00:01:57,946 --> 00:01:59,926 締め切りの瞬間に 提出しました 56 00:01:59,926 --> 00:02:02,038 それですべて終わったと 思っていましたが 57 00:02:02,038 --> 00:02:03,587 1週間後に 電話が来ました 58 00:02:03,611 --> 00:02:05,097 大学からです 59 00:02:05,587 --> 00:02:07,506 「ティム・アーバンさんでしょうか?」 60 00:02:07,506 --> 00:02:08,888 「はい」 61 00:02:08,912 --> 00:02:11,252 「提出された論文について お話しがあります」 62 00:02:11,276 --> 00:02:12,531 「はあ」 63 00:02:13,468 --> 00:02:14,690 それで言われたのは 64 00:02:14,720 --> 00:02:17,496 「あんな素晴らしい卒論は 見たことがありません」 65 00:02:17,496 --> 00:02:18,855 (笑) 66 00:02:20,014 --> 00:02:22,704 (拍手) 67 00:02:24,945 --> 00:02:26,247 なんてことは 起こりませんでした 68 00:02:26,271 --> 00:02:28,409 (笑) 69 00:02:28,433 --> 00:02:31,056 まったく酷い論文でした 70 00:02:31,080 --> 00:02:33,354 (笑) 71 00:02:33,378 --> 00:02:36,272 一瞬でいいから みんなに 72 00:02:36,272 --> 00:02:39,407 「この人 天才じゃない?」って 思われたかっただけです 73 00:02:39,431 --> 00:02:40,779 (笑) 74 00:02:40,803 --> 00:02:42,470 まったく酷い論文です 75 00:02:43,343 --> 00:02:45,345 現在の私は 物書きで 76 00:02:45,345 --> 00:02:48,638 「Wait But Why」(だけど何で?) という ブログを書いています 77 00:02:48,638 --> 00:02:52,062 2年ほど前に「先延ばし」について 書こうと決めました 78 00:02:52,062 --> 00:02:55,656 私の振る舞いが いつも 周りの人を困惑させていたので 79 00:02:55,656 --> 00:02:57,602 先延ばし屋の頭の中で 何が起きていて 80 00:02:57,602 --> 00:02:59,433 私たちがなぜ そんな風なのか 81 00:02:59,433 --> 00:03:02,587 世の先延ばし屋でない人たちに 説明したいと思ったんです 82 00:03:02,587 --> 00:03:04,513 先延ばし屋の脳と 83 00:03:04,513 --> 00:03:06,346 そうでない人の脳には 84 00:03:06,346 --> 00:03:08,933 きっと違いが あるはずだと思い 85 00:03:09,698 --> 00:03:11,243 それを確認するため 86 00:03:11,243 --> 00:03:14,345 私の脳と 先延ばし屋でないことが 確かな人の脳の 87 00:03:14,369 --> 00:03:16,868 MRIを取ってくれる 所を見つけ 88 00:03:16,868 --> 00:03:18,553 比較してみる ことにしました 89 00:03:18,553 --> 00:03:20,898 その結果を今日 ここに持ってきています 90 00:03:20,898 --> 00:03:23,743 違いが分かるか注意して 見てほしいと思います 91 00:03:23,743 --> 00:03:26,667 脳の専門家でもなければ 分かりにくい違いですが 92 00:03:26,667 --> 00:03:28,688 まあ とにかく 見てみてください 93 00:03:28,688 --> 00:03:30,675 これが先延ばし屋では ない人の脳です 94 00:03:30,675 --> 00:03:34,109 [理性的意志決定者] (笑) 95 00:03:34,133 --> 00:03:35,584 これに対し 96 00:03:35,945 --> 00:03:37,609 私の脳だと — 97 00:03:37,609 --> 00:03:41,276 [すぐにご褒美が欲しいおサル] (笑) 98 00:03:43,563 --> 00:03:45,417 これが両者の違いです 99 00:03:45,904 --> 00:03:48,166 どちらの脳にも 「理性的意志決定者」がいますが 100 00:03:48,166 --> 00:03:50,368 先延ばし屋の脳の場合には それに加えて 101 00:03:50,368 --> 00:03:52,978 「すぐにご褒美が欲しいおサル」 がいるんです 102 00:03:53,002 --> 00:03:55,304 それが先延ばしに どう関わるのか? 