WEBVTT 00:00:00.373 --> 00:00:02.690 (クリス・アンダーソン) これからご紹介するのは 00:00:02.714 --> 00:00:05.500 世界でも最も有力な女性の一人です 00:00:05.524 --> 00:00:10.744 私たちが今 渦中にある この混沌から抜け出したいと思うなら 00:00:10.768 --> 00:00:14.728 この方は その過程で 主要な役割を果たすことでしょう 00:00:15.514 --> 00:00:17.896 国際通貨基金(IMF)の 専務理事です 00:00:17.920 --> 00:00:22.013 お迎えしましょう クリスタリナ・ゲオルギエバさんです 00:00:24.387 --> 00:00:25.570 クリスタリナ ようこそ NOTE Paragraph 00:00:25.594 --> 00:00:27.950 (クリスタリナ・ゲオルギエバ) お招きありがとう クリス 00:00:27.974 --> 00:00:29.593 ご一緒できて嬉しいです NOTE Paragraph 00:00:29.617 --> 00:00:32.839 (クリス)この役職に就いたのは 昨年の後半のことでしたね 00:00:32.863 --> 00:00:36.616 それからたった4か月で COVIDが到来しました 00:00:36.640 --> 00:00:39.569 新しい役職に就いたばかりで とんだ歓迎を受けましたね 00:00:39.593 --> 00:00:40.957 どう受け止めていますか? NOTE Paragraph 00:00:42.712 --> 00:00:46.831 (クリスタリナ)そうですね 行動することで気力を得ています 00:00:47.331 --> 00:00:48.855 国際通貨基金では 00:00:48.879 --> 00:00:52.379 この危機に見舞われた第1日目から 00:00:52.403 --> 00:00:55.871 前のめりで 持てる力を尽くして 00:00:55.895 --> 00:00:59.014 各国にライフラインを提供しており 00:00:59.038 --> 00:01:03.421 人々や企業を支えています 00:01:03.445 --> 00:01:07.625 すでに 90件以上もの支援要請を受けて 00:01:07.649 --> 00:01:14.056 56の国々に緊急融資を 00:01:14.080 --> 00:01:16.436 提供しています NOTE Paragraph 00:01:18.159 --> 00:01:22.022 (クリス)あなたは このパンデミックを 他に類を見ない危機だと言われています 00:01:22.046 --> 00:01:24.490 どのような意味で 「他に類を見ない」のでしょう? NOTE Paragraph 00:01:26.079 --> 00:01:27.974 (クリスタリナ) まさに文字通りです 00:01:27.998 --> 00:01:32.117 まず かつて例のないことに 00:01:32.141 --> 00:01:38.727 私たちはウイルスと闘い 人命を救うために 意識的に 00:01:38.751 --> 00:01:41.679 経済に打撃を加えることに 甘んじています 00:01:42.331 --> 00:01:45.627 企業には生産活動を 行わないように指示し 00:01:45.651 --> 00:01:48.601 消費者には外出して 消費をしないように指示しています 00:01:48.625 --> 00:01:53.491 国際通貨基金では これを 「大封鎖」と呼んでいます 00:01:54.673 --> 00:01:56.180 次に 00:01:56.204 --> 00:01:59.048 かつて例のないことに 00:01:59.072 --> 00:02:05.820 物事が非常に急速に変化をし 00:02:06.458 --> 00:02:10.021 実質的に世界中の誰もが 影響を受けています 00:02:10.387 --> 00:02:12.617 1月にはダボスを訪れ 00:02:12.641 --> 00:02:16.696 3%を上限とする 「芳しくない成長」について話しましたが 00:02:17.276 --> 00:02:22.967 4月の春季会合では すでに3%減でした 00:02:23.617 --> 00:02:24.946 1月には 00:02:24.970 --> 00:02:31.102 160の国々で1人当たりの年間所得に プラス成長があると見込みました 00:02:31.934 --> 00:02:38.418 今や 170の国々で1人当たりの年間所得に マイナス成長が見られます 00:02:38.974 --> 00:02:42.490 これを「大逆行」と 呼んでいます 00:02:43.171 --> 00:02:44.480 大きな痛手です 00:02:44.782 --> 00:02:47.615 3つ目は不確実性です 00:02:47.639 --> 00:02:50.441 私たちは常に不確実性の中で 生きていますね 00:02:50.465 --> 00:02:52.085 しかし この状況では 00:02:52.109 --> 00:02:57.212 新型コロナウイルスという 不確実性を 00:02:57.236 --> 00:03:00.725 政策立案者らは 組み込まねばなりません 00:03:00.749 --> 00:03:06.758 国際通貨基金では 疫学的予測と 00:03:06.782 --> 00:03:10.299 従来のマクロ経済モデルを 組み合わせて 00:03:10.323 --> 00:03:13.267 不確実性の中を 見通そうとしています 00:03:14.664 --> 00:03:17.276 さらに付け加えたいのですが 00:03:17.300 --> 00:03:22.228 願わくば 峠を越えて 回復に向かう頃には 是非とも 00:03:22.252 --> 00:03:26.729 これに新しい名を付けて 「大変容」と呼びたいと思います 00:03:27.754 --> 00:03:29.754 世界をより良い場所に するものです NOTE Paragraph 00:03:31.405 --> 00:03:34.990 (クリス)後で そのお話を 伺うのが楽しみです 00:03:35.014 --> 00:03:37.628 しかし 危機に対応している 今まさにこの瞬間に 00:03:37.652 --> 00:03:40.508 少なくとも豊かな国々で 00:03:40.532 --> 00:03:42.713 主要なツールとして 用いられているのは 00:03:42.737 --> 00:03:46.904 大規模な景気対策ですね 00:03:46.928 --> 00:03:49.328 何兆ドルもの規模です 00:03:49.696 --> 00:03:52.410 これは賢い対策なのでしょうか? NOTE Paragraph 00:03:53.497 --> 00:03:55.668 (クリスタリナ)それは必然です 00:03:56.030 --> 00:04:00.990 国際通貨基金は実は 各国にこう伝えています 00:04:01.014 --> 00:04:02.410 「どうか支出をしてほしい 00:04:02.434 --> 00:04:04.102 できるだけ多く 支出してほしい」と 00:04:04.126 --> 00:04:05.613 現在もそうです 00:04:05.637 --> 00:04:07.450 付け加えるなら 00:04:07.474 --> 00:04:09.513 「領収書は取っておくこと 00:04:10.069 --> 00:04:14.664 市民や納税者への説明責任は 果たしなさい」ということです 00:04:15.172 --> 00:04:20.537 資金投入が必要である理由― 00:04:20.561 --> 00:04:26.786 約9兆ドルもの財政支援が 必要な理由は 00:04:26.810 --> 00:04:31.152 経済が停滞しているときには 00:04:31.176 --> 00:04:33.220 何らかの支援がなければ 00:04:33.244 --> 00:04:37.212 金融政策による刺激がなければ 00:04:37.236 --> 00:04:41.092 数々の企業は盛大に倒産することになり 00:04:41.116 --> 00:04:43.220 人々は失業することになり 00:04:43.244 --> 00:04:45.649 経済に傷跡を残すことになるからです 00:04:45.673 --> 00:04:47.577 峠を越えたときに 00:04:47.601 --> 00:04:52.263 この傷跡により 回復が ずっと困難になります 00:04:53.196 --> 00:04:55.922 ですから 賢い対策だと言えます 00:04:55.946 --> 00:05:01.276 また主要経済の中央銀行が 00:05:01.300 --> 00:05:04.568 協調して動いていることが一助になり 00:05:04.592 --> 00:05:08.498 金融政策による刺激は 素早く効果を生んでいます 00:05:08.522 --> 00:05:13.083 このやり方なら 人々は この非常に困難な時期を 00:05:13.107 --> 00:05:14.757 乗り切ることができるでしょう NOTE Paragraph 00:05:15.829 --> 00:05:17.393 (クリス)ですが 効果はいつまで? 