0:00:00.000,0:00:02.616 この場に立てるのは[br]大変光栄です 0:00:02.640,0:00:04.536 皆さんには 世界を[br]変える力があります 0:00:04.560,0:00:06.216 決まり文句として[br]言うのではなく 0:00:06.240,0:00:08.980 皆さんには本当に[br]世界を変える力があるんです 0:00:09.040,0:00:11.136 皆さん1人ひとりの中に 0:00:11.160,0:00:14.540 人類が知る最も強力な[br]道具があります 0:00:15.010,0:00:16.470 “アイデア”です 0:00:17.240,0:00:20.296 1人の心から生まれた[br]1つのアイデアが 0:00:20.320,0:00:21.856 地を揺るがし 0:00:21.880,0:00:24.656 運動の火種となり 0:00:24.680,0:00:27.456 未来をも書き換えるのです 0:00:27.480,0:00:30.176 しかし自分の内に[br]留まっている限り 0:00:30.200,0:00:32.016 アイデアは無力です 0:00:32.040,0:00:35.096 他の人たちが取り組めるよう[br]表に出さないなら 0:00:35.120,0:00:36.890 アイデアは死んでしまいます 0:00:37.120,0:00:40.270 皆さんの中には[br]自分のアイデアを伝えようとしたけど 0:00:40.270,0:00:42.416 受け入れられず 拒絶され [br]代わりに 0:00:42.416,0:00:45.306 月並みなアイデアが採用されたという[br]経験をした人もいるでしょう 0:00:45.306,0:00:49.530 2者の間の違いは[br]伝え方です 0:00:49.530,0:00:52.526 もしアイデアを [br]人の心に響くよう伝えられたなら 0:00:52.526,0:00:55.480 変化が起こり [br]世界を変えられるのです 0:00:55.880,0:00:58.536 うちの家族では ヨーロッパの[br]古いポスターを集めていて 0:00:58.560,0:01:01.016 マウイに行くたびに[br]ポスターの専門店に寄って 0:01:01.040,0:01:02.856 店主にポスターを[br]見せてもらいます 0:01:02.880,0:01:04.866 ポスターがいいのは [br]1つのアイデアを持ち 0:01:04.866,0:01:07.366 そのアイデアを伝える[br]明快な視覚表現があるところです 0:01:07.366,0:01:09.700 マットレスみたいに[br]大きなポスターで 0:01:09.700,0:01:12.410 マットレスみたいに厚くはありませんが [br]すごく大きいんです 0:01:12.410,0:01:14.940 店主はページをめくりながら[br]ストーリーを聞かせてくれます 0:01:14.940,0:01:17.476 ある時 子供2人と一緒に[br]見せてもらっていて 0:01:17.476,0:01:19.980 めくられたページの下から[br]出てきたポスターに 0:01:19.980,0:01:22.030 思わず顔を寄せ[br]言いかけました 0:01:22.030,0:01:24.510 「わぁ このポスター すごくいい!」 0:01:24.510,0:01:26.540 すると 子供達が[br]飛び上がって言ったんです 0:01:26.540,0:01:28.090 「あっ お母さんがいる」 0:01:28.090,0:01:29.646 それがこのポスターです (笑) 0:01:29.646,0:01:30.856 (笑) 0:01:30.880,0:01:33.136 「さあ 立ち上がれ!」と[br]呼びかけているかのようです 0:01:33.160,0:01:35.696 このポスターで気に入っているのは[br]そのアイロニーです 0:01:35.720,0:01:38.180 1人の女が意気込んで[br]戦場に向かい 0:01:38.180,0:01:39.340 旗を掲げ 0:01:39.340,0:01:42.430 スワヴィートス印スパイスの[br]小さな箱を手に 0:01:42.430,0:01:45.496 そのささやかな商品の[br]宣伝のためなら 0:01:45.496,0:01:49.500 自分の手足や命さえ[br]かけるとでもいうようです 0:01:50.120,0:01:53.450 だからこの小さな[br]スワヴィートスの箱を 0:01:53.450,0:01:55.006 プレゼンに差し替えたなら 0:01:55.006,0:01:57.100 まさに気合い十分な私です 0:01:57.100,0:02:00.166 プレゼンなんかに気合いを入れているのが[br]格好よくなかった昔から 0:02:00.166,0:02:02.140 私はプレゼン 一筋だったんです 0:02:02.140,0:02:04.300 でも伝え方が効果的なら 0:02:04.300,0:02:07.270 プレゼンには世界を変える力があると[br]本当に思っています 0:02:07.270,0:02:09.440 世界を変えるのは[br]難しいです 0:02:09.440,0:02:12.976 1つのアイデアを持つ1人の人間だけで[br]できるわけではありません 0:02:12.976,0:02:16.260 