103 00:03:55,328 --> 00:03:57,769 万事は順調です こうなるまでは 104 00:03:57,793 --> 00:04:00,415 「少し仕事しといた方がいいな」 「やだね」 105 00:04:00,439 --> 00:04:02,036 理性的意志決定者は 106 00:04:02,036 --> 00:04:05,291 何か生産的なことをするという 理性的決断をしますが 107 00:04:05,315 --> 00:04:07,266 おサルはそれが 気に入りません 108 00:04:07,290 --> 00:04:09,418 それで舵を横取りして 言うのです 109 00:04:09,418 --> 00:04:11,703 「そうだ ナンシー・ケリガンと トーニャ・ハーディングの 110 00:04:11,727 --> 00:04:13,863 事件に関する ウィキペディアの記事を読もう 111 00:04:13,887 --> 00:04:16,017 そんなことがあったのを 思い出したから 112 00:04:16,041 --> 00:04:17,058 (笑) 113 00:04:17,082 --> 00:04:18,240 それから — 114 00:04:18,264 --> 00:04:19,527 (笑) 115 00:04:19,551 --> 00:04:21,123 冷蔵庫を調べに行って 116 00:04:21,123 --> 00:04:24,203 10分前から何か変わっている ことがないか確認しなきゃ 117 00:04:24,203 --> 00:04:27,141 そのあとは YouTubeスパイラルが待っている 118 00:04:27,165 --> 00:04:30,415 リチャード・ファインマンが 磁石について語るビデオから始って 119 00:04:30,439 --> 00:04:32,049 ずーっと後の 120 00:04:32,049 --> 00:04:35,059 ジャスティン・ビーバーのママの インタビューまで見るんだ 121 00:04:35,083 --> 00:04:37,245 (笑) 122 00:04:37,245 --> 00:04:39,448 それで当分 手一杯だから 123 00:04:39,448 --> 00:04:41,168 悪いけど 今日はもう 124 00:04:41,168 --> 00:04:43,771 仕事を入れる 余裕なんてないね」 125 00:04:43,795 --> 00:04:44,960 (ため息) 126 00:04:46,325 --> 00:04:49,694 何が起きているんでしょう? 127 00:04:51,481 --> 00:04:53,166 おサルは 128 00:04:53,166 --> 00:04:55,450 舵取りをして欲しい 相手ではありません 129 00:04:55,474 --> 00:04:57,419 今の瞬間だけに 生きています 130 00:04:57,443 --> 00:05:00,271 過去の記憶も 未来についての知識もなく 131 00:05:00,295 --> 00:05:01,992 気にかけるのは ただ2つ 132 00:05:02,016 --> 00:05:04,009 ラクで楽しいことだけ 133 00:05:04,338 --> 00:05:07,430 動物の世界であれば それで問題はありません 134 00:05:07,454 --> 00:05:08,662 犬であれば 135 00:05:08,686 --> 00:05:11,841 ずっとラクで楽しいことだけ やって過ごすのは 136 00:05:11,841 --> 00:05:13,446 大成功の生き方でしょう 137 00:05:13,470 --> 00:05:15,381 (笑) 138 00:05:15,405 --> 00:05:16,691 おサルにとっては 139 00:05:17,969 --> 00:05:20,037 人間も動物の一種に 過ぎません 140 00:05:20,037 --> 00:05:23,927 よく食べ よく眠り 次の世代を 生み出しさえすればいい 141 00:05:23,927 --> 00:05:27,273 原始生活をしていた頃は それでも良かったかもしれませんが 142 00:05:27,273 --> 00:05:29,777 今や原始生活をしている わけではありません 143 00:05:29,801 --> 00:05:34,194 我々は進んだ文明社会にいますが おサルにはそれが何か分かっていません 144 00:05:34,194 --> 00:05:35,463 脳にもう1人 