1 00:00:01,388 --> 00:00:04,143 子供の頃 怖いものが色々ありました 2 00:00:04,507 --> 00:00:07,061 雷の光や虫が怖かったですし 3 00:00:07,085 --> 00:00:09,650 大きい音や着ぐるみのキャラクターも 4 00:00:10,373 --> 00:00:13,720 それに深刻な恐怖症が2つありました 5 00:00:13,744 --> 00:00:15,901 医者と注射に対してです 6 00:00:16,552 --> 00:00:20,406 かかりつけの医師から逃れようと 苦戦しているうちに 7 00:00:20,430 --> 00:00:22,577 体を使って攻撃するようになり 8 00:00:22,601 --> 00:00:25,877 医師は私にショックを与えるために 平手打ちをしました 9 00:00:25,901 --> 00:00:27,147 私は6歳でした 10 00:00:27,972 --> 00:00:30,515 当時の私は 闘争・逃走反応しか知らず 11 00:00:30,539 --> 00:00:34,683 簡単な予防接種で体を押さえるにも 大人3~4人が必要でした 12 00:00:34,707 --> 00:00:36,307 両親を含めてです 13 00:00:37,712 --> 00:00:41,553 その後 私が高校に入ると同時に うちの家族はニューヨークから 14 00:00:41,577 --> 00:00:43,801 フロリダに引っ越しました 15 00:00:43,825 --> 00:00:46,356 教会が母体の学校で転入生となり 16 00:00:46,380 --> 00:00:47,533 知り合いもいなくて 17 00:00:47,557 --> 00:00:49,849 うまく馴染めるか心配しながら 18 00:00:49,873 --> 00:00:51,744 登校した初日 19 00:00:51,768 --> 00:00:55,637 先生が出席を取る際に 「アン・マリー・アルバーノ」と呼びました 20 00:00:55,661 --> 00:00:58,236 私が(ニューヨークのスタテン島訛りで) 「はい」と答えると 21 00:00:58,260 --> 00:01:01,940 先生は笑って「まあ かわいい 立ち上がって 22 00:01:01,964 --> 00:01:04,588 『い・ぬ』と言ってみて」と 言いました 23 00:01:04,612 --> 00:01:07,020 私は(スタテン島訛りで) 「犬?」と答えました 24 00:01:07,044 --> 00:01:10,847 教室中が爆笑し 先生も笑っていました 25 00:01:11,282 --> 00:01:12,804 それだけで終わりませんでした 26 00:01:12,828 --> 00:01:16,063 先生は私を笑い者にする言葉を 他にもたくさん知っていたのです 27 00:01:17,230 --> 00:01:19,413 私は泣きながら家に帰り 28 00:01:19,437 --> 00:01:20,729 取り乱して 29 00:01:20,753 --> 00:01:23,077 「ニューヨークに帰らせて」と懇願しました 30 00:01:23,101 --> 00:01:25,204 修道院でもいいからと 31 00:01:25,228 --> 00:01:28,541 何が何でも もうあの学校には 戻りたくなかったのです 32 00:01:29,168 --> 00:01:30,855 両親は私の願いを聞き入れ 33 00:01:30,879 --> 00:01:35,972 「ニューヨークのモンシニョール(聖職者)と 相談してみるけれど 34 00:01:35,996 --> 00:01:40,133 スタテン島で高校1年生に編入する時 出席日数が足りるよう 35 00:01:40,157 --> 00:01:42,893 学校には休まず行きなさい」と言いました 36 00:01:44,319 --> 00:01:47,952 すべてはメールや携帯電話が 普及する前の出来事ですから 37 00:01:47,976 --> 00:01:50,731 そこから数週間にわたり 38 00:01:50,755 --> 00:01:56,589 おそらく手紙のやり取りが マンハッタンの大司教区と 39 00:01:56,613 --> 00:01:57,858 マイアミと 40 00:01:57,882 --> 00:01:59,575 バチカンの間で行われたんでしょう 41 00:01:59,599 --> 00:02:04,101 その間 私は毎日泣きながら登校し 泣きながら家に帰り 42 00:02:04,125 --> 00:02:08,428 枢機卿や司教から届いたという 最新メッセージで言い含められていました 43 00:02:08,452 --> 00:02:11,810 「こっちに空きが出るまで通学を続けて」 というものです 44 00:02:12,714 --> 00:02:14,612 当時の私 純真でしょ? 