広まらなければ[br]アイデアは無力なのです 0:02:16.260,0:02:18.286 他の人たちにも分かるよう[br]アイデアが 0:02:18.286,0:02:20.740 自分の外へと出て行く[br]必要があります 0:02:21.600,0:02:25.870 そしてアイデアが最も効果的に伝わるのは[br]ストーリーによってです 0:02:25.870,0:02:27.490 何千年もの間 0:02:27.490,0:02:30.880 文字を持たない人々が[br]価値観や文化を損なうことなく 0:02:30.880,0:02:32.610 世代から世代へと 0:02:32.610,0:02:34.410 語り継いで来たのです 0:02:34.410,0:02:37.160 ストーリーの構造には[br]不思議な力があって 0:02:37.160,0:02:39.390 ストーリーが[br]組み立てられると 0:02:39.390,0:02:41.610 それは聞いた人の中に[br]取り込まれ 0:02:41.610,0:02:43.910 記憶に刻まれるんです 0:02:44.600,0:02:48.150 ストーリーに対して[br]人は肉体的に反応します 0:02:48.150,0:02:51.050 胸が高まり [br]瞳が大きくなり 0:02:51.050,0:02:53.650 「背筋がぞっとしたよ」とか 0:02:53.650,0:02:56.016 「胃を掴まれたみたいだ」[br]などと言います 0:02:56.016,0:02:58.950 ストーリーを聞くと[br]文字通り体が反応するのです 0:02:58.950,0:03:01.780 ストーリーが語られるのと[br]同じ舞台でありながら 0:03:01.780,0:03:04.500 プレゼンとなると[br]まったく単調になってしまいます 0:03:04.500,0:03:06.146 その理由を[br]知りたいと思いました 0:03:06.146,0:03:09.420 なぜストーリーを聞いているときは[br]全身で夢中になって聞くのに 0:03:09.420,0:03:11.780 プレゼンだと 死んだように[br]なってしまうのか? 0:03:12.130,0:03:15.766 どうすればプレゼンにストーリーを[br]取り込めるものか知りたいと思いました 0:03:15.766,0:03:17.850 私の仕事場には[br]文字通り 0:03:17.850,0:03:20.620 何百何千という[br]プレゼンがあって 0:03:20.620,0:03:23.390 本当に酷いプレゼンがどういうものか[br]よく知っています 0:03:23.390,0:03:25.910 私は映画や文学を研究し 0:03:25.910,0:03:29.106 いったい何が起きていて [br]どうしてそうなってしまうのか 0:03:29.106,0:03:30.450 探ろうと思いました 0:03:30.450,0:03:33.466 そうして発見した[br]いくつかのことと 0:03:33.466,0:03:37.260 辿り着いた あるプレゼン形式について[br]お話ししたいと思います 0:03:38.000,0:03:39.960 最初に目を向けたのは[br]アリストテレスです 0:03:39.960,0:03:42.500 彼は序盤 中盤 終盤という[br]三幕構成を提示しました 0:03:42.500,0:03:44.520 私たちは『詩学』や『弁論術』を[br]研究しましたが 0:03:44.520,0:03:48.166 プレゼンの多くは この最もシンプルな[br]形式すら持っていません 0:03:48.166,0:03:50.550 英雄の原型へと[br]研究を進めた時 0:03:50.550,0:03:52.500 「そうだ プレゼンターは[br]物語の主人公なんだ 0:03:52.500,0:03:54.850 舞台に立つショーの花形なんだから」[br]と思いました 0:03:54.850,0:03:58.220 プレゼンターは自分が[br]その場のスターだと思いがちです 0:03:58.220,0:04:00.820 でもすぐに この考えが[br]間違っていることに気付きました 0:04:00.820,0:04:03.210 アイデアを[br]持っていたとしても 0:04:03.210,0:04:06.340 それを後生大事に[br]しまい込んでいたら 0:04:06.340,0:04:09.220 どこに辿り着くこともなく [br]世界は変わりません 0:04:09.220,0:04:11.626 だからプレゼンターは[br]主人公ではなく 0:04:11.626,0:04:14.670 聴衆こそアイデアにとっての[br]主人公なのです 0:04:14.680,0:04:17.000 ジョゼフ・キャンベルの[br]『英雄の旅』を読むと 0:04:17.000,0:04:20.010 はじめの部分に [br]非常に興味深い洞察があります 0:04:20.010,0:04:22.800 愛すべき主人公は[br]普通の生活をしていますが 0:04:22.800,0:04:24.630 冒険へと引き込まれます 0:04:24.630,0:04:26.810 いわば世界の均衡が[br]崩れるのです 0:04:26.810,0:04:28.500 主人公は最初[br]抵抗しています 0:04:28.500,0:04:30.541 「こんなの