145 00:05:35,463 --> 00:05:38,628 「理性的意志決定者」が いるのはそのためで 146 00:05:38,652 --> 00:05:41,679 他の動物にはない能力を 与えてくれます 147 00:05:41,703 --> 00:05:43,624 私たちは未来を想像し 148 00:05:43,648 --> 00:05:45,314 大局を見ることができ 149 00:05:45,314 --> 00:05:46,994 長期的計画を 立てられます 150 00:05:46,994 --> 00:05:50,088 理性的意志決定者は すべてのことを考慮に入れ 151 00:05:50,088 --> 00:05:52,699 今 自分の為すべきことを 152 00:05:52,699 --> 00:05:54,755 やらせようとします 153 00:05:54,755 --> 00:05:56,424 ラクで楽しいことを するのが 154 00:05:56,424 --> 00:05:58,267 理にかなっている こともあります 155 00:05:58,291 --> 00:06:00,652 晩ご飯の時や 眠る時や 156 00:06:00,652 --> 00:06:02,218 余暇の時など 157 00:06:02,218 --> 00:06:03,928 両者には 重なる部分があり 158 00:06:03,928 --> 00:06:05,536 意見が合うことも あります 159 00:06:05,560 --> 00:06:08,382 しかし 大局的な判断として 160 00:06:08,406 --> 00:06:11,362 難しくてあまり楽しくない ことをするのが 161 00:06:11,362 --> 00:06:13,572 理にかなう場合もあります 162 00:06:13,596 --> 00:06:15,885 そういうときに 対立が生じます 163 00:06:15,885 --> 00:06:17,442 先延ばし屋の場合 164 00:06:17,442 --> 00:06:20,035 この対立がいつも ある結果に終わる傾向があり 165 00:06:20,035 --> 00:06:23,759 多くの時間をオレンジ色で示した部分で 過ごすことになります 166 00:06:23,759 --> 00:06:27,784 やるのが理にかなわない ラクで楽しいことです 167 00:06:27,784 --> 00:06:30,573 私はこの領域を 「暗黒の遊び場」と呼んでいます 168 00:06:30,573 --> 00:06:31,911 (笑) 169 00:06:31,935 --> 00:06:35,063 暗黒の遊び場は — 170 00:06:35,087 --> 00:06:38,479 先延ばし屋がみんな よく知っている場所で 171 00:06:38,782 --> 00:06:40,976 遊んでいる場合 じゃないときに 172 00:06:40,976 --> 00:06:44,090 遊ぶことになる場所です 173 00:06:44,090 --> 00:06:46,868 暗黒の遊び場での楽しみは 実際に楽しくはありません 174 00:06:46,868 --> 00:06:48,935 それは得るべきではない 楽しみで 175 00:06:48,935 --> 00:06:51,818 罪悪感 怖れ 不安 自己嫌悪といった 176 00:06:51,818 --> 00:06:54,726 お馴染みの 先延ばしの感覚に 満ちています 177 00:06:54,726 --> 00:06:57,833 問題は おサルが 舵を取っている状況で 178 00:06:57,833 --> 00:07:00,250 先延ばし屋は いかにして青い領域 179 00:07:00,250 --> 00:07:05,101 快適さは劣るが本当に重要なことが 起きる場所に 移れるかということです 180 00:07:05,125 --> 00:07:10,162 実は先延ばし屋には 守護天使がいて 181 00:07:10,186 --> 00:07:13,288 いつも見守って くれています 182 00:07:13,288 --> 00:07:14,772 最悪の時だろうとも 183 00:07:14,772 --> 00:07:17,117 それは「パニック・モンスター」とも 呼ばれています 184 00:07:17,237 --> 00:07:20,069 [パニック・モンスター] (笑) 185 00:07:22,386 --> 00:07:27,130 パニック・モンスターは ほとんどの場合 眠っていますが 186 00:07:27,130 --> 00:07:31,356 締め切りが迫る 面目を失いそう 職業上の危機といった 187 00:07:31,356 --> 00:07:33,941 恐ろしい結末が 近づいているとき 188 00:07:33,941 --> 00:07:35,776 突然目を覚まします 189 00:07:35,800 --> 00:07:39,972 重要なのは それがおサルの唯一 恐れるものだということです 190 00:07:39,996 --> 00:07:44,574 ごく最近 私はそのお世話に なることがありました 191 00:07:44,598 --> 00:07:47,598 半年前にTEDの人たちが コンタクトしてきて 192 00:07:47,598 --> 00:07:50,379 TEDトークをしてみないかと 誘われたのです 193 00:07:50,379 --> 00:07:52,341 (笑) 194 00:07:54,888 --> 00:07:56,719 もちろん「やります」と答えました 195 00:07:56,719 --> 00:08:01,024 「昔TEDトークをしたことがある」と言える ようになるのが 長年の夢だったんです 196 00:08:01,024 --> 00:08:04,790 [TEDトークならしたことあるよ] (笑) 197 00:08:04,814 --> 00:08:08,511 (拍手) 198 00:08:12,203 --> 00:08:14,056 この興奮のさなかにあって 199 00:08:14,056 --> 00:08:17,101 理性的意志決定者は 別のことを気にかけています 200 00:08:17,101 --> 00:08:19,913 「何を引き受けたか 分かってる? 201 00:08:19,913 --> 00:08:23,326 将来のある日に起きることが何か 分かってんの? 202 00:08:23,326 --> 00:08:25,587 今すぐ腰を据えて 取りかからないと!」 203 00:08:25,587 --> 00:08:27,645 おサルが それに答えます 「まったく賛成だけど 204 00:08:27,645 --> 00:08:31,760 取りあえず Googleアースを開いて インドの下端を地上60mまで拡大し 205 00:08:31,760 --> 00:08:34,865 2時間半スクロールして 上の端まで行ったら 206 00:08:34,865 --> 00:08:37,923 インドのイメージが よく掴めるんじゃないかな」 207 00:08:37,923 --> 00:08:42,212 (笑) 208 00:08:42,759 --> 00:08:45,064 それで その日はずっと それをしていました 209 00:08:45,064 --> 00:08:47,328 (笑) 210 00:08:48,604 --> 00:08:52,500 6ヶ月が 4ヶ月になり 2ヶ月になり 1ヶ月になり 211 00:08:52,524 --> 00:08:55,619 TEDが講演者の一覧を 公開しました 212 00:08:55,643 --> 00:08:57,379 そのページを開くと 213 00:08:57,379 --> 00:08:59,599 見つめ返す自分の顔が そこにありました 214 00:08:59,599 --> 00:09:01,499 それで誰が 目覚めたでしょう? 215 00:09:01,499 --> 00:09:04,398 (笑) 216 00:09:05,430 --> 00:09:07,880 パニック・モンスターが 半狂乱になり 217 00:09:07,904 --> 00:09:10,970 すぐにシステム全体が 大混乱に陥りました 218 00:09:10,970 --> 00:09:13,120 (笑) 219 00:09:15,201 --> 00:09:18,306 おサルがパニック・モンスターを 恐れるのを思い出してください 220 00:09:18,306 --> 00:09:19,914 それで木の上に 逃げ出します 221 00:09:19,914 --> 00:09:20,979 これでようやく 222 00:09:20,993 --> 00:09:23,473 理性的意志決定者が 舵を取れるようになって 223 00:09:23,473 --> 00:09:25,791 私は講演の準備に 取りかかれました 224 00:09:25,791 --> 00:09:27,643 パニック・モンスターにより 225 00:09:27,667 --> 00:09:31,148 先延ばし屋の常軌を逸した 振る舞いも説明でき 226 00:09:31,172 --> 00:09:33,506 2週間かけて レポートの 227 00:09:33,530 --> 00:09:37,068 出だしの1行も 書けずにいたのが 228 00:09:37,068 --> 00:09:39,813 奇跡のように強烈な 労働倫理に目覚め 229 00:09:39,813 --> 00:09:43,649 夜通しかけて8ページ書き上げる なんてことも起きるのです 230 00:09:44,215 --> 00:09:47,437 