45 00:02:14,636 --> 00:02:15,842 (笑) 46 00:02:16,488 --> 00:02:20,180 数週間後のある日 スクールバスを待っていると 47 00:02:20,204 --> 00:02:22,332 デビーという女の子に出会いました 48 00:02:22,356 --> 00:02:24,426 彼女が自分の友達に紹介してくれて 49 00:02:25,222 --> 00:02:27,680 その子たちとも友達になりました 50 00:02:27,704 --> 00:02:30,207 こうしてローマ教皇は 難を逃れたわけですね 51 00:02:30,231 --> 00:02:31,250 (笑) 52 00:02:31,274 --> 00:02:33,765 私の心は落ち着き 馴染めるようになっていきました 53 00:02:35,169 --> 00:02:40,062 私が過去30年で行なった 子供の不安についての研究は 54 00:02:40,086 --> 00:02:43,621 私自身の自己理解を求める思いに 端を発した部分があります 55 00:02:43,645 --> 00:02:45,201 実際 たくさん解明できました 56 00:02:46,439 --> 00:02:53,373 若者の精神疾患の中でも一番多く 見られるのが不安症です 57 00:02:54,341 --> 00:02:58,326 こうした精神疾患は4歳までという 幼いうちに 症状が出始め 58 00:02:58,350 --> 00:03:03,647 思春期までには12人に1人が 家庭や学校、仲間との関係において 59 00:03:03,671 --> 00:03:07,815 役割を果たせなくなるほど 重度の障害を抱えてしまいます 60 00:03:08,699 --> 00:03:11,628 この子供たちは ひどく怯えていて 61 00:03:11,652 --> 00:03:12,808 心配事が多く 62 00:03:12,832 --> 00:03:16,371 実際 不安のせいで 身体に不調をきたしています 63 00:03:16,936 --> 00:03:19,985 彼らには学校で集中することや 64 00:03:20,009 --> 00:03:21,620 リラックスして楽しむこと 65 00:03:21,644 --> 00:03:22,797 友達を作ることなど 66 00:03:22,821 --> 00:03:25,319 子供ならやって当然の事が困難なのです 67 00:03:26,099 --> 00:03:29,454 不安は子供にとって苦痛をもたらし 68 00:03:29,478 --> 00:03:34,276 親は我が子の苦悩を直に しょっちゅう目の当たりにします 69 00:03:35,874 --> 00:03:39,601 仕事を通じて 不安を持つ子供たちに会ううちに 70 00:03:39,625 --> 00:03:43,994 私は自分の父と母に尋ねたいことが いくつか出てきました 71 00:03:44,018 --> 00:03:46,161 「私が注射を怖がっていると知りながら 72 00:03:46,185 --> 00:03:49,060 どうして私の体を押さえて 73 00:03:49,084 --> 00:03:50,552 無理やり打たせたの? 74 00:03:51,280 --> 00:03:54,750 それから なぜ学校に行かせるために デマカセなんか言ったの? 75 00:03:54,774 --> 00:03:57,866 また皆にバカにされることが すごく心配だったのに」 76 00:03:59,152 --> 00:04:03,696 答えはこうでした 「いつも胸がつぶれそうだったけど 77 00:04:03,720 --> 00:04:07,044 避けては通れないことだというのも わかっていたの 78 00:04:07,535 --> 00:04:10,666 あなたが怒るというリスクを伴ったとしても 79 00:04:10,690 --> 00:04:14,655 あなたが時間をかけて経験を積むことで 80 00:04:14,679 --> 00:04:17,206 あの状況に慣れてくれるまで待っていたの 81 00:04:17,616 --> 00:04:19,780 予防接種は受けなければいけなかったし 82 00:04:19,804 --> 00:04:21,526 登校も しなきゃいけなかった」 83 00:04:23,081 --> 00:04:25,120 両親は知る由もなかったのですが 84 00:04:25,144 --> 00:04:28,925 予防接種で彼らが私にしてくれたのは 麻疹に対してだけではなく 85 00:04:29,568 --> 00:04:35,328 生涯にわたる不安症に対しての 予防でもあったのです 86 00:04:36,526 --> 00:04:41,421 幼児期に感じる過度の不安は 強力な細菌のようなもので 87 00:04:41,445 --> 00:04:44,805 感染力が強く どんどん増殖していきます 88 00:04:44,829 --> 00:04:47,042 これは私が診る子供たちもそうで 89 00:04:47,066 --> 