00:05:17.417 --> 00:05:20.409 ある意味では「紙幣の乱発」とも 言われています 00:05:20.433 --> 00:05:23.117 政府は国債を どんどん発行していますが 00:05:23.141 --> 00:05:26.998 いつかは返済せねばなりません 00:05:27.022 --> 00:05:29.926 経済学で言うところの ミンスキー・モーメントですね 00:05:29.950 --> 00:05:32.473 しばらく好況が続いて 00:05:32.497 --> 00:05:36.572 誰もがこう信じるんです 00:05:36.596 --> 00:05:38.688 この列車は走り続けるだろう 00:05:38.712 --> 00:05:40.204 景気は循環するのだと 00:05:40.228 --> 00:05:42.653 政府にはこれだけ資金が あるのだからと 00:05:43.014 --> 00:05:45.871 でも どこかの時点では 崩壊しませんか? 00:05:45.895 --> 00:05:48.851 ミンスキー・モーメントに 近づきつつあるのでは? 00:05:48.875 --> 00:05:51.704 『メアリー・ポピンズ』のマイケルが 00:05:51.728 --> 00:05:53.989 2ペンス硬貨をつかんで 取り付け騒ぎが起こるような? 00:05:54.013 --> 00:05:58.297 現在の国際金融システムには あなたが憂えるような 00:05:58.321 --> 00:06:00.078 ストレスがかかっていますか? 00:06:00.102 --> 00:06:02.984 これ以上の余裕はないのではと 思われませんか? NOTE Paragraph 00:06:04.171 --> 00:06:07.740 (クリスタリナ)もちろん これは永続はしません 00:06:09.069 --> 00:06:11.228 まず 私は科学者を信頼しています 00:06:11.252 --> 00:06:13.641 ブレイクスルーが 訪れることでしょう 00:06:13.665 --> 00:06:18.283 また ビジネスの世界においても 00:06:18.307 --> 00:06:21.006 ソーシャルディスタンシングや 00:06:21.030 --> 00:06:25.641 感染拡大を防ぐための 小規模な方策に慣れてくるでしょう 00:06:25.665 --> 00:06:30.688 医療システムにも 非常に大規模な資金投入がなされ 00:06:30.712 --> 00:06:34.869 病院が助けを求める人々を 実際に治療できるようになっています 00:06:35.935 --> 00:06:40.117 もちろん この状況が 非常に長期化するならば 00:06:40.141 --> 00:06:41.586 憂慮します 00:06:42.229 --> 00:06:43.776 現時点において 00:06:43.800 --> 00:06:45.665 私たちの予測では 00:06:45.689 --> 00:06:50.150 徐々に経済活動が 再開されるだろうと考えています 00:06:50.174 --> 00:06:53.093 すでに多くの国々で 起こっていることです 00:06:53.728 --> 00:06:58.824 来年の2021年には 部分的な回復が見込まれます 00:06:58.848 --> 00:07:01.292 残念ながら 完全な回復ではありませんが 00:07:01.316 --> 00:07:03.249 状況は良くなっているでしょう 00:07:03.641 --> 00:07:06.164 ここで 役に立つのは 00:07:06.188 --> 00:07:10.283 私自身は取り立てて 好まないことではありますが 00:07:10.307 --> 00:07:14.379 建設的だと思っていることです 00:07:14.403 --> 00:07:17.149 それは金利を非常に低くすること 00:07:17.173 --> 00:07:19.442 マイナス金利もありえます 00:07:19.466 --> 00:07:26.442 そうすることで 金融政策と流動性枠の導入が 00:07:26.466 --> 00:07:29.791 何年間も 維持されうるのです 00:07:29.815 --> 00:07:33.331 現時点では 金利を上げる方向への 00:07:33.355 --> 00:07:36.934 回復の兆しは見えません 00:07:36.958 --> 00:07:39.371 より長い間 金利を低くとどめることは 00:07:39.395 --> 00:07:44.359 この状況下にあっては 役に立つでしょう NOTE Paragraph 00:07:46.748 --> 00:07:50.597 (クリス)2008年の金融危機は 00:07:50.621 --> 00:07:53.648 危うく金融システムそのものを 崩壊させるところでした 00:07:53.672 --> 00:07:55.507 崩壊させたという見方もできます 00:07:55.531 --> 00:07:57.849 多くの人の予測では 00:07:57.873 --> 00:08:01.667 今回の状況は経済全体にずっとひどい影響を 及ぼすと考えられています 00:08:01.691 --> 00:08:05.063 2008年の出来事で学んだ事柄で 00:08:05.087 --> 00:08:08.402 今のところ 役立つことは あったでしょうか? NOTE Paragraph 00:08:10.030 --> 00:08:14.885 (クリスタリナ)世界が得た教訓は 金融システムは 00:08:14.909 --> 00:08:17.941 よく吟味されねばならず 00:08:17.965 --> 00:08:21.806 打撃に耐えうるだけの強さが 必要だということです 00:08:21.830 --> 00:08:25.122 現在 その教訓は 大きく役立っています 00:08:25.662 --> 00:08:30.162 銀行システムは回復力を持ち 00:08:30.186 --> 00:08:35.544 銀行以外の金融機関であっても 00:08:35.568 --> 00:08:38.482 問題を抱えることなく 00:08:38.506 --> 00:08:44.658 どこまで耐えられるかに より注意を払っています 00:08:45.915 --> 00:08:47.447 こう申し上げましょう 00:08:47.471 --> 00:08:49.399 世界を見渡してみると 00:08:49.423 --> 00:08:56.067 当時の最も重要な教訓は 「打撃から立ち直る力をつけよ」でした 00:08:56.601 --> 00:09:00.609 それを実行した者は よりうまく対応できています 00:09:01.101 --> 00:09:05.017 実行しなかった者が より苦労を強いられているのです 00:09:05.041 --> 00:09:07.136 国際通貨基金で 00:09:07.160 --> 00:09:09.259 私たちが願っているのは 00:09:09.283 --> 00:09:14.847 この危機を抜け出す頃には 回復力の必要性という教訓が 00:09:14.871 --> 00:09:18.783 銀行システムにとどまらず 広く普及することです 00:09:18.807 --> 00:09:22.783 そうすれば 危機に対応できる考え方を持って 00:09:22.807 --> 00:09:29.083 今後 打撃を受けやすくなることを 避けられない世界に備えられます 00:09:29.107 --> 00:09:30.386 気候変動や 00:09:30.410 --> 00:09:36.546 地球全体の社会経済活動の密集度を考えると 打撃は避けられませんから NOTE Paragraph 00:09:38.258 --> 00:09:39.909 (クリス)あなたの役職では 00:09:39.933 --> 00:09:44.528 発展途上国の国々の状況に 特に注意を向けていますね 00:09:44.552 --> 00:09:49.224 そういった国々は非常に困難な状況に 直面しているように見えます 00:09:49.248 --> 00:09:55.985 多くの国々がドル建てで 大きな負債を抱えています 00:09:56.009 --> 00:09:57.296 現在の危機にあって 00:09:57.320 --> 00:10:01.575 そういった国々の通貨は ドルに対して安くなりつつあり 00:10:01.599 --> 00:10:07.644 求められる資金投入を行うことが ほぼ不可能になっています 00:10:07.668 --> 00:10:10.829 豊かな国々が行っているような 景気対策の資金注入ですね 00:10:10.853 --> 00:10:13.038 どうやら それしか手はないようですが 00:10:13.062 --> 00:10:16.141 非常に危険な悪循環のように思えます 00:10:16.165 --> 00:10:18.631 この悪循環を断ち切る方法は ありますか? NOTE Paragraph 00:10:19.101 --> 00:10:23.030 (クリスタリナ)そうですね まず区別したいのは 00:10:23.054 --> 00:10:26.922 強い基盤をすでに築いた国々です 00:10:26.946 --> 00:10:28.307 この危機にあって 00:10:28.331 --> 00:10:33.466 私たちの元には 様々なデータが入ってきています 00:10:33.490 --> 00:10:37.180 多くはありませんが 予想外の良い驚きもあります 00:10:37.204 --> 00:10:40.990 そういった例が見られるのは 強い緩衝策や 00:10:41.014 --> 00:10:42.481 強い基盤を持つ国々であり 00:10:42.505 --> 00:10:45.324 景気の良い時には 統制を強めてきた国々です 00:10:46.000 --> 00:10:47.992 ただ 確かに 00:10:48.016 --> 00:10:51.976 新興市場や 発展途上国の多くが 00:10:52.000 --> 00:10:54.675 複数の困難に直面しています 00:10:54.699 --> 00:10:58.356 コロナウイルスの感染拡大に打撃を受け 00:10:58.380 --> 00:11:01.983 多くの国では 医療システムも脆弱です 00:11:02.007 --> 00:11:05.587 また この危機に突入する前からの 00:11:05.611 --> 00:11:07.892 負債も多く抱えており 00:11:07.916 --> 00:11:11.441 それによって より困難な状況を 強いられています 00:11:12.057 --> 00:11:15.192 さらに 多くの国々は 第一次産品の輸出国です 00:11:16.343 --> 00:11:18.664 第一次産品価格― 例えば原油価格は 00:11:18.688 --> 00:11:20.815 大きく値下がりしており 00:11:20.839 --> 00:11:22.239 その打撃も受けています 00:11:23.069 --> 00:11:25.188 多くの国々が送金に依存していますが 00:11:25.212 --> 00:11:29.339 送金額は2~3割ほど減っています 00:11:29.800 --> 00:11:34.649 また 多くの国々が 観光産業に大きく依存しており 00:11:34.699 --> 00:11:39.045 観光産業は最も大きな打撃を 受けている産業のひとつでしょう 00:11:39.067 --> 00:11:41.876 ですから これらの国々には ひどく辛い状況です 00:11:41.900 --> 00:11:48.045 とはいえ だからこそ当機関のようなものが 設置されているわけです 00:11:48.903 --> 00:11:52.871 IMFや世界銀行 地域の開発金融機関などは 00:11:52.895 --> 00:11:57.056 この度の危機に直面して 密接に協力しています 00:11:57.080 --> 00:11:59.225 IMFは幸いなことに 00:11:59.249 --> 00:12:06.220 2008~2009年の 金融危機の教訓から 00:12:06.244 --> 00:12:10.910 財政力を強化した状態で 金融のセーフティネットの中核に 00:12:10.934 --> 00:12:12.759 構えておけるよう努めています 00:12:13.252 --> 00:12:17.486 当時 貸し付けできた金額の 4倍の資金を 00:12:17.510 --> 00:12:19.232 貸し付け可能です 00:12:19.256 --> 00:12:23.359 2,500億ドルから 1兆ドルに増やしたのです 00:12:23.383 --> 00:12:24.559 もちろん 00:12:24.583 --> 00:12:26.712 こうした資金を 00:12:26.736 --> 00:12:30.061 最も支援を必要としている国に 展開しています NOTE Paragraph 00:12:30.085 --> 00:12:31.720 実践したことは もう1つあります 00:12:31.744 --> 00:12:35.783 世界銀行の総裁である デイビッド・マルパスと共に 00:12:35.807 --> 00:12:41.506 最貧国のために それらの国の二国間債権者に対して 00:12:41.530 --> 00:12:45.053 負債の支払い猶予を求めました 00:12:45.077 --> 00:12:50.117 人々は「世界銀行とIMFは協力しない」 と考えがちですが 00:12:50.141 --> 00:12:56.260 この点においては 3月下旬に協同で要請をして 00:12:56.284 --> 00:12:57.918 4月中旬には 00:12:57.942 --> 00:13:01.365 G20各国が この支払い猶予に 同意したのです 00:13:02.575 --> 00:13:03.752 素晴らしいことです 00:13:03.782 --> 00:13:08.197 主要10か国や中国 そして湾岸諸国が一斉に 00:13:08.327 --> 00:13:12.569 最貧国の経済が停滞している時は 00:13:12.593 --> 00:13:15.963 負債の支払いを求め 苦しめるべきではないと 00:13:15.987 --> 00:13:17.882 同意したのです NOTE Paragraph 00:13:19.307 --> 00:13:22.355 (クリス)発展途上国の中には ロックダウン政策を 00:13:22.379 --> 00:13:25.593 過剰に行っているところも あり得るでしょうか? 00:13:25.617 --> 00:13:29.655 すでに市民の大多数が 生き延びるのに苦労している中で 00:13:29.679 --> 00:13:33.979 家から出るなと命ずるのは 死の宣告にも等しいのでは? NOTE Paragraph 00:13:34.879 --> 00:13:39.161 (クリスタリナ)そうですね クリス 各国のリーダーと話す中で 00:13:39.185 --> 00:13:45.191 非常に心が痛んだのは 彼らが直視することを迫られる決断が 00:13:45.215 --> 00:13:50.781 人々がウイルスのせいで死ぬか 飢えにより死ぬかという選択だというものです 00:13:51.389 --> 00:13:55.939 彼らにとっては非常に 葛藤を孕んだ状況です 00:13:58.017 --> 00:14:01.096 自国の経済の大部分が 00:14:01.120 --> 00:14:02.277 形式に拠らないもので 00:14:02.301 --> 00:14:06.041 人々が 日々その日暮らしを している状況では 00:14:06.493 --> 00:14:11.014 先進国で行っているような ロックダウンが 00:14:11.038 --> 00:14:12.847 適さないこともあります 00:14:12.871 --> 00:14:14.442 そんな国でも 00:14:14.466 --> 00:14:18.778 可能な範囲での ソーシャルディスタンシングを 00:14:18.802 --> 00:14:20.902 とてもよくやっていると思います 00:14:21.466 --> 00:14:23.807 アフリカの多くの国では 00:14:23.831 --> 00:14:27.537 非常に早い段階で 予防措置を取り入れました 00:14:27.561 --> 00:14:28.720 なぜか? 00:14:28.744 --> 00:14:31.528 エボラの流行や 以前の危機的状況から 00:14:31.552 --> 00:14:32.981 衛生について学び 00:14:33.005 --> 00:14:37.791 できることはすべて行う という姿勢なのです 00:14:37.815 --> 00:14:40.045 是非とも強調したいのは 00:14:40.069 --> 00:14:43.601 こうした国々との団結が いかに重要かということです 00:14:43.625 --> 00:14:50.345 こうした国々にとって必要な時に IMFが手を差し伸べるのはとても重要です 00:14:50.369 --> 00:14:51.734 実際にそうしています NOTE Paragraph 00:14:52.925 --> 00:14:54.075 (クリス)ホイットニー NOTE Paragraph 00:14:54.703 --> 00:14:56.981 (ホイットニー・ペニントン・ロジャース) ありがとうございます 00:14:57.005 --> 00:14:58.576 素晴らしいお話ですね 00:14:58.576 --> 00:15:01.742 コミュニティからの質問が 届いています 00:15:01.766 --> 00:15:04.073 最初の質問は ビル・エルカスさんから 00:15:04.097 --> 00:15:07.022 先程 言及されたことについての質問で 00:15:07.046 --> 00:15:08.776 景気対策に関わるものです 00:15:08.800 --> 00:15:12.764 「それほど大規模な景気対策の資金注入ゆえに インフレが起こる見通しはどうですか?」 