やりたいか[br]分からないよ」 0:04:30.541,0:04:32.230 そこへ導き手が現れ 0:04:32.230,0:04:34.430 普通の世界から[br]特別な世界へと進む 0:04:34.430,0:04:35.980 手助けをします 0:04:35.980,0:04:37.910 それがプレゼンターの役割です 0:04:37.910,0:04:40.680 導き手です — [br]ルークではなくヨーダなんです 0:04:40.680,0:04:42.760 聴衆が 今いるところから 0:04:42.760,0:04:46.150 新しい特別なアイデアへと[br]進む手助けをする 0:04:46.150,0:04:48.554 それがストーリーの力です 0:04:49.240,0:04:52.990 最もシンプルな構造が[br]この三部構成です 0:04:52.990,0:04:55.700 愛すべき主人公がいて [br]希望を抱き 0:04:55.700,0:04:57.836 困難に直面しますが [br]最終的には 0:04:57.836,0:05:02.380 本当の姿が現れて変容を遂げる [br]というのが基本的な構造です 0:05:02.620,0:05:06.186 しかしそれからグスタフ・フライタークの[br]ピラミッドに出会いました 0:05:06.186,0:05:08.840 彼はこの形を[br]1863年に描きました 0:05:08.840,0:05:12.320 彼はドイツの劇作家で 0:05:12.320,0:05:13.616 彼はドイツの劇作家で 0:05:13.640,0:05:16.536 五部構成を標榜していました 0:05:16.560,0:05:19.500 提示部 上昇展開 0:05:19.500,0:05:22.396 クライマックス 下降展開 [br]それに大団円— 0:05:22.396,0:05:25.280 つまりストーリーの落着です 0:05:25.280,0:05:27.646 私はこの形が好きです[br]形の話です 0:05:27.646,0:05:29.856 ストーリーは弧を持ち [br]弧がその形です 0:05:29.880,0:05:33.540 クラシック音楽では形の良さ[br]について話しますが 0:05:33.540,0:05:35.670 プレゼンに形があるとしたら 0:05:35.670,0:05:37.216 それはどんな形だろう[br]と思いました 0:05:37.216,0:05:40.150 偉大なコミュニケーターは[br]形をどう使うのか? 0:05:40.150,0:05:41.776 そもそも形を使うのか? 0:05:41.780,0:05:43.760 忘れもしません [br]ある土曜の朝のことです 0:05:43.760,0:05:46.360 こういったことを[br]2年も研究し続けていて 0:05:46.360,0:05:47.950 ふと ある形を描き 0:05:47.950,0:05:50.400 そして思いました[br]「ああ もしこの形が本当なら 0:05:50.400,0:05:53.060 まったく違う2つの[br]プレゼンを選んでも 0:05:53.060,0:05:55.100 当てはまるはずだわ」 0:05:55.100,0:05:56.800 当然の選択として 0:05:56.800,0:05:59.080 マーティン・ルーサー・キングの[br]『私には夢がある』と 0:05:59.080,0:06:01.630 スティーブ・ジョブズの 2007年の[br]iPhoneお披露目のプレゼンを選び 0:06:01.630,0:06:04.116 重ね合わせてみたところ [br]ピッタリはまったんです 0:06:04.116,0:06:06.066 仕事場で驚きに打たれ 0:06:06.066,0:06:07.660 涙がこぼれさえしました 0:06:07.660,0:06:10.216 「これはすごい賜物だ」[br]と感じたからです 0:06:10.240,0:06:11.596 それがこの形です 0:06:11.596,0:06:14.070 素晴らしいプレゼンの“型”です 0:06:14.370,0:06:16.000 すごいと思いません? 0:06:16.000,0:06:17.200 (鼻をすする—笑) 0:06:17.200,0:06:18.470 泣いていました 0:06:18.470,0:06:21.336 それを お見せしたいと思います[br]本当にビックリしますよ 0:06:21.336,0:06:24.000 始まりと中間と結末を[br]順に辿っていこうと思います 0:06:24.000,0:06:27.490 歴史上の偉大なコミュニケーター達は [br]演説にせよ何にせよ 0:06:27.490,0:06:28.890 この形に従っています 0:06:28.890,0:06:31.580 リンカーンのゲティスバーグ演説でさえ [br]この形なんです 0:06:31.580,0:06:35.030 プレゼンの始めで 何の話なのかを[br]確立する必要があります 0:06:35.030,0:06:37.590 現状や 起きていることを示し 0:06:37.590,0:06:39.790 それを あるべき姿と[br]比較します 0:06:39.790,0:06:42.900 そして そのギャップを[br]可能な限り大きくします 0:06:42.900,0:06:46.400 現状で当たり前と[br]されていることを 