これが 3人の登場人物のいる 全体の状況 231 00:09:47,437 --> 00:09:49,771 先延ばし屋のシステムです 232 00:09:50,096 --> 00:09:53,521 きれいなものではありませんが 最終的には機能します 233 00:09:53,545 --> 00:09:57,461 これが2年前ブログに 書くことにした内容です 234 00:09:57,461 --> 00:10:00,602 書いてみると ブログへの反応に 驚くことになりました 235 00:10:00,626 --> 00:10:02,779 文字通り何千という メールが 236 00:10:02,803 --> 00:10:05,094 世界中から 寄せられました 237 00:10:05,094 --> 00:10:06,916 実に様々な人々から 238 00:10:06,916 --> 00:10:10,332 看護師 銀行員 画家 エンジニア 239 00:10:10,356 --> 00:10:12,678 そして実に多くの 大学院生 240 00:10:12,702 --> 00:10:14,703 (笑) 241 00:10:14,727 --> 00:10:16,729 みんな書いている ことは一緒でした 242 00:10:16,729 --> 00:10:19,111 「自分も同じ問題を抱えています」 243 00:10:19,111 --> 00:10:22,028 しかし そのブログ記事の軽さと 244 00:10:22,028 --> 00:10:24,963 受け取ったメールの重さは 対照的でした 245 00:10:24,987 --> 00:10:28,070 先延ばしが彼らの人生に 及ぼしている影響への 246 00:10:28,094 --> 00:10:30,820 強い苛立ちをもって 書かれていたんです 247 00:10:30,820 --> 00:10:33,580 おサルのせいで どんな目に遭っているかと 248 00:10:34,902 --> 00:10:37,432 それを見て思いました 249 00:10:37,432 --> 00:10:41,004 先延ばし屋のシステムは機能するのに どうなっているんだろう? 250 00:10:41,028 --> 00:10:43,694 なぜ彼らはそんな 暗澹とした状態にあるのか? 251 00:10:43,694 --> 00:10:47,316 分かったのは 先延ばしにも 2種類あるということです 252 00:10:47,987 --> 00:10:49,555 私の話した例では 253 00:10:49,555 --> 00:10:50,960 締め切りがありました 254 00:10:50,960 --> 00:10:52,252 締め切りがあると 255 00:10:52,252 --> 00:10:55,161 先延ばしの影響は 短い期間に限定され 256 00:10:55,161 --> 00:10:57,628 パニック・モンスターが 登場します 257 00:10:57,628 --> 00:10:59,716 しかし別の種類の 先延ばしもあって 258 00:10:59,716 --> 00:11:02,687 それには締め切りが ありません 259 00:11:02,687 --> 00:11:05,957 個人事業家や 芸術家のような 260 00:11:05,957 --> 00:11:07,938 起業的な仕事の場合 261 00:11:07,938 --> 00:11:10,187 はじめのうちは 締め切りがありません 262 00:11:10,187 --> 00:11:12,085 出かけていって 何かをし 263 00:11:12,085 --> 00:11:15,411 軌道に乗って 走り出すまでは 何も起こらないからです 264 00:11:15,411 --> 00:11:17,717 また仕事以外で 大切なことには 265 00:11:17,717 --> 00:11:19,856 締め切りのないものが たくさんあります 266 00:11:19,856 --> 00:11:22,935 家族に会いに行くとか 運動し健康を保つとか 267 00:11:22,935 --> 00:11:24,683 人間関係を築くとか 268 00:11:24,683 --> 00:11:27,564 うまくいかない関係を 解消するとか 269 00:11:27,568 --> 00:11:31,250 先延ばし屋がこういった難しいことを するためのメカニズムが 270 00:11:31,250 --> 00:11:34,645 パニック・モンスターだけだったとすると 問題があります 271 00:11:34,649 --> 00:11:36,773 締め切りがない状況では 272 00:11:36,773 --> 00:11:39,105 パニック・モンスターは 現れないからです 273 00:11:39,105 --> 00:11:40,597 