NOTE Paragraph 00:15:15.566 --> 00:15:16.756 (クリスタリナ)現時点では 00:15:16.780 --> 00:15:21.148 先進国におけるインフレの 心配はしていません 00:15:21.172 --> 00:15:26.537 大部分の新興市場を 持つ国々でも同様です 00:15:26.561 --> 00:15:29.401 インフレが心配されるのは 00:15:29.425 --> 00:15:34.394 元々の基盤が弱い国々であり 00:15:34.418 --> 00:15:38.871 外貨へのアクセスのない国々です 00:15:38.895 --> 00:15:43.989 こうした国々にとって 危機に対応する唯一の方法は 00:15:44.013 --> 00:15:47.244 IMFの支援か 00:15:47.268 --> 00:15:50.947 中央銀行がもっと紙幣を 発行するかのいずれかです 00:15:52.249 --> 00:15:54.717 両方を並行して行うこともあります 00:15:54.741 --> 00:15:58.209 先進国でのインフレを 心配していないのは なぜかと言うと 00:15:58.725 --> 00:16:04.822 そうした国々は十分な金の準備に支えられた 自国の通貨を持っており 00:16:04.846 --> 00:16:09.536 短期流動性枠を設定しているからです 00:16:09.560 --> 00:16:11.297 しかし それと同時に 00:16:11.321 --> 00:16:18.053 需要の大きな拡大が起こらないので 00:16:18.077 --> 00:16:20.293 物価が高騰しています 00:16:21.363 --> 00:16:24.482 こうした国々にとっては 00:16:24.506 --> 00:16:27.799 少なくとも 見通しうる限りの 将来においては 00:16:27.823 --> 00:16:33.637 例えば 第二次世界大戦後のように 急速なインフレには 00:16:33.661 --> 00:16:36.065 ならないでしょう 00:16:36.720 --> 00:16:41.875 消費者はそこまで積極的に 消費を行わないので 00:16:41.899 --> 00:16:45.408 需要はそこまで高くなく 00:16:45.432 --> 00:16:51.178 またこうした国々の社会は 政策の選択において 00:16:51.202 --> 00:16:55.534 大変成熟が見られる社会です 00:16:55.950 --> 00:16:59.005 より貧しい国では 00:16:59.029 --> 00:17:03.966 市場へのアクセスもなく 容易に外貨に兌換可能な通貨を持たず 00:17:03.990 --> 00:17:07.019 切羽詰まるあまりに 00:17:07.043 --> 00:17:13.323 どうにか十分な通貨を 流通させねばならなくなって 00:17:13.347 --> 00:17:15.204 インフレが起こることも あるでしょう 00:17:15.228 --> 00:17:17.763 非常に極端な例はジンバブエです 00:17:17.787 --> 00:17:20.564 他にもそのような国が あるのではと憂慮しています 00:17:20.588 --> 00:17:26.886 このような理由から こうした国々とは 早い段階で関わろうと努力しているのです 00:17:27.665 --> 00:17:31.799 また 負債を多く抱えた国々もそうです 00:17:32.434 --> 00:17:37.665 国ごとに負債を立て直して 00:17:37.689 --> 00:17:39.974 切迫した状態を 生み出さないよう 00:17:39.998 --> 00:17:45.561 対応する必要もあるかもしれません NOTE Paragraph 00:17:48.133 --> 00:17:49.284 (ホイットニー)なるほど 00:17:49.308 --> 00:17:52.052 もうひとつ質問を 投げかけたいと思います 00:17:52.056 --> 00:17:53.735 キース・ヤマシタさんから 00:17:53.759 --> 00:17:57.299 この変化にどうやって 参画すれば良いかについてです 00:17:57.323 --> 00:17:59.967 「あなたはマクロ経済対策と 資金提供をされています 00:17:59.991 --> 00:18:03.270 市民として 私たちは再生と回復に どうやって役立てるでしょう?」 NOTE Paragraph 00:18:04.431 --> 00:18:09.193 (クリスタリナ)私たち市民全員にとって 非常に重要なのは― 00:18:09.217 --> 00:18:14.853 IMFのトップである私自身も 世界市民ですから― 00:18:14.877 --> 00:18:19.777 危機に瀕している時にこそ 団結が必要だという考えを 00:18:19.801 --> 00:18:23.533 持つことではないでしょうか 00:18:25.323 --> 00:18:30.013 このコーナーのBGMが 00:18:30.037 --> 00:18:35.849 『Lean on Me(私を頼って)』なのは とても良いですね 00:18:37.192 --> 00:18:42.033 そういう空気を醸成することは とても大事です 00:18:42.057 --> 00:18:46.057 「皆 同じ状況にあって 一緒に乗り越えるんだ」と 00:18:46.530 --> 00:18:49.258 声に出して そう伝えてほしいです 00:18:49.950 --> 00:18:53.942 私は長い間 危機対応に携わり 00:18:53.966 --> 00:18:59.443 そこで学んだことのひとつは 大多数の人々が 00:18:59.467 --> 00:19:02.173 前向きで心根の良い人たちだ ということです 00:19:02.983 --> 00:19:04.546 頼れる人たちです 00:19:06.101 --> 00:19:11.831 悪意に満ちた怖い人たちは 少数でありながら 00:19:11.855 --> 00:19:13.704 声が大きいのです 00:19:14.180 --> 00:19:18.286 心根の良い人たちに 声を上げてほしいですね 00:19:18.792 --> 00:19:22.608 「皆 同じ状況にあって 一緒に乗り越えるんだ」という空気を 00:19:22.632 --> 00:19:24.478 広げてほしいと思います NOTE Paragraph 00:19:26.180 --> 00:19:28.898 (ホイットニー)ありがとうございます 他の質問は後ほど NOTE Paragraph 00:19:31.466 --> 00:19:33.522 (クリス)その点について もう少しお聞きします 00:19:33.546 --> 00:19:36.758 リーダーシップについて お伺いします 00:19:36.782 --> 00:19:41.234 最も上手く対応した国々について 語るときに 00:19:41.258 --> 00:19:43.377 人々が口にするのは― 00:19:43.401 --> 00:19:46.903 「最も上手く対応した」というのは このパンデミックに際してですが― 00:19:46.927 --> 00:19:49.649 話題に出るのは ドイツやニュージーランド 00:19:49.673 --> 00:19:52.775 韓国や台湾 デンマークやノルウェーです 00:19:53.506 --> 00:19:55.903 対応の悪い国と言えば 00:19:55.927 --> 00:20:00.768 話題に上るのはスペインやイタリア イギリスやベルギー 00:20:00.792 --> 00:20:04.085 スウェーデン、イラン ブラジル、ロシア 00:20:04.109 --> 00:20:06.423 アメリカといった国々です 00:20:07.800 --> 00:20:10.617 後者の国々のリーダーは すべて男性で 00:20:10.641 --> 00:20:13.736 前者の国々は1国を除いて すべて女性リーダーです 00:20:14.228 --> 00:20:15.695 これは偶然でしょうか? NOTE Paragraph 00:20:17.456 --> 00:20:19.590 (クリスタリナ)どうでしょう 00:20:19.614 --> 00:20:24.987 女性の視点で やや主観的に申し上げると 00:20:25.011 --> 00:20:31.473 女性は概して危機に際して 先導することに長けていると思います 00:20:32.140 --> 00:20:37.465 他者の感情を理解できることが多く 00:20:37.489 --> 00:20:40.614 最も弱い立場に置かれた人々を 思いやることができ 00:20:40.638 --> 00:20:43.768 それを言葉にすることができます 00:20:44.828 --> 00:20:46.029 決断力もあります 00:20:46.053 --> 00:20:47.900 自分の経験からも 00:20:47.924 --> 00:20:52.167 女性は行動することから エネルギーを得ると言えます 00:20:52.921 --> 00:20:59.239 また なんと言うか 不平不満を言い立てることは 00:20:59.263 --> 00:21:01.043 あまり しません 00:21:02.342 --> 00:21:06.307 ですから このことから 言えるのは おそらく 00:21:06.331 --> 00:21:11.317 今後 男女平等を目指すことの価値について 示唆的だということです 00:21:12.355 --> 00:21:18.229 