0:06:46.400,0:06:49.490 自分のアイデアの高みと[br]対比する必要があります 0:06:49.490,0:06:52.040 過去はこう [br]現在はこう 0:06:52.040,0:06:54.140 でも ほら [br]未来を見て 0:06:54.140,0:06:57.406 こんな問題がある[br]でもそれが解決されたところを考えてみて 0:06:57.406,0:07:00.040 こんな障害がある[br]さあ それを打ち破ろう 0:07:00.040,0:07:02.136 このギャップを強調する[br]必要があります 0:07:02.160,0:07:04.950 映画の中の誘発的な[br]出来事のようなものです 0:07:04.950,0:07:07.436 観客は突然目の前に[br]現れるシーンに対して 0:07:07.436,0:07:08.730 思います 0:07:08.730,0:07:11.760 「これを受け入れて[br]話に付き合うべきか?」 0:07:11.760,0:07:15.140 プレゼンの残りで[br]その補足をしてやる必要があります 0:07:15.280,0:07:16.560 だから中間部では 0:07:16.560,0:07:18.370 現状と理想の間で 0:07:18.370,0:07:20.950 行ったり来たりを[br]繰り返します 0:07:20.950,0:07:22.660 ここでやろうとしているのは 0:07:22.660,0:07:24.870 現状の異常さや[br]醜さを示し 0:07:24.870,0:07:27.336 自分のアイデアが[br]実現された未来へと 0:07:27.360,0:07:30.340 引き込むということです 0:07:30.470,0:07:33.130 世界を変えようとするとき [br]人々は抵抗します 0:07:33.130,0:07:35.700 彼らは受け入れず 
[br]現状に留まろうとします 0:07:35.700,0:07:37.586 だから抵抗に遭う[br]ことになります 0:07:37.586,0:07:39.800 それが行きつ戻りつを[br]繰り返すべき理由です 0:07:39.800,0:07:41.420 まるでヨットのように— 0:07:41.420,0:07:44.940 風上に向かって帆走する時は [br]風の抵抗があり 0:07:44.940,0:07:48.220 船を左右に切り返す[br]必要があります 0:07:48.220,0:07:49.920 そうやって[br]風を捉えるんです 0:07:49.920,0:07:51.610 帆走するときには 0:07:51.610,0:07:53.750 自分に向かってくる抵抗を[br]捉えなければなりません 0:07:53.750,0:07:54.910 面白いことに 0:07:54.910,0:07:57.290 風を正しく捉えられたなら 0:07:57.290,0:08:00.230 船は風よりも[br]速く進むのです 0:08:00.230,0:08:01.920 一種の物理現象です 0:08:01.920,0:08:03.546 現状と理想の間で 0:08:03.546,0:08:05.880 抵抗させることによって 0:08:05.880,0:08:07.940 人々を自分のアイデアへと 0:08:07.940,0:08:10.330 より早く導くことが[br]できるんです 0:08:10.330,0:08:13.600 現状と あるべき姿の間を[br]行き来したあと 0:08:13.600,0:08:16.196 最後の折り返し点は[br]行動の呼びかけで 0:08:16.196,0:08:18.790 これはすべてのプレゼンが[br]最後に持つべきものです 0:08:18.790,0:08:21.100 自分のアイデアが実現された[br]ユートピアとして 0:08:21.100,0:08:23.536 世界を 新たな希望の中に [br]描き出すんです 0:08:23.536,0:08:25.240 みんなが力を合わせ 0:08:25.240,0:08:27.820 大きな問題を解決したときの[br]世界の姿です 0:08:27.820,0:08:29.430 それを結末として 0:08:29.430,0:08:32.260 詩的で劇的に見せる[br]必要があります 0:08:33.080,0:08:35.756 これを発見した時 0:08:35.756,0:08:38.899 「分析ツールに使えるかも」[br]と思いました 0:08:38.899,0:08:41.216 そして いろんなスピーチの[br]文字起こしをして 0:08:41.216,0:08:44.370 どれだけ当てはまるものか[br]やってみました 0:08:44.370,0:08:46.297 その例をお見せしましょう 0:08:46.297,0:08:48.250 私が最初に試した 0:08:48.250,0:08:49.900 あの2人です 0:08:49.900,0:08:52.590 スティーブ・ジョブズは[br]世界をすっかり変えました 0:08:52.590,0:08:55.920 パーソナルコンピュータの世界を変え [br]音楽業界を変え 0:08:55.920,0:08:58.970 今度はモバイル業界を[br]変えようとしています 0:08:58.970,0:09:00.600 確かに世界を変えました 0:09:00.600,0:09:03.770 