目覚めさせるものがなく 274 00:11:40,611 --> 00:11:42,653 先延ばしの影響が 限定されず 275 00:11:42,653 --> 00:11:45,703 いつまでも 先延ばしし続ける ことになります 276 00:11:45,953 --> 00:11:48,693 そのような長期的な類の 先延ばしは 277 00:11:48,717 --> 00:11:52,328 滑稽で短期的な 締め切りのある先延ばしに比べ 278 00:11:52,328 --> 00:11:54,723 目に付きにくく 語られることもありません 279 00:11:54,747 --> 00:11:58,150 通常 ひとり静かに 苛まれることになり 280 00:11:58,356 --> 00:12:01,820 長期的で大きな 不幸や後悔の 281 00:12:01,820 --> 00:12:03,729 源になり得ます 282 00:12:04,356 --> 00:12:06,852 それが あの人たちが メールを書いた理由であり 283 00:12:06,852 --> 00:12:09,974 そんな酷い状況にある 理由なんだと思いました 284 00:12:09,998 --> 00:12:13,002 何かのプロジェクトで缶詰に なっているわけではありません 285 00:12:13,002 --> 00:12:15,121 長期的な先延ばしは 286 00:12:15,121 --> 00:12:18,494 自分の人生に対し 傍観者のように感じさせます 287 00:12:18,494 --> 00:12:21,576 彼らの苛立ちは 夢を実現できないことではなく 288 00:12:21,600 --> 00:12:24,719 夢を追い始めることさえ できずにいることなのです 289 00:12:24,719 --> 00:12:28,896 そういうメールを読んでいて ひらめいたことがあります 290 00:12:30,182 --> 00:12:33,582 先延ばし屋でない人なんて いないということです 291 00:12:33,979 --> 00:12:37,215 みんな先延ばし屋なんです 292 00:12:37,898 --> 00:12:39,896 私みたいにメチャクチャでは 293 00:12:39,896 --> 00:12:41,186 ないにしても 294 00:12:41,210 --> 00:12:42,703 (笑) 295 00:12:42,703 --> 00:12:46,033 締め切りと健全な関係を 保てているかもしれません 296 00:12:46,033 --> 00:12:48,151 でも おサルの問題が 一番嫌らしいのは 297 00:12:48,151 --> 00:12:51,251 締め切りがない時だということに 気を付けてください 298 00:12:51,251 --> 00:12:53,691 最後に1つ お見せしたいものがあります 299 00:12:53,691 --> 00:12:55,678 「人生カレンダー」です 300 00:12:56,352 --> 00:13:00,631 それぞれの箱は 90年の人生における 各週にあたります 301 00:13:01,155 --> 00:13:02,934 そんなに沢山ある わけではありません 302 00:13:02,958 --> 00:13:06,192 おまけに私たちはもう かなり使っていますから 303 00:13:06,607 --> 00:13:11,739 私たちはみんな このカレンダーを じっくり眺めてみるべきだと思います 304 00:13:12,977 --> 00:13:15,990 自分が本当に先延ばし していることは何なのか 305 00:13:16,014 --> 00:13:19,379 誰でも何かは先延ばし しているはずだからです 306 00:13:20,502 --> 00:13:24,322 すぐにご褒美が欲しいおサルのことを 意識している必要があります 307 00:13:25,455 --> 00:13:27,947 これは我々みんなに とっての仕事です 308 00:13:28,529 --> 00:13:31,149 箱がそんなに沢山は ないことを考えると 309 00:13:31,149 --> 00:13:33,343 この仕事は 今日にでも 始めるべきでしょう 310 00:13:33,343 --> 00:13:36,307 まあ 今日すぐじゃ ないにしても 311 00:13:36,331 --> 00:13:37,972 (笑) 312 00:13:37,996 --> 00:13:39,366 できれば 313 00:13:39,366 --> 00:13:41,116 遠くないうちに 314 00:13:41,393 --> 00:13:42,602 ありがとうございました 315 00:13:42,626 --> 00:13:50,624 (拍手)