さらに危機が訪れるであろう世界に もっと女性の力が必要です NOTE Paragraph 00:21:19.760 --> 00:21:23.403 (クリス)もちろん ジェンダーについて 一般化するのは難しいですが 00:21:23.427 --> 00:21:26.688 男性より女性のほうが 優れているのではと思うのは 00:21:26.712 --> 00:21:30.529 細やかな機微を含めた考え方が できる点です 00:21:30.563 --> 00:21:34.197 男性は往々にして 「勝つぞ 克服するぞ」と考えがちですが 00:21:34.221 --> 00:21:38.113 このような状況では すべてが可能性に過ぎません 00:21:38.137 --> 00:21:41.713 私たちが格闘しようとしている パンデミックという機械には 00:21:41.737 --> 00:21:46.022 操作の複雑な部分が たくさんありすぎますよね 00:21:48.625 --> 00:21:51.625 女性のほうが 細やかな対応が 上手いと思いますか? NOTE Paragraph 00:21:52.315 --> 00:21:53.863 (クリスタリナ)言わせてください 00:21:53.887 --> 00:21:55.044 皆の力が必要です 00:21:55.068 --> 00:22:00.376 様々な経験や知識や素質が 必要なのです 00:22:00.400 --> 00:22:03.162 男性も女性も協力すべきです 00:22:03.186 --> 00:22:08.783 決断を下す際に 様々な視点を組み込めるのは 00:22:08.807 --> 00:22:10.141 素晴らしいことです 00:22:10.165 --> 00:22:14.943 そうすれば よりよい決断を 下せる可能性が高くなります 00:22:14.967 --> 00:22:18.250 ですから お互いが必要です 00:22:18.274 --> 00:22:22.218 ただ確かに ある事柄においては 長短もあるでしょう 00:22:22.242 --> 00:22:25.331 私自身 何度も 目にしてきましたが 00:22:25.355 --> 00:22:29.760 女性の方が妥協できる道を 探ろうとすることが多く 00:22:29.784 --> 00:22:35.749 間違いを認めて それを正そうとすることが多いです 00:22:35.773 --> 00:22:37.520 例えば「なるほど 一理ありますね 00:22:37.544 --> 00:22:40.628 私の考えにその意見も 加えさせてください」というようにね 00:22:40.987 --> 00:22:43.823 そうできるというのは 不確実な状況では 00:22:43.847 --> 00:22:48.283 決断を下すうえで とても有利に働きます NOTE Paragraph 00:22:49.742 --> 00:22:53.345 (クリス)では現在の状況下における あなたのリーダーシップについて聞きます 00:22:53.369 --> 00:22:55.776 先述の通り 着任されたばかりですね 00:22:55.800 --> 00:22:58.025 以前は欧州委員会の 副委員長として 00:22:58.049 --> 00:23:03.117 世界の様々な地で起こっている危機の 人道支援に携わっていました 00:23:03.141 --> 00:23:04.807 ご出身のブルガリアでも 00:23:04.831 --> 00:23:07.553 政治的にも経済的にも 国全体が大きく変化するのを 00:23:07.577 --> 00:23:10.100 目の当たりにされましたね 00:23:10.124 --> 00:23:13.663 これまでのご経験から 今回の状況に活かせる教訓は 00:23:13.687 --> 00:23:15.258 何でしょうか? NOTE Paragraph 00:23:16.607 --> 00:23:19.070 (クリスタリナ)学んだことは たくさんあります 00:23:19.094 --> 00:23:23.018 今の職務に活かせる経験を 多く持っているというのは 00:23:23.042 --> 00:23:25.232 とても幸運でした 00:23:25.788 --> 00:23:28.289 その中から3つを挙げてみます NOTE Paragraph 00:23:28.891 --> 00:23:33.703 まず1つ目は 危機に備えておくことが 00:23:33.727 --> 00:23:39.266 どれほど痛切に重要かということです 00:23:39.290 --> 00:23:41.498 想定外のことを考えておくこと 00:23:41.522 --> 00:23:46.601 実際に打撃を受けた時には 先見の明をもって 00:23:46.625 --> 00:23:49.467 行動を起こすこと 00:23:50.638 --> 00:23:56.971 この一連の動きについて 「よりよい復興を」と言われますが 00:23:57.463 --> 00:24:00.516 私ならば これを少し修正して 00:24:00.540 --> 00:24:05.567 むしろ「よりよい基盤を」と 申し上げたいです 00:24:07.172 --> 00:24:11.893 備えと予防策は 大いに役立ちます NOTE Paragraph 00:24:12.990 --> 00:24:14.141 2つ目は― 00:24:14.165 --> 00:24:18.069 必ずしも優先すべきでなくても 同じくらいに重要なのは― 00:24:18.093 --> 00:24:20.949 共に行動すること 00:24:20.973 --> 00:24:23.363 協同することです 00:24:23.387 --> 00:24:25.894 助けを求めて 手を差し伸べること 00:24:27.085 --> 00:24:31.474 このことは緊急時には 大きな効果を発揮します NOTE Paragraph 00:24:31.498 --> 00:24:35.031 3つ目は何度も 学んできたことなのですが 00:24:35.927 --> 00:24:40.554 私たちは打撃を受けるまでは 自分たちが秘めている強さに 00:24:40.578 --> 00:24:42.903 気づかないということです 00:24:43.451 --> 00:24:45.212 私たちは立ち直る力を持ち 00:24:45.236 --> 00:24:50.193 衝撃にも耐えうる力を持っています 00:24:50.217 --> 00:24:53.418 力を合わせると さらにそうです 00:24:53.442 --> 00:24:57.887 このことから 私はいつも どこか楽観的な気持ちを持てるのです 00:24:57.911 --> 00:25:04.688 辛い状況があるにせよ 乗り越えることができるはずだと 00:25:04.712 --> 00:25:09.047 ブルガリアの経済が破綻したために 00:25:09.071 --> 00:25:11.451 朝4時起きで娘のために 00:25:11.475 --> 00:25:14.483 牛乳を買う列に 並んでいた頃から 00:25:14.507 --> 00:25:20.821 悲惨な状況に置かれた シリア難民の人々が助け合う姿を 00:25:20.845 --> 00:25:23.115 目にした日々も 00:25:23.139 --> 00:25:27.170 そして IMFのトップとなった現在まで 00:25:27.194 --> 00:25:29.305 内に秘めた強さと 00:25:29.329 --> 00:25:33.871 人間の持つ立ち直る力は 00:25:33.895 --> 00:25:36.029 力を合わせれば合わせるほどに 00:25:36.053 --> 00:25:38.594 増幅されるものだと信じています NOTE Paragraph 00:25:40.196 --> 00:25:43.314 (クリス)では IMFの役割について お話しくださいますか 00:25:43.338 --> 00:25:46.506 特にこの状況から 回復を試みるにあたっての役割です 00:25:46.530 --> 00:25:51.455 今後前へ進んでいくうえで IMFは具体的に何ができるでしょう? NOTE Paragraph 00:25:52.347 --> 00:25:56.014 (クリスタリナ) IMF独自の役割が3つあります 00:25:56.038 --> 00:26:00.481 これらはどれも危機的状況において とても重要なことです 00:26:00.989 --> 00:26:05.139 1つ目は現在の状況と そこからどう進めばよいかについての 00:26:05.163 --> 00:26:07.029 適切な原因分析です 00:26:07.584 --> 00:26:09.814 申し上げておきたいのは 今回の状況については 00:26:09.838 --> 00:26:11.638 最初の数週間で 00:26:11.662 --> 00:26:18.236 193の国々について IMFの言うところの 「政策トラッカー」をまとめました 00:26:18.260 --> 00:26:20.382 各国がどんな行動を起こしており 00:26:20.406 --> 00:26:22.466 互いから何を学べるかを示すことで 00:26:22.490 --> 00:26:25.084 より効果的な判断が できるようにするものです 