そしてこれが 2007年の[br]iPhoneお披露目の際の 0:09:03.770,0:09:05.150 スピーチの形です 0:09:05.150,0:09:07.790 90分のプレゼンで [br]ご覧のように 0:09:07.790,0:09:11.530 現状から始めて 行き来を繰り返し [br]あるべき姿で終わっています 0:09:11.800,0:09:13.600 拡大してみましょう 0:09:13.600,0:09:16.940 白い線は彼が[br]話している部分です 0:09:16.940,0:09:19.100 緑色はビデオを 0:09:19.100,0:09:20.716 見せている部分です 0:09:20.716,0:09:22.936 変化をつけています[br]オレンジ色はデモの部分 0:09:22.960,0:09:25.306 ずっと1人でしゃべり続けている[br]わけではありません 0:09:25.306,0:09:27.960 これらの線が[br]それを表しています 0:09:28.400,0:09:30.460 それから最後の方の青い線は 0:09:30.460,0:09:32.110 ゲスト・スピーカーです 0:09:32.110,0:09:34.280 ここが面白いところですが 0:09:34.280,0:09:36.776 この刻み目は 聴衆を[br]笑わせているところです 0:09:36.776,0:09:39.230 こちらの刻み目は 拍手が[br]起きているところ 0:09:39.230,0:09:41.060 みんな全身で参加していて 0:09:41.060,0:09:43.300 ジョブズの言ったことに[br]体を使って反応しています 0:09:43.300,0:09:45.026 これは素晴らしいことです 0:09:45.026,0:09:47.920 聴衆の心を掴んでいるのが[br]分かるからです 0:09:47.920,0:09:50.850 彼はあるべき姿の話を 0:09:50.850,0:09:54.440 「今日は 私が2年半待ち望んでいた日です」[br]と始めます 0:09:54.440,0:09:56.246 だから彼にすれば[br]2年以上前から 0:09:56.246,0:09:58.170 知っている製品の話を[br]しているわけです 0:09:58.170,0:09:59.810 彼にとっては[br]新しいものではありません 0:09:59.810,0:10:01.486 しかしここで彼は 0:10:01.486,0:10:03.040 驚いて見せるのです 0:10:03.040,0:10:04.610 自分自身の製品にです 0:10:04.610,0:10:07.766 聴衆が笑い拍手する以上に [br]彼自身が感動しています 0:10:07.766,0:10:11.016 「これ すごいでしょう?[br]美しいと思いませんか?」 0:10:11.040,0:10:14.726 彼は聴衆に感じて欲しいことの[br]模範を示しているのです 0:10:14.726,0:10:19.080 聴衆に特別な感じを持つよう[br]促しているわけです 0:10:19.340,0:10:21.720 彼はあるべき姿の[br]話を始めます 0:10:21.720,0:10:25.710 「時折 画期的な製品が現れては [br]すべてを変えます」 0:10:25.710,0:10:28.350 そうして自分の新製品について[br]話し出します 0:10:28.350,0:10:31.360 最初のうち iPhoneのスイッチは[br]切られたままです 0:10:31.360,0:10:34.380 ここまで線は[br]ほとんど白(語り)です 0:10:34.380,0:10:36.266 彼は行き来を繰り返しています 0:10:36.266,0:10:39.136 「これが新しい携帯で [br]これが最低の競合製品」 0:10:39.136,0:10:42.080 「これが新しい携帯で [br]これが最低の競合製品」 0:10:42.080,0:10:44.930 そして みんなが記憶に[br]とどめる瞬間が 0:10:44.930,0:10:47.000 ここで訪れます 0:10:47.000,0:10:48.716 ジョブズがiPhoneの[br]スイッチを入れ 0:10:48.716,0:10:50.746 観客は初めて画面が[br]スクロールするのを見ます 0:10:50.746,0:10:52.316 会場の誰もが息を飲み 0:10:52.316,0:10:54.466 会場から空気が[br]なくなったかのようです 0:10:54.466,0:10:56.960 彼は誰もの記憶に残る瞬間を[br]作り出しているのです 0:10:56.960,0:10:59.530 このモデルを見ていくと [br]青い部分が現れます 0:10:59.530,0:11:01.400 別のスピーカーが[br]登場しているところです 0:11:01.400,0:11:03.710 そして右下のところで[br]線が途切れています 0:11:03.710,0:11:05.480 スライドのリモコンが[br]故障してしまったためです 0:11:05.480,0:11:08.350 彼はどうしたでしょう? [br]盛り上がった空気を壊したくはありません 0:11:08.350,0:11:09.930 それで彼は[br]個人的な話をします 0:11:09.930,0:11:11.980 