00:04:51,799 複数の不安症状を 同時に持っていることが多いです 90 00:04:51,823 --> 00:04:54,169 例えば特定の恐怖症に 91 00:04:54,193 --> 00:04:58,349 分離不安症と社交不安症を あわせて患っています 92 00:04:59,020 --> 00:05:00,577 治療せずに放っておくと 93 00:05:00,601 --> 00:05:05,389 幼少期の不安は思春期までに うつ病につながることがあります 94 00:05:06,146 --> 00:05:10,512 これらは薬物乱用や自殺念慮に 関係することもあります 95 00:05:12,187 --> 00:05:14,239 私の両親は心理療法士ではなかったですし 96 00:05:14,263 --> 00:05:16,166 心理学者の知り合いもいませんでした 97 00:05:16,709 --> 00:05:22,572 両親が知っていたのは ああいう状況が 私には不快ではあるが 98 00:05:22,596 --> 00:05:24,355 有害ではないということだけです 99 00:05:25,112 --> 00:05:30,380 私がああいう状況を避けて逃げるのを もし両親が許していたら 100 00:05:30,404 --> 00:05:33,720 そして時々出くわす苦痛に 耐える方法を学べていなかったら 101 00:05:33,744 --> 00:05:37,496 私の過度の不安感はもっと長期間 私に害をもたらしていたでしょう 102 00:05:38,330 --> 00:05:41,706 要するに うちの親が行なったのは 自家製バージョンの 103 00:05:41,730 --> 00:05:43,307 暴露療法だったのです 104 00:05:44,236 --> 00:05:47,528 暴露療法は不安に対する認知行動療法の 105 00:05:47,552 --> 00:05:50,426 鍵となる中心的な治療法です 106 00:05:51,446 --> 00:05:56,450 私は仲間と 7歳から17歳までの子供の 不安の治療法について 107 00:05:56,474 --> 00:06:00,426 最大規模のランダム化比較試験を行いました 108 00:06:01,307 --> 00:06:06,650 研究の結果 子供向けの認知行動療法の暴露療法や 109 00:06:06,674 --> 00:06:11,154 選択的セロトニン再取り込み阻害薬による 投薬治療が 110 00:06:11,178 --> 00:06:14,093 60%の子供に効果的だとわかりました 111 00:06:14,962 --> 00:06:20,349 2つの治療法を併用すると 80%の子供が3ヶ月以内に良くなります 112 00:06:20,958 --> 00:06:22,698 すべて朗報です 113 00:06:22,722 --> 00:06:24,845 そしてもし投薬治療を続ければ 114 00:06:24,869 --> 00:06:28,742 もしくは研究に参加していた期間と同様 毎月 暴露療法を続ければ 115 00:06:28,766 --> 00:06:31,347 1年以上 良い状態を保つ可能性があります 116 00:06:32,675 --> 00:06:36,409 しかし この治療法の研究が終わった後 117 00:06:36,433 --> 00:06:40,592 参加者の追跡調査を行なったところ 118 00:06:40,616 --> 00:06:44,696 時間の経過とともに再発する子供が 多いことがわかりました 119 00:06:44,720 --> 00:06:48,935 また科学的根拠に基づく 最良の治療法であるにも関わらず 120 00:06:48,959 --> 00:06:53,318 不安症の子供のうち約40%に 121 00:06:53,342 --> 00:06:56,185 調査期間中ずっと症状が見られることも わかりました 122 00:06:57,291 --> 00:07:00,914 私たちは この結果について 考察を重ねました 123 00:07:01,977 --> 00:07:03,542 何が足りないのでしょうか 124 00:07:04,638 --> 00:07:08,163 私たちが力を入れていたのは 125 00:07:08,187 --> 00:07:11,669 子供だけに焦点を当てた介入だったけれど 126 00:07:11,693 --> 00:07:15,861 ひょっとしたら ご両親にも呼びかけて 治療に参加してもらうことが 127 00:07:15,885 --> 00:07:18,146 大切なのではないか という仮説を立てました 128 00:07:19,989 --> 00:07:23,633 私自身の研究所や 世界中の仲間たちが行なった研究は 129 00:07:23,657 --> 00:07:25,931 一貫した傾向を示しています 130 00:07:26,776 --> 00:07:30,915 それは善意のある親たちが うっかり不安の連鎖に 131 00:07:30,939 --> 00:07:32,660 引き込まれてしまうことです 132 00:07:33,361 --> 00:07:36,798 子供に対し 親のほうが折れて 融通をきかせ過ぎてしまい 133 00:07:36,822 --> 00:07:41,287 子供を困難の伴う状況から 逃れさせてしまいます 134 00:07:42,094 --> 00:07:44,055 考えてみてください 135 00:07:44,587 --> 00:07:48,920 あなたの子供が涙を流しながら 家に帰ってきました 136 00:07:48,944 --> 00:07:51,191 その子は5歳か6歳 137 00:07:51,215 --> 00:07:54,134 「学校でみんなに嫌われてるの あの子たちは意地悪 138 00:07:54,158 --> 00:07:55,941 誰も遊んでくれないの」 139 00:07:57,023 --> 00:07:59,509 我が子がこんなに取り乱していたら どう感じますか? 140 00:08:00,628 --> 00:08:01,788 何をしますか? 141 00:08:02,646 --> 00:08:08,075 親としての自然本能的な反応は 子を慰め 落ち着かせ 142 00:08:08,099 --> 00:08:10,928 その子を守り 状況を改善することです 143 00:08:12,164 --> 00:08:16,779 先生にも関わってもらうよう呼びかけたり 親同士で子供たちの遊びの約束をするのは 144 00:08:16,803 --> 00:08:18,984 5歳だったらそれで良いかもしれないです 145 00:08:19,359 --> 00:08:24,517 でも もしあなたの子供が毎日毎日 涙を流しながら家に帰ってきたらどうしますか 146 00:08:25,182 --> 00:08:30,006 8歳、10歳、14歳になっても 子供のために状況を改善してあげますか 147 00:08:30,594 --> 00:08:32,668 子供というのは成長する中で 148 00:08:32,692 --> 00:08:37,318 例外なく困難な状況に遭遇するものです 149 00:08:37,342 --> 00:08:40,996 例えば お泊まり会や発表の場 150 00:08:41,020 --> 00:08:43,171 難しい試験に出くわしたり 151 00:08:43,195 --> 00:08:47,128 スポーツチームへの加入や 学芸会の役に挑戦したり 152 00:08:47,152 --> 00:08:49,074 友達との いさかいなど 153 00:08:49,706 --> 00:08:53,121 こうした場面はすべてリスクを伴います 154 00:08:53,145 --> 00:08:56,487 良い結果を残せないリスクに 望みどおりに行かないリスク 155 00:08:56,511 --> 00:08:58,988 ミスを犯すかもしれないリスクや 156 00:08:59,012 --> 00:09:00,636 恥をかくリスクです 157 00:09:01,616 --> 00:09:03,827 不安症を持ち 158 00:09:03,851 --> 00:09:06,603 リスクを取らず 物事に深く関わろうとしない子供は 159 00:09:07,555 --> 00:09:11,542 そういう場面をうまく対処する方法を 学ぶことができません 160 00:09:12,080 --> 00:09:13,235 そうでしょう? 161 00:09:13,259 --> 00:09:17,455 なぜならスキルというのは 時間をかけて 162 00:09:17,479 --> 00:09:21,520 子供たちが日常の中で遭遇する場面に 何度も身をさらしながら育むものだからです 163 00:09:22,680 --> 00:09:24,569 例えば「セルフ・スージング」という 164 00:09:24,593 --> 00:09:28,368 気が立った時に自分で自分を 落ち着かせるスキルや 165 00:09:29,067 --> 00:09:33,792 対人トラブルの解決能力を含む 「問題解決スキル」 166 00:09:34,631 --> 00:09:36,523 そして「満足遅延耐性」 167 00:09:36,547 --> 00:09:38,775 これは 結果がわかるまで時間がかかり 168 00:09:38,799 --> 00:09:42,387 待たされるとしても 努力を続けられる能力のことです 169 00:09:43,270 --> 00:09:46,361 これらを含む多くのスキルの発達は リスクを取り 170 00:09:46,385 --> 00:09:48,780 物事に深く関わるタイプの子供に見られます 171 00:09:49,325 --> 00:09:52,455 そうして「自己効力感」が形成されますが 172 00:09:52,479 --> 00:09:55,863 これは簡単に言うと 困難な状況でも 173 00:09:55,887 --> 00:09:59,306 自分は乗り越えられると信じる力です 174 