00:26:25.108 --> 00:26:27.349 さらに今 まさにその目的のために 00:26:27.373 --> 00:26:31.579 責任の伴った 経済活動の再開に向けた行動を 00:26:31.603 --> 00:26:33.738 追加しているところです 00:26:34.175 --> 00:26:35.855 IMFといえば 00:26:35.879 --> 00:26:39.598 金融における緊急対応者です 00:26:40.633 --> 00:26:45.133 この途方もないほどの打撃に際して 00:26:45.157 --> 00:26:49.518 非常に大規模な財政力で 対応しています 00:26:50.109 --> 00:26:56.644 あまり知られていないのは IMFには複数の手段があることです 00:26:56.668 --> 00:27:01.406 緊急財政支援については 今回2倍に増やしています 00:27:01.739 --> 00:27:03.962 無条件にです 00:27:03.986 --> 00:27:06.519 求めているのは たった1点なんです 00:27:07.180 --> 00:27:10.846 医師や看護師 病院に 資金を回して 00:27:10.870 --> 00:27:14.156 最も弱い立場にある人々と 経済的に脆弱な部分を守ること 00:27:14.180 --> 00:27:16.155 これだけが条件なんです 00:27:16.710 --> 00:27:19.472 3つ目にIMFが行っているのは 00:27:19.496 --> 00:27:24.561 良い政策を実施できる余力を 持てるよう支援することです 00:27:24.585 --> 00:27:27.561 金融危機の後でも 00:27:27.585 --> 00:27:31.245 多くの国々が 適切な負債管理や 00:27:31.269 --> 00:27:33.014 適切な財務管理 00:27:33.038 --> 00:27:34.800 透明性と説明責任を保って 00:27:34.824 --> 00:27:38.849 国家財政の運営を 改善できるようにしました 00:27:39.213 --> 00:27:45.420 ですから IMFはこれと言って 大規模な機関ではなく 00:27:45.444 --> 00:27:47.451 3,000人規模の機関ですが 00:27:47.816 --> 00:27:51.145 専門性が高く 大変熱心に仕事をしています 00:27:51.522 --> 00:27:56.823 「全員総出で」という表現が まさに当てはまります 00:27:57.696 --> 00:27:59.141 デジタルですけどね 00:27:59.165 --> 00:28:01.298 最近では総力を挙げるのも デジタル上です NOTE Paragraph 00:28:02.688 --> 00:28:04.871 (クリス)これは世界的な危機です 00:28:04.895 --> 00:28:08.453 多くの人が憂えているのは 2008年当時とも違って― 00:28:08.477 --> 00:28:11.540 当時は国際協力も 多く行われた印象がありましたが 00:28:11.564 --> 00:28:13.522 やや不安なことに 今回は国際協力が 00:28:13.546 --> 00:28:15.854 あまり起こっていないのでは? 00:28:17.000 --> 00:28:18.228 現状を乗り切るために 00:28:18.252 --> 00:28:21.116 国際協力がどれほど重要かについて 不安はありませんか NOTE Paragraph 00:28:21.966 --> 00:28:25.672 (クリスタリナ)私の権限と 私の責任の範囲で 00:28:25.696 --> 00:28:28.863 私が第一にすべきことは 00:28:28.887 --> 00:28:30.370 加盟国を団結させることです 00:28:30.394 --> 00:28:32.751 ほぼ全世界の国々が加盟しており 00:28:32.775 --> 00:28:35.751 189か国が加盟しています 00:28:35.775 --> 00:28:42.656 これまでのところは 加盟国の対応に 非常に感銘を受けています 00:28:42.680 --> 00:28:45.796 今春 私が提示したのは 00:28:45.820 --> 00:28:48.863 危機に際して IMFの役割を拡大するための 00:28:48.887 --> 00:28:52.744 数々の政策をまとめた 強力なパッケージでした 00:28:52.768 --> 00:28:54.926 要請したものはすべて― 00:28:54.950 --> 00:28:57.837 緊急融資を 2倍にするという要請も 00:28:57.861 --> 00:28:59.022 受け入れられました 00:28:59.046 --> 00:29:00.213 興味深いことに 00:29:00.237 --> 00:29:03.321 条件付き貸し付けも 3倍にするよう要請しました 00:29:03.345 --> 00:29:05.671 なぜなら まさに 00:29:05.695 --> 00:29:10.083 ウイルスの影響を一番受けるのは 弱った身体であるように 00:29:10.107 --> 00:29:13.829 危機の影響を一番受けるのは 弱い経済だからです 00:29:13.853 --> 00:29:17.266 そこで条件付き貸し付けを 3倍にするよう要請し 00:29:17.290 --> 00:29:21.069 たった1か月の間に 実現されました 00:29:21.497 --> 00:29:25.626 債務免除のための資金についても 実現されました 00:29:25.650 --> 00:29:31.075 ここで申し上げたいのは 世界をひとつに 00:29:31.099 --> 00:29:35.136 まとめるための方法に 注力すべきだということです 00:29:35.621 --> 00:29:39.147 行動するのは それからです 00:29:39.171 --> 00:29:42.561 すべての物事が 00:29:42.585 --> 00:29:47.109 本来のあり方ではないと 不平を言うよりも 00:29:47.133 --> 00:29:50.299 国際社会に対する 責務を果たすべきです NOTE Paragraph 00:29:51.387 --> 00:29:52.538 (クリス)その通りですね 00:29:52.562 --> 00:29:57.101 それに IMFは 主要加盟国の財政に 00:29:57.125 --> 00:29:58.276 支えられていますよね NOTE Paragraph 00:29:58.300 --> 00:29:59.585 (クリスタリナ)ええ NOTE Paragraph 00:29:59.609 --> 00:30:01.924 (クリス)1兆ドルもの資金を 00:30:01.948 --> 00:30:06.045 必要としている国々に 利用可能にするとおっしゃいましたが 00:30:06.069 --> 00:30:07.799 色々と読んだところでは その資金は 00:30:07.823 --> 00:30:11.950 特別引出権というものが あるということですね 00:30:11.974 --> 00:30:14.446 加盟国から通貨を 引き出すということですが 00:30:14.470 --> 00:30:17.558 これまでにアメリカから 00:30:17.582 --> 00:30:22.430 資金調達を阻むような 反発は受けませんでしたか? NOTE Paragraph 00:30:23.338 --> 00:30:29.171 (クリスタリナ)1兆ドルというのは IMFの分担額と 00:30:29.195 --> 00:30:34.301 経済の発展した豊かな国々から 00:30:34.325 --> 00:30:40.035 資金を移動させる権限によるものです 00:30:40.059 --> 00:30:44.138 非常な低金利 またはゼロ金利で 00:30:44.162 --> 00:30:46.995 発展途上にある市場に貸し付けます 00:30:47.019 --> 00:30:48.599 この1兆ドルについて 00:30:48.623 --> 00:30:52.267 あまり気づかれていませんが 興味深いのは 00:30:52.291 --> 00:30:57.307 アメリカの2兆ドルの 景気対策予算には 00:30:57.331 --> 00:31:00.177 IMFの支援も含まれていたのです 00:31:00.911 --> 00:31:02.942 特別引出権は 00:31:02.966 --> 00:31:05.230 全加盟国の同意を 00:31:05.254 --> 00:31:09.624 まだ得られていないものです 00:31:10.173 --> 00:31:15.664 2009年の金融危機で実施され 00:31:15.688 --> 00:31:19.118 流動性枠を設定し 00:31:19.142 --> 00:31:21.119 皆に行き渡るようにしました 00:31:21.763 --> 00:31:24.310 私を含め 多くの人々が― 00:31:24.334 --> 00:31:26.872 私自身 G20でお話ししましたが― 00:31:26.896 --> 00:31:29.921 今 実施すべきだという声が 