まさにテクノロジーが[br]上手く行かなかったときに 0:11:11.980,0:11:13.610 コミュニケーションの[br]達人である彼は 0:11:13.610,0:11:16.370 ストーリーによって[br]聴衆を繋ぎ止めるのです 0:11:16.600,0:11:19.040 プレゼンは右上のところ [br]新たな喜びで終わります 0:11:19.040,0:11:22.446 Appleは画期的な新製品を[br]生み出し続けるという約束を 0:11:22.446,0:11:23.930 彼は残します 0:11:23.930,0:11:25.570 そして言うのです 0:11:26.320,0:11:28.556 「(アイスホッケー選手) グレツキーの[br]素敵な言葉があります 0:11:28.556,0:11:31.590 “(ホッケー)パックがあるところに行くんじゃない[br]パックが向かう先に行くんだ” 0:11:31.590,0:11:34.030 Appleはその最初の日から[br]そうあろうとし 0:11:34.030,0:11:35.300 そうあり続けます」 0:11:35.300,0:11:37.270 新たな希望で[br]締めくくっているわけです 0:11:37.270,0:11:38.976 次にキング牧師を[br]見てみましょう 0:11:38.976,0:11:41.120 すごいビジョンを[br]持った聖職者で 0:11:41.120,0:11:44.030 平等を勝ち取るために[br]人生を捧げました 0:11:44.030,0:11:46.540 これが『私には夢がある』の[br]演説の形です 0:11:46.540,0:11:48.170 現状から始め 0:11:48.170,0:11:51.000 現状とあるべき姿の間を[br]行き来しているのが分かります 0:11:51.000,0:11:55.130 そして最後は 誰もが知っている[br]とても詩的な理想で終わります 0:11:55.130,0:11:57.476 少し引き延ばしてみましょうか 0:11:57.476,0:11:59.160 よく見えるように 0:11:59.160,0:12:01.830 ここでは 文字起こしした文を 0:12:01.830,0:12:03.040 脇につけています 0:12:03.040,0:12:04.550 細かくて読めないと[br]思いますが 0:12:04.550,0:12:06.660 改行は [br]彼が息をついて 0:12:06.660,0:12:08.590 間があるところです 0:12:08.590,0:12:12.170 彼は南部のバプティスト派の牧師で[br]語りに独特のリズムがあります 0:12:12.170,0:12:15.500 聞いていた人たちには[br]目新しいものでした 0:12:15.500,0:12:18.300 このテキストを[br]ラベルで隠しましょう 0:12:18.300,0:12:21.938 これを情報ツールとして[br]使いたいからです 0:12:21.938,0:12:25.180 彼がどのように人々に語ったのか[br]見ていきましょう 0:12:26.040,0:12:27.180 青いラベルは 0:12:27.180,0:12:30.200 彼が表現として繰り返しを[br]使っている部分です 0:12:30.200,0:12:31.826 同じ言葉や[br]フレーズを 0:12:31.826,0:12:33.410 何度も繰り返し 0:12:33.410,0:12:36.500 みんなの記憶に残るように[br]しているのです 0:12:36.520,0:12:39.420 彼はまた沢山のメタファーや[br]視覚的な表現を使っています 0:12:39.420,0:12:41.730 これは難しい概念を[br]みんなが記憶し 0:12:41.730,0:12:44.810 理解できるようにする[br]ための方法です 0:12:44.810,0:12:45.970 彼は実際 0:12:45.970,0:12:48.500 情景を描き出すかのように[br]言葉を使ったので 0:12:48.500,0:12:51.400 みんな彼の言うことを[br]イメージすることができました 0:12:51.560,0:12:54.600 それから馴染み深い歌や[br]聖書の言葉を使っています 0:12:54.600,0:12:56.680 今見ているのは[br]前半部分です 0:12:56.680,0:12:59.620 それから政治家が[br]人々に約束した言葉を 0:12:59.620,0:13:01.740 沢山引用しています 0:13:01.740,0:13:04.470 最初の現状を述べる部分の終わりで 0:13:04.470,0:13:06.940 人々が本当に大きく喝采し 0:13:06.940,0:13:09.360 歓声を上げます 0:13:09.360,0:13:11.230 彼はこう言ったのです 0:13:11.230,0:13:13.930 「アメリカは黒人に[br]不渡り小切手を渡してきた 0:13:13.930,0:13:16.480 残高不足と記され[br]突き返される小切手だ」 0:13:16.480,0:13:19.420 口座にお金のないのが どんなものか[br]みんな知っています 0:13:19.420,0:13:22.280 だから彼はみんなに馴染みのある[br]メタファーを使ったわけです 0:13:22.280,0:13:24.200 