WEBVTT 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 それでは皆さんお待たせしました 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 今日は、ウェブアクセシビリティ推進協会の 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 セミナーにお越しいただきましてありがとうございます 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 これから2時間強にわたって 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 ウェブアクセシビリティについて様々な視点から 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 またそれにかかわる政府の政策についても 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 お話をしていきたいと思います 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 協会の理事長を務めております 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 東洋大学の山田肇です 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 「東洋大学」と書くつもりが「山田肇」と2度打ってしまって 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 間違っております、東洋大学の山田肇です 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 よろしくお願いします 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 初めに20分ほどこの協会が何のために活動しているのか 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 何を目的としているのかなどについてお話をさせていただきます 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 私たちは、生活の中でありとあらゆる場面で 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 様々な情報通信機器や情報通信サービスに囲まれています 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 朝起きてニュースや天気予報を知りたいとき 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 電車に乗るとき、最近は電車に乗る時も 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 改札口で切符をいちいち買い求めるということはほとんど無く 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 スイカ、パスモを利用しますが、それも情報通信サービスのひとつです 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 さらには、生活の中でたとえばレストラン等を探すとき 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 電車の切符を予約するとき 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 政府に、地方自治体に何かを申請するとき 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 様々な場面で情報通信を利用しています 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 情報通信全体についてはですね 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 アクセシビリティに関してすでにJIS規格ができておりまして 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 X8341シリーズというものなんですけれど 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 それで、全7分冊に分かれて様々な規定を作っています 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 僕は、もう長いことX8341の原案作成委員会の委員長を務めておりますが 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 すこしづつ標準規格は整備されてきています 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 その中でこのウェブアクセシビリティ推進協会は 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 ウェブに注目をしています 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 それはどうしてかというとウェブでアクセシビリティを実現する 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 ということは、人々が社会に参加するために最も重要なことの一つであると考えているからです 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 ウェブは(情報の)受発信インタフェースとして広く利用されています 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 ウェブでの閲覧、入力フォームを利用しての申請 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 申請というのは政府に申請するというだけでなくて 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 たとえば、航空券を予約するというようなことも含まれますが 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 あるいは、電子書籍での表示のコントロール 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 様々なものに利用されています 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 で、そういうウェブ技術について、あるいはウェブ技術を用いて提供するサービスあるいは機器について 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 アクセシビリティがあるということが、人々が社会に参加するうえでの必要条件だと考えています 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 今、ご覧頂いているのは電子書籍端末ですが 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 みなさん方はもうすでにお使いになられているか、あるいは使おうと考えていらっしゃると思いますが 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 このような電子書籍端末では、たとえば「指を開く」という動作をすることによって 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 画像であったり文字が拡大されたり、あるいは文字の大きさを自分で選択することによって 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 画面に表示される文字の大きさが大きく何段階にも変えることができます 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 その時にですね、たとえば画面に1枚にドキュメントが 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 表示されていたとして、それを単純に拡大すると 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 画面からはみ出てしまうので、左右にスクロールする 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 下にスクロールする 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 一生懸命左右に動かしながら情報を読み上げていくことになるわけですけれども 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 そんなめんどくさいことをしなくても、自動的に折り返し表示するようになっているのが 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 最近は当たり前のことですが、そのように折り返し表示するのも 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 ウェブ技術を利用しているからです 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 たとえば、もし表示されるものが単にテレビのように走査線の情報であるとすると 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 そこから「言葉」、テキストを抽出することは不可能なんですけれども 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 テキストが抽出されるおかげで音声読み上げを使ってそれを理解するということもできます 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 このような音声読み上げの対応であるとか、文章の折り返しての表示というようなことが行われているのは 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 何を隠そう、ウェブ技術が根底ににあるからです 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 昨年なんですけれども、ISO/IECという世界の標準化団体で 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 日本が提案した非常に興味深いICカードが世界標準になりました 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 それは、たとえば銀行のATMを考えていただければいいのですけれど 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 僕は、たとえば英語で少し大きめなテキストの大きさで白黒反転で表示してほしい 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 あるいは、私は音声を用いてガイドしてほしい 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 音の高さはこのくらいがいいとか 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 そういうことを、言語であるとか、音量であるとか、周波数であるとか 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 表示するテキストのサイズであるとか、色であるとか、コントラストであるとか 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 あるいは、(操作の)反応が遅くても元に戻らないでであるとかの操作速度であるとか 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 そのような利用者の好みをあらかじめカードに入れておく 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 そうすると、それをかざすだけで画面が一気に変わって 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 たとえば、英語で白黒反転の大きなテキストで表示される 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 それで、Withdraw(引き出し)とか Deposite(入金)というボタンを押せば 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 お金の引き出しや預け入れができるとか 