多くあります 00:31:30.752 --> 00:31:35.113 支持されるのには理由があり 00:31:35.137 --> 00:31:37.413 気まぐれではありません NOTE Paragraph 00:31:37.958 --> 00:31:42.744 特別引出権の問題は これを実施すると 00:31:42.768 --> 00:31:44.530 全加盟国に行き渡ることです 00:31:44.554 --> 00:31:50.086 先進国の国々が 新たな割り当ての62%を手にします 00:31:50.110 --> 00:31:52.395 中には それを問題視して 00:31:52.419 --> 00:31:55.699 「もっと対象をしぼる方法はないか 00:31:55.723 --> 00:31:59.108 必要とする国々だけに届く方法は ないか」という人もいます 00:31:59.465 --> 00:32:02.196 とはいっても すべてが 議題に上っているわけです 00:32:02.220 --> 00:32:06.640 危機的状況が進むにつれて 00:32:06.664 --> 00:32:11.026 もっと行動することも もっと加盟国の協力も必要になります NOTE Paragraph 00:32:13.034 --> 00:32:14.184 (クリス)ホイットニー NOTE Paragraph 00:32:14.915 --> 00:32:17.304 (ホイットニー)ちょうど今のお話に 00:32:17.328 --> 00:32:19.839 関連する質問が届いています 00:32:19.863 --> 00:32:21.871 ヤヴニカ・カーナさんの質問です 00:32:21.895 --> 00:32:25.315 「大変容において 回復力があると判明するのは 00:32:25.339 --> 00:32:28.833 指導者が高い支持を誇る国か 財政システムの健全な国のどちらでしょう?」 NOTE Paragraph 00:32:29.507 --> 00:32:31.888 (クリスタリナ)どちらも重要な点です 00:32:32.762 --> 00:32:35.705 強力な基盤を持っている国々は 00:32:35.729 --> 00:32:40.339 もちろん基盤の弱い国々よりも 00:32:40.363 --> 00:32:47.010 この危機的状況の中で 受ける影響は少ないでしょう 00:32:47.458 --> 00:32:50.272 リーダーシップも重要です 00:32:50.296 --> 00:32:54.422 行動を起こすべく 国を動かす力は重要です 00:32:55.470 --> 00:32:59.486 私の考えでは この状況が収束したときに 00:32:59.510 --> 00:33:05.487 勝者となるのは 現在の危機を機会でもあると 00:33:05.511 --> 00:33:07.761 捉えた人たちでしょう 00:33:08.833 --> 00:33:13.349 デジタル化への変革が 大きな機会であることに間違いありません 00:33:13.969 --> 00:33:18.754 オンライン教育 オンライン政府 00:33:18.778 --> 00:33:22.077 電子決済 電子商取引などに移行し 00:33:22.101 --> 00:33:26.387 デジタルの力で 中小企業を 00:33:26.411 --> 00:33:28.450 消費者と結びつけた者が 00:33:28.474 --> 00:33:29.624 勝者となるでしょう 00:33:30.625 --> 00:33:34.410 2つ目に 私が願っているのは 00:33:34.434 --> 00:33:38.339 この事態が収束する頃には 00:33:38.363 --> 00:33:41.130 二酸化炭素排出量が減り 00:33:41.154 --> 00:33:44.279 気候変動に耐えうる経済に なっていることです 00:33:44.821 --> 00:33:47.329 そのような方向に行動する人々は 00:33:47.353 --> 00:33:52.155 世界全体にとっての リスクを減らすことになるでしょう 00:33:52.918 --> 00:33:54.357 気候変動という危機について 00:33:54.381 --> 00:33:56.679 近ごろはあまり話題に上りませんが 00:33:56.703 --> 00:33:58.703 危機がなくなったわけでは ありません 00:33:58.727 --> 00:34:01.021 パンデミックに嫌気が差しているなら 00:34:01.045 --> 00:34:05.565 気候変動危機にも なってほしくないはずです 00:34:06.407 --> 00:34:08.891 それから 未来の経済について 00:34:08.915 --> 00:34:15.704 いかに公平なものにできるかと 考えている国々も 00:34:15.728 --> 00:34:17.331 そうです 00:34:17.355 --> 00:34:19.093 言い換えると 00:34:19.117 --> 00:34:24.687 この危機以前に不公平さが 高まりつつありました 00:34:25.712 --> 00:34:29.791 パンデミックについて 研究してきた同僚は 00:34:29.815 --> 00:34:32.553 非常に辛辣な教訓を 与えてくれています 00:34:32.577 --> 00:34:33.799 パンデミックの後― 00:34:33.823 --> 00:34:38.545 H1N1インフルエンザや 00:34:38.569 --> 00:34:42.085 SARSやジカ熱の流行の後には 00:34:42.109 --> 00:34:43.376 不平等が高まるのです 00:34:44.760 --> 00:34:48.878 この危機の後でも 不平等が高まるのを 00:34:48.902 --> 00:34:50.053 私たちは許すのか? 00:34:50.077 --> 00:34:51.664 そうするのであれば 00:34:51.688 --> 00:34:54.934 社会の構造に損害を 与えることになります 00:34:54.958 --> 00:35:01.036 私が思うに この危機にある 何千万人もの人々は 00:35:01.060 --> 00:35:07.264 よりシンプルかつ より公平で 00:35:07.288 --> 00:35:10.222 より公正で より持続可能な世界に 00:35:10.246 --> 00:35:13.224 暮らしたいと考えているはずです NOTE Paragraph 00:35:14.619 --> 00:35:16.014 (クリス)ふむ NOTE Paragraph 00:35:16.038 --> 00:35:17.771 (クリスタリナ)それこそが勝者です NOTE Paragraph 00:35:20.038 --> 00:35:21.208 (ホイットニー)そうですね 00:35:21.232 --> 00:35:23.375 もうひとつ質問をしてから 00:35:23.399 --> 00:35:26.973 クリスとのお話に 戻っていただきたいのですが 00:35:26.997 --> 00:35:30.219 サラ・ルグハイマーさんからの質問です 00:35:30.243 --> 00:35:32.703 質問はこうです 00:35:32.726 --> 00:35:38.664 「このパンデミックから 2~10年が経った世界で 00:35:38.688 --> 00:35:41.926 どんな前向きな変化が見られると お考えですか?」 NOTE Paragraph 00:35:42.966 --> 00:35:46.609 (クリスタリナ)すでに少し言及しました 00:35:46.633 --> 00:35:52.260 まず 期待しているのは 財政政策が 00:35:53.411 --> 00:35:56.355 回復へと向かわせてくれること 00:35:56.379 --> 00:36:01.556 環境にやさしい回復であり なおかつ 00:36:01.580 --> 00:36:04.627 公正な回復を目指すものになることです 00:36:05.699 --> 00:36:09.632 これは政策立案者たちの 手中にあることで 00:36:09.656 --> 00:36:11.561 実現可能です 00:36:12.617 --> 00:36:18.903 2つ目に 私が願っているのは 00:36:18.927 --> 00:36:23.102 ネットを介した働き方について 00:36:23.126 --> 00:36:27.594 この危機から学んだことを 取り入れることです 00:36:28.126 --> 00:36:30.555 私の率いるIMFでは 00:36:30.579 --> 00:36:35.095 現在 進めているやり方を 持続させるだけで 00:36:35.119 --> 00:36:38.777 二酸化炭素排出量を 大幅に削減できますし 00:36:38.801 --> 00:36:40.119 そうするつもりです 00:36:41.436 --> 00:36:46.440 必ずや将来 実現されてほしいと思うのは 00:36:46.464 --> 00:36:52.387 今回の危機で不可欠だと分かった 2点にもっと注意を向けることです 00:36:52.951 --> 00:36:56.117 万人が何らかの形で 医療を受けられること 00:36:56.141 --> 