00:10:00,650 --> 00:10:05,856 不安症を持つ子供がこうした状況で 逃げたり避けたりして 175 00:10:05,880 --> 00:10:08,732 他者に代わりに対応してもらっていると 176 00:10:08,756 --> 00:10:11,809 時間が経つにつれて ますます不安が募り 177 00:10:11,833 --> 00:10:14,455 同時に自分に対する自信が薄れていきます 178 00:10:15,328 --> 00:10:19,368 不安に苦しんでいない子供たちとは対照的に 179 00:10:19,392 --> 00:10:24,239 自分にはこうした状況を自分で切り抜ける 能力がないと信じてしまうようになります 180 00:10:24,768 --> 00:10:28,631 このような子供は 親など自分以外の人に 181 00:10:28,655 --> 00:10:30,214 対応してもらわなければと考えます 182 00:10:31,769 --> 00:10:37,712 さて 親の本能として 子供を慰め 守り 183 00:10:37,736 --> 00:10:39,112 安心させる事は自然ですが 184 00:10:40,207 --> 00:10:44,383 1930年に精神科医の アルフレッド・アドラーは 185 00:10:44,407 --> 00:10:46,706 すでに親たちに対して こう忠告しています 186 00:10:46,730 --> 00:10:49,770 「子供をいくらでも愛しても良いが 187 00:10:49,794 --> 00:10:52,196 その子を依存させてはならない」 188 00:10:52,838 --> 00:10:57,123 彼が親たちに助言したのは 子供たちに最初から自分の足で 189 00:10:57,147 --> 00:10:59,192 立つ練習をさせることです 190 00:10:59,964 --> 00:11:02,696 またアドラーは もし子供が 191 00:11:02,726 --> 00:11:08,767 「自分の親は自分の言いなりになる以外 することがない」という印象を受けると 192 00:11:08,791 --> 00:11:11,525 愛情に対して誤ったイメージを持ってしまう と指摘しました 193 00:11:13,189 --> 00:11:17,050 現代の不安を持つ子供たちは 194 00:11:17,074 --> 00:11:19,698 絶えず親に電話をしたり 195 00:11:19,722 --> 00:11:24,218 昼夜を問わずメッセージで 助けを求めたりしています 196 00:11:24,242 --> 00:11:29,762 もし不安症の子供が幼い頃に 正しい対処メカニズムを学ばなかったら 197 00:11:29,786 --> 00:11:31,888 大人になった彼らは どうなるのでしょう 198 00:11:33,055 --> 00:11:37,900 私は不安症の若者を子に持つ 親たちのグループを運営しています 199 00:11:39,034 --> 00:11:42,728 子供たちは18歳から28歳です 200 00:11:43,561 --> 00:11:45,893 ほとんどの子たちが実家で 201 00:11:45,917 --> 00:11:47,933 親に頼って暮らしています 202 00:11:48,798 --> 00:11:52,647 その多くは学校や大学に 行った経験があるでしょう 203 00:11:52,671 --> 00:11:54,135 何人かは卒業もしています 204 00:11:54,907 --> 00:11:57,616 ほとんど全員が職に就いておらず 205 00:11:57,640 --> 00:12:00,400 大したこともせず ただ家で過ごしています 206 00:12:00,928 --> 00:12:04,194 誰とも有意義な関係を持たず 207 00:12:04,218 --> 00:12:06,645 親に完全に依存していて 自分のために 208 00:12:06,669 --> 00:12:08,799 何もかも やってもらっています 209 00:12:09,802 --> 00:12:12,788 親たちは未だに子供の病院の予約を とってあげます 210 00:12:13,729 --> 00:12:17,178 子供の幼なじみに頼み込んで 家へ遊びに来てもらいます 211 00:12:17,202 --> 00:12:19,626 子供のために洗濯もするし ご飯も作ります 212 00:12:20,098 --> 00:12:23,874 そして親たちは我が子と 激しく衝突しています 213 00:12:23,898 --> 00:12:28,213 なぜなら不安感だけが勢いよく成長し 子供自身は成長できていないからです 214 00:12:29,285 --> 00:12:32,191 こうした親たちは莫大な罪悪感を抱き 215 00:12:32,215 --> 00:12:33,906 時に憤りを感じ 216 00:12:33,930 --> 00:12:35,751 