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 さまざまなことができるようなカードが国際標準になりました 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 もちろん銀行のATMだけではなくて、電車の切符を欲しいとき 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 あるいは、自治体に行って住民票の写しを発行してもらいたいとき 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 さまざまな時にこのICカードを、多くの端末で共通に理解してもらうようになれば 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 僕の好み、私の好みをカードに入れておくだけで 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 世界中でどこでも自分の希望する作業をすることができます 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 実際に、この国際標準を策定する際には 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 ヨーロッパ各国の標準化団体が強く賛成をしてくれましたが 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 彼らはそろそろ夏に近づくと、スウェーデンの人、フィンランドの人は 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 お日様を求めてイタリアに行くなんていうことが多々あります 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 イタリアに行ってお金を下ろそうと思ったら、表示が全部イタリア語だったらどこを押していいかわからない 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 そういうことがあって、多言語対応というようなことを求めています 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 こういうふうにして、インタフェースになる画面の表示を様々な形に変える 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 あるいは、場合によっては音声で出力するといったことが容易にできるようになりつつあります 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 現実にはこのICカードは実用化されていませんが、いま金融機関とか交通機関とか自治体が 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 協力をしようという相談をしているところですが 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 こういうことができるようになるのもウェブ技術があるからです 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 ウェブ技術によって、表示を容易に変更することができるようになっています 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 そのような、ウェブ技術の中でも一番ポイントとなるのはウェブサイトだと思います 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 我々は、ウェブサイトを用いてニュースを入手します 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 あるいは、様々な情報を入手します 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 先ほども申しあげたように、この近くでおいしいレストランを探すのにも利用します 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 航空券の予約にも利用します 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 最近は、大学では入学願書の提出も全部ウェブをおこなっていて 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 郵送などとということはおこなわれていません 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 我々、ウェブアクセシビリティ推進協会では47都道府県と12府省の 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 サイトの中にアクセシビリティ方針がちゃんと書いてあるかどうかを 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 今年の3月に調査しました 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 調査結果についてはあとで浅野より皆様にご報告しますが 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 その3月の半ばの時点で、今は少し変わっているのですけれど 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 47都道府県庁でアクセシビリティ方針の中に2010年版のJIS規格に対応しますと 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 明記してあったのは、群馬県、静岡県、岡山県、山口県だけでした 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 12府省の中でみんなの公共サイト運用モデルに基づいた 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 つまり総務省が推奨する非常に多くの項目を記述させるようなアクセシビリティ方針のたたき台があるのですけれど 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 それに基づいてアクセシビリティ方針を掲載していたのは、総務省と経済産業省だけでした 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 このように、実は都道府県庁であっても、あるいは政府中央官庁であっても 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 ウェブサイトのアクセシビリティについての理解が広まっているというわけであはありません 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 とても残念なことです 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 今日、石川先生にお話をいただくのは障害者基本計画です。 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 障害者基本計画というのは、10年に1回更新されることになっており 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 この前の計画は今年の3月の終わりで終了しています、失効しています 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 基本計画というのは、政府全体として関係者の理解と協力のもとに取り組むべき 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 障害者施策の基本的な方向を記述したものです 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 したがって、本当は「この方向に向かう」ということがないと 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 政府は予算付けもできないし、施策の遂行もできないはずなんですが 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 石川先生が委員長を務められている障害者政策委員会が 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 去年の12月に、新しい、今年の4月からの基本計画に盛り込むべき項目についてせっかく提言を出したんですけれども 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 12月に野田政権が安倍政権に代わって、自民党、公明党政権になったところで 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 さまざまなものが滞るということが起きていますので 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 今日現在もまだ新しい障害者基本計画は発表されていません 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 その、石川先生の出された提言であるとか、これからの基本計画がどうなっていくかについては 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 僕の後、石川先生にお話をしていただきますが 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 その提言の中でも、国の行政機関等はインターネットで公表している情報の 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 アクセシビリティを再点検し、改善することということが書かれています 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 まさに、そのようなことが障害者にとって、あるいは高齢者にとってとても重要なことであるからです 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 先般から、友人たちと話をしているんですけれど 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 日本は高齢化に向かっています 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 もう20%以上の人が高齢者です 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 高齢者の人たちを、僕も高齢者に入っているそうですが 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 高齢者の人たちを社会から離れたとことで 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 たとえば、老人ホームの中でのんびり暮らしてくださいというふうにしておくことは 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 かえって、高齢者の意欲をそぐことですし、老化を早めることになります 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 むしろ、高齢者の持っている知識や経験を社会のなかに生かしていただくことのほうが 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 社会全体として幸福な方向にあります 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 このことはすでに皆様方にもお話ししたと思います 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 そのときにですね、ITを使うということが、高齢者でもITを使うということが多々あるわけで 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 むしろ業界は、政府はIT利用の多数派は高齢者であるというくらいに考えるべきだと僕は思っています 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 あるいは、障害者であると考えるべきだと思っています 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 ユーザビリティ=使いやすさとか、アクセシビリティ=利用できるかできないかを 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 満たさないITサービスや機器を提供するのは時代遅れだと思います 99:59:59.999 --> 99:59:59.999 みなさん方の中にも、タブレット端末やスマートフォンをお使いの方が非常に多くいらっしゃると思います