でもみんなが本当に盛り上がって 0:13:24.200,0:13:26.380 声を上げたのは この部分です 0:13:26.380,0:13:28.606 「だから我々は その小切手を[br]引き替えに来た 0:13:28.606,0:13:30.756 我々に自由という富を与え 0:13:30.756,0:13:33.360 公正を保証する小切手を」 0:13:33.360,0:13:34.920 みんなここで喝采します 0:13:34.920,0:13:38.100 彼が現状とあるべき姿を[br]対比したところです 0:13:38.100,0:13:40.610 このモデルを[br]さらに進んでいくと 0:13:40.610,0:13:43.650 行きつ戻りつのペースが[br]激しいものになり 0:13:43.650,0:13:46.650 彼が行き来するごとに[br]聴衆も熱狂していきます 0:13:46.650,0:13:48.280 みんな興奮していて 0:13:48.280,0:13:51.280 その高じた状態を[br]維持するために 0:13:51.280,0:13:53.400 そうしているわけです 0:13:54.050,0:13:58.040 彼は言います「私には夢がある[br]いつの日か この国が目を覚まし 0:13:58.040,0:14:01.386 “すべての人間は平等に作られている”[br]という建国の信条が 0:14:01.386,0:14:04.670 本当の意味で実現される[br]という夢だ」 0:14:04.670,0:14:07.730 彼はこのオレンジ色の文で [br]政治家や 0:14:07.730,0:14:11.160 国家がしてきた約束を[br]みんなに思い出させているのです 0:14:11.160,0:14:13.010 それから彼は[br]行き来します 0:14:13.010,0:14:15.669 「私には夢がある いつの日か—[br]私には夢がある いつの日か— 0:14:15.669,0:14:17.190 私には夢がある いつの日か—」 0:14:17.190,0:14:19.436 そして最後のところが[br]本当に興味深く 0:14:19.436,0:14:21.980 緑が4箇所あります 0:14:21.980,0:14:25.010 それに沢山の青 [br]つまり繰り返しが多用されています 0:14:25.010,0:14:26.960 繰り返しの感覚が[br]とても強くなっています 0:14:26.960,0:14:30.256 緑は 歌や聖書の言葉を[br]示しているところです 0:14:30.280,0:14:32.056 最初の緑の部分は 0:14:32.080,0:14:34.440 イザヤ書からの引用で 0:14:34.440,0:14:37.896 2番目の緑は『マイ・カントリー・[br]ティズ・オブ・ジー』です 0:14:37.920,0:14:41.090 これはよく知られた歌で [br]当時の黒人には 0:14:41.090,0:14:42.760 特に大切なものでした 0:14:42.760,0:14:46.110 この歌の歌詞を変えて [br]守られずにいた約束への 0:14:46.110,0:14:49.240 抗議の叫びとして[br]使っていたのです 0:14:49.650,0:14:53.680 3番目の緑は『マイ・カントリー・ティズ・[br]オブ・ジー』の1節です 0:14:53.680,0:14:56.370 そして4番目の緑は[br]黒人霊歌です 0:14:56.800,0:14:59.943 「ついに自由だ! ついに自由だ! [br]神よ感謝します! ついに自由だ!」 0:14:59.967,0:15:04.150 彼がしたのは聴衆の心に触れる[br]ということです 0:15:04.150,0:15:06.200 大事な聖書の言葉や 0:15:06.200,0:15:08.610 みんなが歌っていた歌を[br]引っ張り出し 0:15:08.610,0:15:10.330 怒りの叫びとして 0:15:10.330,0:15:13.870 それを聴衆と1つになって響き合うための[br]道具として使ったのです 0:15:13.870,0:15:16.366 最後に 新しい理想の世界を[br]描き出します 0:15:16.366,0:15:19.930 聴衆の心の中にある[br]神聖なものを使ってです 0:15:20.980,0:15:23.936 だから彼は偉大な人でした[br]彼には大きな夢がありました 0:15:23.936,0:15:27.020 皆さんも 大きな夢を持っていますね[br][自分の写真をここに貼ろう] (笑) 0:15:27.020,0:15:28.750 そのとても大きなアイデアを 0:15:28.750,0:15:30.416 自分の中から[br]外に出す必要があります 0:15:30.416,0:15:32.200 しかし私たちは[br]困難に直面します 0:15:32.200,0:15:33.886 世界を変えるのは[br]簡単ではなく 0:15:33.886,0:15:35.250 大仕事です 0:15:35.250,0:15:36.746 彼がどんなだったか— 0:15:36.746,0:15:38.790 家を爆破され [br]レターオープナーで刺され 0:15:38.790,0:15:40.670 最後には[br]命を落としました 0:15:40.670,0:15:42.510 自分が信じるもののために 