00:36:58.379 つまり強力な医療システムです 00:36:58.403 --> 00:37:03.369 そして強力な社会的セーフティネット 00:37:03.393 --> 00:37:08.123 打撃を受けたときに自動的に 事態を沈静化してくれるようなものです 00:37:08.425 --> 00:37:12.649 さらには このように実践する方が 安く上がるのです 00:37:13.174 --> 00:37:18.357 各人の負担する費用は より少なくて済みます 00:37:20.278 --> 00:37:26.173 また 人々に投資するという考えが 行き渡ってほしい― 00:37:26.197 --> 00:37:30.729 今 私たちは悲惨な悲劇を 目にしており 00:37:30.753 --> 00:37:32.991 命が次々に失われています 00:37:33.015 --> 00:37:38.824 人々への投資こそが できうる最良の投資なんです NOTE Paragraph 00:37:40.450 --> 00:37:41.682 (クリス)ふむ NOTE Paragraph 00:37:41.706 --> 00:37:43.226 (ホイットニー)その通りですね NOTE Paragraph 00:37:44.418 --> 00:37:47.690 (クリス)ホイットニー それでは後ほど 00:37:49.641 --> 00:37:50.974 クリスタリナ とても― 00:37:54.379 --> 00:37:57.331 あなたの活気溢れるお話には とても元気づけられます 00:37:57.355 --> 00:37:59.353 活力をもって 事に当たっておられますね 00:37:59.377 --> 00:38:01.832 この事態に直面している人々の多くは 00:38:01.856 --> 00:38:05.686 IMFのトップの口から そのような言葉が 00:38:05.710 --> 00:38:07.909 強調されるとは 思っていなかったでしょう 00:38:07.933 --> 00:38:09.853 「気候変動危機を解決しよう 00:38:09.877 --> 00:38:13.570 不平等と不正を正そう」などとは 00:38:15.871 --> 00:38:19.275 この瞬間― この危機を乗り切ることで 00:38:19.299 --> 00:38:24.467 大変容へとつながると 心から思っていますか? 00:38:24.491 --> 00:38:26.222 あなたはその立場にあるから 00:38:26.246 --> 00:38:29.245 前向きなことを言うのだと 思う人もいるでしょう 00:38:29.626 --> 00:38:34.807 この事態を脱して前進する道が 本当に見えていますか? 00:38:34.831 --> 00:38:39.228 また どれくらいの時間を 念頭に置いているのでしょう? NOTE Paragraph 00:38:40.411 --> 00:38:45.426 (クリスタリナ)私自身が経験してきた 変化から学んだことは― 00:38:45.450 --> 00:38:49.524 計画経済から市場経済への 変化と言うことですが― 00:38:49.538 --> 00:38:52.871 辛く 長く 痛みを伴うもので 00:38:52.895 --> 00:38:54.847 一筋縄ではいかない道だ ということです 00:38:54.871 --> 00:39:00.625 一気に ここから目的地まで 到達するような奇跡は期待していません 00:39:00.649 --> 00:39:06.989 しかし 心から思っているのは 今 私たちは 00:39:07.013 --> 00:39:10.133 歴史的転換点にあり 00:39:10.157 --> 00:39:15.340 人々は自国の指導者たちから 00:39:15.364 --> 00:39:18.387 安全と安心を求めており 00:39:18.411 --> 00:39:25.033 軋轢によって分断されていない社会を 求めているということです 00:39:25.914 --> 00:39:29.906 これは何も珍しいことではありません 00:39:29.930 --> 00:39:34.537 ですからクリス 逆にあなたに お聞きしたいのですが 00:39:35.530 --> 00:39:37.172 戦争の後では 00:39:37.196 --> 00:39:39.260 世界がひとつにまとまって 00:39:39.284 --> 00:39:41.926 より良い世界を築こうとしますよね 00:39:41.950 --> 00:39:44.073 パンデミックも そうなりうるのでは? 00:39:45.128 --> 00:39:48.302 確かに 00:39:48.326 --> 00:39:54.735 間違いを犯して 正しい道を進めないこともあるでしょう 00:39:56.157 --> 00:40:02.887 それでも その正しい道を 進めるようにする義務があるのです NOTE Paragraph 00:40:04.315 --> 00:40:05.950 (クリス)では考えを― NOTE Paragraph 00:40:05.974 --> 00:40:08.960 (クリスタリナ)ここでは 誰もが重要なのです NOTE Paragraph 00:40:10.212 --> 00:40:15.426 (クリス)では ある考えを すべての人に分からせられるとしたら 00:40:15.450 --> 00:40:18.903 あるいは あなたに耳を傾ける 各国の指導者に分からせられるとしたら 00:40:18.927 --> 00:40:22.021 今この瞬間 何を伝えたいですか? NOTE Paragraph 00:40:24.133 --> 00:40:25.283 (クリスタリナ)楽観主義です 00:40:26.005 --> 00:40:28.200 より良い世界を築くことです 00:40:30.608 --> 00:40:34.433 可能であり それが望ましいなら 行動を起こすべきです NOTE Paragraph 00:40:37.608 --> 00:40:39.673 (クリス)姿勢としての楽観主義ですね 00:40:39.697 --> 00:40:41.769 そうなるといいなと 単に願うのではなくて 00:40:41.793 --> 00:40:43.651 実現するのだという 固い決意を持てと 00:40:43.675 --> 00:40:45.204 呼びかけるわけですね 00:40:45.228 --> 00:40:48.292 その楽観主義をもって 共に前へ進もうと言うのですね NOTE Paragraph 00:40:50.094 --> 00:40:53.869 (クリスタリナ)クリス 1分ください もう時間切れで終わりでしょうか? NOTE Paragraph 00:40:55.101 --> 00:41:00.531 (クリス)最後に1分間で 言いたいことがあるなら どうぞ NOTE Paragraph 00:41:00.555 --> 00:41:02.421 (クリスタリナ)1つだけ 言わせてください 00:41:02.946 --> 00:41:08.158 視聴者の皆さんに お勧めしたい映画があります 00:41:08.182 --> 00:41:10.023 『ブリッジ・オブ・スパイ』です 00:41:10.563 --> 00:41:12.198 この映画のある場面で 00:41:12.222 --> 00:41:18.912 2人の主役級の役者たち― 00:41:18.936 --> 00:41:23.911 弁護士とロシアのスパイが 話す場面があるんです 00:41:23.935 --> 00:41:27.481 弁護士は「状況はよくない 絞首刑になるかもしれん」と言います 00:41:28.379 --> 00:41:29.887 スパイは冷静そのもので 00:41:29.911 --> 00:41:32.426 「心配じゃないのか?」と 弁護士が尋ねると 00:41:32.450 --> 00:41:34.990 スパイは「心配してどうなる?」 と答えるのです 00:41:36.395 --> 00:41:40.204 つまり 私が言いたいのは 確かに辛い状況ではありますが 00:41:40.228 --> 00:41:43.831 心配しても どうにもならないということです 00:41:45.657 --> 00:41:48.037 でも 前向きな行動は 役に立ちます 00:41:48.061 --> 00:41:51.251 前向きに ポジティブでいること それが私のメッセージです NOTE Paragraph 00:41:53.465 --> 00:41:55.085 (クリス)ありがとうございます 00:41:55.109 --> 00:42:00.782 あなたの活力と 楽観的であれという 決意とでも言うべきものは 00:42:00.786 --> 00:42:03.158 非常に力づけられるものでした 00:42:03.182 --> 00:42:05.698 この窮地を乗り切る上で 00:42:05.722 --> 00:42:10.024 役職を全うされることを お祈りしています 00:42:10.048 --> 00:42:12.983 TEDにご参加くださり ありがとう クリスタリナ 00:42:13.007 --> 00:42:14.157 ありがとうございました NOTE Paragraph 00:42:14.484 --> 00:42:16.060 (ホイットニー)感謝します