そしてまた罪悪感を増幅させます 217 00:12:36,662 --> 00:12:38,709 それでは朗報に移りましょう 218 00:12:39,661 --> 00:12:44,523 もし親なり 子供の人生において重要な人物なりが 219 00:12:44,547 --> 00:12:48,883 手を貸し その子が 自分の恐怖心に立ち向かえるよう支援して 220 00:12:48,907 --> 00:12:50,933 問題の解決法を学ばせることができれば 221 00:12:50,957 --> 00:12:54,182 その子は自分の不安を乗り越える 内的な対処メカニズムを 222 00:12:54,206 --> 00:12:58,376 自ら育む可能性が高まります 223 00:12:59,729 --> 00:13:03,737 私たちは現在 親御さんを対象に 一瞬一瞬に気を配ることを教え 224 00:13:03,761 --> 00:13:07,420 子供の不安感に対する自分の反応について 考えるよう指導しています 225 00:13:08,613 --> 00:13:10,138 こうお願いしています 226 00:13:10,162 --> 00:13:14,220 「状況を見て自問してください 目の前にあるのは どんな状況なのか 227 00:13:14,669 --> 00:13:17,121 子供の身をどれほど脅かすのか 228 00:13:17,145 --> 00:13:20,120 そして最終的に この状況から 子供に何を学んでほしいか」 229 00:13:20,812 --> 00:13:23,904 もちろん親たちには 耳を澄ませて聞くようにしてほしいです 230 00:13:23,928 --> 00:13:27,847 もし子供が深刻ないじめや 危ない目に遭っているのなら 231 00:13:27,871 --> 00:13:29,448 親に介入してほしいからです 232 00:13:29,472 --> 00:13:30,761 絶対にです 233 00:13:31,738 --> 00:13:36,050 けれど典型的な日常の中で 不安を招くような状況では 234 00:13:36,074 --> 00:13:38,426 親は子供にとって一番の助けになり得ます 235 00:13:38,450 --> 00:13:41,998 ただし親が落ち着いて 淡々としつつも温かい態度をとり 236 00:13:42,022 --> 00:13:44,785 子供の気持ちの妥当性を認めながら 237 00:13:44,809 --> 00:13:46,821 一方で子供が その状況をどう対処するか 238 00:13:46,845 --> 00:13:50,888 自分で計画できるよう手助けし 支援すればの話です 239 00:13:51,627 --> 00:13:53,520 そして ここが重要なのですが 240 00:13:53,544 --> 00:13:57,226 実際に子供自身にその状況の 対応をさせることです 241 00:13:59,092 --> 00:14:03,792 もちろん 子供が苦しむ姿を見るのは 心が痛みます 242 00:14:03,816 --> 00:14:06,723 私の両親が後に打ち明けてくれたとおりです 243 00:14:07,389 --> 00:14:09,131 子供が苦しんでいるのを目撃し 244 00:14:09,155 --> 00:14:13,920 自分がサッと舞い降りて 我が子を痛みから救い出せそうなら 245 00:14:13,944 --> 00:14:16,340 それに越したことはないですよね 246 00:14:16,364 --> 00:14:17,807 そうしてあげたいのです 247 00:14:19,000 --> 00:14:21,542 しかし若くても歳をとっていても 248 00:14:21,566 --> 00:14:27,033 過剰な不安によって私たちは リスクや苦痛を過大に見積もってしまい 249 00:14:27,057 --> 00:14:30,098 その一方で自分の対処能力を 過小に見積もってしまうのです 250 00:14:31,700 --> 00:14:36,920 自分が恐れる対象を何度も経験すると 不安が小さくなると同時に 251 00:14:36,944 --> 00:14:39,719 精神力と立ち直る力が養われることが わかっています 252 00:14:40,639 --> 00:14:42,618 私の両親は心得ていたんでしょう 253 00:14:43,158 --> 00:14:46,676 こんにちの過剰に不安な若者たちが 254 00:14:46,700 --> 00:14:48,990 過保護な子育てで 良くなることはありません 255 00:14:50,149 --> 00:14:54,695 落ち着きや自信はただの感情ではなく 256 00:14:55,179 --> 00:14:58,928 親も子供も学ぶことのできる 対処能力なのです 257 00:14:59,912 --> 00:15:01,088 ありがとうございました 258 00:15:01,112 --> 00:15:04,400 (拍手)