0:15:42.510,0:15:44.870 多くの人は [br]そこまでの犠牲を 0:15:44.870,0:15:47.020 強いられることは[br]ありませんが 0:15:47.020,0:15:51.070 基本的なストーリー構造の [br]ようなことが起こります 0:15:51.070,0:15:52.936 人生は得てして[br]そうなります 0:15:52.936,0:15:54.890 皆さんは愛すべき人物で 0:15:54.890,0:15:57.870 希望を抱いていますが [br]困難に直面し 0:15:57.870,0:15:59.646 そこで止まってしまいます 0:15:59.646,0:16:01.530 「こんなアイデアがあるけど 0:16:01.530,0:16:03.330 しまっておこう」 0:16:03.330,0:16:04.886 「拒絶されてしまった」 0:16:04.886,0:16:08.700 自分で自分のアイデアを[br]壊してしまい 0:16:08.700,0:16:11.830 困難にぶつかって[br]立ち止まるのです 0:16:11.830,0:16:14.700 格闘する中で 自らを変えて[br]先へ進む道を選び 0:16:14.700,0:16:18.290 夢を抱き続けて[br]実現する代わりに— 0:16:18.290,0:16:22.550 でも私にできるのなら[br]誰にだってできます 0:16:22.550,0:16:26.310 私は経済的にも感情的にも[br]貧しい環境で育ちました 0:16:26.310,0:16:30.020 妹と初めてキャンプに行ったとき [br]虐められました 0:16:30.020,0:16:33.250 初めてのことではありませんが [br]とても酷いものでした 0:16:33.250,0:16:36.206 両親はそれぞれ[br]3度結婚しています 0:16:36.206,0:16:37.296 (ざわめき) 0:16:37.320,0:16:40.446 まったく混乱した状況で [br]両親は 喧嘩していない時には 0:16:40.446,0:16:43.380 アルコール依存症の居候を[br]助けていました 0:16:43.380,0:16:45.586 両親も元は[br]アルコール依存症だったからです 0:16:45.586,0:16:47.820 母は私が16の時に[br]家族を捨てました 0:16:47.820,0:16:51.306 それで私が家族や兄弟の[br]面倒を見ることになりました 0:16:51.306,0:16:54.110 それから結婚しました 0:16:54.110,0:16:56.866 ある人と出会い 恋に落ちたんです[br]大学には1年行きました 0:16:56.866,0:16:59.506 私はすべての聡明な若い女性が[br]すべきことをしました 0:16:59.506,0:17:01.600 18歳で結婚する[br]ということです 0:17:01.600,0:17:02.920 でも私は 0:17:02.920,0:17:05.515 自分には もっとふさわしい人生が 0:17:05.515,0:17:07.596 あるはずだと思っていました 0:17:07.596,0:17:10.756 そして人生のこの時点で[br]選択をしたのです 0:17:10.756,0:17:13.595 ああいったものに押し潰され [br]アイデアを自分の中で 0:17:13.595,0:17:15.976 枯らしてしまう[br]ということだってあり得ました 0:17:15.976,0:17:18.695 「人生は辛すぎる」[br]「世界なんて変えられやしない 0:17:18.720,0:17:19.935 難しすぎる」と 0:17:19.960,0:17:22.820 でも私は 自分の人生に[br]別なストーリーを選びました— 0:17:23.969,0:17:24.535 そう あれです (笑)[br][スワヴィートスのポスター] 0:17:24.535,0:17:26.419 そう あれです (笑)[br][スワヴィートスのポスター] 0:17:26.760,0:17:28.990 この場の人たちと[br]同じように感じ 0:17:28.990,0:17:31.316 あの小さなスワヴィートスの箱を[br]掴んだのです 0:17:31.316,0:17:33.910 そんな大それたことでは[br]ありません 0:17:33.910,0:17:36.180 全世界を変えよう[br]というのではありません 0:17:36.180,0:17:38.059 でも自分の世界なら[br]変えられます 0:17:38.059,0:17:39.536 自分の人生なら[br]変えられます 0:17:39.536,0:17:41.640 自分の手の届く[br]範囲なら 0:17:41.640,0:17:43.456 自分の領分なら[br]変えられます 0:17:43.480,0:17:45.687 皆さんにも そうすることを[br]お勧めします 0:17:45.687,0:17:46.936 なぜなら 0:17:46.960,0:17:50.260 未来とは 私たちが[br]行く場所ではないからです 0:17:50.260,0:17:53.890 未来は私たちが[br]作る場所なのです 0:17:53.890,0:17:56.576 ありがとうございました[br]皆さんに祝福がありますように 0:17:56.576,0:17:57.440 (拍手)